JP6429424B2 - 安全管理システム - Google Patents
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Description
このような不安全行動は、作業者の慣れや緊張の緩みにより安全性への意識が低下することによって、非常に簡単に起こりやすい行動でもある。とくに、建設業では、高所作業に従事する作業者の割合が高く、このような現場で作業する作業者の精神的な緊張度は、地上における作業と比べて非常に高いので、建設業に従事する作業者の不安全行動の発生率は一般の業種に従事する作業者と比べても高い傾向にある。
また、近年、上述したいような不安全行動に起因する死亡者数が高い推移で維持しており、建設業界において、不安全行動を低減することが喫緊の課題となっている。
そして、このような不安全行動を防止する上では、かかる行動を行っている作業者に対して直接的に注意を促すことが最も重要かつ効果的である。
しかし、特許文献1〜3の技術では、注意を促すことができる対象が安全帯を使用する状況下にある作業者に限定され、安全帯を使用しないような状況下における不安全行動を行う作業者に対しては注意を促すことはできない。
特許文献4の技術を採用すれば、安全帯以外の作業者の不安全行動を把握するこが可能となる。
第2発明の安全管理システムは、第1発明において、前記検出手段が、前記撮影部および前記動作検出部で得られたデータを無線により前記解析手段へ送信する機能を有しており、前記解析手段が、前記検出手段から送信されたデータを受信して、前記判断部の指示を無線により前記警報手段へ送信する機能を有しており、前記警報手段が、前記解析手段の判断部からの指示を受信して、前記警報出力部へ警報信号を無線により送信する機能を有していることを特徴とする。
第3発明の安全管理システムは、第1発明または第2発明において、前記検出手段の撮影部が、一対のCCDカメラを備えていることを特徴とする。
第4発明の安全管理システムは、第1発明、第2発明または第3発明において、前記判断部は、作業者の行動が不安全行動と判定された後、該不安全行動と判定された行動を再度作業者が実行し、該行動が不安全行動ではないと判定されれば、警報を解除する機能を有していることを特徴とする。
第5発明の安全管理システムは、第1発明、第2発明、第3発明または第4発明において、前記警報手段は、作業者に装着される作業者端末を備えており、該作業者端末が、前記警報を音および/または光を用いて出力する機能を有していることを特徴とする。
第6発明の安全管理システムは、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明または第5発明において、前記作業現場における作業者の行動が、足場台として立て馬を使用した高所作業を行う際の行動であることを特徴とする。
第7発明の安全管理システムは、第1発明、第2発明、第3発明、第4発明または第5発明において、前記作業現場における作業者の行動が、高所作業車を使用した高所作業を行う際の行動であることを特徴とする。
第2発明によれば、無線で接続されているので、作業者の行動をリアルタイムで判断することができる。このため、適切なタイミングで作業者に対して注意を促すことができるので、不安全行動に起因する災害を適切に予防することができる。
第3発明によれば、一対のCCDカメラを備えることによって、作業者の行動をより適切に把握することができる。
第4発明によれば、不安全行動をしていた作業者が行動を改めれば、警報が解除されるので、作業者に対して安全を意識させつつ作業を継続させることができる。
第5発明によれば、現場の状況に関わらず、作業者に対して警報を認識させることができる。とくに、音で警報すれば、音を不安全行動と関連づけて認識することができる。しかも、色で警報すれば、周囲の音によって警報音が聞こえにくい場合であっても、作業者の行動が不安全行動であることを認識させることができる。
第6発明、第7発明によれば、作業者の高所作業における重大事故を未然に防ぐことができる。
本実施形態の安全管理システムは、作業者の安全を管理するシステムであって、作業者が視認している状況の画像とそのときの作業者の動きを検出して、検出したデータに基づいて作業者の行動が不安全行動か否かを判断できるようにしたことに特徴を有している。
