以下、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る送信装置10の構成を示すブロック図である。
図1に示す送信装置10は、変調部11と、搬送波発振器12と、第1および第2の電力増幅器としての電力増幅器13−1,13−2と、第1および第2の補償器としての補償器14−1,14−2と、直交合成器15と、ダミー装置16と、電力検出器17と、位相制御器18とを有する。
変調部11は、所定の変調方式により送信対象のデータの変調を行い、変調後の信号(信号波)を電力増幅器13−1,13−2に出力する。
搬送波発振器12は、所定の周波数の搬送波を生成し、電力増幅器13−2および位相制御器18に出力する。
電力増幅器13−1は、変調部11から出力された信号波に基づき、搬送波発振器12から出力され、後述する位相制御器18により位相が制御された搬送波を増幅し、増幅後の信号を、補償器14−1を介して、直交合成器15に出力する。
電力増幅器13−2は、変調部11から出力された信号波に基づき、搬送波発振器12から出力された搬送波を増幅し、増幅後の信号を、補償器14−2を介して、直交合成器15に出力する。
補償器14−1は、電力増幅器13−1と直交合成器15との間に設けられ、位相器として動作する。補償器14−1は、電力増幅器13−1の出力信号が入力される、直交合成器15の入力端から電力増幅器13−1側を見たインピーダンスがゼロ(短絡)となるようなインピーダンスを有する。
補償器14−2は、電力増幅器13−2と直交合成器15との間に設けられ、位相器として動作する。補償器14−2は、電力増幅器13−2の出力信号が入力される、直交合成器15の入力端から電力増幅器13−2側を見たインピーダンスがゼロ(短絡)となるようなインピーダンスを有する。
以下では、電力増幅器13−1,13−2を区別しない場合には、電力増幅器13と称することがある。また、補償器14−1,14−2を区別しない場合には、補償器14と称することがある。
直交合成器15は、電力増幅器13−1の出力信号と電力増幅器13−2の出力信号とを直交合成し、合成後の信号を、送信装置10の出力端とダミー装置16とに出力する合成器である。ここで、直交合成器15は、送信装置10の出力端への出力電力とダミー装置16への出力電力とを、電力増幅器13−1の出力信号の位相と電力増幅器13−2の出力信号の位相とに応じて、調整可能である。
ダミー装置16は、例えば、50Ωの抵抗を有する擬似空中線である。ダミー装置16は、直交合成器15から電力が入力されても、反射電力は生じさせない。
電力検出器17は、直交合成器15から送信装置10の出力端に出力される電力(以下、進行電力と称する)と、送信装置10の出力端で反射された電力(反射電力)とを検出し、検出結果を位相制御器18に出力する。
位相制御器18は、電力検出器17の検出結果に基づき、搬送波発振器12から出力された搬送波の位相を回転させて、電力増幅器13−1に出力する。
なお、図1においては、送信装置10は、変調部11が電力増幅器13−1と電力増幅器13−2とで共用される1つの送信機を有する例を用いて説明したが、これに限られるものではない。
図2は、本実施形態に係る送信装置10の他の構成を示す図である。なお、図2において、図1と同様の構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
図2に示す送信装置10は、2つの送信機TX1,TX2を有する。
送信機TX1は、変調部11−1と、電力増幅器13−1とを有する。また、送信機TX2は、変調部11−2と、電力増幅器13−2とを有する。
このように、送信装置10は、変調部11と、電力増幅器13とからなる送信機TXを2つ有していてもよい。
次に、直交合成器15の構成および動作について図3を参照して説明する。図3においては、送信装置10が2つの送信機TX1,TX2を有するものとして説明する。なお、送信機TX1,TX2は、電力増幅器13−1,13−2と置き換えてもよい。
図3(a)は、直交合成器15の構成を示す図である。
図3(a)に示す直交合成器15は、電磁的に結合されたコイルL1およびコイルL2からなる伝送トランスTと、コンデンサC1,C2と、端子201〜204とを有し、3dBカプラとして動作する。
端子201は、送信機TX1(電力増幅器13−1)と接続され、送信機TX1(電力増幅器13−1)の出力信号が入力される入力端子である。
