以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。
<A.救助隊員の装備>
まず、図1を参照して、救助隊員が危険な場所で救助活動を行う際に携帯する装備について説明する。図1は、救助隊員の装備の一例を示す図である。
救助隊員が携帯する装備は、たとえば、呼吸器50と、HUDユニット100と、警報器200と、ボンベ300とを含む。
呼吸器50は、面体であり、救助隊員の顔面を覆うように構成される。呼吸器50は、吸気管51を介してボンベ300と繋がっている。ボンベ300には、空気が圧縮充填されており、ボンベ300から吸気管51を通じて呼吸器50に空気が供給される。ここでいう「空気」とは、少なくとも酸素を含む気体を意味する。救助隊員は、ボンベ300から空気の供給を受けることで有毒な気体が発生するような危険な現場でも呼吸を確保することができる。
HUDユニット100は、制御ユニット70と、HUD90とを含む。制御ユニット70は、ケーブル55を介してHUD90に電気的に接続されている。
制御ユニット70は、HUD90を制御する。HUD90は、呼吸器50の内側(顔面側)に装着され、複数のLED(Light Emitting Diode)95を含む。制御ユニット70は、LED95の発光パターンを制御することで種々の情報を救助隊員に知らせる。
一例として、制御ユニット70には、ボンベ300内の空気の圧力(すなわち、ボンベ残圧)を検出するための圧力センサ73(図7参照)が設けられており、制御ユニット70は、ボンベ残圧に応じた発光パターンでLED95の発光を制御する。救助隊員は、LED95の発光パターンを確認することでボンベ残圧を直感的に把握することができる。
他の例として、制御ユニット70には、周囲の温度を検出するための温度センサ74(図7参照)が設けられており、制御ユニット70は、周囲温度に応じた発光パターンでLED95の発光を制御する。救助隊員は、LED95の発光パターンを確認することで周囲温度を直感的に把握することができる。
警報器200は、携帯者の状態を周囲の救助隊員に報知する。図2は、警報器200の外観を示す図である。図2に示されるように、警報器200は、表示器211を含む。表示器211は、任意の表示色で発光することが可能なように構成される。警報器200は、救助隊員に装着可能に構成されている。
救助隊員は、通常、複数人で隊を組み、互いに連携を取りながら救助活動を行う。警報器200は、隊の誰かが行動不能状態になった場合に、行動不能状態になった人物に応じた発光色で表示器211を点灯させる。ここでいう「行動不能状態」とは、救助隊員が身動きできない状態のことをいう。一例として、行動不能状態は、救助隊員の昏倒状態や失神状態を含む。行動不能状態になった救助隊員が表示色で示されることで、他の救助隊員は、誰が行動不能状態になったのかを救助活動中に把握することができる。その結果、他の救助隊員は、行動不能状態の救助隊員を迅速に救助できる。
<B.警報システム500の装置構成>
次に、図3を参照して、警報システム500における警報態様について説明する。図3は、警報システム500の装置構成の一例を示す図である。
図3に示されるように、警報システム500は、HUDユニット100と、警報器200と、情報処理装置400とを含む。上述のように、HUDユニット100および警報器200のセットは、救助隊員に携帯される装備品である。
図3の例では、3つのHUDユニット100A~100Cと、3つの警報器200A~200Cとが示されているが、HUDユニット100および警報器200の数は、1つ以上であれば任意である。また、図3の例では、1つの情報処理装置400が示されているが、情報処理装置400の数は、1つ以上であれば任意である。
HUDユニット100および警報器200は、それぞれ、互いに無線通信を行うための通信モジュールが搭載されている。一例として、HUDユニット100および警報器200間の通信は、BLE、NFC(Near Field Communication)、ZigBeeなどの通信手段で実現される。なお、HUDユニット100および警報器200の通信は、無線通信ではなく、有線通信で実現されてもよい。
警報器200および情報処理装置400は、それぞれ、互いに無線通信を行うための通信モジュールが搭載されている。典型的には、警報器200および情報処理装置400の通信可能距離は、HUDユニット100および警報器200の通信可能距離よりも長い。警報器200の通信モジュールは子機として機能し、情報処理装置400の通信モジュールは親機として機能する。警報器200および情報処理装置400の通信モジュールは、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、警報器200および情報処理装置400の通信モジュールは、Bluethoothなどの任意の無線通信の規格で無線通信を行う。
また、警報器200は、情報処理装置400と通信可能に構成されるだけでなく、他の警報器200と通信可能に構成される。警報器200同士の通信手段は、たとえば、警報器200と情報処理装置400との間の通信手段と同様の方法で実現される。警報器200同士が通信可能に構成されることで、警報器200の各々が無線基地となり、マルチホップ通信を実現することができる。その結果、各警報器200は、他の警報器200を経由して情報処理装置400と通信することができ、より広範囲のネットワークが構築される。
情報処理装置400は、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末、または、通信機能を備えたその他の通信端末である。情報処理装置400は、警報器200の各々から各種情報を受信することで、各救助隊員の状態をディスプレイ410に表示する。
<C.救助隊員の状態監視画面>
図4を参照して、情報処理装置400のディスプレイ410(表示部)に表示される状態監視画面430について説明する。図4は、救助隊員の状態監視画面430の一例を示す図である。
上述のように、情報処理装置400は、救助隊員に関する各種情報を警報器200の各々から収集し、各救助隊員の状態を状態監視画面430に示す。これにより、管理者は、各救助隊員の状態を状態監視画面430上で監視することができる。
警報器200から収集される各種情報は、たとえば、装着者の状態を示す状態情報と、装着者のボンベ残圧情報とを含む。警報器200の各々から収集された各種情報は、状態監視画面430に表示される。一例として、状態監視画面430は、状態情報表示欄440と、識別情報表示欄442と、ボンベ残圧表示欄444とを含む。
状態情報表示欄440には、各救助隊員の状態が表示される。表示され得る状態は、たとえば、救助隊員の正常状態と、救助隊員の行動不能状態とを含む。
