JP6428022B2 - 磁性複合粒子、その製造方法、及び生理活性物質担持磁性複合粒子 - Google Patents

磁性複合粒子、その製造方法、及び生理活性物質担持磁性複合粒子 Download PDF

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本発明は、磁性複合粒子、その製造方法、及び生理活性物質担持磁性複合粒子に関するものである。さらに詳しくは、核となる強磁性酸化鉄粒子の表面にシリカコート層が形成された磁性複合粒子、その磁性複合粒子の製造方法、及びその用途に関するものである。
磁性複合粒子はその磁気的特性を利用し、免疫診断用の生理活性物質担持担体や、分離・精製用の担体、触媒の担体、トナー用材料、電波吸収材、磁気ガイド塗料等に使用されている。中でも、強磁性酸化鉄粒子の表面にシリカコートした磁性複合粒子は、強磁性酸化鉄粒子の磁気的特性と、シリカの吸着特性や表面修飾の多様性等によって様々な分野で開発・応用されている。
磁性複合粒子に求められる重要な特性として、「粒子が分散し、その分散状態を保持する性能を表す分散性」、「磁場を与えた時の捕集の速さを表す集磁性」、「集磁操作後に再度分散させた時の分散性を表す集磁後分散性」を挙げることができる。例えば、試料溶液から目的物質を分離する為の担体として用いた場合、目的物質と磁性複合粒子を効率よく結合させる為に、試料溶液中で高い分散性が求められる。又、目的物質を結合後、効率よく分離(磁気分離)する為に高い集磁性が求められる。更に磁性複合粒子に付着した目的物質以外の成分を除去する洗浄工程で、粒子の集磁と分散を複数回繰り返す必要があり、効率よく洗浄する為に高い集磁後分散性が求められる。しかし、分散性、集磁性、集磁後分散性の全てに優れた磁性複合粒子は、依然として見い出されていない。
例えば特許文献1には0.13μm〜0.42μmのマグネタイトにシリカコートした4μm〜7μmの粒子が例示されている。しかし、この粒子は数個の強磁性酸化鉄粒子の凝集体の表面にシリカがコートされた状態、或いは、シリカコート層が厚い状態になっており、シリカコートした粒子の粒子径が大きい為、粒子の沈降が速く、分散性が低いという問題がある。また、特許文献2では0.13μm〜0.28μmのマグネタイト粒子へ薄くシリカコートした0.2μm〜0.34μmの粒子が例示されている。しかし、この粒子はシリカコート層の厚みが薄い為、一度集磁操作を行うと、強磁性酸化鉄粒子の残留磁化により粒子の凝集が起こり、集磁後分散性が低いという問題がある。更に、非特許文献1では長軸が0.33μmの常磁性酸化鉄粒子(ヘマタイト(α−Fe))にシリカコートした粒子が示されている。しかし、この粒子は酸化鉄粒子が常磁性粒子である上に小さく、粒子一個当りの磁力が弱い為、集磁性が低いという問題がある。
その他にも特許文献3では1.0μm〜1.1μmの強磁性酸化鉄粒子へ薄くシリカコートした1.0μm〜1.1μmの粒子が例示されている。しかし、この粒子はシリカコート層の厚みが薄い為、一度集磁操作を行うと、強磁性酸化鉄粒子の残留磁化により粒子の凝集が起こり、集磁後分散性が低いという問題がある。
また、非特許文献2ではシリコンアルコキシドの加水分解による1回の処理で強磁性酸化鉄粒子へシリカコートした粒子が示されている。しかし、この粒子は数個の強磁性酸化鉄粒子の凝集体の表面にシリカがコートされており、単一の強磁性酸化鉄粒子の表面にシリカコートされた磁性複合粒子は得られていない。
特開2004−65132号公報 特開2004−31792号公報 特開平08−113728号公報
"Journal of the Ceramic Society of Japan"、1992年、第100巻、第5号、p.646−651 「粉体工学会誌」、1997年、第34巻、第4号、p.206−211
本発明は上記従来技術が有する課題を解決する為になされたものである。即ち、分散性、集磁性、集磁後分散性の全てに優れた磁性複合粒子、及び、その磁性複合粒子の製造方法、並びにその用途を提供するものである。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、核となる強磁性酸化鉄粒子の平均粒子径が0.5μm〜1.5μmであり、その強磁性酸化鉄粒子の表面に厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層が形成された単一磁性複合粒子であれば、またこの単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有する磁性複合粒子混合物であれば、分散性、集磁性、集磁後分散性の全てに優れることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下のとおりである。
(1)平均粒子径が0.5μm〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子の表面に、厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層を有することを特徴とする単一磁性複合粒子。
(2)シリカコート層の厚みのばらつきが30%以下である、(1)に記載の単一磁性複合粒子。
(3)単一磁性複合粒子の平均粒子径が0.7μm〜3.0μmである、(1)又は(2)に記載の単一磁性複合粒子。
(4)単一磁性複合粒子のアスペクト比が1.0〜1.3である(1)乃至(3)いずれかに記載の単一磁性複合粒子。