まず、安全管理システム1の各手段1、20、30の具体的構成を説明する前に、本システム1の概略を簡単に説明する。
以下では、本実施形態の安全管理システム1のうち検出手段10と警報手段30の一部である後述する作業者端末31を作業者Wに装着させて、他の機器を管理棟2に配置した状態で使用する構成を代表として説明する。
安全管理システム1の検出手段10は、作業者が視認している状況の画像および作業者の動きを検出する機能を有しており、検出したデータを解析手段20に送信する通信機能を有するものである。
図1に示すように、検出手段10は、撮影部11と、動作検出部12と、を備えている。
検出手段10の撮影部11は、作業者Wに装着して、作業者Wが視認している状況を撮影して画像のデータ(以下、単に画像データという)を得ることができる機能を有しており、得られた画像データを後述する解析手段20へ送信する機能を有するものである。
検出手段10の動作検出部12は、作業者Wの体に加わる力や、作業者Wの体の変位を検出することができる機能を有しており、得られた検出データ(以下、単に動作データという)を解析手段20へ送信する機能を有するものである。
安全管理システム1の解析手段20は、検出手段10からの信号に基づいて作業者Wの行動が不安全行動か否かを判断する機能を有しており、判断した結果を警報手段30に送信する通信機能を有するものである。
図1に示すように、解析手段20は、画像解析部21と、動作解析部22と、動作解析部23と、記憶部24と、判断部25とを備えている。
解析手段20の画像解析部21は、検出手段10の撮影部11から送信される画像データを画像処理する機能と、画像処理したデータを行動判別部23へ送信する機能を有するものである。
具体的には、画像解析部21は、画像データ中に撮影されている視認対象物(例えば、足場や梯子、作業者Wの手、足など)を画像データから抽出する機能を有している。
解析手段20の動作解析部22は、動作検出部12から送信される動作データを解析する機能と、解析した動作データを行動判別部23へ送信する機能を有するものである。
具体的には、動作検出部12が検出する上下方向の加速度の時間変動や鉛直方向の軸(Z軸)まわりの回転の時間変動等を解析する機能を有している。簡単にいえば、動作解析部22は、作業者Wがどのような動作(例えば、水平方向に移動しようとしている動き、上下方向に移動しようとしている動きなど)をしているのかを動作検出部12から送信される動作データに基づいて解析する機能を有している。
解析手段20の行動判別部23は、画像解析部21から送信される解析画像データと、動作解析部22から送信される解析動作データと、に基づいて作業者Wの行動を判別する機能を有するものである。
具体的には、解析手段20の行動判別部23は、画像解析部21が解析する解析画像データに基づいて作業者Wの作業状況(例えば、歩行状況や、階段や梯子の昇降状況、荷物の移動状況、階段の手すり等をつかんでいる状況、立て馬の手掛かり棒をつかんでいる状況、足場台(立て馬や脚立を利用した足場台)を組立ている状況や、作業者Wが現場で行う各種作業の作業工程における各作業状況など)を判別する。一方、作業者Wの動作状態(例えば、水平方向への移動状態や、上下方向への移動状態、静止状態など)は、動作解析部22が解析する解析動作データに基づいて判別する。そして、両判別データに基づいて作業者Wが行っている行動を判別する。
また、例えば、解析動作データに基づいて作業者Wが作業面(例えば、地面やビルのフロア面)にいる状態を認識し、解析画像データに基づいて足場台(立て馬を用いたものや、脚立を用いたもの)の存在を認識した場合、行動判別部23は、作業者Wのこれから行う行動が足場台を利用した作業つまり高所作業を行おうとしている状況にあると判断する。
解析手段20の記憶部24は、ハードディスク等のように種々のデータを記憶しておく機能を有するものであり、作業者Wが視認している状況と作業者Wの動きを関連づけた行動などが基本行動パターンとして記憶されている。
そして、記憶されている情報を後述する判断部25の要求等に応じて記憶している基本行動パターンのデータを送信する通信機能を有している。
なお、この記憶部24は、撮影部11や動作検出部12、画像解析部21、動作解析部22から送信されるデータを記憶する機能を有していてもよい。