識別情報表示欄442には、警報器200の識別情報が表示される。警報器200の識別情報とは、警報器200を一意に識別することが可能な情報である。一例として、当該識別情報は、警報器200に割り当てられているID(Identification)であってもよいし、警報器200の名前であってもよいし、警報器200に割り当てられているIPアドレスであってもよいし、警報器200の装着者の名前であってもよい。
ボンベ残圧表示欄444には、各救助隊員のボンベ残圧情報が表示される。ボンベ残圧情報は、警報器200の識別情報に並べて表示される。表示されるボンベ残圧の単位は、MPa(メガパスカル)である。情報処理装置400は、警報器200からボンベ残圧を受信する度にボンベ残圧表示欄444を更新する。
情報処理装置400は、救助隊員の行動不能状態を示す警報信号を警報器200の1つから受信した場合には、送信元の警報器200の装着者が行動不能状態であることを状態監視画面430に表示する。一例として、情報処理装置400は、隊員「1」が所持している警報器「1」から警報信号を受信した場合には、警報器「1」の識別情報の表示態様を他の警報器「2」~「4」の識別情報の表示態様とは異なるように表示する(図4(A)参照)。他の例として、情報処理装置400は、隊員「2」が所持している警報器「2」から警報信号を受信した場合には、警報器「2」の識別情報の表示態様を他の警報器「1」,「3」,「4」の識別情報の表示態様とは異なるように表示する(図4(B)参照)。
典型的には、情報処理装置400は、警報信号の送信元である警報器200の識別情報を他の識別情報よりも強調表示する。強調表示は、たとえば、識別情報の表示色を変えることによって実現されてもよいし、識別情報の表示サイズを大きくすることによって実現されてもよい。
好ましくは、情報処理装置400は、警報信号の送信元の警報器200に応じて表示色を変える。より具体的には、警報器200の各々には異なる色情報が予め対応付けられている。情報処理装置400は、警報器200から警報信号を受信した場合に、送信元の警報器200に対応する色情報を特定し、当該色情報が示す色で送信元の警報器200の識別情報を表示する。
一例として、警報器「1」には「黄色」が対応付けられており、警報器「2」には「青色」が対応付けられているとする。この場合、情報処理装置400は、警報器「1」から警報信号を受信した場合には、警報器「1」の識別情報を黄色で表示する。他の例として、情報処理装置400は、警報器「2」から警報信号を受信した場合には、警報器「2」の識別情報を青色で表示する。管理者は、行動不能状態を色によって報知することで、行動不能状態の救助隊員を容易に見分けることが可能になる。
以上のように、情報処理装置400は、警報器200の各々から受信した圧力情報を状態監視画面430(ディスプレイ410)に表示するとともに、警報器200の1つから警報信号を受信した場合に、その警報器200の装着者が行動不能状態であることを状態監視画面430(ディスプレイ410)に表示する。これにより、管理者は、行動不能状態のボンベ残圧を把握することができるので、その救助隊員を早期に救助する必要があるのか否かを正確に判断することができる。その結果、管理者は、救助計画を早期に見直すことができ、行動不能状態の救助隊員や救助対象者を助けることができる。
<D.救助隊員の状態監視画面の変形例1>
次に、図5を参照して、図4で説明した状態監視画面430の他の例について説明する。図5は、変形例に従う状態監視画面430を示す図である。
図5の状態監視画面430は、救助隊員のボンベ300内の空気が尽きるまでの残時間(以下、「ボンベ残時間」ともいう。)をさらに表示する点で、図4の状態監視画面430とは異なる。
図5に示されるように、状態監視画面430は、状態情報表示欄440と、識別情報表示欄442と、ボンベ残圧表示欄444と、ボンベ残時間表示欄446とを含む。ボンベ残時間表示欄446以外の表示欄については図4で説明した通りであるので、それらの表示欄の説明については繰り返さない。
ボンベ残時間表示欄446には、各救助隊員のボンベ残時間が各救助隊員のボンベ残圧に並べて表示される。ボンベ残時間の推定方法の詳細については後述する。ボンベ残時間は、警報器200の各々から受信される。ボンベ残時間の表示は、警報器200からボンベ残時間を受信する度に更新される。
各救助隊員のボンベ残時間が表示されることで、管理者は、ボンベ内の空気が尽きるまでにどの程度余裕があるのかを容易に把握することができ、行動不能状態の救助隊員を救助するための計画を早期に立てることができる。
<E.救助隊員の状態監視画面の変形例2>
次に、図6を参照して、図4で説明した状態監視画面430の他の例について説明する。図6は、変形例に従う状態監視画面430を示す図である。
図6に示されるように、状態監視画面430は、状態情報表示欄440と、識別情報表示欄442と、グループ表示欄443と、ボンベ残圧表示欄444とを含む。グループ表示欄443以外の表示欄については図4で説明した通りであるので、それらの表示欄の説明については繰り返さない。
救助隊員は、通常、二人一組で隊を組み救助活動を行う。このとき、管理者は、グループを組んでいる救助隊員を知ることができれば、各救助隊員に指示を出しやすくなる。そこで、本例に従う状態監視画面430は、グループを組んでいる救助隊員同士を視覚的に提示する。
グループを組んでいる救助隊員は、通常、近くで互いを助け合いながら救助活動を行う。この点に着目して、情報処理装置400は、近くに存在する警報器200同士を特定することで、救助隊員のグループを特定する。
より具体的には、救助隊員が携帯している警報器「1」は、周囲に向けて応答要求信号を送信する。応答要求信号の出力強度(信号強度)は、警報器「1」から所定範囲に届くように決められる。当該所定範囲は、たとえば、警報器「1」を中心した半径5mの範囲である。この範囲内に、たとえば、警報器「2」が存在したとする。この場合、警報器「2」は、応答要求信号に応答して送信元の警報器「1」に応答信号を送信する。警報器「1」は、警報器「2」から応答信号を受信したことに基づいて、警報器「2」が自身の通信可能範囲内に存在していると判断し、警報器「1」,「2」の識別情報を情報処理装置400に送信する。
情報処理装置400は、警報器「1」,「2」の識別情報を受信したことに基づいて、警報器「1」,「2」が同一グループであることをグループ表示欄443に示す。図6の例では、警報器「1」,「2」を携帯している救助隊員「1」,「2」は、グループ「A」に属していることが示されている。同様に、警報器「3」,「4」を携帯している救助隊員「3」,「4」は、グループ「B」に属していることが示されている。
