JP6422337B2 - 発電回路および発電システム - Google Patents

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Description

本発明は、発電回路および発電システム、詳しくは、自動車などの車両に搭載される発電システム、および、その発電システムにおいて採用される発電回路に関する。
従来、自動車エンジンなどの内燃機関や、ボイラー、空調設備などの熱交換器、発電機、モータなどの電動機関、照明などの発光装置などの各種エネルギー利用装置では、例えば、排熱、光などとして、多くの熱エネルギーが放出および損失されている。
近年、省エネルギー化の観点から、放出される熱エネルギーを回収し、エネルギー源として再利用することが要求されている。そのようなシステムとして、具体的には、例えば、温度が経時的に上下する熱源と、その熱源の温度変化に応じて、ピエゾ効果、焦電効果、ゼーベック効果などにより電気分極する第1デバイス(誘電体など)と、第1デバイスから電力を取り出すため、第1デバイスを挟むように対向配置される第2デバイス(電極など)とを備える発電システムが提案されており、さらに、より効率的に発電するために、電圧印加装置によって、第1デバイスの昇温中に第1デバイスに電圧を印加し、また、降温中には電圧の印加を停止することが提案されている。また、その発電システムを自動車などに積載すること、さらには、そのような場合に第1デバイス(誘電体など)を自動車の排ガスが供給される排気管内に配置することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
上記した発電システムでは、得られた電力は、第1デバイスから第2デバイスを介してバッテリーに蓄積され、必要に応じて消費可能とされる。
特開2014−113028号公報
一方、このような発電システムでは、第1デバイス(誘電体など)による発電に際して電圧印加装置が用いられるため、回路外部からの電力投入を必要とするという不具合がある。
そこで、本発明の目的は、外部からの電力投入を不要とし、発電素子から効率よく電力を取り出すことができる発電回路および発電システムを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の発電回路は、温度が経時的に上下されることにより電気分極する発電素子と、前記発電素子から取り出された電力が供給される受電デバイスと、前記発電素子に電圧を印加するための第1コンデンサと、前記第1コンデンサとは別途、前記発電素子に電圧を印加するための第2コンデンサと、前記発電素子、前記受電デバイス、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサを接続する導線と、前記導線を開閉するスイッチとを備え、前記導線は、前記発電素子および前記第1コンデンサが接続され、前記受電デバイスおよび前記第2コンデンサが接続されない第1回路と、前記発電素子および前記第2コンデンサが接続され、前記受電デバイスおよび前記第1コンデンサが接続されない第2回路と、前記発電素子、前記受電デバイスおよび前記第1コンデンサが接続され、前記第2コンデンサが接続されない第3回路と、前記発電素子、前記受電デバイスおよび前記第2コンデンサが接続され、前記第1コンデンサが接続されない第4回路とを構成し、前記スイッチは、前記第1回路および前記第4回路を閉状態とし、かつ、前記第2回路および前記第3回路を開状態とする第1状態と、前記第2回路および前記第3回路を閉状態とし、かつ、前記第1回路および前記第4回路を開状態とする第2状態とを切り替え可能とすることを特徴としている。
また、本発明の発電システムは、上記の発電回路と、前記発電素子の温度を経時的に上下させる熱源と、前記発電素子の温度を検知する温度検知手段と、前記温度検知手段による検知に基づいて、前記スイッチを制御するための制御手段とを備えることを特徴としている。
本発明の発電回路および発電システムによれば、発電ユニットにおいて生じるエネルギーを用いて、発電素子に電圧を印加することができるため、外部からの電力投入を不要とし、発電素子から効率よく電力を取り出すことができる。
図1は、本発明の発電回路の一実施形態の模式図である。 図2は、図1に示す発電回路が採用される発電システムの一実施形態の模式図である。 図3は、図1に示す発電回路において、素子の加熱中の状態を示す模式図である。 図4は、図1に示す発電回路において、素子の冷却開始状態を示す模式図である。 図5は、図1に示す発電回路において、素子の冷却中の状態を示す模式図である。 図6は、図1に示す発電回路において、素子の加熱開始状態を示す模式図である。 図7は、本発明の発電回路の他の実施形態の模式図である。
