JP6438402B2 - O−ホスホ−l−ホモセリンおよびメタンチオールからl−メチオニンを酵素的に産生する手段および方法 - Google Patents

O−ホスホ−l−ホモセリンおよびメタンチオールからl−メチオニンを酵素的に産生する手段および方法 Download PDF

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Description

本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールがL−メチオニンおよびHPOに酵素的に転換される、L−メチオニンを産生する方法に関する。このような転換は、「O−ホスホ−L−ホモセリン(O-phospho-L-homoserine (OHPS))依存性メチオニンシンターゼ」と呼ばれる酵素により達成される。また本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼ、すなわち、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに酵素的に転換する能力を有するタンパク質をも提供する。さらに本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールからL−メチオニンを産生可能なように遺伝子組換えされた微生物にも関する。
好適には、ここに記載される各種酵素およびプロセスは、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、システイン、S−アデノシルホモシステイン、およびメチル−チオ−アデノシンのような、メチオニンの誘導体を合成する目的にも用いられ得る。また本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールのL−メチオニンおよびHPOへの転換を触媒する酵素をスクリーニングする方法も提供する。
L−メチオニンは、L−アスパラギン酸セミアルデヒドおよびL−ホモセリンに還元した後、L−アスパルチルリン酸(L-aspartyl phosphate)へと活性化することにより、L−アスパラギン酸から代謝で生じる必須アミノ酸である。真菌内と同様に細菌内においても、L−ホモセリンはO−アセチル化を経ることにより、サクシニルまたはアセチルエステルを形成する。サクシニルまたはアセチルエステル自身は、ホモシステインへの転換以前に、硫化物(SH)と直接的に硫黄縮合されることによりL−ホモシステインを形成するか、L−システインと間接的に硫黄縮合されることによりL−シスタチオニンを形成する。引き続き、メチルテトラヒドロ葉酸を用いてホモシステインがメチル化され、L−メチオニンを形成する。
植物において、シスタチオニンの前駆体として用いられるL−ホモセリンエステルが、O−ホスホ−L−ホモセリンである。その後、シスタチオニンは、シスタチオニンベータリアーゼの作用により、ホモシステインに転換される。次にホモシステインをメチル化することにより、メチオニンが得られる。またO−ホスホ−L−ホモセリンは、リン−ピリドキサール酵素スレオニンシンターゼ(EC4.2.3.1)の作用により、L−スレオニンの直接前駆体として、細菌・植物・真菌および哺乳類細胞の代謝においても生じる。植物においては、O−ホスホ−L−ホモセリン分岐点(Amirら、TRENDS Plant Science 7 (2002)、153)で炭素フラックスをメチオニンおよびスレオニンに制御するために、厳密な規制がある。文献によれば(たとえばKreftら、Plant Physiol. 104 (1994)、1215およびRavanelら、Arch. Biochem. Biophys. 316 (1995)、572を参照)、L−システインおよび硫化物(SH)はともに、リン酸の同時放出により、O−ホスホ−L−ホモセリンを有する植物シスタチオニンガンマシンターゼによってL−シスタチオニンおよびL−ホモシステインに縮合され得ると報告されている。また、チオール基質の範囲は非常に限定されており、L−システイン以外ではごく少数の基質のみが受け入れられているだけである、との報告もあった。必須アミノ酸ではあるものの、メチオニンは動物の体内では新規に(de novo)合成されない。したがって動物は、メチオニンか、メチオニン含有タンパク質か、あるいは関連する含硫化合物のいずれかを摂取しなければならない。具体的には、メチオニンは、家禽や家畜の餌に不可欠であるが、彼らの食べる植物飼料には十分な量が含まれているわけではない。したがって効率よく農業を行うためには、メチオニンは外部から供給する必要がある。現在のところ、動物の餌として用いられているメチオニンの全部とはいわないまでも大半は、石油化学により得られている。メチオニン産生に伴う問題の一つは、硫黄還元に要するエネルギーコストである。したがって、このアミノ酸を産生するための代わりの方法をいくつか提供可能である必要がある。そのような方法では、メチオニンの合成と、産業的規模の生産とを両立させる微生物の使用を可能とするような、再生可能資源を用いることが好ましい。
本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールがL−メチオニンおよびHPOに酵素的に転換される、L−メチオニンを産生する方法を提供することにより、この要求に対処する。このような方法において、硫黄の供給源はメタンチオールである。この化合物において、硫黄は既に還元された硫化物として与えられる。また、O−ホスホ−L−ホモセリンを前駆体として用いることによって、アセチル化またはサクシニル化されたホモセリン誘導体の使用に依拠する標準的代謝経路と比べて、合成されたメチオニン一分子あたり少なくとも二つの炭素原子が予備となる。全体として、この経路によれば、メチオニンおよびその誘導体の合成に際して、はるかに高い収量が実現できる。
したがって、本発明は、以下の反応図式:
O−ホスホ−L−ホモセリン + CH−SH <=> L−メチオニン + HPO
に従ってL−メチオニンが酵素的に産生される、L−メチオニンの産生方法に関する。
これまでのところ、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するタンパク質が自然界に存在すると報告した者はいない。本発明者は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールからL−メチオニンをコスト的に効率よく産生する選択肢を着想し、この目的を達成するために、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有する、自然起源では存在しないタンパク質を遺伝子操作により作製した。後述する実施例から明らかなように、本発明者は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を有する酵素の作製を可能にするシステムを開発した。また本発明者は、このシステムを適用することによって、既存の酵素に由来し、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を有する、新規な酵素バリアントを作製することにも成功している。この目的のため、本発明者は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を示さない既存の酵素から出発し、それら既存の酵素から突然変異体を調製し、その後、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を示す酵素を選択した。このようにして本発明者は、従来誰も記載していなかった、新しい酵素活性の確立に成功し、対応する酵素を提供する、信頼性が高く再現可能な方法の提供に成功した。それらの対応する酵素は、本発明の説明に際しては、「O−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼ」と称される。
したがって、具体的には、本発明は、L−メチオニンを産生する方法であって、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールが、以下の反応図式:
O−ホスホ−L−ホモセリン + CH−SH <=> L−メチオニン + HPO
に従ってL−メチオニンおよびHPOに酵素的に転換される、方法に関する。ここで、そのような酵素的転換は、O−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼを用いることによって達成される。
本発明による方法では、原則として、どのようなO−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼ(すなわち、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を有する酵素)を用いてもよい。本発明は、このような能力を示すタンパク質を初めて記載し、このような能力を示すさらなるタンパク質を提供する方法を初めて与えるものである。具体的には、本発明は、自然界ではO−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有さない植物シスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)から出発して、この能力を有するバリアントを突然変異および選択により作製可能であることを開示する。
以下に、O−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼを本発明によるタンパク質との関連で説明する。本発明による方法では、ここに記載されるO−ホスホ−L−ホモセリン依存性メチオニンシンターゼのいずれも用い得る。
後述する実施例から明らかなように、本発明者は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を示す、異なる数種類のタンパク質を作製することに成功した。これらのタンパク質の配列は、SEQ ID NOs:6〜29に示されている。実施例について後に述べるように、自然起源ではO−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有さない植物シスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)を対象として、スクリーニングシステムにより突然変異および選択を行うことにより、これらのタンパク質は作製される。
またSEQ ID NOs:6〜29に示される配列から出発することにより、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する活性を保持するさらなるタンパク質を提供することもできる。たとえば、基質O−ホスホ−L−ホモセリンおよび/または基質メタンチオールに対するそれらのタンパク質の親和性をさらに高めたり、以下に説明するタンパク質のその他の特性を改善することも可能である。したがって、本発明による方法の好ましい実施の形態では、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールのL−メチオニンおよびHPOへの酵素的転換は、
(a)SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質、および
(b)SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに対して少なくとも60%の配列相同性を有し、かつO−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する酵素活性を有するタンパク質
からなる群から選択されるタンパク質を用いることにより達成される。
O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する酵素活性は、たとえば、後述する実施例に記載されるアッセイにより評価され得る。この目的のためには、たとえば、メチオニンに対する栄養要求体表現型を有する出芽酵母(S.cerevisiae)菌種を用いることが可能である。そのような菌種としては、たとえば、酵素であるホモセリンアセチル基転移酵素やホモシステイン合成酵素が除去されたり、機能不全とされている菌種が挙げられる。好ましくは、これらの酵素は両方とも除去されるか、機能不全とされる。図1に示すように、出芽酵母は、ホモシステインの合成に際してO−アセチル−ホモセリンの必須の使用に依拠しており、その後、ホモシステインは、メチオニンに転換される。O−アセチル−ホモセリンの合成の原因となる酵素である、ホモセリンアセチル基転移酵素は、MET2遺伝子によりコード化される。MET2が失活すると直ちに、ホモセリンはもはやO−アセチル−ホモセリンへと転換不可能になり、ホモセリンフラックスはすべてホスホホモセリンに転用される。MET2触媒反応は、酵母菌における唯一のO−アセチル−ホモセリン源なので、MET2遺伝子が失活すると、厳密にメチオニン栄養要求体表現型を示す酵母菌種が得られる結果となる。しかしながら、ホモシステイン(最後のメチオニン前駆体)は、(含硫基移動経路を介した)システインか、またはS−アデノシルメチオニンの再利用かに由来する。メチオニンが全く合成され得ないことを保証するために、ホモシステインおよびメチルテトラヒドロ葉酸からのメチオニン合成の原因となるホモシステインメチル基転移酵素をコード化する遺伝子であるMET6も除去される。
