以下、図面を参照して、実施の一形態について説明する。
図1および図2は、実施形態に係るウェアラブル装置(電子機器)の一例を示す概略図である。ウェアラブル装置は、携帯可能(利用者が頭部に装着可能)な端末装置であって、例えばスマートフォン(あるいはタブレットPC)を制御部として関連付けられたスマートフォン(タブレットPC)からの情報を、両手を自在に動かすことのできるハンズフリー状態で視認可能に、装着者の視線の延長上の所定の位置に表示する。以下、ウェアラブル装置を、眼鏡型を例として、実施の形態を説明する。ウェアラブル装置としては、装着者の頭部に装着するヘッドマウントディスプレイ型であってもよい。
ウェアラブル装置101は、投光部(表示情報生成部)1、投光部支持部(本体)2、スクリーン(表示部)3、駆動回路部(画像表示回路および光源駆動回路、あるいは信号処理部と称することもある)4、通信部5および電源部6、等を含む。
投光部1は、光源10および少なくとも情報表示ユニット7および投射(拡大)光学系8を含む。投光部1は、駆動回路部4、通信部5および電源部6を内蔵し、本体2の所定の位置、例えばウェアラブル装置101が眼鏡型に形成される場合におけるフレーム状部から伸びる弦部(耳かけ部)に着脱可能に、位置する。投光部1は、例えばフレーム状部に内蔵されても良い。
本体2は、投光部1およびスクリーン3とともに、投光部1およびスクリーン3の釣合い重りとして機能する透明体9を、一体的に支持する。スクリーン3は、投光部1の情報表示ユニット7が表示する情報(像)を光源10からの光により照明して得られる表示画像(情報表示ユニット7が表示する像に基づいて輝度が空間変調された表示)を投射(拡大)光学系8で拡大した画像光13を可視化する。すなわち、スクリーン3は、ウェアラブル装置101を装着した装着者の視線の延長上に見える像、すなわち背景(環境)像の一部を透過し、表示画像を拡大した画像光13の可視像とともに、装着者に視認(知覚)可能とする。駆動回路部4は、通信部5が取得する表示データに基づいて、情報表示ユニット7に第1の情報(スクリーン3の表示領域3aに所定期間表示する表示画像)に対応する像、例えば映像やメッセージ(テキスト)を表示する。なお、第1の情報に対応する像を、第1の情報あるいは第1の情報の像もしくは像と略称する場合がある。通信部5は、情報表示ユニット7が表示する第1の情報(映像データやテキストデータ)に対応する像を生成するための基となるデータを、情報供給元、例えばネットワーク上のシステムコントローラもしくはデータサーバから受け取り、例えば内蔵するメモリ部(図3に示す記憶モジュール)44において保持する。情報供給元は、例えばUSB(Universal Serial Bus)規格、等に準拠し、通信部5あるいは駆動回路部4と接続可能で、通信部5あるいは駆動回路部4が(データを)読み取り可能な外部メモリ装置であってもよい。電源部6は、例えばボタン型電池と、接続用の端子および駆動回路部4ならびに通信部5との間の接続線、等を含む。情報表示ユニット7は、例えば反射型のLCD(Liquid Crystal Display)パネルであり、駆動回路部4による表示制御に基づいて第1の情報を表示する。透明体9は、例えば光量検出センサ面(光電変換膜)、等を一体に有し、装着者が(ウェアラブル装置101の)スクリーン3および透明体9越しに視認する環境(背景)の明るさの情報を取得できることが好ましい。もちろん、環境(背景)の明るさの情報を取得するための光量検出センサを独立に設けるものであってもよいことはいうまでもない。また、カメラ機能(レンズおよび画像処理部)が設けられている場合、その明るさ検出機能を利用してもよいことはいうまでもない。
なお、投光部1の所定の位置、例えば底面部に、スライド式スイッチ16および回転式ツマミ17、等を有する。スイッチ16は、例えば投光部1が出射する画像光13(表示情報に対応する像)の輝度(光源10が出力する照明光の明るさ(および色調))の調整が可能である。ツマミ17は、例えば投光部1が出射する画像光13の投射(出射)角度の調整が可能である。スイッチ16およびツマミ17を、異なる動作により調整量の設定が可能な構成とすることで、画像光13をスクリーン3にて可視化した可視像を目視しながら装着者が、ブラインドタッチで、輝度および投射角度を調整可能である。すなわち、スイッチ16を操作することで、装着者の希望する可視像の表示輝度や色調を提供できる。また、装着者の頭部の形状やサイズに合わせて、最適な位置に可視像を表示可能に、ツマミ17による投射角度の調整が可能である。なお、スイッチ16とツマミ17による調整対象は逆であっても良いことはもちろんであるし、スイッチ16とツマミ17の位置が逆であってもよい。
