以下、図面を参照して、本発明に係る椅子の一実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。また、以下の説明における前後上下左右の方向は、着座者から見た方向を示している。
図1は、本実施形態の椅子1を正面側から見た斜視図であり、図2は、本実施形態の椅子1を背面側から見た斜視図である。これらの図に示すように、本実施形態の椅子1は、脚部2と、支基3と、座4と、背凭れ5と、肘掛6とを備えている。
脚部2は、キャスタ2a1を有する多肢脚2aと、多肢脚2aの中央部より起立する脚柱2bとを備えている。この脚柱2bは、外筒2b1と、外筒2b1に対して進退動するロッド(伸縮杆)2b2とからなるガススプリングによって形成されている。ロッド2b2の上端部は支基3に固定されており、ロッド2b2の頂部に設けられたガススプリングのプッシュバルブ2b3(図5参照)が押圧されることにより、ロッド2b2は外筒2b1に対して進退動(上下動)可能、すなわち昇降可能になっている。また、プッシュバルブ2b3の押圧が解除されると、ロッド2b2は外筒2b1に対して進退動不能となり、脚柱2bの上下方向の伸縮が停止させられる。
このような脚部2は、キャスタ2a1を床に当接することによって椅子1を床面上において移動可能としている。また、脚柱2bによって座4や背凭れ5等を昇降可能に支持している。なお、図2に示す操作ユニット8の操作によって脚柱2bのロッド2b2が昇降(伸縮)し、座4や背凭れ5等が昇降可能になっている。このような構成のもとに脚柱2bは、本発明における機能部材の一つとなっている。
支基(支持構造体)3は、上述したように脚柱2bのロッド2b2の上端部に固定されており、座4を下方から支持すると共に、背凭れ5を傾動可能に支持している。この支基3については、後に詳細に説明する。座4は、椅子1の利用者である着座者を下方から支持する部位であり、支基3によって下方から支えられている。このような構成のもとに着座位置、すなわち支基3に支持された座4の位置は、上述した脚柱2bの伸縮により、上下方向に調整可能になっている。
背凭れ5は、着座者を後方から支える部位であり、支基3に対して傾動可能に接続されている。このような背凭れ5は、図3に示すように支基3に対して固定されるフレーム5aと、フレーム5aの開口を閉じる面材5bと、面材5bを覆う張材5cとを備えている。なお、図3は、椅子1の前方から見た支基3を含む部分分解斜視図である。
フレーム5aは、支基3側に延びると共に椅子1の左右方向に離間して設けられる一対の前向杆5a1と、前向杆5a1同士を連結すると共に後述するトーションユニット3bの連結部15cが連結される接続部5a2とを備えており、これら前向杆5a1及び接続部5a2によってトーションユニット3bの連結部15cが嵌合される凹部5a3が形成されている。肘掛6は、着座者の腕を下方から支える部位であり、座4を左右方向から挟むように背凭れ5に固定されて2つ設けられている。
続いて、支基3について、図3〜図6を参照してより詳細に説明する。図4は、椅子1の後方から見た支基3の部分分解斜視図であり、図5は、トーションユニット3bを側方から見た鉛直断面図であり、図6は、トーションユニット3bの縦断面図である。
図3及び図4に示すように、本実施形態の椅子1において支基3は、ベース部3aと、トーションユニット3bと、図5に示すように回動停止機構(制御機構)3cと、昇降停止機構(制御機構)7と、を備えている。ベース部3aは、脚柱2bのロッド2b2(図1及び図2参照)の上端部に固定される強度部材であり、図3、図4に示すように前方に延在すると共に先端に座4が直接固定される2本のアーム3a1を有している。
また、ベース部3aの後方には、図4に示すようにトーションユニット3bを収容するための凹部3a2が設けられている。この凹部3a2は、平面視において、ベース部3aの背凭れ5側の端部から前方へ向けて窪む凹状とされる。このような凹部3a2の対向する2つの内側側面3a3には、トーションユニット3bの枢軸10を嵌合させるための嵌合溝(軸受部)3a4が設けられている。なお、このような凹部3a2は、図3に示すように、背凭れ5側に延びると共に椅子1の左右方向に離間して設けられる一対の後向杆3a5に挟まれた領域に設けられている。これら後向杆3a5同士の離間距離は、上述の背凭れ5の前向杆5a1同士の離間距離と略等しくされている。
嵌合溝3a4は、内側側面3a3の各々に同一高さにて椅子1の前後方向に延在して設けられており、後方側の端部が内側側面3a3の後方側の終端に到達することによって開放端とされている。また、嵌合溝3a4の前後方向への長さは、枢軸10の同方向の幅よりも長く(本実施形態においては2倍以上長く)設定されている。
トーションユニット3bは、図5及び図6に示すように、枢軸10と、第1ゴムトーション11と、内筒部材12と、第2ゴムトーション13と、外筒部材14と、ハウジング15と、を備えて構成されている。枢軸10は、椅子1の左右方向に直線状に延在する角材からなる軸部材であり、図6に示すように両方の端部10aがハウジング15から露出した状態でハウジング15内に保持されている。