したがって、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換するタンパク質の能力を検証するアッセイにおいて、MET2遺伝子および/またはMET6遺伝子、好ましくは両者とも、が除去されるか破壊された出芽酵母を用いることが好ましい。二重met2Δmet6Δ破壊菌種は、メチオニンが存在しなければ成長し得ず、具体的には、硫黄源としてメタンチオールが存在すると成長し得ない。このような菌種は、もはやO−アセチルホモセリンを合成し得ず、O−ホスホ−ホモセリンを産生する。その後、このような酵母菌種は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力について検証されるタンパク質をコード化する核酸分子を用いて形質転換され得る。この菌種は、メタンチオールを唯一の硫黄源として含む培地内または培地上で成長され、そのような培地の上で成長する能力は、O−ホスホ−L−ホモセリン(O-phospho-L-homoserine(OHPS))およびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を有する、発現したタンパク質を表示する。スレオニンシンターゼをコード化する遺伝子が(たとえば除去や破壊によって)不活性化される菌種を用いることがさらに好ましい。met2Δmet6Δ菌種において、OPHSは、THR1遺伝子によりコード化されるホモセリンキナーゼにより触媒される反応で合成されるが、THR4遺伝子によりコード化されたスレオニンシンターゼによってスレオニンへと活性転換されるので、効率よく蓄積しない可能性がある。このような三重met2Δ met6Δ thr4Δ突然変異菌種は、このようにしてOPHS依存性メチオニンシンターゼの非常に低い活性を検出することを可能にし、OPHS依存性メチオニンシンターゼ活性を賦与された新しいタンパク質を単離する細胞の第一スクリーニングとして用いられている。
この酵素活性は、検証されるべきタンパク質を発現する酵母菌種からの無細胞抽出物、または検証されるべき(部分的に)浄化されたタンパク質を用いて、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールが適切な条件下でin vitroでインキュベートされるin vitroアッセイであって、メチオニンの産生はC13メチオニンを内部コントロールとして用いた液体クロマトグラフィー/質量分析法/質量分析法(LC/MS/MS)により検出される、アッセイによりさらに確認され得る(Ravanelら、 Archives of Biochemistry and Biophysics 316 (1995)、 572-584)。
このようなin vitroアッセイにおいて基質として用いられるO−ホスホ−L−ホモセリンは、たとえば図2に示すプロセスによって提供され得る(Barclayら、J. Chem. Soc、 Chem. Com (1994) 815-816)。
既に述べたように、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する酵素活性を示すタンパク質としては、たとえば、SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質がある。したがって、ある好ましい実施の形態において、本発明による方法では、SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質を用いる。しかしながら、これらのタンパク質のバリアントを用いることももちろん可能である。すなわち、そのアミノ酸配列が、SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列に対して高い度合いの配列相同性を有し、かつO−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する酵素活性を示す、タンパク質を用いることも可能である。配列相同性は、SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示される配列に対して、少なくとも60%であり、好ましくは少なくとも70%であり、さらに好ましくは少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、または少なくとも95%であり、最も好ましくは少なくとも96%、97%、98%または99%である。好適には、相同の度合いは、それぞれの配列をSEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列と比較することにより決定される。比較されている配列同士の長さが同じではないのなら、短い方の配列が含んでいる、長い方の配列におけるアミノ酸残基と相同であるアミノ酸残基の割合か、または、長いほうの配列が含んでいる、短い方の配列におけるアミノ酸残基と相同であるアミノ酸残基の割合のいずれかを参照することが好ましい。配列相同の度合いは、好ましくは、CLUSTALのような適切なコンピュータアルゴリズムを用いて、この分野では公知の方法により決定され得る。
Clustal分析を用いて、ある特定の配列がある参照配列に対してたとえば80%相同であるかどうかを判定する際には、デフォルトの設定値を用いてもよいが、好ましくは以下の設定値がアミノ酸配列同士の比較に用いられる。マトリックスブロサム:30、オープンギャップペナルティ:10.0、エクステンドギャップペナルティ:0.05、ディレイディバージェント:40、ギャップセパレーション距離:8。ヌクレオチド配列を比較する場合、エクステンドギャップペナルティは好ましくは5.0に設定される。
好ましくは、相同の度合いは、配列の全長にわたって計算される。また、本発明の説明に際して、用語「ホモロジー(homology)」が用いられた時、この用語は好ましくは「配列相同性」を意味する。
また、本発明の方法によれば、L−メチオニンに由来する他の含硫化合物を産生することも可能になる。そのような化合物としては、たとえば、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、システイン、S−アデノシルホモシステイン、メチル−チオ−アデノシン、および2−オキソ−4−メチルチオブタン酸などが挙げられる。
したがって、本発明は、S−アデノシルメチオニンを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、本発明による前記方法を含み、かつ以下の反応:
メチオニン + ATP => S−アデノシルメチオニン + PP + P
によってL−メチオニンをS−アデノシルメチオニンに転換する、方法にも関する。
この酵素反応はこの技術分野では公知であり、この反応を触媒する酵素もまたこの技術分野では公知である。これらの酵素は、S−アデノシルメチオニンシンターゼ(EC2.5.1.6)と呼ばれる。相当する酵素としては、たとえば酵母の場合、SAM1やSAM2などが挙げられる。したがって、このような方法を生体において実行する場合、その生体は、好ましくは、L−メチオニンをS−アデノシルメチオニンに転換する能力を有する、前記相当する酵素の少なくとも一つを過剰発現する。
また、S−アデノシルメチオニンのフラックスが他の代謝経路に入らないようにするためには、そのような生体をさらに修飾することも好適であり得る。酵母においては、S−アデノシルホモシステインに至るS−アデノシルメチオニンのフラックスを減らすためには、たとえば、アデノシンキナーゼの活性(EC2.7.1.20、酵母においてADO1遺伝子によりコード化される)を失活させるのが好適であり得る。
また、本発明は、システインを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、本発明による前記方法を含み、かつL−メチオニンがさらにシステインに転換される、方法にも関する。L−メチオニンからシステインへの転換は、この技術分野では公知であるので、当業者に知られている方法・手段を用いて達成され得る。たとえば、L−メチオニンをまずS−アデノシルメチオニンへと転換し、次に以下の反応:
S−アデノシルメチオニン + メチルアクセプター => S−アデノシルホモシステイン + メチル化されたアクセプター
によってS−アデノシルメチオニンをS−アデノシルホモシステインへと転換してもよい。
この反応は、S−アデノシルメチオニン依存性メチル基転移酵素により触媒される。
次にS−アデノシルホモシステインは、以下の反応:
S−アデノシルホモシステイン <=> L−ホモシステイン + アデノシン
によってL−ホモシステインへとさらに転換され得る。
この反応は、S−アデノシルホモシステインヒドラーゼ(EC3.3.1.1)により触媒される。
その後、L−ホモシステインは、以下の反応:
L−ホモシステイン + L−セリン <=> L−シスタチオニン + H
によってL−シスタチオニンへと転換され得る。
この反応は、シスタチオニンベータシンターゼ(EC4.2.1.22)により触媒される。
最後に、L−シスタチオニンは、以下の反応:
L−シスタチオニン + HO <=> L−システイン + NH + オキソブタン酸
によってシステインへと転換される。
この反応は、シスタチオニンベータリアーゼ(EC4.4.1.1)により触媒される。
このような方法を酵母において実行する場合、以下の遺伝子、SAM1、SAM2、SAH1、STR4およびSTR1を過剰発現するのが好適である。また、酵母であるシスタチオニンガンマシンターゼをコード化する遺伝子STR2は、システインからホモシステインへの逆合成を低減するためには除去されるべきである。同様に、このような酵母は、主要なグルタチオン劣化経路には必然的に含まれるDUG2遺伝子を除去するとともに、メチルテトラヒドロ葉酸依存性メチオニンシンターゼを消滅させるMET6突然変異もまた起こすのが好適である。
また、本発明は、グルタチオンを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、本発明による前記方法を含み、かつL−メチオニンがさらにグルタチオンに転換される、方法にも関する。L−メチオニンからグルタチオンへの転換は、先行する技術分野では公知であるので、当業者に知られている方法・手段を用いて達成され得る。たとえば、L−メチオニンをまずS−アデノシルメチオニンへと転換し、次にそれをシステインへと前に述べたように転換し、そしてこのようにして得られたシステインを以下の反応:
ATP + L−グルタミン酸 + L−システイン <=> ガンマ−L−グルタミル−L−システイン + ADP + P
によってさらにグル−シス(ガンマ−L−グルタミル−L−システイン)へと転換してもよい。
この反応は、グルタミン酸システインリガーゼ(EC6.3.2.2)により触媒される。
次に、このようにして産生したグル−シスは、以下の反応:
ATP + ガンマ−L−グルタミル−L−システイン + グリシン = グルタチオン + ADP + P
に従ってグルタチオンに転換される。
この反応は、グルタチオンシンターゼ(EC6.3.2.3)により触媒される。
このような方法を酵母において実行する場合、その酵母は、好ましくは、システインの産生方法に関して既に述べたように遺伝子操作され、またそのような酵母はシステインからグルタチオンへの形質転換には必然的に伴う遺伝子GSH1およびGSH2を過剰発現するべきである。ある特に好ましい実施の形態において、GSH1遺伝子は、フィードバック阻害耐性酵素(feed-back resistant enzyme)を発現する。
また、本発明は、2−オキソ−4−メチルチオブタン酸を産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、本発明による前記方法を含み、かつL−メチオニンが以下の反応:
メチオニン + 2−オキソ酸 => 2−オキソ−4−メチルチオブタン酸 + L−アミノ酸
によってさらに2−オキソ−4−メチルチオブタン酸に転換される、方法にも関する。