投光部1はまた、所定の位置、例えば底面部に、スピーカ18を有することができる。スピーカ18は、例えば管理者(あるいは監督者)からのメッセージ、等を、音声情報として(ウェアラブル装置の)装着者である作業者に通知する(音声情報を再生する)ために有益である。
次に、投光部1によるスクリーン3への情報(像)の表示について説明する。
投光部1の光源10は、例えば3個のLED(Light Emitting Diode)素子を含む調光型白色LEDモジュール(L−cos)であることが好ましい。調光型白色LEDモジュールのそれぞれのLED素子は、互いに発光色が異なり、それぞれの(素子の)出力光量を独立して変更可能であり、任意の色の光を出力できる。光源10からの白色光の一部(照明光)は、ミラープリズム12のハーフミラー面11により、情報表示ユニット7に向けられる。情報表示ユニット7は、ハーフミラー面11で反射した光源10からの照明光により照明される。これにより、情報表示ユニット7が表示する第1の情報(映像やメッセージ)に対応する像は、ミラープリズム12側へ反射する。以下、情報表示ユニット7で反射した第1の情報に対応する像を含む光を、画像光13と称する。
光源10は、例えばR(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれの色の光を独立して出力する3つの発光部を有するもの(3板型L−cos)であってもよい。なお、軽量化や映像の動特性を向上させる場合は、緑単色などにしても良い。また、R、G、Bの3つの抗原を使用すると3回のスキャンで1フレームとなるが、単色にすれば3倍のフレームレートにできる(あるいは1/3のフレームレートで同等の動特性となる)。
上述した単色光あるいは複数の単色光を出力する光源10を用いる場合、情報表示ユニット7を、例えばMEMS(Micro Electro Mechanical Syestm)技術により得られるDMD(Digital Mirror Device)方式で像を表示することにより、より解像度の高い像を出力可能となる。また、独立した3つの発光部を用いることにより、コントラスト比の可変範囲や輝度の調整範囲を、一層、広げることが可能である。なお、それぞれの発光部(光源)は、レーザ素子であってもよい。また、図10および図11により後段に示すように、DLP(Digital Light Precessing)すなわちMEMS技術を適用して得られるレーザ表示アレイが出力する光(映像)を、装着者の目(網膜)をスクリーンとして、装着者に直接、知覚させる「網膜走査方式」を適用することも可能である。
画像光13は、ミラープリズム12を透過し、投射光学系8のレンズ14より所定の大きさに拡大され、スクリーン3のフレネルレンズ形ハーフミラー面15に到達して、可視像となる。可視像(フレネルレンズ形ハーフミラー面15に到達した画像光13)は、本体2を装着した装着者の一方の眼の視線の延長上に、フレネルレンズ形ハーフミラー面15が提供する拡大倍率に従う所定の大きさで視認(知覚)できる。画像光13は、投光部1が1個であること、投光により得られる可視像を表示するスクリーン3と投光部1との間の距離、および投光部1からスクリーン3への像の出射時の角度に起因するが、装着者の一方の眼のみによって、視認(知覚)可能である。なお、投光部1を、装着者の一方の眼のみによって視認(知覚)可能に、画像光13(表示情報)を提供する構成としたことにより、ウェアラブル装置101の重量を軽減できる。これにより、ウェアラブル装置101を装着した状態で、長時間の作業が可能となる。すなわち、ウェアラブル装置101を装着して長時間作業する場合の装着者への負担(負荷)を低減できる。
図3は、駆動回路部の構成の一例を示す概略図である。
駆動回路部4は、プロセッサ(CPU(Central Processing Unit))41、光源制御部42、表示画像生成部(LCD駆動回路)43、記憶モジュール(メモリ部)44、等を含む。なお、プロセッサ41と表示画像生成部43は、一つの電子回路に搭載されたプロセッサにより実現するものであってもよい。また、駆動回路部4を、例えば1チップマイコン(MPU)とし、プロセッサ41、光源制御部42、表示画像生成部43、メモリ部44、等を、プロセッサ41のファームウェアとして実現するものであってもよい。