端子202は、送信機TX2(電力増幅器13−2)と接続され、送信機TX2(電力増幅器13−2)の出力信号が入力される入力端子である。
端子203は、送信装置10の出力端(出力負荷205)が接続された出力端子である。
端子204は、ダミー装置16が接続された出力端子である。
コイルL1は、一端が端子201およびコンデンサC2の一端に接続され、他端が端子203およびコンデンサC1の一端に接続されている。
コイルL2は、一端が端子202およびコンデンサC1の他端に接続され、他端が端子204およびコンデンサC2の他端に接続されている。
コンデンサC1は、一端が端子203およびコイルL1の他端に接続され、他端が端子202およびコイルL2の一端に接続されている。
コンデンサC2は、一端が端子201およびコイルL1の一端に接続され、他端が端子204およびコイルL2の他端に接続されている。
図3(a)において、送信機TX1の出力電圧をe1とし、送信機TX2の出力電圧をe2とする。また、送信機TX1の搬送波の位相は、直交合成器15が出力する合成出力電圧(e1+e2)に対して45°進んでおり、送信機TX2の搬送波の位相は、合成出力電圧に対して45°遅れているものとする。このとき、送信機TX1の出力E1は、e1(1+j)となり、送信機TX2の出力E2は、e2(1−j)となる。
出力負荷205のインピーダンスが50Ωであるとすると、送信機TX1から出力負荷205へ流れる電流は、伝送トランスTを経て、位相が45°遅れる。また、送信機TX2から出力負荷205へ流れる電流は、コンデンサC1,C2を経て、位相が45°進む。したがって、出力負荷205には、送信機TX1から出力された電流と送信機TX2から出力された電流との合成電流が流れ、合成出力電圧(e1+e2)に応じた合成電力が現れる。
一方、送信機TX1からダミー装置16へ流れる電流は、コンデンサC1,C2を経て、位相が45°進む。また、送信機TX2からダミー装置16へ流れる電流は、伝送トランスTを経て、位相が45°遅れる。したがって、ダミー装置16には、送信機TX1から出力された電流と送信機TX2から出力された電流との差動電流が流れ、差動電圧(e1−e2)に応じた差動電力が現れる。
図3(b)は、図3(a)に示す直交合成器15の等価回路である。
図3(b)は、図3(a)に示す直交合成器15の等価回路である。直交合成器15の等価回路は、コイルL1とコイルL2との間にコンデンサC(C1+C2)が設けられた構成となる。出力負荷205のインピーダンスをRとし、コイルL1のインダクタンスをL
1とし、コイルL2のインダクタンスをL
2とし、コンデンサCの静電容量をCとし、搬送波周波数をωとすると、送信機TX1から出力負荷205に流れる電流I
1、送信機TX2から出力負荷205に流れる電流I
2、送信機TX2からダミー装置16に流れる電流I
3、送信機TX1からダミー装置16に流れる電流I
4はそれぞれ、以下の式(1)〜(4)となる。
R=50Ω、ωL1=ωL2=50Ω、1/ωC=50Ωとすると、電流I1=0.02e1、電流I2=0.02e2、I3=−j0.02e2、I4=j0.02e1となる。したがって、出力負荷205の負荷電圧は50Ω×(I1+I2)=e1+e2となり、ダミー装置16の電圧は50Ω×(I3+I4)=e1−e2となる。
直交合成器15においては、送信機TX1の搬送波の位相および送信機TX2の搬送波の位相、すなわち、送信機TX1(電力増幅器13−1)の出力信号の位相および送信機TX2(電力増幅器13−2)の出力信号の位相を制御することで、出力負荷205とダミー装置16とへの直交合成器15の出力電力の分配比を調整することができる。以下では、搬送波の位相制御による直交合成器15の出力電力の分配比の調整について、図4を参照して説明する。
図4(a)では、送信機TX1の搬送波の位相が45°進み、送信機TX2の搬送波の位相が45°遅れている例を示している。この場合、図3(b)で説明したように、出力負荷205には、(e1+e2)に応じた電力が現れる。また、ダミー装置16には、(e1−e2)に応じた電力が現れる。したがって、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、出力負荷205に現れる電力との比は、0.5:0.5:1となる。また、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、ダミー装置16に現れる電力との比は、0.5:0.5:0となる。
