JP6435711B2 - 放熱板付パワーモジュール用基板及びパワーモジュール - Google Patents
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Description
本発明は、回路層の第一銅層、放熱板の第二銅層及び第二アルミニウム層の厚さ及び耐力を上記の範囲に設定することで、セラミックス基板を中心として応力の対称構造を構成することができる。これにより、冷熱サイクル時等にセラミックス基板の両面に作用する応力に偏りが生じ難く、反りを発生しにくくすることができる。したがって、パワーモジュール用基板の製造時における初期反りのみならず、半導体素子の実装工程時や、その後の使用環境においても反りの発生を抑制することができ、絶縁基板としても信頼性を向上でき、良好な放熱性を発揮させることができる。
なお、放熱板が二層構造で剛性が高いので、一枚の放熱板に複数のパワーモジュール用基板を接合した構成とすることも可能であり、高集積化を図ることができる。その場合も、放熱板と各パワーモジュール用基板との接合部において各層の厚さと耐力が上記の関係を満たすように設定すればよい。
また、放熱板の第二アルミニウム層は、冷却流路内に臨ませられる面にピン状、板状等の放熱用フィンを有する構造とすることにより、より放熱性を高めることができる。
t1+t2+t3を8mm以下とすることにより、熱抵抗の増大を防ぐことができ、また、t3を0.5mm以上とすることにより第二銅層の電食を確実に防止することができる。
図1に示す本実施形態のパワーモジュール100は、放熱板付パワーモジュール用基板50と、この放熱板付パワーモジュール用基板50に接合された半導体素子60と、外部接続用リードフレーム70とを備え、半導体素子60と放熱板付パワーモジュール用基板50とが樹脂モールド40により樹脂封止されている。そして、このパワーモジュール100は、放熱板30が冷却器80にねじ止めにより固定される。
この第一アルミニウム層15は、純アルミニウム又はアルミニウム合金からなる板材を、セラミックス基板11に接合することにより形成される。本実施形態においては、第一アルミニウム層15は、純度99.99質量%以上で、JIS規格では1N99(純度99.99質量%以上:いわゆる4Nアルミニウム)のアルミニウム板がセラミックス基板11にろう付けされている。また、第一銅層16は、純銅又は銅合金からなる板材を、第一アルミニウム層15に接合することにより形成される。本実施形態においては、第一銅層16は、例えば、ジルコニウム添加耐熱銅合金(三菱伸銅株式会社製のZC合金:Cu99.98質量%‐Zr0.02質量%)の銅板が第一アルミニウム層15に固相拡散接合されている。そして、これら第一アルミニウム層15及び第一銅層16の厚みは、第一アルミニウム層15が0.1mm以上3.0mm以下、第一銅層16が0.5mm以上5.0mm以下とされる。
なお、回路層12と金属層13とは、ほぼ同じ大きさの平面形状に形成される。
第二銅層31は、純銅又は銅合金ならなる板材により形成され、例えば無酸素銅により、厚み0.5mm〜5mmの平板状に形成され、図1及び図2(c)に示すように、回路層12及び金属層13よりも大きい平面形状に形成される。
また、第二アルミニウム層32は、A3003,A6063,A5052等の純度99.0質量%未満のアルミニウム合金により形成され、第二銅層31との接合面を有する板状部32aの接合面とは反対面に、多数のフィン32bが一体に形成されている。板状部32aは、第二銅層31の平面と同じ大きさの平面を有し、第二銅層31の表面を覆うように積層されており、厚さは0.5mm〜2mmとされる。フィン32bとしては、鍛造加工によりピン状に形成することができ、あるいは押出加工により相互に平行な板状に形成することができる。板状部とは別に作製したフィンを板状部に固着してもよい。
また、これら回路層12の第一銅層16、放熱板30の第二銅層31及び第二アルミニウム層32の板状部32aの厚さ、熱抵抗の増大を防ぐため、その総和(t1+t2+t3)が8mm以下とするのが好ましい。この場合、放熱板30の第二アルミニウム層32は、第二銅層31の電食防止のために0.5mm以上の厚さとするのが好ましい。
また、外部接続用リードフレーム70は、例えば銅又は銅合金により形成され、超音波接合やはんだ付け等により接続される。
