JP6438990B2 - 装飾壁材の落下を防止する金具 - Google Patents

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Description

この発明は、建築物の外面に多数個並べて取り付けられる装飾壁材が、施工完了までの間に落下するのを防止する金具に関する。
例えば市販品にてスタックストーンと称されているような幅(横長さ)200〜600×高さ(縦長さ)100〜200×奥行き(厚さ)10〜50程度の自然石、又は自然石を摸した装飾壁材が、建築物の外面に取り付けられることがある。従来、この種の壁材は、接着剤で建築物の外面に固定される。そして、接着剤が固化するまでの間に前記壁材が自重で建築物外面から落下することのないように、予め建築物外面に木枠などが固定され、それによって前記壁材を支え、接着剤が固化した後に木枠が外されていた。
しかし、装飾壁材を施工する毎に木枠を組み立てるのは面倒である。また、単に木枠で支えているだけでは接着剤の塗り方に斑が生じるので、接着剤の厚みの薄い部分では接着剤の固化後であっても壁材が落下することがある。更に、接着剤の経年劣化によって壁材が落下することもある。
それ故、この発明の課題は、木枠で支持していなくても装飾壁材の落下を防ぐことの出来る金具を提供することにある。
その課題を解決するために、この発明の落下防止金具(以下、単に「金具」という。)は、
全体が金属からなり、一方向に長い板状をなし、その長寸方向に間欠的に、ビス孔と、U字又はV字状であって同U字又はV字の高さ方向が前記長寸方向と一致する切り込みとが各々複数設けられているとともに、前記切り込みによって囲まれる各部分が周囲の部分に対して45度未満の角度を有する爪となしていることを特徴とする。ここで、「U字又はV字状」とは、湾曲した線状という広義に解され、例えば下端が丸みを帯びたV字状などのU字とV字との中間形状や、半円形状も含まれる。爪のピッチは、取り付ける装飾壁材の高さもしくはその整数倍と金具の厚さとの合計に略等しくなるように設計しておくと好ましい。
この発明の金具を使用するときは、爪の先端が手前上向きになるように建築物の外面に金具を当て、ビス孔にビスを通して金具をビスで建築物外面に固定する。次に、必要箇所の爪を約90度まで起こし、装飾壁材背面に接着剤を塗布する。その後、起こされた爪の上に装飾壁材を載せるとともに、装飾壁材を建築物外面に貼り付ける。これにより、装飾壁材が爪で支持されているので、外力が加わらない限り、接着剤が固化するまでの間に装飾壁材が自重で落下するおそれはなくなる。
また通常、最下段の爪を最初に起こして一段目の装飾壁材を貼り付け、次に下から二段目の爪を起こす。これにより、爪のピッチが、取り付ける装飾壁材の高さと金具の厚さとの合計に等しければ、一段目の爪と二段目の爪とで装飾壁材が挟み持たれることとなり、接着剤が固化するまでの間に少々の振動が生じても装飾壁材が落下することはなくなる。接着剤は、装飾壁材の背面に代えて、あるいは同背面とともに建築物外面に塗布してもよい。
金具は装飾壁材によって隠れるので、施工後に外す必要は無い。従って、接着剤が経年劣化したからといって直ぐに装飾壁材が落下することはない。また、金具をビスで固定して爪を起こすだけで準備が完了するので、作業者の負担が軽くて済む。更に、起こさない爪を残しておけば、その爪の先端が装飾壁材の背面に当たって建築物外面と装飾壁材背面との間隔が保たれるので、接着剤の塗布厚さが一様になる。
前記爪は、長い爪と短い爪とが前記長寸方向に交互に配列している。装飾壁材にも厚肉のものと薄肉のものとがあるところ、長い爪と短い爪とを交互に配列させておけば、1種類の金具でいずれにも使用できるからである。この場合、前記周囲の部分を基準とするとき、前記長い爪と短い爪とが同じ高さを有しているとよい。爪の長短に係わらず、接着剤の塗布厚さを一定にすることができるからである。
以上のように、この発明の金具によれば、施工の度に木枠を組まなくても装飾壁材の落下を防止することができるので、作業効率が著しく向上する。