図4(b)では、送信機TX1の搬送波の位相が45°遅れ、送信機TX2の搬送波の位相が45°進んでいる例を示している。この場合、出力負荷205には、(e1−e2)に応じた電力が現れる。また、ダミー装置16には、(e1+e2)に応じた電力が現れる。したがって、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、出力負荷205に現れる電力との比は、0.5:0.5:0となる。また、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、ダミー装置16に現れる電力との比は、0.5:0.5:1となる。
図4(c)では、送信機TX1の搬送波の位相と送信機TX2の搬送波の位相とが同相である例を示している。この場合、出力負荷205には、√2×e1に応じた電力が現れる。また、ダミー装置16には、√2×e1に応じた電力が現れる。したがって、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、出力負荷205に現れる電力との比は、0.5:0.5:0.5となる。また、送信機TX1の出力電力と、送信機TX2の出力電力と、ダミー装置16に現れる電力との比は、0.5:0.5:0.5となる。
このように、送信機TX1の搬送波の位相および送信機TX2の位相、すなわち、電力増幅器13−1に入力される搬送波の位相および電力増幅器13−2に入力される搬送波の位相を制御することで、出力負荷205とダミー装置16とへの直交合成器15の出力電力の分配比を制御することができる。その結果、出力負荷205からの反射電力を減少させることができる。
なお、図1,2においては、位相制御器18は、電力増幅器13−1に入力される搬送波の位相のみを制御する例を示しているが、これはあくまでも一例である。位相制御器18は、図4において説明したように、送信機TX1(電力増幅器13−1)の搬送波の位相および送信機TX2(電力増幅器13−2)の位相を制御してもよい。
また、図1および図2においては、送信装置10は、合成器として、直交合成器15を用いる例を用いて説明したが、これに限られるものではない。送信装置10は、合成器として、非特許文献1の図1に示すブリッジドT型出力合成器を有していてもよい。図5は、このような送信装置10の構成を示す図である。なお、図5においては、変調部11については記載を省略している。
図5に示す送信装置10は、図1に示す送信装置10と比較して、直交合成器15をブリッジドT型出力合成器19に変更した点と、補償器14−1,14−2およびダミー装置16を削除した点とが異なる。
ブリッジドT型出力合成器19は、電力増幅器13−1の出力信号と電力増幅器13−2の出力信号とを合成し、合成後の信号を送信装置10の出力端に出力する。ブリッジドT型出力合成器19は、非特許文献1の図1に示すように、吸収抵抗を有している。電力増幅器13−1の出力信号と電力増幅器13−2の出力信号との非平衡成分は、吸収抵抗により吸収される。したがって、電力増幅器13−1の出力信号および電力増幅器13−2の出力信号の位相、すなわち、搬送波の位相を制御することで、送信装置10の出力端への出力電力を制御することができる。
先述したように、従来技術では、直交合成器またはハイブリッド合成器である中波ラットレース回路内の位相を、コイルまたはコンデンサとして可動部品を用いることで、機械的に可変としていた。しかし、コイルまたはコンデンサとして可動部品を用いると、出力負荷のインピーダンス変動への追従に時間を要してしまう。
また、従来技術では、送信装置が備える複数の電力増幅器のうち、動作する電力増幅装置の数を減らすことで、送信装置からの出力電力を低減していた。しかし、動作する電力増幅装置の数を減らすと、変調波の分解能が劣化してしまう。
一方、本実施形態においては、電力増幅器13−1(送信機TX1)および電力増幅器13−2(送信機TX2)の少なくとも一方に入力される搬送波の位相を制御することで、合成器(直交合成器15あるいはブリッジドT型出力合成器19)から送信装置10の出力端への出力電力を制御する。搬送波の位相は電気的に高速に制御することができるので、出力負荷のインピーダンス変動に高速に追従することができる。また、動作する電力増幅器の数を減らす必要が無いので、変調波の分解能の劣化が生じるのを防ぐことができる。
本実施形態においては、直交合成器15をアイソレータとしても動作させることができる。以下では、直交合成器15のアイソレータとしての動作について説明する。
