JP6438714B2 - 熱成形用シート及び食品用トレイ - Google Patents

熱成形用シート及び食品用トレイ Download PDF

Info

Publication number
JP6438714B2
JP6438714B2 JP2014176114A JP2014176114A JP6438714B2 JP 6438714 B2 JP6438714 B2 JP 6438714B2 JP 2014176114 A JP2014176114 A JP 2014176114A JP 2014176114 A JP2014176114 A JP 2014176114A JP 6438714 B2 JP6438714 B2 JP 6438714B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
polypropylene
polyester
extruder
thermoforming
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2014176114A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016049704A (ja
Inventor
弘明 高畑
弘明 高畑
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nagase and Co Ltd
Original Assignee
Nagase and Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nagase and Co Ltd filed Critical Nagase and Co Ltd
Priority to JP2014176114A priority Critical patent/JP6438714B2/ja
Publication of JP2016049704A publication Critical patent/JP2016049704A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6438714B2 publication Critical patent/JP6438714B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Containers Having Bodies Formed In One Piece (AREA)
  • Packages (AREA)
  • Wrappers (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Description

本発明は、熱成形用シート及び食品用トレイに関する。
従来、酸素ガスに対する感受性の高い食品を酸素ガスから保護するために、ポリプロピレンを用いた積層シートを素材とした合成樹脂製容器が用いられている。ポリプロピレンを包含する積層シートは、真空成形や圧空成形等の熱成形により、簡単にトレイ状に成形できるという特徴を有する。
しかし、この種の容器では内容物の保香性が充分でなく、食品のフレーバーが損なわれる問題があった。この問題を解決するための容器として、特許文献1には、容器内側表層にテレフタル酸、エチレングリコール及び1,4−シクロヘキサンジメタノールの3成分の共重合樹脂を用いた容器が開示されている。
他方、野菜や果物に含まれる色素の中には脂溶性のものも多く含まれ、電子レンジ調理用容器に多く使用されているポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン及びポリ塩化ビニル等の親油性の樹脂に、浸透・沈着しやすいといった特性がある。代表的なものとして、人参、かぼちゃに含まれるカロチン、トマトに含まれるリコピン、緑色の色素のクロロフィル等がある。特にカレーのスパイスには鮮やかな黄色の色素のクルクミンが含まれるため容器に色が付着しやすいといった問題があった。この問題を解決するための容器として、特許文献2には、容器内側表層にポリメチルペンテン製フィルムをポリプロピレンからなる基体にコーティングした容器が開示されている。
特開2000−108287号公報 特開2011−110353号公報
しかしながら、特許文献1、2等の従来の容器では、内容物の保香性の確保及び色素付着の防止を同時に達成することは困難である。
そこで本発明は、内容物の保香性の確保及び色素付着の防止を同時に達成することが可能な熱成形用シート及びこれを用いた食品用トレイを提供することを目的とする。
本発明は、下記の[1]及び[2]を提供する。
[1] 2以上の層が積層されてなる熱成形用シートであって、該熱成形用シートにおける一方の最外層がシクロヘキサンジメタノール由来の構成単位を有し且つガラス転移温度が90℃以上であるポリエステルを含有し、他方の最外層がポリプロピレンを含有する、熱成形用シート。