枢軸10の両端部10aは、図4に示すように凹部3a2の内側側面3a3に設けられた嵌合溝3a4の奥端部(椅子1の前方側に位置する端部)に当接するまで枢軸10が嵌合溝3a4に差し込まれる。これにより、トーションユニット3bが凹部3a2に収容された状態で位置決めされ、枢軸10がベース部3aに固定される。
図5に示すように第1ゴムトーション11は、枢軸10周りに設けられるゴム材からなる部位であり、略円筒状に形成されて枢軸10と内筒部材12との間に介挿されている。すなわち、第1ゴムトーション11はその内周面が枢軸10の外周面に固定され、外周面が内筒部材12の内周面に固定されている。
内筒部材12は、金属や硬質樹脂などの剛体によって形成された円筒状の部材であり、その一方の側、すなわち背凭れ5と反対の側に、第1係合孔12aを有している。第1係合孔12aは、後述する係合ピン19が挿抜可能に係合する貫通孔であり、枢軸10の軸方向に2つ並んで配置されている。
第2ゴムトーション13は、内筒部材12周りに設けられるゴム材からなる部位であり、略円筒状に形成されて内筒部材12と外筒部材14との間に介挿されている。すなわち、第2ゴムトーション13はその内周面が内筒部材12の外周面に固定され、外周面が外筒部材14の内周面に固定されている。また、第2ゴムトーション13は、本実施形態では図6に示すように内筒部材12の軸方向の長さに比べて充分に短く形成されて、内筒部材12の軸方向の中央部に外挿されている。
外筒部材14は、図5に示すように金属や硬質樹脂などの剛体によって形成された円筒状の部材である。外筒部材14及び第2ゴムトーション13には、その一方の側にこれらを貫通する2つの第2係合孔14aが形成されている。これら第2係合孔14aは、それぞれの中心軸が上記第1係合孔12aの中心軸に一致するように形成配置された貫通孔であり、係合ピン19が挿抜可能に係合すると共に、通り抜けることも可能になっている。これにより、係合ピンは第2係合孔14aを通って第1係合孔12aに挿通可能になっている。
図5、図6に示すようにハウジング15は、上部材15aと下部材15bとからなっており、これらが外筒部材14の上側と下側とを枢軸10の径方向外側から覆っている。図6に示すように、これら上部材15aおよび下部材15bには嵌合凸部15dが形成されており、これら嵌合凸部15dが内筒部材12および第1ゴムトーション11の嵌合凹部12bに嵌合したことにより、上部材15aおよび下部材15bは内筒部材12および第1ゴムトーション11に連結され、固定されている。なお、上部材15aおよび下部材15bは、外筒部材14に対しては固定されることなく、外筒部材14から離間してこれを単に覆っているだけである。
このような構成のもとにトーションユニット3bは、枢軸10、第1ゴムトーション11、内筒部材12、第2ゴムトーション13、外筒部材14をハウジング15内に収容すると共に、枢軸10の両端部をハウジング15から延出している。また、ハウジング15には、図3に示すように上部材15aと下部材15bとにそれぞれ切欠部が形成されたことにより、開口部15eが形成されている。開口部15eには、外筒部材14に形成された第2係合孔14aが露出している。
また、ハウジング15の後方側には、背凭れ5と連結するための連結部15cが設けられている。この連結部15cは、本実施形態では上部材15aに形成されており、ボルト(図示せず)等によって背凭れ5と締結されることにより、ハウジング15が背凭れ5に固定される。この連結部15cは、枢軸10や第1ゴムトーション11、内筒部材12等よりも背凭れ5側に配置されており、トーションユニット3bがベース部3aの凹部3a2に収容されたときに凹部3a2から背凭れ5側に突出される。
このようなトーションユニット3bにあっては、枢軸10の両端部10a、10aが支基3に固定された状態で、背凭れ5が傾動してハウジング15が枢軸10を中心として回動させられると、第1ゴムトーション11や第2ゴムトーション13が捩れ、これらゴムトーション11、13の復元力によってハウジング15が枢軸10の軸芯周りに付勢される。
その際、後述するように支基3に進退可能に設けられた係合ピン19の位置により、ゴムトーション11、13のハウジング15に対する付勢力は変化する。図5中に二点鎖線で示すように係合ピン19の先端が外筒部材14の第2係合孔14aに係合することなく、その手前となる第1の位置A1にあるときには、外筒部材14、内筒部材12が共に係合ピン19によってロックされないため、固定された枢軸10に対して回動可能となる。したがって、着座者によって背凭れ5が後方に倒れるように力が加えられ、ハウジング15が枢軸10回りに回動させられると、枢軸10との間で第1ゴムトーション11のみが捩られるため、これの復元力によって相対的に弱い付勢力がハウジング15側、すなわち背凭れ5側に向けられて生じる。
