(A)第1の実施形態
以下、本発明による電磁調理器の第1の実施形態を、図面を参照しながら説明する。ここで、第1の実施形態に係る電磁調理器は、200Vの商用電源を利用する3個の加熱部(ここでの加熱部は、誘導加熱の加熱部だけを含み、ラジエントヒーターやハロゲンヒーター等の他の加熱部を含まない用語である)を有する卓上型の電磁調理器である。
図1は、第1の実施形態に係る電磁調理器1の外観を示す斜視図である。図1は、主として表面(上面)を目視し得る斜視図である。
第1の実施形態の電磁調理器1は、概ね、薄い直方体の箱形状をしている。電磁調理器1は、例えば、60mm程度の厚さを有する。電磁調理器1は、主として上蓋2及び下蓋3(後述する図2〜図4参照)からなり、上蓋2が下蓋3を覆う形(上蓋2の側板が下蓋3の壁部の外側に位置する形)で箱形状をなしている。
上蓋2は、4角形状の天板4と、天板4の周縁から下方に延びている側板を中心に構成されているスカート部5とを有する。天板4とスカート部5とは別部材である。スカート部5の側板上部には、天板4の下面の周縁部分を載置して接着するための天板載置部などが設けられ、天板4とスカート部5とが接着により一体化して上蓋2が形成されている。
天板4は、調理に供する図示しない鍋を載置する調理容器載置部として機能する領域6と、タッチパネルとして機能する領域7とがある。
調理容器載置部領域6の表面には、2つの同心円の組が3組描かれている。同心円の組が描かれている領域6A、6B、6C(以下では、左領域、右領域若しくは奥側領域、又は、左加熱部、右加熱部若しくは奥側加熱部と呼んで区別する)がそれぞれ、異なる加熱部がその下方に位置していることを表している。各領域6A、6B、6Cの2つの同心円のうち半径が小さい方の円は、対応する加熱部の後述する誘導コイルが巻回されている円の外周を表しており、すなわち、誘導コイルに電流が流れることにより電磁誘導作用が働く領域を表している。これにより、利用者は加熱が有効に行われる領域を認識することができる。2つの同心円のうち半径が大きい方の円は、対応する加熱部で加熱し得る鍋の直径の目安を与えるものであり、利用者は、載置可能な鍋の大きさを認識することができる。
第1の実施形態の電磁調理器1の場合、左加熱部6Aに加熱時に供給し得る最大電力が、右加熱部6Bや奥側加熱部6Cに加熱時に供給し得る最大電力より大きくなっており、また、右加熱部6B及び奥側加熱部6Cに加熱時に供給し得る最大電力は同じになっている。なお、右加熱部6B及び奥側加熱部6C間で最大能力に差を設けるようにしても良く、この場合には、手前に位置している右加熱部6Bの最大能力の方を大きくすることが好ましい。
ここで、3個の加熱部6A〜6Cを手前側に直線上に並べることも考えられる。しかし、3個の加熱部を手前側に直線上に並べた場合、その電磁調理器の左右方向の長さがかなり長くなる。卓上型とはいえ調理に供するので、利用者が調理し易い高さに電磁調理器が載置されて調理される。左右方向にかなり長い電磁調理器を載置し得る台や机や台所の調理台等は多くない。特に、第1の実施形態の電磁調理器1は、卓上型であるが200Vの商用電源を動作電源としているために、台所の調理器(電磁調理器とは限らない)が設置される箇所に載置されて使用されることも考えられ、1つの加熱部6Cを奥側に配置して、平面形状を、できるだけ、台所における調理器の設置箇所の平面形状に整合させるようにしている(後述する図1参照)。
左加熱部6A、右加熱部6B、奥側加熱部6Cに係る2つの同心円のうち半径が小さい方の円(直接の加熱領域)は、その円周上の任意の点と、スカート部5のいずれかの側面との距離が、所定の長さ(ここでは10cm)以上と長くなっている。例えば、左加熱部6Aの小さい円は、スカート部5の左側面との距離が最も短いが、この最も短い距離でも所定の長さ以上と長くなっている。ここで、所定の長さ(10cm)は、システムキッチンに組み込まれた調理台(電磁調理器とは限らない)の加熱部と近接した壁面との間の距離として、法律的に求められている距離である(電気用品安全法)。卓上型である、第1の実施形態の電磁調理器1は、実際上、どのような場所に載置されるか不明であるので、どのように場所に置かれても、法律が意図している壁面との間の安全な距離を確保できるように上述した距離を確保することとしている。
図1では省略しているが、下方に加熱部が位置していることを表している2つの同心円の中心に「IH」などの文字や記号を描画しておき、加熱部が電磁誘導作用を利用した加熱部であることを明示するようにしても良い。このようにした場合には、加熱部が、ラジエントヒーターやハロゲンヒーターによるという誤解を利用者に与えることを防止できる。
タッチパネル領域7は、左加熱部6Aに対応した領域7A、右加熱部6Bに対応した領域7B、奥側加熱部6Cに対応した領域7Cに分かれている。各タッチパネル部分領域7A、7B、7Cの詳細については、図9を参照しながら後述する。
調理容器載置部領域6及びタッチパネル領域7を有する天板4は、1枚のガラス板によって構成されている。これにより、天板4の上面を凹凸等がない平面とすることができ、鍋を載せたり下ろしたりする際に、天板4を損傷させるようなことを未然に防止することができ、また、鍋などから噴きこぼれた液体等を容易に拭き取ることができる。なお、天板4の表面が平面でも、市販のタブレット端末と同様なガラス表面に対する加工により、後述する各種のキースイッチなどを設けることができる。
ここで、電源スイッチ8は、タッチパネル領域7には設けられておらず、上蓋2の手前側側板の下方の下蓋3の位置であって、上蓋2の右側側板に近い位置に設けられている。タッチパネル領域7に設けた場合、調理のために動かしている身体の一部や器具が誤って電源スイッチに触れる恐れがあるが、上述した位置に設けた場合、このような恐れは格段的に小さくなる。また、手前側に設けることは操作性から好ましい。
図2は、天板4を除外し、筐体の内部を見えるようにした斜視図であり、図3は、図2の表示内容から、誘導コイルとシールドリングを除外して示す斜視図であり、図3の表示内容から、誘導コイルの取付けに関連する構成を除外して示す斜視図である。なお、本願の各図において、同一、対応部分には同一符号を付して示している。また、図2〜図4では配線を省略している。
下蓋3は、4角形状の底板と、底板の周縁に設けられた段部と、段部の周辺から上方に立設されている壁部とを有し、底板と段部と壁部とは一体成形されている。
上蓋2のスカート部5の側板の内面と、下蓋3の壁部の外面とが接着され、上蓋2及び下蓋3による筐体が完成されている。ここで、電磁調理器1が60mm程度の厚さを有する中、上蓋2のスカート部5の側板と下蓋3の壁部とが接している上下方向(厚さ方向)の幅が半分程度である。
下蓋3の底板9には、3つの吸気窓11A、11B、11C(図4参照)と、排気窓12とを有する。各吸気窓11A、11B、11Cはそれぞれ、中心開口と、その周囲に設けられている同心円状の複数の円環部材と、径方向に放射状に延びている直線部材とでなっている。吸気窓11A〜11Cはそれぞれ、対応する後述のファン13A〜13C(図4参照)の回転により筐体内に周囲の空気を取り込んで周方向に拡散するものである。排気窓12は、複数のスリットを左右方向に並設して構成されており、底板9と奥側壁部とを連絡する段部に設けられている。吸気窓11A、11B、11Cから周囲の空気を筐体内に取り込み、筐体内部の空気を排気窓12から排出するようになされており、これにより、筐体内を強制空冷する空気流の流路が形成されている。