[2] 食品を収容するための食品用トレイであって、[1]に記載の熱成形用シートを熱成形することによって得られ、且つ前記ポリエステルを含有する最外層が食品と接する面に位置する食品用トレイ。
本発明によれば、内容物の保香性の確保及び色素付着の防止を同時に達成することが可能な熱成形用シート及びこれを用いた食品用トレイを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書中、「ポリエステル」なる用語は「コポリエステル」を包含するものである。また、「ポリエステル」は結晶性でも非晶性でもよい。
本発明の熱成形用シート(以下、単に「シート」ともいう。)は、2以上の層が積層されてなる。該シートにおいては、一方の最外層がシクロヘキサンジメタノール由来の構成単位を有し且つガラス転移温度(Tg)が90℃以上であるポリエステルを含有し、且つ他方の最外層がポリプロピレンを含有する。
シクロヘキサンジメタノール由来の構成単位を有し且つガラス転移温度が90℃以上であるポリエステルとしては、従来公知のものを使用することができる。このようなポリエステルは、例えば、ジカルボン酸成分とグリコール成分とを従来公知の方法で反応させることにより得ることができる。
ジカルボン酸成分としては、通常テレフタル酸が用いられる。テレフタル酸の含有量は、ジカルボン酸成分全体に対して70〜100モル%であると好ましい。ジカルボン酸成分は、テレフタル酸の他に炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸若しくは炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸を含んでいてもよい。
炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,6−、2,7−ナフタレンジカルボン酸及びトランス−4,4’−スチルベンジカルボン酸が挙げられる。
炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸が挙げられる。
なお、上述のジカルボン酸成分は、カルボン酸の形で反応させてもよいが、対応するエステルの形で反応させてもよい。エステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジプロピルエステル、ジイソプロピルエステル、ジブチルエステル及びジフェニルエステルが挙げられる。
グリコール成分としては、シクロヘキサンジメタノールを含む。シクロヘキサンジメタノールの含有量は、グリコール成分全体に対して1〜90モル%であると好ましい。
グリコール成分は、また、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールを含むことが好ましい。2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールの含有量は、グリコール成分全体に対して10〜99モル%であると好ましい。
また、上記ポリエステルは、ジカルボン酸成分として、95〜99.5モル%のテレフタル酸及び0.5〜5モル%の別のジカルボン酸、ジオール成分として、100モル%のシクロヘキサンジメタノールを用いたものであってもよい。別のジカルボン酸としては、上述の炭素数20以下の芳香族ジカルボン酸、炭素数16以下の脂肪族ジカルボン酸等が挙げられるが、イソフタル酸が好ましい。
ポリエステルのTgは90℃以上であり、110℃以上であるとより好ましい。ポリエステルのTgの上限は特に限定されないが、一般的には130℃以下である。
上記ポリエステルを含有する最外層における上記ポリエステルの含有率は、70質量%以上であると好ましく、85質量%以上であるとより好ましく、95質量%以上であるとさらに好ましく、最外層が結晶性ポリエステルのみからなることが特に好ましい。
上記ポリエステルは、特表2008−544028号公報、特表2008−524396号公報に記載の方法で製造することができる。また、上記ポリエステルとして、市販品、例えばトライタン(イーストマンケミカルカンパニー社製、商品名FX100,FX200)、PCTA(イーストマンケミカルカンパニー社製、商品名13319)を入手して使用することもできる。
上記ポリエステルを含有する最外層の厚さは、上述の本発明による効果をより向上させる観点から、5μmより大きいと好ましく、10μm以上であるとより好ましい。この最外層の厚さの上限は特に限定されないが、例えば150μm以下とすることができる。
ポリプロピレンとしては、従来公知のものを使用することができる。プロピレンと共重合できるエチレンを含むα-オレフィンとのランダム共重合体でもよい。共重合体の場合、コモノマーの種類にもよるが、共重合成分の量が増えるとポリプロピレンの融点が下がり、トレイとしたときの耐熱性が低下する懸念がある。本実施形態のポリプロピレンは、DSC法により求める融点が135℃以上のものが好ましく、この範囲において、コモノマー種、量を選択でき、同様にアイソタクチック、シンジオタクチック、あるいはアタクチックなどの立体規則性、及びその程度を選択できる。