この酵素反応は、この技術分野では公知であり、この反応を触媒する酵素もまたこの技術分野では公知である。それらの酵素は「メチオニントランスアミナーゼ」(EC2.6.1.88)と呼ばれる。相当する酵素としては、たとえば、酵母におけるARO8、BAT1およびBAT2等が挙げられる。したがって、このような方法を生体において実行する場合、その生体は、L−メチオニンを2−オキソ−4−メチルチオブタン酸に転換する能力を有する、それらの相当する酵素を少なくとも一つは過剰発現することが好ましい。
また、2−オキソ−4−メチルチオブタン酸のフラックスが他の代謝経路に入らないようにするためには、そのような生体をさらに修飾することも好適であり得る。酵母においては、3−(メチルチオ)プロピオンアルデヒドに至る2−オキソ−4−メチルチオブタン酸のフラックスを減らすためには、たとえば、フェニルピルビン酸デカルボキシラーゼの活性(EC4.1.1.43、酵母においてARO10遺伝子によりコード化される)またはピルビン酸デカルボキシラーゼの活性(EC4.1.1.1、酵母においてPDC1、PDC5、およびPDC6遺伝子によりコード化される)を不活性化させるのが好適であり得る。
本発明による方法は、in vitroでもin vivoでも実行され得る。in vitroの反応は、ここでは、細胞が用いられない反応、すなわち「無細胞反応」であると理解される。したがってin vitroであるということは、好ましくは「細胞のないシステムで」ということになる。この用語in vitroとは、ある実施の形態では、「単離された酵素の存在下で」を意味する。また、ある実施の形態では、この方法で採用される酵素は、浄化されたかたちで用いられる。
in vitroでプロセスを実行するにあたり、その反応に使う基質と酵素は、いくつかの条件(緩衝液、温度等)下にインキュベートされ、それにより酵素が活性となり得、酵素反応が生じ得る状態にする。この反応は、L−メチオニンを産生するのに十分な時間だけ進行可能とされる。L−メチオニンの産生は、この技術分野において公知の方法で測定され得る。
そのような酵素反応を発生可能とする限りにおいて、前記酵素は、適切などのような形態のものであってもよい。すなわち、酵素全体が浄化されていてもよいし、一部のみが浄化されていてもよいし、粗細胞抽出物の形であってもよいし、一部浄化された抽出物であってもよい。また、前記酵素は適切な担体上に固定化されていてもよい。
別の実施の形態において、本発明による方法は、生体の存在下(好ましくは微生物の存在下)に、培養液中で実行され、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する能力を有するタンパク質を産生する。そのタンパク質は、ここに述べられているいずれかのタンパク質である。
このような方法において採用される生体は、好ましくは、ここに述べられている本発明による宿主細胞のいずれかである。
また、本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有するタンパク質にも関する。本発明の説明にあたって、そのような酵素は「OHPS依存性メチオニンシンターゼ」と称される。既に述べたように、これまでのところ、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するタンパク質が自然界に存在すると報告した者はいない。したがって、本発明は、ここで既に述べた本発明の方法によってL−メチオニンを産生可能とする、そのようなタンパク質をここに初めて提供するものである。
好ましい実施の形態において、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有する、本発明による前記タンパク質は、突然変異により、シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)から得られる。そのような突然変異は、シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)のアミノ酸配列において、一つ以上のアミノ酸残基を置換すること、および/または、一つ以上のアミノ酸残基を除去すること、および/または、一つ以上のアミノ酸残基を追加することであり得る。
シスタチオニンガンマシンターゼは、さまざまな生体について既に知られており、記載されている。たとえば、植物については、シスタチオニンガンマシンターゼには350を超える配列があることが知られている。特に挙げれば、A. thaliana、 Nicotiana tabacum、 Triticum aestivum、 Solanum lycopersicum、 Lemna paucicostata、 Solanum tuberosum、 Spinacia oleracea、 Astragalus racemosus、 Astragalus bisulcatus、 Astragalus sinicus および Neptunia amplexicaulisについての配列が知られている。
また、シスタチオニンガンマシンターゼは、細菌や真菌からも知られている。細菌については、22000を超える配列がこれまでに記載されており、細菌や真菌の配列としては、たとえば、Saccharomyces cerevisiae、 Neurospora crassa、 Salmonella erterica、 Escherichia coli、 Agrobacterium tumefaciens、 Alcaligenes faecalis、 Aneurinibacillus aneurinilyticus、 Bacillus pumius、 Bacillus subtilis、 Corynebacterium glutamicum、 Helicobacter pylori、 Lysinibacillus sphaericus、 Mycobacterium tuberculosis、 Pectobacterium carotovorum、 Pseudomonas dacunhae、 Pseudomonas putidaおよび Streptomyces phaeochromogenesからのものが挙げられる。
O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する活性を呈するタンパク質を提供するさまざまな方法については、添付の実施例に記載しており、また以下にさらに詳しく説明もする。O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する活性を呈するタンパク質を提供するにあたって、原則としてどのようなシスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)を開始材料として用いてもよい。シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)に由来する、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する活性を呈するタンパク質は、自然起源シスタチオニンガンマシンターゼのアミノ酸配列に対して、少なくとも70%の配列相同性を示すのが好ましい。配列相同性は、好ましくは少なくとも80%であり、さらに好ましくは少なくとも90%であり、もっとも好ましくは少なくとも95%である。
ある好ましい実施の形態において、前記OHPS依存性メチオニンシンターゼが由来する、前記シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)は、植物シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)であり、好ましくはArabidopsis thaliana に由来するシスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)CGS1であり、もっとも好ましくは、SEQ ID No:1に示されるアミノ酸配列を示すシスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)である。さらに好ましい実施の形態において、本発明による方法において採用される前記OHPS依存性メチオニンシンターゼは、SEQ ID No:2に示される配列に由来する。この配列は、位置84におけるグリシン残基がセリン残基により置換されるという事実を別にすれば、SEQ ID No:1に対応する。この置換(すなわちmto突然変異)は、S−アデノシルメチオニンがCGS1に対して及ぼす翻訳抑制を軽減する(Onoueら、 Journal of Biological Chemistry 286 (2011)、 14903-14911)。ある特に好ましい実施の形態では、本発明による方法において採用される前記OHPS依存性メチオニンシンターゼは、SEQ ID No:3に示される配列に由来する。この配列は、アミノ末端に位置する葉緑体標的配列(アミノ酸残基1〜57)が除去され、メチオニン残基がN−末端に追加されるという事実を別にすれば、SEQ ID No:2に対応する。
本発明による方法において用いられ得るOHPS依存性メチオニンシンターゼとしては、たとえば、
[i](a)プロリン10、
(b)アスパラギン11、
(c)グルタミン15、
(d)イソロイシン27、
(e)アラニン30、
(f)ロイシン45、
(g)セリン47、
(h)バリン60、
(i)アラニン68、
(j)フェニルアラニン150、
(k)スレオニン178、
(l)アスパラギン酸183、
(m)イソロイシン185、
(n)スレオニン220、
(o)メチオニン232、
(p)バリン245、
(q)アラニン257、
(r)アスパラギン259、
(s)フェニルアラニン261、
(t)フェニルアラニン275、
(u)イソロイシン287、
(v)ヒスチジン289、
(w)チロシン324、
(x)グリシン326、
(y)プロリン356、
(z)スレオニン371、
(aa)バリン396、
(bb)プロリン405、
(cc)アスパラギン酸431、
(dd)イソロイシン436、
(ee)イソロイシン457、
(ff)アスパラギン酸459、
(gg)プロリン470、
(hh)グルタミン酸472、
(ii)アラニン506、および
(jj)イソロイシン507
からなる群から選択される、SEQ ID NO:3における少なくとも一つのアミノ酸残基を置換または除去することにより、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を有するシスタチオニンガンマシンターゼから由来する、OHPS依存性メチオニンシンターゼ、または
[ii] SEQ ID NO:3における上に列挙した(a)から(jj)のいずれか一つに相当する少なくとも一つのアミノ酸残基を置換または除去することにより、そのアミノ酸配列がSEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも60%の配列相同性を示す、シスタチオニンガンマシンターゼから由来するOHPS依存性メチオニンシンターゼが挙げられる。その配列相同性は好ましくは少なくとも70%であり、より好ましくは少なくとも80%であり、最も好ましくは少なくとも90%である。
ここで、「置換」とは、上に示された位置において生じるアミノ酸が別のアミノ酸残基によって置き換えられることを意味する。本発明の説明にあたって、「別のアミノ酸残基によって置き換えられる」とは、上に示された位置におけるそれぞれのアミノ酸残基が他の任意のアミノ酸残基によって置換され得ることを意味する。好ましくは、置換に用いるアミノ酸残基は、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリンからなる群から選択される。いくつかの位置についての好ましい置換については、後に示すとおりである。
SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列において、上に列挙した位置(a)〜(jj)からなる群から選択される位置に対応する位置に存するアミノ酸残基は、この技術分野においては公知の各種方法により当業者により同定され得る。そのようなアミノ酸残基は、たとえば、問題の配列をSEQ ID NO:3に示され配列と配列比較することによっても同定され得るし、SEQ ID NO:3の上に示された位置に対応する位置を同定することによっても、同定され得る。配列比較は、当業者には公知の手段・方法によりなされ得る。たとえば、Lipman−Pearson法(Science 227 (1985)、 1435)や、CLUSTALアルゴリズムのような公知のコンピュータアルゴリズムを用いることによりなされ得る。このような配列比較における最高度の相同性は、アミノ酸配列に存在する保存されたアミノ酸残基に対して付与されるのが好ましい。
このような方法によりアミノ酸配列が配列比較されれば、たとえそれらのアミノ酸配列において挿入や除去が発生したとしても、対応するアミノ酸残基の位置は、与えられた配列において決定され得る。