底板9の四隅にはそれぞれ脚部が設けられ、当該電磁調理器1を図示しない載置板等(台所の調理台(後述する図17参照)、食卓テーブルの上板等)に安定に載置できるようになされている。
当該電磁調理器1は、200Vを動作電源としているものであるが、左右方向及び奥行方向の長さに比較して厚みが薄く(例えば、590mm×500mm×60mm)、重心が載置面に近い器具となっており、安定した載置状態を実現することができる。また、天板4として、厚さが4mm程度のガラスを適用すると共に、底板9として、単なる樹脂ではなくガラス繊維を充填した充填材含有樹脂(例えば、ガラス入りナイロン;PA6+FR15%)を適用しているので、筐体の容積に比較して大きな重量を稼ぐことができ、安定した載置状態を実現することができる。また、ガラス繊維を充填した充填材含有樹脂で底板9を構成することにより、底板9として十分な強度を得ることができると共に、機械的な共振を防止することができる。因みに、天板4以外の上蓋2は、例えば、ポリカーボネートとABSのアロイ樹脂(PC+ABS)、若しくは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)で構成され、強度と耐熱性を満足している。
上述したように、天板4を除いた上蓋2の部分や下蓋3の材質として合成樹脂を適用している。100Vより大きい電源電圧(好ましくは200V)を動作電源としているので、電源コードにアース線を含める。上述した合成樹脂は耐電圧が高く、電源コードとは別のアース線がなくても良い。アース線を省略した場合には、アース線が拾っていた不要な電磁波を拾わないようにできる。
また、電磁調理器1に使用している合成樹脂筐体は、後述するように、絶縁破壊時の交流電圧が200Vより格段に高く、筐体にアースすることができなくとも、漏電の可能性は合成樹脂製のために低い。なお、筐体としては、合成樹脂と同様な耐電圧特性を有する他の絶縁体を適用するようにしても良い。
ここで、絶縁破壊時の交流電圧を、交流電圧を1分間印加した場合に漏れ電流が1mA以上流れたときの電圧と定義する。金属筐体本体に塗膜(塗料の膜)を10μm塗布した筐体の絶縁破壊時の交流電圧は400Vであり、金属筐体本体に塗膜を50μm塗布した筐体の絶縁破壊時の交流電圧は3000Vであり、PC+ABS製の樹脂筐体の絶縁破壊時の交流電圧は5000V以上(測定器の測定上限が5000V)であり、PBT製の樹脂筐体の絶縁破壊時の交流電圧は5000V以上である。
当該電磁調理器1は音声ガイダンス機能を備えており、スピーカから適宜音声ガイダンス等を発音させる。底板9の手前側中央部には、筐体内部に設けられたスピーカが発音した音声、音響を放音する放音窓14が設けられている。なお、電磁調理器1を、音声ガイダンス機能を備えないように構成しても良いことは勿論である。
上述したように、上蓋2のスカート部5の側板上部には、天板4(図2〜図4では省略)の下面の周縁部分を載置して接着するための天板載置部20が設けられている。天板載置部20の手前側の領域21は、上述したタッチパネル領域7に対応する領域である。このタッチパネル対応領域21は、キーの機能を表す文字や図形の記述や、各加熱部に係る動作状態を報知する、下方に設けられている発光素子(例えば、LED)を視認させる小さい窓や、タイマの計時時間などを通知するための表示エリア等が設けられている。
上述した左加熱部6A、右加熱部6B及び奥側加熱部6Cの中心的な構成要素である誘導コイル22A、22B、22Cが、上述した同心円組の半径が小さい円の下方である位置に固定されている。
各誘導コイル22A、22B、22Cはそれぞれ、対応するインバータ回路(後述する図6の符号43A〜43C参照)からの高周波数(例えば数万Hz)の交流電流により、コイルの周辺に磁束が発生し、磁束が金属製鍋を通過するときに鍋の内部を無数のうず電流が発生し、うず電流が流れるとき、鍋底の電気抵抗で熱が発生し、その熱によって加熱するものである。
誘導コイル22A、22B、22Cはそれぞれ、対応するコイル取付具23A、23B、23Cに取り付けられている。以下、誘導コイル22Bのコイル取付具23Bを取り上げて説明するが、誘導コイル22Aや22Cのコイル取付具23A、23Cも同様な構成を有する。
コイル取付具23Bは、図3に示すように、小径の円環部24と、大径の円環部25と、両円環部24及び25を連結する周方向に等間隔(図3の例は60°間隔)で設けられた複数(図3は6個の例を示している)のコイル受け板26−1〜26−6と、大径の円環部25より径方向外方に延べている、周方向に等間隔(図3の例は120°間隔)で設けられた複数(図2は3個の例を示している)の支持用突部27−1〜27−3と、底板9から上方に立設され、上端で対応する支持用突部27−1〜27−3をねじ29−1〜29−3で固定する支持台28−1〜28−3とを有する。ここで、円環部24、25、コイル受け板26−1〜26−6、支持用突部27−1〜27−3は一体成形されている。
小径の円環部24の内側は、天板4の裏面の温度(加熱部6Bの加熱中心での温度)を計測するための図示しない温度センサ(サーミスタ)が配置される箇所である。すなわち、誘導コイル22Bを加熱部6Bの中心ギリギリまでは巻回しないことにより、加熱時の温度を計測可能としている。
図5は、支持用突部27−1と、コイル取付具23Bの中心とを結ぶ線に沿った縦断面図である。この線に沿っては、コイル受け板26−1も存在する。また、図5は、図3とは異なり、後述するシールドリングも記載されている。
各コイル受け板26−1〜26−6はそれぞれ、図5の断面図から理解できるように、基板30と、基板30上に径方向に等ピッチで立設されている、コイル取付具23Bの中心を中心とした円弧状の複数のひだ片31を備える。ひだ片31の上下方向の長さは、誘導コイル22Bの直径の2倍若しくはそれより長く選定されている。各コイル受け板26−1〜26−6における隣り合うひだ片31間を周方向に順次通過していくように誘導コイル22Bが上下方向に2層(2重)に巻回されている。
200Vの商用電源を動作電源として利用する場合、各加熱部6A、6B、6Cにおける加熱時の最大能力を、100Vの商用電源を動作電源として利用する場合に比べて大きく設定することができる。200Vの商用電源を動作電源として利用する場合、誘導コイル22A、22B、22Cが形成する誘導電磁界も大きくなる。このような大きな誘導電磁界を実現すべく、第1の実施形態では、誘導コイル22A、22B、22Cの2層の巻回を採用した。誘導コイルとして、素線の数を増大させてその多数の素線を撚って大径にしたものを適用して大きな誘導電磁界を実現することも考えられるが、大径の誘導コイル22A、22B、22Cは曲げ難く、取扱いが不便なものである。多数の素線を樹脂等によって一体化し、大きな誘導電磁界を実現することも考えられるが、同様に、取扱いが不便であるという欠点と共に、コストが高くなるという欠点を有する。
第1の実施形態のように、さほど大きくない径(4mm程度)の誘導コイルを2層に巻回することで大きな誘導電磁界を実現するようにすると、加熱領域(図1の小さい同心円参照)が一定に定まっているという条件下で、巻回時の取扱いが容易であると共に、誘導コイル22A、22B、22Cに係るコストを小さく抑えることもできる。
なお、コイル取付具23A、23B、23Cにおける一体成形部分は、誘導コイル22A、22B、22Cが作り出した誘導電磁界に悪影響を与えないように樹脂等で形成されている。
コイル取付具23Bにおけるコイル受け板26−1〜26−6の裏面にはそれぞれ、図5に示すように、長さ及び幅がコイル受け板26−1〜26−6とほぼ同様である薄厚な磁性体部材(例えばフェライトコア)32が設けられている(磁性体部材とコイル取付具とが積層されている)。同様に、コイル取付具23A、23Cにおけるコイル受け板の下方にもそれぞれ、磁性体部材32が設けられている。
