JP6433359B2 - 還元鉄を用いた高品位バイオオイルの製造方法 - Google Patents

還元鉄を用いた高品位バイオオイルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、鉄を用いて化合物を還元し、液体化合物であるバイオオイルを製造する方法に関するものである。
従来、永続的な資源を用いて化学物質や燃料を得る技術が提案されている。例えばサトウキビやトウモロコシを発酵し得られるエタノールを燃料に用いる技術が実施されている。しかし、サトウキビやトウモロコシなどの可食資源を原料とし燃料とすることは食糧と競合するために好ましくない。このため、木材などの非可食性バイオマスを加熱分解し可燃性ガスを得るバイオマスガス化や炭化物(固形燃料)を得る方法は従来知られている。しかし、バイオマスから液体成分(燃料)であるバイオオイルを効率よく得る試みは少なかった。近年、石油資源の枯渇が懸念されるなか、従来の石油由来資源に代わる新たな資源としてバイオマスの利用が着目されており、油脂などを原料としバイオディーゼルなどのバイオマス由来液体燃料の開発も盛んにおこなわれてきた。
この中で、バイオマスを短時間に急速加熱分解して液体成分であるバイオオイルを効率良く得られることが見いだされ一部は実用化も進んでいる。得られたバイオオイルはそのままでも、重油などの石油由来燃料と混合することで使用できるが、バイオオイルの含水量や含酸素量が多いことで、重油などの従来の石油由来燃料と比較して保存安定性が悪い、発熱量が低いなどの欠点があった。
また、このバイオオオイルを石油由来のナフサに代わるものと考えた場合、これら欠点を有するために既存の石油精製装置(オイルリファイナリー)への供給原料としては不適格である。
これら欠点を克服するために急速加熱分解後の後処理として含水量や含酸素量の低減を目的に水素化処理を行う技術も開発されている。しかし、高温、高圧を必要とする水素化処理は昇温、昇圧に大きなエネルギーを必要とすることが多い。更に、高額な水素供給装置や高圧ガス反応器設備も必要となるとともに水素化処理工程が増えることで操作も煩雑となる(特許文献1〜2、非特許文献1)。
また、近年熱分解時にゼオライトなどの触媒を利用し一段で含酸素量の少ないバイオオイルを製造する開発も進んでいる。しかし、熱分解時に水素などの還元性化合物を共存させる必要があり付加的な装置が必要となるなどの問題を有している(特許文献3〜4)。
バイオマスを新たな化学品原料と考えた場合、例えば植物由来バイオマスは大きくセルロース、ヘミセルロース、リグニンからなるが、一般的には糖化処理によりグルコースやキシロースなどの単糖を得たのちこれらを原料として使用する。この場合は、リグニンは未利用炭素資源となる。このようにバイオマスの含有炭素の全てを炭素資源として有効に利用することは困難な課題である。
国際公開2010/002886号 国際公開2008/027669号 国際公開2013/032672号 国際公開2012/142490号
Green Chem., 2014, 16, 491−515
本発明は化学物質を還元することで液体生成物を製造する技術を提供することにある。特に化学物質がバイオマス由来の物質であって、これを含酸素量の少ない液体成分を製造する技術を提供するものである。更に反応により生成する炭素質の副生成物の一部は再び反応原料(還元剤)として循環使用することで原料を効率的に用いることができる。
第一発明は、200〜700℃で、還元鉄(Fe及び/又はFeO)とバイオマス由来の物質と水とを、当該バイオマス由来の物質1質量部(乾燥質量換算)に対して水を0.1〜100質量部(25℃換算質量)で反応器に供給し接触させることを特徴とするバイオオイルの製造方法である。なお本発明の技術は循環することができるので、当該反応は便宜上、「化合物還元工程」と記載することもある。
第二発明は、第一発明であるバイオオイルの製造方法(化合物還元工程)に次いで、当該化合物還元工程により得られた当該還元生成物を分離する工程(還元生成物分離工程)、当該還元生成物分離工程により分離された酸化鉄を還元することで還元鉄(Fe及び/又はFeO)を得る工程(鉄還元工程)、当該還元生成物分離工程により分離された未反応原料、副生する炭化物および酸化鉄を鉄還元工程に循環させる工程(鉄循環工程)の各工程を経ることを特徴とするバイオオイルの製造方法である。