また、特に低温での衝撃性を発現するために、本実施形態のポリプロピレンは、エチレン−プロピレン共重合体ゴムなど各種エラストマーを含むブロック共重合体を用いることもできる。本実施形態のポリプロピレンとしては、エラストマー成分を有するブロック共重合体で、樹脂としての融点が、150℃以上であり、230℃、2.16kg荷重で2(g/10分)以下のMFRであるポリプロピレンが、耐熱性、耐衝撃性、あるいは、熱成形性の観点で好ましい。
本実施形態のポリプロピレンを含有する最外層は、プロピレンからなる構成単位を90重量%以上含有するポリプロピレンをフィルム状に成形したものが使用されることが好ましい。ここで、ポリプロピレンは、プロピレンの単独重合体であってもよいし、プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体であってもよい。また、これらを併用してもよい。プロピレンに共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、エチレン、α−オレフィンを挙げることができる。α−オレフィンは、炭素数4以上であり、好ましくは、炭素数4〜12のα−オレフィンである。炭素数4〜12のα−オレフィンの具体例を挙げれば、例えば、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセンなどの直鎖状モノオレフィン類;3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテンなどの分岐状モノオレフィン類;ビニルシクロヘキサンなどである。プロピレンとこれに共重合可能な他のモノマーとの共重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。
ポリプロピレンが共重合体からなる場合、その共重合体の具体例としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、及びプロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体などプロピレンとエチレン、及び炭素数4〜12のα−オレフィンからなる群より選ばれる1種又は2種以上のモノマーとの二元ないし三元の共重合体などが挙げられる。
ポリプロピレンが共重合体からなる場合には、プロピレン由来の構成単位は、耐熱性などの特性により選択することができる。本実施形態の場合は高い耐熱性を有する方が望ましいので、プロピレン由来の構成単位を多く含む方が好ましく、具体的には96重量%以上プロピレン由来の構成単位を含むことが好ましい。なお、共重合体中の当該他のモノマー由来の構成単位の含有率は、「高分子分析ハンドブック」(1995年、紀伊国屋書店発行)の第616頁に記載されている方法に従い、赤外線(IR)スペクトル測定を行なうことにより求めることができる。
またプロピレン系単独重合体、及びプロピレン系共重合体の立体規則性はアイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチックでも良いが、フィルムに成形した後の剛性や透明性のバランスに優れるという観点では、アイソタクチック性の高いポリプロピレンが好ましい。
本実施形態において、ポリプロピレンは、公知の重合用触媒を用いて重合された重合体又は共重合体であってよく、重合用触媒としては、例えば、次のようなものを挙げることができる。
(A)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分からなるTi−Mg系触媒、
(B)マグネシウム、チタン及びハロゲンを必須成分とする固体触媒成分に、有機アルミニウム化合物と、必要に応じて電子供与性化合物などの第三成分とを組み合わせた触媒系、
(C)メタロセン系触媒など。
(A)の固体触媒成分としては、例えば、特開昭61−218606号公報、特開昭61−287904号公報、特開平7−216017号公報などに記載の触媒系が挙げられる。また、(B)の触媒系における有機アルミニウム化合物の好ましい例としては、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムとジエチルアルミニウムクロライドとの混合物、テトラエチルジアルモキサンなどが挙げられ、電子供与性化合物の好ましい例としては、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、tert−ブチルプロピルジメトキシシラン、tert−ブチルエチルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランなどが挙げられる。また、(C)のメタロセン系触媒としては、例えば、特許第2587251号公報、特許第2627669号公報、特許第2668732号公報などに記載の触媒系が挙げられる。
