JP6438195B2 - トコジラミ用防除シート - Google Patents
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したがって、トコジラミの吸血被害を防止するには、トコジラミを生活空間内に持ち込まないことが重要であり、仮にトコジラミの棲息域に滞在した場合であっても、カバン類等にトコジラミが付着しないようにすることが、被害の防止に役立つと言える。
すなわち本発明は、以下の(1)〜(3)によって達成されるものである。
(1)表面の静摩擦係数が0.65以下であるシートからなることを特徴とするトコジラミ用防除シート。
(2)前記シートの周囲部が、設置水平面に対して立ち上がり部を有するように構成されている前記(1)に記載のトコジラミ用防除シート。
(3)前記シートは、折り込み加工、ジャバラ加工およびシワ加工から選択される少なくとも1つの加工が施されていることを特徴とする前記(2)に記載のトコジラミ用防除シート。
したがって本発明によれば、トコジラミを殺虫または忌避する薬剤を使用することなく、トコジラミを長期間にわたり良好に防除することができるトコジラミ用防除シートを提供することができる。
そこで本発明では、トコジラミの防除のために、表面の静摩擦係数が0.65以下であるシートを使用する。ここで「トコジラミを防除する」とは、トコジラミが本発明のトコジラミ用防除シートによって滑落し、ヒトやカバン類等へのトコジラミの接近、付着が防止されることを意味する。
なお本発明の静摩擦係数とは、JIS P8147(2010)に従う水平法により測定された値である。
本発明のシートにおいて、表面の静摩擦係数を0.65以下に調整する方法はとくに制限されず、例えば、公知の潤滑剤を表面に塗工する手段等が挙げられるが、簡便には、市販されている各種シートの中から表面の静摩擦係数が0.65以下であるシートを選択する方法が挙げられる。
また、本発明のシートの材質がプラスチックである場合、例えば、「ポリエチレンテレフタレートシート」京阪セロファン株式会社製(静摩擦係数=0.44)、「ポリプロピレンシート」凸版印刷株式会社製(静摩擦係数=0.17)等が挙げられる。
本発明のシートを用いてトコジラミを防除するには、該シートを設置水平面に対して垂直に又は傾斜させて設置すればよい。本発明のシートの周囲部が設置水平面に対して立ち上がり部を有するように該シートを構成するのが好ましい。
図1は、本発明のシートの使用形態の一例を説明するための図である。
図1(a)は、本発明のシートを用いて組み立てた箱状物の斜視図であり、図1(b)はその側面図である。図1(a)に示したように、箱状物10は、1つの底面部11および4つの側壁部12を有し、これらはいずれも本発明のシート1からなる。箱状物10は、天井面に開口部Pを有し、ここから防除対象物2が箱状物10の内部に設置される。本発明のシート1の周囲部、すなわち4つの側壁部12は、図1(b)に示したように、設置水平面Hに対して鉛直方向、すなわちθの角度がほぼ90°になっている。これにより、トコジラミが側壁部12から這い上がろうとしても滑落し、防除対象物2への接近、付着が防止され、トコジラミの防除が達成される。
図2は、本発明のトコジラミ用防除シートの使用形態の別の例を説明するための図である。
図2に示したように、第2実施形態では矩形状の本発明のシート1の4箇所を固定することにより、シートの周囲部に立ち上がり部13を形成している。立ち上がり部13を形成するためのシートの固定部14は、両面テープのような粘着性テープ又は面ファスナー、針金のような金属製ワイヤや形状保持性を有するプラスチックワイヤー等でシートを重ねて固定することにより得ることができる。このように構成した本発明のシート1の内側に防除対象物2を載置しておけば、本発明のシート1の設置面からシートを這い上ろうとしたトコジラミは立ち上がり部13で滑落するので、防除対象物2への接近、付着を防止することができる。
図3は、本発明のシートに折り込み加工を施した状態を説明するための図である。
図3に示したように、矩形状の本発明のシート1の4つの角部15を谷折り−山折り−谷折りの順に折り込み加工する。なお、折り込んだ幅に合わせて本発明のシート1の周縁から一定位置に谷折りの折り目を付けておくとよい。すると本発明のシート1の周囲部が設置水平面に対して立ち上がるように構成される。このように構成した本発明のシート1の上部に防除対象物2を載置しておけば、本発明のシート1の設置面からシートを這い上ろうとしたトコジラミは形成された立ち上がり部13で滑落するので、防除対象物2への接近、付着を防止することができる。
図4は、本発明のシートにジャバラ加工を施した状態を説明するための図である。