(5)(1)〜(4)いずれかに記載の単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有することを特徴とする磁性複合粒子混合物。
(6)単一磁性複合粒子の含有率が20%以上95%以下である、(5)記載の磁性複合粒子混合物。
(7)単一磁性複合粒子及び磁性複合粒子結合体のネック部を除く部分のシリカコート層の厚みのばらつきが30%以下である、(5)又は(6)に記載の磁性複合粒子混合物。
(8)平均粒子径が0.5μm〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子に、シリカコート処理と分散処理を複数回行い、強磁性酸化鉄粒子の表面に厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層を形成することを特徴とする、(1)乃至(4)いずれかに記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
(9)シリカコート処理と分散処理を行う回数が3〜20回である、(8)記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
(10)シリカコート処理がシリコンアルコキシドの加水分解により行われる(8)又は(9)に記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
(11)分散処理が超音波照射下で分散する方法である、(8)乃至(10)のいずれかに記載の磁性複合粒子の製造方法。
(12)(1)乃至(4)のいずれかに記載の単一磁性複合粒子又は(5)乃至(7)いずれかに記載の磁性複合粒子混合物の表面に、生理活性物質が固定化されていることを特徴とする、生理活性物質担持単一磁性複合粒子又は生理活性物質担持磁性複合粒子混合物。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の磁性複合粒子は、核となる強磁性酸化鉄粒子の平均粒子径が0.5μm〜1.5μmであり、その強磁性酸化鉄粒子の表面に厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層が形成された単一磁性複合粒子である。またこの単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有する磁性複合粒子混合物である。
本発明において、平均粒子径とは、電子顕微鏡を用いて任意に50個以上の粒子径を測定し、その平均値である。
核となる強磁性酸化鉄粒子の平均粒子径は0.5μm〜1.5μmであることが必須である。好ましくは0.7μm〜1.3μmである。強磁性酸化鉄粒子の平均粒子径が1.5μmを超えると、粒子一個当りの飽和磁化が高くなり集磁性は高くなるが、反面、粒子沈降速度が増大し分散性は低くなる。一方、平均粒子径が0.5μm未満であれば、粒子の沈降速度は減少し分散性は高くなるが、粒子一個当りの飽和磁化が低くなり集磁性は低くなる。
本発明において、シリカコート層の厚みとは、単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子結合体のネック部を除く部分のシリカコート層の厚みを表し、その厚みは0.1μm〜1.5μmであることが必須である。より好ましくは0.15μm〜0.8μmである。シリカコート層の厚みが0.1μmより薄いと強磁性酸化鉄粒子の残留磁化によって粒子が凝集し集磁後分散性が低くなる。また1.5μmより厚いと粒子の溶液中における移動抵抗が増加し集磁性が低くなる。本発明においてシリカコート層の厚みは、透過型電子顕微鏡を用いて任意に5個以上の粒子を選定し、それらのシリカコート層の厚みを、個々の粒子につき任意に5か所以上測定し、その平均値である。
尚、磁性複合粒子結合体とは、単一磁性複合粒子の複数個が結合したものであって、図1のように強磁性酸化鉄粒子及びシリカコート層同士が結合したものであってもよく、また図2のようにシリカコート層だけが結合したものであってもよい。そのネック部(3)とは、図1及び2の斜線で示した部分であって、単一磁性複合粒子同士が結合した部分のシリカコート層の表面と各強磁性酸化鉄粒子の中心とを結んだ線(図中の点線)で囲まれたシリカコート層の部分を示す。
強磁性酸化鉄粒子の種類は特に限定されないが、フェライト粒子、マグへマイト粒子(γ−Fe)、マグネタイト粒子(Fe)等が使用できる。化学的な安定性、飽和磁化、保磁力を考慮するとマグへマイト粒子とマグネタイト粒子、更にマグへマイトとマグネタイトの中間酸化物粒子が好ましい。中でも飽和磁化が高く、保磁力が低いマグネタイト粒子は、本発明の強磁性酸化鉄粒子として特に好ましい。
強磁性酸化鉄粒子は市販品を使用しても良いし、適宜合成して使用しても良い。合成方法は特に限定されるものではないが、例えば、塩化鉄や硫酸鉄等の鉄源とアルカリ剤、酸化剤を用い合成することができる。アルカリ剤としては水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が例示できる。酸化剤としては、空気や酸素、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム等が例示できる。