プロセッサ41は、通信部5が取得する第1の情報に対応する像の表示タイミングにおいて表示画像生成部(LCD駆動回路)43を駆動し、記録モジュール(メモリ部)44が保持する表示情報もしくは通信部5(もしくは駆動回路部4)を経由して取得する表示情報(データ)である第1の情報に対応する像を、情報表示ユニット7に表示する。プロセッサ41はまた、光源制御部42を駆動して光源10から所定の色の光を出力させ、情報表示ユニット7が表示する(第1の情報に対応する)像を照明する。プロセッサ41はさらに、表示画像生成部43が生成した第1の情報に対応する像を、情報表示ユニット7に表示する前段の所定のタイミングで、第1の情報に対応する像を所定期間(時間)以上視認(知覚)可能とするための第2の情報に対応する像を、情報表示ユニット7に表示する。第2の情報に対応する像の表示は、装着者の第1の情報の知覚(視認)と背景(スクリーン3および透明体9越しに見える環境)の知覚(視認)とが、不規則に繰り返し入れ替わる「視野闘争(両義図形知覚と呼ばれる場合もある)」下に晒らされる(装着者の両眼での知覚時に、視野闘争が生じる)ことを抑止するために有益である。
図4は、図1−図3が示す電子機器における表示制御の一例をソフトウェア的に示す。
図4が示すように、ウェアラブル装置101のスクリーン3への表示画像の表示タイミングであることを検出する[01]。表示タイミングである場合[01−YES]、第1の情報に対応する像(表示画像)を所定期間(時間)以上視認(知覚)可能とするための特定像(第2の情報に対応する像)を、第1の像を表示するタイミングよりも所定のタイミングだけ、先行して表示する[02]。
これにより、図6−図8により後段に説明するように、第1の情報に対応する像を装着者が知覚(視認)できる時間(期間)を伸ばすことが可能となる。
図5は、図1−図3が示す電子機器における表示制御の一例をソフトウェア的に示す。
図5が示すように、ウェアラブル装置101のスクリーン3への表示画像の表示タイミングであることを検出する[11]。表示タイミングである場合[11−YES]、ウェアラブル装置101のスクリーン3への表示画像の背景となる装着者の視界(装着者が視認する景色)の明るさが所定の明るさであることを検出する[12]。背景の明るさが所定の明るさよりも暗い場合[12−YES]、スクリーン3の表示領域3aに表示する特定像(第2の情報に対応する像)において、特定像の背景領域のコントラスト差を抑制した像(表示画像)を用意する[13]。以下、用意した表示画像の情報に対応する像を所定期間以上知覚可能とするための特定像を、第1の像を表示するタイミングよりも所定のタイミングだけ、先行して表示する[14]。背景の明るさが所定の明るさよりも明るい場合[12−NO]、スクリーン3の表示領域3aに表示する特定像において、特定像の背景領域のコントラスト差を高めた像(表示画像)を用意し[15]、第1の像を表示するタイミングよりも所定のタイミングだけ、先行して表示する[14]。なお、ブロック[13]において説明する特定像の背景領域のコントラスト差を抑制した像(表示画像)は、例えば図8(b)により説明するような像である。また、ブロック[15]において説明する特定像の背景領域のコントラスト差を高めた像(表示画像)は、例えば図7(b)により説明するような像である。
以下、図6−図8を用い、第1の情報(映像やメッセージ)に対応する像をスクリーン3に表示する際に、装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを抑止可能な第2の情報に対応する像の表示方法を例示する。なお、図6−図8が示す例は、ウェアラブル装置101の装着者が市中(街頭)を移動する際に、現在位置の近傍の地図や(その地図内における)目的の場所を表示する例であるが、例えば、工場内において装着者が移動すべき場所を案内することも可能である。
図6(a)−図6(c)は、装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを抑止可能な第1の情報に対応する像および第2の情報に対応する像の表示例を示す概略図である。
図6(a)は、ウェアラブル装置101の装着者が知覚(視認)するスクリーン3および透明体9越しに見える環境(背景)、すなわちウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での背景の見え方と表示領域3aとの関係を模式的に示す。
図6(c)は、スクリーン3の表示領域3aに、第1の情報に対応する像を可視化した状態であって、ウェアラブル装置101の装着者が知覚(視認)する状態、すなわちウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での見え方を模式的に示す。
