JP6437729B2 - 絶縁異常診断装置 - Google Patents

絶縁異常診断装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6437729B2
JP6437729B2 JP2014053382A JP2014053382A JP6437729B2 JP 6437729 B2 JP6437729 B2 JP 6437729B2 JP 2014053382 A JP2014053382 A JP 2014053382A JP 2014053382 A JP2014053382 A JP 2014053382A JP 6437729 B2 JP6437729 B2 JP 6437729B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
value
unit
calculation unit
index value
frequency
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014053382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015175769A (ja
Inventor
幸夫 松下
幸夫 松下
友規 二村
友規 二村
康宏 小杉
康宏 小杉
鈴木 正美
正美 鈴木
Original Assignee
株式会社日本システム研究所
一般財団法人関東電気保安協会
康宏 小杉
康宏 小杉
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 株式会社日本システム研究所, 一般財団法人関東電気保安協会, 康宏 小杉, 康宏 小杉 filed Critical 株式会社日本システム研究所
Priority to JP2014053382A priority Critical patent/JP6437729B2/ja
Publication of JP2015175769A publication Critical patent/JP2015175769A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6437729B2 publication Critical patent/JP6437729B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、絶縁異常診断装置に関し、特に、音響センサにより検出される放電音の音響信号を解析して絶縁異常の診断を行う装置に用いて好適なものである。
一般に、絶縁物の絶縁抵抗値は新品ほど高く、老朽化に伴い低下する傾向がある。したがって、電気設備に含まれる絶縁物について絶縁抵抗値を測定することは、その電気設備の適正な交換時期を把握することにも役立つため、定期点検において実施されることが多い。しかし、絶縁抵抗値の測定は、通常は電気を停止したうえでなければ実施することができず、かつ電路に測定器具を接触させて実施するため、停電による設備稼働率の低下を招くとともに、誤操作による感電事故を引き起こす危険性がある。
そこで、絶縁物の絶縁抵抗値を通電状態かつ非接触で測定できるようにすることが、電気設備の稼動率向上および点検作業の作業性向上の観点から望まれている。従来、電気設備における絶縁物の絶縁抵抗劣化時に発生する放電を音響信号として捉え、放電検出を行うことによって絶縁異常を診断するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特許文献1に記載のコロナ放電検出装置は、コロナ放電が発生したときに生じる音響を検出する音響検出部と、音響検出部の検出信号から高周波成分を抽出して周辺ノイズを除去する高域通過フィルタと、ノイズ除去後の信号を整流によって包絡線検波し、コロナ放電音の強弱成分を抽出する整流器および低域通過フィルタと、強弱成分の中での電源周波数の2倍周波数成分の含有割合から、その音響の発生部位およびその様相を判定する中央演算処理装置とを備えている。
特許文献2に記載の絶縁劣化診断装置では、交流電気設備の絶縁劣化によって生じる部分放電音による空気振動を音響−光変換センサを用いて検出し、ハイパスフィルタによって、放電音の特徴となる超音波成分を抽出した後、包絡線検波することによって電源周波数の2倍の周波数のフーリエ級数を求める。そして、あらかじめ求めて記憶しておいた放電音響中の電源周波数の2倍の周波数成分値と放電電荷量との関係から、相当する放電電荷量に換算して、絶縁の劣化状況を判定する。
特許文献3に記載の部分放電検知器では、超音波を集音する超音波センサ(マイク)と、バンドパスフィルタと、検波回路と、商用電源周波数の2倍の周波数のみを通過させるフィルタ回路とを備え、特定の周波数以外を除去することで、部分放電に起因する振動波の情報のみを表示装置に表示させ、放電の判定を容易に行い得るようにしている。
特許文献4に記載の絶縁異常診断装置では、受電盤内で発生する部分放電に伴う超音波を音響センサで検出し、音響センサの出力信号のうち特定の周波数成分のみをフィルタ回路を介して抽出する。そして、抽出した信号を検波回路で包絡線検波して、電源周波数の2倍の周波数成分の信号を抽出し、抽出した信号をもとに受電盤の絶縁異常を診断するようにしている。
これらの特許文献1〜4に記載されているように、マイク等の音響センサで集音した音響信号に対してハイパスフィルタまたはバンドパスフィルタの処理を行うことにより、特定周波数領域のパルス成分を分離抽出することができる。さらに、FFT等を利用して包絡線検波を行い、電源周波数の2倍の周波数成分の信号を抽出することにより、虫の羽音、雨の滴り落ちる音などといった環境音による非放電性パルスをノイズとして除去することができる。
一方、電気機器の絶縁物から検出した放電音を高速フーリエ変換して得られる特定の周波数領域の放電音強度と、通電されている状態の電気機器の絶縁物の放電音強度と絶縁物の表面絶縁抵抗値との関係について予め記憶しておいた関係式とに基づいて、絶縁物の表面絶縁抵抗値を求めるようにした技術も提案されている(例えば、特許文献5参照)。この特許文献5に記載の技術によれば、電気機器への通電を行った状態で非接触にて絶縁抵抗値を測定することができる。
特開平9−233679号公報 特開2000−137053号公報 特開2001−305178号公報 特開2005−147890号公報 特開2012−168158号公報