単一磁性複合粒子の平均粒子径は、0.7μm〜3.0μmが好ましい。より好ましくは1.0μm〜2.5μmである。単一磁性複合粒子の平均粒子径が小さすぎると、上記の平均粒子径が0.5μm〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子、及び厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層とすることが実質的に不可能となる。また、大きすぎると粒子の沈降が速くなり分散性が低くなる。
単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.0〜1.3であることが好ましく、特に球形もしくは球形に近い粒子であることが好ましい。より好ましくはアスペクト比1.0〜1.2であり、特に球形もしくは球形に近い粒子である。尚、本発明において、アスペクト比は(長径/短径)の比で表す。アスペクト比が大きいと、溶液中での移動抵抗が大きくなり、集磁性が低くなる。より球形に近づけることで、移動抵抗を小さくでき、集磁性を高めることができる。本発明においてアスペクト比は電子顕微鏡を用いて任意に50個以上の粒子のアスペクト比を測定し、その平均値である。
また本発明は、上述の単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有することを特徴とする磁性複合粒子混合物である。このとき、単一磁性複合粒子の含有率は20%以上95%以下であることが好ましい。より好ましくは30%以上95%以下である。本発明の単一磁性複合粒子は、優れた分散性、集磁性、集磁後分散性を示すため、その含有率が20%未満では、その効果を発揮することが困難となる。また、磁性複合粒子混合物の使用目的に応じて、単一磁性複合粒子の含有率は95%程度であってもよい。本発明において、単一磁性複合粒子の含有率(%)は、電子顕微鏡を用いて任意に50個以上の粒子を選定し、次式により求めた。
{単一磁性複合粒子の数/(単一磁性複合粒子の数+磁性複合粒子結合体の数)}×100。
本発明では、単一磁性複合粒子であっても、磁性複合粒子混合物であっても、シリカコート層の厚みのばらつきは30%以下であることが好ましい。より好ましくは20%以下である。この時磁性複合粒子結合体では、ネック部以外のシリカコート層の厚みをさす。この厚みのばらつきが30%を超えると、厚みの薄い部分では強磁性酸化鉄粒子の残留磁化によって粒子が凝集し集磁後分散性が低くなり、又、厚い部分では溶液中における粒子の移動抵抗が増加し、集磁性が低くなる。つまり、集磁後分散性と集磁性を両立することが困難となる。本発明において、シリカコート層の厚みのばらつき(%)は、[(最大値−最小値)/平均値]×100で表す。なお本発明では、透過型電子顕微鏡を用いて任意に5個以上の粒子を選定し、それらのシリカコート層の厚みを個々の粒子につき任意に5か所以上測定し、その最大値、最小値、及び平均値を用いる。例えば、シリカコート層の厚みの平均値が1.0の場合、シリカコート層の厚みが、0.9〜1.1の範囲内であれば、ばらつきは20%以下となる。
本発明の単一磁性複合粒子の製造方法は、平均粒子径が0.5〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子に、シリカコート処理と分散処理を複数回行う。その回数は特に限定されるものではないが、3回〜20回が好ましい、更に好ましくは5回〜15回である。回数が少ないとシリカコート層の厚みが薄くもしくは不均一になり、残留磁化による粒子凝集を抑制する効果が小さくなる。更に、図2に示すような単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体が生成し易くなり、単一磁性複合粒子の含有率が例えば20%未満と低くなる。この為、分散性、集磁性、集磁後分散性が低くなる。一方、回数が多すぎると操作が煩雑となり、生産性や粒子の回収率が悪化する。従って、適正な回数を選定することで、適度な厚みを持った均一なシリカコート層が形成され、単一磁性複合粒子の含有率が高い、優れた分散性、集磁性、集磁後分散性を有した本発明の磁性複合粒子混合物が得られ、これを適宜精製して単一磁性複合粒子を得ればよい。なお、シリカコート処理と分散処理は同じ条件で複数回行ってもよく、また条件を変えて複数回行ってもよい。ここで用いられる強磁性酸化鉄粒子は平均粒子径が0.5μm〜1.5μmのものであるが、そこに複数の強磁性酸化鉄粒子が結合したものが混在する場合には、結果として図1に示すような磁性複合粒子結合体が生成する場合もある。
また強磁性酸化鉄粒子は下地処理で、その表面のシリカコートを行い易くすることができる。下地処理の一例として、ケイ酸アルカリの中和により強磁性酸化鉄粒子表面に極薄いシリカ層を析出させる方法等が挙げられる。
シリカコート処理は、種々の方法を使用することができる。例えば、シリコンアルコキシドを加水分解しシリカを析出させる方法や、ケイ酸アルカリを中和しシリカを析出させる方法などが挙げられる。この中で、シリコンアルコキシドを加水分解する方法が、より少ない回数で均一にシリカコートでき、好ましい。
シリコンアルコキシドは、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン等のシリケート化合物を用いることができる。低分子アルコールを含む水系溶媒中で、シリケート化合物を加水分解及び縮合させてシリカを生成する。低分子アルコールとしてはメタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコール等が例示できる。水系溶媒中にはアンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン等の触媒を添加することもできる。触媒は、濃度条件設定の容易さなど扱い易いことから比較的塩基性の弱いアンモニアが好ましい。