図1において、発電回路1は、発電ユニット2と、受電ユニット3と、第1蓄電ユニット4と、第2蓄電ユニット5と、それらを接続する導線6と、導線6を開閉し電流の流れを制御するためのスイッチ7を備えている。
発電ユニット2は、発電素子9、および、発電素子9を挟んで対向配置される一対の電極(図示せず)を備えている。なお、図1において、発電素子9は、コンデンサ記号で表記される。
発電素子9は、温度が経時的に上下されることにより電気分極するデバイスである。
ここでいう電気分極とは、結晶の歪みにともなう正負イオンの変位により誘電分極し電位差が生じる現象、例えばピエゾ効果、および/または、温度変化により誘電率が変化し電位差が生じる現象、例えば焦電効果などのように、材料に起電力が発生する現象と定義する。
このような発電素子9として、より具体的には、例えば、ピエゾ効果により電気分極するデバイス、焦電効果により電気分極するデバイスなどが挙げられる。
ピエゾ効果は、応力または歪みが加えられたときに、その応力または歪みの大きさに応じて電気分極する効果(現象)である。
このようなピエゾ効果により電気分極する発電素子としては、特に制限されず、公知のピエゾ素子(圧電素子)を用いることができる。
発電素子9としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定される。固定部材としては、特に制限されず、例えば、電極(図示せず)を用いることもできる。
焦電効果は、例えば、絶縁体(誘電体)などを加熱および冷却する時に、その温度変化に応じて絶縁体が電気分極する効果(現象)であって、第1効果および第2効果を含んでいる。
第1効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により自発分極し、絶縁体の表面に、電荷を生じる効果とされている。
また、第2効果は、絶縁体の加熱時および冷却時において、その温度変化により結晶構造に圧力変形が生じ、結晶構造に加えられる応力または歪みにより、圧電分極を生じる効果(ピエゾ効果、圧電効果)とされている。
このような焦電効果により電気分極するデバイスとしては、特に制限されず、公知の焦電素子を用いることができる。
このような発電素子9として、具体的には、公知の焦電素子(例えば、BaTiO、CaTiO、(CaBi)TiO、BaNdTi14、BaSmTi12、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)など)、公知のピエゾ素子(例えば、水晶(SiO)、酸化亜鉛(ZnO)、ロッシェル塩(酒石酸カリウム−ナトリウム)(KNaC)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:Pb(Zr,Ti)O)、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムテトラボレート(Li)、ランガサイト(LaGaSiO14)、窒化アルミニウム(AlN)、電気石(トルマリン)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)など)、Ca(VO、Ca(VO/Ni、LiNbO、LiNbO/Ni、LiTaO、LiTaO/Ni、Li(Nb0.4Ta0.6)O、Li(Nb0.4Ta0.6)O/Ni、Ca{(Nb,Ta)O、Ca{(Nb,Ta)O/Niなどを用いることができる。
また、発電素子9としては、さらに、LaNbO、LiNbO、KNbO、MgNbO、CaNbO、(K1/2Na1/2)NbO、(K1/2Na1/2)NbO/Ni、(Bi1/21/4Na1/4)NbO、(Sr1/100(K1/2Na1/299/100)NbO、(Ba1/100(K1/2Na1/299/100)NbO、(Li1/10(K1/2Na1/29/10)NbO、SrNaNb15、Sr19/10Ca1/10NaNb15、Sr19/10Ca1/10NaNb15/Ni、BaNaNbO15、BaNb、BaNaNbO15/Ni、BaNb/Niなどの誘電体を用いることもできる。
これら発電素子9は、単独使用または2種類以上併用することができる。
また、発電素子9は、通常、公知の方法によりポーリング処理されて用いられる。
発電素子9のキュリー点は、例えば、−77℃以上、好ましくは、−10℃以上であり、例えば、1300℃以下、好ましくは、900℃以下である。
また、発電素子9(絶縁体(誘電体))の比誘電率は、例えば、1以上、好ましくは、100以上、より好ましくは、2000以上である。
このような発電回路1では、発電素子9(絶縁体(誘電体))の比誘電率が高いほど、エネルギー変換効率が高く、高電圧で電力を取り出すことができるが、発電素子の比誘電率が上記下限未満であれば、エネルギー変換効率が低く、得られる電力の電圧が低くなる場合がある。