ある実施の形態では、本発明によるOHPS依存性メチオニンシンターゼは、
(i)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置10のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換され、および/または
(ii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置11のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアスパラギン酸で置換され、および/または
(iii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置15のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアルギニンで置換され、および/または
(iv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置27のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(v)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置30のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(vi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置45のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(vii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置47のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(viii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置60のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアスパラギン酸で置換され、および/または
(ix)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置68のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(x)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置150のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換され、および/または
(xi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置178のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がイソロイシンで置換され、および/または
(xii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置183のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がグルタミン酸で置換され、および/または
(xiii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置185のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がバリンで置換され、および/または
(xiv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置220のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(xv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置232のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換され、および/または
(xvi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置245のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換され、および/または
(xvii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置257のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(xviii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置259のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアスパラギン酸またはセリンで置換され、および/または
(xiv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置261のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(xx)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置275のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換され、および/または
(xxi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置287のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がバリンまたはフェニルアラニンで置換され、および/または
(xxii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置289のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がチロシンまたはアルギニンで置換され、および/または
(xxiii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置324のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がフェニルアラニンで置換され、および/または
(xxiv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置326のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(xxv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置356のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(xxvi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置371のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換され、および/または
(xxvii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置396のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアラニンで置換され、および/または
(xxviii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置405のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(xxix)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置431のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がグリシンで置換され、および/または
(xxx)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置436のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がスレオニンで置換され、および/または
(xxxi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置457のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がロイシンで置換され、および/または
(xxxii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置459のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がアスパラギンで置換され、および/または
(xxxiii)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置470のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がセリンで置換され、および/または
(xxxiv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置472のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がグリシンで置換され、および/または
(xxxv)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置506のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がグリシンで置換され、および/または
(xxxvi)SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置507のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基がバリンで置換された、
アミノ酸配列を有する。
また本発明は、上の(i)〜(xxxvi)に規定されるもののバリアントにも関する。ここで前記アミノ酸残基は、SEQ ID NO:3における前記位置のアミノ酸残基を置換するものとして示されているが、バリアントとは、まさにその特定のアミノ酸残基ではなく、上に示された置換するアミノ酸との関係において保存的である、アミノ酸残基である。
あるアミノ酸が別のアミノ酸に対して保存的であるかどうかは、この技術分野において公知の手段・方法により判定され得る。ある態様では、PAM250マトリックスであり得、別の態様では、ブロサムファミリーマトリックスも用い得る。
