以下、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の1つの例にかかるセンシングデータ流通システムを示す概略図である。このセンシングデータ流通システムは、移動センサ装置1、固定センサ装置2、アプリケーションシステム3、およびネットワークサーバ4を有している。ネットワークサーバ4には、図示していないネットワークを介して、移動センサ装置1、固定センサ装置2、およびアプリケーションシステム3がデータ通信可能に接続されている。ネットワークサーバ4には、移動センサ装置1、固定センサ装置2、およびアプリケーションシステム3のそれぞれが複数接続できる。
移動センサ装置1、および固定センサ装置2が、この例におけるセンシングデータ流通システムでセンシングデータを利用側に提供する提供側の構成である。また、アプリケーションシステム3が、この例におけるセンシングデータ流通システムで提供側から提供されたセンシングデータを利用する利用側の構成である。ネットワークサーバ4が、この例におけるセンシングデータ流通システムでセンシングデータの取引を行うインタネット上のマーケットプレースであるセンシングデータ流通市場、すなわちSensing Data Trading Market(SDTM)を実現するための構成である。
センシングデータの提供側である移動センサ装置1、および固定センサ装置2は、SDTMで取引(販売)するセンシングデータの属性を示す提供データカタログをネットワークサーバ4に登録する。また、センシングデータの利用側であるアプリケーションシステム3は、SDTMで取引(購入)するセンシングデータの属性を示す利用データカタログをネットワークサーバ4に登録する。ネットワークサーバ4は、提供データカタログと利用データカタログと照合し、アプリケーションシステム3が必要としているセンシングデータを提供できる提供側の装置(移動センサ装置1、または固定センサ装置2)を抽出するマッチング処理を行う。また、ネットワークサーバ4は、マッチング処理で抽出した提供側の装置に対して、利用側へのセンシングデータの提供を指令するデータフロー制御処理を行う。提供側の装置は、利用側へのセンシングデータの提供が指令されると、センシングデータを利用側の装置であるアプリケーションシステム3に送信する。アプリケーションシステム3は、提供されたセンシングデータ(提供側の装置から送信されてきたセンシングデータ)を入力とするアプリケーションプログラムを実行する。センシングデータの利用側は、アプリケーションプログラムの処理結果を活用する。
なお、この例では、移動センサ装置1は、上述の提供データカタログとして、後述する移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録し、固定センサ装置2は、上述の提供データカタログとして、後述する固定センサ提供データカタログ101をネットワークサーバ4に登録する。また、以下の説明において、移動センサ提供データカタログ100と固定センサ提供データカタログ101を区別しない場合、単に提供データカタログと記載することもある。また、提供側の装置は、センシングデータをネットワークサーバ4を介してアプリケーションシステム3に送信してもよいし、センシングデータをネットワークサーバ4を介することなくアプリケーションシステム3に送信してもよい。
図2は、この例にかかる移動センサ装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例にかかる移動センサ装置1は、移動センサ管理ユニット1Aと、移動体30に取り付けられたセンシングデバイス10とを備える。移動センサ装置1は、移動センサ管理ユニット1Aと、センシングデバイス10とを一体形成した装置であってもよいし、一体形成していない装置であってもよい。移動センサ管理ユニット1Aと、センシングデバイス10とを一体形成した移動センサ装置1は、移動体30に取り付けられる。移動センサ管理ユニット1Aと、センシングデバイス10とを一体形成していない移動センサ装置1は、移動センサ管理ユニット1A、およびセンシングデバイス10を移動体30に取り付けてもよいし、センシングデバイス10を移動体30に取り付け、移動センサ管理ユニット1Aについては移動体30ではなく、他の場所に設置してもよい。
センシングデバイス10は、観測対象の観測特性をセンシングするセンサを1つ以上備え、観測特性をセンシングしたセンサのセンシング信号を出力するデバイスである。移動センサ装置1が備えるセンシングデバイス10は、特定の種類のデバイスではなく、移動センサ装置1の管理者が必要に応じて選択した種類のデバイスである。したがって、ネットワークサーバ4に接続されている移動センサ装置1を2つ抽出した場合、抽出した2つの移動センサ装置1が備えるセンシングデバイス10は同じ種類であることもあれば、異なる種類であることもある。移動体30は、本体を動かす動力部を備えた物体であれば、特に限定されない。移動体30は、例えばドローン、自動走行車両、自動走行船舶、ヘリコプタである。すなわち、移動体30は、飛行可能な飛行体であってもよいし、地上を走行する車両であってもよいし、海上を走行する船舶であってもよいし、他の場所を走行するもの(例えば、地中等を走行するロボット)であってもよい。
移動センサ管理ユニット1Aは、制御ユニット11と、センシングデバイス接続部12と、操作部13と、通信部14と、属性情報記憶データベース15(属性情報記憶DB15)と、センシングデータ記憶データベース16(センシングデータ記憶DB16)と、提供データカタログ記憶データベース17(提供データカタログ記憶DB17)と、運行情報記憶データベース18(運行情報記憶DB18)と、を備えている。