このように、警報器200の各々は、所定の距離内に存在する他の警報器200と通信可能に構成されており、情報処理装置400は、互いに通信可能な警報器群をそれぞれディスプレイ410上でグループ表示する。
なお、グループ表示の方法は、同一グループに属する救助隊員(警報器)を文字でグループ表示する例に限定されない。たとえば、同一グループに属する救助隊員が同一色で示されてもよい。あるいは、同一のグループに属する救助隊員がオブジェクト(たとえば、四角オブジェクト)で囲まれてもよい。
また、上述では、1つのグループが二人の救助隊員で構成される前提で説明を行ったが、グループ化される救助隊員の人数は、三人以上であってもよい。また、各グループの人数は、必ずしも同じである必要はない。
<F.ハードウェア構成>
図7は、HUDユニット100のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図8は、警報器200のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図9は、情報処理装置400のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
以下では、図7~図9を参照して、HUDユニット100、警報器200、および情報処理装置400のハードウェア構成について順に説明する。
[F1.HUDユニット100のハードウェア構成]
まず、図7を参照して、HUDユニット100のハードウェア構成について説明する。
図7に示されるように、HUDユニット100は、制御ユニット70と、HUD90とを含む。制御ユニット70は、電池71と、電圧レギュレータ72と、圧力センサ73と、温度センサ74と、残量検出回路80と、LED85と、無線通信モジュール86とを含む。HUD90は、シリアル通信ポート92と、制御装置93と、LED95A~95Eと、ブザー96とを含む。
電池71は、制御ユニット70やHUD90内の各種コンポーネントに電力を供給する。HUD90への電力は、たとえば、制御ユニット70とHUD90とを接続する電力ケーブル(図示しない)を介して供給される。電池71の入力電圧は、電圧レギュレータ72によってたとえば5V(ボルト)に降圧されて、圧力センサ73および制御装置88に与えられる。
圧力センサ73は、ボンベ300内に圧縮充填された空気の圧力(すなわち、ボンベ残圧)を検出する。検出されたボンベ残圧は、AD変換器(図示しない)によってアナログ信号からデジタル信号に変換された上で制御装置88に出力される。
温度センサ74は、たとえばサーミスタであり、制御ユニット70外の周囲の温度を検出する。検出された周囲温度は、AD変換器(図示しない)によってアナログ信号からデジタル信号に変換された上で制御装置88に出力される。
残量検出回路80は、電池71の電力残量を検出し、その検出結果を制御装置88に出力する。
制御装置88は、制御ユニット70内の各種コンポーネントを制御する。制御装置88は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU(Central Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
制御装置88は、圧力センサ73によって検出されたボンベ残圧と、温度センサ74によって検出された周囲温度と、残量検出回路80によって検出された電池残量との内の少なくとも1つの検出結果に基づいて、LED85の点灯/消灯を制御する。また、制御装置88は、当該検出結果に基づいて、シリアル通信ポート87を介して、LED95A~95Eの発光パターンを制御するための制御信号や、ブザー96の出力御を制御するための制御信号を制御装置93に出力する。
無線通信モジュール86は、警報器200などの通信機器と通信を実現するための構成である。無線通信モジュール86は、たとえば、BLE、NFC(Near Field Communication)、ZigBeeなどの通信手段で警報器200との通信を実現する。
シリアル通信ポート87,92は、ケーブル55を接続するためのインターフェイスである。制御ユニット70は、ケーブル55を介してHUD70と電気的に接続される。
制御装置93は、制御ユニット70からの制御信号に従ってHUD80内の各種コンポーネントを制御する。制御装置93は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
[F2.警報器200のハードウェア構成]
次に、図8を参照して、警報器200のハードウェア構成について説明する。図8に示されるように、警報器200は、制御装置201と、不揮発性メモリ202と、無線通信モジュール203と、ジャイロセンサ204と、地磁気センサ205と、タイマー206と、スピーカ207と、起動ボタン208と、手動警報ボタン209と、警報解除ボタン210と、表示器211と、電源213とを含む。これらのハードウェア構成は、内部バスを介して電気的に接続されている。
制御装置201は、警報器200を制御する。制御装置201は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
不揮発性メモリ202は、非通電時でもデータを保持することが可能な記録媒体であり、たとえば、ROM(Read Only Memory)である。不揮発性メモリ202は、警報器200の制御プログラム202A、制御プログラム202Aの実行時に用いられる各種データ(図示しない)などを格納する。
無線通信モジュール203は、情報処理装置400などの通信機器と通信を実現するための構成である。無線通信モジュール203は、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、無線通信モジュール203は、Bluethoothなどの任意の無線通信の規格で無線通信を行ってもよい。警報器200は、無線通信モジュール203を介して、情報処理装置400から警報命令などのデータを受信する。
ジャイロセンサ204は、警報器200の動きを検出するためのセンサであり、たとえば、警報器200の傾きや警報器200の加速度などを検出する。好ましくは、ジャイロセンサ204は、互いに直交するX,Y,Z軸の各軸方向における加速度(または速度)と、各軸周りの角加速度(角速度)とを検出する。ジャイロセンサ204による検出値は、警報器200の装着者が行動不能状態にあるか否かを判断するための基準として用いられる。行動不能状態の検出方法の詳細については後述する。