ある実施の形態では、本発明は、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列を有するOHPS依存性メチオニンシンターゼ、またはSEQ ID NO:3に対して少なくとも60%の配列相同性を有するアミノ酸配列に関する。ここで、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列における位置356のアミノ酸残基、または、この位置に対応する位置のアミノ酸残基は、別のアミノ酸残基で置換される。ある好ましい実施の形態において、本発明は、少なくとも一つの別のアミノ酸残基が、位置10、11、15、27、28、30、32、45、47、60、68、104、150、178、183、185、220、232、245、257、259、261、275、287、289、324、326、371、396、405、431、436、457、459、470、472、506および507から群から選択される位置において置換されるタンパク質に関する。この位置は、好ましくは、位置10、11、15、30、32、45、47、68、104、150、178、183、185、220、232、245、257、259、261、275、287、289、326、371、396、405、431、436、459、470、472、506および507からなる群から選択され、さらに好ましくは、残基275および396からなる群から選択される。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおりである。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置10、27、60、324および457である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32、287、289および356である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置10、232、245、259、356、431および436である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置11、15、30、45、47、68、178、356、371および459である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32および356である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32、60、324および457である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32、287、289および356である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32、232、245、259、356、431および436である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置32、45、47、68、178、356、371および459である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置232、245、259、356、431および436である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置178、356、371および459である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置150、257、259、261、275、289、356および506である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置185、356および405である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、356、396および472である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、326、356および396である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置220、275、356および396である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置183、275、356、396および507である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、287、356、396および507である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、356、396および470である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、356および507である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、356および396である。
ある実施の形態において、置換および/または除去が生じる位置は以下のとおり、位置275、287および356である。
これらの位置における好ましい置換は、上に示したとおりである。
また、本発明による方法において採用され得るOHPS依存性メチオニンシンターゼは、SEQ ID NO:3に示されるアミノ酸配列のアミノ酸1〜103に対応する一つ以上のN末端アミノ酸を除去することにより、上に述べたOHPS依存性メチオニンシンターゼから得られ得る酵素でもある。実施例について示したように、上に述べたOHPS依存性メチオニンシンターゼの切断型(たとえば、SEQ ID NO:3と比べて、31個のアミノ酸残基または103個のアミノ酸残基がN末端から除去される、切断型)は、それでもOHPS依存性メチオニンシンターゼ活性を効率よく呈する。
ある好ましい実施の形態において、本発明によるOHPS依存性メチオニンシンターゼは、O−ホスホ−L−ホモセリンおよび硫化物をL−ホモシステインおよびHPOに転換する酵素活性も呈する。好ましくは、この硫化物はNaSのような金属硫化物である。この場合、この転換は、以下の反応図式:
O−ホスホ−L−ホモセリン + NaS <=> L−ホモシステイン + HPO
にしたがって起こる。
O−ホスホ−L−ホモセリン(OPHS)および金属硫化物をL−ホモシステインおよびHPOに転換するこの活性は、O−ホスホ−L−ホモセリン(OPHS)およびメタンチオールをL−メチオニンおよびHPOに転換する活性の検出に関連して既に述べたものと基本的には同じアッセイにおいて検出され得る。この場合、二重met2Δ met25Δ酵母菌種が用いられ、NaSを唯一の硫酸源として用いて培地上に成長される。実際に、MET25は、酵母において知られている唯一のホモシステインシンターゼ活性をコード化し、O−アセチル−L−ホモセリンの硫化物による縮合を触媒する。このアッセイの感応性は、二重met2 met25突然変異に加えて、O−ホスホ−L−ホモセリンの蓄積をもたらすthr4突然変異をも含むように遺伝子操作された出芽酵母菌種を用いることにより、容易に改善され得る。
またこの酵素活性は、検証するべきタンパク質を発現する酵母菌種から得られた無細胞抽出物か、または検証するべき(一部)浄化されたタンパク質を用いて、適切な条件の下にin vitroでO−ホスホ−L−ホモセリンおよびNaSがインキュベートされるin vitroアッセイであって、ホモシステインの産生が比色分析法により検出される(Beckerら、 Journal of Biochemical Chemistry 244(1969)、 2418)、in vitroアッセイによりさらに確認され得る。
また、本発明は、本発明によるタンパク質をコード化する核酸分子にも関する。その核酸分子はDNAまたはRNAであり得るが、好ましくはDNAである。
さらに本発明は、本発明による核酸分子を備えたベクターにも関する。好ましい実施の形態において、そのベクターは、本発明による核酸の発現を可能にすることによって、本発明によるタンパク質の産生を可能にする、ベクターである。したがって、ある好ましい実施の形態において、本発明による核酸は、所望の宿主細胞または宿主細胞系における発現を可能にする、発現制御配列に操作可能な状態で連鎖されている。本願明細書全体において用いられる用語「操作的に連鎖されている(operatively linked)」または「操作可能な状態で連鎖されている(operably linked)」とは、一つ以上の発現制御配列と、その発現制御配列と適合する条件下に発現が達成されるように発現される前記核酸分子におけるコード化領域との間の連鎖を指す。
発現は、異種DNA配列の転写を含み、好ましくは、翻訳可能なmRNAの転写を含む。細菌においてのみならず、植物細胞、動物細胞、および真菌においても発現を保証する調節エレメントは、当業者にはよく知られている。それらのエレメントには、各種プロモーター、エンハンサー、終結信号、標的指向化信号等が含まれる。それらの例については、ベクターに関する詳細な説明に関連して後で挙げることにする。
核酸分子関連で使用可能なプロモーターは、その起源について、および/または発現されるべき遺伝子に関して、相同または異種であり得る。適切なプロモーターとしては、たとえば恒常的発現に適したプロモーターが挙げられる。しかしながら、外部的影響により決定されるある時点においてのみ活性化されるプロモーターもまた用いられ得る。このような状況においては、人工的および/または化学的に誘導性のプロモーターが用いられ得る。
本発明によるベクターは、発現され、タンパク質の産生をもたらすように、生体(または微生物)中に導入され得、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有する。
各種発現系の概略は、たとえば、BitterらによりMethods in Enzymology 153 (1987)、385-516 (Methods in Enzymology 153 (1987)、 516-544)に開示されており、Sawersら(Applied Microbiology and Biotechnology 46 (1996)、 1-9)、 Billman-Jacobe (Current Opinion in Biotechnology 7 (1996)、 500-4)、 Hockney (Trends in Biotechnology 12 (1994)、 456-463)、 Griffithsら(Methods in Molecular Biology 75 (1997)、 427-440)によっても開示されている。 酵母発現系の概略は、 たとえばHensingら (Antonie van Leuwenhoek 67 (1995)、261-279)、 Bussineau ら (Developments in Biological Standardization 83 (1994)、 13-19)、 Gellissen ら(Antonie van Leuwenhoek 62 (1992)、 79-93)、 Fleer (Current Opinion in Biotechnology 3 (1992)、486-496)、 Vedvick (Current Opinion in Biotechnology 2 (1991)、742-745) および Buckholz (Bio/Technology 9 (1991)、 1067-1072)により開示されている。
発現ベクターに関しては、文献に広く記載されてきている。一般に、それら発現ベクターは、選択された宿主における選択マーカー遺伝子および複製開始点保証複製のみならず、細菌やウイルスのプロモーターをも含み、ほとんどの場合、転写の終結信号も含む。プロモーターと終結信号との間には、一般に、少なくとも一つの制限酵素部位か、コード化DNA配列の挿入を可能にするポリリンカーが存在する。対応する遺伝子の転写を自然制御するDNA配列は、選択された宿主生体において活性である場合、プロモーター配列として用いられ得る。しかしながら、この配列を他のプロモーター配列と交換してもよい。遺伝子の恒常的発現を保証するプロモーターを用いたり、遺伝子の発現を計画的に制御することを可能にする誘導性プロモーターを用いたりすることも可能である。これらの特性を有する細菌およびウイルスプロモーター配列については、文献に詳細に記載されている。(たとえば大腸菌(E. coli)や出芽酵母(S. cerevisiae)などの)微生物における発現を調節する配列も文献に十分に記載されている。下流側配列の特に高度の発現を可能にするプロモーターとしては、たとえば、T7プロモーター (Studierら、 Methods in Enzymology 185 (1990)、 60-89)、lacUV5、 trp、trp−lacUV5 (DeBoerら、 in Rodriguez and Chamberlin (Eds)、 Promoters、 Structure and Function; Praeger、 New York、 (1982)、 462-481; DeBoerら、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1983)、 21 -25)、Ip1、rac(Borosら、 Gene 42 (1986)、 97-100)などが挙げられる。誘導性プロモーターは、好ましくはポリペプチドの合成に用いられる。これらのプロモーターは、しばしば恒常的プロモーターよりも高いポリペプチド収量をもたらす。最適な量のポリペプチドを得るためには、2段階のプロセスがしばしば採用される。まず、宿主細胞は、比較的高い細胞密度に達するまで最適な条件下に培養される。次に第2のステップにおいて、使用しているプロモーターのタイプに応じて転写が誘導される。この点に関しては、ラクトースまたはIPTG (= isopropyl-β-D-thiogalactopyranoside)により誘導可能である、tacプロモーターが特に適切である(deBoerら、 Proc. Natl. Acad. Sci. USA 80 (1983)、 21-25)。転写用の終結信号もまた文献に記載されている。