なお、発電素子9(絶縁体(誘電体))は、温度変化によって電気分極するが、その電気分極は、電子分極、イオン分極および配向分極のいずれでもよい。
例えば、配向分極によって分極が発現する材料(例えば、液晶材料など)では、その分子構造を変化させることにより、発電効率の向上を図ることができるものと期待されている。
なお、図1において、発電素子9は、加熱時に一方側(紙面左側)の電極が正電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が負電荷を帯びるように電気分極する。
また、発電素子9は、冷却時に一方側(紙面左側)の電極が負電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が静電荷を帯びるように電気分極する。
受電ユニット3は、上記の発電素子9から取り出された電力が供給されるユニットであって、受電デバイスとしての受電コンデンサ10を備えている。
受電コンデンサ10は、発電素子9から取り出された電力を受電し、蓄積するデバイスであって、図示しないダイオードなどを介して、発電素子9に電気的に接続されている。
また、受電ユニット3は、受電コンデンサ10を備えることにより、発電素子9に対して電圧を印加可能とされている。
第1蓄電ユニット4は、発電素子9に電圧を印加するための第1コンデンサ11を備えている。
第1コンデンサ11は、電気回路に採用される公知のコンデンサであって、導線6の第1回路(後述)に介在されるように設けられており、電気エネルギーを蓄積可能とされている。第1コンデンサ11の静電容量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
第2蓄電ユニット5は、第1コンデンサ11とは別途、発電素子9に電圧を印加するための第2コンデンサ12を備えている。
第2コンデンサ12は、電気回路に採用される公知のコンデンサであって、導線6の第2回路(後述)に介在されるように設けられており、電気エネルギーを蓄積可能とされている。第2コンデンサ12の静電容量は、特に制限されず、目的および用途に応じて、適宜設定される。
導線6は、発電素子9、受電コンデンサ10、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12に接続されており、第1回路A、第2回路B、第3回路Cおよび第4回路Dを構成している。
第1回路Aは、発電素子9と第1コンデンサ11とが接続され、かつ、発電素子9と受電コンデンサ10および第2コンデンサ12とが接続されないように、導線6の環状部分に構成される回路である(図1の2点鎖線A参照)。
第2回路Bは、発電素子9と第2コンデンサ12とが接続され、かつ、発電素子9と受電コンデンサ10および第1コンデンサ11とが接続されないように、導線6の環状部分に構成される回路である(図1の2点鎖線B参照)。
第3回路Cは、発電素子9と、受電コンデンサ10および第1コンデンサ11とが接続され、かつ、発電素子9と第2コンデンサ12とが接続されないように、導線6の環状部分に構成される回路である(図1の2点鎖線C参照)。
第4回路Dは、発電素子9と、受電コンデンサ10および第2コンデンサ12とが接続され、かつ、発電素子9と第1コンデンサ11とが接続されないように、導線6の環状部分に構成される回路である(図1の2点鎖線D参照)。
これら第1回路A、第2回路B、第3回路Cおよび第4回路Dは、導線6が一部共用されることにより、構成される。
より具体的には、導線6は、第1共用導線21と、第2共用導線22と、第3共用導線23と、第4共用導線24と、第5共用導線25と、第6共用導線26と、第7共用導線27とを備えている。
第1共用導線21は、受電コンデンサ10と第1コンデンサ11との間を接続するように、配設されている。
第2共用導線22は、第1コンデンサ11と第2コンデンサ12との間を接続するように、配設されている。
第3共用導線23は、第2コンデンサ12と受電コンデンサ10との間を接続するように、配設されている。
第4共用導線24は、第2共用導線22の途中部分から分岐するように設けられ、第2共用導線22の途中部分と、発電素子9との間を接続するように、配設されている。
第5共用導線25は、発電素子9とスイッチ7(後述)との間を接続するように、配設されている。
第6共用導線26は、第1共用導線21の途中部分から分岐するように設けられ、第1共用導線21の途中部分と、スイッチ7(後述)との間を接続するように、配設されている。
第7共用導線27は、第3共用導線23の途中部分から分岐するように設けられ、第3共用導線23の途中部分と、スイッチ7の間を接続するように、配設されている。