分散処理は、種々の分散方法及び分散機を使用することができる。例えば、媒体の流動、衝突、圧力差、超音波を利用した分散方法および分散機が挙げられる。中でも、強磁性酸化鉄粒子やシリカコート層の崩壊を起こさず分散できるという点で、超音波照射下で分散する方法が好ましい。超音波を粒子に効率よく伝えるため、超音波を発生させる装置の先端(ホーン、チップ)を溶液中に浸漬して使用する超音波ホモジナイザーを用いる方法がより好ましい。
本発明の単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物は、種々の用途に使用することができる。例えば、その磁気的特性を利用し、分離・精製用の担体や、触媒の担体、トナー用材料、電波吸収材、磁気ガイド塗料に使用することができる。
用途の一例に、単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物の表面に生理活性物質を固定化した生理活性物質担持磁性複合粒子としての利用を挙げることができる。この場合、固定化する生理活性物質の種類に応じて、固定化処理の前に粒子表面を種々の方法で表面処理してから使用しても良い。表面処理法としては、シランカップリング処理やポリマーコート処理等が挙げられ、一つの方法で行っても、複数の方法を組み合わせて行っても良い。
シランカップリング処理は、単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物表面を疎水化、或は、アミノ基、エポキシ基、ビニル基、メルカプト基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アクリル基、メタクリル基等を導入し、新たな界面化学特性を付与することができる。シランカップリング剤には、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
また、ポリマーコート処理は単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物に直接行っても良いし、表面にシランカップリング等で官能基を導入してから行っても良い。代表的なポリマーを例示すれば、ポリスチレンまたはその誘導体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリビニルエーテル、ポリアミド、ポリアリルアミン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンイミン等の合成高分子化合物を挙げることができる。なお、このような合成高分子化合物に限定されず、これらの変性物または共重合体であってもかまわない。更には、ヒドロキシアルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、キトサン、キチン、アラビアゴム、デンプン等の半合成高分子化合物や天然高分子化合物等のポリマーであってもかまわない。
生理活性物質としては、例えば、抗体、抗原、核酸、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン、レクチン、レセプター、リガンド、酵素、基質を挙げることができる。生理活性物質を単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物に固定化する方法としては、生理活性物質と単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物を混合することによって生じる物理的な吸着を用いる物理吸着法や、カルボジイミド等のカップリング剤により単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物表面のカルボキシル基やアミノ基と生理活性物質とを化学的に結合させる化学結合法等が例示できる。
生理活性物質を固定化した生理活性物質担持単一磁性複合粒子又は生理活性物質担持磁性複合粒子混合物は、例えば、蛍光法や化学発光法を利用した不均一系の高感度免疫測定に使用できる。具体的な例として、試料中の測定対象物と特異的に反応する生理活性物質を担持した単一磁性複合粒子又は磁性複合粒子混合物を用いて測定対象物と複合体を形成させ、前記生理活性物質と複合体を形成しなかった未反応物を除去後、前記測定対象物と特異的に反応する生理活性物質を結合した標識物質を用いて測定する方法に使用できる。
生理活性物質担持単一磁性複合粒子又は生理活性物質担持磁性複合粒子混合物を免疫反応測定に使用する場合、それらの粒子又は粒子混合物表面の生理活性物質未結合領域をウシ血清アルブミン(BSA)やカゼインなどのタンパク質で塞ぐこと(ブロッキング)により、粒子表面への非特異的吸着を十分に抑えることもできる。
また、標識物質は、アルカリ性ホスファターゼ、ペルオキシダーゼ、β−D−ガラクトシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ルシフェラーゼ等の酵素、アクリジニウム誘導体、1,2−ジオキセタン誘導体等の化学発光物質、フルオレセインやローダミン等の蛍光物質などが例示でき、通常の酵素免疫測定法や化学発光または蛍光免疫測定法に用いられるものであれば特に制限はない。