図6は、送信装置10の出力端から逆流する妨害波(同一周波数)に対する直交合成器15のアイソレータとしての動作について説明するための図である。図6においては、説明の便宜上、端子201には送信機TX1に相当する抵抗R1が接続されている。また、端子202には送信機TX2に相当する抵抗R2が接続されている。
送信装置10の出力端に接続された端子203から、進行波と同一周波数で、電圧がEinの妨害波が入力されたとする。この場合、図6(a)に示すように、端子201に接続された抵抗R1には、妨害波に対して位相が45°遅れ、電圧がEin/√2の妨害波電力が伝送される。また、端子202に接続された抵抗R2には、妨害波に対して位相が45°進み、電圧がEin/√2の妨害波電力が伝送される。また、端子204に接続されたダミー装置16には、妨害波に対して位相が90°進んだ妨害波電力と、妨害波に対して位相が90°遅れた妨害波電力とが入力され、結果として、ダミー装置16には、妨害波電力が伝送されない。
ここで、図6(b)に示すように、端子201,202がそれぞれ接地された(短絡状態である)とする。この場合、図6(c)に示す図6(b)の等価回路において、端子201,202には妨害波電力は伝送されず、端子204に接続されるダミー装置16には、妨害波に対して位相が180°反転した妨害波電力が伝送される。このように、端子201,202を短絡状態とすることで、これらの端子には妨害波電力が伝送されるのを防ぐことができる。
そこで、本実施形態においては、図7に示すように、直交合成器15の入力端である端子201と送信機TX1(電力増幅器13−1)との間に補償器14−1を設け、直交合成器15の入力端である端子202と送信機TX2(電力増幅器13−2)との間に補償器14−2を設けている。ここで、各送信機TXの出力端から送信機TXの内部方向を見たインピーダンスは、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)、コイルおよびコンデンサから構成される出力回路のリアクアンス成分となる。
本実施形態においては、補償器14−1のインピーダンスを、送信機TX1(電力増幅器13−1)の出力信号が入力される、直交合成器15の端子201から送信機TX1側を見たインピーダンスZin1がゼロΩ(短絡)となるように調整する。また、補償器14−2のインピーダンスを、送信機TX2(電力増幅器13−2)の出力信号が入力される、直交合成器15の端子202から送信機TX2側を見たインピーダンスZin2がゼロΩ(短絡)となるように調整する。こうすることで、端子201,202が短絡状態となるので、送信機TX側に妨害波電力が伝送されるのを防ぐことができる。このように、直交合成器15の入力端に補償器14−1,14−2を接続し、補償器14−1,14−2のインピーダンスを調整することで、直交合成器15をアイソレータとして動作させることができる。
次に、補償器14の構成について、図8を参照して説明する。
図8(a)は、補償器14の構成を示す図である。
図8(a)に示す補償器14は、コイルL3,L4と、コンデンサC3と、端子301,302とを有する。
端子301は、電力増幅器13と接続される入力端子である。
端子302は、直交合成器15と接続される出力端子である。
コイルL3は、一端が端子301に接続され、他端がコイルL4の一端およびコンデンサC3の一端に接続されている。
コイルL4は、一端がコイルL3の他端およびコンデンサC3の一端に接続され、他端が端子302に接続されている。
コンデンサC3は、一端がコイルL3の他端およびコイルL4の一端に接続され、他端が接地されている。
図8(a)に示す補償器14において、入力端インピーダンスR3(送信機TXの出力インピーダンス)および出力端インピーダンスR4は、直交合成器15の入力インピーダンスと同じ値とする。
図8(b)は、図8(a)に示す補償器14の等価回路である。
図8(b)に示す補償器14は、回路303と回路304とからなる。
回路303は、コイルL3と、コンデンサC4と、抵抗R5とを有する。
コイルL3は、一端が端子301に接続され、他端がコンデンサC4の一端および抵抗R5の一端に接続されている。
コンデンサC4は、一端がコイルL3の他端および抵抗R5の一端に接続され、他端が接地されている。
抵抗R5は、一端がコイルL3の他端およびコンデンサC4の一端に接続され、他端が接地されている。
回路304は、コイルL4と、コンデンサC5と、抵抗R6(=R5)とを有する。