各磁性体部材32は、誘導コイル(22A、22B、22C)が作り出した誘導電磁界における、加熱部(6A、6B、6C)の反対側を通る磁束路を形成し、誘導電磁界の安定した形成を実現させようとしたものである。各誘導コイル22A、22B、22C毎の複数(6個)の磁性体部材32のうち、後述するヒートシンクに最も近い位置の磁性体部材32(例えば、誘導コイル22Bの場合であればコイル受け板26−5の裏面に設けられた磁性体部材)は、ヒートシンクのフィンの延長方向に対してほぼ直交する方向に延びている。このような方向に延長させることにより、対応するファンが形成した冷却気流を乱し、ヒートシンクの幅方向(フィンの並設方向)に冷却気流を分散させ、全てのフィンの脇を冷却気流が通るようにさせて冷却効率を高めるようにさせることができる。
第1の実施形態の場合、図2に示すように、加熱部6A、6Bに対して、シールドリング33A、33Bが設けられている。なお、加熱部6Cに対しても、シールドリング33Cを設けるようにしても良い。
シールドリング33A、33Bは、誘導コイル22A、22Bによる誘導電磁界が加熱領域以外に向かうのを阻止するものである。200Vの商用電源を動作電源として各加熱部6A、6Bを動作させるため、100Vの商用電源を動作電源とする場合に比べ、各加熱部6A、6Bの最大加熱能力が高く、最大加熱能力若しくはそれに近い加熱能力での加熱時の誘導電磁界はかなり大きい。そのため、シールドリング33A、33Bを設けて誘導コイル22A、22Bによる誘導電磁界が加熱領域以外に向かうことを阻止することとした。シールドリング33Aによって、加熱部6A及び6C間を結ぶ方向の電磁界の流れが阻止され、シールドリング33Bによって、加熱部6B及び6C間を結ぶ方向の電磁界の流れが阻止されるので、上述したように、加熱部6Cに対するシールドリング33Cを省略することもできる。
シールドリング33A、33Bは、コイル取付具23A、23Bにおける大径の円環部(図3の符号25参照)を離間して囲繞することにより、加熱領域外に向かう電磁界をシールドするものである。
シールドリング33の本体34は、図5に示すように、中実な断面円形の直径が4mm程度の金属線材(例えばアルミニウム)を円環状にし、その両端を溶接(ロウ付け)してリングにしたものである。溶接に代え、他の無端(エンドレス)にする方法を適用しても良い。例えば、線材より径が僅かに大きい円筒部材に線材の両端を嵌合させて無端にするようにしても良い。周方向を3等分するリング本体34の位置には、リング取付片35が設けられており(図5参照)、これらリング取付片35は、コイル取付具23(図3の23A、23B)における上述した支持台(図5の符号28−1参照)の最上部にねじ(図5の符号29−1参照)によって固定される。リング本体34をリング状にする際には、熱収縮性の塩化ビニルパイプを通して行い、リング本体34をリング状にした後、両端の接合部を覆うように塩化ビニルパイプの位置を調整して熱収縮させる。このようにして形成された塩化ビニルの被覆部36が配線等に接する位置に位置決めされ、仮に、配線に接触した際に配線被覆に損傷等があって漏れ電流が流れようとしてもそれを阻止する。
リング本体34として、中実ではなく中空のものを適用することも考えられるが、中空のものと中実のものとでは表面からの深さによる電気抵抗の分布が大きく異なってシールド能力の差が大きいので、上述したように中実のものを適用することとした。
上記では、リング本体34として断面円形の線材を利用したものを説明したが、リング本体34は他の形状であっても良い。例えば、リング本体34が、板状の円環形状で構成されているものであっても良く、図6及び図7はそれぞれ、このような板状のリング本体34を適用した場合を示している。例えば、金属平板に対する打ち抜きによっても板状の円環部材であるリング本体34を形成することができる。板状の円環形状のリング本体34の場合には、板の幅(径方向の長さ)を大きくとることにより(例えば、範囲5mm〜20mm内の長さ)、シールド効果を一段と高めることができる。板状の円環形状のリング本体34の場合であれば、コイル取付具23A、23Bにおける支持台(図3の28−1〜28−3参照)の最上部にシールドリング33を固定する方法に代え、天板4の内面に貼り付けるという固定方法を適用することもできる(後述する第2の実施形態参照)。この固定方法を適用した場合には、塩化ビニルの被覆部36を省略することも可能である。
上述した吸気窓11A、11B、11Cを介して吸気させるために、各吸気窓11A、11B、11Cに対応してファン13A、13B、13Cが設けられている。吸気窓11A、11B、11Cの外周円のほぼ半円から上方に立設した壁部が設けられており、各壁部のそれぞれの上部に、外周円の中心の上部を通る橋絡板が設けられている。各橋絡板の下面中央部に、対応するファン13A、13B、13Cが取り付けられている。
各ファン13A、13B、13Cの回転軸方向は、ファン13A、13B、13Cが冷却を担当している対応する円形の誘導コイル22A、22B、22C(言い換えると、加熱部)の中心の法線方向からずれている。ファン13A、13B、13Cの回転軸方向が、対応する誘導コイル22A、22B、22Cの中心法線方向と一致している場合には、吸気による流れが四方八方になり、排気窓12に向かわない流れも生じ易いが、上述のような軸ずれにより、誘導コイル22A、22B、22Cの下方に、排気窓12に向かう気流を作り易くなっている。
第1の実施形態の場合、ファン13A、13B、13Cとして、天板4等に吸気気流を当てて発散させることを基本とせずに、羽根形状により上下方向に吸気した気流を周方向に拡散するものを適用しているので、上下方向の吸気力が多少低くても冷却能力は十分である。そのため、冷却対象の誘導コイル22A、22B、22Cが巻回されている円形領域の直径より、ファン13A、13B、13Cの羽根径が小さいものを適用し、ファン13A、13B、13Cに必要な占有面積を抑えるようにしている。
ここで、ファン13A、13B、13Cの数を誘導コイル22A、22B、22Cの数と同じにしたので、十分な冷却を達成することができる。また、上述したように、1個1個のファンとして小形なファンを適用でき、電磁調理器1の全体の小型化、簡易化を図ることができる。
図8は、当該電磁調理器1における加熱動作に関係する電気的な構成等を示すブロック図である。
200Vの商用電源40による供給電力は、電力分配器41によって、各加熱部6A、6B、6Cの処理系列に分配される。各系列への電力分配による交流電流は、その系列の整流回路42A、42B、42Cによって直流に変換されて対応するインバータ回路43A、43B、43Cに与えられ、インバータ回路43A、43B、43Cによって高周波数の駆動用の交流電流が形成され、誘導コイル22A、22B、22Cに供給されて適宜交番磁界を発生させ、天板4を挟んで誘導コイル22A、22B、22Cに対向する鍋を自己発熱させるようになされている。
インバータ回路43A、43B、43Cの動作を制御するため、加熱制御部44A、44B、44Cが各系列に設けられている。加熱制御部44A、44B、44Cは、例えば、CPU、ROM(EEPROM等の書き換え可能なROMであっても良い)、RAM(その他のメモリ素子を備えていても良いことは勿論である)等を備えたマイクロコンピュータで構成される。加熱制御部44A、44B、44Cはそれぞれ、対応する加熱部6A、6B、6C用のタッチパネル部分領域7A、7B、7Cとに接続され、キー入力を取込んだり、ランプ等の点灯制御を行ったりする。また、図8では省略しているが、各系列に対応するファン13A、13B、13Cのオンオフ制御も加熱制御部44A、44B、44Cが担当する。