地磁気センサ205は、磁場(磁界)の向きを計測し、方位を検出するためのセンサである。地磁気センサ205の検出値は、警報器200の装着者に方位を知らせるために用いられるだけでなく、装着者の行動不能状態を検出するために用いられてもよい。一例として、地磁気センサ205の検出値の変化量が所定閾値を下回っている状態が一定時間以上継続した場合に、警報器200の装着者の行動不能状態が検出されてもよい。なお、装着者の行動不能状態を検出するためには、ジャイロセンサ204および地磁気センサ205の両方が設けられる必要がなく、いずれか一方が設けられればよい。
タイマー206は、時間を計測するための装置である。なお、タイマー206は、制御装置201に備えられる計時機能に代用されてもよい。
スピーカ207は、警報器200における警告出力部の一例である。スピーカ207は、圧電振動板などで構成され、制御装置201からの制御指令に従って圧電振動板を振動させることで種々の音を出力する。一例として、スピーカ207は、制御装置201からの制御指令に従って警報音を出力する。
起動ボタン208は、警報器200の起動操作を受け付けるためのボタンである。警報器200の装着者が起動ボタン208を押下することで、電源213から警報器200の各種装置に電力が供給され、警報器200が起動される。
手動警報ボタン209は、警報出力を有効にするためのボタンである。警報器200の装着者が手動警報ボタン209を押下すると、警報器200から警報が出力される。
警報解除ボタン210は、警報出力の解除を受け付けるためのボタンである。警報器200の装着者が警報解除ボタン210を押下すると、警報器200における警報出力が停止される。
表示器211は、警報器200における警告出力部の一例である。表示器211は、メイン表示器211Aと、サブ表示器211Bとで構成される。メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bは、それぞれ、赤色で発光する発光素子、緑色で発光する発光素子、青色で発光する発光素子で構成される。各発光素子は、制御装置201からの制御指令に応じて発光強度を変える。各発光素子の発光強度が調整されることで、メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bは、それぞれ、任意の色で発光する。メイン表示器211Aは、警報器200の装着者について行動不能状態が検出された場合に予め定められた表示色で点灯したり、他の警報器200の装着者について行動不能状態が検出された場合に、当該行動不能状態にある人物に応じた発光色で点灯する。サブ表示器211Bは、メイン表示器211Aと協働して表示態様を変えることで、警報器200の装着者に対して種々の警告を報知する。
電源213は、警報器200の各種装置に電力を供給する。電源213は、たとえば、電池であり、交換可能に構成される。
[F3.情報処理装置400のハードウェア構成]
次に、図9を参照して、情報処理装置400のハードウェア構成について説明する。図9に示されるように、情報処理装置400は、制御装置401と、不揮発性メモリ402と、揮発性メモリ403と、無線通信モジュール404と、表示インターフェイス405と、入力インターフェイス406と、記憶装置420とを含む。
制御装置401は、情報処理装置400を制御する。制御装置401は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのASIC、少なくとも1つのFPGA、またはそれらの組み合わせなどによって構成される。
不揮発性メモリ402は、非通電時でもデータを保持することが可能な記録媒体であり、たとえば、ROMである。制御装置401は、情報処理装置400の制御プログラム422などの各種プログラムを実行することで情報処理装置400の動作を制御する。制御装置401は、制御プログラム422の実行命令を受け付けたことに基づいて、記憶装置420から不揮発性メモリ402に制御プログラム422を読み出す。揮発性メモリ403は、通電時のみデータを保持することができる記録媒体であり、たとえば、RAM(Random Access Memory)である。揮発性メモリ403は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム422の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
無線通信モジュール404は、警報器200などの通信機器と通信を実現するための構成である。無線通信モジュール404は、たとえば、920MHzの通信帯域で無線通信を行う。あるいは、無線通信モジュール404は、Bluethoothなどの任意の無線通信の規格で無線通信を行ってもよい。情報処理装置400は、無線通信モジュール404を介して、警報器200から警報信号などのデータを受信する。
表示インターフェイス405は、ディスプレイ410と接続され、制御装置401などからの指令に従って、ディスプレイ410に対して、画像を表示するための画像信号を送出する。ディスプレイ410は、たとえば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、またはその他の表示器である。ディスプレイ410は、図9に示されるように情報処理装置400と別に設けられてもよいし、情報処理装置400と一体的に構成されてもよい。
入力インターフェイス406は、たとえば、USB(Universal Serial Bus)端子であり、入力デバイス411に接続される。入力インターフェイス406は、入力デバイス411からのユーザ操作を示す信号を受け付ける。入力デバイス411は、たとえば、マウス、キーボード、タッチパネル、またはユーザの操作を受け付けることが可能なその他の装置である。入力デバイス411は、図9に示されるように情報処理装置400と別に設けられてもよいし、情報処理装置400と一体的に構成されてもよい。
記憶装置420は、たとえば、ハードディスクや外付けの記憶装置などの記憶媒体である。記憶装置420は、情報処理装置400の制御プログラム422、後述の警報情報424などを格納する。制御プログラム422および警報情報424の格納場所は、記憶装置420に限定されず、制御装置401の記憶領域(たとえば、キャッシュなど)、不揮発性メモリ402、揮発性メモリ403、外部機器(たとえば、警報器200やサーバ)などに格納されていてもよい。
<G.警報システム500の機能構成>
図10~図12を参照して、警報器200および情報処理装置400の機能構成について説明する。図10は、警報器200および情報処理装置400の機能構成の一例を示す図である。
図10に示されるように、警報器200の制御装置201は、取得部250と、異常検出部252と、推定部254と、通信部256と、出力制御部258とを含む。情報処理装置400の制御装置401は、通信部450と、特定部452と、表示制御部454とを含む。