また、図5中に二点鎖線で示すように係合ピン19の先端部が内筒部材12の第1係合孔12aに係合することなく、外筒部材14の第2係合孔14aにのみ係合する第2の位置A2にあるときには、外筒部材14が係合ピン19を介して支基3に固定されるため、第2ゴムトーション13の位置も支基3に固定される。これにより、ハウジング15が枢軸10回りに回動させられると、枢軸10との間で第1ゴムトーション11と第2ゴムトーション13とが共に捩られるため、これらの復元力によって相対的に強い付勢力がハウジング15側、すなわち背凭れ5側に向けられて生じる。
また、図5中に実線で示すように係合ピン19の先端部が外筒部材14の第2係合孔14aを通って内筒部材12の第1係合孔12aに係合する第3の位置A3にあるときには、内筒部材12も係合ピン19を介して支基3に固定されるため、内筒部材12にハウジング15を介して固定された背凭れ5は、その傾動(回動)が停止させられる。すなわち、このような第3の位置A3を形成し、これによって枢軸10に対して間接的に作用する係合ピン19とトーションユニット3bとにより、本発明における回動停止機構3cが構成されている。
なお、支基3のベース部3aとトーションユニット3bとの間には、ベース部3aに対するハウジング15の回動範囲を規制する回動範囲規制機構(図示せず)が設けられている。具体的には、図4に示したベース部3aに設けられた規制突起3c1が、図3に示したハウジング15の開口部15eにおける上縁と下縁との間を回動し、これら上縁または下縁に当接することでそれ以上の回動が不能となるように規制されている。したがって、回動範囲が開口部15eの上下方向の幅によって決められている。このような開口部15eと規制ピンとにより、回動範囲規制機構が構成される。
このような構成のもとにハウジング15は、ベース部3aに対して所定の角度範囲でのみ回動可能となっており、したがってハウジング15に固定された背凭れ5は、支基3に対する傾動範囲が規制されている。つまり、本実施形態の椅子1は、回動範囲規制機構によって背凭れ5の傾動範囲が所定範囲内となるように規制されている。
また、ハウジング15の開口部15eの上縁の位置は、トーションユニット3bの第1ゴムトーション11が捩られていない状態において枢軸10をベース部3aに設けられた嵌合溝3a4に嵌合させると、規制突起3c1の下方に位置するように設定されている。つまり、第1ゴムトーション11が背凭れ5を寝かす方向に捩じられていないと、規制突起3c1の先端部が開口部15eに差し込めない構造となっている。
このため、規制突起3c1の先端部を開口部15e内に差し込むためには第1ゴムトーション11を捩ることになるが、規制突起3c1の先端部が開口部15eに差し込まれると、第1ゴムトーション11の捩りが一部戻ることで突起部3c1の先端部が開口部15eの上縁に当接する。これにより、第1ゴムトーション11はその捩りが全て解消されるまで復元できなくなる。この結果、椅子1の組立て後、第1ゴムトーション11の復元力によってハウジング12が常に背凭れ5を起こす方向に付勢されることになり、背凭れ5に初期荷重が付与されて初期反力を発生することになる。つまり、背凭れ5は、前方からの負荷がない状態の姿勢である基準姿勢(最も起こされた状態の姿勢)において、さらに前方に向けて押されるように初期反力を発生している。
ベース部3aの要部分解斜視図である図7に示すように、支基3のベース部3aには、トーションユニット3bの前方、したがって枢軸10の長さ方向と直交する前方に収容部20が形成されている。収容部20は、ベース部3aにおいて平面視矩形状に窪んだ凹状のもの、すなわち上方に開口する有底穴であり、図5に示すように脚柱2bの直上とその近傍に形成されている。そして、支基3には、収容部20の底面に開口する取付孔21が形成されており、この取付孔21内に脚柱2bの上端部が挿通されている。これにより、脚柱2bの上端部に設けられたガススプリングのプッシュバルブ2b3は、取付孔21から突出して、収容部20内に位置させられている。
また、ベース部3aには、一方が収容部20側に向けて開口し、他方がトーションユニット3bに向けて開口する貫通孔3dが形成されている。貫通孔3dは、図7に示すように収容部20の側壁に左右方向に2つ形成されており、それぞれが図5に示したハウジング15の開口部15e内に露出する第2係合孔14aと同一の中心軸を有するように配置されている。これにより、係合ピン19は貫通孔3dを通って第2係合孔14aに係合し、さらには第1係合孔12aにも係合可能になっている。
このような構成のもとに係合ピン19は、本発明における機能部材の一つである背凭れ5の動作、すなわち背凭れ5の傾動を制御する背凭れ制御部材となっており、上述したようにトーションユニット3bと共に回動停止機構3cを構成している。係合ピン19は、第2係合孔14aや第1係合孔12aに挿抜可能に係合する小径部19aと、貫通孔3d内を摺動する大径部19bと、後述する制御部材支持部24に係止する係止部19cとからなっている。
なお、トーションユニット3bには枢軸10を介して背凭れ5が連結されており、したがって貫通孔3dは、その他方が背凭れ5、すなわち本発明における機能部材に向けて開口している。また、このような貫通孔3dは、本発明における制御部材となる係合ピン19を動作可能、すなわち進退可能に挿通させて支持する動作支持部となっている。