電力分配器41は、例えば、リレーシーケンスによって構成され、加熱制御部44A、44B及び44Cが動作状態に応じて該当するリレーをオンオフ制御することによって電力を分配するようになされている。
各インバータ回路43A、43B、43Cはそれぞれ、電力制御のためのスイッチング用の半導体素子を複数適用し、直流電流を所定周波数の交流電流に変換するものである。電力制御用の半導体素子としては、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(Insulated Gate Bipolar Transistor;IGBT)が使用される。IGBTは、高周波スイッチングされるため、動作時に大きく発熱するものである。
加熱部6A用の整流回路42A、インバータ回路43A、加熱制御部44Aを構成する電子部品(ここでの電子部品の用語は電子的な処理を行う素子的な部品だけでなく、それより大きい部品を含むものとする)の大半が、図4に示すプリント配線基板45Aに搭載されている。同様に、加熱部6B用の整流回路42B、インバータ回路43B、加熱制御部44Bを構成する電子部品の大半が、プリント配線基板45Bに搭載され、また、加熱部6C用の整流回路42C、インバータ回路43C、加熱制御部44Cを構成する電子部品の大半が、プリント配線基板45Cに搭載されている。
これら3枚の電子部品等を搭載したプリント配線基板45A〜45Cは、図4から理解できるように同様な構成を有している。なお、加熱制御部44Aを構成しているCPUが実行するROM又はRAMに記録されているプログラムは異なるが、外見上は同様である。そのため、プリント配線基板45A〜45Cを同様な製造ラインで形成することができる。加熱部6A、6B、6Cによって加熱段階等が異なるので、過剰スペックのプリント配線基板も生じるが、製造の容易さや部品の共通化等により製造コストを抑えることができる。また、各プリント配線基板45A、45B、45Cはそれぞれ、加熱部が1個の電磁調理器の加熱部用としても適用でき、また、加熱部が2個の電磁調理器の各加熱部用としても適用できる汎用的な構成のものである。
因みに、第1の実施形態とは異なり、1枚のプリント配線基板に異なる加熱部用の電子部品を搭載することもあり得るが、この場合において、加熱部によって電子部品の動作タイミングが異なるため、相互の不要輻射が配線に作用し電気的に発振するような恐れがあるが、加熱部6A、6B、6Cに対応付けてプリント配線基板45A、45B、45Cを設けた場合には、このような恐れをごく小さいものとすることができる。
図4から分かるように、各プリント配線基板45A、45B、45Cの左右方向には左側で奥行方向には手前の位置には、ヒートシンク46A、46B、46Cが設けられている。各ヒートシンク46A、46B、46Cは、基板と、その上部に一体的に設けられた奥行方向に延びる複数のフィンと、基板の下部に一体的に設けられた奥行方向に延びる上部より少ない数のフィンとを有する。各ヒートシンク46A、46B、46Cの基板の下部であってフィンが設けられていない左右方向の中央部には、インバータ回路43A、43B、43Cを構成する複数のIGBTが搭載されている。
ヒートシンク46A、46B、46Cをプリント配線基板45A、45B、45Cの手前側に設けて手前側の重量を重くすることにより、ファン13A、13B、13Cの回転により形成された気流がプリント配線基板45A、45B、45Cの手前側の縁部に当たったとしてもその縁部近傍が上下にバタバタと振動することを防止でき、振動に伴う風切り音を抑えることができる。また、ヒートシンク46A、46B、46Cをプリント配線基板45A、45B、45Cの手前側に設けることにより、ヒートシンク46A、46B、46Cの奥側にも発熱量が大きい電子部品を1又は複数搭載でき、それら電子部品を効率的に冷却させることができる。
第1の実施形態の電磁調理器1は可搬可能なものであるので、利用者が容易に持ち上げることができることが好ましい。一般に、利用者は、図1の左右の側板の奥行方向の半分の長さの位置近傍を両手で把持して持ち上げる。この場合において、手前半分と奥側半分とで重さが異なると持ち上げた電磁調理器が手前側若しくは奥側に下がり、不安定となる。そのため、手前半分の重さと奥側半分の重さが概ね等しいことが好ましい。利用者の中には、図1の手前及び奥側の側板の左右方向の半分の長さの位置近傍を両手で把持して持ち上げる人もいると思われる。この場合において、左半分と右半分とで重さが異なると持ち上げた電磁調理器が左側若しくは右側に下がり、不安定となる。そのため、左半分の重さと右半分の重さが概ね等しいことが好ましい。
すなわち、可搬可能な電磁調理器は、手前半分の重さと奥側半分の重さが概ね等しく、左半分の重さと右半分の重さが概ね等しいことが好ましい。このようなことを、各加熱部の大きさや位置、電子部品毎の重さを考慮して実現することは設計上非常に難しい作業である。第1の実施形態のように、加熱部6A、6B、6Cに対応付けて、多くの電子部品を搭載したプリント配線基板45A、45B、45Cを設け、プリント配線基板45A、45B、45Cを共通化した場合には、プリント配線基板45A、45B、45Cの重さを考慮して、左右方向及び奥行方向のバランスをとるようにするので、各加熱部の大きさや位置を考慮したとしても、そのバランスをとる設計作業は容易で、左右方向及び奥行方向のバランスがとれた電磁調理器1を実現することができる。
図4では、3個のヒートシンク46A、46B、46Cの奥行方向の長さが等しいものを示したが、ヒートシンク46A、46B、46Cの奥行方向の長さ(言い換えると、フィンの長さ)は異なっていても良い。例えば、加熱部6A、6B、6Cの最大加熱能力に応じて、ヒートシンク46A、46B、46Cの奥行方向の長さを選定するようにしても良い。この場合においても、プリント配線基板45A、45B、45Cにおける、ヒートシンク46A、46B、46Cの搭載のために奥行方向の長さは一定とする。そして、この搭載長さより奥行方向の長さが長いヒートシンクについては、プリント配線基板の手前縁部より手前にヒートシンクの一部を食み出すようにする。これにより、ヒートシンク46A、46B、46C以外のプリント配線基板45A、45B、45Cの同一性を確保することができる。
図9は、タッチパネル領域7におけるキースイッチ(以下、単にキーと呼ぶ)や発光素子の配置等を示す説明図である。
タッチパネル領域7は、上述したように、左加熱部6Aに係る領域7Aと、右加熱部6Bに係る領域7Bと、奥側加熱部6Cに係る領域7Cとに分かれている。
左加熱部用タッチパネル領域7Aは、左加熱部6Aにおける通常加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「加熱」キー50と、左加熱部6Aにおける湯沸かし加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「湯沸かし」キー51と、左加熱部6Aにおける揚げ物加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「揚げ物」キー52と、左加熱部6Aにおける通常加熱や揚げ物加熱の段階を1段階上げることを指示する「強く」キー53と、左加熱部6Aにおける通常加熱や揚げ物加熱の段階を1段階下げることを指示する「弱く」キー54と、左加熱部6Aにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ長くすることを指示する「+」キー55と、左加熱部6Aにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ短くすることを指示する「−」キー56とを備えている。