ポリプロピレンは、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンのような炭化水素化合物に代表される不活性溶剤を用いる溶液重合法、液状のモノマーを溶剤として用いる塊状重合法、気体のモノマーをそのまま重合させる気相重合法などによって製造することができる。これらの方法による重合は、バッチ式で行なってもよいし、連続式で行なってもよい。
本実施形態のポリプロピレンは、本実施形態の多層シートの一部を形成し、おもに熱成形され、トレイとして用いられる。熱成形とは、真空成形、圧空成形、真空圧空成形、マッチモールド等の成形方法を含む。例えば、真空成形を適用した場合には、シートの上下よりヒーターで加熱したのち、真空で型に押し当て型に沿った形に成形するが、このヒーター加熱の工程で、垂れを発生(ドローダウン)することがある。これを防ぐために、本実施形態のポリプロピレンは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重21.18Nで測定されるメルトフローレイト(MFR)が10g/10分以下の範囲内であることが好ましく、0.01〜8g/10分の範囲内であることがより好ましい。
また、ポリプロピレンには、本実施形態の効果をより高めるために造核剤が添加されていてもよい。造核剤を添加する場合、無機系造核剤、有機系造核剤のいずれであってもよい。無機系造核剤としては、タルク、クレイ、炭酸カルシウムなどが挙げられる。また、有機系造核剤としては、芳香族カルボン酸の金属塩類、芳香族リン酸の金属塩類などの金属塩類、高密度ポリエチレン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリシクロペンテン、ポリビニルシクロヘキサンなどが挙げられる。これらの中でも有機系造核剤が好ましく、さらに好ましくは上述した金属塩類及び高密度ポリエチレンである。また、ポリプロピレンに対する造核剤の添加量は0.01〜3重量%が好ましく、0.05〜1.5重量%であればさらに好ましい。以上の添加物は、複数種が併用されてもよい。
さらに、高温時の剛性を持たせるために、造核剤としてではなく、タルクを5〜30重量%で含有することも好ましい。
本実施形態の効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、アンチブロッキング剤などを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられ、また、1分子中に例えば、フェノール系の酸化防止機構とリン系の酸化防止機構とを併せ持つユニットを有する複合型の酸化防止剤も用いることができる。紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシベンゾフェノンの誘導体やヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール誘導体などの公知の紫外線吸収剤で紫外線吸収剤、ベンゾエート系の紫外線遮断剤などが挙げられる。帯電防止剤は、ポリマー型、オリゴマー型、モノマー型のいずれであってもよい。滑剤としては、エルカ酸アミドやオレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、ステアリン酸などの高級脂肪酸及びその塩などが挙げられる。アンチブロッキング剤としては、球状あるいはそれに近い形状の微粒子が、無機系、有機系を問わず使用できる。
ポリプロピレンを含有する最外層におけるポリプロピレンの含有率は、70質量%以上であると好ましく、85質量%以上であるとより好ましく、95質量%以上であるとさらに好ましく、最外層がポリプロピレンのみからなることが特に好ましい。
プロピレンを含有する最外層の厚さは、特に限定されないが、例えば100μm以上1000μm以下とすることができる。
本実施形態のシートは、酸素等の気体や水蒸気をバリアするためのバリア層を有していてもよい。
バリア層に用いられる材料は特に限定されないが、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等を用いることができる。
バリア層の厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上70μm以下とすることができる。
上記ポリエステルを含有する最外層、プロピレンを含有する最外層、及び任意のバリア層とは、直接積層されていてもよいが、これらを接着するための中間層を介して接着されていることが好ましい。中間層としては、市販の接着剤、あるいは、接着性樹脂からなる層を用いることができる。中間層に用いる接着剤としては、従来公知のものを使用することができ、その具体例としては、脂肪族ポリエステル系接着剤、芳香族ポリエステル系接着剤、脂肪族ポリエーテル系接着剤、芳香族ポリエーテル系接着剤、ポリエチレンイミンなどが挙げられる。これらのうちで、高い接着性と食品用途への使用のし易さからは、脂肪族ポリエステル系接着剤が最も好ましい。中間層として接着剤を用いる場合の中間層厚みは、特に限定されないが、例えば熱成形までのシート中の厚みとして0.5μm以上4μm以下とすることができる。