コイルL4は、一端がコンデンサC5の一端および抵抗R6の一端に接続され、他端が端子302に接続されている。
コンデンサC5は、一端がコイルL4の他端および抵抗R6の一端に接続され、他端が接地されている。
抵抗R6は、一端がコイルL4の一端およびコンデンサC5の一端に接続され、他端が接地されている。
回路303による位相回転量をφ
1とし、回路304による位相回転量をφ
2とすると、補償器14全体による位相回転量φは以下の式(5)〜(10)で表わされる。
式(5)〜(10)において、ωは搬送波の各周波数であり、L3,L4は、コイルL3,L4のインダクタンスであり、Xcは、コンデンサC3(C4+C5)の静電容量である。
図8(c)は、端子301を送信機TXに接続し、端子302を直交合成器15に接続した状態を示す図である。
図8(c)において、Z4は、端子302から送信機TX(電力増幅器13)側を見たインピーダンスである。また、Z3は、端子301から送信機TX(電力増幅器13)側を見たインピーダンスである。
ここで、式(5)〜(10)において、R3=R4とし、Z3からZ4(0Ω)となる位相回転量φを得られるL3,L4,Xcを選択する。こうすることで、直交合成器15の入力端から送信機TX側を見たインピーダンスをゼロとすることができる。
次に、電力検出器17の構成および動作について図9を参照して説明する。
図9に示す電力検出器17は、一次側のコイルL5および二次側のコイルL6からなる電流トランスCTと、抵抗R7〜R12と、チョークコイルL7,L8と、ダイオードD1,D2と、コンデンサC6,C7と、端子401,402とを有する。
端子401は、直交合成器15に接続され、直交合成器15の出力信号が入力される入力端子である。端子402は、送信装置10の出力端に接続された出力端子である。
コイルL5は、一端が端子401および抵抗R7の一端に接続され、他端が端子402および抵抗R9の一端に接続されている。
コイルL6は、一端が抵抗R11の一端およびダイオードD1のアノードに接続され、他端が抵抗R12の一端およびダイオードD2のアノードに接続されている。
抵抗R7は、一端が端子401およびコイルL5の一端に接続され、他端が抵抗R8の一端、ダイオードD1のカソードおよびチョークコイルL7の一端に接続されている。
抵抗R8は、一端が抵抗R7の他端、ダイオードD1のカソードおよびチョークコイルL7の一端に接続され、他端が接地されている。
抵抗R9は、一端がコイルL5の他端および端子402に接続され、他端が抵抗R10の一端、ダイオードD2のカソードおよびチョークコイルL8の一端に接続されている。
抵抗R10は、一端が抵抗R9の他端、ダイオードD2のカソードおよびチョークコイルL8の一端に接続され、他端が接地されている。
抵抗R11は、可変抵抗であり、一端がコイルL6の一端およびダイオードD1のアノードに接続され、他端が接地されている。
抵抗R12は、可変抵抗であり、一端がコイルL6の他端およびダイオードD2のアノードに接続され、多端が接地されている。
ダイオードD1は、アノードがコイルL6の一端および抵抗R11の一端に接続され、カソードが抵抗R7の他端、抵抗R8の一端およびチョークコイルL7の一端に接続されている。
ダイオードD2は、アノードがコイルL6の他端および抵抗R12の一端に接続され、カソードが抵抗R9の他端、抵抗R10の一端およびチョークコイルL8の一端に接続されている。
チョークコイルL7は、一端が抵抗R7の他端、抵抗R8の一端およびダイオードD1のカソードに接続され、他端がコンデンサC6の一端に接続されている。
チョークコイルL8は、一端が抵抗R9の他端、抵抗R10の一端およびダイオードD2のカソードに接続され、他端がコンデンサC7の一端に接続されている。
コンデンサC6は、一端がチョークコイルL7の他端に接続され、他端が接地されている。
コンデンサC7は、一端がチョークコイルL8の他端に接続され、他端が接地されている。
図9に示す電力検出器17において、直交合成器15の出力が端子401に入力されると、端子401からコイルL5を介して端子402に、端子401への入力電力に比例する電流I1が流れる。電流I1に応じて、コイルL6には、電流I1に比例し、コイルL6の他端から一端に向かう方向に電流I2が流れる。電流I2に応じて、抵抗R11の両端および抵抗R12の両端には、電流I2に比例し、位相が互いに反転した電圧E11,E12が得られる。
また、端子401への入力電力に比例する電圧を抵抗R7と抵抗R8とで、また、抵抗R9と抵抗R10とでそれぞれ分圧することで、抵抗R8の両端間の電圧E8および抵抗R10の両端間の電圧E10が得られる。