しかしながら、これらの特許文献1〜5に記載の技術は何れも、電気設備においてマイク等の音響センサが設置される環境が放電音の検出に与える影響については何ら考慮されておらず、放電音の検出による絶縁異常の診断を正確に行うことができないという問題があった。
すなわち、音響センサは電気設備の固定の位置に設置される一方、電気設備に含まれる絶縁物のどこで絶縁異常が起きるかは不定である。そのため、絶縁異常により放電音が発生している箇所と音響センサとの距離は状況によって異なり、音響センサで検出される放電音の強度がその距離の違いによって影響を受ける。
また、例えば配電盤のように、狭スペースの中に配線や部品類が密集して設置されている電気設備では、絶縁異常により放電音が発生している箇所と音響センサとの間に音の伝達を妨げる干渉物が存在する場合がある。この場合も、音響センサで検出される放電音の強度は、その干渉物の存在の有無によって影響を受ける。
つまり、マイク等の音響センサで集音した音響信号を処理して得られる指標値は、放電音が発生している箇所と音響センサとの距離や、音響センサとの間にある干渉物の有無など、音響センサの設置環境の影響を受け、同じ物理状態(放電状態または絶縁抵抗値)でも指標値が変化する可能性がある。しかし、上記特許文献1〜5に記載の技術では、このような設置環境の影響は考慮されておらず、正確な指標値を求めることができない。その結果、実際の現場において発生し得る絶縁物の絶縁異常を正確に診断することができないという問題があった。
本発明は、このような問題を解決するために成されたものであり、電気設備における音響センサの設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができるようにすることを目的とする。
上記した課題を解決するために、本発明では、音響センサの出力信号に対してフィルタ処理および包絡線検波処理を行うことによって得られる周波数毎の信号の強度を表す強度値に基づいて、絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための強度の指標値を求める際に用いる強度の基準値を算出し、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号について、基準値に対する強度を算出することにより、絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための指標値を求めるようにしている。
上記のように構成した本発明によれば、電源周波数のn倍の周波数成分の信号の強度をそのまま指標値として用いるのではなく、音響センサが設置された現場において実際に検出された音響信号を処理して得られる周波数毎の信号の強度に基づいて基準値が算出され、当該基準値に対する信号の強度が指標値として算出される。そのため、算出される指標値は、電気設備における音響センサの設置環境による集音状況のバラツキの影響を抑制するように適宜補正された値となる。これにより、この指標値を用いて絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定することにより、電気設備における音響センサの設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができる。
第1の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。 ハイパスフィルタの処理例を示す図である。 放電パルスに対して包絡線検波を行った場合に得られるエンベロープを示す図である。 非放電パルスに対して包絡線検波を行った場合に得られるエンベロープを示す図である。 第1の実施形態による中央値を求める処理を説明するための図である。 第1の実施形態においてFFT処理部の出力信号から周波数毎に算出した基準値を示す図である。 周波数毎の信号の強度値から基準値を減算した結果得られるエンベロープを示す図である。 音響センサにより検出した様々な音響信号から算出した指標値の例を示す図である。 第2の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。 第2の実施形態によるフレーム内平均算出部およびフレーム間平均算出部の処理例を示す図である。 第3の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。 第4の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、第1の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。図1に示すように、第1の実施形態による診断システムは、音響センサ10、絶縁異常診断装置20および通信装置30を備えて構成されている。これらの音響センサ10、絶縁異常診断装置20および通信装置30は、何れも診断対象とする電気設備に設置される。
音響センサ10は、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出するものであり、例えばマイクにより構成される。絶縁異常診断装置20は、音響センサ10により検出された音響信号を処理することにより、絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための指標値を求めるものである。通信装置30は、絶縁異常診断装置20により算出された指標値を、保安センタ等に設置されたコンピュータに送信するものである。
保安センタ等に設置されたコンピュータでは、絶縁異常診断装置20から通信装置30を介して送信されてくる指標値に基づいて、電気設備に含まれる絶縁物に絶縁異常が発生しているか否かを診断する。例えば、指標値が所定の閾値より大きい場合に、絶縁異常が発生している可能性があると判定してアラームを行う。あるいは、指標値が所定の閾値より大きい状態が所定時間以上続いた場合に、絶縁異常が発生している可能性があると判定するようにしてもよい。
第1の実施形態では、音響センサ10による音響信号の検出は常時行っている。これに対し、絶縁異常診断装置20による指標値の算出は、所定の時間間隔毎に行う。あるいは、保安センタ等のコンピュータから通信装置30を介して絶縁異常診断装置20に対して指標値の算出命令を通知できるように構成し、この算出命令を絶縁異常診断装置20が受信したときに指標値の算出を行うようにしてもよい。