解析手段20の判断部25は、解析手段20の行動判別部23で判別された作業者Wの行動と、解析手段20の記憶部24の基本行動パターンと、を比較して作業者Wの行動を判定する機能を有するものである。
なお、この要求方法は、とくに限定されない。例えば、判断部25において、自動的に行動判別部23で判別された作業に関する情報を記憶部24に対して要求するようにしてもよいし、作業者Wが自らこれから行う作業(行動)を判断部25に電気的等で接続された外付け端末等に入力して、かかる作業に関する情報を記憶部24に対して要求してもよいし、さらには後述する管理者端末32を操作するオペレータOPから記憶部24に対して要求するようにしてもよい。
つまり、作業者Wは、各種の作業に対応した基本行動パターンにおいて、判定工程を上流(作業開始)から下流(作業終了)に向かって順にクリアすれば、作業を不安全行動なく完了できるようになっている。一方、作業途中で、作業者Wの行動が不安全行動と判定された場合には、作業者Wは、その先の作業工程を行うことができないようになっている。
言い換えれば、基本行動パターンの各判定工程における作業者Wの動作がトリガーとなるように作成されているのである。
かかる作業の基本行動パターンの判定工程のうち、立て馬の天板上に上がって上部バーのセットをした際の「指差し確認」を行うという判定工程を作業者Wが行う場合、判断部25では、以下のように判定が行われる。
なお、かかる判定工程の画像データには基準対象物として、「上部バー」と、「手掛かり棒」と、「作業者Wの手」の3要素が設定されている。
判断部25では、かかる判定工程の画像データと、この判定工程に相当する作業者Wの画像データと、を比較する。そして、作業者Wの画像データ中に上記3つの基準対象物が認識できるか否かで判定が行われる。つまり、作業者Wの画像データ中に上記基準対象物が認識されない(存在しない)と判断された場合には、作業者Wの行動は、かかる判定工程が適切に行われていないとして、不安全行動と判定されることになる(図2参照)。
作業者Wの行動が不安全行動であると判定すれば、判断部25は、警報手段30に警報を出力させる信号を送信する(図2では、符号Nの矢印)。
一方、作業者Wの行動を不安全行動であると判定しなければ、警報は発信されない(図2では、符号Yの矢印)。なお、判断部25の判定結果は、作業者Wに対して通知(例えば、後述する作業者端末31により音やライトなどで通知)するようにしてもよい。
安全管理システム1の警報手段30は、判断部25から送信された警報を出力するという指示信号に基づいて作業者Wに対して警報を出力する機能を有するものである。
この警報手段30は、判断部25からの指示信号に基づいて、作業者Wに対して警報を出力する作業者端末31と、管理者に対して作業者Wの行動を通知する管理者端末32を備えている。
例えば、音で警報を出力する機能を有してもよいし、光を利用して警報を出力する機能を有していてもよい。作業者端末31が音で警報を出力するものとしては、例えばブザーや音声メッセージなどを採用することができる。
また、光を利用して警報を出力するものとしては、例えば光源を点灯させたり、点滅させるといった方法を採用することができる。さらにまた、両者を使用してもよい、のは言うまでもない。
例えば、図1に示すように、作業者端末31が音で警報を出力する場合には、ヘルメットに装着すれば、耳の近傍に位置するので警報を認識しやすいという利点が得られる。
なお、光を利用する場合には、当該作業者Wが視認できる位置にも光源を設けるのが好ましい。この場合、周囲の音が大きく警報が聞き取りにくい場合にも作業者Wは警報を認識できるという利点が得られる。
例えば、管理者端末32は、モニターを備えたパーソナルコンピュータ(PC)であり、モニターに判断部25からの警報の指示信号を受信すれば該当する作業者Wの情報が点滅したり、音(警告音や音声メッセージなど)で知らせる機能を有するものである。また、この管理者端末32は、作業者端末31と通信可能な通信機能を有しているのが好ましい。管理者端末32と作業者端末31が通信可能であれば、管理者は、作業者Wに対して直接注意を促したり、作業者Wの意見を聞いたりすることができるという利点が得らえられる。
そして、警報を受けた作業者Wは、故意に不安全行動を行っていた場合にはその行動を反省することで、その後の行動に対しても基本行動を順守しようとするし、無意識下で不安全行動を行っていた場合には再度緊張を高めた状態で行動をしようとする。