本発明を用いることで、バイオマス由来の物質を水素などの還元性化合物を共存させることなく分解、還元し含酸素量の少ない液体成分であるバイオオイルを製造することができる。また、従来の急速熱分解時で得られたバイオオイルの後処理工程である水素化処理を省略することができ、当該化合物還元工程における処理を水素化処理に比較し低温、低圧で処理することができる。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討の結果、下記技術を見出し、本発明を完成した。
第一発明は、200〜700℃で、還元鉄(Fe及び/又はFeO)とバイオマス由来の物質と水とを、当該バイオマス由来の物質1質量部(乾燥質量換算)に対して水を0.1〜100質量部(25℃換算質量)で反応器に供給し接触させることを特徴とするバイオオイルの製造方法である。
好ましくは、当該バイオマス由来の物質の粒子径が0.05〜5.0mmであること、当該還元鉄の粒子径が5nm〜5.0mmであること、当該反応には回分式反応器を用いることである。
第二発明は、第一発明であるバイオオイルの製造方法(化合物還元工程)に次いで、当該化合物還元工程により得られた当該還元生成物を分離する工程(還元生成物分離工程)、当該還元生成物分離工程により分離された酸化鉄を還元することで還元鉄(Fe及び/又はFeO)を得る工程(鉄還元工程)、当該還元生成物分離工程により分離された未反応原料、副生する炭化物および酸化鉄を鉄還元工程に循環させる工程(鉄循環工程)の各工程を経ることを特徴とするバイオオイルの製造方法である。
以下に、本発明を説明するが本発明の効果を奏するものであれば以下に記載するものに限定されるものではない。
(バイオマスおよびバイオマス由来の物質)
本発明の原料にはバイオマスおよびバイオマス由来の物質が使用できる。バイオマスとは化学品原料やエネルギー源として利用可能な生物体あるいは生物体由来の資源を指し、例えば未利用樹、製材残材、流木材、剪定材等の木質系バイオマス、雑草、牧草、サトウキビ、トウモロコシ等の草本系バイオマス、廃棄食品、生ごみ、下水汚泥、し尿(鶏糞、牛糞など)等の排泄物系バイオマスなどがあげられる。これらバイオマスの中で化学品原料やエネルギー源としては、食糧などに利用することが出来ない非可食バイオマスの利用が好ましい。
当該バイオマスを用いるとき直接用いることもできるが、これらバイオマスを処理しバイオマスの主要な構成成分であるセルロース、ヘミセルロース、リグニンに分離したもの、更に糖化処理によりグルコースやキシロースなどの単糖まで分解したもの、糖化処理工程における廃液などのバイオマス由来の物質も使用することができる。以下、本発明では原料となるバイオマスおよびバイオマス由来の物質をあわせてバイオマス由来の物質と記載する。
当該バイオマス由来の物質には性状として、固体、液体あるいは両者が混合されたものなどあるが、化合物還元工程に供給する際はそのままの状態で供給してもよいし、当該物質を前処理し固体状物または流体状物(スラリー状あるいは液体状)に変化させて用いることもできる。乾式還元法であれば固体状物が好ましく、湿式還元法であれば固体状物、流体状物の何れでも使用することができる。
当該バイオマス由来の物質の前処理方法としては、例えば当該バイオマス由来の物質が液体あるいは固体、液体が混合されたものであれば乾燥することで固体状物に変化させることができるし、当該バイオマス由来の物質が固体であれば水などの溶媒と混合粉砕し流体状に変化させ用いることができる。
化合物還元工程に供給される原料が固体状物である場合は反応効率向上や化合物還元工程におけるハンドリングを容易にするためには0.05〜5.0mm程度に粉砕前処理して用いることが好ましい。粉砕前処理を行うためには固体状物となるまでバイオマス由来の物質を乾燥させる必要があるが、粉砕前処理を容易に行える程度までに乾燥させれば良く、乾燥処理無しに粉砕前処理を行うことが出来るのであれば乾燥処理は不要である。
−化合物還元工程−
当該工程は、還元鉄により、当該化合物を還元する工程である。本工程の還元方法においては溶媒を使用しない乾式還元法としても溶媒を使用する湿式還元法としてもよい。
(還元鉄)
還元鉄とは、還元作用を有する鉄を含むものであり、主たる成分はFe及び/又はFeOであり、これらのものが含まれていれば何れのものであっても良く、更に還元鉄の作用を阻害しないものが含まれていてもよい。また、Feは好ましくは全還元鉄の量に対して0〜100質量%、更に好ましくは5〜95質量%含まれるものである。還元鉄は粒子径が5nm〜5.0mm、好ましくは20nm〜2.0mmである。還元鉄は他の不活性物質に被覆して用いることができ、不活性物質とはシリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニアなどの単独酸化物やこれら単独酸化物の混合物や複合酸化物、珪藻土、モンモリロナイトなどの粘土鉱物、炭化ケイ素、活性炭などである。不活性物質は場合によってはメッシュ状、スポンジ状などの形状を用いることができる。