制御ユニット11は、移動センサ管理ユニット1A本体の動作を制御する。制御ユニット11は、図2に示すように、デバイス情報取得部11a、センシングデータ取得部11b、提供データカタログ生成部11c、センシングデータ出力制御部11d、および提供データカタログ出力制御部11eを有する。制御ユニット11が有する、デバイス情報取得部11a、センシングデータ取得部11b、提供データカタログ生成部11c、センシングデータ出力制御部11d、および提供データカタログ出力制御部11eの詳細については後述する。
センシングデバイス接続部12は、センシングデバイス10を接続するための構成であり、センシングデバイス10との間におけるデータの入出力を制御するインタフェースとして動作する。センシングデバイス接続部12は、センシングデバイス10との接続が有線、または無線の少なくとも一方で行える構成であればよい。ただし、センシングデバイス接続部12は、移動センサ管理ユニット1Aを移動体30に取り付けない形態で使用する移動センサ装置1(移動センサ管理ユニット1Aと、センシングデバイス10とが一体形成されていない移動センサ装置1)については、少なくともセンシングデバイス10との接続が無線で行える構成を有する。
操作部13は、移動センサ装置1(移動センサ管理ユニット1A)本体に対する操作者の入力操作を受け付ける。操作部13は、表示器、およびこの表示器の画面上に貼付したタッチパネルを有する構成であってもよいし、キーボードやマウス等の入力操作デバイス等を有する構成であってもよい。操作部13は、表示器における画面表示を制御するための構成(ユーザインタフェースにかかる構成)を有している。
通信部14は、ネットワークサーバ4、アプリケーションシステム3、移動体30の運行を管理している運行管理装置(不図示)等の外部装置との間におけるネットワークを介したデータ通信を行う。通信部14は、上述したセンシングデバイス接続部12にかかる構成をも有するものであってもよい。
属性情報記憶DB15は、センシングデバイス10の属性を示すデバイス属性情報、および移動体30の属性を示す移動体属性情報を記憶する。属性情報記憶DB15が、この発明で言う属性情報記憶部に相当する。デバイス属性情報は、センシングデバイス10、および当該センシングデバイス10により得られるセンシングデータの属性に関する情報である。例えば、デバイス属性情報には、センシングデバイス10が有する各センサについて、センサの名称、センサの種別、分解能、検出精度等を示す情報が含まれている。
また、移動体属性情報は、移動体30の種別情報(ドローン、自動走行車両、ヘリコプタ等)、移動体30の最高速度、移動体30の運行が許可されている運行許可情報を含んでいる。移動体30の種別情報は、ドローン、自動走行車両、ヘリコプタ等の種別を示す情報である。運行許可情報は、移動体30の運行が許可されている期間(運行許可期間)、移動体の運行が許可されている領域(運行許可領域)等を示す情報である。運行許可期間は、例えば年月日によって規定する方式であってもよいし(例えば、2017年9月1日〜2017年9月30日までの期間)、年月日、および時間帯によって規定する方式であってもよいし(例えば、2017年9月1日〜2017年9月30日までの期間で、且つ午前9時から午後5時までの時間帯)、年月日、および気象条件によって規定する方式であってもよいし(例えば、2017年9月1日〜2017年9月30日までの期間で、且つ日出から日没までの時間帯)、上記以外の項目で規定する方式であってもよい。また、運行許可領域は、例えば、緯度、経度によって特定した地点を中心とする半径nKmの領域として規定する方式であってもよいし、緯度、経度によって特定した4点によって囲まれる矩形領域として規定する方式であってもよいし、地域名等で規定する方式であってもよいし、上記以外の項目で規定する方式であってもよい。また、移動体30が飛行体である場合には、その高度を規定する情報を移動体属性情報に含んでもよい。
センシングデータ記憶DB16は、センシングデバイス10によってセンシングされた観測対象の観測特性毎に、センシング位置(移動体30の位置)と、センシング時刻と、センシングデータとを対応付けて記憶する。すなわち、センシングデータ記憶DB16は、センシングデバイス10がセンシングデータを生成した位置と、センシングデバイス10がセンシングデータを生成した時刻と、センシングデバイス10によって生成されたセンシングデータとを対応付けて記憶する。センシングデータ記憶DB16が、この発明で言うセンシングデータ記憶部に相当する。また、センシングデータ記憶DB16は、動的メタデータや、加工メタデータを記憶する構成であってもよい。動的メタデータは、センサ、およびセンシングデータの属性に関する項目であって、センサの使用形態によって変化する項目の属性を示すデータである。動的メタデータは、設置角度、観測対象までの距離、設定計測範囲、設定計測エリアの分解能、設定サンプリング周波数等、センサの設置に関する項目、およびセンサに設定した動作パラメータに関する項目等の属性を示すデータである。この動的メタデータは、時間経過にともなって変化する可能性があるデータである。すなわち、ある時点における適正な動的パラメータを取得するには、その時点において動的パラメータを生成する必要がある。
また、加工メタデータは、センシングデータを処理することによって、取得される特徴量の情報である。加工メタデータは、センシングデータのラベリング処理、変化量、ベクトル値等、リアルタイムに変化するセンシングデータの特徴量にかかるデータである。したがって、加工メタデータは、時間経過にともなって変化するデータである。
提供データカタログ記憶DB17は、移動センサ提供データカタログ100を記憶する。移動センサ提供データカタログ100の詳細については後述する。移動センサ装置1は、提供データカタログ記憶DB17に記憶している移動センサ提供データカタログ100であっても、この移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録していなければ、当該移動センサ提供データカタログ100にかかるセンシングデータをSDTMで取引(販売)することはできない。言い換えれば、移動センサ装置1は、ネットワークサーバ4に登録した移動センサ提供データカタログ100にかかるセンシングデータについてのみ、SDTMで取引することができる。