図4に示したように、本発明のシート1全体に山部16と谷部17からなるジャバラを設ける。シート全体にジャバラ加工を施すことにより、本発明のシート1の周囲部が設置水平面に対して立ち上がるように構成される。このように構成した本発明のシート1の上部に防除対象物2を載置しておけば、本発明のシート1の設置面からシートを這い上ろうとしたトコジラミは形成された立ち上がり部13で滑落するので、防除対象物2への接近、付着を防止することができる。
図5は、本発明のシートにシワ加工を施した状態を説明するための図である。
図5に示したように、本発明のシート1全体にシワ部18を設ける。シート全体にシワ加工を施すことにより、本発明のシート1の周囲部が設置水平面に対して立ち上がるように構成される。このように構成した本発明のシート1の上部に防除対象物2を載置しておけば、本発明のシート1の設置面からシートを這い上ろうとしたトコジラミは形成された立ち上がり部13で滑落するので、防除対象物2への接近、付着を防止することができる。
また、本発明において、本発明のシートの周縁を設置水平面から離間させるために、シートに形状保持性を有する支持部材を備えてもよい。
図6は、本発明のシートに形状保持性を有するプラスチックワイヤーを取り付けた例を示す図である。
図6に示したように、形状保持性を有するプラスチックワイヤー19が少なくともシートの周囲部に位置するように本発明のシート1に複数貼り付けられている。このようなシートを、プラスチックワイヤー19を立ち上げることでシートの周囲部に立ち上がり部13を形成し、使用時に、トコジラミの防除対象物2への接近、付着を防止することができる。
形状保持性を有する素材としては、熱可塑性樹脂を熱融着した変形物、形状保持線材等が挙げられ、使用の形態に合わせて適宜選定すればよい。
また、本発明のシートの材質がプラスチックである場合、本発明のシートの設置性を考慮すると、その厚さは、例えば、5mm以下、好ましくは0.005〜3mmであるのがよい。
各シート材について、JIS P8147(2010)に準じて、温度23±1℃、湿度50±2%の条件で静摩擦係数を測定した。なお、シート(試験片)の測定面は表面/表面の組み合わせとし、採取方向は縦方向とした。試験は3回行い、その平均値を求めた。結果を表1に示す。
前記シート材1〜7の各々の表面に、供試虫としてトコジラミ、チャバネアオカメムシ、シバンムシ、アミメアリ、オオズアリ、クロヤマアリおよびトビイロケアリを1匹ずつ乗せ、シート材を略垂直にし、供試虫の滑落の有無を確認した。
シート材を垂直にした時点で滑落した供試虫を「○」、滑落しなかった供試虫を「×」として評価した。結果を表2に示す。
試験例1で用いたシート材2(「リュウオーコート」大王製紙株式会社製(静摩擦係数=0.45、厚さ0.05mm、坪量55g/m2))およびシート材7(「ポリエチレンテレフタレートシート」京阪セロファン株式会社製(静摩擦係数=0.44、厚さ0.06mm)を縦21cm×横20cmに裁断し、それぞれ図3で示す折り込み加工(角部の折り込み高さ3cm)または図4で示すジャバラ加工(2cm間隔のジャバラ)を行い、実施例1〜4のトコジラミ防除用シートを作製した。
まず、底面にろ紙を貼ったプラスチックケース(縦34cm×横26cm×高さ11cm)にトコジラミ10頭を入れ、馴化させた。
続いて、実施例1〜4のトコジラミ防除用シートそれぞれをプラスチックケースの中央部におき、その上にシェルターを設置した。なお、本試験において、シェルターとはトコジラミを定着させるものであり、山折りした黒紙(5cm×5cm)を用いた。
24時間放置し、各トコジラミ防除用シート上に定着しているトコジラミの頭数をカウントした。比較例1として、シートを用いずに、シェルターのみを設置した試験を行い、シェルターに定着したトコジラミの等数をカウントした。
侵入阻止率(%)=(比較例のトコジラミ定着頭数−実施例のトコジラミ定着頭数)/(比較例のトコジラミ定着頭数)×100
2 防除対象物
10 箱状物
11 底面部
12 側壁部
13 立ち上がり部
14 固定部
15 角部
16 山部
17 谷部
18 シワ部
19 プラスチックワイヤー
H 設置水平面
P 箱状物の天井面の開口部
Claims (3)
- 水平面に対して垂直に又は傾斜させて使用されるトコジラミ用防除シートであって、
表面の静摩擦係数が0.65以下であるシートからなることを特徴とするトコジラミ用防除シート。 - 表面の静摩擦係数が0.65以下であるシートからなり、前記シートの周囲部が、設置水平面に対して立ち上がり部を有するように構成されていることを特徴とするトコジラミ用防除シート。
- 前記シートは、折り込み加工、ジャバラ加工およびシワ加工から選択される少なくとも1つの加工が施されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のトコジラミ用防除シート。
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