図6(b)は、スクリーン3の表示領域3aに、第1の情報に対応する像を可視化する前段で第1の情報を確実に視認(知覚)可能とするための第2の情報に対応する像を表示した状態、を模式的に示す。図6(b)が示す第2の情報に対応する像は、映像やメッセージを含まないブランク表示、例えば全域白画像(輝度信号を第1の情報に比較して十分に高めた白色画像)あるいは背景をそのまま透過する状態すなわち輝度信号を「0」とした黒画像)であることが好ましい。
すなわち、図6(c)が示す第1の情報に対応する像を表示領域3aに表示する前段の所定のタイミングで、図6(b)が示す全域白画像を表示領域3aに一定期間表示することで、ウェアラブル装置101の装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを低減可能となる。これにより、ウェアラブル装置101の装着者が図6(c)に示す第1の情報に対応する像を知覚(視認)できる時間(期間)を伸ばすことが可能である。
なお、図6(c)が示す第1の情報に対応する像と図6(b)が示す全域白画像(または黒画像)とを、連続インパルス表示する、すなわち所定のタイミングで交互に表示する(装着者に交互に知覚させる)ことにより、図6(c)に示す第1の情報に対応する像を装着者が知覚できる期間(時間)を、概ね1分(60秒)程度まで高めることできることが知られている。また、第1の情報に対応する像と全域白画像(または黒画像)とを交互に表示するタイミングは、表示する像の大きさや像の明るさ、像のコントラスト、等に依存するが、例えば秒間1回〜100回の範囲、好ましくは秒間2回〜20回、より好ましくは秒間5回〜10回で、装着者が眼の疲れを覚えない程度の回数であることが好ましい。表示する像の大きさ(スクリーン3の表示領域3aの大きさ)は、例えば装着者の視線の延長上において装着者が視線を移動することなく第1の情報に対応する像を視認(知覚)可能な大きさであり、例えばスクリーン3の面積の概ね50%よりも大きいものとする。像の明るさは、例えば装着者がスクリーン3および透明体9越しに視認する環境(背景)の明るさに比較して明るい場合と暗い場合とに基づいて区分することが好ましい。例えば、光量検出センサ面(光電変換膜)9が取得(検出)する背景(装着者に見える景色)の明るさが暗い場合、像の明るさを明るくすることが好ましい。反面、背景(装着者に見える景色)が暗い場合に明るい像(第1の情報に対応する像)を表示すると、装着者の眼の瞳孔が急激に縮小して背景の視覚が困難になる場合がある。このため、第1の情報に対応する像を表示する際に、像の明るさを明るくするか暗くするかを、例えば(輝度調整)スイッチ16に割り当てる調整機能により、装着者の好みに合わせて調整可能であることが好ましい。また、例えば夜間や照明を暗く設定した室内、等においては、第1の情報に対応する像のメッセージや映像部分の明るさとその背景の明るさを反転(ポジ−ネガ変換)することも可能である。
図7(a)−図7(c)は、装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを抑止可能な第1の情報に対応する像および第2の情報に対応する像の表示例を示す概略図である。
図7(a)は、図6(a)と同様であり、ウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での背景の見え方と表示領域3aとの関係を模式的に示す。
図7(c)は、図6(a)と同様であり、第1の情報に対応する像を可視化した状態をウェアラブル装置101の装着者が知覚(視認)する状態、すなわちウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での見え方を模式的に示す。
図7(b)は、表示領域3aに表示する第2の情報に対応する像の表示例である。第2の情報に対応する像は、図7(c)に示す(最終的に)表示領域3aに表示する第1の情報に対応する像の映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を高めた像であることが好ましい。
