JP6434179B1 - 金属化フィルムおよびこれを用いたフィルムコンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属化フィルム10は、Alを50Å〜100Åの厚みにてOPPフィルム11に略一面に蒸着し、その上に、Znを40Å〜60Åの厚みにて略一面に蒸着しつつ、帯長手方向片端を、200Å〜400Åの厚みのヘビーエッジ14として形成し、他端は、所定幅のマージン部15としてフィルムのままとする。そして、平面視においてフィルムが暴露した幅0.1mm〜0.2mmのパターン16において、パターン同士の最小間隔が0.2mm〜0.4mmであるヒューズ部17として非蒸着パターンを形成する。
【選択図】図1
Description
詳細には、亜鉛はフィルムに直に蒸着できないため、亜鉛蒸着の核とすべくまずアルミを極薄に蒸着し(金属膜厚のせいぜい5%程度)、その上に亜鉛層を300Å厚程度に形成する。このタイプのコンデンサは主として、商用電源すなわち200V(まで)の交流回路によく用いられる。
詳細には、前述のコンデンサでは抵抗を小さくするために亜鉛層を300Å程度に厚くする必要があるものの、この程度に厚いとパターンを形成しても破断が生じない一方、アルミであれば電気抵抗率が小さいことを利用してアルミ層を薄くして破断を生じさせ、ショートした島が切り離されることで容量低下の漸減化が可能となり、翻って、当該コンデンサを耐圧性に優れ製品寿命の長いものとするものである。
具体的には、従来は耐熱性指標は重要視されずせいぜい90℃程度の環境下における評価試験にとどまっていたものの、120℃以上で直流の高電圧印加下における耐熱評価試験にて所定範囲内の容量劣化にとどまることが要求されることがある。
また、フィルムコンデンサには耐熱性のみならず用途に応じて耐湿性その他の多様なスペックが要求されるのが常である。
なお、Al厚が50Å〜100Åであると、抵抗値としてはおおよそ10Ω□〜20Ω□であり、ヘビーエッジとしてのZnの厚みが200Å〜400Åであると、抵抗値としてはおおよそ2Ω□〜6Ω□である。
また、パターンの幅の0.1mm〜0.2mmは、特にパターン同士の最小間隔となっている部分の幅を示す。
直流とは、0Vをまたぎプラスマイナスとなる交流は含まないが、一定値だけをとるものに限定されず広義であって、0<Vmin≦V≦Vmaxとして所定レンジで増減ないし脈動する場合も直流に含まれるとする。なお、本願においては、特に明示されていなくとも、回路や評価や用途は直流または直流用であるものとする。
<発明の構成>
図1は、本発明の金属化フィルムの断面模式図(a)および平面模式図(b)である(図1aは図1bのA−A断面である)。なお、図において、比率や縮尺は説明の便宜上適宜変更して描画している。
すなわち、その図示は省略するが、真空槽の中に、OPPフィルム11が捲回された送出ローラと、金属化フィルム10すなわち蒸着後のフィルムを巻き取る巻取ローラと、両ローラの間に配した、フィルムを当接させる所定径の回転円筒体であるクーリングローラ(キャンローラ)と、その周囲に配置したアルミ蒸発槽と亜鉛蒸発槽とマスキング槽と、を基本構成とした真空蒸着装置により製造できる。
真空蒸着装置は、真空度、巻取スピード、回転スピード、各槽の加熱温度、各槽のスリット形状、マスキングオイル等を調整することにより、所望の金属化フィルムを得ることができる。
フィルムコンデンサ20は、金属化フィルム10を互い違いに約34mmとなるまで重ねて、端部にメタリコン金属(ここではZn)を溶射してメタリコン電極21を形成している。
なお、金属化フィルム10は幅方向に1mmずらして重ねてあり、絶縁性を確保している(このずらした部分をずらし部22と適宜称することとする。
まず、従来のフィルムコンデンサについて、耐熱評価をおこなった。ここで、OPP+Zn層300Åの金属化フィルムは、パターン16を形成したとしても前述のようにそもそもセルフヒーリング性に劣るので検討対象外とした。
OPP+Al層80Å(パターンあり)の金属化フィルムによるコンデンサを、125℃環境下で900V直流電圧を印加したところ、500時間程度まででコンデンサ容量が消失してしまった。これは、従来の環境下では起こらなかった、電極酸化すなわち絶縁体である酸化アルミの形成による電極消失(電極面積の実質的な減少・消失)が生じたためであった。そこで本願発明者らは抵抗率の低いAlを用いつつハイブリッド電極を案出し、これにZnを用いることとした。