また、左加熱部用タッチパネル領域7Aは、通常加熱が選択されていることを表す発光素子57と、湯沸かし加熱が選択されていることを表す発光素子58と、揚げ物加熱が選択されていることを表す発光素子59と、通常加熱若しくは揚げ物加熱で選択されている段階を表示する9個の発光素子でなる段階表示部60と、タイマの残り時間や揚げ物加熱時の温度等を表示する数字表示部61とを有する。なお、数字表示部61は、表示している数字がタイマの残り時間か揚げ物加熱時の温度かを表すインジケータも含んでいる。
右加熱部用タッチパネル領域7Bは、右加熱部6Bにおける通常加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「加熱」キー62と、右加熱部6Bにおける煮物加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「煮もの」キー63と、右加熱部6Bにおける通常加熱の段階を1段階上げることを指示する「強く」キー64と、右加熱部6Bにおける通常加熱の段階を1段階下げることを指示する「弱く」キー65と、右加熱部6Bにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ長くすることを指示する「+」キー66と、右加熱部6Bにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ短くすることを指示する「−」キー67とを備えている。
また、右加熱部用タッチパネル領域7Bは、通常加熱が選択されていることを表す発光素子68と、煮物加熱が選択されていることを表す発光素子69と、通常加熱で選択されている段階を表示する8個の発光素子でなる段階表示部70と、タイマの残り時間を表示する数字表示部71とを有する。
奥側加熱部用タッチパネル領域7Cは、奥側加熱部6Cにおける加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「加熱」キー72と、奥側加熱部6Cにおける通常加熱の段階を1段階上げることを指示する「強く」キー73と、奥側加熱部6Cにおける通常加熱の段階を1段階下げることを指示する「弱く」キー74と、奥側加熱部6Cにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ長くすることを指示する「+」キー75と、奥側加熱部6Cにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ短くすることを指示する「−」キー76とを備えている。
また、奥側加熱部用タッチパネル領域7Cは、通常加熱が選択されていることを表す発光素子77と、通常加熱で選択されている段階を表示する8個の発光素子でなる段階表示部78と、タイマの残り時間を表示する数字表示部79とを有する。
タッチパネル領域7には、その他、電源スイッチのオンオフ状態を表す発光素子80や、動作モードや所定の加熱部の加熱段階等から定まる「高温」の注意を促すための発光素子81も設けられている。
次に、右加熱部6Bの加熱制御部44Bが実行する煮物加熱時の動作について説明する。図10は、煮物加熱時の動作を示すフローチャートである。なお、図10は、発光素子の点灯制御は省略して示している。
「煮もの」キー63が操作されると、制御部44Bは、図10に示す処理を開始する。そしてまず、制御部44Bは、左加熱部6Aを煮物加熱時の初期の消費電力P1で加熱動作させると共に、内蔵するタイマによる計時を開始する(ステップS100)。
計時時間が予め定まっている第1の所定時間T1になると、制御部44Bは、温度センサの検出温度を取り込んで判別する(ステップS101)。第1の所定時間T1も加熱しながら検出温度が第1の閾値温度C1以下であると、制御部44Bは、加熱異常として停止処理などを行う(ステップS102)。検出温度が第1の閾値温度C1より大きい第2の閾値温度C2より大きいと、制御部44Bは、初期消費電力P1より小さい安定加熱時用の消費電力P2での加熱に切り替える(ステップS103)。計時時間が第1の所定時間T1経過した時点で、検出温度が第1の閾値温度C1より大きく第2の閾値温度C2以下であると、制御部44Bは、初期消費電力P1による加熱動作を継続させる。
加熱開始時点からの計時時間が予め定まっている第2の所定時間T2(T2>T1)になると、制御部44Bは、温度センサの検出温度が第3の閾値温度C3(C3>C2)を超えたか否かを判別する(ステップS104)。検出温度が第3の閾値温度C3より大きいと、制御部44Bは、安定加熱時用の消費電力P2での加熱に切り替える(ステップS103)。計時時間が第2の所定時間T2経過した時点で、検出温度が第3の閾値温度C3以下であると、制御部44Bは、初期消費電力P1による加熱動作を継続させる。
その後、制御部44Bは、温度センサの検出温度が第4の閾値温度C4(C4>C3)を超えた状態になることを監視する(ステップS105)。検出温度が第4の閾値温度C4より大きい状態になると、制御部44Bは、安定加熱時用の消費電力P2での加熱に切り替える(ステップS103)。一方、検出温度が第4の閾値温度C4より大きくなることなく計時時間が第3の所定時間T3(T3>T2)に達すると、制御部44Bは、安定加熱時用の消費電力P2での加熱に切り替える(ステップS103)。
安定加熱時用の消費電力P2での加熱に切り替えた以降は、制御部44Bは、測定温度がC5〜C6のごく狭い温度範囲内になるように制御する。すなわち、制御部44Bは、温度センサの検出温度が第5の閾値温度C5を越えると加熱を停止させ、温度センサの検出温度が第6の閾値温度C6(C6<C5)を下回れば安定加熱時用の消費電力P2での加熱を再開させる(ステップS106〜S109)。
図10に示す煮物加熱の実行中に、「煮もの」キー63が操作されて煮物加熱の終了が指示されると、制御部44Bは、煮物加熱を終了させる。
湯沸かし加熱と煮物加熱とでは、閾値温度や所定時間や加熱時の消費電力等が異なるが、安定加熱時用の消費電力での加熱に切り替える前の処理は同様であり、処理プログラムの作成が容易である。なお、湯沸かし加熱では、安定加熱時用の消費電力での加熱に初めて移行してから所定時間が経過すると自動的に加熱を終了させるようになっている。湯沸かしは、湯が沸けば良いのであるが、煮物は所定温度に到達した後も煮続ける必要があり、温度維持動作を行うこととしている。
第1の実施形態の場合、煮物加熱の閾値温度C1〜C6、所定時間T1〜T3、加熱時の消費電力P1、P2は、温度を、煮物に適した温度(沸騰温度よりかない低い温度)になるまで時間を掛けて緩やかに上昇させ、煮物に適した温度に到達するとその温度(若しくは近傍温度)を維持させるような値に選定している。
すなわち、利用者が煮物を意識して加熱段階を適宜変更することなく、煮物に適した加熱を実行することができる。
第1の実施形態によれば、電磁調理器1が卓上型でありながら200Vの商用電源を動作電源としているので、台所の調理器が設置される箇所に載置して使用することができる。また、そのような箇所に載置するのに適した外形形状を有している。