本発明によって、磁性複合粒子に求められる重要な特性である分散性、集磁性、集磁後分散性の全てに優れた単一磁性複合粒子、磁性複合粒子混合物、その製造方法、及びその用途を提供することができる。
磁性複合粒子結合体のネック部を示す図である。 磁性複合粒子結合体のネック部を示す図である。 合成例1で得られたマグネタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた単一磁性複合粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得られた単一磁性複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 合成例4で得られたマグネタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例3で得られた磁性複合粒子結合体の走査型電子顕微鏡写真である。
次に、本発明による実施例及び比較例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
各種物性は、以下の方法で測定した。
<平均粒子径の測定方法>
走査型電子顕微鏡(日本電子社製 型式:JSM−6390LV、もしくは日立製作所社製 型式:S−2400)観察により、倍率5千〜2万倍で写真を撮影して、その中の粒子から任意に50個以上の粒子を選定し、それらの粒子径を測定し、その平均値を示した。
<シリカコート層の厚みの測定方法>
透過型電子顕微鏡(日本電子社製 型式JEM−2100F、もしくは日本電子社製 型式JEM−2000FX)観察により、倍率4万〜10万倍で写真を撮影して、その中の粒子から任意に5個以上の粒子を選定し、それらのシリカコート層の厚みを、個々の粒子につき任意に5箇所以上測定し、その平均値を示した。
<シリカコート層の厚みのばらつきの測定方法>
透過型電子顕微鏡(日本電子社製 型式JEM−2100F、もしくは日本電子社製 型式JEM−2000FX)観察により、倍率4万〜10万倍で写真を撮影して、その中の粒子から任意に5個以上の粒子を選定し、それらのシリカコート層の厚みを、個々の粒子につき任意に5箇所以上測定した。測定した厚みの最大値、最小値、及び平均値を用いて、下式でシリカコート層の厚みのばらつきを求めた。
シリカコート層の厚みのばらつき(%)=[(最大値−最小値)/平均値]×100
<アスペクト比の測定方法>
走査型電子顕微鏡(日本電子社製 型式:JSM−6390LV、もしくは日立製作所社製 型式:S−2400)観察により、倍率5千〜2万倍で写真を撮影して、その中の粒子から任意に50個以上の単一磁性複合粒子を選定し、それらのアスペクト比を測定し、その平均値を示した。尚、アスペクト比は下式で表す。
アスペクト比=(長径/短径)
<単一磁性複合粒子の含有率の測定方法>
走査型電子顕微鏡(日本電子社製 型式:JSM−6390LV、もしくは日立製作所社製 型式:S−2400)観察により、倍率5千〜2万倍で写真を撮影して、その中の粒子から任意に50個以上の粒子を選定し、それらの単一磁性複合粒子の含有率を求めた。尚、単一磁性複合粒子の含有率は下式で表す。
単一磁性複合粒子の含有率(%)={単一磁性複合粒子の数/(単一磁性複合粒子の数+磁性複合粒子結合体の数)}×100。
<磁性複合粒子の分散性>
0.3wt%の磁性複合粒子スラリー20mLを調製し、30mLガラス製サンプル瓶に入れた。スラリーを分散後、粒子が沈降し上部が透けて見えるまでの時間を測定した。
<磁性複合粒子の集磁後分散性>
分散性と同様にスラリーを調製、分散後、50mmφ×10mmのネオジウム磁石で5分間集磁後、1分間攪拌し分散性と同様に、粒子が沈降し上部が透けて見えるまでの時間を測定した。
<磁性複合粒子の集磁性>
分散性と同様にスラリーを調製、分散後、50mmφ×10mmのネオジウム磁石で集磁し、粒子が集磁され液全体が透明になるまでの時間を測定した。尚、集磁時間が短いほど集磁性は高くなる。
各処理は、以下の装置を用いて実施した。
<超音波分散>
装置:USD−4R(620W)/アズワン社製
<超音波ホモジナイザー処理>
装置:US−150T/日本精機製作所社製
出力:200μA。
合成例1
以下の方法で、本発明の磁性複合粒子の原料である強磁性酸化鉄粒子の一種、マグネタイト粒子を製造し、下地処理を実施した。
マグネタイト粒子の製造
撹拌機付きのガラス製反応器に0.5M KOH水溶液160重量部と水 1178重量部を仕込み、撹拌及び窒素雰囲気下0.5M FeSO水溶液102重量部を投入した。90℃まで昇温し、撹拌及び窒素雰囲気下1時間エージング後、2M KNO水溶液160重量部を添加した。その後、撹拌及び窒素雰囲気下90℃で5時間エージングすることでマグネタイト粒子を合成した。冷却後、合成した粒子を純水で洗浄し、マグネタイト粒子を得た。調製したマグネタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。マグネタイト粒子の平均粒子径は約1.1μmであり、粒径は均一で、単一粒子が得られていることがわかる。
下地処理