図1に示すように、絶縁異常診断装置20は、その機能構成として、ハイパスフィルタ11、絶対値処理部12、ローパスフィルタ13、FFT処理部14、基準値算出部15、特定周波数成分抽出部16および指標値算出部17を備えている。これらの機能ブロック11〜17は、ハードウェア、DSP(Digital Signal Processor)、ソフトウェア、またはその組み合わせの何れによっても構成することが可能である。第1の実施形態では、音響センサ10により検出される音響信号を、例えば96kHzのサンプリング周波数でA/D変換する。絶縁異常診断装置20は、A/D変換によりデジタル化された音響信号をデジタル信号処理するものとする。
ハイパスフィルタ11は、特許請求の範囲の「フィルタ部」に相当するものであり、音響センサ10の出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させる。例えば、ハイパスフィルタ11は、音響センサ10の出力信号に対して、5kHz以上の周波数成分を通過させる処理を行うことにより、低周波のノイズ成分を除去する。なお、ここではハイパスフィルタ11を用いているが、バンドパスフィルタを用いてもよい。
図2は、このハイパスフィルタ11の処理例を示す図である。図2(a)は、音響センサ10により検出された音響信号の波形を示す。図2(b)は、ハイパスフィルタ11の出力信号の波形を示す。図2に示したように、音響信号に対してハイパスフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上のパルス成分を音響信号から分離抽出することが可能である。
絶対値処理部12は、ハイパスフィルタ11の出力信号を絶対値化する。ローパスフィルタ13は、絶対値処理部12の出力信号に対してローパスフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以下(例えば、400Hz以下)の成分を通過させる。FFT処理部14は、ローパスフィルタ13の出力信号に対してFFT処理を行うことにより、時間軸の信号を周波数軸の信号に変換する。
これらの絶対値処理部12、ローパスフィルタ13およびFFT処理部14は、特許請求の範囲の「包絡線検波部」に相当する。すなわち、ハイパスフィルタ11の出力信号に対して、絶対値処理部12、ローパスフィルタ13およびFFT処理部14の処理によって包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する。図3および図4は、包絡線検波部の処理例を示す図である。
このうち、図3は、音響センサ10により放電音を検出した音響信号からハイパスフィルタ11により抽出した放電パルスに対して包絡線検波を行った場合に得られるエンベロープを示している。すなわち、図3(a)がハイパスフィルタ11の出力信号を示し、図3(b)がFFT処理部14の出力信号を示している。図3(b)から分かるように、放電パルスを包絡線検波すると、電源周波数(図3では50Hz)のn倍(n=1,2,3・・・)の周波数において特徴的なピークが発生する。
一方、図4は、音響センサ10により虫の羽音を検出した音響信号からハイパスフィルタ11により抽出した非放電パルスに対して包絡線検波を行った場合に得られるエンベロープを示している。すなわち、図4(a)がハイパスフィルタ11の出力信号を示し、図4(b)がFFT処理部14の出力信号を示している。図4(b)から分かるように、虫の羽音による非放電パルスを包絡線検波すると、どの周波数においても特徴的なピークは発生していない。
基準値算出部15は、包絡線検波部により検出された周波数毎の信号(FFT処理部14の出力信号)の強度を表す強度値に基づいて、強度の基準値を算出する。具体的には、基準値算出部15は、FFT処理部14により算出された周波数毎の信号に対してそれぞれ所定サイズの移動窓を設定し、当該移動窓に含まれる所定数の周波数成分の信号の強度に関する代表値を算出する。そして、算出した代表値を基準値とする。代表値は、例えば平均値、最小値、中央値、最大値などの何れとしてもよいが、中央値を用いるのが好ましい。
図5は、移動窓に含まれる所定数の周波数成分の信号の強度に関する中央値を求める処理を説明するための図である。図5(a)および(b)は、FFT処理部14により算出された周波数毎の信号の強度値を示す。ここでは、周波数f〜fに対する信号の強度値がそれぞれ−62,−63,−70,−63,−67,−69,−64,−66[dB]であることが示されている。
このようなFFT処理部14の出力信号に対して、5個の周波数が含まれるサイズの移動窓を順次設定し、各移動窓に含まれる5個の周波数成分の信号の強度に関する中央値を算出した結果が、図5(c)に示されている。代表値として中央値を算出する場合、移動窓は、それに含まれる周波数の数が奇数となるようにサイズを設定する。
1番目の移動窓に含まれる周波数成分の信号の強度値は、−62,−63,−70,−63,−67 [dB]の5個である。よって、この場合の中央値は−63[dB]となる。2番目の移動窓に含まれる周波数成分の信号の強度値は、−63,−70,−63,−67,−69 [dB] の5個である。よって、この場合の中央値は−67[dB]となる。3番目以降の移動窓に関しても同様に中央値が求められる。
図6は、図3(b)に示したFFT処理部14の出力信号から周波数毎に算出した基準値(中央値)を示す図である。図6において、符号61で示すエンベロープが周波数毎の信号の強度値(FFT処理部14の出力信号)であり、符号62で示すエンベロープがこのFFT処理部14の出力信号から求めた周波数毎の基準値である。
特定周波数成分抽出部16は、FFT処理部14の出力信号から、電源周波数のn倍(nは1以上の整数)の周波数成分を抽出する。第1の実施形態では、n=2とし、電源周波数の2倍(電源周波数が50Hzの場合は100Hz)の周波数成分を抽出する。100Hzの周波数成分を抽出するのは、n=2以外の他の周波数成分に比べてピークの強度が大きく、放電パルスの特徴が最も強く表れる周波数成分だからである。
指標値算出部17は、特定周波数成分抽出部16により抽出された100Hzの周波数成分の信号について、基準値算出部15により算出された基準値に対する強度を、絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための指標値として算出する。例えば、図5に示した例において、周波数fが100Hzであったとすると、当該周波数fの信号の強度値(−63[dB])から、基準値算出部15により基準値として算出された中央値(−67[dB])を減算することにより、4[dB]という値を指標値とする。