上記のごとき、適切なタイミングで作業者Wに対して注意を促すことによって、その時点のみならず、その後の作業者Wが行う行動に対しても基本行動を順守するように作業者Wに対して意識付けをさせることができるので、不安全行動に起因する災害を未然かつ適切に予防することができるようになる。
このため、安全管理システム1では、従来の単に画像データだけで作業者Wの行動を判定するような場合や速度等のセンサだけを利用した技術と比べて、作業者Wの視認画像と作業者Wの動作の両方に基づいて作業者Wの行動を判定するので、システムを大幅に簡略化することができる。しかも、作業者Wの視認画像と作業者Wの動作の両方に基づくことにより、それぞれから得られる情報を少なくしても従来の技術と同様またはそれ以上の精度で判定を行うことができるようになる。
すると、検出手段10を装着する際の手間を非常に簡便にでき、しかも作業者Wへの重量負担も軽減できるので、作業者の装着率の向上を図ることができる。さらに、作業者Wの装着率の向上が図れれば、作業者Wの重大事故にあう確率も大幅に低減させることが可能となる。
この場合、作業者Wの視認している状況と略同じ画像を画像データとして取得することができる。しかも、CCDカメラは小型であるので、作業者Wは装着していても違和感なく作業をすることができるという利点が得られる。
例えば、解析手段20を作業者Wに装着させなくても(つまり図1に示すように、管理棟2内に設置した状態で)撮影部11の画像データを解析手段20に供給(つまり撮影部11から解析手段20の画像解析部21へ送信)することができるようになる。また、作業者Wは、撮影部11が装着されたヘルメットを装着するだけでよいので、装着の手間と時間を減少できるという利点も得られる。
この位置に動作検出部12を取り付ければ、作業者Wの重心の位置の近くに設置できるので、加速度や回転角度などを適切に測定できるという利点が得られる。一方、作業者Wの手や足などの肢部の動きを検出する場合には、手首や足首の近傍に取り付けるのが望ましい。この位置に取り付ければ、作業者Wの手や足の動きを適切に測定できるという利点が得られる。
とくに、音で警報すれば、作業者Wに対して音を不安全行動と関連づけて認識することができる。また、色で警報すれば、周囲の音によって警報音が聞こえにくい場合であっても、自己の行動が不安全行動であることを確実に認識させることができるという利点が得られる。
例えば、音で警報を出力する場合には、徐々に警報音が大きくなるようにすれば、警報が単一でなくなるので作業者Wが気付きやすくなる。
また、光で警報を出力する場合には、光を点滅したり、色の光を危険色で出力したりしてもよい。例えば、作業者Wの行動が不安全行動でない場合には青色であり、危険度に応じて黄色や赤色に変色するように変化させてもよい。色を変化させることで、作業者Wに対して警報をより認識させ易くなる。
例えば、判断部25が発信した警報の指示を記憶部24に記憶させておけば、必要に応じて管理者は不安全行動を行った可能性のある作業者Wの行動を確認できる。しかし、管理者端末32を設けていれば、管理者から作業者Wに対して注意等を促すことができるという利点が得らえる。
以上のごとく、安全管理システム1では、上述したように、作業者Wの行動を作業者Wが視認している状況の画像データと作業者Wが行っている動作状況の動作データに基づいて、作業者Wの行動を判定することに特徴を有している。そして、この判定は、上述したように、安全管理システム1の解析手段20における判断部25によって行わるものである。
以下では、安全管理システム1の作動させた際の作業者Wの行動をどのように判定しているかについて、例を示しながら具体的に説明する。
以下では、作業者Wの足場台(立て馬)を使用した高所作業における各作業工程が、安全行動か不安全行動かを安全管理システム1を作動させて判定する例を示す。
安全管理システム1の検出手段10の撮影部11として、上述したようなCCDカメラ(例えば、Englie社製、画素数1200、重量118g)を2台使用することができる。この2台のCCDカメラは、ヘルメットの左右に、レンズが前方を撮影できるようにそれぞれ配設する。また、このヘルメットには、安全管理システム1の警報手段30の作業者端末31をCCDカメラの邪魔にならないように配設する。なお、作業者端末31は、音で警報を出力するものを採用する。