モールド樹脂40は、例えばSiO2フィラー入りのエポキシ系樹脂等を用いることができ、例えばトランスファーモールド法により成形される。
まず、図2(a)に示すように、セラミックス基板11の一方の面に回路層12のうち第一アルミニウム層15を積層し、他方の面に金属層13を積層して、これらを一体に接合する。これらの接合には、Al‐Si系等の合金のろう材が用いられ、例えばその合金のろう材箔18を介してセラミックス基板11と第一アルミニウム層15及び金属層13とをそれぞれ積層し、この積層体を図3に示す加圧装置110を用いて積層方向に加圧した状態とする。
固定板113および押圧板114は、ベース板111に対して平行に配置されており、ベース板111と押圧板114との間に前述の積層体Sが配置される。積層体Sの両面には加圧を均一にするためにカーボンシート116が配設される。
この加圧装置110により加圧した状態で、加圧装置110ごと図示略の加熱炉内に設
置し、真空雰囲気下でろう付け温度に加熱してろう付けする。この場合の加圧力としては例えば0.68MPa(7kgf/cm2)、加熱温度としては例えば640℃とされる。
さらに、半導体素子の両面に放熱板付パワーモジュール用基板をそれぞれ配置する構成とすることで、両面冷却構造とすることも可能である。
厚み0.635mmのAlNからなるセラミックス基板と、厚み0.6mmの純度99.99質量%以上(4N)のアルミニウムからなる第一アルミニウム層及び金属層とを用意するとともに、第一銅層、放熱板の第二銅層、第二アルミニウム層について表1に示す厚さ、耐力のものを用意した。そして、これらを上記実施形態で述べた接合方法により接合して、放熱板付パワーモジュール用基板の試料を作製した。
なお、各部材の平面サイズは、セラミックス基板が40mm×40mm、回路層及び金属層が37mm×37mm、放熱板が100mm×100mmとした。
表1に結果を示す。表1中、比率Aは(t1×σ1)/{(t2×σ2)+(t3×σ3)}を示し、厚さBはt1+t2+t3を示す。
12 回路層
13 金属層
15 第一アルミニウム層
16 第一銅層
18 ろう材箔
20 パワーモジュール用基板
30 放熱板
31,53 第二銅層
32 第二アルミニウム層
32a 板状部
32b フィン
40 樹脂モールド
50,52,55 放熱板付パワーモジュール用基板
60 半導体素子
70 外部接続用リードフレーム
80 冷却器
100 パワーモジュール
Claims (2)
- セラミックス基板の一方の面に回路層が接合されるとともに、前記セラミックス基板の他方の面に金属層が接合されたパワーモジュール用基板と、該パワーモジュール用基板の前記金属層に接合された放熱板とを有する放熱板付パワーモジュール用基板であって、
前記パワーモジュール用基板は、一枚の前記放熱板に複数接合され、
前記回路層が、前記セラミックス基板の一方の面に接合された純度99.99質量%以上のアルミニウムからなる第一アルミニウム層と、該第一アルミニウム層に固相拡散接合されたジルコニウム添加耐熱銅合金からなる第一銅層とを有する積層構造とされ、
前記金属層が純度99.99質量%以上のアルミニウムにより形成され、
前記放熱板が、銅又は銅合金により形成された第二銅層と、該第二銅層に固相拡散接合されたアルミニウム合金からなる第二アルミニウム層との積層構造とされ、
前記金属層と前記放熱板の第二銅層とが固相拡散接合されており、
前記第一銅層の厚さをt1、耐力をσ1とし、前記放熱板の前記金属層との接合部における第二銅層の厚さをt2、耐力をσ2、前記接合部に対応する部分の第二アルミニウム層の厚さをt3、耐力をσ3としたときに、(t1×σ1)/{(t2×σ2)+(t3×σ3)}が1.2以上2.0以下とされ、t1+t2+t3が8mm以下であり、t2が2mm以上3mm以下、t3が0.5mm以上であることを特徴とする放熱板付パワーモジュール用基板。 - 請求項1に記載の放熱板付パワーモジュール用基板の前記回路層に接合された半導体素子及び外部接続用リードフレームを備え、前記半導体素子と前記パワーモジュール用基板とが、前記第二アルミニウム層の表面を除いて樹脂モールドにより樹脂封止されていることを特徴とするパワーモジュール。
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