図7は、図6において符号61で示した周波数毎の信号の強度値から、符号62で示した周波数毎の基準値を減算した結果得られるエンベロープを示す。ただし、減算した結果が負の値となる場合は、値をゼロとしている。この図7に示すエンベロープのうち、100Hzの周波数における強度値が、指標値算出部17により算出される指標値ということになる。なお、ここでは基準値算出部15により周波数毎の基準値を算出しているが、指標値算出部17で使用する基準値は、100Hzの基準値のみである。そこで、基準値算出部15は、特定周波数成分抽出部16により抽出された電源周波数のn倍の周波数成分の信号についてのみ、基準値を算出するようにしてもよい。
図8は、音響センサ10により様々な音を検出して、それぞれの音について算出した指標値の例を示す図である。図8において、サンプルデータ(1−1)〜(1−5)は、音響センサ10により放電音を検出した場合に得られる音響信号である。また、サンプルデータ(2−1)〜(2−5)は、シャッターの開閉音、虫の羽音、雨の滴り落ちる音などの非放電音を音響センサ10により検出した場合に得られる音響信号である。
実施例は、これら10種類の音響信号から第1の実施形態により算出される100Hzの指標値を示している。すなわち、基準値算出部15により算出される基準値に基づいて100Hzの信号強度値を補正することによって指標値を算出した場合の数値を示している。これに対し、比較例は、同じ10種類の音響信号から従来の手法により算出される100Hzの指標値を示している。すなわち、FFT処理部14により算出される100Hzの信号強度値をそのまま指標値とした場合の数値を示している。
図8では、放電音に関するサンプルデータ(1−1)〜(1−5)から算出される指標値と、非放電音に関するサンプルデータ(2−1)〜(2−5)から算出される指標値との集合間距離も示している。集合間距離とは、放電音から得られる複数の指標値で形成される集合と、非放電音から得られる複数の指標値で形成される集合との距離をいう。ここでは集合間距離を、マハラノビス距離により算出している。
図8から分かるように、第1の実施形態を適用して算出した指標値に関する集合間距離は6.8、従来の手法により算出した指標値に関する集合間距離は1.4となっている。第1の実施形態を適用した方が集合間距離の値は大きくなっており、放電音の検出に有利なことが示されている。
以上詳しく説明したように、第1の実施形態では、音響センサ10の出力信号に対してフィルタ処理および包絡線検波処理を行うことによって得られる周波数毎の信号の強度を表す強度値に基づいて、強度の基準値を算出し、電源周波数のn倍の周波数成分の信号について、基準値に対する強度を算出することにより、絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための指標値を求めるようにしている。
このように構成した第1の実施形態によれば、音響センサ10が設置された現場において実際に検出された音響信号を処理して得られる周波数毎の信号の強度に基づいて基準値が算出され、当該基準値に対する信号の強度が指標値として算出される。そのため、算出される指標値は、電気設備における音響センサ10の設置環境による集音状況のバラツキの影響を抑制するように適宜補正された値となる。これにより、この指標値を用いて絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定することにより、電気設備における音響センサ10の設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができる。
また、図8に示したように、第1の実施形態によれば、放電音から得られる指標値と非放電音から得られる指標値との集合間距離を大きくすることもできる。これにより、指標値に基づいて、放電音が発生しているか否かの判定を行いやすくすることができる。すなわち、指標値算出部17により算出された指標値が放電音を示すものか否かを所定の閾値によって明確に区別することができるので、誤判定を少なくすることができる。
また、第1の実施形態では、絶縁異常診断装置20により指標値を算出し、それを通信装置30によって保安センタ等のコンピュータに送信している。そのため、電気設備が設置された現場に実際に出向いて音響信号を採取しなくても、現場から送られてくる指標値を用いて、絶縁物の絶縁異常の有無を診断することができる。
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図面に基づいて説明する。図9は、第2の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。なお、この図9において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図9に示すように、第2の実施形態による絶縁異常診断装置20は、図1に示した基準値算出部15に代えて第2の基準値算出部15Aを備えている。この第2の基準値算出部15Aは、その機能構成として、フレーム内平均算出部21およびフレーム間平均算出部22を備えている。また、第2の実施形態による絶縁異常診断装置20は、指標値算出部17に代えて指標値算出部17Aを備えている。
フレーム内平均算出部21は、絶対値処理部12の出力信号について、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に、信号の強度の平均値(以下、フレーム内平均値という)を算出する。フレーム間平均算出部22は、フレーム内平均算出部21によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出されたフレーム内平均値の平均値(以下、フレーム間平均値という)を算出する。
図10は、このフレーム内平均算出部21およびフレーム間平均算出部22の処理例を示す図である。図10に示す波形は、絶対値処理部12の出力信号を示すものである。フレーム内平均算出部21は、この出力信号を所定の時間毎に区切り、処理単位としてのフレームを設定する。m=0,1,2・・・で示す時間単位が各々フレームである。1つのフレームの中には、t=0〜N−1で示すN個のサンプリング値が含まれている。フレーム内平均算出部21は、フレーム毎に、このN個のサンプリング値の平均値を算出する。
フレーム間平均算出部22は、フレーム内平均算出部21によりフレーム毎に算出されたm個のフレーム内平均値の平均値を算出する。第2の実施形態では、このフレーム間平均算出部22により算出されたフレーム間平均値を、電源周波数のn倍の周波数成分の信号に対する基準値とする。