そして、図1では、発電素子9の近傍において、第4共用導線24および第5共用導線25が、第1回路A、第2回路B、第3回路Cおよび第4回路Dとして、共用される。
すなわち、第4共用導線24および第5共用導線25は、第1回路Aの一部を構成し、かつ、第2回路Bの一部を構成し、かつ、第3回路Cの一部を構成し、かつ、第4回路Dの一部を構成する。
また、受電コンデンサ10の近傍において、第1共用導線21の一部(具体的には、第6共用導線26の接続部分と受電コンデンサ10との間の領域)と、第3共用導線23の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と受電コンデンサ10との間の領域)とが、第3回路Cおよび第4回路Dとして、共用される。
すなわち、第1共用導線21の一部(具体的には、第6共用導線26の接続部分と受電コンデンサ10との間の領域)と、第3共用導線23の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と受電コンデンサ10との間の領域)とは、第3回路Cの一部を構成し、かつ、第4回路Dの一部を構成する。
また、第1コンデンサ11の近傍において、第1共用導線21の一部(具体的には、第6共用導線26の接続部分と第1コンデンサ11との間の領域)と、第2共用導線22の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と第1コンデンサ11との間の領域)とが、第1回路Aおよび第3回路Cとして、共用される。
すなわち、第1共用導線21の一部(具体的には、第6共用導線26の接続部分と第1コンデンサ11との間の領域)と、第2共用導線22の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と第1コンデンサ11との間の領域)とは、第1回路Aの一部を構成し、かつ、第3回路Cの一部を構成する。
また、第2コンデンサ12の近傍において、第2共用導線22の一部(具体的には、第4共用導線24の接続部分と第2コンデンサ12との間の領域)と、第3共用導線23の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と第2コンデンサ12との間の領域)とが、第2回路Bおよび第4回路Dとして、共用される。
すなわち、第2共用導線22の一部(具体的には、第4共用導線24の接続部分と第2コンデンサ12との間の領域)と、第3共用導線23の一部(具体的には、第7共用導線27の接続部分と第2コンデンサ12との間の領域)とは、第2回路Bの一部を構成し、かつ、第4回路Dの一部を構成する。
さらに、第6共用導線26が、第1回路Aおよび第4回路Dとして共用される。
すなわち、第6共用導線26は、第1回路Aの一部を構成し、かつ、第4回路Dの一部を構成する。
また、第7共用導線27が、第2回路Bおよび第3回路Cとして共用される。
すなわち、第7共用導線27は、第2回路Bの一部を構成し、かつ、第3回路Cの一部を構成する。
スイッチ7は、導線6を開閉し、導線6における電流の流れを制御(方向決定)するためのスイッチであって、第1回路A、第2回路B、第3回路Cおよび第4回路Dに介在されている。
より具体的には、スイッチ7は、第5共用導線25と、第6共用導線26および第7共用導線27との間を選択的に架設(接続)するように、設けられている。
すなわち、スイッチ7は、第5共用導線25および第6共用導線26の間を架設(接続)する第1状態と、第5共用導線25および第7共用導線27の間を架設(接続)する第2状態とを切り替え可能に設けられている。
スイッチ7が第1状態である場合は、スイッチ7は、第5共用導線25および第6共用導線26の間を架設(接続)することにより、第1回路Aおよび第4回路Dを閉状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Dを開状態とする。
また、スイッチ7が第2状態である場合は、第5共用導線25および第7共用導線27の間を架設(接続)することにより、第2回路Bおよび第3回路Cを閉状態とし、かつ、第1回路Aおよび第4回路Dを開状態とする。
このような発電回路1は、以下に示す発電システム31、具体的には、発電素子9から電力を取り出し、その電力を受電ユニット3と、第1蓄電ユニット4および第2蓄電ユニット5とに供給する発電システム31において、好適に用いられる。
図2において、発電システム31は、上記の発電回路1と、その発電回路1中の発電素子9の温度を経時的に上下させる熱源32と、発電素子9の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ33と、温度センサ33の検知に基づいて発電回路1の各スイッチを制御する制御手段としての制御ユニット34とを備えている。なお、図2には、発電回路1を模式的に示している。