中間層が接着性樹脂からなる層である場合の接着性樹脂としては、従来公知のものを使用することができる。その具体例としては、エチレンと(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸グリシジルなどとの2元、あるいは3元以上の共重合体や無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸ポリプロピレンなどの無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどを用いることができる。中間層として接着性樹脂を用いる場合の中間層厚みは、特に限定されないが、例えば熱成形までのシート中の厚みとして3μm以上100μm以下とすることができる。
本実施形態のシートの厚さは、特に限定されないが、例えば250μm以上1000μm以下とすることができる。
本実施形態のシートは、従来公知の方法、例えば共押出Tダイ溶融押出法や、押出ラミネーション法、ドライラミネート法により製造することができる。上述の接着性樹脂を用いた中間層は、共押出Tダイ溶融押出法や、押出ラミネーション法について適用することができ、上述の接着剤を用いた中間層は、ドライラミネーションに適用することができる。これらの中で、共押出Tダイ溶融押出法で成形されることが、生産性が高く、コストの観点で好ましい。この共押出Tダイ溶融押出法は、必要な数の押出機を備え、それぞれの押出機が1台のTダイに連結され、このTダイより樹脂を積層した状態でフィルム状に押し出し、冷却ロールにて冷却固化し、多層シートを製造する方式である。
具体的に、共押出Tダイ溶融押出法にて前記多層シートを製造する方法の一例として、ポリプロピレン/無水マレイン酸変性ポリオレフィン/ポリエステル構成品を例として、以下、説明する。
3本の押出機をそれぞれ180〜330℃程度に加熱し、ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、及びポリエステルのパウダー状物又はペレット状物をそれぞれの押出機に供給する。各押出機のスクリューにより溶融混練し、Tダイの上流側に設置されたフィードブロックあるいはコンバーティングアダプターに供給され、最終フィルムの多層構成順に並べた状態でTダイに入り、Tダイ中でシート状にし、Tダイ先端のスリットよりシート状に溶融共押出された後、種々の手段で冷却ロールに接触させ、冷却することで多層シートが製造される。
共押出されるポリプロピレンを含む溶融シート状物の温度は、180〜300℃程度が好ましい。このときの溶融シート状物の温度が180℃を下回ると、延展性が十分でなく、得られるフィルムの厚みが不均一になり、位相差ムラのあるフィルムとなる可能性がある。また、その温度が300℃を超えると、樹脂の劣化や分解が起こりやすく、シート中に気泡が生じたり、炭化物が含まれたりすることがある。
3本の押出機は、それぞれ単軸押出機であっても二軸押出機であってもよく、各押出機は、統一されていなくてもよい。また、各層の多層シートの構成比により押出機のサイズを選択すると最も設備的に安定した押出量で製造できるため、好ましいこともある。各押出機で溶融混練された各樹脂は、アダプターと呼ばれる温調された単管を通り、フィードブロック、あるいはコンバーティングアダプターに供給される。これらは、Tダイの種類により選択されるものであり、Tダイ中の流路が一つのものは、事前に多層フィルムの樹脂構成に従いフィードブロック内で樹脂を並べた後、Tダイに供給される。一方、マルチマニホールドと呼ばれるTダイ中に流路が複数あり、Tダイリップ部分の直前に各樹脂層が積層される場合は、各押出機からの流路をフィルム構成に応じてTダイ中の各流路とをコンバーティングアダプターにより結合させる。
なお、ポリプロピレンやポリエステル、無水マレイン酸変性ポリオレフィンなどの押出変動を抑制する観点から、各押出機とTダイとの間には、各々ギアポンプを取り付け、圧力を安定させTダイに樹脂を供給することができる。このときの圧力は、変動値として0.3MPa以内であることが好ましい。このようにすることで、得られるシートの厚み変動を小さくすることができる。
さらにポリプロピレンやポリエステル、無水マレイン酸変性ポリオレフィン中に含まれる異物を取り除くため、各押出機の先端には、ブレーカープレートなどで保持される金属メッシュや金属のファイバーからなる燒結メッシュを取り付けることが好ましい、金属メッシュの場合、400メッシュ以下の目開きのものが、そして金属ファイバーの燒結メッシュの場合、40μmより大きい濾過精度のものが使用できる。
Tダイから押出された溶融シート状の多層シートは、引き続き金属製の冷却ロール(チルロール又はキャスティングロールともいう)に接触し、冷却ロールに密着することで冷却される。冷却ロールへの密着が、シートの厚み精度に影響する。冷却ロールの密着手段としては、例えば、
a)溶融シート状の多層シート状物に静電気を付与し、表面状態が鏡面の冷却ロールに密着させて冷却する方法、