指標値算出部17Aは、電源周波数のn倍の周波数成分の信号について、フレーム間平均算出部22により算出された基準値に対する強度を算出することにより、指標値を求める。具体的には、特定周波数成分抽出部16により抽出された100Hzの信号の強度値から、第2の基準値算出部15Aにより算出された基準値を減算することにより、指標値を求める。
なお、第2の基準値算出部15Aによる基準値の算出(更新)タイミングは、任意に設定することが可能である。例えば、A)毎フレーム、B)1日に1回程度、C)電気設備の定期点検時、D)絶縁異常診断装置20の電気設備への設置時などが考えられる。あるいは、E)保安センタ等のコンピュータから通信装置30を介して絶縁異常診断装置20に対して基準値の算出命令を通知できるように構成し、この算出命令を絶縁異常診断装置20が受信したときに基準値の算出を行うようにしてもよい。
ただし、あまり頻繁に基準値を更新するのも好ましくないので、B)乃至E)のタイミングとするのが好ましい。B)乃至E)のタイミングで基準値を算出する場合は、フレーム間平均算出部22の後段に記憶部を設け、次回更新時まで基準値を記憶部に記憶させておく。なお、D)の場合は基準値の算出は最初の1回のみで、更新は無い。指標値算出部17Aは、記憶部に記憶された基準値を用いて指標値の算出を行う。この指標値算出部17Aによる指標値の算出タイミングを、第2の基準値算出部15Aによる基準値の算出タイミング(C,Dの場合を除く)と合わせるようにしてもよい。
このように構成した第2の実施形態においても、音響センサ10が設置された現場において実際に検出された音響信号を処理して得られる信号の強度に基づいて基準値が算出され、当該基準値に対する信号の強度が指標値として算出される。これにより、この指標値を用いて絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定することにより、電気設備における音響センサ10の設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができる。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図面に基づいて説明する。図11は、第3の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。なお、この図11において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図11に示すように、第3の実施形態による絶縁異常診断装置20は、図1に示した基準値算出部15に代えて第3の基準値算出部15Bを備えている。この第2の基準値算出部15Bは、その機能構成として、直流成分抽出部31および平均算出部32を備えている。また、第3の実施形態による絶縁異常診断装置20は、指標値算出部17に代えて指標値算出部17Bを備えている。
直流成分抽出部31は、FFT処理部14の出力信号について、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に直流成分を抽出する。フレームとは、第2の実施形態で説明したフレームと同じものである。また、フレーム毎に抽出する直流成分とは、ハイパスフィルタ11の出力信号をフレーム単位で区切り、各フレーム内の信号をFFT処理したときに得られる0Hzの周波数成分の強度値である。
平均算出部32は、直流成分抽出部31によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて抽出された直流成分の平均値を算出する。第3の実施形態では、この平均算出部32により算出された平均値を、電源周波数のn倍の周波数成分の信号に対する基準値とする。
指標値算出部17Bは、電源周波数のn倍の周波数成分の信号について、平均算出部32により算出された基準値に対する強度を算出することにより、指標値を求める。具体的には、特定周波数成分抽出部16により抽出された100Hzの信号の強度値から、第3の基準値算出部15Bにより算出された基準値を減算することにより、指標値を求める。
このように構成した第3の実施形態においても、音響センサ10が設置された現場において実際に検出された音響信号を処理して得られるフレーム毎の直流成分の強度に基づいて基準値が算出され、当該基準値に対する信号の強度が指標値として算出される。これにより、この指標値を用いて絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定することにより、電気設備における音響センサ10の設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができる。
なお、第3の基準値算出部15Bによる基準値の算出(更新)タイミングも、任意に設定することが可能である。例えば、A)毎フレーム、B)1日に1回程度、C)電気設備の定期点検時、D)絶縁異常診断装置20の電気設備への設置時、E)絶縁異常診断装置20が保安センタ等のコンピュータから基準値の算出命令を受信したときなどに基準値の算出を行うことが可能である。B)乃至E)のタイミングで基準値を算出する場合は、平均算出部32の後段に記憶部を設ける。指標値算出部17Bは、この記憶部に記憶された基準値を用いて指標値の算出を行う。この指標値算出部17Bによる指標値の算出タイミングを、第3の基準値算出部15Bによる基準値の算出タイミング(C,Dの場合を除く)と合わせるようにしてもよい。
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態を図面に基づいて説明する。図12は、第4の実施形態による絶縁異常診断装置を備えた診断システムの構成例を示すブロック図である。なお、この図12において、図1に示した符号と同一の符号を付したものは同一の機能を有するものであるので、ここでは重複する説明を省略する。
図12に示すように、第2の実施形態による絶縁異常診断装置20は、図1に示した基準値算出部15に代えて指標値校正部18を備えている。この指標値校正部18は、その機能構成として、校正値算出部41、校正値記憶部42および校正部43を備えている。また、第3の実施形態による絶縁異常診断装置20は、指標値算出部17に代えて指標値算出部17Cを備えている。
指標値算出部17Cは、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に指標値を算出する。フレームとは、第2の実施形態で説明したフレームと同じものである。また、フレーム毎に算出する指標値とは、ハイパスフィルタ11の出力信号をフレーム単位で区切り、各フレーム内の信号をFFT処理部14によりFFT処理したときに得られる100Hzの周波数成分の信号の強度値である。