第1の実施形態によれば、筐体樹脂の選定により、電源コードがアース線を含めないものであっても良く、アース線を省略した場合には、アース線が拾っていた不要な電磁波を拾わないようにできる。選定された樹脂を適用した筐体は、絶縁破壊時の交流電圧が200Vより格段に高く、筐体をアースできなくても絶縁破壊に伴う電流が流れることは考えられない。
第1の実施形態によれば、誘導コイルを上下方向に2層(2重)に巻回して設けたので、200Vの商用電源を動作電源とすることにより加熱部の最大加熱能力を高めても、それに見合う大きな誘導電磁界を容易に低コストで実現することができる。
第1の実施形態によれば、磁性体部材(フェライトコア)のうちヒートシンクに最も近い位置の磁性体部材を、ヒートシンクのフィンの延長方向(奥行方向)に対してほぼ直交する方向に延びるように配置したので、対応するファンが形成した冷却気流を磁性体部材が乱して、ヒートシンクの幅方向(フィンの並設方向)に冷却気流を分散させ、全てのフィンの脇を冷却気流が通るようにさせて冷却効率を高めることができる。
第1の実施形態によれば、一部の誘導コイル(全ての誘導コイルであっても良い)をシールドリングで囲繞するようにしたので、誘導コイルによる、加熱領域以外に向かう誘導電磁界を阻止することができる。200Vの商用電源を動作電源とした場合、誘導電磁界も大きいので、シールドリングを設けたことによる効果は大きい。ここで、シールドリングを中実な断面円形の金属線材で構成したので、中空のものを適用するより、大きなシールド効果を発揮させることができる。また、シールドリングには絶縁体でなる被覆部を設けるようにしたので、配線と接触しても、漏れ電流が流れることを阻止することができる。
第1の実施形態によれば、ファンとして、天板等に吸気気流を当てて発散させることを基本とせずに、羽根形状により上下方向に吸気した気流を周方向に拡散するものを適用しているので、上下方向の吸気力が多少低くても十分な冷却能力を発揮させることができる。そのため、冷却対象の誘導コイルが巻回されている円形領域の直径よりファンの羽根径が小さいファンを適用することも可能で、ファンに必要な占有面積を抑えることができる。
第1の実施形態によれば、加熱部毎に、加熱制御に係る電子部品を搭載したプリント配線基板を設け、これらプリント配線基板を同一のものとするようにしたので、製造の容易さや部品の共通化等を達成できて製造コストを抑えることができる。また、加熱部毎にプリント配線基板を設けたので、1枚のプリント配線基板に複数の加熱部の電子部品が混在することがなく、不要な発振や振動を抑えることができる。
第1の実施形態によれば、ヒートシンクをプリント配線基板の手前側に搭載して手前側の重量を重くしたので、ファンの回転により形成された気流がプリント配線基板の手前側の縁部に当たったとしてもその縁部近傍が上下にバタバタと振動することを防止でき、振動に伴う風切り音を抑えることができる。また、ヒートシンクをプリント配線基板の手前側に設けることにより、ヒートシンクの奥側にも発熱量が大きい電子部品を1又は複数搭載でき、それら電子部品を効率的に冷却させることができる。
第1の実施形態の電磁調理器は、3つの加熱部の配置関係や複数のプリント配線基板の共通化などにより、重量分布を容易に最適化でき、手前半分の重さと奥側半分の重さが概ね等しく、左半分の重さと右半分の重さが概ね等しくすることができている。その結果、利用者が、左右方向の2つの側板の中央部や、奥行方向の2つの側板の中央部を把持して持ち上げた際に、傾くことなく持ち上げることができる。
第1の実施形態によれば、煮物加熱モードを設けたので、煮物加熱の選択時に利用者に負担を掛けることなく煮物加熱に適した加熱を実行することができる。
(B)第2の実施形態
次に、本発明による電磁調理器の第2の実施形態を、図面を参照しながら説明する。ここで、第1の実施形態に係る電磁調理器は、200Vの商用電源を利用する2個の加熱部(第1の実施形態と同様に、誘導加熱の加熱部だけを含む)を有する卓上型の電磁調理器である。
第2の実施形態に係る電磁調理器1Xと第1の実施形態に係る電磁調理器1とは、加熱部の数は異なるが、適用している技術思想が共通していることが多く、以下では、共通して技術思想を中心に、第2の実施形態に係る電磁調理器1Xを説明する。
図11は、第2の実施形態に係る電磁調理器1Xの外観を示す斜視図であり、第1の実施形態に係る図1に対応する図面であり、図1と同一、対応部分には同一、対応符号を付して示している。
第2の実施形態の電磁調理器1Xは、例えば、左右方向が590mm、奥行方向が500mm、厚さが60mmの、概ね、薄い直方体の箱形状をしている。電磁調理器1Xも、主として上蓋2及び下蓋3からなる。上蓋2は、4角形状の天板4と、天板4の周縁から下方に延びている側板を中心に構成されているスカート部5とを有する。下蓋3は、4角形状の底板9と、底板9の周縁に設けられた段部10と、段部10の周辺から上方に立設されている壁部とを有する。
天板4は、調理容器載置部領域6と、タッチパネル領域7とを有する。
第2の実施形態の場合、加熱部が2つであるので、調理容器載置部領域6の表面には、2つの同心円の組が2組描かれている。同心円の組が描かれている領域6D及び6E(以下では、左領域若しくは右領域、又は、左加熱部若しくは右加熱部と呼んで区別する)がそれぞれ、異なる加熱部がその下方に位置していることを表している。第2の実施形態の電磁調理器1Xの場合、左加熱部6Dに加熱時に供給し得る最大電力が右加熱部6Eに加熱時に供給し得る最大電力より大きくなっている。
左加熱部6D及び右加熱部6E共に、加熱領域円の円周上の任意の点と、スカート部5のいずれかの側面との距離が、所定の長さ(ここでは10cm)以上と長くなっている。これも、第1の実施形態と同様に、電磁調理器1Xがどのように場所に置かれても、加熱部と近接した壁面との間に法律的に求められている距離を確保するためである。
図11では省略しているが、下方に加熱部が位置していることを表している2つの同心円の中心に「IH」などの文字や記号を描画しておき、加熱部が電磁誘導作用を利用した加熱部であることを明示するようにしても良い。
タッチパネル領域7は、左加熱部6Dの領域7D、右加熱部6Eの領域7Eに分かれている。各タッチパネル部分領域7D、7Eの詳細については、図16を参照しながら後述する。
調理容器載置部領域6及びタッチパネル領域7を有する天板4は、第1の実施形態と同様な理由により、1枚のガラス板によって構成されている。第2の実施形態でも、電源スイッチ8は、上蓋2の手前側側板の下方の下蓋3の位置であって、上蓋2の右側側板に近い位置に設けられている。また、第2の実施形態においても、電磁調理器1Xが60mm程度の厚さを有する中、上蓋2のスカート部5の側板と下蓋3の壁部とが接している上下方向(厚さ方向)の幅が半分程度に選定されている。
図12は、天板4を除外し、筐体の内部を見えるようにした斜視図である。図12は、左加熱部6Dについては誘導コイル(図示されていないが符号22Dを用いる)を除外し、右加熱部6Eの誘導コイル22Eだけを示している。但し、誘導コイル22Eの図示は厳密ではなく、誘導コイル22Eが装着されているイメージで記述している。
第2の実施形態においても、上蓋2のスカート部5の側板上部には、天板4(図12では省略)の下面の周縁部分を載置して接着するための天板載置部20が設けられている。天板載置部20の手前側の領域21は、第2の実施形態においても、タッチパネル領域7に対応する領域となっている。