運行情報記憶DB18は、移動体30の運行情報を記憶する。この運行情報は、移動体30が移動する予定の移動経路を示す情報であり、例えば適当な時間間隔(5分間隔、10分間隔等)で、日時と、その日時における移動体30の位置と、を対にして登録したテーブルデータによって構成される情報である。すなわち、運行情報は、運行される移動体30について、任意の日時における当該移動体30の位置、および移動体30の移動経路を特定できる情報である。運行情報記憶DB18が、この発明で言う運行情報記憶部に相当する。
次に、制御ユニット11が有する、デバイス情報取得部11a、センシングデータ取得部11b、提供データカタログ生成部11c、センシングデータ出力制御部11d、および提供データカタログ出力制御部11eについては説明する。
デバイス情報取得部11aは、センシングデバイス10のデバイス属性情報を取得し、取得したデバイス属性情報を属性情報記憶DB15に記憶させる。デバイス情報取得部11aは、センシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス10がデバイス情報を記憶している構成であれば、このセンシングデバイス10からデバイス情報を取得する。また、デバイス情報取得部11aは、センシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス10がデバイス情報が登録されているURL等のネットワーク上のアドレスを記憶している構成であれば、このセンシングデバイス10からデバイス情報が登録されているネットワーク上のアドレスを取得し、取得したアドレスにアクセスしてセンシングデバイス10デバイス情報を取得する。また、デバイス情報取得部11aは、操作部13における入力操作によって入力されたデバイス情報を取得する構成であってもよい。
センシングデータ取得部11bは、センシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス10が観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータを取得する。センシングデータ取得部11bは、センシングデータとともに、センシング時刻および移動体30の位置を取得し、これらを対応付けてセンシングデータ記憶DB16に記憶させる。
提供データカタログ生成部11cは、運行情報記憶DB18に記憶している移動体30の運行情報と、属性情報記憶DB15に記憶している移動体属性情報、およびデバイス属性情報とに基づいて、移動センサ提供データカタログ100を生成し、生成した移動センサ提供データカタログ100を提供データカタログ記憶DB17に記憶させる。
センシングデータ出力制御部11dは、要求されたセンシングデータをセンシングデータ記憶DB16から読み出し、通信部14を制御して読み出したセンシングデータを利用側に出力する。センシングデータ出力制御部11dが、この発明で言う第2の出力制御部に相当する。
提供データカタログ出力制御部11eは、操作部13においてネットワークサーバ4に登録することが選択された移動センサ提供データカタログ100を提供データカタログ記憶DB17から読み出し、通信部14を制御して読み出した移動センサ提供データカタログ100を利用側に出力する。提供データカタログ出力制御部11eが、この発明で言う第1の出力制御部に相当する。
この例にかかる移動センサ装置1の制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、この発明にかかるデータ提供プログラムを実行したときに、デバイス情報取得部11a、センシングデータ取得部11b、提供データカタログ生成部11c、センシングデータ出力制御部11d、および提供データカタログ出力制御部11eとして動作する。また、メモリは、この発明にかかるデータ提供プログラムを展開する領域や、このデータ提供プログラムの実行時に生じたデータ等を一時記憶する領域を有している。制御ユニット11は、ハードウェアCPU、メモリ等を一体化したLSIであってもよい。また、ハードウェアCPUが、この発明にかかるデータ提供方法を実行するコンピュータである。
次に、この例にかかる固定センサ装置2について説明する。図3は、この例にかかる固定センサ装置の主要部の構成を示すブロック図である。この例にかかる固定センサ装置2は、センシングデバイス10と、制御ユニット21と、センシングデバイス接続部22と、操作部23と、通信部24と、デバイス情報記憶DB25と、センシングデータ記憶DB26と、提供データカタログ記憶DB27と、を備えている。センシングデバイス10は、上述したように、特定の種類のデバイスではない(固定センサ装置2の管理者が必要に応じて選択した種類のデバイスである。)。固定センサ装置2のセンシングデバイス10は、移動体30に取り付けられているのではなく、観測対象の観測特性をセンシングできる場所に設置されている。
センシングデバイス接続部22は、上述した移動センサ装置1のセンシングデバイス接続部12と同様の構成であり、有線、または無線でセンシングデバイス10と接続される。また、操作部23は、上述した移動センサ装置1の操作部13と同様の構成であり、固定センサ装置2本体に対する操作者の入力操作を受け付ける。通信部24は、上述した移動センサ装置1の通信部14と同様の構成であり、ネットワークサーバ4、アプリケーションシステム3等の外部装置との間におけるネットワークを介したデータ通信を行う。