熱源32としては、温度が経時的に上下する熱源であれば、特に制限されないが、例えば、内燃機関、発光装置などの各種エネルギー利用装置が挙げられる。
内燃機関は、例えば、車両などの動力を出力する装置であって、例えば、単気筒型または多気筒型が採用されるとともに、その各気筒において、多サイクル方式(例えば、2サイクル方式、4サイクル方式、6サイクル方式など)が採用される。
このような内燃機関では、各気筒において、ピストンの昇降運動が繰り返されており、これにより、例えば、4サイクル方式では、吸気工程、圧縮工程、爆発工程、排気工程などが順次実施され、燃料が燃焼され、動力が出力されている。
このような内燃機関において、排気工程では、高温の排気ガスが、排気ガス管を介して排気され、その排気ガスを熱媒体として熱エネルギーが伝達され、排気ガス管の内部温度が上昇する。
一方、その他の工程(排気工程を除く工程)では、排気ガス管中の排気ガス量が低減されるため、排気ガス管の内部温度は、排気工程に比べて、下降する。
このように、内燃機関の温度は、排気工程において上昇し、吸気工程、圧縮工程および爆発工程において下降し、つまり、経時的に上下する。
とりわけ、上記の各工程は、ピストンサイクルに応じて、周期的に順次繰り返されるため、内燃機関における各気筒の排気ガス管の内部は、上記の各工程の繰り返しの周期に伴って、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
発光装置は、点灯(発光)時には、例えば、赤外線、可視光などの光を熱媒体として、その熱エネルギーにより温度上昇し、一方、消灯時には温度低下する。そのため、発光装置は、経時的に、点灯(発光)および消灯することにより、その温度が経時的に上下する。
とりわけ、例えば、発光装置が、経時的に照明の点灯および消灯が断続的に繰り返される発光装置(明滅(点滅)式の発光装置)である場合には、その発光装置は、点灯(発光)時における光の熱エネルギーにより、周期的に温度変化、より具体的には、高温状態と低温状態とが、周期的に繰り返される。
また、熱源32としては、さらに、例えば、複数の熱源を備え、それら複数の熱源間の切り替えにより、温度変化を生じることもできる。
より具体的には、例えば、熱源として、低温熱源(冷却材など)と、その低温熱源より温度の高い高温熱源(例えば、加熱材など)との2つの熱源を用意し、経時的に、それら低温熱源および高温熱源を、交互に切り替えて用いる形態が挙げられる。
これにより、熱源としての温度を、経時的に上下させることができ、とりわけ、低温熱源および高温熱源の切り替えを、周期的に繰り返すことにより、周期的に温度変化させることができる。
切り替え可能な複数の熱源を備える熱源32としては、特に制限されないが、例えば、燃焼用低温空気供給系、蓄熱式熱交換器、高温ガス排気系、および、供給/排気切替弁を備えた高温空気燃焼炉(例えば、再公表96−5474号公報に記載される高温気体発生装置)、例えば、高温熱源、低温熱源および水素吸蔵合金を用いた海水交換装置(水素吸蔵合金アクチュエータ式海水交換装置)などが挙げられる。
これら熱源32としては、上記熱源を単独使用または2種類以上併用することができる。
熱源32として、好ましくは、経時により周期的に温度変化する熱源が挙げられる。
また、熱源32として、好ましくは、内燃機関が挙げられる。
このような熱源32は、発電素子9を加熱および/または冷却するため、発電素子9に接触または近接配置される。
温度センサ33は、発電素子9の温度を検知するため、発電素子9に近接または接触して設けられる。温度センサ33は、発電素子9の温度として、発電素子9の表面温度を直接検知するか、または、発電素子9の周囲の雰囲気温度を検知する。温度センサ33としては、例えば、赤外放射温度計や、熱電対温度計などの公知の温度センサが用いられる。
制御ユニット34は、発電システム31における電気的な制御を実行するユニット(例えば、ECU:Electronic Control Unit)であり、CPU、ROMおよびRAMなどを備えるマイクロコンピュータで構成されている。
制御ユニット34は、温度センサ33およびスイッチ7に電気的に接続されている(破線参照)。これによって、詳しくは後述するが、上記した温度センサ33によって検知される発電素子9の温度に応じて、スイッチ7を制御し、これにより、発電回路1における各回路(導線6)を開閉可能としている。
また、発電システム31では、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12には、予め、電気エネルギーが蓄積される。