収容部20内には、図7に示すように機構制御部22が収容配置されている。機構制御部22は、支基3とは分割される別部材によって形成されており、仕切部材23と、制御部材支持部24と、連係部材保持部25とから構成されている。
仕切部材23は、収容部20内に収容配置され、螺子止めによって固定される被固定部であり、図5に示すように収容部20を上下に仕切って上収容室20aと下収容室20bとを形成している。
この仕切部材23は、その平面図である図8に示すように平面視矩形状の底板23aを有し、図7に示すように底板23aの一方の長辺部および両方の短辺部に、それぞれ上方に立ち上がる壁部23b、23cを有している。そして、図8に示すように壁部23cの両側、すなわち仕切部材23の四隅に取付片23dを有し、これら取付片23dに形成された孔23eに螺子が挿通されることで、収容部20に螺子止めされている。
仕切部材23には、壁部23bの内面に突起状の2つのバネ支持部23fが形成されており、これらの間に開口部23gが形成されている。また、底板23aの下面には、図5中に二点鎖線で示すように支持板26が形成されている。支持板26は、図8に示した開口部23gを挟んでその両側に形成されたもので、壁部23cに平行に配置されている。これら支持板26、26間には、図5に示すように制御レバー27が支持されている。制御レバー27は、回動軸27aによって支持板26、26間に軸支され、これによって一端側が矢印B方向に回動可能になっている。
この制御レバー27は、その一端側27bが上述した脚柱2bのガススプリングのプッシュバルブ2b3の直上に配置されて、プッシュバルブ2b3の上面に当接または近接した状態に配置されている。また、他端側27cは、図8に示した開口部23gの直下に配置されている。この他端側27cには、昇降用ワイヤー30が連結ピン30aを介して連結されている。昇降用ワイヤー30は、後述する操作ユニット8(図2参照)に連結してこの操作ユニット8による外的操作力を制御レバー27に伝達する、本発明における連係部材として機能する。
すなわち、昇降用ワイヤー30は、操作ユニット8が操作されることで引っ張られると、連結ピン30aを介して制御レバー27の他端側27cを引き上げる。すると、制御レバー27は回動軸27a回りに回動し、一端側27bが下降する。これにより、ガススプリングのプッシュバルブ2b3が押圧されることにより、脚柱2bが昇降可能な状態となる。また、操作ユニット8による操作力が解除されると、昇降用ワイヤー30への引っ張り力が解除され、これによって制御レバー27が逆方向に回動して元の状態、すなわちプッシュバルブ2b3を押圧しない状態に戻る。これにより、脚柱2bは昇降不能な状態に戻る。
このような構成のもとに制御レバー27は、本発明における機能部材である脚柱2bの動作を制御する制御部材となっている。すなわち、制御レバー27は、脚柱2bの伸縮を停止させる脚柱制御部材となっている。そして、このような制御レバー(脚柱制御部材)27と、この制御レバー27によって制御されるガススプリングのプッシュバルブ2b3等により、脚柱2bの上下方向の伸縮を停止させる昇降停止機構7が構成されている。
このように、仕切部材23によって仕切られた下収容室20bには、昇降停止機構7の制御部材(脚柱制御部材)である制御レバー27が収容されている。また、仕切部材23によって仕切られた上収容室20aには、上述した回動停止機構3cの制御部材(背凭れ制御部材)である係合ピン19が収容されている。
上述したように係合ピン19は、図5に示すように支基3に形成された貫通孔3dに挿通され、その状態で図7に示した制御部材支持部24に固定されている。制御部材支持部24は、係合ピン19に固定されることによって該係合ピン19を介して支基3に保持されており、底板23aの上面に対して所定の隙間をあけてその上方に配置されている。これによって制御部材支持部24は、仕切部材23における壁部23bと反対の側の底板23a上に形成される空間内にて、移動可能に構成されている。このような制御部材支持部24と仕切部材(被固定部)23とにより、本発明に係る中間部材が構成されている。制御部材支持部24には、これを正面側から見た斜視図である図9、および機構制御部22の平面図である図10に示すように、係合ピン19を挿通させて支持する支持孔(支持部)24aが左右に2つ形成されている。
これら支持孔24aは、図5に示すように貫通孔3dと中心軸を一致させて配置されており、これによって係合ピン19は、支持孔24a、貫通孔3dに共に挿通されている。すなわち、これら支持孔24a内には、係合ピン19の係止部19cが挿通させられており、Cリング等の公知の係止部材によって抜け出ないように係止させられ、固定されている。そして、その状態で係合ピン19は、大径部19bが貫通孔3d内に摺動可能に挿通され、さらに小径部19aが第2係合孔14aや第1係合孔12aに挿抜可能に係合している。