本発明によるポリヌクレオチドまたはベクターを有する宿主細胞の形質転換は、標準的な方法により実行され得る。そのような方法は、たとえば、Sambrookおよび Russell (2001)により、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 CSH Press、 Cold Spring Harbor、 NY、 USA、 Methods in Yeast Genetics、 A Laboratory Course Manual、 Cold Spring Harbor Laboratory Press、 1990に記載されている。宿主細胞は、使用する特定の宿主細胞に課せられる各種要件(特にpH値、温度、塩濃度、通気、抗生物質、ビタミン、微量元素など)を満たす栄養培地において培養される。
また本発明は、本発明による核酸分子またはベクターを含有するか、またはそれを用いて形質転換される宿主細胞にも関する。ある好ましい実施の形態において、そのような宿主細胞は、本発明によるタンパク質を発現し、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有する。その宿主細胞は、原則として、考え得るどのような宿主細胞であってもよい。たとえば、動物細胞でも、植物細胞でも、真菌細胞でも、細菌細胞でもよい。ある好ましい実施の形態において、前記宿主細胞は細菌細胞または真菌細胞である。特に好ましい実施の形態において、前記宿主細胞は細菌細胞であり、たとえば、Escherichia、 Corynebacterium、 Clostridium、 Bacillusまたは Acinetobacter属の細菌細胞である。より好ましくは、前記宿主細胞は、E. coli、 Corynebacterium glutamicum、 Bacillus subtilis または Acinetobacter villandi種の細菌細胞である。
別の好ましい実施の形態において、前記宿主細胞は、真菌細胞であり、たとえばSaccharomyces、 Candida、 Ashbya、 Kluyveromyces、 Pichia、 Yarrowia、Zygosaccharomyces、 Aspergillus、 Debaryomycesまたは Torulopsis属の真菌細胞である。より好ましくは、前記真菌細胞は、S. cerevisiae、 Saccharomyces maximus、 Candida maltosa、 Ashbya gossypii、 Kluveromyces lactis、 Pichia pastoris、 Pichia stipitis、 Yarrowia lipolitica、 Aspergillus niger、 Aspergillus nidullans、 Debaryomyces hansenii またはTorulopsis utilis種の真菌細胞である。特に好ましい実施の形態において、前記宿主細胞は、酵母細胞である。
既に述べたように、本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するタンパク質をコード化する核酸分子を調製する方法にも関する。この方法は、
(i)突然変異シスタチオニンガンマシンターゼを産生するように、シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)をコード化する核酸分子に突然変異を引き起こす工程と、
(ii)O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有するタンパク質をコード化する核酸分子の選択を可能にする培養条件で、工程(i)において得られた前記突然変異核酸分子を宿主細胞内に発現させる工程と、
(iii)O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有するタンパク質を発現するそれらの宿主細胞を同定する工程と、
(iv)O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有する、前記突然変異シスタチオニンガンマシンターゼをコード化する前記核酸分子を、工程(iii)において同定された宿主細胞から得る工程と、
を有する。
また本発明は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有するタンパク質を調製する方法にも関する。この方法は、本発明による前記方法により得られた核酸分子を発現する工程と、コード化されたタンパク質を回収する工程と、を有する。
ここで「シスタチオニンガンマシンターゼ(EC.2.5.1.28)」とは、シスタチオニンガンマシンターゼの酵素活性を有する、どのような酵素をも指す。シスタチオニンガンマシンターゼは、以下の反応:
−サクシニル−L−ホモセリン + L−システイン ≒ L−シスタチオニン + コハク酸
を触媒する酵素である。
この活性は、この分野においては公知の方法 (Ravanel、 Biochem. J. 331 (1998)、639-648)により測定され得る。
本発明による前記方法の工程(i)によれば、シスタチオニンガンマシンターゼをコード化する核酸分子の突然変異バージョンが、突然変異を起こしたシスタチオニンガンマシンターゼを産生するように調整される。核酸分子に変異を誘発する各種方法については、当業者にはよく知られている。したがって、分子生物学においてはふつうに用いられている方法により、異なる複数のタイプの突然変異を核酸分子に挿入することも可能である(たとえばSambrookおよびRussell (2001)、 Molecular Cloning: A Laboratory Manual、 CSH Press、 Cold Spring Harbor、 NY、 USAを参照)。これにより、開始配列と比較して改造されたアミノ酸配列を有するシスタチオニンガンマシンターゼの合成が可能になる。核酸分子における突然変異は、原則として、考え得るどのようなタイプのものでもよい。たとえば、除去、追加および/または置換のどれでもよい。好ましい実施の形態において、核酸において起こされる突然変異により、アミノ酸配列レベルでのアミノ酸配列の置換がもたらされる。
各核酸分子につき一回の突然変異を起こすことも可能ではあるが、一回以上の突然変異を核酸分子において起こし、それによりアミノ酸レベルでの一回以上の突然変異に至らすことも、もちろん可能である。突然変異の回数については、原則として上限は無い。しかしながら、突然変異を起こした核酸分子が、前記方法の工程(i)において用いられるシスタチオニンガンマシンターゼをコード化する開始配列に対して、少なくともなお60%の配列相同性は保持することが好ましい。配列相同性はより好ましくは少なくとも70%であり、さらに好ましくは少なくとも80%であり、特に好ましくは少なくとも90%であり、もっとも好ましくは少なくとも95%である。
好ましい実施の形態において、前記方法の工程(i)において得られた、突然変異誘発された核酸分子は、開始核酸分子によりコード化されたシスタチオニンガンマシンターゼと比較してアミノ酸残基に20個以下の変化を示す、シスタチオニンガンマシンターゼの突然変異バージョンをコード化する。変化の個数は、好ましは15個以下であり、さらに好ましくは10個以下であり、特に好ましくは5個以下である。
本発明による前記方法の工程(i)における用語「シスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)をコード化する核酸分子」とは、上に具体的に述べたシスタチオニンガンマシンターゼの酵素活性を有するタンパク質をコード化する核酸分子のことをいう。本発明による方法においては、原則として、そのような酵素をコード化するいかなる核酸分子も開始材料として用いてもよい。シスタチオニンガンマシンターゼについては、それらの自然起源をも含めて、既に詳細に説明済みである。本発明による前記方法の工程(i)においては、これら各種シスタチオニンガンマシンターゼのいずれをコード化するいずれの核酸も用い得る。好ましい実施の形態において、工程(i)において用いられる核酸分子は、植物シスタチオニンガンマシンターゼをコード化する核酸分子である。より好ましくは、そのシスタチオニンガンマシンターゼは、A. thalianaに由来し、さらに好ましくは、SEQ ID NO:1に示されるA. thalianaシスタチオニンガンマシンターゼをコード化するヌクレオチド配列である。
工程(i)において採用される核酸分子のヌクレオチド配列は、工程(ii)において採用される宿主細胞で使用可能なように適合化され得る。たとえば、採用した宿主細胞の翻訳機構におけるコドン使用法により密接に対応するように、コドンの使用法を変更することも可能である。したがって、前記核酸分子は、工程(ii)において用いられる宿主細胞に対して最適化されたコドン使用法を示すように改変され得る。
ある種の核酸分子(たとえば本発明による方法において植物シスタチオニンガンマシンターゼをコード化する核酸分子など)を適合化するためには、他の各種改造が必要または望ましい可能性がある。たとえば、植物シスタチオニンガンマシンターゼは、前記タンパク質を葉緑体へと方向づけるアミノ末端において、葉緑体標的配列を通常有する。工程(ii)においてどの宿主細胞を用いるかによっては、この標的配列を除去する必要がある可能性があるし、それが望ましい可能性もある。たとえば工程(i)において酵母細胞を用いる場合には、この葉緑体標的配列を除去することが望ましい。また、植物シスタチオニンガンマシンターゼは、その植物の細胞内S−アデノシルメチオニン(SAM)プールの増大により媒介される翻訳制御を可能にする、制御領域(以下、「mto領域」と呼ぶ場合もある)を有し得る。SAMは、このmto領域において形成されるポケットおよびリボゾームの一部において翻訳中に新生シスタチオニンガンマシンターゼペプチドに結合し、それにより翻訳停止に至らしめる能力をする。本発明による方法を実施するに際しては、この制御を回避することが望ましい可能性がある。したがって、好ましい実施の形態において、工程(i)では、SAMによるそのような制御を回避するように改造された、植物シスタチオニンガンマシンターゼコード化配列が用いられる。このような突然変異については、既にOnoueら (Journal of Biological Chemistry 286 (2011)、 14903-14911)により先行する技術で述べられている。また、開始核酸分子としては、そのシスタチオニンガンマシンターゼのより安定したバージョンをもたらす配列もまた用い得る。第二N末端アミノ酸の同一性が、タンパク質全体の安定性を決定することが知られている (Varshavsky、 Annual Review of Biochemistry 81(2012)、 167-176)。したがって、各種残基(特にTyr、 Gin、 Leu、 Phe、 Asp、LysおよびArg)の不安定化を避け、ValやSerのような残基の安定化のほうを優先する (Varshavsky、 Annual review of Biochemistry 81 (2012)、 167-176)のが好適である。
前記方法の工程(ii)による、前記突然変異を起こした核酸分子の発現は、当業者に知られている方法により実現され得る。発現系については、本発明による前記各種ベクターおよび宿主細胞と関連付けて既に述べたとおりである。
本発明による前記方法の工程(ii)において、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有するタンパク質をコード化する核酸分子の選択を可能にする、前記突然変異を起こしたシスタチオニンガンマシンターゼを発現する目的で、宿主細胞が用いられる。このような状況においては、たとえば、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するとして、メタンチオールを唯一の硫黄源として含有する培地上に成長された場合のみ生存可能な、宿主細胞を用いることが可能である。このような宿主細胞としては、たとえば、少なくともmet2の機能が無いように遺伝子操作された、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)細胞が挙げられる。MET2遺伝子は、ホモセリンおよびアセチル−CoAのO−アセチルホモセリンおよびCoAへの転換を触媒する、ホモセリンアセチル基転移酵素へとコード化する。MET2遺伝子を不活性化すると、メチオニン栄養要求体表現型を呈する酵母菌種が結果として得られる。好ましくは、met6遺伝子もまた、MET2機能の無いこのような酵母菌種において、機能不全化されるべきである。MET6遺伝子は、ホモシステインおよびメチルテトラヒドロ葉酸をメチオニンに転換する、ホモシステインメチル基転移酵素にコード化する。出芽酵母は、ホモシステインから必須アミノ酸メチオニンを合成する以外の方法を持たないので、MET2機能(あるいは、そしてMET6機能もまた)の無い出芽酵母菌種は、他の手段によりメチオニンを産生可能な場合にのみ、生存可能にすぎない。