異常検出部252は、ジャイロセンサ204(図8参照)の出力値に基づいて、装着者の行動不能状態を検出する。図11を参照して、異常検出部252による行動不能状態の検出方法について説明する。図11は、警報器200の装着者の移動量を時系列に表わした図である。
警報器200の装着者の移動量は、たとえば、ジャイロセンサ204の検出値から算出される。上述したように、ジャイロセンサ204は、互いに直交するX,Y,Z軸の各軸方向における加速度(または速度)と、各軸周りの角加速度(角速度)とを検出する。ある局面において、異常検出部252は、ジャイロセンサ204によって検出される各種検出値の少なくとも1つの移動平均を装着者の移動量として算出する。他の局面において、異常検出部252は、ジャイロセンサ204によって検出される各種検出値の少なくとも2つを合成(たとえば、積算または平均)し、合成値の移動平均を装着者の移動量として算出する。
図11に示されるように、時刻T1において、装着者の移動量が所定閾値thを下回ったとする。これにより、異常検出部252は、タイマー206(図8参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントを開始する。当該カウント値は、装着者が動作していない非動作時間に相当する。
時刻T2において、装着者の移動量が閾値thを上回ったとする。これにより、異常検出部252は、非動作時間のカウントを停止する。異常検出部252は、装着者の非動作時間「ΔT1」が所定時間Tthよりも短いので、装着者が静止していたと判断する。すなわち、この場合には、異常検出部252は、装着者の行動不能状態にあるとは判断しない。
時刻T3において、装着者の移動量が所定閾値thを下回ったとする。異常検出部252は、タイマー206(図8参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントを開始する。
時刻T4において、装着者の非動作時間が所定時間Tthを超えたとする。このことに基づいて、異常検出部252は、装着者の行動不能状態を検出する。このように、異常検出部252は、装着者の非動作状態が一定時間以上継続した場合に、装着者が行動不能状態にあると判断する。異常検出部252は、行動不能状態を検出したことに基づいて、そのことを通信部256に出力する。
再び図10を参照して、推定部254は、ボンベ残圧の推移に基づいて、ボンベ300内の空気が尽きるまでの残時間(すなわち、ボンベ残時間)を推定する。一例として、推定部254は、現在のボンベ残圧とボンベ残圧の推移とボンベ残時間との相関関係に基づいて、ボンベ残時間を推定する。ボンベ残圧の推移は、たとえば、ボンベ残圧の減少速度で表される。当該減少速度は、たとえば、ボンベ残圧の履歴情報などから算出される。
一例として、推定部254は、ボンベ残圧とボンベ残圧の減少速度とを説明変数とし、ボンベ残時間を目的変数とする予め定められた相関式に対して、現在のボンベ残圧とボンベ残圧の減少速度とを代入し、現在のボンベ残時間を推定する。
通信部256は、警報器200の無線通信モジュール203(図8参照)を制御する通信ドライバである。通信部256は、異常検出部252によって行動不能状態が検出されたことに基づいて、装着者が行動不能状態にあることを示す警報信号を情報処理装置400に送信する。送信される警報信号には、警報器200の識別情報などが含まれる。また、通信部256は、取得部250から受け付けたボンベ残圧を圧力情報として情報処理装置400に送信する。また、通信部256は、推定部254によって推定されたボンベ残時間を残時間情報として情報処理装置400に送信する。
通信部450は、情報処理装置400の無線通信モジュール404(図9参照)を制御する通信ドライバである。通信部450は、警報器200から警報信号を受信したことに基づいて、当該警報信号を特定部452に出力する。また、通信部450は、警報器200から圧力情報を受信したことに基づいて、当該圧力情報を表示制御部454に出力する。また、通信部450は、警報器200から残時間情報を受信したことに基づいて、当該残時間情報を表示制御部454に出力する。
特定部452は、通信部450から警報信号を受け付けると、図12に示される警報情報424に基づいて、警報信号の発信元である警報器200に対応する警報態様を特定する。
図12は、警報情報424のデータ構造の一例を示す図である。警報情報424は、たとえば、情報処理装置400の記憶装置420などに予め格納されている。
図12に示されるように、警報情報424は、警報器200の識別情報425と、警報態様426とを含む。識別情報425のそれぞれについて異なる警報態様426が対応付けられている。識別情報425は、たとえば、警報器200の警報器ID425Aと、送信先を示すIP(Internet Protocol)アドレス425Bとの少なくとも1つで規定される。警報態様426は、色426Aと、警報音426Bと、その他の報知態様との少なくとも1つで規定される。色426Aは、警報器200での発光色および情報処理装置400での表示色を示す。
より具体的には、特定部452は、受信した警報信号から発信元の警報器の識別情報を取得し、警報情報424において当該識別情報に対応付けられている警報態様を特定する。特定部452は、特定した警報態様を通信部450と表示制御部454とに出力する。通信部450は、特定部452によって特定された警報態様で作動させるための作動命令を警報信号の発信元とは異なる警報器に送信する。送信先のIPアドレスは、たとえば、警報情報424を参照して特定される。
表示制御部454は、特定部452からの表示態様と、通信部450からの圧力情報と、通信部450からの残時間情報とに基づいて、上述の状態監視画面430(図4~図6参照)の表示を制御する。状態監視画面430の表示態様については図4~図6で説明した通りであるので、その説明については繰り返さない。
出力制御部258は、通信部256が情報処理装置400から作動命令を受信したことに基づいて、当該作動命令が示す警報態様でスピーカ207や表示器211などを作動する。
なお、図10に示される警報器200の機能の一部は、情報処理装置400や外部装置に実装されてもよい。同様に、図10に示される情報処理装置400の機能の一部は、警報器200や外部装置に実装されてもよい。たとえば、異常検出部252および推定部254などの機能構成は、情報処理装置400に実装されてもよいし、その他の外部装置に実装されてもよい。また、特定部452は、警報器200に実装されてもよいし、その他の外部装置に実装されてもよい。このような一部の機能を含まない場合であっても、本実施の形態に従う警報システム500の趣旨を逸脱するものではない。さらに、警報システム500の機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。