また、これら係合ピン19には、図10に示すようにその係止部19c側に、コイルバネ28が外挿されている。コイルバネ28は、その一端側が係止部19cを外挿した状態で制御部材支持部24の内面に当接し、他端側が仕切部材23の壁部23bに形成されたバネ支持部23fに外挿してこれに支持されている。このような構成によって制御部材支持部24は、コイルバネ28によって壁部23bと反対の側、すなわち貫通孔3d側に付勢されている。したがって、制御部材支持部24に固定された係合ピン19は、貫通孔3dを通ってトーションユニット3b側に付勢されている。
また、制御部材支持部24には、図9に示すように支持孔24aの手前側に板部24bが設けられ、板部24b上に溝24cが形成されている。これら溝24cは、後述するように係合ピン19を貫通孔3dに挿通させる際に、例えば係合ピン19の係止部19c側が長く形成されている場合などでは、この係止部19c側を制御部材支持部24に仮支持するのに利用される、仮置き部として機能させることができる。したがって、図10に示すように係合ピン19が支基3に組み込まれた状態では、係合ピン19は溝24c上に保持されることなく、これから離間してその上方に配置されている。
また、制御部材支持部24には、2つの支持孔24aや支持板24bの間に、前側(板部24b側)に突出する平面視コ字状の突出壁24dが形成されている。突出壁24dには、一方の側壁から正面壁にかけて切り欠かれた切欠部24eが形成されており、この切欠部24eには、一方の側壁側に幅が広い幅広部24fが形成されている。このような切欠部24eには、図10に示すように傾動用ワイヤー31の一端が係止している。すなわち、傾動用ワイヤー31の一端側には係止部材31aが取り付けられており、この係止部材31aが切欠部24eの幅広部24fを通って突出壁24dの外側(貫通孔3d側)に引き出されることにより、切欠部24eに係止している。これにより、傾動用ワイヤー31はその一端側が突出壁24dに係止している。
傾動用ワイヤー31は、昇降用ワイヤー30と同様に後述する操作ユニット8(図2参照)に連結してこの操作ユニット8による外的操作力を係合ピン19に伝達する、本発明における連係部材として機能する。すなわち、傾動用ワイヤー31は、操作ユニット8が操作されることで引っ張られると、コイルバネ28の付勢力に抗して制御部材支持部24を引っ張り、これを壁部23b側に後退させる。すると、制御部材支持部24に固定された係合ピン19も壁部23b側に後退することで、例えば図5に示した第3の位置A3から第2の位置A2や第1の位置A1に移動する。また、操作ユニット8による操作が変更され、したがって傾動用ワイヤー31に対する引っ張り力が変更されると、例えば第1の位置A1から第2の位置A2や第3の位置A3に移動する。
ここで、操作ユニット8は、操作ユニット8を含む拡大側面図である図11に示すように、昇降操作部材8aと傾動操作部材8bとを備えている。昇降操作部材8aは、図2中に二点鎖線で示すように上記昇降用ワイヤー30を含む昇降連係部材32に接続され、これによって脚柱2bの伸縮を停止させる制御レバー27に連結されている。傾動操作部材8bも、図2中に二点鎖線で示すように上記傾動用ワイヤー31を含む傾動連係部材33に接続され、これによって背凭れ5の傾動を制御する係合ピン19に連結されている。
昇降操作部材8aは、例えばこれが上方に引き上げられることにより、昇降連係部材32を介して制御レバー27を作動させ、上述したようにプッシュバルブ2b3を押圧することで脚柱2bの上下方向の伸縮を可能にする。また、元に戻されることにより、プッシュバルブ2b3への押圧を解除し、脚柱2bの上下方向の伸縮を停止させる。
傾動操作部材8bは、図5に示した係合ピン19の先端の第1の位置A1に対応するモードM1と、第2の位置A2に対応するモードM2と、第3の位置A3に対応するモードM3とを有している。傾動操作部材8bの傾動操作レバー8b1をモードM1に位置させると、傾動連係部材33を介して制御部材支持部24を最も引っ張り、係合ピン19を最も後退させることができる。これにより、係合ピン19は第1の位置A1に後退し、上述したように相対的に弱い付勢力が背凭れ5側に向けられて生じる。したがって、傾動操作部材8bのフランジ8b2には、第1の位置A1に対応するモードM1の位置に例えば「弱」の表示がなされており、着座者が所望の操作を容易に行えるようになっている。
また、傾動操作部材8bの傾動操作レバー8b1をモードM2に位置させると、制御部材支持部24に対する引っ張り力を少し弱めることができ、コイルバネ28の付勢力によって係合ピン19を最も後退した位置(A1の位置)より少し前進させることができる。これにより、係合ピン19は第2の位置A2に前進し、上述したように相対的に強い付勢力が背凭れ5側に向けられて生じる。したがって、傾動操作部材8bのフランジ8b2には、第2の位置A2に対応するモードM2の位置に例えば「強」の表示がなされている。
また、傾動操作部材8bの傾動操作レバー8b1をモードM3に位置させると、制御部材支持部24に対する引っ張り力を最も弱めることができ、コイルバネ28の付勢力によって係合ピン19を最も前進させることができる。これにより、係合ピン19は第3の位置A3に前進し、上述したように背凭れ5はその傾動(回動)が停止させられる。したがって、傾動操作部材8bのフランジ8b2には、第3の位置A3に対応するモードM3の位置に例えば「LOCK」の表示がなされている。