用いる還元鉄の量は原料となる化合物を十分に還元できる量であればよく、例えば、当該化合物に対して0.1〜100質量部であり、好ましくは0.2〜90質量部である。0.1質量部以下であれば原料の転化および還元が不十分となりバイオオイルの収量を低下させ、95質量部以上では化合物還元工程で反応に寄与しない多量の還元鉄を、鉄循環工程を経て鉄還元工程にリサイクルすることになり、それぞれの工程における装置サイズ増大により設備費用が増大し、かつ循環に要する用役費用も増大することになる。
(原料供給)
原料であるバイオマス由来の物質の供給方法も任意の方法をとることができる。例えば、あらかじめ還元鉄とバイオマス由来物質を混合し反応器に充填あるいは供給する方法や還元鉄が存在している反応器に原料であるバイオマス由来物質を供給する方法など任意の方法をとることができる。
(水供給)
水の供給方法も任意の方法をとることができる。例えば、原料と水をあらかじめ混合してから反応器に投入しても良いし、原料とは別に反応器内に供給しても良い。また、高温の反応器に供給する水は液状であってもガス状(水蒸気)であっても良い。
供給する水量は当該バイオマス由来の物質1質量部(乾燥質量換算)に対して水を0.1〜100質量部で反応器に供給すればよい。供給する水の量が0.1質量部以下の場合は、生成するオイル収量を低下させる恐れがあり、またこの100質量部以上の過剰の水を加えてもオイル収量の向上は見込めず、多量の水を高温の反応温度まで昇温するために多量のエネルギーを必要とするため好ましくはない。また、供給する水の一部あるいは全部が原料であるバイオマス由来の物質に含まれるものであっても良い。
(溶媒)
湿式還元法では供給水以外に溶媒を使用しても良い。使用できる溶媒としては高温、高圧の反応条件において安定なものが好ましい。このような溶媒としては水、スルホラン、ヘキサン、オクタン、デカン、テトラデカン、ヘキサデカン、ベンゼン、トルエン、ナフタレン、テトラリン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどがあげられ、好ましくはスルホランである。
(反応温度)
反応温度は還元方法や反応形式にもよるが、乾式還元法では200〜700℃、好ましくは250〜600℃であり、200℃未満であれば原料の転化が不十分となり好ましくなく、700℃を超えるときはメタン、炭酸ガス、一酸化炭素などのガス生成物を増し好ましくはないからである。
一方、湿式還元方法では200〜500℃、好ましくは250〜450℃であり、200℃未満であれば原料の転化が不十分となり好ましくなく、500℃を超えるときは高温、高圧に耐える高価な反応器が必要となるほか、溶媒の分解が進むなど好ましくはないからである。
(反応圧力)
反応圧力は反応温度、反応形式により任意の圧力を用いることができるが、乾式還元法では50kPa〜5MPa、好ましくは100kPa(常圧)〜4MPaである。一方、湿式還元法では溶媒の種類にもよるが10MPa以下、より好ましくは8MPa以下である。何れの方式においても不必要に高圧の条件は高価な耐圧容器を必要とし設備費用を増すことになり好ましくない。
(反応時間)
反応時間も反応温度、反応形式によるが乾式還元法では1.0〜60分、好ましくは2.0〜40分であり、1.0分未満は原料の転化が不十分となり好ましくはなく、60分を超えるときはメタン、炭酸ガス、一酸化炭素などのガス生成物を増す他に、固体炭素質の生成が増し液性生成物収率を低下させ好ましくはないからである。
湿式還元法では1.0分から24時間、好ましくは2.0分から20時間であり、1.0分未満は原料の転化が不十分となり好ましくはなく、24時間を超えるときは溶媒の変質を招く恐れがある他、メタン、炭酸ガス、一酸化炭素などのガス生成物と固体炭素質の生成が増し液性生成物収率を低下させ好ましくはないからである。
(還元反応器)
反応器は還元方式によらず回分反応器、半回分反応器、連続反応器の何れも使用することができる。連続反応器の場合は還元鉄反応器内に保持する固定床形式や反応器内で流動させる流動床形式、また還元鉄を移動させながら使用する移動床形式など任意の反応器を用いることができる。
(流通ガスおよび雰囲気ガス)
乾式還元法ではバイオマス由来の物質を還元するために効果的な物質を流通ガスとすることが好ましい。このような還元性ガスとしては、例えば水素、一酸化炭素、メタンなどの炭化水素ガスなどがあげられる。