b)溶融シート状の多層シート状物を、表面状態が冷却ロールと表面状態がゴムロール(タッチロールともいう)との間で挟圧し、冷却ロールに密着させて冷却する方法、
c)溶融シート状の多層シート状物を冷却ロールに接触させるときに、エアチャンバー、あるいはエアナイフから吹き出されるエアによって冷却ロールに密着させて冷却する方法、
などの公知の方法で実施できる。
上記のうち、b)の方法の場合は、ゴムの硬度が、60−100のシリコンゴム、ネオプレンゴムものなど一般的なものが使用できる。
上記の3種類の方式で用いられる冷却ロールは、例えば表面温度を20〜80℃の範囲に調整されることが好ましい。冷却ロールの表面温度が80℃を超えると、溶融多層シート状物の冷却固化に時間がかかるため、多層シート状物中のポリプロピレンの冷却が十分でなく、シートの引取張力に負けてシートの製造方向に変形をおこす可能性がある。一方、冷却ロールの表面温度が20℃を下回ると、冷却ロールの表面が結露して水滴が付着し、得られるフィルムの外観を悪化させる傾向がある。
本実施形態の多層シートを製造するときの加工速度は、一般的な範囲で実施できるが、一般的には2〜20m/minが好ましい。また、製造時はポリプロピレンとポリエステルからなる両外層のうち、どちらの面を冷却ロール側に配置してもよいが、ポリエステル側を冷却ロール側に配置する方が結晶促進を良くできるという意味で好ましい。後工程でのトレイの成形において、融点の高い結晶成分が多く生じる場合、ポリプロピレンの成形温度では、ポリエステル層の伸びを欠き、熱成形性を損なう可能性があるという観点からである。
本実施形態の食品を収容するための食品用トレイは、従来公知の熱成形法により、上記ポリエステルを含有する最外層が食品と接する面に位置するように、上述のシートを成形することにより得られる。
トレイの形状は、従来公知のものとすることができ、特に限定されない。
なお、トレイを形成した後のポリエステルを含有する最外層の厚さは3μm以上50μm以下であると好ましく、バリア層の厚みは1μm以上30μm以下であると好ましく、中間層の厚みは0.1μm以上70μm以下であると好ましい。なお、トレイを形成した後の中間層の厚みは、共押出Tダイ溶融押出法又は押出ラミネーション法を適用する場合には、5μm以上70μm以下であると好ましく、ドライラミネート法を適用する場合には、0.1μm以上1.5μm以下であると好ましい。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(積層シートの製造方法<構成1>)
260℃に設定した60mmΦ押出機(押出機A)に150℃で4時間乾燥させたポリエステル樹脂(イーストマンケミカル社製トライタンFX200、ガラス転移温度=118℃)を、同じく240℃に設定した60mmΦ押出機(押出機B)に接着性樹脂(三井化学株式会社製アドマーSF731)を、さらに225℃に設定した60mmΦ押出機(押出機C)にエチレン―ビニルアルコール共重合体(株式会社クラレ製エバールF101A)を、同じく260℃に設定した60mmΦ押出機(押出機D)に接着性樹脂(三井化学株式会社製アドマーQF551)を、またさらに同じく260℃に設定した90mmΦ押出機(押出機E)にポリプロピレン樹脂(住友化学株式会社製ノーブレンWF836DG3)それぞれ投入し、270℃に設定した1000mm幅Tダイより層比として押出機A/押出機B/押出機C/押出機D/押出機E=50〜100/50/50/50/300〜250μmとなるように各押出機のスクリュー回転数を調整した上で押し出し、50℃温調され、対向する2本の金属ロール間に挟み込み冷却することで構成1の積層シートを得た。
(ポリプロピレンシートの製造方法<構成2>)
上記の押出機の中で押出機Eのみを用いて、構成2の500μm厚のポリプロピレンシートを製造した。
(実施例1)
構成1の積層シートのうち、押出機A/押出機B/押出機C/押出機D/押出機E=100/50/50/50/250μmのシートを用いた。100mm角×25mm深さのトレイをバッチ式の真空成形機により内面をポリエステル層として成形し、試験トレイとした。内容物として、市販のごはん、市販のカレールーを用い、それぞれ、目分量で8分程度充填したのち、電子レンジで700W×90秒加熱し、5名のパネラーにより試食を行った。カレーを充填した場合は、試食後、内容物を水、洗剤で洗い流したのち、トレイ表面へのカレーの浸透具合を目視により評価した。結果を表1に示した。
なお、ポリエステル層のトレイ中の厚みは、トレイの角部を切り取り、株式会社キーエンス製マイクロスコープVH−600システムで1000倍に拡大し、観察し求めた。
(実施例2)
構成1の積層シートのうち、押出機A/押出機B/押出機C/押出機D/押出機E=50/50/50/50/300μmのシートを用いた以外は実施例1と同様に熱成形、及び評価を実施した。結果を表1に示した。
(比較例1)
構成2の厚さ500μmのポリプロピレンシートを用い、実施例1と同様に熱成形し、評価を実施した。結果を表1に示した。
Figure 0006438714