工程(ii)における培養条件は、前記宿主細胞がO−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有する場合のみ、生存可能となるように、適合化される。これは、メタンチオールを唯一の硫黄源として培地中に与えることにより、達成され得る。
MET2およびMET6遺伝子に加えて、THR4遺伝子もまた不活性化されるのがさらに好ましい。この不活性化は、OPHSの細胞内プールを増大させることを目的とする。この場合、前記形質転換された宿主細胞は、メチオニンの代わりにスレオニンおよびメタンチオールを補給された培地において成長される。このような宿主細胞を用いれば、ごく微弱なOPHS依存性メチオニンシンターゼ活性を呈するのみの突然変異体を単離することが可能である。
このようにして、前記方法の工程(iii)において同定される宿主細胞は、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに酵素的に転換する能力を有する、前記突然変異を起こしたシスタチオニンガンマシンターゼをコード化する核酸分子を得るために用いられる。これは、当業者に知られている各種方法により達成され得る。
こうして単離された核酸分子は、対応する酵素の発現に用いられ得、他の宿主細胞にも導入され得る。
好ましい実施の形態において、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するタンパク質をコード化する核酸分子を調製する方法は、何ラウンドかのスクリーニングを有する。すなわち、突然変異および所望の活性を呈する対応する突然変異体の単離である。
この状況において、第一ラウンドのスクリーニングでは、MET2、MET6およびTHR4遺伝子が不活性化された宿主細胞を用いることが好ましい。既に説明したように、このような宿主細胞を用いることによって、ごくかすかなOPHS依存性メチオニンシンターゼ活性を呈するのみの突然変異体を単離することが可能である。単離された突然変異体は、次に、さらなる突然変異誘発ラウンドにかけられ、その後、MET2およびMET6遺伝子のみは不活性化されているが、thr4遺伝子は活性のままである宿主細胞において、OPHS依存性メチオニンシンターゼ活性を有するものとして選択される。このようなスクリーニングは、OPHSの一部がスレオニンシンターゼにより使用されているため、より緊縮である。この場合、所望の酵素的特性を有するクローンを選択するために用いられる宿主細胞は、メタンチオールを硫黄源として補給された培地において成長される。
第二ラウンドのスクリーニングは、反復的に実行され得、前記培地に添加されるメタンチオールの量を減らし、かつ最も速い成長速度を呈する形質転換された菌種に対して選択することにより、淘汰圧を上げることができる。
図1は、出芽酵母におけるメチオニン生合成経路を示す簡略図 (Thomas D.および Y. Surdin-Kerjan; Microbiological and Molecular Reviews 61 (1997); Metabolism of sulfur amino-acids in Saccharomyces cerevisiae、 page 503-532による)である。 図2は、O−ホスホ−L−ホモセリン合成の化学的経路を示す図である。 図3は、酵素の突然変異を起こしたバージョンを産生する開始材料として用いられるCGS1の各種切断型を示す模式図である。 図4は、0.05mMのメチオニンを補給された培地AにおいてAD242またはAD328 CGS1バリアントを発現するか、またはコントロールベクターpAL06を有する、YA246−4A菌種の成長を示す図である。 図5は、0.1mMのメタンチオールを補給された培地Aにおいて、それぞれCGS1−4(A)、CGS1−5(B)およびCGS1−1(C)突然変異体ファミリーを発現するYA246−4Aに基づく菌種の成長を示す図である。CGS1−4 (G84S)ならびにpAL06空ベクターを有するネガティブコントロールは、すべてのグラフに示されている。 図6は、1mM(A)および0.1mM(B)のメタンチオールを補給された培地Aにおいて、CGS1−4突然変異体ファミリーAD242、AD328、MUT24およびMUT27を発現するYA247−5Aに基づく菌種の成長を示す図である。CGS1−4 (G84S)ならびにpAL06を有するネガティブコントロールは、すべてのグラフに示されている。 図7A(A)(Figure 7A)は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7A(B)(Figure 7A(continued))は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7B(A)(Figure 7B)は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7B(B)(Figure 7B(continued))は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7C(A)(Figure 7C)は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7C(B)(Figure 7C(continued))は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7D(A)(Figure 7D)は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。 図7D(B)(Figure 7D(continued))は、CGS1の同定された突然変異体の配列比較を示す図である。
配列表の説明:
SEQ ID NO:1は、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)(AAC25687.1)から得られたシスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)CGS1のアミノ酸配列を示す。
SEQ ID NO:2は、グリシン84がセリンに置換された、シロイヌナズナ(AAC25687.1)から得られたシスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)CGS1のアミノ酸配列を示す。この配列は、CGS1 G84SまたはCGS1−0とも称される。
SEQ ID NO:3は、グリシン84がセリンに置換され、N−末端57アミノ酸が除去され、メチオニン残基がそのN−末端に追加される、シロイヌナズナ(AAC25687.1)から得られたシスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)CGS1のアミノ酸配列を示す。この配列は、CGS1 1−4 G84Sとも称される。
SEQ ID NO:4は、N−末端88アミノ酸が除去され、メチオニン残基がそのN−末端に添加される、シロイヌナズナ(AAC25687.1)から得られたシスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)CGS1の切断型アミノ酸配列を示す。この配列は、CGS1 1−5 G84Sとも称される。
SEQ ID NO:5は、N−末端160アミノ酸が除去され、メチオニン残基がそのN−末端に添加される、シロイヌナズナ(AAC25687.1)から得られたシスタチオニンガンマシンターゼ(EC 2.5.1.48)CGS1の切断型アミノ酸配列を示す。この配列は、CGS1 1−1 G84Sとも称される。
SEQ ID NO:6は、突然変異体MUT02の配列を示す。
SEQ ID NO:7は、突然変異体MUT04の配列を示す。
SEQ ID NO:8は、突然変異体MUT13の配列を示す。
SEQ ID NO:9は、突然変異体MUT18の配列を示す。
SEQ ID NO:10は、突然変異体MUT19の配列を示す。
SEQ ID NO:11は、突然変異体AD309の配列を示す。
SEQ ID NO:12は、突然変異体AD310の配列を示す。
SEQ ID NO:13は、突然変異体AD311の配列を示す。
SEQ ID NO:14は、突然変異体AD312の配列を示す。
SEQ ID NO:15は、突然変異体AD313の配列を示す。
SEQ ID NO:16は、突然変異体AD242の配列を示す。
SEQ ID NO:17は、突然変異体AD328の配列を示す。
SEQ ID NO:18は、突然変異体AD329の配列を示す。
SEQ ID NO:19は、突然変異体MUT24の配列を示す。
SEQ ID NO:20は、突然変異体MUT27の配列を示す。
SEQ ID NO:21は、突然変異体MUT67の配列を示す。
SEQ ID NO:22は、突然変異体MUT68の配列を示す。
SEQ ID NO:23は、突然変異体MUT70の配列を示す。
SEQ ID NO:24は、突然変異体MUT71の配列を示す。
SEQ ID NO:25は、突然変異体MUT72の配列を示す。
SEQ ID NO:26は、突然変異体MUT74の配列を示す。
SEQ ID NO:27は、突然変異体MUT75の配列を示す。
SEQ ID NO:28は、突然変異体MUT78の配列を示す。
SEQ ID NO:29は、突然変異体MUT79の配列を示す。
本願明細書において、ここに引用された文献の内容のすべてを援用する。
本発明のその他の局面および効果については、以下の実施例の説明で述べる。なお以下の実施例は単に例を示すことを目的とするものであり、それらに限定されることを示すためのものではない。
<実施例>
実施例1:突然変異体を調製する開始材料として用いられるCGS1切断型の調製
CGS1−4は合成遺伝子である。合成は、出芽酵母におけるその発現を向上させるコドン使用法を最適化することを目的としてGENEiusアルゴリズムを用いて、ユーロフィンMWGオペロン(Eurofins MWG Operon (Ebersberg))により行われた。出芽酵母コドン使用法の表は、かずさコドン使用法データベース(http://www.kazusa.or.jp/codon)より採用した。CGS1−5およびCGS1−1の切断型は、CGS1−4をマトリックスとして用い、順方向オリゴヌクレオチドGTACCGCTCGAGATGGTTGCTGGTAAGTGGTCTAACAATCをCGS1−5に、GTACCGCTCGAGATGTCTGTTCAATTGACCGATTCTAAGをCGS1−1にそれぞれ適用して、PCRにより調製された。同一の逆方向オリゴヌクレオチドAGTACGGGATCCTCAAATGGCTTCCAをCGS1−5およびCGS1−1の両方の型に使用した。
そこに記載される改変されたCGS1切断型は、図3に模式的に示される。
実施例2:切断型CGS1の突然変異体の調製
CGS1遺伝子の切断型は、pR316ベクター(Sikorski RS & Hieter P.、 Genetics. 1989、 122:19-27)に由来する酵母複製ベクターであるpAL06プラスミドへとクローン化された。pAL06プラスミドは、強力な酵母プロモーターであるTEF1の制御下にクローン化された遺伝子の発現を可能にする。CGS1ライブラリーは、Vartanian JPら(Nucleic Acids Res. 1996 24:2627-2631)により記載されるプロトコルを用いて、偏ったデオキシヌクレオチド三リン酸(deoxynucleotide triphosphate (dNTP))濃度を有する高変異誘発性PCRにより作製された。変異誘発性PCR時には、[dTTP]>[dCTP]バイアスおよび[dGTP]>[dATP]バイアスの両者ともに使用された。0.5mMのMnClの存在下に[dTTP]/[dCTP]=[dGTP]/[dATP]=1000μΜ/200μΜまたは[dTTP]/[dCTP]=[dGTP]/[dATP]=1000μΜ/150μΜのいずれかが使用された。
実施例3:O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールからL−メチオニンを産生し得る突然変異体のスクリーニング
CGS1ライブラリーは、メチオニンを補給されてはいるが、プラスミドマーカーに対して選択するべきウラシルを欠く最小限の培地において、酵母菌種YA247−5A (MAT−α、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、trp1、ura3) またはYA246−4A(MAT−a、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、thr4::loxP、trp1、ura3)に形質転換された。48時間の成長の後、細胞は採取され、洗浄され、その後メチルメルカプタンを硫黄源として有する最小の液体培地において再懸濁された。7日後、培養液は採取され、同じ液体培地内でOD600nmがおよそ0.2となるように希釈された。希釈サイクルは三回連続で行われた。
