JP6438170B1

JP6438170B1 - 医療用マーカ

Info

Publication number: JP6438170B1
Application number: JP2018177362A
Authority: JP
Inventors: 重之尾崎
Original assignee: 重之尾崎
Priority date: 2018-09-21
Filing date: 2018-09-21
Publication date: 2018-12-12
Anticipated expiration: 2038-09-21
Also published as: JP2020044279A; WO2020059838A1

Abstract

【課題】医療用マーカにおいてペン先の視認性を確保することを目的とする。
【解決手段】医療用マーカ（１０、１０Ａ、１０Ｂ、１０Ｃ、１０Ｄ、１０Ｅ）は、術者によって把持され変形自在な筒形の胴体部（１００）と、前記胴体部の内部に設けられた気体の流路（３１０）と、前記胴体部の内部に設けられた、インクを保持する保持部（２１０）と、前記胴体部の端部に設けられ、生体組織に接触して前記インクを当該生体組織へ移動させるペン先（２００）と、前記端部に設けられ、前記気体を前記生体組織へ向かって放出する放出口（３００）とを有する。
【選択図】図１

Description

本発明は医療用マーカに関する。

外科手術に用いられ、縫合位置などを示す目印を生体組織に付すための医療用のペン（医療用マーカ、スキンマーカ等と呼ばれる）がある。

特開２０１８−２３７８６号公報

手術の内容や対象部位の場所や構造によっては、医療用マーカの扱い方（体内への挿入角度など）に制約があり、ペン先をマーキング対象の部位（以下、対象部位という）まで近づける際に、医療用マーカの胴体が邪魔して、ペン先が術者から見えづらい場合がある。具体的には、図９に示すように、術者から対象部位までの視線上に医療用マーカ９００が位置していると、ペン先と対象部位９９０との正確な位置関係が術者に把握しづらくなる。医療用マーカ９００を視線に対して傾けて動かすことができれば視認性は向上するが、他の生体組織が存在するなどの制約条件のため、そのような操作ができない状況もある。

このような場合、適切な形状の器具（鉗子等）を選択し、一般的なスキンマーカからペン先を取り外し、取り外したペン先を当該器具で掴んでマーキングを行うことも考えられる。しかし、ペン先のインク保持量は極めて少なく、また、対象部位の水分（血液の浸み出しや流れ込み）が原因で、ペン先が直ぐに使用不能になってしまう。この結果、手術中に何本ものスキンマーカを交換する必要があることも多く、手間やコストが無視できない。

このように、従来の医療用マーカでは、正確な位置に確実にマーキングを行うことが困難な場合があった。
本発明は、医療用マーカにおいてペン先の視認性を確保することを目的とする。

本発明は、一の態様において、術者によって把持され変形自在な筒形の胴体部と、前記胴体部の内部に設けられた気体の流路と、前記胴体部の内部に設けられた、インクを保持する保持部と、前記胴体部の端部に設けられ、生体組織に接触して前記インクを当該生体組織へ移動させるペン先と、前記端部に設けられ、前記気体を前記生体組織へ向かって放出する放出口とを有する医療用マーカを提供する。

本発明によれば、術者によるペン先の位置の視認が支援される。

医療用マーカ１０の断面図。胴体部１００を変形させた例。医療用マーカ１０の先端部を拡大した図。医療用マーカ１０Ａ−１の断面図。医療用マーカ１０Ａ−２の断面図。医療用マーカ１０Ｂの断面図。医療用マーカ１０Ｂの先端部の端面図。医療用マーカ１０Ｃの先端部の端面図。胴体部１００の先端部の端面図。医療用マーカ１０Ｅの断面図。従来の医療用マーカの例。

＜実施例＞
図１は、医療用マーカ１０の中心線断面図である。医療用マーカ１０は、胴体部１００と、ペン先２００と、インク保持部２１０と、流路３１０と、テーパー部３２０と、接続部３３０とを含む。

胴体部１００は、中空の細長筒形状である。好ましくは、その断面形状は円（円筒）であるが、楕円であっても多角形であってもよい。胴体部１００は、術者（執刀医、助手など医療用マーカ１０を用いてマーキングを行う者）によって把持される。胴体部１００は、術者が力を加えることで変形し、力を加えなくてもその形状を維持することができる変形自在な部材で形成される。具体的には、胴体部１００の素材自体が変形・保持機能を有してもよい。あるいは、胴体部１００を複数のパーツおよび各パーツを接続するジョイント部で構成し、ジョイントの角度を任意の位置で固定可能にすることで、全体として変形および保持機能を実現させてもよい。