第2の実施形態においては、第1の実施形態と異なり、奥側側板上方の天板載置部20の左右方向の中央と天板載置部20の手前側領域21の左右方向の中央とを連絡する橋絡部15が、天板載置部20に設けられている。橋絡部15は、天板4(の裏面)を支持すると共に、天板4の裏面の領域を左右方向に区分する機能を担っている。第2の実施形態の場合、橋絡部15を挟んだ左側の構成と右側の構成とは、概ね、一方の構成を平行移動すると他方の構成に重なるような同様な構成となっている。
左加熱部6D及び右加熱部6Eの中心的な構成要素である誘導コイル22D、22Eが、上述した同心円組の半径が小さい円の下方である位置に固定されている。第2の実施形態においても、誘導コイル22D、22Eは、第1の実施形態と同様に、2重に巻回した状態で取り付けられている。
一方、第2の実施形態の場合、第1の実施形態と異なり、誘導コイル22D、22Eを囲繞するシールドリング(図2の符号33A、33B参照)は設けられていない。第2の実施形態の場合、シールドリングと同じ機能を金属板(例えばアルミニウム板)が果たすようになされている。
図13は、第2の実施形態の電磁調理器1Xにおける上蓋2の内面側を示す斜視図である。
図13における右側(図11の左側に対応)の金属板16Dは、誘導コイル22Dからの誘導電磁界をシールドするものであり、図13における左側(図11の右側に対応)の金属板16Eは、誘導コイル22Eからの誘導電磁界をシールドするものである。各金属板16D、16Eはそれぞれ、電磁調理器1Xを左右方向に2分した矩形状より僅かに小さい矩形状をしており、その中央に円形の透孔17D、17Eを有する。各透孔17D、17Eの外周は、固定されている対応する誘導コイル22D、22Eの外径を囲繞するようになされている。これにより、誘導コイル22D、22Eが形成した誘導電磁界のうち加熱部6D、6Eの外方へ向かう誘導電磁界をシールドすることができる。
図13は、上蓋2の内面に設ける金属板16D、16Eが矩形のものを示したが、他の形状であっても良いことは勿論である。例えば、第1の実施形態で言及した円環形状の金属板16D、16Eを上蓋2の内面に設けるようにしても良い。また、上蓋2の内面に設ける他、天板4から金属板16D、16Eを懸架するなど、他の方法で金属板16D、16Eを取り付けるようにしても良い。さらに、一方の加熱部(例えば6D)に対してはシールドリングを適用し、他方の加熱部(例えば6E)に対しては金属板を適用するようにしても良い。
図12では、加熱部6Eの磁性体部材(見えないが符号32Eを用いる)が視認できないが、加熱部6Dの磁性体部材32Dと同様に設けられている。加熱部6D、6Eの磁性体部材32D、32Eは、第1の実施形態と同様なものである。また、以下の点も、第1の実施形態と同様である。各誘導コイル22D、22E毎の複数(6個)の磁性体部材のうちヒートシンクに最も近い位置の磁性体部材は、ヒートシンクのフィンの延長方向に対してほぼ直交する方向に延び、対応するファンが形成した冷却気流を乱し、ヒートシンクの幅方向に冷却気流を分散させ、全てのフィンの脇を冷却気流が通るようにさせて冷却効率を高めている。
図14は、図12の表示内容から、誘導コイルと、誘導コイルの取付けに関連する構成を除外して示す斜視図である。
第2の実施形態における強制冷却構成は、加熱部の数は異なるが、第1の実施形態と同様である。
下蓋3の底板9には、2つの吸気窓11D、11Eと、排気窓12とを有する。吸気窓11D、11Eはそれぞれ、ファン13Dの回転により筐体内に周囲の空気を取り込むものである。
各ファン13D、13Eの回転軸方向は、第1の実施形態で説明した理由により、ファン13D、13Eが冷却を担当している対応する円形の誘導コイル22D、22E(言い換えると、加熱部)の中心の法線方向からずれている。また、第1の実施形態で説明した理由により、冷却対象の誘導コイル22D、22Eが巻回されている円形領域の直径より、ファン13D、13Eの羽根径が小さいものを適用している。
図15は、第2の実施形態の電磁調理器1Xにおける加熱動作に関係する電気的な構成等を示すブロック図である。
200Vの商用電源40による供給電力は、電力分配器41によって、各加熱部6D、6Eの処理系列に分配される。各系列への電力分配による交流電流は、その系列の整流回路42D、42Eによって直流に変換されて対応するインバータ回路43D、43Eに与えられ、インバータ回路43D、43Eによって高周波数の駆動用の交流電流が形成され、誘導コイル22D、22Eに供給されて適宜交番磁界を発生させ、天板4を挟んで誘導コイル22D、22Eに対向する鍋を自己発熱させるようになされている。インバータ回路43D、43Eの動作を制御するため、加熱制御部44D、44Eが各系列に設けられている。加熱制御部44D、44Eはそれぞれ、対応する加熱部6D、6E用のタッチパネル部分領域7D、7Eとに接続され、キー入力を取込んだり、ランプ等の点灯制御を行ったりする。
加熱部6D用の整流回路42D、インバータ回路43D、加熱制御部44Dを構成する電子部品の大半が、図14に示すプリント配線基板45Dに搭載され、また、加熱部6E用の整流回路42E、インバータ回路43E、加熱制御部44Eを構成する電子部品の大半が、図14に示すプリント配線基板45Eに搭載されている。
これら2枚の電子部品等を搭載したプリント配線基板45D及び45Eは、図14から理解できるように同様な外観構成を有している。そのため、プリント配線基板45D、45Eを同様な製造ラインで形成することができる。また、プリント配線基板の共通構成により、製造の容易さや安価な製造コストを実現できる。また、異なる加熱部の電子部品を1枚のプリント配線基板に搭載した場合のような電気的な発振や機械的な振動を未然に防止することができる。
各プリント配線基板45D、45Eの左右方向には左側で奥行方向には手前の位置には、ヒートシンク46D、46Eが設けられている。各ヒートシンク46D、46Eの基板の下部であってフィンが設けられていない左右方向の中央部には、インバータ回路43D、43Eを構成する複数のIGBTが搭載されている。
第2の実施形態においても、ヒートシンク46D、46Eをプリント配線基板45D、45Eの手前側に設け、冷却気流がプリント配線基板45D、45Eの手前側の縁部に当たった際の振動や風切り音を抑えるようにすると共に、ヒートシンク46D、46Eの奥側にも発熱量が大きい電子部品を1又は複数搭載して、それら電子部品を効率的に冷却させるようにしている。
第2の実施形態の電磁調理器1Xも、加熱部6D、6Eに対応付けて、多くの電子部品を搭載したプリント配線基板45D、45Eを設け、プリント配線基板45D、45Eを共通化しているので、プリント配線基板45D、45Eの重さを考慮して左右方向及び奥行方向のバランスをとる設計を行えば良く、各加熱部の大きさや位置を考慮したとしても、そのバランスをとる設計作業が容易で、左右方向及び奥行方向のバランスがとれた電磁調理器1Xを実現することができる。
図16は、第2の実施形態の電磁調理器1Xのタッチパネル領域7におけるキーや発光素子の配置等を示す説明図である。
タッチパネル領域7は、上述したように、左加熱部6Dに係る領域7Dと、右加熱部6Eに係る領域7Eとに分かれている。