デバイス情報記憶DB25は、センシングデバイス10の属性を示すデバイス属性情報を記憶する。デバイス情報記憶DB25は、移動体30の属性を示す移動体属性情報を記憶しない点で、属性情報記憶DB15と相違する。センシングデータ記憶DB26は、センシングデバイス10によってセンシングされた観測対象の観測特性毎に、センシング時刻と、センシングデータとを対応付けて記憶する。また、センシングデータ記憶DB16は、動的メタデータや、加工メタデータを記憶する構成であってもよい。提供データカタログ記憶DB27は、固定センサ提供データカタログ101を記憶する。固定センサ提供データカタログ101の詳細については後述する。固定センサ装置2は、提供データカタログ記憶DB27に記憶している固定センサ提供データカタログ101であっても、この固定センサ提供データカタログ101をネットワークサーバ4に登録していなければ、当該固定センサ提供データカタログ101にかかるセンシングデータをSDTMで取引(販売)することはできない。言い換えれば、固定センサ装置2は、ネットワークサーバ4に登録した固定センサ提供データカタログ101にかかるセンシングデータについてのみ、SDTMで取引することができる。
また、制御ユニット21は、デバイス情報取得部21a、センシングデータ取得部21b、提供データカタログ生成部21c、センシングデータ出力制御部21d、および提供データカタログ出力制御部21eを有する。デバイス情報取得部21a、センシングデータ取得部21b、提供データカタログ生成部21c、センシングデータ出力制御部21d、および提供データカタログ出力制御部21eは、上述した移動センサ装置1の制御ユニット11のデバイス情報取得部11a、センシングデータ取得部11b、提供データカタログ生成部11c、センシングデータ出力制御部11d、および提供データカタログ出力制御部11eと同様である。制御ユニット21が有する、デバイス情報取得部21a、センシングデータ取得部21b、提供データカタログ生成部21c、センシングデータ出力制御部21d、および提供データカタログ出力制御部21eについては、ここでは説明を省略する。
なお、提供データカタログ生成部21cは、固定センサ提供データカタログ101を生成する。
制御ユニット21も、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、デバイス情報取得部21a、センシングデータ取得部21b、提供データカタログ生成部21c、センシングデータ出力制御部21d、および提供データカタログ出力制御部21eとして動作する。
この例では、移動センサ装置1と、固定センサ装置2とをハードウェアの面で対比すると、固定センサ装置2は、移動センサ装置1が備える移動体30にかかる構成を備えていない点で相違する。
図4は、この例にかかるネットワークサーバの主要部の構成を示すブロック図である。ネットワークサーバ4は、マッチングユニット41、データフロー制御ユニット42、データカタログ登録ユニット43、通信ユニット44、提供データカタログ登録データベース45(提供データカタログ登録DB45)、および利用データカタログ登録データベース46(利用データカタログ登録DB46)を備えている。
通信ユニット44は、移動センサ装置1、固定センサ装置2、およびアプリケーションシステム3との間におけるデータ通信を制御する。提供データカタログ登録DB45は、移動センサ装置1から送信されてきた移動センサ提供データカタログ100、および固定センサ装置2から送信されてきた固定センサ提供データカタログ101を記憶する。利用データカタログ登録DB46は、アプリケーションシステム3から送信されてきた利用データカタログ102を記憶する。
マッチングユニット41は、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1、または固定センサ装置2を抽出する。マッチングユニット41は、固定センサ判定部41a、および移動センサ判定部41bを有する。固定センサ判定部41aは、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる固定センサ装置2を判定し、抽出する。移動センサ判定部41bは、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1を判定し、抽出する。移動センサ判定部41bがこの発明で言う第1判定部に相当する。
マッチングユニット41は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。ハードウェアCPUが、固定センサ判定部41a、および移動センサ判定部41bとして動作する。
データフロー制御ユニット42は、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1、または固定センサ装置2に対して、センシングデータをアプリケーションシステム3に提供することを指令する。
データフロー制御ユニット42は、ハードウェアCPU、メモリ、その他の電子回路によって構成されている。
データカタログ登録ユニット43は、移動センサ装置1から送信されてきた移動センサ提供データカタログ100、および固定センサ装置2から送信されてきた固定センサ提供データカタログ101を提供データカタログ登録DB45に記憶させる。また、データカタログ登録ユニット43は、アプリケーションシステム3から送信されてきた利用データカタログ102を利用データカタログ登録DB46に記憶させる。
ここで、移動センサ提供データカタログ100、固定センサ提供データカタログ101、および利用データカタログ102について説明する。図5(A)は、移動センサ提供データカタログを示す図であり、図5(B)は固定センサ提供データカタログを示す図である。また、図6は、利用データカタログを示す図である。
移動センサ提供データカタログ100は、移動センサ装置1が提供するセンシングデータのメタデータである。移動センサ提供データカタログ100には、大別すると、データカタログ番号、センシングデータ提供者、センシングデータ提供期間、移動体運行情報、移動体属性情報、センシングデータ対象、イベントデータ仕様、データ売買契約条件が含まれている。データカタログ番号は、移動センサ提供データカタログ100を識別する番号である。
センシングデータ提供者にかかる属性情報は、センシングデータを提供する組織(個人、または事業者)にかかるものである。センシングデータを提供する組織の名称(組織名)、組織の連絡先(連絡先)等が、センシングデータ提供者にかかる属性情報として記述されている。
センシングデータ提供期間にかかる属性情報は、センシングデータを提供する期間にかかるものである。センシングデータの提供を開始する日付(開始)、センシングデータの提供を終了する日付(終了)等が、センシングデータ提供期間にかかる属性情報として記述されている。
移動体運行情報は、移動体30が移動する予定の移動経路を示す情報である。この移動体運行情報は、移動体30が移動する予定の移動経路を示す情報であり、例えば適当な時間間隔(5分間隔、10分間隔等)で、日時と、その日時における移動体30の位置と、を対にして登録したテーブルデータによって構成される情報である。すなわち、移動体運行情報は、運行される移動体30について、任意の日時における当該移動体30の位置を特定できる情報である。移動体運行情報は、運行情報記憶DB18に記憶している移動体30の運行情報を基にして作成された情報である。
移動体属性情報は、移動体30の種別(ドローン、自動走行車両、ヘリコプタ等)、移動体30の最高速度、移動体30の運行が許可されている運行許可期間、運行許可領域等を示す情報である。移動体属性情報は、属性情報記憶DB15に記憶している移動体属性情報を基にして作成された情報である。
センシングデータ対象にかかる属性情報は、センシングデータにかかるものである。センシングデータの名前(センシングデータ名称)、センシングデータの簡単な説明(センシングデータ説明)、センシングデータを活用するジャンル(ジャンル名)、観測対象等が、センシングデータ対象にかかる属性情報として記述されている。また、観測対象は、観測対象毎に記述されるものであり、観測対象の名前、観測対象の説明、観測対象属性等を示す情報で構成される。また、観測対象属性は、観測対象属性の名前、観測対象属性の説明、観測対象属性の単位、観測対象属性の観測日時種別(間欠型、または常時型)等を示す情報で構成される。センシングデータ対象は、属性情報記憶DB15に記憶しているデバイス属性情報を基にして作成された情報である。
イベントデータ仕様にかかる属性情報は、イベント条件に記載する際のラベル名(イベントデータ識別名)、イベントデータの値の意味やデータ表現(イベントデータ説明)等である。
データ売買契約条件にかかる属性情報は、センシングデータの取引にかかるものである。センシングデータの利用用途(営利/非営利/制限無)を示す利用用途、センシングデータの第三者提供可否を示す提供範囲、データ複製不可/データ複製可/データ改変可/データ加工化等を示す取引条件、センシングデータに個人情報が含まれているかどうかを示す個人情報、センシングデータに匿名加工情報が含まれているかを示す匿名加工情報、センシングデータの有効期間の開始日と、終了日を示すデータ有効期間制限、センシングデータの利用にかかる費用の支払い方法を示す支払類型等が、データ売買契約条件にかかる属性情報として記述される。
固定センサ提供データカタログ101は、固定センサ装置2が提供するセンシングデータのメタデータである。固定センサ提供データカタログ101には、大別すると、データカタログ番号、センシングデータ提供者、センシングデータ提供期間、センシングデータ測定場所、イベントデータ仕様、データ売買契約条件が含まれている。固定センサ提供データカタログ101は、移動体運行情報、および移動体属性情報にかかる項目を含んでいない点、およびセンシングデータ測定場所にかかる項目を含んでいる点で、上述した移動センサ提供データカタログ100と相違している。センシングデータ測定場所は、観測対象をセンシングする場所(すなわち、センシングデバイス10を設置している場所、)、にかかる属性情報である。
さらに、図6に示す利用データカタログ102には、大別すると、データカタログ番号、センシングデータ利用者、センシングデータ利用期間、センシングデータ測定場所、イベントデータ仕様、データ売買契約条件が含まれている。データカタログ番号は、利用データカタログ102を識別する番号である。
センシングデータ利用者にかかる属性情報は、センシングデータを利用する組織(個人、または事業者)にかかるものである。組織の名称(組織名)、組織の連絡先(連絡先)等が、センシングデータ利用者にかかる属性情報として記述される。
センシングデータ利用期間にかかる属性情報は、センシングデータを利用する期間にかかるものである。センシングデータの利用を開始する日付(開始)、センシングデータの利用を終了する日付(終了)等が、センシングデータ利用期間にかかる属性情報として記述される。
センシングデータ測定場所は、固定センサ提供データカタログ101と同様に、観測対象をセンシングする場所にかかる属性情報である。センシングデータ対象は、移動センサ提供データカタログ100、および固定センサ提供データカタログ101と同様に、観測対象、および観測特性にかかる属性情報である。イベントデータ仕様は、移動センサ提供データカタログ100、および固定センサ提供データカタログ101と同様に、イベント条件に関する属性情報である。データ売買契約条件は、移動センサ提供データカタログ100、および固定センサ提供データカタログ101と同様に、センシングデータの取引にかかる属性情報である。
なお、アプリケーションシステム3のハードウェア構成、およびソフトウェア構成を特に説明をしなかったが、このアプリケーションシステム3は汎用のパーソナルコンピュータ、タブレット端末等の情報処理端末で構成できる。アプリケーションシステム3は、この例にかかるセンシングデータ流通システムで提供されたセンシングデータを入力データとするアプリケーションプログラムを実行するものであればよい。このアプリケーションプログラムは、例えば、特定の地点におけるアイスクリーム等の商品の売上予測を行うものであってもよいし、所定時間後における特定の交差点の渋滞長を推定するものであってもよいし、これら以外の事象等を予測推定するものであってもよい。すなわち、アプリケーションプログラムは、センシングデータの利用者が必要とする処理結果が得られるものであれば、どのようなものであってもよい。
以下、この例にかかるセンシングデータ流通システムの移動センサ装置1、固定センサ装置2、およびネットワークサーバ4の動作について説明する。アプリケーションシステム3については、詳細な動作の説明を省略する。
まず、移動センサ装置1が移動センサ提供データカタログ100を生成する処理、および移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録する処理について説明する。図7は、移動センサ装置の移動センサ提供データカタログ生成、登録処理を示すフローチャートである。図7では、「移動センサ提供データカタログ100」を、「提供DC」と記載している。
移動センサ装置1は、移動センサ提供データカタログ100を生成するか、移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録するかについて、繰り返し判定している(s1、s2)。移動センサ装置1は、移動センサ提供データカタログ100の生成にかかるイベントが発生したかどうかをs1で判定している。移動センサ提供データカタログ100の生成にかかるイベントは、予め設定されている。移動センサ提供データカタログ100の生成にかかるイベントは、例えば、操作部13における移動センサ提供データカタログ100の生成にかかる入力操作、外部装置からの移動センサ提供データカタログ100の生成にかかるコマンドの入力、センシングデバイス接続部12における新たなセンシングデバイス10の接続等である。
なお、移動センサ装置1には、移動センサ提供データカタログ100の生成にかかるイベントの種類が1つ以上設定できる。
また、移動センサ装置1は、移動センサ提供データカタログ100の登録にかかるイベントが発生したかどうかをs2で判定している。移動センサ提供データカタログ100の登録にかかるイベントは、例えば、操作部13における移動センサ提供データカタログ100の登録にかかる入力操作、外部装置からの移動センサ提供データカタログ100の登録にかかるコマンドの入力、移動センサ提供データカタログ100の生成完了等である。
なお、移動センサ装置1には、移動センサ提供データカタログ100の登録にかかるイベントの種類が1つ以上設定できる。
移動センサ装置1は、s1で移動センサ提供データカタログ100を生成すると判定すると、該当するセンシングデバイス10が取り付けられている移動体30の運行情報、この移動体30の移動体属性情報、およびこのセンシングデバイス10のデバイス属性情報を取得する(s3)。s3では、例えば、提供データカタログ生成部11cが、属性情報記憶DB15から移動体30の移動体属性情報、およびセンシングデバイス10のデバイス属性情報を読み出すとともに、運行情報記憶DB18から移動体30の運行情報を読み出す。また、提供データカタログ生成部11cは、操作部13における操作者の入力操作によって、運行情報、移動体属性情報、およびデバイス属性情報を取得するものであってもよい。
提供データカタログ生成部11cは、s3で取得した運行情報、移動体属性情報、およびデバイス属性情報を基にして、図5(A)に示した移動センサ提供データカタログ100を生成する(s4)。提供データカタログ生成部11cは、s4で生成した移動センサ提供データカタログ100を提供データカタログ記憶DB17に記憶させる(s5)。
移動センサ装置1は、移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録するかどうかを判定する(s6)。移動センサ装置1は、s5からs6に進んだ場合、今回s4で生成した移動センサ提供データカタログ100をネットワークサーバ4に登録するかどうかを判定する。移動センサ装置1は、s6でネットワークサーバ4に登録しないと判定すると、s1に戻る。また、移動センサ装置1は、s6でネットワークサーバ4に登録すると判定すると、提供データカタログ出力制御部11eが、通信部14を制御して提供データカタログ登録要求をネットワークサーバ4に送信し(s7)、s1に戻る。s7でネットワークサーバ4に送信される提供データカタログ登録要求には、s6でネットワークサーバ4に登録すると判定した移動センサ提供データカタログ100が含まれている。
なお、s5にかかる処理は、s6、s7にかかる処理の完了後に実行するようにしてもよい。
また、移動センサ装置1は、s2で移動センサ提供データカタログ100を登録すると判定すると、今回登録する移動センサ提供データカタログ100がすでに生成されているかどうかを判定する(s8)。移動センサ装置1は、s8で生成されていない移動センサ提供データカタログ100であると判定すると、上述したs3以降の処理を実行する。
移動センサ装置1は、s8で生成されている移動センサ提供データカタログ100であると判定すると、提供データカタログ記憶DB17に記憶している移動センサ提供データカタログ100の中から、今回ネットワークサーバ4に登録する移動センサ提供データカタログ100を読み出す(s9)。移動センサ装置1は、提供データカタログ出力制御部11eが、通信部14を制御して提供データカタログ登録要求をネットワークサーバ4に送信し(s10)、s1に戻る。s10でネットワークサーバ4に送信される提供データカタログ登録要求には、s9で提供データカタログ記憶DB17から読み出した移動センサ提供データカタログ100が含まれている。
ネットワークサーバ4は、通信ユニット44において提供データカタログ登録要求を受信すると、この提供データカタログ登録要求に含まれている移動センサ提供データカタログ100、または固定センサ提供データカタログ101を提供データカタログ登録DB45に記憶させる。この処理は、データカタログ登録ユニット43によって実行される。上述したように、移動センサ装置1は、s7、またはs10で提供データカタログ登録要求をネットワークサーバ4に送信している。
また、固定センサ装置2も、図7に示した移動センサ装置1とほぼ同じ処理で固定センサ提供データカタログ101の生成、および登録にかかる処理を行う。固定センサ装置2は、移動体30にかかる情報(移動体運行情報、および移動体属性情報)を用いることなく、固定センサ提供データカタログ101を生成する点で、上述した移動センサ装置1と異なる。
図8は、この例にかかるネットワークサーバの動作を示すフローチャートである。図8では、ネットワークサーバ4におけるマッチング処理、およびデータフロー制御処理を示している。ネットワークサーバ4は、アプリケーションシステム3からマッチング要求があると、図8に示す処理を実行する。
ネットワークサーバ4は、通信ユニット44において、アプリケーションシステム3から送信されてきたマッチング要求を受信すると、このマッチング要求に該当する利用データカタログ102を取得する(s21)。s21では、今回受信したマッチング要求に利用データカタログ102が含まれていれば、その利用データカタログ102を取得する。また、今回受信したマッチング要求に利用データカタログ102が含まれていなければ、利用データカタログ登録DB46を検索し、該当する利用データカタログ102を読み出す。
なお、ネットワークサーバ4は、今回受信したマッチング要求に利用データカタログ102が含まれており、その利用データカタログ102が利用データカタログ登録DB46に登録されていなければ、データカタログ登録ユニット43が、今回受信したマッチング要求に含まれていた利用データカタログ102を利用データカタログ登録DB46に登録する処理を行う。
マッチングユニット41の固定センサ判定部41aは、s21で取得した利用データカタログ102を、提供データカタログ登録DB45に登録されている固定センサ提供データカタログ101と照合するマッチング処理を行い(s22)、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる固定センサ装置2があるかどうかを判定する(s23)。ネットワークサーバ4は、固定センサ判定部41aがアプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる固定センサ装置2があると判定すると、その固定センサ装置2に対して、センシングデータを利用側に提供することを指令するデータフロー制御指令を送信し(s24)、本処理を終了する。s24では、データフロー制御ユニット42が、通信ユニット44を制御して、データフロー制御指令を固定センサ装置2に送信する。
また、マッチングユニット41は、固定センサ判定部41aがアプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる固定センサ装置2がないと判定すると、s21で取得した利用データカタログ102を、提供データカタログ登録DB45に登録されている移動センサ提供データカタログ100と照合するマッチング処理を行う(s25)。移動センサ判定部41bは、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1があるかどうかを判定する(s26)。
マッチングユニット41は、移動センサ判定部41bがアプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1があると判定すると、その移動センサ装置1に対して、センシングデータを利用側に提供することを指令するデータフロー制御指令を送信し(s27)、本処理を終了する。s27では、データフロー制御ユニット42が、通信ユニット44を制御して、データフロー制御指令を固定センサ装置2に送信する。
ネットワークサーバ4は、s26で、アプリケーションシステム3が要求しているセンシングデータを提供することができる移動センサ装置1がないと判定すると、本処理を終了する。このとき、今回マッチング要求を送信してきたアプリケーションシステム3に対して、現時点で提供可能なセンシングデータがない旨(センシングデータを提供できる移動センサ装置1、および固定センサ装置2が存在しないこと)を通知する。
ここで、この例の移動センサ装置1におけるセンシングデータ取得、提供処理について説明する。図9は、この例にかかる移動センサ装置におけるセンシングデータ取得、提供処理を示すフローチャートである。移動センサ装置1は、ネットワークサーバ4からデータフロー制御指令が入力されるか(s31)、センシングデバイス10から観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータが入力されるのを待っている(s34)。
移動センサ装置1は、センシングデバイス10から観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータがセンシングデバイス接続部12に入力されると、センシングデータ取得部11bが今回入力されたセンシングデータをセンシングデータ記憶DB26に記憶させ(s35)、s31に戻る。この処理を行うことで、移動センサ装置1は、センシングデバイス接続部12に接続されているセンシングデバイス10で観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータをセンシングデータ記憶DB26に蓄積的に記憶する。
また、移動センサ装置1は、ネットワークサーバ4からデータフロー制御指令が入力されると、このデータフロー制御指令に応じてアプリケーションシステム3に提供するセンシングデータをすでに取得しているかどうかを判定する(s32)。移動センサ装置1は、アプリケーションシステム3に提供するセンシングデータを取得するまで、s32で待機する。移動センサ装置1は、s32でアプリケーションシステム3に提供するセンシングデータを取得していると判定すると、当該センシングデータをアプリケーションシステム3に送信し(s33)、s31に戻る。
なお、移動センサ装置1は、s32で、アプリケーションシステム3に提供するセンシングデータを取得するのを待機している期間においても、センシングデバイス10からセンシングデバイス接続部12に入力されたセンシングデータを、センシングデータ取得部11bがセンシングデータ記憶DB26に記憶させている。s33では、移動センサ装置1は、アプリケーションシステム3へのセンシングデータの送信を、ネットワークサーバ4を介して行う構成であってもよいし、ネットワークサーバ4を介することなく行う構成であってもよい。
また、特に説明しなかったが、固定センサ装置2も、図9に示すセンシングデータ取得、提供処理を実行する。
このように、この例にかかる移動センサ装置1は、センシングデバイス10を移動体30に取り付けている。このため、アプリケーションシステム3が必要とするセンシングデータを取得できる位置に設置されたセンシングデバイス10が存在していない場合であっても、アプリケーションシステム3が必要とするセンシングデータを取得できる位置を移動する移動体30があれば、センシングデータをアプリケーションシステム3に提供できる。したがって、センシングデータの利用側が必要とするセンシングデータの提供を受けることができない事態の発生頻度が抑えられ、センシングデータの利活用の促進が図れる。
また、上記の例のセンシングデータ流通システムでは、アプリケーションシステム3に対してセンシングデータを提供する装置の優先順位が、移動センサ装置1よりも固定センサ装置2のほうが高い構成であったが、アプリケーションシステム3に対してセンシングデータを提供する装置の優先順位が、固定センサ装置2よりも移動センサ装置1のほうが高い構成にしてもよい。この場合、図8に示したネットワークサーバ4におけるマッチング処理、およびデータフロー制御処理を、図10に示す処理に変更すればよい。図10では、図8と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。この図10に示す例のネットワークサーバ4は、s22〜s24にかかる処理よりも前に、s25〜s27までの処理を先に行う。
また、センシングデータ流通システムは、固定センサ装置2を備えていない構成であってもよい。この場合、ネットワークサーバ4は、マッチング処理、およびデータフロー制御処理を、図11に示す処理とすればよい。この図11においても、図8、および図10と同じ処理については、同じステップ番号(s**)を付している。この例にかかるネットワークサーバ4は、図8、および図10に示した、s22〜s24にかかる処理を実行しない構成である。
また、上述した移動センサ装置1は、センシングデバイス接続部12に接続されるセンシングデバイス10が、移動体30に取り付けられたものに限らず、ある地点に設置されたセンシングデバイス10も接続される構成にしてもよい。このように構成すれば、移動センサ装置1は、上述した例の移動センサ装置1としてだけでなく、固定センサ装置2としても活用できる。
また、上記の例では、ネットワークサーバ4は、移動センサ装置1、または固定センサ装置2がアプリケーションシステム3に対して提供するセンシングデータを取得しているかどうかにかかわらず、データフロー制御指令を送信する構成であるが、移動センサ装置1、または固定センサ装置2がアプリケーションシステム3に対して提供するセンシングデータを取得していることを確認した後に、データフロー制御指令を送信する構成にしてもよい。すなわち、上記の例では、移動センサ装置1、および固定センサ装置2が、アプリケーションシステム3に対して提供するセンシングデータの送信タイミングを管理しているが、この管理をネットワークサーバ4で行う構成にしてもよい。この場合、移動センサ装置1、または固定センサ装置2がアプリケーションシステム3に対して提供するセンシングデータを取得したかどうかを確認する構成をネットワークサーバ4に設ければよい。
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
また、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを有し、
前記ハードウェアプロセッサが、
移動体に取り付けたセンシングデバイスで、観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータを取得し、
前記センシングデータの提供要求を受け付けると、この提供要求に応じた前記センシングデータを利用側に出力し、
運行情報記憶部が記憶する前記移動体の運行情報、および属性情報記憶部が記憶する前記センシングデバイスの属性を示すデバイス属性情報、および前記移動体の属性を示す移動体属性情報に基づいて作成された、前記利用側に提供する前記センシングデータの提供データカタログを出力する、
センサ管理ユニット。
(付記2)
少なくとも1つのハードウェアプロセッサを用いて、
移動体に取り付けたセンシングデバイスで、観測対象の観測特性をセンシングしたセンシングデータを取得し、
前記センシングデータの提供要求を受け付けると、この提供要求に応じた前記センシングデータを利用側に出力し、
運行情報記憶部が記憶する前記移動体の運行情報、および属性情報記憶部が記憶する前記センシングデバイスの属性を示すデバイス属性情報、および前記移動体の属性を示す移動体属性情報に基づいて作成された、前記利用側に提供する前記センシングデータの提供データカタログを出力する、
処理を実行するセンサ管理方法。