その他の流通ガスには、還元反応器から生成物を分離させるために用いるガスを水素などの還元性ガスに追加して流通させることもでき、この場合には還元反応に不活性なガスが好ましく、例えば、窒素、ヘリウム、アルゴンなどを用いることができる。更に二酸化炭素などを混合して用いてもよい。
一方、湿式還元法では空気などの酸化性ガスの存在により還元鉄の酸化による失活や原料バイオマス由来物質の酸化によるロスを抑制するために不活性ガスで反応器内を置換する必要がある。不活性なガスとしては窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、およびこれらガスを混合したものがあげられる。場合によっては還元性のガスを導入することもできる。
−還元生成物分離工程−
未反応・反応後の化合物および還元鉄が酸化された酸化鉄と、還元生成物を分離できる装置であれば何れの装置であってもよい。
乾式還元法では通常、高温の化合物還元工程において生成物はガスとして得られるため、得られたガスを凝縮器などで液化することでバイオオイルを回収することができる。得られたバイオオイルはそのまま燃料として利用できる他、既設の石油精製装置(リファイナリー)の原料として用いることもできる。
一方、湿式還元法ではバイオオイルは溶媒と混合した形で得られる。得られたバイオオイルは溶媒と混合したまま使用してもよいし、溶媒と分離して使用してもよい。分離方法は蒸留や抽出などの既知の方法を用いればよい。
また、必要であれば得られたバイオオイルから水を除去する水除去工程を設けてもよい。得られたバイオオイルあるいは溶媒と混合したバイオオイルはそのまま燃料として利用できる他、既設の石油精製装置(リファイナリー)の原料として用いることもできる。
水の除去が必要な例としては得られたバイオオイル中に水が混入することで目的とする燃料の品質としては不十分な場合などがあげられる。なお、原料中に水が含まれるものであっても化合物還元工程においてバイオマス由来の物質に起因する水生成があり、化合物還元工程前に水を除去するよりも、化合物還元工程後の水除去工程で取り除く方が簡便な製造装置となり操作も容易である。
−鉄還元工程−
還元鉄が化合物還元工程における反応により酸化され、酸化鉄になったとき還元鉄にする工程である。酸化された鉄を還元するために還元剤を導入し還元する。当該還元剤としては、一酸化炭素、メタン、活性炭、チャー等の炭素含有化合物や水素を用いることができる。更に化合物還元工程における未反応の原料、反応により炭化の進行した化合物を還元剤として用いることができるので、当該還元生成物分離工程の後の鉄循環工程では、分離された未反応原料、副生する炭化物および還元鉄が酸化された酸化鉄とを鉄還元工程に移すことが好ましい。
(還元温度)
還元温度は、250〜1000℃、好ましくは300〜900℃であり、250℃未満であれば酸化鉄の還元が十分に進行せず好ましくなく、一方、1000℃を超えるときは昇温に余分のエネルギーを必要とする他に鉄粒子のシンタリングなどにより鉄粒子の粒径の増大による表面積の低下により、化合物還元工程において活性低下が懸念され好ましくはないからである。
(反応圧力)
反応圧力は、50〜500kPa、好ましくは100(常圧)〜200kPaである。
(反応時間)
反応時間は還元温度との兼ね合いとなるが1.0秒〜72時間好ましくは2.0秒〜24時間であり、1.0秒未満は鉄の還元が不十分となる可能性があり好ましくはなく、72時間を超えるときは鉄粒子のシンタリングなどにより鉄粒子の粒径の増大による表面積の低下により、化合物還元工程において活性低下などが懸念されること、化合物還元工程における反応時間に比較し鉄還元工程では長時間必要とすることになり、連続的にバイオオイルを製造する場合においては多量の鉄が鉄還元工程に存在することで鉄還元反応器も増大、これにともなう設備費の増大が懸念されるため好ましくない。
(還元反応器)
反応器は回分反応器、半回分反応器、連続反応器の何れも使用することができる。
−鉄循環工程−
化合物還元工程で酸化された酸化鉄を再度、鉄還元反応器に戻す工程である。当該工程においては化合物還元工程における未反応原料や反応後の炭化物を酸化鉄と一緒に鉄還元工程に戻すことにより、酸化鉄を還元する際の還元剤となり供給したバイオマス由来の物質に含有される炭素を無駄なく利用することが可能となる。
(バイオオイル)
本発明で得られたバイオオイルは原料であるバイオマスおよびバイオマス由来の物質のO/C元素比(水由来にOは除く)に比較し低いものを製造することができる。製造することができるバイオオイルの元素比は原料であるバイオマスおよびバイオマス由来の物質や化合物還元工程における還元方法および還元条件によるが0.5以下のものとなる。