<H.状態監視画面430の表示制御フロー>
図13を参照して、上述の状態監視画面430(図4~図6参照)の表示制御フローについて説明する。図13は、状態監視画面430の表示制御処理を表わすフローチャートである。図13の処理は、情報処理装置400の制御装置401がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS50において、制御装置401は、上述の通信部450(図10参照)として、救助隊に関する各種情報を警報器200の各々から受信する。当該各種情報は、たとえば、各救助隊員のボンベ残圧と、各救助隊員のボンベ内の空気が尽きるまでの時間(すなわち、ボンベ残時間)とを含む。
ステップS52において、制御装置401は、上述の表示制御部454(図10参照)として、ステップS50で受信したボンベ残圧とボンベ残時間とに基づいて、状態監視画面430を更新する。
ステップS60において、制御装置401は、上述の通信部450として、警報器200の1つから警報信号を受信したか否かを判断する。制御装置401は、警報器200の1つから警報信号を受信したと判断した場合(ステップS60においてYES)、制御をステップS62に切り替える。そうでない場合には(ステップS60においてNO)、制御装置401は、ステップS70に切り替える。
ステップS62において、制御装置401は、上述の特定部452として、警報情報424(図12参照)を参照して、警報信号の発信元の警報器200に対応する警報態様(表示態様)を特定する。
ステップS64において、制御装置401は、上述の表示制御部454として、ステップS212で特定した表示態様に従って、状態監視画面430上で警報信号の発信元の警報器を強調表示する。
ステップS66において、制御装置401は、上述の通信部450として、ステップS212で特定した警報態様で警報器を作動させるための作動命令を生成し、警報信号の発信元とは異なる他の警報器に当該作動命令を送信する。
ステップS70において、制御装置401は、状態監視画面430の表示制御処理を終了するか否かを判断する。一例として、制御装置401は、状態監視画面430を閉じる命令を受け付けたことに基づいて、状態監視画面430の表示制御処理を終了すると判断する。制御装置401は、状態監視画面430の表示制御処理を終了すると判断した場合(ステップS70においてYES)、図13に示される処理を終了する。そうでない場合には(ステップS70においてNO)、制御装置401は、制御をステップS50に戻す。
<I.周囲への警告の報知フロー>
図14~図18を参照して、警報器200の制御構造について説明する。図14は、装着者が行動不能状態になったことを周囲に知らせるための報知処理を表わすフローチャートである。図14の処理は、警報器200の制御装置201がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS110において、制御装置201は、ジャイロセンサ204の検出値に基づいて、警報器200の装着者の単位時間当たりの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図11参照)を下回ったか否かを判断する。制御装置201は、警報器200の移動量が閾値thを下回ったと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御装置201は、ステップS110の処理を再び実行する。
ステップS112において、制御装置201は、タイマー206(図8参照)によるカウント値を初期化するとともに、当該カウント値のカウントをタイマー206に開始させる。
ステップS120において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、警報器200の装着者の非動作時間が第1閾値を超えたか否かを判断する。第1閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。制御装置201は、警報器200の装着者の非動作時間が第1閾値を超えたと判断した場合(ステップS120においてYES)、制御をステップS124に切り替える。そうでない場合には(ステップS120においてNO)、制御装置201は、制御をステップS122に切り替える。
ステップS122において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、ジャイロセンサ204の検出値に基づいて、警報器200の装着者の単位時間当たりの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図11参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置201は、警報器200の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS122においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS122においてNO)、制御装置201は、制御をステップS120に戻す。
ステップS124において、制御装置201は、上述の出力制御部258として、プレアラームモード「1」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図15は、プレアラームモード「1」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「1」においては、制御装置201は、所定間隔(たとえば、2秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ207を作動させ、メイン表示器211Aの表示色を所定間隔(たとえば、2秒間隔)で切り替える。図15の例では、メイン表示器211Aは、緑色および黄色で交互に点灯している。なお、プレアラームモード「1」においては、制御装置201は、サブ表示器211Bを作動させない。
ステップS130において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、警報器200の装着者の非動作時間が第2閾値を超えたか否かを判断する。第2閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第2閾値は、ステップS120に示される第1閾値よりも大きい。制御装置201は、警報器200の装着者の非動作時間が第2閾値を超えたと判断した場合(ステップS130においてYES)、制御をステップS134に切り替える。そうでない場合には(ステップS130においてNO)、制御装置201は、制御をステップS132に切り替える。