Claims (2)

  1. 2以上の層が積層されてなる熱成形用シートであって、
    該熱成形用シートにおける一方の最外層がシクロヘキサンジメタノール由来の構成単位及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール由来の構成単位を有し且つガラス転移温度が90℃以上であるポリエステルを含有し、他方の最外層がポリプロピレンを含有する、熱成形用シート。
  2. 食品を収容するための食品用トレイであって、
    請求項1に記載の熱成形用シートを熱成形することによって得られ、且つ前記ポリエステルを含有する最外層が食品と接する面に位置する食品用トレイ。
JP2014176114A 2014-08-29 2014-08-29 熱成形用シート及び食品用トレイ Active JP6438714B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014176114A JP6438714B2 (ja) 2014-08-29 2014-08-29 熱成形用シート及び食品用トレイ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014176114A JP6438714B2 (ja) 2014-08-29 2014-08-29 熱成形用シート及び食品用トレイ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016049704A JP2016049704A (ja) 2016-04-11
JP6438714B2 true JP6438714B2 (ja) 2018-12-19

Family

ID=55657590

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014176114A Active JP6438714B2 (ja) 2014-08-29 2014-08-29 熱成形用シート及び食品用トレイ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6438714B2 (ja)

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3107960B2 (ja) * 1993-12-06 2000-11-13 帝人株式会社 金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフイルム
JP2000108287A (ja) * 1998-10-07 2000-04-18 Sumitomo Bakelite Co Ltd 食品容器用複合シート
JP3719873B2 (ja) * 1999-03-19 2005-11-24 住友ベークライト株式会社 多層シート及び容器
JP4553482B2 (ja) * 2000-12-14 2010-09-29 株式会社クレハ 深絞り成形用フィルム
JP6158525B2 (ja) * 2013-02-08 2017-07-05 東洋製罐株式会社 電子レンジ加熱用包装材、電子レンジ加熱用包装袋、及び電子レンジ加熱用包装食品
JP6186890B2 (ja) * 2013-05-29 2017-08-30 三菱瓦斯化学株式会社 ポリエステル樹脂容器の製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016049704A (ja) 2016-04-11

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6284685B2 (ja) ポリマー組成物および押出被覆された物品
US11007762B2 (en) Formable films, laminate structures, and related methods
EP2406313B2 (en) Machine direction oriented film for labels
US9352536B2 (en) Label film
JP2013022909A (ja) ポリエチレン系多層フィルム
CN104768733A (zh) 密封取向薄膜
JP2014188923A (ja) 積層フィルム
TWI622609B (zh) 含空洞聚丙烯膜
JP2014210366A (ja) ポリエチレン系多層フィルム
JP2017052932A (ja) 半透明性延伸フィルム
TWI451971B (zh) As a film for thermoforming sheet laminates
JP2016138233A (ja) 半透明性延伸フィルム
JP7003875B2 (ja) 熱収縮性積層フィルム、包装資材、成形品及び容器
JP6438714B2 (ja) 熱成形用シート及び食品用トレイ
US20230087287A1 (en) Biaxially-oriented polyethylene films for thermoforming, process for the production thereof, their use, a process for thermoforming and its products
US20160279908A1 (en) Stretch label and manufacturing method therefor
JP6933438B2 (ja) 熱成形用シート及び食品用トレイ
TW200813134A (en) Film heat-shrinkable film, molded article and heat-shrinkable label using the heat-shrinkable film , and container using the molded article or having the label attached thereto
JP6358829B2 (ja) 多層フィルム及びそれを用いた包装材
JP5551003B2 (ja) 熱収縮性フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、及び該成形品を用いた、又は該ラベルを装着した容器
TW201730013A (zh) 熱成形用薄片及食品用盤
JP6151694B2 (ja) シュリンクフィルムおよびシュリンクラベル
JP5700605B2 (ja) 熱収縮性フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル、および該成形品を用いた、または該ラベルを装着した容器
JP2018154031A (ja) 易開封性積層フィルム、これを用いた易開封性蓋材及び易開封性容器、並びに、これらに使用可能な押出ラミネート用の食品包装材材料
JP7256581B2 (ja) プロピレン・エチレン・α-オレフィン共重合体、プロピレン系重合体組成物およびこれらの用途

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170803

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180412

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180417

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180606

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181113

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6438714

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250