なお、本発明の金属化フィルムまたはフィルムコンデンサは、定格電圧が直流400V〜750Vの環境下における使用を想定しているので、評価試験は安全率を見越して通常おこなわれる1.2倍の印加、すなわち、750V×1.2=900Vとした。
まず、上述した本発明のフィルムコンデンサ20に対して耐熱試験をおこなった。具体的には、雰囲気温度を125℃とし1000時間までの容量変化を測定した。ここで、他の厚みや大きさは同一にしてZn層13の厚みを10Åから20Å、30Å、・・・と10Åずつ厚くしていき評価した(n=6)。印加電圧は900V(直流)とした。
Zn層の厚みが10Åでは、予備試験と同様総ての試験片について500時間以内に容量が消失してしまった。これは、Zn層が薄くAlの酸化が生じ、電極部分全体の発熱も相まって電極の実質面積が加速度的に減少していったためである。
一方、Zn層が20Åの場合は、電極消失が生じたり容量減少が5%を超えたりするものがあった。
Zn層の厚みが30Å以上であれば、いずれの試験片も容量減少が5%未満であった。
次に、セルフヒーリング性を検討した。耐熱性試験と同様に、他の厚みや大きさは同一にしてZn層の厚みを90Åから80Å、70Å、・・・と10Åずつ薄くしていき評価した(n=5)。
実際には、半ショートすなわち絶縁抵抗の低下(漏れ電流の増加)の有無によりセルフヒーリング性を評価した。具体的には、コンデンサ20を直流250Vで2分間充電し、その1分後の抵抗値が、数KΩ〜数MΩに低下したものを半ショートとした(当初抵抗は200MΩ〜300MΩ)。
一方、Zn層の厚みが60Å以下であると十全なセルフヒーリング性が発揮され、容量変化の漸減化が実現された。
なお、Znは一般的に耐湿性に劣る。
本発明をHEVに搭載する場合など、多湿環境では、コンタクト部分等から進入する可能性のある湿気により絶縁体Zn(OH)2が形成され電極が劣化してしまう。仮に上記絶縁体を形成する可能性のある環境下でも電極の低抵抗を確保すべく、Al層の厚みは50Å(≒20Ω□)以上とする必要がある。また、Zn層が下限30Åであっても全体の厚みが厚くなりすぎるとセルフヒーリング性に影響が出るため、Al層は100Å(≒10Ω□)以下とする必要がある。以上から、本発明の金属化フィルムのAl層は50Å〜100Åとしている。
これにより、少なくとも直流であって400V〜750Vの所定の定格電圧であれば、125℃×1000hの環境下であっても容量劣化が5%未満に収まり、パワーコンデンサとして実用上の仕様に耐えることができる。
なお、従来のOPP+Zn層300Åのフィルムコンデンサは、耐熱性が要求されず、実際には中間にAlが存在するものの、その介在理由はZn蒸着を目的とし、本発明の金属化フィルムとはその技術思想を異とするものである。
また、フィルム厚やフィルム幅、ヒューズ回路のパターン(マスキングのパターン)やパターン間隔も適宜要求物性等に合わせて変更してもよい。
同様に、ヘビーエッジの幅やマージン部の幅やずらし部の幅、メタリコン金属種類も適宜変更可能である。
11 OPPフィルム
12 Al層
13 Zn層
14 ヘビーエッジ
15 マージン部
16 パターン
17 ヒューズ部
20 フィルムコンデンサ
21 メタリコン電極
22 ずらし部
Claims (3)
- 一方向に長い帯状の高分子フィルム上に金属膜層を形成した、定格電圧が400V以上750V以下の直流回路用のフィルムコンデンサに使用するフィルム構造であって、
Alを50Å〜100Åの厚みにて高分子フィルムに略一面に蒸着し、
その上に、Znを40Å〜60Åの厚みにて略一面に蒸着しつつ帯長手方向片端を200Å〜400Åの厚みのヘビーエッジとして形成し、
他端は所定幅の非蒸着部としてフィルムのままとし、
平面視においてフィルムが暴露した幅0.1mm〜0.2mmのパターンであって、パターン同士の最小間隔が0.2mm〜0.4mmであるヒューズ部として非蒸着パターンが形成されていることを特徴とする金属化フィルム。 - 請求項1に記載の構造を有する金属化フィルムを用いて形成したコンデンサであって、125℃の雰囲気下にて直流の定格電圧を1000時間印加した場合の容量減少が5%未満であることを特徴とするフィルムコンデンサ。
- 高分子フィルムがPPS、PVDF、または、PPであることを特徴とする請求項2に記載のフィルムコンデンサ。
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