ステップS132において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、ジャイロセンサ204の検出値に基づいて、警報器200の装着者の単位時間当たりの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図11参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置201は、警報器200の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS132においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS132においてNO)、制御装置201は、制御をステップS130に戻す。
ステップS134において、制御装置201は、上述の出力制御部258として、プレアラームモード「1」よりも警告の出力レベルを上げ、プレアラームモード「2」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図16は、プレアラームモード「2」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「2」においては、制御装置201は、所定間隔(たとえば、1.5秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ207を作動させ、メイン表示器211Aの表示色を所定間隔(たとえば、1.5秒間隔)で切り替える。図16の例では、メイン表示器211Aは、黄色および赤色で交互に点灯している。なお、プレアラームモード「2」においては、制御装置201は、サブ表示器211Bを作動させない。
ステップS140において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、警報器200の装着者の非動作時間が第3閾値を超えたか否かを判断する。第3閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第3閾値は、ステップS130に示される第2閾値よりも大きい。制御装置201は、警報器200の装着者の非動作時間が第3閾値を超えたと判断した場合(ステップS140においてYES)、制御をステップS144に切り替える。そうでない場合には(ステップS140においてNO)、制御装置201は、制御をステップS142に切り替える。
ステップS142において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、ジャイロセンサ204の検出値に基づいて、警報器200の装着者の単位時間当たりの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図11参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置201は、警報器200の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS142においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS142においてNO)、制御装置201は、制御をステップS140に戻す。
ステップS144において、制御装置201は、上述の出力制御部258として、プレアラームモード「2」よりも警告の出力レベルを上げ、プレアラームモード「3」を示す警報態様で周囲への警告処理を開始する。図17は、プレアラームモード「3」における警報態様の一例を示す図である。プレアラームモード「3」においては、制御装置201は、所定間隔(たとえば、1秒間隔)で音の出力および停止を繰り返すようにスピーカ207を作動させ、メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bの表示色を所定間隔(たとえば、1秒間隔)で切り替える。図17の例では、メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bのそれぞれは、黄色および赤色で交互に点灯している。
ステップS150において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、警報器200の装着者の非動作時間が第4閾値を超えたか否かを判断する。第4閾値は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。第4閾値は、ステップS140に示される第3閾値よりも大きい。制御装置201は、警報器200の装着者の非動作時間が第4閾値を超えたと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS154に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御装置201は、制御をステップS152に切り替える。
ステップS152において、制御装置201は、上述の異常検出部252として、ジャイロセンサ204の検出値に基づいて、警報器200の装着者の単位時間当たりの移動量を算出し、当該移動量が閾値th(図11参照)を上回ったか否かを判断する。制御装置201は、警報器200の移動量が閾値thを上回ったと判断した場合(ステップS152においてYES)、制御をステップS110に戻す。そうでない場合には(ステップS152においてNO)、制御装置201は、制御をステップS150に戻す。
ステップS154において、制御装置201は、上述の出力制御部258として、アラームモードとしての警報態様で周囲への警告処理を開始する。図18は、アラームモードにおける警報態様の一例を示す図である。アラームモードにおいては、制御装置201は、継続的にスピーカ207に音を出力させ、メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bの表示色を所定間隔(たとえば、0.5秒間隔)で切り替える。図18の例では、メイン表示器211Aは、赤色、緑色、黄色、紫色、ピンク色、深緑色、および白色で順次繰り返し点灯している。
ステップS160において、制御装置201は、上述の通信部256として、装着者が行動不能状態であることを示す警報信号を情報処理装置400に送信する。