図2に示すように昇降連係部材32、傾動連係部材33は、一端側が昇降操作部材8aや傾動操作部材8bに連結した後、座4の下方を反対側、すなわち着座者により外的操作がなされる図2中の右側と反対の左側に向けて引き回され、図10に示した支基3の収容部20内の機構制御部22に他端側が引き込まれている。これにより、昇降連係部材32、傾動連係部材33は大きな弧を描いた状態で、支基3上および支基3内に延伸している。
これら昇降連係部材32、傾動連係部材33は、図10に示すように外筒材32a(33a)と、該外筒材32a(33a)内に摺動可能に挿通され、かつ他端側が外筒材32a(33a)から延出する昇降用ワイヤー30、傾動用ワイヤー31(以下、単にワイヤー30、ワイヤー31と記す。)と、を有している。外筒材32a(33a)の他端側には外筒端32b(33b)が設けられており、これら外筒端32b(33b)の他端側にワイヤー30(31)が延出している。
機構制御部22には、仕切部材23上の壁部23b側に、連係部材保持部25が螺子止め等によって取り付けられている。連係部材保持部25には、その平面図である図12、および図10に示すように、昇降連係部材32、傾動連係部材33の外筒材32a(33a)の端部、すなわち外筒端32b(33b)を固定する外筒固定部25a1(25a2)と、外筒端32b(33b)から延出したワイヤー30(31)を制御レバー27や係合ピン19に向けて移動可能に案内するガイド部25b1(25b2)と、が設けられている。
外筒固定部25a1(25a2)は、外筒端32b(33b)を載置して保持する溝状のもので、外筒端32b(33b)にその周方向に沿って形成された係止溝(図示せず)を係止させる係止突部25c1(25c2)を有している。このような構成によって外筒固定部25a1(25a2)は、外筒端32b(33b)を保持した状態で係止突部25c1(25c2)が外筒端32b(33b)の係止溝32c(33c)に係止することにより、外筒端32b(33b)を連係部材保持部25に固定している。
ガイド部25b1(25b2)は、外筒固定部25a1(25a2)の溝に連続してその長さ方向に形成された溝部25d1(25d2)と、該溝部25d1(25d2)の他端側(外筒固定部25a1、25a2と反対の側)に形成されたガイド孔25e1(25e2)とを有している。溝部25d1(25d2)は、外筒端32b(33b)から延出したワイヤー30(31)を収容し保持するため、外筒固定部25a1(25a2)に比べて幅が狭い溝によって形成されている。
ガイド孔25e1(25e2)は、連係部材保持部25の上面(一方の側の面)と下面(他方の側の面)とを貫通する孔であり、昇降連係部材32のワイヤー30をガイドするガイド部25b1にはガイド孔25e1が1つ形成され、傾動連係部材33のワイヤー31をガイドするガイド部25b2にはガイド孔25e2が2つ形成されている。2つのガイド孔25e2は、図10に示すように、一方が仕切部材23の壁部23b側に配置され、他方が制御部材支持部24の突出壁24d側に配置されている。すなわち、2つのガイド孔25e2は、これらを結ぶ線が外筒固定部25a2の長さ方向と直交するように配置されている。
このような構成からなるガイド部25b1(25b2)は、外筒材32a(33a)の外筒端32b(33b)が向く方向と異なる方向に、ワイヤー30(31)を案内している。すなわち、昇降連係部材32のワイヤー30をガイドするガイド部25b1は、溝部25d1によって外筒端32bが向く方向にワイヤー30を案内した後、図10に示すようにガイド孔25e1によって下方、すなわち図5に示す仕切部材23の下の下収容室20b内にワイヤー30を案内している。これにより、ワイヤー30は開口部23gを通って上述したように制御レバー27に連結している。したがって、ガイド部25b1は、外筒端32bが向く水平方向から下方にワイヤー30を案内している。
また、図10、図12に示すように傾動連係部材33のワイヤー31をガイドするガイド部25b2は、溝部25d2によって外筒端32bが向く方向にワイヤー30を案内した後、2つのガイド孔25e2のうちの溝部25d2に連続するガイド孔25e2によって下方に案内し、その後、もう一方のガイド孔25e2から引き出して制御部材支持部24の突出壁24d側に案内している。すなわち、ワイヤー31は2つのガイド孔25e2を通ることにより、外筒固定部25a2が設けられた側の上面に戻る。これにより、ワイヤー31は上述したように制御部材支持部24を介して係合ピン19に連結している。したがって、ガイド部25b2は、外筒端33bが向く水平方向から一旦昇降させた後、外筒端33bが向く方向と直交する方向にワイヤー31を案内している。なお、連係部材保持部25の下面には、2つのガイド孔25e2、25e2間にワイヤー31をガイドする案内溝(図示せず)が形成されている。
このような構成によって2つのガイド部25b1、25b2は、2つのワイヤー30、31を異なる高さ位置に、すなわちワイヤー30を下収容室20bに、ワイヤー31を上収容室20aにそれぞれ案内している。