校正値算出部41は、指標値算出部17Cによりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出された指標値の平均値を、指標値に対する校正値として算出する。例えば、電気設備が正常であることが確認されている状態(電気設備を新規に設置したときや、電気設備の点検整備を行った直後など)で、この校正値算出部41の処理を実施する。そして、校正値算出部41により算出された校正値を校正値記憶部42に記憶させる。
校正部43は、校正値記憶部42に校正値を記憶させた後に、指標値算出部17Cにより算出された指標値を、校正値記憶部42に記憶された校正値で校正する。すなわち、校正部43は、所定の時間間隔毎(例えば、フレーム間隔毎または1日に1回程度)または保安センタ等のコンピュータから通信装置30を介して指標値の算出命令が送られてきたときに指標値算出部17Cにより算出された指標値を、校正値記憶部42に記憶された校正値で校正する。具体的には、指標値算出部17Cにより算出された100Hzの信号の強度値から、校正値記憶部42に記憶された校正値を減算することにより、最終的な指標値を求める。
以上のように構成した第4の実施形態によれば、電気設備が正常状態のときに算出しておいた指標値に基づいて校正値が算出され、当該校正値により校正された信号の強度値が最終的な指標値として算出される。これにより、この指標値を用いて絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定することにより、電気設備における音響センサ10の設置環境によらず、電気設備に含まれる絶縁物の絶縁異常の診断をより正確に行うことができる。
なお、ここでは基準値算出部15に代えて指標値校正部18を備える例について説明したが、基準値算出部15に加えて指標値校正部18を備えるようにしても良い。この場合、指標値算出部17Cが所定の時間単位で区切ったフレーム毎に算出する指標値とは、ハイパスフィルタ11の出力信号をフレーム単位で区切り、各フレーム内の信号をFFT処理部14によりFFT処理したときに得られる100Hzの周波数成分の信号の強度値に対して、基準値算出部15により算出された基準値に基づき補正された値である。
また、第2の実施形態で説明した第2の基準値算出部15Aまたは第3の実施形態で説明した第3の基準値算出部15Bに加えて指標値校正部18を備えるようにしてもよい。この場合、指標値算出部17Cが所定の時間単位で区切ったフレーム毎に算出する指標値とは、ハイパスフィルタ11の出力信号をフレーム単位で区切り、各フレーム内の信号をFFT処理部14によりFFT処理したときに得られる100Hzの周波数成分の信号の強度値に対して、第2の基準値算出部15Aまたは第3の基準値算出部15Bにより算出された基準値に基づき補正された値である。
また、上記第1〜第4の実施形態では、指標値算出部17,17A,17B,17Cは、FFT処理部14の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つ。例えばn=2)の周波数成分の信号について指標値を算出する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、電源周波数のn倍(nは1以上の整数で複数個)の周波数成分の信号について複数の指標値を算出し、当該複数の指標値を組み合わせて最終的な1つの指標値を求めるようにしてもよい。
例えば、n=1,2,4として、50Hz、100Hzおよび200Hzの周波数成分の信号についてそれぞれ指標値を算出し、3つの指標値を加算することによって最終的な1つの指標値を算出する。このようにすることにより、ノイズに強い指標値を得ることができる。すなわち、100Hzの周波数成分にノイズが混在していたとしても、50Hzおよび200Hzの周波数について算出した指標値が加算されているので、ノイズの割合を相対的に小さくして影響を最小限に抑えることができる。
また、上記第1〜第4の実施形態では、絶縁異常診断装置20で算出した指標値を保安センタ等のコンピュータに送信し、当該コンピュータにおいて絶縁異常が発生しているか否かを診断する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、絶縁異常診断装置20において指標値に基づく閾値判定により絶縁異常の診断まで行い、その診断結果を保安センタ等のコンピュータに送信するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、絶縁異常診断装置20により算出された指標値そのものに基づいて絶縁異常の有無を判定する例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、絶縁異常診断装置20により算出された指標値と、指標値と絶縁物の絶縁抵抗値との関係についてあらかじめ定めた関係式または参照テーブルとに基づいて絶縁抵抗値を算出し、この絶縁抵抗値に基づいて絶縁異常の有無を判定するようにしてもよい。
絶縁抵抗値を算出する場合、第1〜第4の実施形態の中の何れか複数の方法によって指標値を並行して算出し、さらにそれらの指標値から上述の関係式または参照テーブルに基づいて絶縁抵抗値をそれぞれ算出するようにしてもよい。そして、このように算出した複数の絶縁抵抗値のうち、例えば最も小さい絶縁抵抗値(つまり、絶縁異常が発生している可能性が最も高いことを示している値)に基づいて、絶縁異常の有無を判定するようにしてもよい。あるいは、複数の絶縁抵抗値の平均値を算出し、この平均値に基づいて絶縁異常の有無を判定するようにしてもよい。
また、絶縁抵抗値を算出する場合、絶縁抵抗値の時系列的な変化を監視し、絶縁抵抗値が低下傾向を示していることを検知できた場合に、絶縁異常が今後発生する可能性があることを予兆診断するようにしてもよい。
その他、上記第1〜第4の実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
10 音響センサ
11 ハイパスフィルタ(フィルタ部)
12 絶対値処理部(包絡線検波部)
13 ローパスフィルタ(包絡線検波部)
14 FFT処理部(包絡線検波部)
15,15A,15B 基準値算出部
16 特定周波数成分抽出部
17,17A,17B,17C 指標値算出部
18 指標値校正部
20 絶縁異常診断装置
21 フレーム内平均算出部
22 フレーム間平均算出部
30 通信装置
31 直流成分抽出部
32 平均算出部
41 校正値算出部
42 校正値記憶部
43 校正部