ここで、電圧E8と電圧E11との差をダイオードD1で検波することにより、反射電力に比例した電力(反射電圧)が得られる。また、電圧E10と電力E12との差をダイオードD2で検波することで、進行電力に比例した電圧(進行電圧)が得られる。
反射電圧は、チョークコイルL7により平滑化され、反射電力に比例する直流電圧(電圧Er)が得られる。また、進行電圧は、チョークコイルL8により平滑化され、進行電力に比例する直流電圧(電圧Ef)が得られる。得られた電圧Erおよび電圧Efは、位相制御器18に入力される。
次に、位相制御器18の構成および動作について、図10を参照して説明する。
図10に示す位相制御器18は、反射係数演算器501と、分配器502と、位相調整器503と、抵抗R13〜R21と、ダイオードD3,D4と、比較器A1〜A3とを有する。
反射係数演算器501は、電力検出器17から進行電力に比例する電圧Efおよび反射電力に比例する電圧Erが入力される。反射係数演算器501は、式(11)に基づき、反射係数Γを算出する。そして、反射係数演算器501は、式(12)に基づき、算出した反射係数Γに比例する電圧EΓを出力する。式(12)において、kは比例定数である。
Γ=Er/Ef・・・(11)
EΓ=k・Γ・・・(12)
抵抗R13は、可変抵抗であり、一端が電力検出器17の電圧Efの出力端子に接続され、他端が接地されている。抵抗R13は、電圧Efを分圧した電圧を比較器A1の非反転入力に出力する。
抵抗R14は、一端が比較器A1の出力およびダイオードD3のカソードに接続され、他端が比較器A1の反転入力および抵抗R15の一端に接続されている。
抵抗R15は、一端が抵抗R14の他端および比較器A1の反転入力に接続され、他端が接地されている。
比較器A1は、出力には抵抗R14の一端およびダイオードD3のカソードが接続されている。比較器A1は、非反転入力への入力電圧(電圧Efが抵抗R13により分圧された電圧)と、反転入力への入力電圧(比較器A1の出力電圧が抵抗R14と抵抗R15とで分圧された電圧)とを比較し、比較結果に応じた電圧を出力する。ここで、比較器A1は、比較結果に応じて、出力電圧を−E〜+Eの範囲で変化させる。
ダイオードD3は、カソードが比較器A1の出力および抵抗R14の一端に接続され、他端が比較器A2の非反転入力に接続されている。
抵抗R16は、一端が反射係数演算器501の出力に接続され、他端が接地されている。抵抗R16は、反射係数演算器501から出力された電圧EΓを分圧した電圧を比較器A2の非反転入力に出力する。
抵抗R17は、一端が比較器A2の出力および比較器A3の非反転入力に接続され、他端が比較器A2の反転入力および抵抗R18の一端に接続されている。
抵抗R18は、一端が抵抗R17の他端および比較器A2の反転入力に接続され、他端が接地されている。
比較器A2は、出力には抵抗R17の一端および比較器A3の非反転入力が接続されている。比較器A2は、非反転入力への入力電圧(ダイオードD3の出力電圧と電圧EΓが抵抗R16により分圧された電圧とが加算された電圧)と、反転入力への入力電圧(比較器A2の出力電圧が抵抗R17と抵抗R18とで分圧された電圧)とを比較し、比較結果に応じた電圧を出力する。ここで、比較器A2は、比較結果に応じて、出力電圧を−E〜+Eの範囲で変化させる。
抵抗R19は、可変抵抗であり、一端が+Eの定電圧源に接続され、他端が接地されている。さらに、抵抗R19は、ダイオードD4のアノードに接続されており、電圧Eを分圧した電圧を出力する。
ダイオードD4は、アノードが抵抗R19に接続され、カソードが比較器A3の反転入力、抵抗20の他端および抵抗R21の一端に接続されている。
抵抗R20は、一端が比較器A3の出力に接続され、他端が比較器A3の反転入力、ダイオードD4のカソードおよび抵抗R21の一端に接続されている。
抵抗R21は、一端が比較器A3の反転入力、抵抗R20の他端およびダイオードD4のカソードに接続され、他端が接地されている。
比較器A3は、出力には抵抗R20の一端および位相調整器503が接続されている。比較器A3は、非反転入力への入力電圧(比較器A2の出力電圧)と、反転入力への入力電圧(ダイオードD4の出力電圧と比較器A3の出力電圧が抵抗R20と抵抗R21とで分圧された電圧とが加算された電圧)とを比較し、比較結果に応じた電圧を出力する。ここで、比較器A3は、比較結果に応じて、出力電圧を−E〜+Eの範囲で変化させる。