左加熱部用タッチパネル領域7Dは、左加熱部6Dにおける通常加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「加熱」キー90と、左加熱部6Dにおける湯沸かし加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「湯沸かし」キー91と、左加熱部6Dにおける揚げ物加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「揚げ物」キー92と、左加熱部6Dにおける通常加熱や揚げ物加熱の段階を1段階上げることを指示する「強く」キー93と、左加熱部6Dにおける通常加熱や揚げ物加熱の段階を1段階下げることを指示する「弱く」キー94と、左加熱部6Dにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ長くすることを指示する「+」キー95と、左加熱部6Dにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ短くすることを指示する「−」キー96とを備えている。
また、左加熱部用タッチパネル領域7Dは、通常加熱が選択されていることを表す発光素子97と、湯沸かし加熱が選択されていることを表す発光素子98と、揚げ物加熱が選択されていることを表す発光素子99と、通常加熱若しくは揚げ物加熱で選択されている段階を表示する9個の発光素子でなる段階表示部100と、タイマの残り時間や揚げ物加熱時の温度等を表示する数字表示部101とを有する。
右加熱部用タッチパネル領域7Eは、右加熱部6Eにおける通常加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「加熱」キー102と、右加熱部6Eにおける煮物加熱のオン(入)オフ(切)を指示する「煮もの」キー103と、右加熱部6Eにおける通常加熱の段階を1段階上げることを指示する「強く」キー104と、右加熱部6Eにおける通常加熱の段階を1段階下げることを指示する「弱く」キー105と、右加熱部6Eにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ長くすることを指示する「+」キー106と、右加熱部6Eにおけるタイマの計時時間を1単位分だけ短くすることを指示する「−」キー107とを備えている。
また、右加熱部用タッチパネル領域7Eは、通常加熱が選択されていることを表す発光素子108と、煮物加熱が選択されていることを表す発光素子109と、通常加熱で選択されている段階を表示する8個の発光素子でなる段階表示部110と、タイマの残り時間を表示する数字表示部111とを有する。
タッチパネル領域7には、その他、電源スイッチのオンオフ状態を表す発光素子112や、動作モードや所定の加熱部の加熱段階等から定まる「高温」の注意を促すための発光素子113も設けられている。
加熱制御部44Eが、「煮もの」キー103のオン操作に応じて実行する煮物加熱時の加熱制御は、第1の実施形態で説明したものと同様である(図10参照)。
図17は、第2の実施形態の電磁調理器1X(や第1の実施形態の電磁調理器1)を載置するために形成され、市販される電磁調理器用載置台120を示す斜視図である。
上述したように、第2の実施形態の電磁調理器1X及び第1の実施形態の電磁調理器1は、加熱部の数は異なるが、左右方向の長さが590mm、奥行方向の長さが500mm、厚さが60mm程度の同様な外形をしている。そのため、図17に示す電磁調理器用載置台120は、第1の実施形態の電磁調理器1を載置することもできれば、第2の実施形態の電磁調理器1Xを載置することもできるものである。
電磁調理器用載置台120は、天板121と、右側側板122と、左側側板123と、奥側側板124(図17では見えない)とを有する。図示は省略しているが、右側側板122、左側側板123及び奥側側板124の上端には、複数の突起が設けられ、天板121の下面に設けられている凹部に上述した突起が嵌合するようになされている。符号125〜130は、ねじ止めしたねじの上部を隠す目隠しキャップを表している。目隠しキャップ125及び126の下側に存在するねじによって天板121と右側側板122とが連結固定され、
目隠しキャップ127及び128の下側に存在するねじによって天板121と左側側板123とが連結固定され、目隠しキャップ129及び130の下側に存在するねじによって天板121と奥側側板124とが連結固定されている。天板4の4隅近傍に設けられている凹部131〜134は、電磁調理器1X又は電磁調理器1の4隅に設けられた脚部が係合するものである。なお、これら凹部131〜134が設けられていないものであっても良い。右側側板122、左側側板123及び奥側側板124の下端には、滑り防止用のゴム脚が設けられている。
天板121、右側側板122、左側側板123及び奥側側板124は木製の部材であり、それぞれの全面が、例えば、カビを防ぐ防カビ剤が含まれている塗料が塗布されている。木製にすることにより、金属製のものと比較し、電磁調理器1X又は電磁調理器1の加熱動作時に生じた振動音を吸収することができ、また、温度が高温になることを防ぐことができる。腐食面では、木製より金属製が好ましい材質であるが、防カビ剤が含まれている塗料を塗布することにより腐食を抑えることができる。
また、電磁調理器用載置台120が手前側板を備えないことにより、調理時において、電磁調理器用載置台120の下に皿や調味料などを置くことができる。
電磁調理器用載置台120は、概ね120mm程度の高さを有するものである。電磁調理器1X又は電磁調理器1は60mm程度の厚さ(高さ)を有するものである。そのため、図18に示すように、電磁調理器用載置台120に電磁調理器1X又は電磁調理器1を載置した状態での高さは180mm程度である。
この高さは、図18に示すように、台所に調理器の設置のための用意されている、他の箇所より一段低くなっている箇所の深さと同様であり、電磁調理器1X又は電磁調理器1を載置した電磁調理器用載置台120を、一段深くなっている箇所に置くと、電磁調理器1X又は電磁調理器1の表面高さは他の箇所とほぼ面一となり、調理がし易いものとなる。
第2の実施形態は、第1の実施形態より加熱部の数は少ないが、第1の実施形態が適用している技術思想と同じ技術思想を適用していることに関しては、第1の実施形態と同様な効果を奏することができる。
第2の実施形態では、シールドリングに代えて、天板裏面に金属板を設けているが、シールドリングと同様なシールド効果を奏することができる。
第2の実施形態の電磁調理器用の載置台(第1の実施形態の電磁調理器用の載置台と同一)は、防カビ剤を含む塗料を塗布した木製であるため、振動音を吸収できる、台が高温になることを防ぐことができる、腐食を抑えることができるなどの効果を奏することができる。また、この電磁調理器用載置台に電磁調理器を載置することにより、台所に調理器の設置のための用意されている他の箇所より一段低くなっている箇所に、電磁調理器を適切に位置させることができる。
(C)他の実施形態
上記各実施形態の説明においても、種々変形実施形態に言及したが、さらに、以下に例示するような変形実施形態を挙げることができる。
上記各実施形態では、全ての加熱部が複数の加熱段階から加熱段階を選択できるものであったが、一部の加熱部は加熱段階が1つであって、加熱段階の選択を行うことができないものであっても良い。
上記各実施形態においては、200Vの商用電源で動作する電磁調理器を示したが、100Vの商用電源で動作する電磁調理器に対しても、上述した各種の技術思想のうち一部は適用可能である。
上記各実施形態においては、卓上型の電磁調理器を示したが、据置き型の電磁調理器に対しても、上述した各種の技術思想のうち一部は適用可能である。
上記各実施形態においては、加熱部が2個又は3個の電磁調理器を示したが、加熱部の数はこれに限定されるものではない。例えば、誘導加熱に基づく加熱部が2つ以上あれば、上述した各種の技術思想のうち一部は適用可能である。誘導加熱に基づく加熱部が2つ以上ある場合には、誘導加熱以外の原理による加熱部を有するものであっても良い。