同図に示す例においては、胴体部１００は、先端部から順に、Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３に区分される。そして、Ｐ２部分は把持しやすいようにある程度の径を実現するため先端部に比べて膨らんでいる。一方、Ｐ１部分は、先端部の視認性を確保するため、テーパー状に形成されている。

術者は、ペン先２００および対象部位の両者が見やすいように胴体部１００を適宜変形させた上で、対象部位まで運ぶことができる。

ホース４２０は、気体を貯蔵するボンベ(図示省略)と接続されるチューブ状の部材である。気体とは、好ましくは二酸化炭素であるが、少なくとも対象部位の表面を乾燥させることができれば、圧縮空気その他の気体であってもよい。アタッチメント４１０は、ホース４２０の先端に取り付けられる。術者は、手術室等において医療用マーカ１０を使用するに際し、接続部３３０とアタッチメント４１０を接続しておく。なお、ホース４２０には気体の流量を調節するためのコック機能（図示せず）を備えていてもよい。例えば、ホース４２０を挟んで押し付けることによってホースを変形させて断面積を変化させる機構を有するコックである。

胴体部１００の内部には、インク（染料、顔料）を保持するインク保持部２１０が設けられる。インク保持部２１０は、棒状に成型されたフェルトにインクを浸みこませたものとして実現される。この場合、インクの乾燥を防ぐため、胴体部１００の内部の気密性が保たれていることが好ましい。あるいは、インク保持部２１０は柱状の密閉容器にインクを充填させたものとして実現されてもよい。

胴体部１００の先端部には、円錐状に成型され、インク保持部２１０と接合されたペン先２００が設けられる。ペン先２００にはインク保持部２１０に保持されたインクが供給される。ペン先２００が対象部位に接触するとインクが当該対象部位に移動することで、対象部位にマーキングが施される。

なお、同図に示されたインク保持部２１０の、長さ、太さ、断面形状は一例であって、インク保持部２１０が胴体部１００内部に収容されていればよい。好ましくは、インク保持部２１０は胴体部１００の変形に応じて弾性変形することが好ましい。インク保持部２１０が変形を許容しない場合であっても、インク保持部２１０の変形許容限度内において、胴体部１００は変形可能である。例えば、図２のように、胴体部１００の先端部からインク保持部２１０の後端部に対応する位置までは胴体部１００を変形できず、当該位置から胴体部１００の後端部までは変形が許容されることが好ましい。

要するに、胴体部１００が変形しても、インク保持部２１０が破損等することなく、インクの保持および供給機能が害されない構造であればよい。

なお、図示は省略するが、医療用マーカ１０は、不使用時にペン先２００を乾燥から保護するためのキャップ部材を備えていてもよい。

胴体部１００の内部には、更に、気体の流路３１０が形成される。流路３１０は、ゴムやポリウレタン、ポリエチレン等の樹脂であって、胴体部１００の変形に伴って変形することが好ましい。

流路３１０の後端部にはテーパー部３２０が形成される。テーパー部３２０の後端部には、アタッチメント４１０と接続するための接続部３３０が設けられる。
好ましくは、接続部３３０は、雌型コネクタであって、雄型コネクタであるアタッチメント４１０に接続されるようになっている。具体的には、接続部３３０の内周面に突起とストッパーとが形成され、アタッチメント４１０を接続部３３０へ嵌め込むことで接続されてもよい。あるいは、接続部３３０は、その内周面にネジ加工が施され、対応するネジ加工が施されたアタッチメント４１０がネジ込まれる構成であってもよい。

また、胴体部１００の先端部には、流路３１０と接続され、接続部３３０から胴体部１００の内部に取り込んだ気体を対象部位へ向かって放出するための開口部である放出口３００が形成される。ホース４２０が接続部３３０に接続された状態でボンベのコックを開くと、ホース４２０を介して気体が流路３１０に流入して、接続部３３０から放出される。

図３は、医療用マーカ１０の先端部を拡大した図である。先端部の中央付近に円錐体であるペン先２００が配置され、その近傍に円形の放出口３００が設けられる。

本実施例によれば、対象部位に気体が噴射されることによって、当該対象部位の表面にある水分（血液等）が吹き飛ばされ、当該生体組織の表面が乾燥させられる。これにより、インクが表面に定着しやすくなる。また、気体として二酸化炭素を用いた場合、二酸化炭素は容易に血液中に溶け込むので、放出された二酸化炭素が患者の体内に蓄積されてしまう虞が小さい。

なお、胴体部１００の内部を中空にするのではなく、胴体部１００の変形によって流路３１０が詰まったインク保持部２１０が破損したりすることを防ぐために、インク保持部２１０、流路３１０、テーパー部３２０以外の空間を埋めてインク保持部２１０や流路３１０へかかる力を緩和するための部材（例えばウレタンなどの弾性体）が、胴体部１００内部に詰め込まれてもよい。