このような構成の椅子1において、特に機構制御部22を組み立てると共に係合ピン19を貫通孔3dに挿通させるには、以下のようにして行う。
まず、連係部材保持部25のガイド孔25e1に昇降連係部材32のワイヤー30を通しておく。そして、このワイヤー30の先端側を仕切部材23の開口部23gに通し、ワイヤー30の先端に設けられた連結ピン30aを制御レバー27に係止させてこれに連結しておく。
次に、中間部材の仕切部材23を収容部20内に納め、ネジ止めによって固定する。その際、係合ピン19の係止部19a側を制御部材支持部24の支持孔24aに後ろ向きに挿通してこれに支持させ、制御部材支持部24に固定する。さらにその状態で、この制御部材支持部24を仕切部材23の底板23a上に置いてこれの上に支持させる。これにより、仕切部材23は係合ピン19を支持する制御部材支持部24を載置して支持する仮支持部として機能する。続いて、制御部材支持部24を支持した状態で仕切部材23を、制御部材支持部24を先に向けて収容部20内に入れると共に、係合ピン19をやや斜め下方に向けながら貫通孔3dに挿通する。そして、係合ピン19が貫通孔3dに挿通している状態を維持しつつ、仕切部材23を収容室20内に納めたら、上述したように仕切部材23をネジ止めによって固定する。このようにして仕切部材23をネジ止めによって固定すると、係合ピン19に固定された制御部材支持部24は上述したように底板23aの上面に対して所定の隙間をあけてその上方に浮き、仕切部材23に仮支持された状態から支基3に支持された状態に移行する。
なお、仕切部材23の下面に取り付けた制御レバー27については、図5に示すようにこの制御レバー27の一端側27bが脚柱2bの頂部のプッシュバルブ2b3に当接または近接するように予め設定しておく。
次いで、傾動連係部材33のワイヤー31の先端側を連係部材保持部25の2つのガイド25e2に順次通し、さらにワイヤー31の先端の係止部材31aを制御部材支持部24の切欠部24eに係止させる。
次いで、係合ピン19の係止部19c側と仕切部材23のバネ支持部23fとの間にコイルバネ28を介装する。
次いで、連係部材保持部25の外筒固定部25a1、25a2にそれぞれ昇降連係部材32の外筒端32b、傾動連係部材33の外筒端33bを配し、係止突部25c1、25c2にそれぞれの係止溝32c、33cを係止させる。
その後、連係部材保持部25を仕切部材23上に配置し、螺子止め等によって固定する。これにより、機構制御部22を組み立てることができる。
以上説明したように本実施形態の椅子1によれば、制御部材である係合ピン19や制御レバー27を収容する収容部20を仕切部材23によって上下に仕切り、上収容室20aと下収容室20bとを形成し、上収容室20aに回動停止機構3cの制御部材である係合ピン19を収容し、下収容室20bに昇降停止機構7の制御部材である制御レバー27を収容しているので、制御部材を互いに干渉しないように上収容室20aと下収容室20bとに分けて収容することができ、したがって収容部20を有する支基3を過大にすることなく、制御部材等の配置を行うことができる。
また、収容部20が脚柱2bの上方に配置され、収容部20の下収容室20bに脚柱制御部材となる制御レバー27を収容しているので、制御レバー27が脚柱2bの近傍に配置されることにより、制御レバー27を備える昇降停止機構7をコンパクトに形成することができる。これにより、支基3の小型化を図ることができる。
また、収容部20を上方に開口する有底穴とし、仕切部材23を支基3とは分割される別部材によって形成しているので、脚柱2bの上端部を受ける部材となる制御レバー27を、仕切部材23の底面を利用することによって下収容部20bに容易に配置することができる。また、仕切部材23を収容部20に容易にセットすることができる。
また、仕切部材23の下面に制御レバー27を回動可能に支持しているので、制御レバー27を仕切部材23に前もって支持させた状態でこの制御レバー27を仕切部材23と共に収容部20に配設することができ、したがって組立効率を向上することができる。
また、支基3に背凭れ5を支持する枢軸10を支持する嵌合溝(軸受部)3a4が設けられており、この嵌合溝3a4が設けられる部位は枢軸10を介して背凭れ5を回動可能に支持する部位であるので、一定の肉厚および高さを有している。一方、複数の制御部材(係合ピン19、制御レバー27)を収容する収容部20は、嵌合溝3a4に対して枢軸10の長さ方向と直交する前後方向に離間して隣接配置されているので、嵌合溝3a4が設けられる部位の肉厚および高さを利用してこの部位に連続的に収容部20を配設することができる。したがって、収容部20の配置スペースを最小限に抑えることができ、これによって支基3の大きさが過大になるのを防止することができる。
また、収容部20に枢軸10に向けて開口する貫通孔3dを形成し、貫通孔3d内を進退させることによって枢軸10に係合ピン19を作用させるようにしたので、背凭れ制御部材としての係合ピン19自体の荷重や摺動抵抗が仕切部材23ではなく支基3に作用することになる。したがって、係合ピン19が、仕切部材23の下方の下収容室20bに収容された制御レバー27に対して直接的にも間接的にも干渉しなくなる。