4.8wt%のマグネタイトスラリーを調製し、超音波ホモジナイザー処理を30分間行った。その後、マグネタイトに対して20wt%のケイ酸ソーダを添加し、再び超音波ホモジナイザー処理を30分間行った。次に、撹拌下でスラリーのpHが7になるまで約2時間かけて0.5M HCl水溶液を滴下し、更に一時間撹拌することで、中和反応を行った。その後、純水で洗浄して、60℃で4時間乾燥し、下地処理されたマグネタイト粒子を得た。
実施例1
以下の方法で、表面にシリカコート層が形成された本発明の磁性複合粒子を製造した。
シリカコート処理
合成例1で得られた下地処理されたマグネタイト粒子に、水、エタノール、及びアンモニアを混合してスラリーを調製し、15分間の超音波分散後、35℃で撹拌下テトラエトキシシラン(TEOS)のエタノール溶液を投入した。この時、投入後のマグネタイト濃度が1wt%になるようにエタノールを追加して調節した。テトラエトキシシランのエタノール溶液投入後、35℃で3時間撹拌しシリカコートを行って、シリカコートマグネタイト粒子を得た。その後、余剰のシリカや未反応物をエタノール及び水で洗浄して除去した。
分散処理
マグネタイト濃度が3wt%になるように、上記シリカコートマグネタイト粒子のスラリーを調製し、レーザー回折・散乱法で測定したシリカコートマグネタイト粒子の粒径分布が殆ど変化しなくなるまで超音波ホモジナイザー処理を実施した。
上記シリカコート処理と分散処理を更に10回繰り返すことで、平均粒子径約1.1μmのマグネタイト粒子へ厚く均一なシリカコート層を形成した磁性複合粒子混合物を得た。調製した単一磁性複合粒子の走査型電子顕微鏡写真を図4、透過型電子顕微鏡写真を図5に示す。シリカコート層の厚みは0.4μm、シリカコート層の厚みのばらつきは8%、単一磁性複合粒子の含有率は80%、単一磁性複合粒子の平均粒子径は約1.9μmで均一な粒径を有し、単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.1であった。以下の表1に、各回のシリカコート処理の原料仕込み量を示す。
Figure 0006428022
実施例2
シリカコート処理と分散処理を13回行った以外は実施例1と同様に磁性複合粒子の調製を行い、平均粒子径約1.1μmのマグネタイト粒子へ厚く均一なシリカコート層を形成した磁性複合粒子混合物を得た。シリカコート層の厚みは0.65μm、シリカコート層の厚みのばらつきは10%、単一磁性複合粒子の含有率は80%、単一磁性複合粒子の平均粒子径は約2.4μm、単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.1であった。以下の表2に、各回のシリカコート処理の原料仕込み量を示す。
Figure 0006428022
合成例2
以下の方法で、本発明の磁性複合粒子の原料である強磁性酸化鉄粒子の一種、マグネタイト粒子を製造し、下地処理を実施した。
マグネタイト粒子の製造
撹拌機付きのガラス製反応器に、0.5M KOH水溶液160重量部と水 1158重量部を仕込み、撹拌及び窒素雰囲気下0.5M FeSO水溶液122重量部を投入した以外は、合成例1と同様にマグネタイト粒子を調製した。マグネタイト粒子の平均粒子径は約0.8μmであった。
下地処理
合成例1と同様に行った。
実施例3
以下の方法で、表面にシリカコート層が形成された本発明の磁性複合粒子を製造した。合成例2で得られた下地処理されたマグネタイト粒子を用い、シリカコート処理時の原料仕込み量を表3に示すように変更し、シリカコート処理と分散処理を9回行った以外は、実施例1と同様に行い、平均粒子径約0.8μmのマグネタイト粒子へ厚く均一なシリカコート層を形成した磁性複合粒子混合物を得た。シリカコート層の厚みは0.3μm、シリカコート層の厚みのばらつきは13%、単一磁性複合粒子の含有率は70%、単一磁性複合粒子の平均粒子径は約1.4μm、単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.1であった。以下の表3に、各回のシリカコート処理の原料仕込み量を示す。
Figure 0006428022
合成例3
以下の方法で、本発明の磁性複合粒子の原料である強磁性酸化鉄粒子の一種、マグネタイト粒子を製造し、下地処理を実施した。
マグネタイト粒子の製造
撹拌機付きのガラス製反応器に0.5M KOH水溶液640重量部と2M KNO水溶液640重量部を仕込み、撹拌及び窒素雰囲気下0.5M FeSO水溶液380重量部を投入した。90℃まで昇温した後、撹拌を停止し、静置及び窒素雰囲気下で5時間エージングすることでマグネタイト粒子を合成した。冷却後、合成した粒子を純水で洗浄し、マグネタイト粒子を得た。マグネタイト粒子の平均粒子径は約0.5μmであった。
下地処理
合成例1と同様に行った。
実施例4
以下の方法で、表面にシリカコート層が形成された本発明の磁性複合粒子を製造した。合成例3で得られた下地処理されたマグネタイト粒子を用い、シリカコート処理時の原料仕込み量を表4に示すように変更し、シリカコート処理と分散処理を8回行った以外は、実施例1と同様に行い、平均粒子径約0.5μmのマグネタイト粒子へ厚く均一なシリカコート層を形成した磁性複合粒子混合物を得た。シリカコート層の厚みは0.15μm、シリカコート層の厚みのばらつきは17%、単一磁性複合粒子の含有率は50%、単一磁性複合粒子の平均粒子径は約0.8μm、単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.1であった。以下の表4に、各回のシリカコート処理の原料仕込み量を示す。
Figure 0006428022