すなわち、図7(c)が示す第1の情報に対応する像を表示領域3aに表示する前段の所定のタイミングで、図7(b)が示す映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を高めた像を表示領域3aに一定期間表示することで、ウェアラブル装置101の装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを低減可能となる。これにより、ウェアラブル装置101の装着者が図7(c)に示す第1の情報に対応する像を知覚(視認)できる時間(期間)を、所定の条件の範囲内で伸ばすことが可能である。
なお、第1の情報に対応する像と映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を高めた像とを交互に表示することで、第1の情報に対応する像を装着者が知覚できる期間(時間)を、概ね1分(60秒)程度まで高めることができることは、図6を用いて説明した表示方法と同様である。また、第1の情報に対応する像を表示する際に、像の明るさを明るくするか暗くするかを、例えば(輝度調整)スイッチ16に割り当てる調整機能により、装着者の好みに合わせて調整可能であることが好ましい。また、例えば夜間や照明を暗く設定した室内、等においては、第1の情報に対応する像のメッセージや映像部分の明るさとその背景の明るさを反転(ポジ−ネガ変換)することが好ましい。
図8(a)−図8(c)は、装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを抑止可能な第1の情報に対応する像および第2の情報に対応する像の表示例を示す概略図である。
図8(a)は、図6(a)および図7(a)と同様であり、ウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での背景の見え方と表示領域3aとの関係を模式的に示す。
図8(c)は、図6(c)および図7(c)と同様であり、第1の情報に対応する像を可視化した状態をウェアラブル装置101の装着者が知覚(視認)する状態、すなわちウェアラブル装置装着時の装着者の両眼での見え方を模式的に示す。
図8(b)は、表示領域3aに表示する第2の情報に対応する像の表示例である。第2の情報に対応する像は、図8(c)に示す(最終的に)表示領域3aに表示する第1の情報に対応する像の映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を抑制した像であることが好ましい。なお、第1の情報に対応する像の映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を抑制するとともに、輝度を低減する像であってもよい。また、第1の情報に対応する像の輝度を低減した像であってもよい。
すなわち、図8(c)が示す第1の情報に対応する像を表示領域3aに表示する前段の所定のタイミングで、図8(b)が示す映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を抑制し、さらに輝度を低減した像を表示領域3aに一定期間表示することで、ウェアラブル装置101の装着者の知覚が「視野闘争」下に晒されることを低減可能となる。これにより、ウェアラブル装置101の装着者が図8(c)に示す第1の情報に対応する像を知覚(視認)できる時間(期間)を伸ばすことが可能である。なお、映像やメッセージ部分とその背景部分とのコントラストの差を抑制し、さらに輝度を低減した像とを、所定のタイミングで交互に表示する(装着者に交互に知覚させる)ことで、第1の情報に対応する像を装着者が知覚できる期間(時間)を、高めることができることは、図6あるいは図7を用いて説明した表示方法と同様である。また、第1の情報に対応する像を表示する際に、像の明るさを明るくするか暗くするかを、例えば(輝度調整)スイッチ16に割り当てる調整機能により、装着者の好みに合わせて調整可能であることが好ましい。また、例えば夜間や照明を暗く設定した室内、等においては、第1の情報に対応する像のメッセージや映像部分の明るさとその背景の明るさを反転(ポジ−ネガ変換)することが好ましい。
なお、図6−図8により説明した第2の情報に対応する像の表示においては、第1の情報に対応する像の映像やメッセージの部分の色とその背景部分の色とを、例えば補色関係となる色により表示してもよい。また、第2の情報に対応する像の色(表示色)を、表示領域3aの周囲の色(色調)すなわち背景色(色調)と同系色としてもよいし、対系色としてもよい。さらに、第2の情報に対応する像の色(表示色)を、例えば表示する情報が(安全管理のための)警告や注意、等である場合には、警戒色(赤系)としてもよい。なお、映像やメッセージの部分の色とその背景部分の色との組み合わせは、いずれの表示においても任意であり、例えば映像やメッセージを黒、背景を白、と表示することも、映像やメッセージを白、背景を黒、と表示することも可能である。