以下に実施例を用いて本発明を詳細に説明するが本発明の効果を奏するものであれば以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
回分式反応器を用いたパーム椰子の殻(EFB:Empty Fruit Bunch、乾燥物の酸素(O)/炭素(C)元素比0.72)の熱分解反応を実施した。100mL容のオートクレーブに粒径60〜80nmの還元鉄(1.564g)、目開き212μmのふるいを通過したEFB粉砕物(1.0g)、溶媒として水(3mL)を加え、蓋を閉めた。当該オートクレーブ内部の気相を窒素ガスで置換し、内圧を1.0MPaとした。撹拌翼で反応器内の混合物を撹拌しながら、ヒーターを用いてオートクレーブ内部を300℃に加熱し、10分反応させた。続いて、加熱を停止し、オートクレーブを氷浴で急冷した。オートクレーブ内の気体生成物はサンプリングバックに回収後ガスクロマトグラフイで生成物の定量を行った。また、液体および固体生成物は水で全量回収後濾別し固体を分離した。濾液中に存在する液体生成物(水溶性バイオオイル)は全有機炭素計で炭素量を求めた。
濾別分離した固体生成物はアセトン溶剤で十分に洗浄後濾別し固体(残渣物)を分離、濾液は全て回収した。回収した濾液は30℃で減圧乾燥し溶剤であるアセトンを除去した。減圧乾燥後に残った有機物(バイオオイル)の中の炭素および水素量の定量は有機元素分析で行った。酸素量は炭素および水素量を差し引いて求めた。また、濾別分離した固体(残渣物)は70℃で減圧乾燥した後、有機元素分析を行い固体(残渣物)中の炭素および水素量の定量を行った。酸素量は炭素および水素量を差し引いて求めた。熱分解で得られた結果は表1に示した。
(実施例2)
実施例1において、溶媒として水(40mL)を加え反応時間を30分とした以外は実施例1と同様に熱分解反応を実施した。熱分解で得られた結果は表1に示した。
(比較例1)
実施例1において、還元鉄を加えなかった以外は実施例1と同様に熱分解反応を実施した。熱分解で得られた結果は表1に示した。
(比較例2)
実施例1において、還元鉄の代わり四酸化三鉄1.564gを加えた以外は実施例1と同様に熱分解反応を実施した。熱分解で得られた結果は表1に示した。
Figure 0006433359
実施例1と比較例1および2との比較から明らかなように還元鉄を使用することで液体生成物(水溶性バイオオイル及びバイオオイル)の収量を増すことができる。
実施例1に示したように水蒸気相当の水を用いた場合はバイオオイル量を増し、実施例2に示したように多量の水を用いた場合は水溶性バイオイルの収量を増すことができる。
得られたバイオオイルのO/C元素比は実施例1においては0.10であり実施例2においては0.20と原料のO/C元素比0.72に比べ大幅に低減できた。
本発明は、バイオマス由来の物質を還元鉄で還元し含酸素量の少ない液体成分であるバイオオイルを製造する技術である。得られたバイオオイルはそのまま燃料として利用できる他、既設の石油精製装置(リファイナリー)の原料として用いることもできる。

Claims (5)

  1. 200〜700℃で、還元鉄(Fe及び/又はFeO)とバイオマス由来の物質と水とを、当該バイオマス由来の物質1質量部(乾燥質量換算)に対して水を0.1〜100質量部(25℃換算質量)で化合物還元反応器に供給し接触させる化合物還元工程に次いで、
    上記化合物還元工程により得られた還元生成物を分離する還元生成物分離工程、
    上記還元生成物分離工程により分離された酸化鉄を還元することで還元鉄(Fe及び/又はFeO)を得る鉄還元工程、
    上記還元生成物分離工程により分離された未反応原料、炭化物および酸化鉄を鉄還元工程に循環させる鉄循環工程、
    の各工程を経ることを特徴とするバイオオイルの製造方法。
  2. 当該バイオマス由来の物質の粒子径が0.05〜5.0mmであることを特徴とする請求項1記載のバイオオイルの製造方法。
  3. 当該還元鉄の粒子径が5nm〜5.0mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオオイルの製造方法。
  4. 回分式反応器を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のバイオオイルの製造方法。
  5. 請求項1〜4に記載されたバイオオイルの製造方法で製造されたO/C元素比が0.5以下であるバイオオイル。
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