JP6437254B2 - イネーブルスイッチ - Google Patents
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Description
イネーブルスイッチは、スイッチがオンしているときのみクレーンやホイストの動作が可能であり、クレーンやホイストの異常な動作に対して、スイッチをオフにするとクレーンやホイストの動作が止まるというもので、安全作業の一つの手段となっている。
そこで、手を離しても停止し、また逆に押し込んでも停止するという3ポジションのイネーブルスイッチが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、当該スイッチの機能に関しては、日本工業規格(JIS C8201−5−8:2009)として規定され、更に厚生労働省の「機械の包括的な安全基準に関する指針」にも使用が推奨されている。
押釦の内部における押釦の押込方向側に臨ませた通常位置とその通常位置から押釦の押込方向と反対側に所定距離押し上げた非常位置との間で往復動可能に押釦に組み込まれる往復可動台と、往復可動台を非常位置へと移動させる移動機構と、往復可動台に配設される可動接点と、押釦が第2ポジションから第3ポジションへと押し込まれる際に往復可動台を通常位置から非常位置に向けて押し上げ可能に接点台に設けられる突起物とを備え、
移動機構は、往復可動台の往復経路に沿う押釦の内面に当接可能に往復可動台に形成された貫通孔内に組み込まれた2個のスチールボールからなる当接部材と、該2個のスチールボールからなる当接部材の間に配置され、当該当接部材を押釦の内面に押し付けるように付勢する圧縮コイルばねからなるばね部材と、往復可動台が通常位置から非常位置に向けて押し上げられる際に当接部材が乗り越えるように押釦の内面に、2個のスチールボールからなる当接部材がそれぞれ当接するように突設される山部とを備えてなり、当接部材が山部を乗り越える際にばね部材に蓄勢力が蓄えられるようにし、当接部材が山部を乗り越えると、ばね部材に蓄えられた蓄勢力を当接部材を介して山部の断面が直線状をなす斜面に作用させて往復可動台を非常位置へと跳ね上げるようにしてなり、
押釦を第1ポジションから第2ポジションへと押し込むと、通常位置にある往復可動台に配設された可動接点が接点台の固定接点に接触して通電するようにし、押釦を第2ポジションから第3ポジションへと更に押し込むと、接点台に設けられた突起物によって往復可動台が通常位置から非常位置に向けて押し上げられるに伴い移動機構の作動で往復可動台が非常位置へと移動されることにより、固定接点に接触していた可動接点が離れて通電状態を解除するようにしたことを特徴とする。
図1(a)〜(d)に示されるイネーブルスイッチ1は、例えば、クレーンやホイスト等に装備されるペンダントスイッチに組み込まれて使用されるものであって、接点台2と押釦3とを備え、オフ−オン−オフの3ポジション動作が可能とされている。
図3に示されるように、接点台2は、箱形構造を呈しており、中央には、押釦3を上下に往復摺動可能に収容する押釦収容部4が形成され、上部には、左右に張り出すように左右の取付用フランジ5が形成され、左右両側部には、取付用フランジ5の下方で左右に張り出すように左右一対の接点金具取付部6が形成されるとともに、該接点金具取付部6の後側に位置するように同様の左右一対の接点金具取付部6´が形成されている。
また、後側の左右一対の接点金具取付部6´と対向する左右の取付用フランジ5の下面には、取付用フランジ5と一体化した所定肉厚のストッパ部9が形成されている。
図3に示されるように、前側の左右一対の接点金具取付部6には、補助接点用の固定接点台金11が端子ねじ13によって締結固定され、後側の左右一対の接点金具取付部6´には、主接点用の固定接点台金12が同様に端子ねじ13によって締結固定されている。
補助接点用の固定接点台金11には、導電性に優れる金属製の接点リベットよりなる補助接点用の固定接点14がかしめられて固定され、主接点用の固定接点台金12には、同様にして主接点用の固定接点15が固定されている。
なお、本例においては、接点台2の右側で前後に並んで配置される2つの固定接点台金11,12が短絡板16によって通電可能状態に接続されている。
押釦3は、接点台2の押釦収容部4内で前後に配設される押釦復帰用ばね17によって上方に付勢された状態でその押釦収容部4の内部に上下に摺動自在に差し込まれ、押釦3を押していない状態の第1ポジションから押釦3をイネーブル位置である中間位置に押している状態の第2ポジションを経て押釦3を完全に押している状態の第3ポジションに押込可能に接点台2に組み込まれている。
押釦3の上部には、往復可動台収容部18の天面から上方に所要奥行寸法で非貫通に掘り込まれたガイド穴19が形成されている。