このようにして得られる成長酵母細胞内に存在するプラスミドは、次に抽出され、大腸菌へと増殖され、その後、これにより得られるDNAは、菌種YA247−5A (MAT−α、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、trp1、ura3)またはYA246−4A(MAT−a、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、thr4::loxP、trp1、ura3)を再形質転換するのに用いられた。次にこれら形質転換された酵母は、メチオニンを含有するがウラシルを欠く最小の固体培地上で選択された。次に、硫黄源であるメチルメルカプタンとともに個々のコロニーが成長する能力は、メタンチオールを硫黄源として有する液体培地に個々のクローンを成長させることにより評価された。それぞれの進化サイクルにおいて、メタンチオールの存在下に最高の成長速度を示す酵母コロニー内に含有されるプラスミドは、抽出され、配列決定された。選択された突然変異体は、in vitro分析用にYA247−5A菌種に形質転換され、新しい高変異誘発性PCR用の開始材料として用いられた。
上に述べたスクリーニングの手順に従って、多数のCSG1突然変異体が同定された。それらの突然変異体は、唯一の硫黄源であるメタンチオール上に成長することが可能であったので、O−ホスホ−L−ホモセリンおよびメタンチオールをL−メチオニンに転換する能力を有するものとみなされた。これらの突然変異体について、配列が決定された。それらの突然変異体は、以下の表1Aに要約されている。表1Aにおいて、突然変異の位置は、SEQ ID NO:3(CGS1−4)に与えられている配列を参照して示される。また、それらの突然変異体は図7A(A)、図7A(B)、図7B(A)、図7B(B)、図7C(A)、図7C(B)、図7D(A)及び図7D(B)(Figure 7)にも示されており、図7A(A)、図7A(B)、図7B(A)、図7B(B)、図7C(A)、図7C(B)、図7D(A)及び図7D(B)(Figure 7)において配列比較される。
以下の表1BAおよび表1BBでは、SEQ ID NO:1(CGS1)の全長配列を対象として分析されたものであり、かつ見出された突然変異の場所を示した、すべての突然変異体を列挙する。対応する開始配列に対する位置は、括弧内に示されている。
開始配列1−4は、SEQ ID NO:3に対応する。
開始配列1−5は、SEQ ID NO:4に対応する。
開始配列1−1は、SEQ ID NO:5に対応する。
以下の表1Cでは、SEQ ID NO:3(CGS1−4)の配列を対象として分析されたものであり、かつ見出された突然変異の場所を示した、すべての突然変異体を列挙する。対応する開始配列に対する位置は、括弧内に示されている。
実施例4:出芽酵母における酵素活性試験
上に述べた突然変異体のいずれかが出芽酵母菌種YA247−5A(MAT−α、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、trp1、ura3)およびYA246−4A(MAT−α、ade2、his3、leu2、met2::loxP、met6::HIS3、thr4::loxP、trp1、ura3)に発現することにより、それらの菌種はその栄養体要求性から解放される。
換言すれば、上に述べた突然変異体のいずれかが発現すると、メチオニン合成に関しては欠陥のある酵母菌種YA247−5AおよびYA246−4Aが、アデニン、ヒスチジン、ロイシン、トリプトファンおよびウラシルを補給された最小の培地上に成長する。
<試験の実験的設計>
突然変異体のヌクレオチド配列は、転写プロモーター(pTEF1)の下流側であって転写ターミネーター(tADH1)の上流側において、複製プラスミドpAL06 (pRS316の誘導体)へと個別にクローン化された。
このようにして得られた12個のプラスミドは、酵母菌種YA247−5AおよびYA246−4Aへと個別に形質転換された。形質転換体は、0.2mMのメチオニンを補給された培地A(Difco(登録商標)酵母窒素原礎6.7%、グルコース2%、アデニン0.3mM、ロイシン0.75mM、ヒスチジン1.3mM、トリプトファン0.1mM)において成長された。
次にこれら形質転換体のそれぞれは、0.05mMのメチオニンを補給された培地Aにおいて、あるいは0.1mMまたは1mMのメタンチオールを補給された培地Aにおいて接種された(OD590=0.015)。
成長は、光学濃度(Optical Density)を590nm(OD590)で経過観察することにより監視された。これら2つの培地におけるそれぞれのクローンの成長は、空ベクターpAL06を用いて形質転換されたネガティブコントロールYA246−4AまたはYA247−5Aの成長と比較された。メチオニンを有する培地Aでは、試験したすべての菌種は、およそ4時間の発生時間をもつ。たとえば、突然変異体CGS1−4(G84S)、AD242およびAD328を発現し、かつコントロールpAL06ベクターを有する菌種YA246−4Aの成長を図4に示す。
ホスホホモセリンを蓄積させる状況での成長:
0.1mMのメタンチオールを補給された培地Aにおいて、ホスホホモセリンを蓄積し、CGS1タンパク質突然変異体を発現する、YA246−4Aに基づく菌種の成長を図5に示す。
すべての場合において、コントロールCGS1−4(G84S)についても、pAL06プラスミドを有する菌種についても、成長は認められなかった。
CGS1−4ファミリー(図5(A))の場合、発生時間は、MUT19の13時間からMUT02の42時間の間の範囲に含まれる。CGS1−5ファミリー(図5(B))の場合、発生時間は、AD312およびAD313の9.5時間からAD310の12.5時間の間の範囲に含まれる。CGS1−1ファミリー(図5(C))の場合、発生時間は、AD242、AD328およびAD329のすべてにおいておよそ9.5時間である。
ホスホホモセリンを蓄積させない状況での成長:
1mMのメタンチオールまたは0.1mMのメタンチオールを補給された培地Aにおいて、ホスホホモセリンを蓄積しておらず、かつCGS1タンパク質突然変異体を発現する、YA247−5Aに基づく菌種の成長を図6(A)および図6(B)にそれぞれ示す。
1mMのメタンチオール補給の場合、CSG1−1についても、pAL06空ベクターで形質転換されたネガティブコントロールについても、成長は観測されない。発生時間は、AD242やAD328ではおよそ21時間であり、MUT27ではおよそ10.5時間であり、MUT24ではおよそ8時間である。0.1mMのメタンチオール補給の場合、MUT24およびMUT27突然変異体においてのみ成長が観測される。それらの発生時間は、それぞれ19時間と40時間となる。
実施例5:OPHS依存性メチオニンシンターゼのin vitro活性
酵母に発現される酵素のin vitro活性を、酵母の粗溶菌液中で試験した。
活性は、O−ホスホ−L−ホモセリン(OPHS)およびメタンチオール(CHSNa)の存在下に溶菌液中でのメチオニンの合成を監視することにより、経過観察された。酵母細胞YA246−5A、空のプラスミドpAL06を有する酵母細胞YA246−5A、CGS1−4を発現する酵母細胞YA246−5A、および突然変異体AD246、AD239、MUT24、MUT27、MUT67またはMUT79を発現する酵母細胞YA246−5Aからそれぞれ得られた溶菌液を比較した。
実験の手順:
溶菌液の調製
まず酵母細胞を完全培地において成長させた。初代培養液は、撹拌しながら28℃で16時間インキュベートした培地A(OD590nm=0.3)100mlに接種するのに用いられた。
タンパク質の総量は、ブラッドフォードアッセイを用いて決定された。
反応を開始させるために、総量が0.03〜0.06mgのタンパク質を、100mMのトリスpH8、0.2mMのリン酸ピリドキサール、5mMのCH3SNa、および25nMのOPHS(合計容積が100μl)中で15分間、37℃でインキュベートした。反応混合物中の10μlアリコートを15分後と60分後に採取し、90μlの過塩素酸を加えることによって反応を停止させた。これらのアリコートにおけるメチオニンの量は、13CMetを内部標準として用いてLCMSにより決定された。形成されたメチオニンの量は、アッセイで用いたタンパク質の量で定格化された。
結果を以下の表2に示す。
実施例6:ホモシステインシンターゼ活性を測定するためのin vitroアッセイ
酵母に発現される酵素のホモシステインシンターゼ活性を、酵母の粗溶菌液を用いたin vitroアッセイで試験した。
活性は、O−ホスホ−L−ホモセリン(OPHS)およびメタンチオール(CHSNa)の存在下に溶菌液中でのメチオニンの合成を監視することにより、経過観察された。酵母細胞YA246−5A、空のプラスミドpAL06を有する酵母細胞YA246−5A、CGS1−4を発現する酵母細胞YA246−5A、および突然変異体AD242、AD328、MUT24、MUT27、MUT67またはMUT79を発現する酵母細胞YA246−5Aからそれぞれ得られた溶菌液を比較した。
実験の手順:
溶菌液の調製
まず酵母細胞を完全培地において成長させた。初代培養液は、撹拌しながら28℃で16時間インキュベートした培地A(OD590nm=0.3)100mlに接種するのに用いられた。タンパク質の総量は、ブラッドフォードアッセイを用いて決定された。形成されたホモシステインの量は、比色アッセイにより決定される。
反応を開始するために、総量が0.03〜0.06mgのタンパク質を、0.1Mのトリスph8、0.2mMのリン酸ピリドキサール、10mMのNaS、および12.5mMのOPHS(合計100μl)中でインキュベートした。
インキュベートは30℃で15分間行う。
― (0.4NのHSOに溶解された)1%のNaNOを500μl添加し、5分間インキュベートする。
― NHSONHを100μl添加し、2分間インキュベートする。
― 1容積のHgClを750μl添加する。
― 4容積のスルファニルアミドを添加する。
― 2容積のN−(1−ナフチル)エチレンジアミン・ジヒドロクロリドを添加する。
15分間インキュベートする。
450nmにおけるODを読む(ホモシステインの量に比例して増加する。その量は、公知のホモシステインの範囲で得られた結果と比較して決定される)。
結果は、表3に示される。

Claims (7)

  1. L−メチオニンを産生する方法であって、O−ホスホ−L−ホモセリン(OPHS)およびメタンチオールが、以下の反応図式:
    O−ホスホ−L−ホモセリン + CH−SH <=> L−メチオニン + HPO
    に従ってL−メチオニンおよびHPOに酵素的に転換される、方法において、
    前記酵素的な転換は、突然変異によりシスタチオニンガンマシンターゼ(EC2.5.1.48)から由来するタンパク質である、OPHS依存性メチオニンシンターゼを用いて達成され、
    前記OPHS依存性メチオニンシンターゼは、
    (a)SEQ ID NOs:6〜29のいずれか一つに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質からなる群から選択される、方法。
  2. in vitroで実行される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記方法は、請求項1又は2に記載のタンパク質を産生する微生物を用いて実行されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. S−アデノシルメチオニンを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法を含み、かつL−メチオニンをS−アデノシルメチオニンに転換する工程をさらに有する、方法。
  5. システインを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法を含み、かつL−メチオニンをシステインに転換する工程をさらに有する、方法。
  6. グルタチオンを産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法を含み、かつL−メチオニンをグルタチオンに転換する工程をさらに有する、方法。
  7. 2−オキソ−4−メチルチオブタン酸を産生する方法であって、L−メチオニンを産生する、請求項1〜3のいずれか1つに記載の方法を含み、かつL−メチオニンを2−オキソ−4−メチルチオブタン酸に転換する工程をさらに有する、方法。
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