図9は、ウェアラブル装置の別の実施の形態の一例を示す概略図である。なお、図1−図3により説明したウェアラブル装置と同一または実質的に等価の構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図9が示すウェアラブル装置1001は、投光部(表示情報生成部)1011、スクリーン(装着者向け映像表示部)1003、投光部およびスクリーン支持部(筐体)1002、駆動回路部(画像表示回路および光源駆動回路、あるいは信号処理部と称することもある)4、通信部5および電源部6、等を含む。
投光部1011は、光源10および少なくとも情報表示ユニット7、投射(拡大)光学系8および画像出力ミラー1021、を含む。投光部1011は、駆動回路部4、通信部5および電源部6を内蔵し、筐体1002の所定の位置、例えばウェアラブル装置1001を装着する装着者の視線を妨げることの無い位置に、位置する。スクリーン1003は、投光部1011の情報表示ユニット7が表示する像を光源10からの光により照明して得られる表示画像を投射(拡大)光学系8で拡大し、画像出力ミラー1021によりスクリーン1003に入射した画像光13を可視化する。すなわち、スクリーン1003は、ウェアラブル装置1001を装着した装着者の視線の延長上に見える像、すなわち背景(環境)像の一部を透過し、表示画像を拡大した画像光13の可視像とともに、装着者に視認(知覚)可能とする。
スクリーン1003は、フレネル形でハーフミラー特性を有する凹面鏡(フレネルレンズ形ハーフミラー面)1032、手前側透明屈折体1031、奥側透明屈折体1033、液晶遮光層1034、等を含む。スクリーン1003は、実質的に半透明の平行平板状に形成される。従い、スクリーン1003を通して、外部の景色を背景視野として視認可能である。
フレネルレンズ形ハーフミラー面1032は、手前側透明屈折体1031と奥側透明屈折体1033との間に位置し、ミラー面1021で反射した画像光13の一部を、装着者の瞳1111の近傍に反射する。
図9が示すウェアラブル装置1001は、遠点もしくは近点の視力が低下し、あるいは両眼において左右差が生じる、等により視力補正用メガネ1101を掛けた状態で使用可能である。すなわち、図1−図3が示すウェアラブル装置101に比較してスクリーン1003および投光部1011の配置に自由度を持たせている。また、情報表示ユニット7の表示画像を拡大した画像光13が、1回だけ視力補正用メガネ1101のレンズ部を通過して装着者の瞳1111に案内される。これにより、同一の視力補正用メガネ1101のレンズ部で外部の景色(背景視野)に対する視力補正と付加画像に対する視力補正とを、同時に実現できる。従って、視力補正用メガネ1101を掛けている装着者であっても、外部の景色(背景視野)と表示画像とを同時に視認可能である。
図9が示すウェアラブル装置1001はまた、液晶遮光層1068を有する。液晶遮光層1068は、前面および背面の透明電極1068−1および1068−2に所定のタイミングで所定の電圧を印加することで、スクリーン1003を非透明化(反射面化)する。すなわち、スクリーン1003は、液晶遮光層1068がオン(遮光)状態である場合、外光を遮光することができる。これにより、基本的に視力補正用メガネ1101のレンズ部で外部の景色(背景視野)に対する視力補正と付加画像に対する視力補正とを、同時に実現しながら、例えば付加画像で緊急情報を表示する場合に、外光を遮光することにより、表示画像のみを効率よく作業者に視認させることができる。この外光の遮光は、例えば装着者に付加画像を注視してもらいたい場合、等にも有益である。
なお、図9が示すウェアラブル装置1001においては、情報表示ユニット7が表示する表示画像に対する虚像を、レンズ群14とスクリーン1003との組み合わせにより形成(表示)する。
ところで、装着者の瞳1111から虚像位置(装着者が虚像がみえると認識する位置)までの距離が第一の距離、例えば10cmもより短い場合、目の近くに見える付加映像を視認する必要から、装着者の目視時の負担が増す。また、虚像位置が第一の距離より短い場合、装着者(視認者)に、例えば近視を誘発する恐れが生じる。なお、目の健康の観点から、物を見る場合、一般には、30cm以上離すことが好ましい、と言われている。また、多少のマージンを見積もると、上記虚像位置までの距離を50cm以上とすることが望ましい。従って、実施形態においては、虚像位置は、装着者の瞳の位置からの距離で、10cm以上、望ましくは30cm以上、より望ましくは50cm以上に設定する。