そして、上述した撮影部11および作業者端末31を配設したヘルメットを作業者Wに装着させる。
一方、安全管理システム1の検出手段10の動作検出部12としては、上述したような加速度センサを使用することができる。この加速度センサは、作業者Wの腰ベルトに装着して作業者Wの動きを検出する。
例えば、図4に示すように、解析手段20の判断部25が、作業者Wがこれから行う作業を判別する。このとき、基本行動パターンの作業別の判別ポイントにおける画像データ中の基準対象物を、破線の丸で示した「一対の手掛かり棒」と、この一対の手掛かり棒の間に設けられた「天板」と、「上部バー」とする。
作業者Wは、足場台(立て馬)に正対して静止する。すると、判断部25は、作業者Wの画像データ中に上記基準対象物を認識するので、作業者Wの行う作業が「足場台(立て馬)を使用した高所作業」であると判断する。なお、このとき作業者Wの静止状態は、検出手段10の動作検出部12である加速度センサで検出される。
図2に示すように、解析手段20の判断部25では、各作業工程における作業者Wの行動をリアルタイムで安全行動(図2では安全行動の場合はYと判定する)か、不安全行動(図2では不安全行動の場合はNと判定する)か、を判定する。
判断部25は、基本行動パターンの判定工程の画像データと、この工程に相当する作業者Wの行動の画像データと、および/または基本行動パターンの判定工程の動作データと、この工程に相当する作業者Wの行動の動作データと、を比較して作業者Wの各行動を判定する。なお、図5〜8は、判断部25の判定状況を静止画で示した図である。
この作業工程の判定工程(図3参照)における基準対象物は、「手掛かり棒」と、「作業者の手」と、「両者が重なっている状態」と、する(図5(B)の破線で囲った個所参照)。
すると、図5(B)に示すように、作業者Wの行動による画像データ中には、上記基準対象物が全て認識されるので、判断部25は、作業手順の工程1に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、手摺をもって上る準備動作が適切に行われた安全行動であると判定される。
上記のように判定工程に相当する作業者Wの行動が安全行動であると判定されれば、警報手段30から警報は発せられないので、作業者Wは次工程へ進むことができる。
なお、図示してはいないが、前工程の判定工程(作業手順書の工程1)も同様に適切に行われたものとする。
すると、判断部25では、動作検出部12の加速度センサによる動作データから作業者Wが上方へ移動していると判断するので、作業手順の工程3に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、梯子を上るという行動が適切に行われた安全行動であると判定される。
この作業工程の判定工程(図3参照)における基準対象物は、「手掛かり棒」と、「上部バーが手掛かり棒から離れている状態」と、する(図6(F)の破線で囲った個所参照)。すると、図6(F)に示すように、作業者Wの行動による画像データ中には、上記基準対象物が全て認識されるので、判断部25は、作業手順の工程10に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、上部バーを外すという行動が適切に行われた安全行動であると判定される。
この判定工程は、以下のように、動作の判定と画像の判定によって、それぞれ判定される。
この作業工程の判定工程における基準対象物は、「手掛かり棒」と、「上部バー」と、「作業者の手」と、「手掛かり棒と上部バーが重なった状態」と、「上部バーと作業者の手が重なった状態」と、する(図7(H)の破線で囲った個所参照)。すると、図7(H)に示すように、作業者Wの行動による画像データ中には、上記基準対象物が全て認識されるので、判断部25は、作業手順の工程13に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、上部バーをセットするという行動が適切に行われた安全行動であると判定される。