＜変形例＞
上述したインク保持部の２１０の長さは例示である。図４Ａは、インク保持部２１０に替えてインク保持部２１０Ａを有する医療用マーカ１０Ａ−１の断面図である。インク保持部２１０Ａは、その全体が変形する部材で構成され、胴体部１００の長さとほぼ同一の長さを有する。また、胴体部１００のほぼ全長を占める部分Ｐ２Ａは弾性変形可能となっている。医療用マーカ１０Ａにおいては、医療用マーカ１０に比べ、胴体部１００の変形の自由度が増すとともに、医療用マーカ１０よりもインクの保持容量が増え、医療用マーカ１０の寿命が長い。

図４Ｂに示す医療用マーカ１０Ａ−２は、Ｐ２が、中央が膨らんだ略樽形の弾性変形可能な部分Ｐ２Ｆと、略円柱形状で術者に把持され弾性変形しない部分Ｐ２Ｂとで構成されている点で、医療用マーカ１０と異なっている。これにより、ホールド感の向上と変形の自由度とが両立する。

図５は、医療用マーカ１０Ｂの断面図である。医療用マーカ１０Ｂにおいては、流路３１０が設けられていない。すなわち、胴体部１００の内部において、インク保持部２１０以外の空間全体が気体の流路となる。この場合、インクの乾燥を防止するため、インク保持部２１０はインクが充填された容器として実現される。

放出口の形状や個数は、上述の例に限らない。特に医療用マーカ１０Ｂにおいては、放出口の構成の自由度がある。例えば、図６Ａに示すように、矩形の放出口３００Ａを形成してもよい。

また、放出口の数は一つに限らない。例えば、図６Ｂに示すように、医療用マーカ１０Ｃは、ペン先２００の周囲の４か所に、放出口３００−１、３００−２、３００−３、３００−４を設けてもよい。

あるいは、図７に示す、医療用マーカ１０Ｄのように、ペン先２００の周囲を取り囲むように放出口３００Ｂを形成してもよい。

図８は医療用マーカ１０Ｅの断面図を示す。医療用マーカ１０Ｅは、流路３１０上に設けられ、気体の流量を調節するバルブ１９０と、術者によって操作され、バルブ１９０の開閉具合を調整する操作部１８０とを有する。例えば、操作部１８０はＯＮ／ＯＦＦ切り替えスイッチであり、バルブ１９０はスイッチ操作に応じてバルブの開け閉めのいずれかを選択する機構である。あるいは、操作部１８０は多段階または無段階的スライドスイッチであり、バルブ１９０によってスイッチ位置に対応するバルブ開放量が実現される。

術者は操作部１８０を操作することにより、放出口３００からの気体の放出量を調整することができる。対象部位が乾燥することに越したことはないが、ペン先が乾きすぎるとインクの出が悪くなることも考えられるところ、術者は、対象部位の状態やインク特性に応じて最適な乾燥度が実現されるように、気体放出量を調整することができる。
なお、対象部位への気体の噴射が不要である場合、ホース４２０を医療用マーカ１０等に接続せずに用いてもよい。

本発明に係る医療用マーカの用途は特に限定されないが、血管の内側等の視認性が悪い箇所にマーキングが必要となる手術において特に有効である。例えば、患者の心臓から採取した心膜から形成した弁尖素材を用いて大動脈弁を形成する大動脈再建術が挙げられる。

１０、１０Ａ−１、１０Ａ−２、１０Ｂ、１０Ｃ、１０Ｄ、１０Ｅ・・・医療用マーカ、１００・・・胴体部、１８０・・・操作部、１９０・・・バルブ、２００・・・ペン先、２１０・・・インク保持部、３００・・・放出口、３１０・・・流路、３２０・・・テーパー部、３３０・・・接続部、４１０・・・アタッチメント、４２０・・・ホース

Claims

術者によって把持され、変形自在な筒形の胴体部と、
前記胴体部の内部に設けられた気体の流路と、
前記胴体部の内部に設けられた、インクを保持する保持部と、
前記胴体部の端部に設けられ、生体組織に接触して前記インクを当該生体組織へ移動させるペン先と
前記端部に設けられ、前記流路内の気体を前記生体組織へ向かって放出する放出口と
を有する医療用マーカ。
前記保持部は変形自在である、
請求項１に記載の医療用マーカ。
前記胴体部の他の端部に設けられ、前記気体が供給される管と前記流路とを接続する接続部をさらに有する、
請求項１または２に記載の医療用マーカ。
前記胴体部に設けられ、前記気体の前記放出口からの放出量を調整する機構をさらに有する
請求項１ないし３のいずれか一つに記載の医療用マーカ。