押釦3の前部には、上方及び下方が閉鎖される一方で左右に開放された所要の収容スペースを有するばね収容部20が形成されている。
イネーブルスイッチ1には、使用者が押釦3の第1、第2及び第3ポジションの各位置を自覚することができるようにするために、押釦3の押し込みの際にクリック感を付与するクリック機構21が装備されている。
クリック機構21は、主に、左右に配されるスチールボール22、ばね部材(圧縮コイルばね)23、上側の段差部24及び下側の段差部25により構成されている。
上側の段差部24は、押釦3が第1ポジションにあるときに左右一対のスチールボール22と係合するように押釦収容部4の内面に左右に対称に形成され、下側の段差部25は、押釦3が第2ポジションにあるときに左右一対のスチールボール22と係合するように押釦収容部4の内面に左右に対称に形成されている。
往復可動台収容部18の内部には、往復可動台30が上下に摺動自在に組み込まれている。
往復可動台30は、可動台本体部30aと、可動台本体部30aの上面に一体的に立設されるガイドロッド部30bとよりなり、ガイドロッド部30bが押釦3のガイド穴19に差し込まれ、可動台本体部30aが往復可動台収容部18内に納められている。
往復可動台30は、ガイド穴19とガイドロッド部30bとによる案内によって、押釦3の押込方向側に臨ませた通常位置とその通常位置から押釦3の押込方向と反対側に所定距離押し上げた非常位置との間でスムーズに往復運動することができる。
可動台本体部30aには、上方及び下方が閉鎖される一方で左右に開放された所要の収容スペースを有するばね収容部31が形成されている。
図2に示されるように、接点台2における押釦収容部4の底面には、往復可動台30(可動台本体部30a)と対向するように突起物32が突設されており、押釦3が第2ポジションから第3ポジションへと押し込まれる際に、往復可動台30が突起物32によって通常位置から非常位置に向けて押し上げられるようになっている。
イネーブルスイッチ1には、往復可動台30を非常位置へと移動させる移動機構35が装備されている。
移動機構35は、主に、前後に配されるスチールボール36(本発明の「当接部材」に相当する。)、ばね部材(圧縮コイルばね)37及び山部38により構成されている。
山部38は、往復可動台30が通常位置から非常位置に向けて押し上げられる際に前後のスチールボール36が乗り越えるように往復可動台収容部18の内面に前後に対称に形成されている。
押釦3の前部には、補助接点用の可動接点台金40が組み込まれ、往復可動台30には、主接点用の可動接点台金41が組み込まれている。
また、主接点用の可動接点台金41は、可動台本体部30aのばね収容部31内を通り抜けた状態で接点台2に配設された後側の左右一対の固定接点15に跨るように接点台2の第2貫通孔8内に配され、ばね収容部31内に組み込まれたばね部材(圧縮コイルばね)43によってばね収容部31の底面を押し付けるように下向きに付勢された状態で組み込まれている。
以上に述べたように構成されるイネーブルスイッチ1の押釦3の操作に伴うスイッチング動作について、主に、図4〜図6を用いて以下に説明する。
図4(a)及び(d)に示されるように、押釦3が第1ポジションにあるときには、往復可動台30は通常位置で待機しており、このとき、可動接点45と固定接点15とは離れており、これらの接点15,45で構成される主接点50は開いている。
図4(b)及び(e)に示されるように、押釦3をイネーブル位置である第2ポジションにまで押し込むと、往復可動台30は通常位置で待機したままの状態で押釦3と共に押し込まれ、往復可動台30は突起物32に接触する位置まで下降されるとともに、可動接点45が固定接点15に接触して主接点50が閉じる。
図4(c)及び(f)に示されるように、押釦3を第2ポジションから第3ポジションへと更に押し込むと、突起物32によって往復可動台30が通常位置から非常位置に向けて押し上げられる。
このとき、図2に示されるように、前後のスチールボール36が山部38を乗り越える際に前後のスチールボール36を介してばね部材37が圧縮されて該ばね部材37に蓄勢力が蓄えられ、前後のスチールボール36が山部38を乗り越えると、ばね部材37に蓄えられた蓄勢力が前後のスチールボール36を介して山部38の上側の斜面38aに作用して往復可動台30が非常位置へと跳ね上げられて移動される。
こうして、往復可動台30が非常位置へと速やかに移動する移動作用により、図4(f)に示されるように、可動接点45が固定接点15から瞬時に離れて主接点50が開く。
図5(a)及び(d)に示されるように、押釦3が第3ポジションから第2ポジションへと復帰する過程において、初期の段階では押釦3と共に往復可動台30が上昇するが、押釦3が第2ポジションに位置されると、往復可動台30に配設された可動接点台金41が接点台2のストッパ部9に衝突して往復可動台30の上昇動作が止められる。