比較例1
合成例3と同様にマグネタイト粒子を製造し、下地処理されたマグネタイト粒子を得た。下地処理された単一マグネタイト粒子の平均粒子径は約0.5μmであり、下地処理によるシリカ層の厚みは0.1μm未満と非常に薄いものであり、厚みのばらつきは測定できなかった。下地処理された単一マグネタイト粒子の含有率は70%、そのアスペクト比は1.1であった。
合成例4
以下の方法で、マグネタイト粒子を製造し、下地処理を実施した。
マグネタイト粒子の製造
撹拌機付きのガラス製反応器に0.5M KOH水溶液640重量部と2M KNO水溶液640重量部を仕込み、撹拌及び窒素雰囲気下0.5M FeSO水溶液376重量部を投入した以外は、合成例3と同様にマグネタイト粒子を調製した。調製したマグネタイト粒子の走査型電子顕微鏡写真を図6に示す。マグネタイト粒子の平均粒子径は約0.3μmで均一な粒径であり、単一粒子が得られていることが明らかである。
下地処理
合成例1と同様に行った。
比較例2
以下の方法で、シリカコート層が形成された磁性複合粒子を製造した。合成例4で得られた下地処理されたマグネタイト粒子を用い、シリカコート処理時の原料仕込み量を表5に示すように変更し、シリカコート処理と分散処理を4回行った以外は、実施例1と同様に行い、平均粒子径約0.3μmのマグネタイト粒子へ厚く均一なシリカコート層を形成した磁性複合粒子混合物を得た。シリカコート層の厚みは0.15μm、シリカコート層の厚みのばらつきは16%、単一磁性複合粒子の含有率は40%、単一磁性複合粒子の平均粒子径は約0.6μm、単一磁性複合粒子のアスペクト比は1.1であった。以下の表5に、各回のシリカコート処理の原料仕込み量を示す。
Figure 0006428022
比較例3
合成例4と同様に製造した約0.3μmマグネタイト粒子を用い、シリカコート処理を行った。このシリカコート処理はシリカコート処理時の原料仕込み量を表6に示すように変更したこと、テトラエトキシシラン投入後のマグネタイト濃度が0.3wt%になるようにエタノールで調節したこと、シリカコート処理と分散処理を繰り返すことなく1回で実施したこと以外は、実施例1と同様に行った。調製した磁性複合粒子混合物の走査型電子顕微鏡写真を図7に示す。単一磁性複合粒子は殆ど無く、シリカコート層の厚みは約0.1μmであり、厚みのばらつきは測定できなかった。シリカコート処理の原料の仕込み量を表6に示す。
Figure 0006428022
実施例5
実施例1〜4および比較例1〜3でそれぞれ得られた磁性複合粒子混合物へ以下の手順でポリマーコート処理を行い、分散性、集磁性、集磁後分散性の評価を行った。
まず、2〜10wt%の磁性複合粒子混合物スラリーを調製して15分間の超音波分散後、末端にアミノ基を持つシランカップリング剤であるN−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン0.2wt%を滴下し、室温で一晩撹拌した。純水で洗浄後、110℃で4時間乾燥することで、アミノ基を導入した磁性複合粒子混合物を得た。
次に、エタノールを溶媒として4wt%のスラリー濃度になるように、アミノ基を導入した磁性複合粒子混合物スラリーを調製し、15分間の超音波分散を実施した。その後、表7に示す量でアクリル酸、EGDMA(エチレングリコールジメタクリラート)、V−65(2,2’−Azobis(2,4−dimethylvaleronitrile))を仕込み、室温で一晩振とうし、振とう下80℃で3時間加温した。冷却後、余剰のポリマー及び未反応物をエタノール及び純水で洗浄して、レーザー回折・散乱法で測定した粒子径分布が変化しなくなるまで超音波ホモジナイザー処理を実施した。この粒子混合物を用いて分散性、集磁性、集磁後分散性の評価を行った。
以下の表7に、実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた磁性複合粒子混合物、及び、各々の磁性複合粒子混合物のポリマーコート処理の原料仕込み量、また、ポリマーコート後の分散性、集磁性、集磁後分散性の評価結果を示す。尚、実施例1〜4及び比較例1〜3の磁性複合粒子混合物において、ポリマーコート処理前後の走査型電子顕微鏡写真から求めた平均粒子径はほぼ同等であった。
Figure 0006428022
表7より、ポリマーコート処理を行った実施例1〜4の磁性複合粒子混合物は、分散性が5分以上、集磁性が30秒以内、集磁後分散性が5分以上であることが確認できた。なお、比較例3の磁性複合粒子混合物は分散性が低かったので、集磁性、集磁後分散性は測定しなかった。
従って、強磁性酸化鉄粒子の平均粒子径が0.5μm〜1.5μmであり、その強磁性酸化鉄粒子の表面に厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層が形成された単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有する磁性複合粒子混合物であれば、優れた分散性、集磁性、集磁後分散性を示すことがわかった。
実施例6
実施例5でポリマーコート処理を行った実施例1〜3の磁性複合粒子混合物へ抗TSH抗体を固定化し、化学発光法による免疫測定を行った(TSH:甲状腺刺激ホルモン)。
(1)磁性複合粒子混合物への抗TSH抗体の固定化