Claims (11)

  1. 絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出する音響センサの出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させるフィルタ部と、
    上記フィルタ部の出力信号に対して包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する包絡線検波部と、
    上記包絡線検波部により検出された周波数毎の信号の強度を表す強度値に基づいて、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための強度の指標値を求める際に用いる強度の基準値を算出する基準値算出部と、
    上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号について、上記基準値算出部により算出された上記基準値に対する強度を算出することにより、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための上記指標値を求める指標値算出部とを備え、
    上記基準値算出部は、上記包絡線検波部により検出された周波数毎の信号に対して所定サイズの移動窓を設定し、当該移動窓に含まれる所定数の周波数成分の信号の強度に関する代表値を算出することにより、当該代表値を上記基準値とすることを特徴とする絶縁異常診断装置。
  2. 上記代表値は中央値であることを特徴とする請求項1に記載の絶縁異常診断装置。
  3. 上記基準値算出部は、上記電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号についてのみ上記基準値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の絶縁異常診断装置。
  4. 絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出する音響センサの出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させるフィルタ部と、
    上記フィルタ部の出力信号を絶対値化する絶対値処理部と、

    上記フィルタ部の出力信号に対して包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する包絡線検波部と、
    第2の基準値算出部と、
    上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号について、上記第2の基準値算出部により算出された基準値に対する強度を算出することにより、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための指標値を求める指標値算出部とを備え、
    上記第2の基準値算出部は、
    上記絶対値処理部の出力信号について、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に、信号の強度のフレーム内平均値を算出するフレーム内平均算出部と、
    上記フレーム内平均算出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出されたフレーム内平均値をさらに平均化することによりフレーム間平均値を算出し、当該フレーム間平均値を、上記電源周波数のn倍の周波数成分の信号に対する基準値とするフレーム間平均算出部とを備えたことを特徴とする絶縁異常診断装置。
  5. 絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出する音響センサの出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させるフィルタ部と、
    上記フィルタ部の出力信号に対して包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する包絡線検波部と、
    第3の基準値算出部と、
    上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号について、上記第3の基準値算出部により算出された基準値に対する強度を算出することにより、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための指標値を求める指標値算出部とを備え、
    上記第3の基準値算出部は、
    上記包絡線検波部の出力信号について、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に直流成分を抽出する直流成分抽出部と、
    上記直流成分抽出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて抽出された直流成分の平均値を算出し、当該平均値を、上記電源周波数のn倍の周波数成分の信号に対する基準値とする平均算出部とを備えたことを特徴とする絶縁異常診断装置。
  6. 絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出する音響センサの出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させるフィルタ部と、
    上記フィルタ部の出力信号に対して包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する包絡線検波部と、
    指標値校正部と、
    上記包絡線検波部の出力信号を所定の時間単位で区切ったフレーム毎に、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号の強度を算出することにより、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための指標値を求める指標値算出部とを備え、
    上記指標値校正部は、
    上記指標値算出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出された指標値の平均値を、上記指標値に対する校正値として算出する校正値算出部と、
    上記指標値算出部により算出された指標値を、上記校正値算出部により算出された校正値で校正する校正部とを備えたことを特徴とする絶縁異常診断装置。
  7. 指標値校正部を更に備え、
    上記指標値算出部は、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に上記指標値を算出し、
    上記指標値校正部は、
    上記指標値算出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出された指標値の平均値を、上記指標値に対する校正値として算出する校正値算出部と、
    上記指標値算出部により算出された指標値を、上記校正値算出部により算出された校正値で校正する校正部とを備えたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の絶縁異常診断装置。
  8. 上記第2の基準値算出部に代えて、または加えて、指標値校正部を備え、
    上記指標値算出部は、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に上記指標値を算出し、
    上記指標値校正部は、上記指標値算出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出された指標値の平均値を、上記指標値に対する校正値として算出する校正値算出部と、
    上記指標値算出部により算出された指標値を、上記校正値算出部により算出された校正値で校正する校正部とを備えたことを特徴とする請求項4に記載の絶縁異常診断装置。
  9. 上記第3の基準値算出部に代えて、または加えて、指標値校正部を備え、
    上記指標値算出部は、所定の時間単位で区切ったフレーム毎に上記指標値を算出し、
    上記指標値校正部は、上記指標値算出部によりm個(mは2以上の任意の整数)のフレームについて算出された指標値の平均値を、上記指標値に対する校正値として算出する校正値算出部と、
    上記指標値算出部により算出された指標値を、上記校正値算出部により算出された校正値で校正する校正部とを備えたことを特徴とする請求項5に記載の絶縁異常診断装置。
  10. 絶縁物の絶縁異常により放電が発生したときに生じる放電音を検出する音響センサの出力信号に対してフィルタ処理を行うことにより、所定の周波数以上の成分を通過させるフィルタ部と、
    上記フィルタ部の出力信号に対して包絡線検波を行うことにより、周波数毎の信号の強度を検出する包絡線検波部と、
    上記包絡線検波部により検出された周波数毎の信号の強度を表す強度値に基づいて、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定するための強度の指標値を求める際に用いる強度の基準値を算出する基準値算出部と、
    上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数の1つまたは複数)の周波数成分の信号について、上記基準値算出部により算出された上記基準値に対する強度を算出することにより、上記絶縁物の絶縁異常が発生しているか否かを判定する際に閾値と対比するための上記指標値を求める指標値算出部とを備え、
    上記指標値算出部は、上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数で複数個)の周波数成分の信号について複数の指標値を算出し、当該複数の指標値を組み合わせて最終的な1つの指標値を求めることを特徴とする絶縁異常診断装置。
  11. 上記指標値算出部は、上記包絡線検波部の出力信号のうち、電源周波数のn倍(nは1以上の整数で複数個)の周波数成分の信号について複数の指標値を算出し、当該複数の指標値を組み合わせて最終的な1つの指標値を求めることを特徴とする請求項1〜9の何れか1項に記載の絶縁異常診断装置。
JP2014053382A 2014-03-17 2014-03-17 絶縁異常診断装置 Expired - Fee Related JP6437729B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014053382A JP6437729B2 (ja) 2014-03-17 2014-03-17 絶縁異常診断装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014053382A JP6437729B2 (ja) 2014-03-17 2014-03-17 絶縁異常診断装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015175769A JP2015175769A (ja) 2015-10-05
JP6437729B2 true JP6437729B2 (ja) 2018-12-12