図5(b)及び(e)に示されるように、押釦3が第2ポジションから第1ポジションへと復帰する過程においては、ストッパ部9によって可動接点台金41を介して往復可動台30の上昇動作が止められる一方で押釦3は単体でそのまま上昇を続けるため、押釦3に対し往復可動台30が相対的に下降されることとなり、往復可動台30が非常位置から通常位置に向けて移動する。
図5(c)及び(f)に示されるように、押釦3が第1ポジションに完全に復帰すると、往復可動台30が通常位置に復帰する。
図6(d)及び(e)に示されるように、押釦3が第1ポジション及び第2ポジションにあるときには、いずれも可動接点44と固定接点14とが離れており、これらの接点14,44で構成される補助接点51は開いている。
図6(f)に示されるように、押釦3が第3ポジションにまで押し込まれると、可動接点44が固定接点14に接触して補助接点51が閉じる。
図4(d)及び図6(d)に示されるように、押釦3が第1ポジションにあるときには、主接点50及び補助接点51の両方が開いているので、主接点50及び補助接点51のいずれの通電信号も無ければ、押釦3が第1ポジションに位置していると識別することができる。
また、図6(b)〜(c)に示されるように、押釦3を第2ポジションから第3ポジションへと押し込む際にスチールボール22が下側の段差部25を乗り越えようとしてクリック感が発生するので、使用者は、押釦3を第2ポジションから第3ポジションに押し込んだことを認識することができる。
本実施形態のイネーブルスイッチ1によれば、押釦3を第2ポジションから第3ポジションへと押し込むと、接点台2に突設された突起物32によって往復可動台30が通常位置から非常位置に向けて押し上げられるに伴い移動機構35の作動で往復可動台30が非常位置へと移動されて可動接点45が固定接点15から瞬時に引き離されるので、押釦3をイネーブル位置(第2ポジション)から更に押し込んだ瞬間に、より速やかに通電状態を解除することができる。
例えば、図7に示されるようなペンダントスイッチ60において、他のスイッチ61と取付構造を共通化することにより、ペンダントスイッチ60の一番上にイネーブルスイッチ1を装着するようにしたり、図8に示されるように、イネーブルスイッチ1を一番下に装着するようにしたりする等、使い勝手に応じた自由なレイアウトが可能となる。
2 接点台
3 押釦
14 固定接点(補助接点用)
15 固定接点(主接点用)
30 往復可動台
32 突起物
35 移動機構
36 スチールボール(当接部材)
37 ばね部材
38 山部
44 可動接点(補助接点用)
45 可動接点(主接点用)
50 主接点
51 補助接点
Claims (1)
- 固定接点が配設された接点台に押釦を第1ポジションからイネーブル位置である第2ポジションを経て第3ポジションに押込可能に組み込んでなるイネーブルスイッチにおいて、
押釦の内部における押釦の押込方向側に臨ませた通常位置とその通常位置から押釦の押込方向と反対側に所定距離押し上げた非常位置との間で往復動可能に押釦に組み込まれる往復可動台と、往復可動台を非常位置へと移動させる移動機構と、往復可動台に配設される可動接点と、押釦が第2ポジションから第3ポジションへと押し込まれる際に往復可動台を通常位置から非常位置に向けて押し上げ可能に接点台に設けられる突起物とを備え、
移動機構は、往復可動台の往復経路に沿う押釦の内面に当接可能に往復可動台に形成された貫通孔内に組み込まれた2個のスチールボールからなる当接部材と、該2個のスチールボールからなる当接部材の間に配置され、当該当接部材を押釦の内面に押し付けるように付勢する圧縮コイルばねからなるばね部材と、往復可動台が通常位置から非常位置に向けて押し上げられる際に当接部材が乗り越えるように押釦の内面に、2個のスチールボールからなる当接部材がそれぞれ当接するように突設される山部とを備えてなり、当接部材が山部を乗り越える際にばね部材に蓄勢力が蓄えられるようにし、当接部材が山部を乗り越えると、ばね部材に蓄えられた蓄勢力を当接部材を介して山部の断面が直線状をなす斜面に作用させて往復可動台を非常位置へと跳ね上げるようにしてなり、
押釦を第1ポジションから第2ポジションへと押し込むと、通常位置にある往復可動台に配設された可動接点が接点台の固定接点に接触して通電するようにし、押釦を第2ポジションから第3ポジションへと更に押し込むと、接点台に設けられた突起物によって往復可動台が通常位置から非常位置に向けて押し上げられるに伴い移動機構の作動で往復可動台が非常位置へと移動されることにより、固定接点に接触していた可動接点が離れて通電状態を解除するようにしたことを特徴とするイネーブルスイッチ。
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