この作業工程の判定工程(図3参照)における基準対象物は、「手掛かり棒」と、「上部バー」と、「両者が重なっている状態」と、「作業者の手」と、する(図7(I)の破線で囲った個所参照)。すると、図7(I)に示すように、作業者Wの行動による画像データ中には、上記基準対象物が全て認識されるので、判断部25は、作業手順の工程14に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、上部バーをセットしたことを指さし確認するという行動が適切に行われた安全行動であると判定される。
この作業工程の判定工程(図3参照)における基準対象物は、「手掛かり棒」と、「作業者の手」と、「手掛かり棒と作業者の手が重なっている状態」と、する(図8(J)の破線で囲った個所参照)。すると、図8(J)に示すように、作業者Wの行動による画像データ中には、上記基準対象物が全て認識されるので、判断部25は、作業手順の工程16に相当する作業者Wの行動が適切に行われた安全行動であると判定する(図2参照)。つまり、作業台(立て馬)から降りる際に階段の手摺をもつという動作が適切に行われた安全行動であると判定される。
図8(K)は、作業手順書の工程17の「梯子を下りる」という動作を行っている状況を作業者Wが視認している静止画像データである。具体的には、梯子に対向しながら梯子を下りるという状況である。
この判定工程は、以下のように、動作の判定と画像の判定によって、それぞれ判定される。
一方、図3に示す判定工程のいずれかにおいて、故意やミスなどで不安全行動と判定されれば、安全管理システム1の警報手段30の作業者端末31から警報音が鳴る(図2参照)。この場合、図2に示すように、作業者Wは、不安全行動であると判定された作業手順を再度、安全行動となるように行えば、次工程へ進むことができるようになる。
つまり、本実施形態の安全管理システム1を用いれば、作業現場において、作業者Wの行動を監視することができるので、不安全行動に基づく労災を低減することができるようになる。
図9には、「足場台(立て馬)の組立作業手順」およびこの作業手順の判定工程を示す。
図11には、「足場台(脚立を用いた足場台)の組立作業手順およびこの作業手順の判定工程を示す。
図13には、「高所作業車を利用した高所作業手順」およびこの作業手順の判定工程を示す。
そして、判断部25は、基本行動パターンの判定工程の画像データと、この工程に相当する作業者Wの行動の画像データと、および/または基本行動パターンの判定工程の動作データと、この工程に相当する作業者Wの行動の動作データと、を比較して作業者Wの各行動を判定する。
図12(A)〜(C)は、足場台(脚立を用いた足場台)の組立作業における判断部25の判定状況の静止画の代表例を示した図である。
図14(A)、(B)には、高所作業車を利用した高所作業における判断部25の判定状況の静止画の代表例を示した図である。
上記例では、判断部25が、基本行動パターンの判定工程の画像データと、この工程に相当する作業者Wの行動の画像データと、を比較するときに、作業者Wの画像データ中に基準対象物が認識できるか否か(基準対象物の有無)に基づく場合について説明したが、作業者Wの行動が基本行動パターンの判定工程にマッチングしているか否かで判定できるものであれば、上記例に限定されず、以下のように判定してもよい。
例えば、基本行動パターンの閾値を予め設定しておき、その閾値を越えた場合に作業者Wの行動が不安全行動であると判定する、というようにしてもよい。
また、各判定工程おける基準対象物の閾値は、画像データにおいて、基準対象物と判断される領域が認識できれば、確認できたと判断するように設定してもよい。
この判断手法としては、例えば、基本行動パターンの閾値を予め設定しておき、その閾値を越えた場合に作業者Wの行動が不安全行動であると判断するようにすることができるものである。
そして、この閾値としては、基本行動パターンにおける動きや画像に基づいて適宜決定することができる。
まず、基本行動パターンの画像データから基準となる基準対象物を検出する。なお、この基準対象物は、予め各基本行動パターンの判定工程に基づいて特定しておき、記憶部24に基本行動パターンと関連付けて記憶させておく。
そして、このずれの値が、予め設定しておいた閾値よりも大きくなった場合に、作業者Wの行動を不安全行動と判断する。
まず、判断部25は、記憶部24から梯子を降下する際の基本行動パターンを抽出する。つぎに、この基本行動パターンから画像データから基準点(例えば、梯子の支柱の外端縁)を検出する。また、作業者Wが視認している状況の画像データから梯子の支柱の外端縁(対象点)を検出する。そして、検出した両点を比較し計測する。