分配器502は、搬送波発振器12から出力された搬送波を位相調整器503と電力増幅器13−2とに分岐して出力する。
位相調整器503は、比較器A3の出力電圧に応じて、分配器502から出力された搬送波の位相を回転させて、電力増幅器13−1に出力する。ここで、位相調整器503は、例えば、比較器A3の出力電圧が−Eである場合には、搬送波の位相を−90°回転させ、比較器A3の出力電圧が+Eである場合には、搬送波の位相を+90°回転させる。
図10に示す位相制御器18において、比較器A1からは、進行電圧(進行電力)に比例する電圧Efに応じた電圧が出力される。また、反射係数演算器501からは、進行電圧(進行電力)に比例する電圧Efと反射電圧(反射電力)に比例する電圧Erとから算出される反射係数Γに応じた電圧EΓが出力される。比較器A2からは、比較器A1の出力電圧と反射係数演算器501から出力された電圧EΓとが加算された電圧に応じた電圧が出力される。さらに、比較器A3からは、比較器A2の出力電圧と所定値(ダイオードD4の出力電圧と、比較器A3の出力電圧が抵抗R20と抵抗R21とで分圧された電圧とが加算された電圧)との比較結果に応じた電圧が出力される。そして、比較器A3の出力電圧に応じて、位相調整器503により搬送波の位相が制御される。こうすることで、進行電力および反射電力に応じて、搬送波の位相を制御することができる。
なお、本実施形態においては、比較器A1の出力と比較器A2の非反転入力との間にダイオードD3を設けている。ダイオードD3を設けない場合、出力負荷の変動により全反射となると、位相調整により直交合成器15の出力は全てダミー装置16に入力されることになる。
図1,2に示すように、電力検出器17は、送信装置10の出力端での進行電力と反射電力とを検出している。そのため、式(11)、(12)に示すように、進行電力がゼロの場合、反射係数に比例する電圧EΓは全反射時と同じ値を保つことになり、出力負荷が変動しても、直交合成器15の出力は全てダミー装置16に入力されたままとなる。
本実施形態においては、ダイオードD3を設けることで、電圧Efが小さい(ゼロ)場合にも、全反射時のEΓとならない様に制限させた電圧が比較器A2の非反転入力に入力されることになる。そのため、比較器A2の非反転入力への入力が全反射時のEΓに応じた電圧となることが無いので、出力負荷が変動しても、進行電力および反射電力に応じて、送信装置10の出力負荷への給電が可能となる。
なお、図10に示す位相制御器18の構成はあくまでも一例である。また、図10においては、電力増幅器13−1に入力される搬送波の位相を制御する例を用いて説明したが、上述したように、電力増幅器13−1,13−2それぞれに入力される搬送波の位相を制御するようにしてもよい。
このように本実施形態によれば、送信装置10は、合成器から送信装置10の出力端への進行電力と出力端からの反射電力とを検出する電力検出器17と、電力検出器17の検出結果に基づき、電力増幅器の少なくとも一方に入力される搬送波の位相を制御する位相制御器18と、を有する。
搬送波の位相を制御することで、合成器から送信装置10の出力端への出力電力を制御することができるので、反射電力から送信機TXの保護を図ることができる。さらに、搬送波の位相は電気的に高速に制御することができるので、出力負荷のインピーダンス変動に高速に追従することができる。また、動作する電力増幅器の数を減らす必要が無いので、変調波の分解能の劣化が生じるのを防ぐことができる。
また、本実施形態によれば、合成器と電力増幅器13−1との間に補償器14−1が設けられ、合成器と電力増幅器13−2との間に補償器14−2が設けられている。補償器14−1は、合成器の入力端から電力増幅器13−1側を見たインピーダンスがゼロとなるようなインピーダンスを有する。また、補償器14−2は、合成器の入力端から電力増幅器13−2側を見たインピーダンスがゼロとなるようなインピーダンスを有する。
そのため、合成器の入力端子である端子201,202を短絡状態とし、送信機TX側に妨害波電力(同一周波数)が伝送されるのを防ぐことができる。
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各ブロックに含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数のブロックを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。