(a)は実施形態の落下防止金具を示す正面図、(b)は同じく長寸方向中心線に沿う断面図である。 同金具の使用方法を示す側面図である。 同金具の別の使用方法を示す側面図である。 同金具を用いて装飾壁材をブロック塀に施工する方法の前半を示す斜視図である。 同金具を用いて装飾壁材をブロック塀に施工する方法の後半を示す要所拡大斜視図である。 同金具を用いて装飾壁材をブロック塀に施工する方法の後半を示す斜視図である。
実施形態の落下防止金具1は、全体が金属からなり、図1に示すように、正面視で長さ891mm、幅25mm、厚さ1.5mmの板状をなし、その長寸方向に間欠的に6個のビス孔2と6個の長い爪3と6個の短い爪4とが設けられている。爪3、4は、下端が丸みを帯びたV字状であって同V字の高さ方向が前記金属板の長寸方向と一致する切り込みを前記金属板に入れ、切り込みによって囲まれる各部分が周囲の部分に対して45度未満の角度を有するように起こすことによって、形成されている。
爪3、4は、それぞれ25mm、15mmの長さを有し、いずれも前記金属板の残部を基準とするとき先端部分の高さhは7mmである。またビス孔2は、5mmの直径を有する。一つのビス孔2と次のビス孔2との間には、爪3と爪4とが一つずつ設けられている。また爪3及び爪4は、交互に設けられて、それぞれ152mmのピッチを有する。
この金具1を使用するときは、爪3又は爪4を図2又は図3に示すように、完全に起こし、起こした爪3又は爪4の上にスタックストーンなどの装飾壁材を載せる。例えば、この金具1を使用してブロック塀に厚さ25〜40mm、高さ150mmのスタックストーンを取り付ける手順は、以下の通りである。
先ず図4に示すように、爪3、4の先端が手前上向きになるようにブロック塀Bの外面に金具1を当て、ビス孔2に図略のビスを通して金具1をビスでブロック塀B外面に固定する。そして、最下段の爪3を約90度まで起こし、スタックストーン背面に接着剤を塗布する。接着剤が乾かないうちに、起こされた爪3の上に図5に示すようにスタックストーンSを載せるとともに、スタックストーンSをブロック塀B外面に押さえながら貼り付ける。その後、下から二段目の爪3を約90度まで起こし、最下段の爪3とでスタックストーンSをはさみ持つ。スタックストーンSをブロック塀B外面に押さえながら貼り付けることから、鋭角のままになっている爪4の角度が更に小さくなるとともに、スタックストーンSの背面とブロック塀B外面との間隔が5mm程度となり、接着剤の塗厚が薄くなりすぎることなく保持される。
同様にして下から二段目の爪3の上にもスタックストーンSを載せてブロック塀B外面に貼り付ける。こうして図6に示すように、下から順にスタックストーンSを貼り付けていく。スタックストーンSが上下の爪3ではさまれ且つ支持されているので、接着剤が固化するまでの間にスタックストーンSが落下することはない。そして、金具1はスタックストーンSによって隠れるので、施工後に外す必要は無い。従って、接着剤が経年劣化したからといって直ぐにスタックストーンSが落下することはない。また、金具1をビスで固定して爪3を起こすだけで準備が完了するので、作業者の負担が軽くて済む。更に、起こさない爪4の先端がスタックストーンSの背面に当たって建築物外面とスタックストーンS背面との間隔が保たれるので、接着剤の塗布厚さが一様になる。
1 落下防止金具
2 ビス孔
3 長い爪
4 短い爪
B ブロック塀
S スタックストーン

Claims (2)

  1. 全体が金属からなり、一方向に長い板状をなし、その長寸方向に間欠的に、ビス孔と、U字又はV字状であって同U字又はV字の高さ方向が前記長寸方向と一致する切り込みとが各々複数設けられているとともに、前記切り込みによって囲まれる各部分が周囲の部分に対して45度未満の角度を有する爪となしており、
    前記爪は、長い爪と短い爪とが前記長寸方向に交互に配列していることを特徴とする、落下防止金具。
  2. 前記周囲の部分を基準とするとき、前記長い爪と短い爪とが同じ高さを有している、請求項1に記載の落下防止金具。
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