Family

ID=54255075

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014053382A Expired - Fee Related JP6437729B2 (ja) 2014-03-17 2014-03-17 絶縁異常診断装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6437729B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6833420B2 (ja) * 2016-09-16 2021-02-24 株式会社東芝 監視システム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4429578A (en) * 1982-03-22 1984-02-07 General Electric Company Acoustical defect detection system
JPS62268538A (ja) * 1986-05-15 1987-11-21 富士通株式会社 超音波媒体特性値測定装置
JPH09127181A (ja) * 1995-10-30 1997-05-16 Kawasaki Steel Corp 電力設備のコロナ放電検出装置
JP4869091B2 (ja) * 2007-01-30 2012-02-01 株式会社東芝 電気設備の絶縁異常診断システム

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015175769A (ja) 2015-10-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5306802B2 (ja) 高電圧電力機器の極超短波部分の放電及び放電位置測定装置
US9482647B2 (en) Gear fault detection
KR101436190B1 (ko) 롤링 베어링 대미지 검측 및 자동 식별 방법
TWI587294B (zh) 設備異音的檢測方法及檢測裝置
CN110458248B (zh) 基于多测点振动信号的变压器异常状态检测方法
CN106546892A (zh) 基于深度学习的局部放电超声音频识别方法及系统
JP2012058046A (ja) 電力機器の異常診断装置
KR101129466B1 (ko) 웨이블렛 스레스홀딩 함수와 4차 모멘트를 이용한 회전기계의 상태 진단 방법
KR101789900B1 (ko) 부분 방전 계측 장치, 부분 방전 계측 방법, 및 프로그램
KR101317476B1 (ko) 케이블 온라인 부분 방전 진단 시스템 및 방법
EP2982971B1 (en) Ultrasonic flaw-detection method and device by setting of gates
JP6633006B2 (ja) 部分放電監視装置および部分放電監視方法
JP6789872B2 (ja) 分析方法、分析装置、およびプログラム
KR101531641B1 (ko) 전력케이블 부분방전 측정장치 및 이를 이용한 측정방법
JP6605855B2 (ja) 絶縁異常診断装置
JP4869091B2 (ja) 電気設備の絶縁異常診断システム
KR20130112306A (ko) 전력 기기 음향 진단 장치 및 방법
JP2019067197A (ja) 故障予兆検知手法
KR101663820B1 (ko) 사운드 신호를 이용하여 기계 장치를 진단하는 방법 및 장치
JP2010266327A (ja) 設備診断装置及び設備診断方法
JP6437729B2 (ja) 絶縁異常診断装置
WO2015011791A1 (ja) 異常検知評価システム
KR100665879B1 (ko) 전력기기의 부분 방전 검출 및 처리 장치
KR20120012103A (ko) 가스절연 개폐장치의 부분방전원 자동 위치 표시장치
JP2011185846A (ja) 基準値作成装置及び基準値作成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20171011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171031

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20171228

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20180529

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180831

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20180921

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181115

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6437729

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees