JP6431696B2 - まがり通路と流体抵抗物が接続された構造 - Google Patents

まがり通路と流体抵抗物が接続された構造 Download PDF

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Description

本発明は、管路のエルボまたはダクトのベンド等のまがり通路の構造に係り、特にまがり通路の下流にクーラ等の抵抗が高い流体抵抗物が存在する場合に、まがり通路において流体を整流し、抗抵が高い流体抵抗物を含めたトータルの圧力損失を抑制するようにしたまがり通路の構造に関するものである。
下記特許文献1には、湾曲した管状のインレットコネクタを備え、吸気がこのインレットコネクタを介してコンプレッサに吸入される過給機の気流音低減装置に関する発明が開示されている。この気流音低減装置は、前記インレットコネクタの湾曲通路部を経て前記コンプレッサに流入する吸気の速度分布を均一化する整流手段を備えており、前記コンプレッサに生じる圧力脈動を抑制することができるものとされている。前記整流手段としては、前記インレットコネクタの通路壁において、湾曲通路部の湾曲内側である湾曲内側壁部から突出する突起が形成されている。
下記特許文献2には、流路の折曲部における圧力損失を抑制する発明が開示されている。この発明によれば、折り曲げられた流路の内部コーナ部に回旋部が設けられている。この回旋部は、下流へ伸び、かつ交互に隣接して設けられた一連の隆起部と谷部から構成されている。このような回旋部によれば、二次元境界層分離領域に関係する圧力損失を排除するか、あるいは抑制することができるものとされている。
特許第4431531号公報 特開平4−277307号公報
本願発明者等は、流体が通過するまがり通路の下流に抵抗が高い流体抵抗物を接続した場合に、流体の圧力損失が可及的に抑制されるようなまがり通路の構造について鋭意研究してきた。本願発明者等の研究では、図1に全体構成を示すように、流入空気を過給機1により加圧し、高温となった空気を配管2とまがり通路としてのダクト3を経てエアクーラ4に供給し、ここで冷却してシリンダ内に供給するディーゼルエンジン5等を研究対象としており、ダクト3とクーラ4の圧力損失について検討してきた。図2は、図1に示すエアクーラ4の一般的な構成を示す図であり、多数のフィン6を所定間隔をおいて互いに平行に配置し、これらのフィン6を貫通するように複数本のチューブ7が配置されている。このチューブ7内に矢印Aで示すように水等の熱交換媒体を流通させるとともに、エアクーラ4の一方の面からフィン6と平行な方向に沿ってフィン6とフィン6の間に矢印Bで示すように冷却対象である圧縮空気を供給すれば、空気の熱はフィン6に吸収されてチューブ7内の熱交換媒体に吸収されるので、他方の面から温度の低下した空気が排出される。なお、このエアクーラを以下単にクーラと称する。
本願発明者等が研究対象としてきた大型のディーゼルエンジン5やガスエンジンの場合、図1に示すように、過給機1とクーラ4は、構成部品の組付けスペース等の制約上、上下に配置される形態が多く、過給機1とクーラ4間は配管2やダクト3で接続され、必然的にまがり通路が形成される構成となる。そして、このような構成では、まがり通路の出口であるクーラ4の入口では、圧縮空気の流速分布は、慣性の影響により、同図中矢印で示すように、流路の内側コーナ部側(図1の上方の矢印の側)に比べて流路の外側コーナ部側(同図の下方の矢印の側)で極端に高速となる。本願発明者等はこのような現象を、従来とは異なり、初めて問題点として取り上げ、さらに、この現象のため、クーラ4の冷却性能が低下するとともに、クーラ4の流体抵抗物としての特性により、クーラ4内の圧力損失も悪化し、エンジンの燃料消費量に悪影響が及び、この悪影響を回避するためにはクーラ4を大き目に設計する必要性が生じて製造費用や設置スペースが増すこととなるという課題があることを見出すに至った。このような課題も、本願発明者等が新たに発見し、又は初めて認識したものである。
本願発明者等は、上述したようなクーラ4の入口での流速分布の不均一という現象及びこれに基因する圧力損失の悪化等の課題を発見した後、これを解決する手段について鋭意研究を重ねた。本願発明者等は、そのための研究手法として、コンピュータを用いて流体の挙動をシミュレーションにより検証する方法を採用し、まず上記特許文献1及び2に開示された発明の効果を検証した。その結果、上記特許文献1及び2に開示された発明によれば、いずれもダクト3及びクーラ4のトータル圧力損失が、課題を解決するには必ずしも十分な水準には至っておらず、課題の有効な解決手段とはなっていないことを確認した。
なお、上述したコンピュータによるシミュレーション手法の具体的な内容や、上記特許文献1及び2の発明により得られる効果と本願発明による効果との比較等については、「発明の詳細な説明」の中で詳細に説明する。
以上説明したように、本発明は、先行技術によっても解決されていない本願発明者等の発見した新たな課題を解決するためになされたものであり、流体が通過するまがり通路の下流に抵抗が高い流体抵抗物を接続した場合に、流体の圧力損失が可及的に抑制されるようなまがり通路を提供することを目的としている。
課題を解決するための手段を、本発明の各請求項の記載に基づいて説明する。また、課題を解決するための手段を構成する各構成要件の定義についても必要に応じて説明を行う。これらの定義は「発明を実施するための形態」における用語の定義と同一である。なお、課題を解決するための手段の説明では、便宜上「発明を実施するための形態」において各構成を示す参照符合を用いたが、これは本発明の技術的範囲を実施形態の内容に限定することを意味するものではない。本項の後に説明する「効果」における参照符合の使用も同趣旨である。
請求項1に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、流体が通過する流路10の外側コーナ部11に、流路10の方向と交差して内側に盛り上がる柱状リブ12が形成されたまがり通路3と、前記まがり通路3の出口にその入口が接続され、前記柱状リブ12によって前記入口における流体の速度分布が均一化される流体抵抗物4とを備えたことを特徴としている。
ここで、「コーナ部」とは、流路10の一部における流体の通過方向が、当該一部の上流側にある他の一部での流体の通過方向に対して、異なる方向に向かっている場合の当該一部を意味し、一般的には流路10が角張って(直線的に)曲がっている箇所又は曲線的に曲がっている個所を指す。従って、一般的な配管におけるエルボの如く、曲線で曲がっている屈曲部(湾曲部)も「コーナ部」に含まれるし、筒状のダクト等が角度を以て接続されている部分も含まれる。
また、「外側コーナ部」の「外側」とは、当該「コーナ部」を通過する流体に遠心力が作用すると考えた場合、当該「コーナ部」において当該遠心力の作用方向の側を意味し、又は当該「コーナ部」が曲線的に曲がっているとすれば、当該「コーナ部」において当該曲線の曲率中心が存在する側とは反対の側を意味する。流路10が角張って曲がっている(直線的に曲がっている)場合も同様の趣旨で考えることができる。
また、より具体的には、以上説明した「流路の外側コーナ部」は、流路10の内部と流路10の外部を区画する壁体13によって流路10が構成されているので、当該壁体13の内面の外側コーナ部を示すケース(後述する請求項6記載の発明)と、当該流路10の内部に流体の流通する方向に沿って整流板14が設けられている場合の当該整流板14の内面の外側コーナ部を示すケース(後述する請求項7記載の発明)とがある。当然、両方のケースを示す場合もある。
また、「柱状リブ」の「柱状」とは、流路10の方向と交差する方向について連続的な長手形状を有することを意味し、「リブ」とは長手部材であって設置面よりも突出した形状であることを意味する。「流路の方向と交差」とは、より好ましい様態としては「流路の方向と直交」であるが、多少の角度のずれを許容する意味で上記表現としたものである。また、柱状リブ12の断面形状、すなわち流路10の内側に盛り上がったリブの断面形状としては、後述する請求項2記載の発明にも示すように、半円状、円弧状、湾曲状、円弧状又は湾曲状を2以上組み合わせた形状、さらに三角形状、四角形状、多角形状等の種々の形状及びその組合せが採用できる。
「流体抵抗物」とは、そこを通過する流体に抵抗を与えて流体の圧力を低下させる存在を意味し、単位距離当たりの圧力損失が、当該「流体抵抗物」に流体を導く流体の流路10よりも大きい装置、機器、素子、物体等であって、例えば、熱交換器、過給機、ファン、エアフィルタ、脱硝装置、ミストセパレータ等を挙げることができる。
請求項2に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記柱状リブ12の断面形状の少なくとも一部が、半円状、円弧状、湾曲状、三角形状、四角形状の形状群から選択された形状であることを特徴としている。
請求項3に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1又は2に記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記柱状リブ12の高さHと外側コーナ部11の曲率半径Rの比H/Rが、0を越え0.2未満であることを特徴としている。
請求項4に記載されたまがりまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記外側コーナ部11の曲率半径の中心とコーナ部開始位置を結んだコーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心と前記柱状リブ12の中央位置を結んだリブ位置仮想線との交差角度が30度から60度の範囲となるように、前記外側コーナ部11における前記柱状リブ12の位置を設定したことを特徴としている。
請求項5に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記外側コーナ部11の曲率半径の中心からコーナ部開始位置を結んだコーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心とコーナ部終端位置を結んだコーナ部終端仮想線との交差角度が90度である場合に、前記コーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心と前記柱状リブ12の中央位置を結んだリブ位置仮想線との交差角度が30度から60度の範囲となるように、前記外側コーナ部11における前記柱状リブ12の位置を設定したことを特徴としている。
請求項6に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記外側コーナ部11が、前記流路10を区画する壁体13の内面であることを特徴としている。
請求項7に記載されたまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のまがり通路3と流体抵抗物4が接続された構造において、前記外側コーナ部11が、前記流路10の内部に設けられた整流板14の内面であることを特徴としている。
なお、請求項の発明の構成と請求項の発明の構成は必ずしも互いに排他的な関係にあるものではない。すなわち、本発明の実施形態の構成としては、請求項記載のように外側コーナ部11が流路10を区画する壁体13の内面にある場合と、請求項記載のように外側コーナ部11が流路10の内部に設けられた整流板14の内面にある場合と、外側コーナ部11がその両方にある場合とがある。
請求項6に記載されたまがり通路3は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のまがり通路3において、前記柱状リブ12の断面形状の少なくとも一部が、半円状、円弧状、湾曲状、三角形状、四角形状の形状群から選択された形状であることを特徴としている。
本発明のまがり通路3によれば、次のような効果を得ることができる。
まがり通路3内には、流路10の方向と交差して内側に盛り上がる柱状リブ12が形成されており、一般的にはこれ自体が流体に対する抵抗物となるが、その効果として、まがり通路3から流体抵抗物4の入口に流入する流体の流速分布を均一化できるため、まがり通路3と流体抵抗物4とのトータル圧力損失を従来よりも低減することができ、結果として流体抵抗物4に期待されている機器としての性能を向上させることができ、さらには当該流体抵抗物4の下流に接続されているその他の機器等の性能も向上させることができる。
より具体的に、加圧空気(流体)をダクト3(まがり通路)を経てクーラ4(流体抵抗物)に流入させて冷却し、これをディーゼルエンジン5に供給して運転を行う実施形態の例に即して説明すると、ダクト3からクーラ4の入口に流入する空気の流速分布を柱状リブ12によって均一化できるため、ダクト3及びクーラ4の全圧損失を従来よりも低減することができ、結果としてクーラ4の冷却性能を向上させることができ、さらにはディーゼルエンジン5の燃費が改善される。
さらに本発明のまがり通路3によれば、次のような効果を得ることもできる。
柱状リブ12が設けられたまがり通路3の構造は、それが管路である場合も、また板金製のダクト内である場合も、いずれも例えば鋳物によって部品点数を増やすことなく容易に実現できるものであるため、製造コストを抑えることができる。加えて、柱状リブ12を設けたことによる補強効果でまがり通路3全体の剛性を増すことができる。
過給機とクーラを有する従来の一般的なエンジンの構成を示す図である。 従来の一般的なクーラの構成を示す図である。 実施形態と比較例における配管、ダクト及びクーラによる全圧損失をCFDの手法によるシミュレーションで検証する際の計算条件等を説明するための斜視図である。 実施形態と比較例における配管、ダクト及びクーラによる全圧損失をCFDの手法によるシミュレーションで検証する際の計算条件等を説明するための断面図である。 前記シミュレーションの計算領域を示す図3及び図4において、ダクトにおける比較例(リブなし)と実施形態のバリエーション(Test(1)〜(6))それぞれのシミュレーション条件を示したダクト断面図である。 前記図5の比較例(リブなし)と実施形態のバリエーション(Test1〜6)のダクトのシミュレーション条件に基づいて、それぞれ得られた配管、ダクト及びクーラによる全圧損失の計算結果を比較するグラフである。 効果が得られるか否かを確認するために用いた半円筒状の柱状リブの大きさに関する検討モデルを示したダクト断面図である。 前記図7のダクトモデルにおいて半円筒状の柱状リブの大きさと、前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失との関係を示すグラフであって、効果が得られるリブの大きさの数値範囲を示した図である。 効果が得られるか否かを確認するために用いた半円筒状の柱状リブの配置に関する検討モデルを示したダクト断面図である。 前記図9のダクトモデルにおいて半円筒状の柱状リブの配置と前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失との関係を示すグラフであって、効果が得られるリブの配置の数値範囲を示した図である。 効果が得られるか否かを確認するために用いた半円筒状以外の形状の柱状リブについての検討モデルを示すダクト断面図である。 半円筒状の柱状リブの大きさと前記全圧損失との関係を示す前記図8のグラフに、前記11図ダクトモデルの特定サイズの三角形及び四角形の2種類の柱状リブのシミュレーション条件に基づいて得られる前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失それぞれを重ねて図示したグラフである。 ダクトに前記図7と同様の半円筒状の柱状リブを設け、ダクトの下流にクーラを設けない比較例において、前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失をCFDの手法によってシミュレーションする際の検討モデルを示す斜視図である。 前記図13の比較例のモデルにおいて、柱状リブの大きさと前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失との関係を図示したグラフである。 特許文献1に記載の発明において、前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失をCFDの手法によってシミュレーションする際のダクトのシミュレーション条件を示すダクト断面図である。 前記図8の半円筒状の柱状リブの大きさと全圧損失との関係を示すグラフにおける横軸の表示を「半径比」の表示から柱状リブ12の半径(高さ)の直接表示に変えたグラフに、特許文献1に記載の発明について前記15図のシミュレーション条件で行ったCFDの手法によるシミュレーション結果を重ねて示したグラフである。 特許文献2に記載の発明において、前記配管、ダクト及びクーラによる全圧損失をCFDの手法によってシミュレーションする際のダクトのシミュレーション条件を示すダクト断面図である。 前記図8の半円筒状の柱状リブの大きさと全圧損失との関係を示すグラフにおける横軸の表示を「半径比」の表示から柱状リブ12の半径(高さ)の直接表示に変えたグラフに、特許文献2に記載の発明について前記17図のシミュレーション条件で行ったCFDの手法によるシミュレーション結果を重ねて示したグラフである。 実施形態における半円筒状の柱状リブをショートエルボの外側コーナ部に設けた応用例を示す図であって、分図(a)はエルボの斜視図、分図(b)は流路10の方向に平行な切断面においてエルボを2分割した状態を示す切断図、分図(c)は分図(b)において2分割されたエルボを流路の方向に対面する正面側から見た図、分図(d)は分図(b)において2分割されたエルボを流路の方向と直交する側面側から見た図である。 実施形態における半円筒状の柱状リブを、過給機とクーラをつなぐダクトにおいて、ダクトの壁体の外側コーナ部と、流路の内部に設けられた整流板の外側コーナ部の両方に設けた応用例を示す図であって、分図(a)はダクトを断面とした全体構成図、分図(b)はダクトの拡大断面図である。
本発明の実施形態を図1〜図20を参照して説明する。
1.対象製品の説明(図1及び図2)
本発明は、流路の方向が変化するまがり通路の下流に何らかの流体抵抗物が接続されている場合に、まがり通路において流体を整流することにより、流体抵抗物を含めた全体としての圧力損失を抑制したまがり通路の構造に関するものである。
実施形態における対象製品の一例としては、先に説明した図1のディーゼルエンジン5が挙げられる。この種のディーゼルエンジン5は、流入空気を過給機1により加圧し、ダクト3を経て高温となった空気をクーラ4に供給し、ここで冷却してシリンダ内に供給するように構成されている。また、このクーラ4は、先に説明した図2のフィンチューブ型熱交換器式が多く採用されており、高温の空気を流体(水)で冷却する構造である。本願発明のまがり通路は実施形態のダクト3に相当し、本願発明の流体抵抗物は実施形態のクーラ4に相当する。また、本願発明のまがり通路において流体が流れる範囲を流路10と称しているが、これは実施形態のダクト3の内部に相当する。
なお、以下に説明するシミュレーションに使用する対象は、過給機1が2台設けられたディーゼルエンジン5であり、図3に示すように各過給機1の出口からそれぞれ連結された配管2(合計2本)が、それぞれダクト3に接続して高温の空気がクーラ4に到るようになっている。
2.CFDによるシミュレーションの説明(図3及び図4)
実施形態及び後述する比較例の効果を計算(シミュレーション)により検証した。
(1) 使用した計算ソフト
流体計算に使用した計算ソフトは、CD-adapco 社製のSTAR-CCM+ver8.04である。このソフトは、世界で最も実績のあるCFD(Computer Fluid Dynamics、流体解析) ソルバの一つである。
(2) 計算領域
実施形態と比較例において、配管2、ダクト3及びクーラ4による全圧損失を、上記計算ソフトを用いたCFDの手法によるシミュレーションで検証する。その際の計算領域及び計算条件を図3及び図4に示す。図3に示すように、計算領域は、実際のエンジンを正確に3Dモデル化し、その3Dモデル中、各過給機1出口から連結される2本の配管2からダクト3、クーラ4を経て接続ブロック8までを対象とした。図4は、計算に用いた配管2、ダクト3、クーラ4、接続ブロック8において特にダクト3の内部の流体が流れる領域を断面で示したものである。これらの図中に示すように、配管2は長さが450mm、直径が180mmであり、クーラ4の外形は縦580mm、幅1150mm、奥行540mmである。
図3及び図4に示すように、まがり通路としてのダクト3は、流路10を区画する壁体13によって構成されている。そして、その流路10内には、流体が流れる方向に沿った曲面形状を呈する整流板14が設けられており、流路10を上下の2領域に分割している。なお、特に図3に明示するように、流路10内には、2本の配管2に対応して配置された仕切り板9が中央に設けられ、前記整流板14は、仕切り板9と直交するように配置されている。したがって、整流板14で上下に分割された流路10内の2領域が仕切り板9によってさらに左右に2分割されている。
(3) 計算条件
流体の物性値は空気の値を使用する。ダクト3に入る空気の温度は圧縮機出口相当の値とし、その粘性係数は、圧縮機出口相当の圧力と温度から、日本機械学会(The Japan Society of Mechanical Engineers 、略称JSME)編集による下記文献を根拠として与えた。
記:技術資料 流体の熱物性値集 日本機械学会 初版1983/8
また、境界条件は、ディーゼルエンジン5で想定される環境条件とし、図3に示すように、配管2の入口それぞれに各圧縮機出口相当の流量(4kg/sec)を与え、接続ブロック8の出口の圧力としてはディーゼルエンジン5のシリンダ入口相当の静圧(0.50MPa(gauge) )を与えた。
ダクト3の後方部に位置するクーラ4は抵抗体と考え、ポーラスメディアとしての条件を適用し、クーラ4の特性値である慣性抵抗係数と粘性抵抗係数はクーラメーカから入手した値を用いた。よって本計算では抵抗体もモデル化することによりクーラ4の抵抗の影響も加味している。
実施形態及び比較例では、後述するように柱状リブ12の有無又はその形状のバリエーションは多岐にわたるが、これら複数の検討形状の全てに対し、以上のように統一した条件で計算を行った。
(4) 評価方法
クーラ4の入口の空気の流速分布が均一になるほどクーラ4内の圧力損失が低減すると考え、評価項目は圧力損失とし、配管2の入口と、接続ブロック8の出口での圧力の差、すなわち配管2、ダクト3及びクーラ4のトータル圧力損失を後述する柱状リブ12の有無や形状等の差異に応じて確認し、互いに比較して評価した。なお、実施形態においては、この配管2、ダクト3及びクーラ4のトータル圧力損失を“全圧損失”と称する。
3.実施形態の説明(図5〜図12)
(1)初期検討形状(図5)
先に説明したように、本願発明者等は、図3及び図4に示すような構成を備えたディーゼルエンジン5を対象とした研究において、まがり通路出口の出口であるクーラ4の入口では、圧縮空気の流速分布が、慣性の影響により、流路の内側コーナ部側(図1の上方の矢印の側)に比べて流路の外側コーナ部側で極端に高速となる現象を発見した。
そして、この現象のため、クーラ4の冷却性能が低下するとともに、クーラ4の流体抵抗物としての特性により、クーラ4内の圧力損失が悪化すると考えるに至った。そこで、本願発明者等は、このような課題を解決してダクト3及びクーラ4の圧力損失を全体として低減する手法として、ダクト3の内部、特に流体の流速が相対的に速い流路10の外側コーナ部側、すなわち曲がった流路10における外側の内面に流体の抵抗となる突起物を設け、クーラ4の入口の流路10の外側コーナ部側おける流速を減じることを検討した。
このように、圧力損失が問題となっている状況下で流路10中に流体と交差するような形で障害物を突出して配置するという手段は、従来の技術常識に反しており、通常であればさらなる圧力損失を招き、ダクト3及びクーラ4の圧力損失が全体としてさらに増大すると考えるのが普通である。曲がった流路10の外側の内面に突起物を設ける構成が従来採用されていなかったのは、このような理由によるものと考えられる。
しかしながら、本願発明者等は、図3及び図4に示すような構成を備えたディーゼルエンジン5等を対象とした研究において、まがり通路であるダクト3の下流に接続されたクーラ4の流体抵抗物としての性質を考慮すれば、むしろダクト3の流路10中の適当な位置に適当な形状、サイズの抵抗物を設け、これによってクーラ4の入口における空気の流速を均一にした方が、ダクト3単体としては圧力損失が増加するとしても、ダクト3及びクーラ4の全体としては圧力損失がむしろ減少するのではないかと考えた。
上述した図3及び図4における“まがり通路”である整流板14を有するダクト3の内部形状において、図5は、リブなしの形状とした比較例と、上記考え方に沿って本願発明者等が検討した実施形態、すなわち比較例のダクト3の流路10内の様々な位置に様々な形状・寸法の柱状リブ12を設けたダクト3のバリエーション(Test(1)〜(6))の形状例とを示す断面図であり、これらの図は前述したCFDによるシミュレーションにおける比較例と実施形態の計算条件を示すものとなっている。
図5に示すように、基本形状となる比較例(リブなし)のまがり通路であるダクト3は、流路10を区画する壁体13によって構成されている。ダクト3の上面は、底辺1150mm、上辺200mm、高さ(図5において左右の幅)275mmの台形状になっており、そのダクト3の台形状の上面には、図3で示した直径180mmの配管2が2本台形上辺側に並行して設けられている。ダクト3のクーラ4の入口に繋がる図5の右側面の出口は縦520mm横(奥行き)1050mmの方形の開口である。また、このダクト3の壁体13の外側コーナ部11は鉛直面に対して35度傾斜しており、傾斜した部分の縦寸法は316mmである。また、このダクト3の壁体13の内部、すなわち流路10内には、流体が流れる方向に沿った曲面形状を呈する整流板14が設けられており、流路10を上下の2領域に分割している。この整流板14の板厚は15mm、曲率は150mm、整流板14によって分割された流路10内の上下の2領域のうち、下側の領域を整流板14の曲率の半径方向に測った寸法は上流側で90mm、下流側(クーラ4の入り口側)で260mmである。なお、図3に示す2本の配管2に対応してダクト3内の中央に設けられた仕切り板9は、前記整流板14と直交するように配置されており、その仕切り板9の板厚は15mmである。
実施形態のダクト3のバリエーション(Test(1)〜(6))は、流路10の整流板14又は/及び壁体13の外側コーナ部11に突起物である柱状リブ12を設けた構造であり、いずれも流路10の外側コーナ部11に高速流が偏るのを避ける意図がある。
実施形態のバリエーションTest(1)は、上記比較例(リブなし)のダクト3に対して、流路10内にある整流板14の外側コーナ部11に、円柱状の一部からなる柱状リブ12を上方に突出して設けた例である。円柱状の軸は、図5の紙面に垂直な方向であり、円柱の軸線に垂直な断面、すなわち図5の紙面に平行な面で言えば円の一部で構成される形状(半円状、円弧状等)である。この柱状リブ12の半径は30mm(R30)である。図5の紙面に垂直な円柱状の中心軸は、ダクト3の出口から水平に測定して上流側に110mm遡った位置であって、かつ外側コーナ部11から整流板14の板厚方向について外側10mmの位置にある。
実施形態のバリエーションTest(2)は、上記比較例(リブなし)のダクト3に対して、流路10内にある整流板14の外側コーナ部11に、断面視略湾曲形状と直線形状を合成した形状の柱状リブ12を上方に突出して設けた例である。この柱状リブ12の上流側を構成する湾曲形状部分は半径30mmの凹球面状であり、これに続く下流側の直線形状部分は水平方向の最大厚さ寸法が、整流板14の厚さを含めて40mmであって、湾曲形状部分の下流側端部から鉛直下方に続いている。
実施形態のバリエーションTest(3)は、上記比較例(リブなし)のダクト3に対して、流路10内にある整流板14の外側コーナ部11に、断面視略湾曲形状と直線形状を合成した形状の柱状リブ12を上方に突出して設けた例である。この柱状リブ12の上流側を構成する湾曲形状部分は半径10mmの凹球面状であり、これに続く下流側の直線形状部分は水平方向の最大厚さ寸法が、整流板14の厚さを含めて50mmであって、湾曲形状部分の下流側端部から鉛直下方に続いている。
実施形態のバリエーションTest(4)は、上記比較例(リブなし)のダクト3に対して、流路10内にある整流板14の外側コーナ部11に、断面視略湾曲形状の2つの部分を合成した形状の柱状リブ12を上方に突出して設けた例である。この柱状リブ12の上流側を構成する湾曲形状部分は半径40mmの凹球面状であり、これに続く下流側の湾曲形状部分は半径80mmの凹球面状である。
実施形態のバリエーションTest(5)は、整流板14の外側コーナ部11に円柱状の柱状リブ12を有するバリエーションTest(1)に対して、これと略同一構造の円柱状の柱状リブ12を、壁体13の外側コーナ部11にも併せて設けた構造例である。壁体13の外側コーナ部11の柱状リブ12は、半径30mm(R30)の円柱状であり、この円柱状の中心軸は図5の紙面に垂直であり、ダクト3の出口から水平に測定して上流側に150mm遡った位置であって、かつ外側コーナ部11から壁体13の板厚方向について外側5mmの位置にある。
実施形態のバリエーションTest(6)は、整流板14の外側コーナ部11と壁体13の外側コーナ部11にそれぞれ円柱状の柱状リブ12を有するバリエーションTest(5)に対して、各柱状リブ12の位置又は大きさを変え、さらに整流板14の構造も変えたものである。整流板14の外側コーナ部11の柱状リブ12の位置は、Test(1)と同じであるが、その半径は40mm(R40)である。壁体13の外側コーナ部11の柱状リブ12の位置は、円柱状の中心軸の位置が壁体13の板厚方向について外側10mmの位置にある他はTest(5)と同じであるが、その半径は40mm(R40)である。さらに整流板14は、バリエーションTest(1)〜(5)のように厚さが一定ではなく、円柱リブがある前後が厚く、内面側が平面状となっている。すなわち、整流板14の最低部から鉛直方向上流側に220mmの位置と、クーラ4に接続する出口から水平方向上流側に30mmの位置との間を結んだ内面側(外側コーナ部11の側)が平面状となっている。
なお、図示はしないが、以上説明した円弧状、湾曲状に加え、これら以外の湾曲形状を少なくとも一部に有する形状で断面が構成されている柱状リブ12も実施形態の範囲内である。
(2)比較例及び実施形態のシミュレーション計算結果(図6)
図6に、図5に示した比較例(リブなし)及び実施形態のバリエーションTest(1)〜(6)の各シミュレーション計算結果として配管2、ダクト3及びクーラ4を含めた全体圧損を棒グラフで示す。
本結果から下記事実が判明した。
1.配管2、ダクト3及びクーラ4の全圧損失はどの形状の柱状リブ12であっても、リブのない比較例よりも低減できる。
2.バリエーションTest(1)の円柱状の柱状リブ12が最も全圧損失が低減する。 次に、この結果に基づいて、形状のより詳細な検討を行った。
(3)円柱状の柱状リブ12の最適な大きさの検討(図7及び図8)
まず円柱状の柱状リブ12の最適な大きさを調べるため、円柱の半径を変えて計算を行った。図7は、リブなしの前記比較例のダクト3に半径が20mm、40mm、60mmである柱状リブ12をそれぞれ設けた検討モデルを便宜上一図に重ねて示した断面図である。柱状リブ12は整流板14の円筒形に対して鉛直線又は水平線の位置から角度で45°の位置に配置した。
なお、ダクト3自体の構造、寸法等は図5に示した例と同一である。
図8は、半円柱状の柱状リブ12の上記各大きさと全圧損失との関係を示すグラフである。横軸は、柱状リブ12の半径と整流板14の半径の比(半径比)を示す数値であり、半円柱状の柱状リブ12の半径を整流板14からの高さHと考えると、この横軸の数値は、柱状リブ12の高さHと外側コーナ部11の曲率半径Rの比H/Rを意味する。縦軸は全圧損失(Pa)である。
横軸の0は、比較例(リブなし)に相当する。横軸の0と、リブ半径の20mm(2/15)、40mm(4/15)、60mm(6/15)に対応する全圧損失の各点を滑らかに結ぶ曲線を設定し、評価基準となる比較例(リブなし)での全圧損失の値(約6170Pa程度)よりも低い全圧損失が得られる範囲を示すと、図示の一点鎖線で示す比較例(リブなし)の全圧損失よりも下の範囲に入る半円柱状のリブ12の半径は、0を越え、30mm未満となる。これを整流板14の半径との比(半径比)又は、柱状リブ12の高さHと外側コーナ部11の曲率半径Rの比H/Rで示すと、0を越え0.2(3/15)未満となる。この範囲であれば、実施形態の柱状リブ12を有するダクト3は従来のダクトよりも全圧損失を小さくする効果を得ることができる。
(4)円柱状の柱状リブ12の最適な配置角度の検討(図9及び図10)
整流板14の外側コーナ部11上にある円柱状の柱状リブ12の最適な配置角度を検討した。整流板14の外側コーナ部11上にある柱状リブ12の位置を、断面が円形の一部である整流板14の曲面の中心から水平な位置を0度とし、下流に向けて測った中心角度によって示す。この中心角度を柱状リブ12の配置角度と称する。この配置角度を変えて計算を行った。図9は、リブなしの前記比較例のダクト3に、その配置角度が5度、45度、70度である3つの柱状リブ12をそれぞれ設けた検討モデルを便宜上一図に重ねて示した断面図である。円柱状の柱状リブ12の半径は、図7に示した検討例で最適とされた20mmに固定した。
なお、ダクト3自体の構造、寸法等は図5に示した例と同一である。
図10は、半円柱状の柱状リブ12の配置角度と全圧損失との関係を示すグラフである。横軸は、柱状リブ12の配置角度であり、縦軸は全圧損失(Pa)である。横軸の5度、45度、75度に対応する全圧損失の各点を滑らかに結ぶ曲線を設定し、評価基準となる比較例(リブなし)での全圧損失の値(約6170Pa程度)よりも低い全圧損失が得られる配置角度の範囲を表示すると、図示の一点鎖線で示す比較例(リブなし)の全圧損失よりも下の範囲に入る配置角度は、30度以上、60度以下となる。この範囲であれば、実施形態の柱状リブ12を有するダクト3は従来のダクトよりも全圧損失を小さくする効果を得ることができる。
(5)円柱状以外の形状の効果の確認(図11及び図12)
次に、柱状リブ12の形状が円柱状以外の形状である場合の効果を計算で確認した。
図11に検討モデルのダクト3の断面図を示す。これは、リブなしの前記比較例の整流板14の外側コーナ部11上の配置角度45度の位置に、半円柱状と、三角形状と、四角形状の各柱状リブ12をそれぞれ設けた状態の検討モデルを便宜上一図に重ねて示したものである。図11では、円柱状の柱状リブ12の半径は、図7に示した検討例で最適とされた20mmとしており、三角形状と四角形状の各柱状リブ12の高さもそれに合わせて20mmとした。
なお、ダクト3自体の構造、寸法等は図5に示した例と同一である。
図12は、図8に示した柱状リブ12の半径と整流板14の半径の比(横軸)と、全圧損失(縦軸)の関係を示すグラフ上に、高さ20mmの三角形状と四角形状の柱状リブ12で算出された全圧損失の値をプロットしたものである。円柱状(半円柱状)以外の形状として、四角形状や三角形状でも、比較例(リブなし)の場合に比べて全圧損失の低減効果があることが確認された。
4.比較例の説明(図13〜図18)
(1)ダクト3の後方にクーラ4(流体抵抗物)が存在しない場合(図13及び図14)
図13は、以上説明した構成において、ダクト3の後方にクーラ4(流体抵抗物)が存在せず、単なる空洞の配管15が設けられている場合の計算領域を示している。また、図14は、ダクト3の後方にクーラ4(流体抵抗物)が存在しない図13のような条件下において、柱状リブ12の半径と整流板14の半径の比(横軸)と、全圧損失(縦軸)との関係を示すグラフである。この図から分かるように、後方に流体抵抗物が無い場合には、実施形態のように流路10中の外側コーナ部11に柱状リブ12を設けると、接続ブロック8等による損失も含めた全圧損失は却って増大する結果となる。
つまり、後方に流体抵抗物が無い場合には、流路10中の外側コーナ部11に柱状リブ12を設ける利点は認められず、逆に有害な結果を導く。このような事実は、本願発明者等の実験(シミュレーション)によって明らかになったものである。本願発明は、係る事実を前提としたさらなる研究に基づいたものであり、ダクト3の出口側に流体抵抗物があるという条件下で、前述したような種々の形状、大きさ、配置等の条件を満たす柱状リブ12を特定個所(流路10の外側コーナ部11)に設けた場合に、初めて流体の流通する全構成系における全圧損失の低減効果が得られるものである。
(2)特許文献1の発明との比較(図15及び図16)
実施形態のダクト3において得られる全圧損失と、前述した特許文献1の発明において、前方に配管2と後方にクーラ4(流体抵抗物)を介在させた場合の全圧損失との比較を行った。図15は、特許文献1の発明を具体化したダクト3の検討モデルを示す断面図である。ダクト3の流路10の外側コーナ部11に流路10の方向と交差する柱状リブ12が形成された実施形態と異なり、図15の特許文献1の発明によれば、ダクト3の流路10の内側コーナ部、すなわち実施形態の柱状リブ12の配置位置と対向する反対側の位置に、流路10の内方に突出する先端が尖った突起20が形成されている。突起20の突出する長さは20mmとした。
図16は、ダクト3の整流板4に設けた半円柱状の柱状リブ12の大きさと配管2,ダクト3及びクーラ4による全圧損失との関係を示す図8に示したグラフと実質的に同一のグラフである。但し、図16は、横軸の表示を前記8図の半径比の表示から柱状リブ12の高さH[半径と表示]の直接表示に変えていると共に、柱状リブ12の半径(横軸)と、全圧損失(縦軸)の関係を示すグラフ上に、流路10の内側に突起20を備えた特許文献1の発明によるダクト3の前記検討モデル(図15)と配管2とダクト4とにより算出された全圧損失の値をプロットしたものである(図中×印)。高さ20mmの突起20が流路10の内側に突出した特許文献1の発明では、リブなしの場合(グラフの横軸0の位置での値)よりも全圧損失が高く、実施形態の半円柱状の柱状リブ12で半径(高さ)20mmの実施形態(図中「本願」の点)の方が全圧損失の低減に効果があることが確認できた。
(3)特許文献2の発明との比較(図17及び図18)
実施形態のダクト3において得られる全圧損失と、前述した特許文献2の発明において、前方に配管2と後方にクーラ4(流体抵抗物)を介在させた場合の全圧損失との比較を行った。図17は、特許文献2の発明を具体化したダクト3の検討モデルを示す断面図である。ダクト3の流路10の外側コーナ部11に流路10の方向と交差する柱状リブ12が形成された実施形態と異なり、図17の特許文献2の発明によれば、ダクト3の流路10の内側コーナ部、すなわち実施形態の柱状リブ12の配置位置と対向する反対側の位置に、流路10の内方に突出する半球状の回旋部30が形成されている。図示はしないが、回旋部30は、2本の配管2に対応して間隔360mmを隔てて二つ設けられて、流路10の方向に直交する方向に並んだ隆起部と谷部から構成されており、隆起部の突出する長さは20mmとした。
図18は、ダクト3の整流板4に設けた半円柱状の柱状リブ12の大きさと配管2,ダクト3及びクーラ4による全圧損失との関係を示す図8に示したグラフと実質的に同一のグラフである。但し、図18は、横軸の表示を前記8図の半径比の表示から柱状リブ12の高さH[半径と表示]の直接表示に変えていると共に、柱状リブ12の半径(横軸)と、全圧損失(縦軸)の関係を示すグラフ上に、流路10の内側に隆起部と谷部からなる回旋部30が形成された特許文献2の発明によるダクト3の前記検討モデル(図17)と配管2とダクト4とによりで算出された全圧損失の値をプロットしたものである(図中×印)。
高さ20mmの隆起部を有する回旋部30が流路10の内側に突出した特許文献2の発明では、リブなしの場合(グラフの横軸0の位置での値)よりも全圧損失はやや低くなっているが、実施形態の半円柱状の柱状リブ12で半径20mmの実施形態の方が全圧損失の低減に効果があることが確認できた。
5.実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、次のような効果が得られる。
1)流体抵抗物であるクーラ4の入口における流体の流速分布を均一化できるため、ダクト3及びクーラ4を含むトータル圧力損失(全圧損失)を低減することができ、クーラ4の冷却性能を向上させ、エンジン5の燃費を改善することができる。
2)柱状リブ12は鋳物で容易に製造できる。
3)ダクト3が板金製であっても、管材等を材料として容易にリブを作成し、コストを抑えられる。
4)整流のために所定位置に所定寸法の柱状リブ12を作り付けるだけでよく、特に部品点数を増やす必要がない。
5)柱状リブ12の補強効果でダクト3全体の剛性を増すことができる。
6.応用例の説明(図19)
(1)応用例
図19は、一般的に使用されるまがり通路としてのエルボ配管(以下エルボと称する)16に実施形態を応用した例を示す図である。このエルボ16は、JIS−B2311−90ESに規定する150Aの90°ショートエルボである。まがり通路である当該エルボ16の流路10内の外側コーナ部11に、流路10の方向と交差して内側に盛り上がる半円柱状の柱状リブ12が設けられている。半円柱状の柱状リブ12の半径は、20mmである。
このエルボ16の下流側に抵抗体を接続した環境下では、エルボ16の出口では流体の流速分布が均一となり、抵抗体も含めた全圧損失が低減し、良好な流入条件で流体が抵抗体へ流入することが可能となる。また半円柱条の柱状リブ12は、鋳物であればエルボ16と一体鋳造で製造でき、後付であれば適当な径の管材を材料とし、これを適宜の形状に切断して溶接などによってエルボ16の外側コーナ部11に固定することにより、容易に製造することができる。
(2)実際製品への適用例(図20)
図20は、ディーゼルエンジン5の過給機1の出口とクーラ4を配管2及びダクト3で接続した構造において、前述した実施形態における半円筒状の柱状リブ12をダクト3の壁体13の外側コーナ部11と、流路10の内部に設けられた整流板14の外側コーナ部11の両方に設けた応用例を実際の形状・構造例としてさらに具体的に示す図である。分図(a)はダクト3を断面とした全体構成図、分図(b)はダクト3の拡大断面図である。このように、整流板14で区画されたダクト3内の2つの流路10,10の各外側コーナ部11,11にそれぞれ柱状リブ12,12を設けた構造は、図5のバリエーションにおけるTest(5)の構造に相当する。
(3)その他の機器等への適用例
以上説明した実施形態では、ディーゼルエンジン5の過給機1の出口側とクーラ4を接続するまがり通路としてのダクト3において、壁体13及び/又は整流板14の外側コーナ部11に、流れ方向に交差するように柱状リブ12を設けたが、柱状リブ12を設ける対象であるまがり通路はこれに限定されない。すなわち、本発明の整流用の柱状リブ12は、下流にクーラ4が接続されたまがり通路に限らず、他の種類の流体抵抗物に接続されるまがり通路に設けることができる。例えば、流体抵抗物としては、クーラ4の他、熱交換器、過給機1、ファン、エアフィルタ、脱硝装置(触媒)、ミストセパレータ等が例示できる。
3…まがり通路としてのダクト
4…流体抵抗物としてのエアクーラ(クーラ)
10…流路
11…外側コーナ部
12…柱状リブ
13…壁体
14…整流板
16…まがり通路としてのエルボ管路(エルボ)

Claims (7)

  1. 流体が通過する流路の外側コーナ部に、流路の方向と交差して内側に盛り上がる柱状リブが形成されたまがり通路と、前記まがり通路の出口にその入口が接続され、前記柱状リブによって前記入口における流体の速度分布が均一化される流体抵抗物とを備えたまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  2. 前記柱状リブの断面形状の少なくとも一部が、半円状、円弧状、湾曲状、三角形状、四角形状の形状群から選択された形状であることを特徴とする請求項1記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  3. 前記柱状リブの高さHと外側コーナ部の曲率半径Rの比H/Rが、0を越え0.2未満であることを特徴とする請求項1又は2に記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  4. 前記外側コーナ部の曲率半径の中心とコーナ部開始位置を結んだコーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心と前記柱状リブの中央位置を結んだリブ位置仮想線との交差角度が30度から60度の範囲となるように、前記外側コーナ部における前記柱状リブの位置を設定したことを特徴する請求項1〜3のいずれか1項に記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  5. 前記外側コーナ部の曲率半径の中心からコーナ部開始位置を結んだコーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心とコーナ部終端位置を結んだコーナ部終端仮想線との交差角度が90度である場合において、
    前記コーナ部開始仮想線と、前記曲率半径の中心と前記柱状リブの中央位置を結んだリブ位置仮想線との交差角度が30度から60度の範囲となるように、前記外側コーナ部における前記柱状リブの位置を設定したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  6. 前記外側コーナ部が、前記流路を区画する壁体の内面であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
  7. 前記外側コーナ部が、前記流路の内部に設けられた整流板の内面であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のまがり通路と流体抵抗物が接続された構造。
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