実施例5でポリマーコート処理を行った磁性複合粒子混合物0.01gをポリプロピレン製チューブに入れ、1mLの10mM MES緩衝液(pH6.0)にて3回洗浄し、1mgのN−エチル−N’−(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)を含む10mM MES緩衝液(pH6.0)を1mL添加し、37℃で1時間撹拌した。磁性複合粒子混合物を集磁後、上清を除去し、1mLの10mM MES緩衝液(pH6.0)にて1回洗浄し、0.9mLの10mM MES緩衝液(pH6.0)、100μLの1mg/mLの抗TSH抗体溶液を添加し、37℃で2時間撹拌した。塩化ナトリウム23mgを含む10mM MES緩衝液(pH6.0)1mLにて1回洗浄後、0.1wt%ウシ血清アルブミン(BSA)と0.1wt%アジ化ナトリウムを含んだ1mLの0.1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.0)にて1回洗浄し、同緩衝液中で50℃撹拌下、2時間ブロッキングした。ブロッキング後、同緩衝液にて3回洗浄した。
(2)化学発光法による免疫測定
4mg/mLの抗TSH抗体担持磁性複合粒子混合物懸濁液を10μL、希釈液(5%BSA、5%スクロース、0.1%アジ化ナトリウムを含む50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0))を40μL、TSH標準試料を50μL添加して撹拌し、37℃にて5分間静置して、反応を行なった。150mM NaCl、0.05wt% Tween 20、1mM MgCl、0.1wt%アジ化ナトリウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて洗浄を3回行なった。2.8μg/mLのALP(アルカリホスファターゼ)標識抗TSH抗体を50μL添加し、37℃で3分間反応を行なった。150mM NaCl、0.05wt% Tween 20、1mM MgCl、0.1wt%アジ化ナトリウムを含む10mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を用いて洗浄を8回行なった。0.4mMの特許第4259229号公報に記載のALP用化学発光基質(5−t−ブチル−4,4−ジメチル−1−(3’−ホスホリルオキシ)フェニル−2,6,7−トリオキサビシクロ[3.2.0]へプタンジナトリウム塩)溶液100μLを添加して37℃で5分間反応させてエンドポイント測光し、測定値を求めた。TSH標準試料(0および10μIU/mL)をそれぞれ3回測定し、得られた平均カウント値(cps)を表8に示す。
Figure 0006428022
10μIU/mL標準試料のカウント値は、0μIU/mL標準試料のカウント値に比べ、数百倍と顕著に高値であった。このことから、本発明の磁性複合粒子混合物は粒子表面に生理活性物質を固定化した生理活性物質担持磁性複合粒子混合物として好適に利用できることが確認できた。
1:強磁性酸化鉄粒子
2:シリカコート層
3:磁性複合粒子結合体のネック部

Claims (11)

  1. 平均粒子径が0.5μm〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子の表面に、厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層を有し、前記シリカコート層の厚みのばらつきが30%以下であることを特徴とする単一磁性複合粒子。
  2. 単一磁性複合粒子の平均粒子径が0.7μm〜3.0μmである、請求項に記載の単一磁性複合粒子。
  3. 単一磁性複合粒子のアスペクト比が1.0〜1.3である請求項1又は2に記載の単一磁性複合粒子。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の単一磁性複合粒子、及び、この単一磁性複合粒子の複数個が結合した磁性複合粒子結合体を含有することを特徴とする磁性複合粒子混合物。
  5. 単一磁性複合粒子の含有率が20%以上95%以下である、請求項記載の磁性複合粒子混合物。
  6. 単一磁性複合粒子及び磁性複合粒子結合体のネック部を除く部分のシリカコート層の厚みのばらつきが30%以下である、請求項又は請求項に記載の磁性複合粒子混合物。
  7. 平均粒子径が0.5μm〜1.5μmの強磁性酸化鉄粒子に、シリカコート処理と分散処理を複数回行い、強磁性酸化鉄粒子の表面に厚み0.1μm〜1.5μmのシリカコート層を形成することを特徴とする、請求項1乃至いずれかに記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
  8. シリカコート処理と分散処理を行う回数が3〜20回である、請求項記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
  9. シリカコート処理がシリコンアルコキシドの加水分解により行われる、請求項又は請求項に記載の単一磁性複合粒子の製造方法。
  10. 分散処理が超音波照射下で分散する方法である、請求項乃至のいずれかの請求項に記載の磁性複合粒子の製造方法。
  11. 請求項1乃至のいずれかに記載の単一磁性複合粒子又は請求項乃至いずれかに記載の磁性複合粒子混合物の表面に、生理活性物質が固定化されていることを特徴とする、生理活性物質担持単一磁性複合粒子又は生理活性物質担持磁性複合粒子混合物。
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