なお、ウェアラブル装置1001は、例えばヘッドマウントディスプレイ型であって、例えば装着者の頭部に乗せても良いし、例えば装着者の肩や上半身で支える形態としても良い。もちろん、ハンズフリー対応と呼ばれる任意の(さまざまな)装着方法が利用可能である。
図10および図11は、ウェアラブル装置の実施の形態のさらに別の一例を示す概略図である。なお、図1−図3または図9により説明したウェアラブル装置と同一または実質的に等価の構成には、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
図10および図11が示すウェアラブル装置201は、投光部(表示情報生成部)210、投光部支持部(筐体)2、表示像反射体203、駆動回路部(画像表示回路あるいは信号処理部と称することもある)204、通信部5および電源部6、等を含む。
投光部210は、情報表示ユニット211および投射(拡大)光学系212を含む。
情報表示ユニット211は、例えばMEMS技術を適用して得られる、例えば1920×1080の画素相当の像を出力可能な複数の微細なレーザ素子群(レーザアレイ)を用いるDLP(Digital Light Precessing)により、直接、像を表示する(自発光により像を生成する)。情報表示ユニット211が表示する像(自発光像)は、投射(拡大)光学系212が拡大し、表示像反射体203の画像反射光学系214により、装着者が、直接像を知覚可能に、装着者の瞳(網膜)に向けて反射する。
画像反射光学系214は、例えば凹面鏡特性を有するフレネル拡大系のハーフミラーを含み、投射(拡大)光学系212が拡大した情報表示ユニット211の表示像を、装着者の装着者の網膜(瞳)に案内する。
なお、画像反射光学系214は、画像反射光学系214が装着者の瞳(網膜)に向けて像を反射する面と反対側の面に、例えば透過光量調整型液晶層または透過光量可変層(偏光層)215を、有してもよい。すなわち、装着者の視線の延長上の背景(外部の景色)の明るさが暗い場合や明るすぎる場合に、透過光量調整型液晶層または透過光量可変層215により、背景光の入射を制限することで、画像反射光学系214が装着者の装着者の網膜(瞳)に案内する表示像の明るさ(見え易さ)を調整することができる。
図11は、図10が示すウェアラブル装置の駆動回路部の構成の一例を示す概略図である。
駆動回路部204は、プロセッサ(CPU)41、発光制御部221、表示画像生成部(画像処理部)222、記憶モジュール(メモリ部)223、等を含む。
プロセッサ41は、通信部5が取得する第1の情報に対応する像の表示タイミングにおいて表示画像生成部222を駆動し、記憶モジュール223が保持する表示情報もしくは通信部5(もしくは駆動回路部204)を経由して取得する表示情報(データ)である第1の情報に対応する像に対応する動作を、情報表示ユニット211に指示する。プロセッサ41はまた、発光制御部221を駆動し、情報表示ユニット211が表示する像の色やコントラスト比を制御する。プロセッサ41はさらに、情報表示ユニット211を、表示画像生成部222が生成した第1の情報に対応する像に対応して動作させる際に、その前段の所定のタイミングで、第1の情報に対応する像を所定期間(時間)以上視認(知覚)可能とするための第2の情報に対応する像に対応して、情報表示ユニット211を動作させる。
このように、実施形態の電子機器および表示方法においては、一方の眼の視線の延長上に他方の眼が知覚する情報と異なる情報を表示する場合、一方の眼の視線の延長上に表示する情報を安定して視認可能な状態を、所定期間の間、提供できる。
これにより、例えば工場の部品ヤードや通販会社の商品倉庫、もしくは小売業の配送部署等において、作業者が装着するウェアラブル装置に表示する画像情報(表示画像)とは異なる他方の眼が知覚する情報の視認性を確保できる。すなわち、他方の眼が知覚すべき情報(背景、等)の知覚に影響を与えることなく、装着者(作業者)の一方に眼に、所定情報を知覚させることができる。
従って、装着者(作業者)の他の一方に眼にのみ所定の情報を知覚させることが求められる、例えば車両等の移動が想定される(必ずしも安全が担保されているとは限らない)状況下で一方の眼にて知覚すべき特定の情報を表示する場合において、他の一方の眼ではそれまで視認(知覚)している背景、等を認識(知覚)し続けることができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。