このように、制御装置201は、装着者の非動作時間が長くなるにつれて警報の出力レベルを順次上げる。これにより、制御装置201は、動作可能な状態においてはアラームモードになる前に動くなどして警報を解除することができ、アラームモードの誤作動を防止することができる。
<J.警報態様の決定フロー>
図19を参照して、警報器200の制御構造について説明する。図19は、行動不能状態の救助隊員を他の救助隊員に知らせるための警報処理を表わすフローチャートである。図19の処理は、警報器200の制御装置201がプログラムを実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、回路素子またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
ステップS250において、制御装置201は、上述の通信部256として、情報処理装置400から作動命令を受信したか否かを判断する。制御装置201は、情報処理装置400から作動命令を受信したと判断した場合(ステップS250においてYES)、制御をステップS252に切り替える。そうでない場合には(ステップS250においてNO)、制御装置201は、ステップS250の処理を再び実行する。
ステップS252において、制御装置201は、上述の出力制御部258として、ステップS250で受信した作動命令を示す警報態様でスピーカ207や表示器211を作動させる。スピーカ207や表示器211は、行動不能状態である救助隊員に応じた表示態様を変える。図20は、他者危険アラームモードにおける警報態様の一例を示す図である。他者危険アラームモードは、他者が行動不能状態にあることを警告する動作モードである。他者危険アラームモードにおいては、制御装置201は、継続的にスピーカ207に音を出力させ、行動不能状態の救助隊員に合わせた表示色でメイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bを点灯させる。図20の例では、メイン表示器211Aおよびサブ表示器211Bは、緑色に点灯している。
好ましくは、行動不能状態の救助隊員が複数いる場合には、制御装置201は、当該複数の救助隊員が行動不能状態であることを示す警告態様で警報器200を作動させる。より具体的には、情報処理装置400は、警報情報424を参照して、行動不能状態の救助隊員の全員について対応する警報態様を特定し、他の救助隊員の警報器200にこれらの警報態様を通知する。これらの警報態様を受信した警報器200は、各警報態様で交互に作動する。これにより、複数の救助隊員が行動不能状態になった場合であっても、他の救助隊員は、行動不能状態の救助隊員を把握することができる。
<K.行動不能状態の検知方法の変形例>
以下では、異常検出部252による行動不能状態の検知方法の変形例について説明する。上述の図11では、異常検出部252は、救助隊員の移動量に基づいて行動不能状態を検出していた。これに対して、本変形例に従う異常検出部252は、救助隊員の移動量だけでなく、ボンベ残圧の変化量に基づいて、救助隊員の行動不能状態を検出する。
より具体的には、装着者が行動不能状態になった場合には、装着者の移動が止まるだけでなく、ボンベ300内の空気の消費速度が救助活動時と比べて遅くなる。一例として、救助活動時においては、ボンベ300内の空気の消費速度が40リットル/分であるのに対して、行動不能状態時においては、ボンベ300内の空気の消費速度は、10リットル/分以下になる。
この点に着目して、異常検出部252は、警報器200の装着者の移動量が第1条件(以下、「停止条件」ともいう。)を満たし、かつ、ボンベ残圧の変化量が第2条件(以下、「残圧変化条件」ともいう。)を満たした場合に、装着者の行動不能状態を検出する。停止条件は、たとえば、警報器200の装着者の移動量が所定閾値を下回った状態が所定時間以上継続した場合に満たされる。残圧変化条件は、たとえば、ボンベ残圧の減少速度が所定閾値を下回った状態が所定時間以上継続した場合に満たされる。これらの2つの条件に基づいて、行動不能状態が検出されることで、異常検出部252は、行動不能状態をより確実に検出することができる。
以下では、図21を参照して、本変形例に従う行動不能状態の検出例について説明する。図21は、警報器200の装着者の移動量と、ボンベ残圧の変化量とを時系列に表わした図である。
ボンベ残圧の変化量は、たとえば、ボンベ残圧の単位時間当たりの変化量に相当する。当該単位時間の長さは任意である(たとえば、1秒)。
時刻T1~T2においては、装着者の移動量が所定閾値th1を下回ってからの継続時間ΔTが所定時間Tth1よりも短いので、上記停止条件は満たされない。また、時刻T1~T2においては、ボンベ残圧の変化量が所定閾値th2を上回っているので、上記残圧変化条件も満たされない。すなわち、時刻T1~T2においては、上記停止条件および上記残圧変化条件の両方が満たされていないので、異常検出部252は、装着者の行動不能状態を検出しない。
時刻T2~T3においては、装着者の移動量が所定閾値th1を上回っているので、上記停止条件は満たされない。また、時刻T2~T3においては、ボンベ残圧の変化量が所定閾値th2を上回っているので、上記残圧変化条件も満たされない。すなわち、時刻T2~T3においては、上記停止条件および上記残圧変化条件の両方が満たされていないので、異常検出部252は、装着者の行動不能状態を検出しない。
時刻T4においては、装着者の移動量が所定閾値th1を下回ってからの時間が所定時間Tth1以上継続しているので、上記停止条件が満たされる。一方で、時刻T4においては、ボンベ残圧の変化量が所定閾値th2を下回ってからの継続時間が所定時間Tth2よりも短いので、上記停止条件は満たされない。すなわち、時刻T4においては、上記停止条件が満たされているが、上記残圧変化条件が満たされていないので、異常検出部252は、装着者の行動不能状態を検出しない。
時刻T5においては、装着者の移動量が所定閾値th1を下回ってからの継続時間が所定時間Tth1以上継続しているので、上記停止条件が満たされる。また、時刻T5においては、ボンベ残圧の変化量が所定閾値th2を下回ってからの継続時間が所定時間Tth2以上継続しているので、上記停止条件も満たされる。すなわち、時刻T5において、上記停止条件および上記残圧変化条件の両方が満たされ、異常検出部252は、装着者の行動不能状態を検出する。
なお、上述では、所定時間Tth1および所定時間Tth2が異なる前提で説明を行ったが、所定時間Tth1および所定時間Tth2は等しくてもよい。同様に、上述では、閾値th1および閾値th2が異なる前提で説明を行ったが、閾値th1および閾値th2は等しくてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。