作業者Wが、梯子を降下する際に基本に則って梯子の支柱等を見ながら降下していれば、作業者Wの視認している画像データには、梯子のデータが存在するので、対象点も簡単に検出することができる。このため両者のずれを簡単に計測できるので、計測結果を閾値と比較すれば、作業者Wの行動が不安全行動か否かを容易に判断できる。
例えば、作業者Wが現場で作業を行う場合には、周囲の作業者Wへの対応など、本来取るべき行動以外のことも行う場合が多々ある。しかし、このような行動に対してまで全て不安全行動と判断すれば、作業者Wの作業性に影響や支障をあたえる可能性がある。また、このような行動は、作業者W同士のコミュニケーション行動の可能性があり、作業をする上でも重要な場合がある。
10 検出手段
11 撮影部
12 動作検出部
20 解析手段
21 画像解析部
22 動作解析部
23 行動判別部
24 記憶部
25 判断部
30 警報手段
31 作業者端末
Claims (7)
- 作業現場における作業者の行動が不安全行動か否かを通報するシステムであって、
作業者に装着する検出手段と、該検出手段によって得られたデータを解析する解析手段と、作業者に対して警報を行う警報手段と、を備えており、
前記検出手段が、
作業者が視認している状況を撮影する撮影部と、
作業者の動きを検出する動作検出部と、を備えており、
前記解析手段は、
前記撮影部によって得られた画像データを解析する画像解析部と、
前記動作検出部によって得られた動作データに基づいて作業者の動きを解析する動作解析部と、
該動作解析部で解析した作業者の動きと前記画像解析部で解析した画像データとに基づいて作業者の行動を判別する行動判別部と、
安全行動に基づいて抽出されたトリガー行動を含む基本行動パターンが記憶されている記憶部と、
作業者の行動が不安全行動か否かを判定する判断部と、を備えており、
前記警報手段は、
前記判断部で不安全行動と判断した場合に判断部の指示に基づいて警報を出力する警報出力部と、を備えており、
前記動作検出部が、
作業者の体幹部または腰に装着され、かかる状態において、作業者の体の回転および/または上下左右前後の加速度を検出する機能を有しており、
前記判断部は、
前記基本行動パターンに含まれる前記トリガー行動と作業者の行動を常に比較しながら、作業者の体の動きと、作業者の視認画像に含まれる基準対象物の有無と、のどちらか一方が前記トリガー行動から外れた場合には不安全行動と認識して警報信号を前記警報手段に送信する機能を有している
ことを特徴とする安全管理システム。 - 前記検出手段が、
前記撮影部および前記動作検出部で得られたデータを無線により前記解析手段へ送信する機能を有しており、
前記解析手段が、
前記検出手段から送信されたデータを受信して、前記判断部の指示を無線により前記警報手段へ送信する機能を有しており、
前記警報手段が、
前記解析手段の判断部からの指示を受信して、前記警報出力部へ警報信号を無線により送信する機能を有している
ことを特徴とする請求項1記載の安全管理システム。 - 前記検出手段の撮影部が、一対のCCDカメラを備えている
ことを特徴とする請求項1または2記載の安全管理システム。 - 前記判断部は、
作業者の行動が不安全行動と判定された後、該不安全行動と判定された行動を再度作業者が実行し、該行動が不安全行動ではないと判定されれば、警報を解除する機能を有している
ことを特徴とする請求項1、2または3記載の安全管理システム。 - 前記警報手段は、
作業者に装着される作業者端末を備えており、
該作業者端末が、
前記警報を音および/または光を用いて出力する機能を有している
ことを特徴とする請求項1、2、3または4記載の安全管理システム。 - 前記作業現場における作業者の行動が、
足場台として立て馬を使用した高所作業を行う際の行動である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の安全管理システム。 - 前記作業現場における作業者の行動が、
高所作業車を使用した高所作業を行う際の行動である
ことを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載の安全管理システム。
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