また、機構制御部22が係合ピン19を支持する制御部材支持部24を有する中間部材を備えており、このような制御部材支持部24と仕切部材(被固定部)23とからなる中間部材を、係合ピン19を支持孔24aに支持させると共に貫通孔3dにも支持させた状態で支基3に固定しているので、支基3に設けられた背凭れ5と係合ピン19との関係を、支基3を介した一対一の関係とすることができる。したがって、背凭れ5と係合ピン19との間の組付け精度の狂いを抑制して組付精度の向上を図ることができ、これによって係合ピン19が作動して背凭れ5に作用した際の誤動作等を防止することができる。
また、中間部材を支基3に固定する前の状態では、仕切部材23が制御部材支持部24の仮支持部として機能するようにしているので、制御部材支持部24を仕切部材23上に載置して仕切部材23に支持させることにより、制御部材支持部24やこれに支持される係合ピン19を仕切部材23上に安定して支持することができる。したがって、係合ピン19の組付けを容易にすることができる。
また、連係部材保持部25が、昇降連係部材32や傾動連係部材33の外筒材32a(33a)の外筒端32b(33b)を固定する外筒固定部25a1(25a2)と、外筒端32b(33b)から延出したワイヤー30(31)を制御レバー27や係合ピン19に向けて移動可能に案内するガイド部25b1(25b2)と、を有しているので、制御レバー27や係合ピン19の位置に制約されることなく、この連係部材保持部25によってワイヤー30(31)の取り回しを容易に行うことができる。すなわち、ガイド部25b1(25b2)が、外筒端32b(33b)の向く方向と異なる方向にワイヤー30(31)を案内するので、ワイヤー30(31)がガイド部25b1(25b2)にて局所的で曲率の大きな曲げを形成しても、ガイド部25b1(25b2)ではワイヤー30(31)が外筒端32b(33b)から延出しているため外筒材32a(33a)に対する摺動抵抗が増すことがない。また、ガイド部25b1(25b2)を、二次元的な経路に対してガイド孔25e1(25e2)による三次元的な経路を加え、これによって平面視した所定の面積当たりで比較的長い経路にガイド部25b1(25b2)を形成することができ、さらに、ガイド孔25e1(25e2)を通すことでワイヤー30(31)の方向を変えているので、局所的で曲率の大きな曲げが形成されるのを抑えることができる。したがって、上述したように連係部材保持部25によってワイヤー30(31)の取り回しを容易に行うことができる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、トーションユニット3bが第1ゴムトーション11と第2ゴムトーション13とを備えることにより、背凭れ5に対する付勢力を「強」と「弱」の2段階に調整できるようにしたが、ゴムトーションを1つにすることで背凭れ5に対する付勢力を一定にしてもよい。また、内筒部材12上に配置される第2ゴムトーション13および外筒部材14を、内筒部材12の軸方向に複数配置し、これらをそれぞれ独立して機能させることにより、背凭れ5に対する付勢力を3段階以上に調整できるようにしてもよい。
また、本発明では、係合ピン19にかかる摺動抵抗やトーションユニット3bからの反力の一部を貫通孔3dによって支持できるように、貫通孔3dを形成する収容部20の側壁を支基3とは別部材にしてもよい。具体的には、貫通孔3dを形成した側壁部材を支基3とは別に形成し、支基3に形成した収容部20の一方の側壁を構成するように配設し、ボルト止め等によって支基3に固定する。このように側壁部材を支基3とは別部材とすることで、側壁部材を鉄等の比較的強度の高い材料によって形成することができ、上述したように係合ピン19にかかる荷重を貫通孔3dによって支持できるように構成することができる。
また、上記実施形態では、枢軸10をベース部3aに固定し、トーションユニット3bのハウジング15を背凭れ5に固定する構成について説明したが、トーションユニット3bの枢軸10を背凭れ5に固定し、トーションユニット3bのハウジング15をベース部3aに固定する構成を採用することもできる。
また、上記実施形態では、仕切部材23によって収容室20を上収容室20aと下収容室20bとの2つの室に仕切ったが、例えば仕切部材23を複数用いることにより、収容室20を上下に仕切って3つ以上の室を形成するようにしてもよい。
また、上記実施形態においては、凹部3a2の背凭れ5側が開放された構成を採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、凹部3a2が背凭れ5側に向けて完全に開放されておらず、閉塞部材によって閉塞されている構成を採用することも可能である。このような場合には、例えば、凹部3a2に収容されたトーションユニット3bの連結部15cが背凭れ5側に突出するよう、閉塞部材に連結部15cが貫通する貫通孔を形成する。