例えば、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12の一方側(紙面上側)の電極が正電荷を帯び、また、他方側(紙面下側)の電極が負電荷を帯びるように、電気エネルギーが蓄積される。
なお、電気エネルギーの蓄積方法は、特に制限されず、例えば、予め外部電源から電気エネルギーが蓄積されていてもよく、また、例えば、発電素子9の電気分極により生じる電気エネルギーが蓄積されていてもよい。
また、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12に蓄積される電気エネルギーの大きさは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
そして、このような発電システム31により発電するには、例えば、まず、熱源32の温度を経時的に上下、好ましくは、周期的に温度変化させ、その熱源32により、発電素子9を、加熱および/または冷却する。
熱源32の温度は、高温状態における温度が、例えば、200〜1200℃、好ましくは、700〜900℃であり、低温状態における温度が、上記の高温状態における温度未満、より具体的には、例えば、100〜800℃、好ましくは、200〜500℃であり、高温状態と低温状態との温度差が、例えば、10〜600℃、好ましくは、20〜500℃である。
また、それら高温状態と低温状態との繰り返し周期は、例えば、10〜400サイクル/秒、好ましくは、30〜100サイクル/秒である。
そして、このような温度変化に応じて、上記した発電素子9を、好ましくは、周期的に電気分極させる。
より具体的には、発電素子9としてピエゾ素子が用いられる場合には、ピエゾ素子は、例えば、その周囲が固定部材により固定され、熱源32に接触するか、または、熱源32の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。そして、ピエゾ素子は、熱源32の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、これにより、膨張または収縮する。このとき、ピエゾ素子は、固定部材により体積膨張が抑制されているため、ピエゾ素子は、固定部材に押圧され、ピエゾ効果(圧電効果)、または、キュリー点付近での相変態により、電気分極する。
また、このようなピエゾ素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定(すなわち、体積一定)になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。そのため、上記したように熱源32が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、ピエゾ素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、ピエゾ素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
また、発電素子として焦電素子が用いられる場合には、焦電素子は、熱源32に接触するか、または、熱源32の熱を伝達する熱媒体(上記した排気ガス、光など)に接触(曝露)されるように配置される。このような場合において、焦電素子は、熱源32の経時的な温度変化により、(場合により熱媒体(上記した排気ガス、光など)を介して)加熱または冷却され、その焦電効果(第1効果および第2効果を含む)により、電気分極する。
また、このような焦電素子は、通常、加熱状態または冷却状態が維持され、その温度が一定になると、電気分極が中和され、その後、冷却または加熱されることにより、再度、電気分極する。そのため、上記したように熱源32が周期的に温度変化し、高温状態と低温状態とが周期的に繰り返される場合などには、焦電素子が周期的に繰り返し加熱および冷却されるため、焦電素子の電気分極およびその中和が、周期的に繰り返される。
このようにして、発電素子9は経時的に温度変化し、その温度変化に応じて、電気分極する。
一方、このような発電システム31では、より効率的に発電するため、発電素子9の温度状態に応じて、発電素子9に電圧を印加することが要求される。
そこで、以下に示すように、制御ユニット34によりスイッチ7を制御し、発電素子9により生じる電力によって、発電素子9に電圧を印加する。
より具体的には、この発電システム31では、例えば、
(1)まず、図3に示すように、発電素子9を加熱し、温度上昇させる。
この発電システム31において、発電素子9が加熱され、温度上昇すると、発電素子9は、一方側(紙面左側)の電極が正電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が負電荷を帯びるように、電気分極する。
そこで、この発電システム31では、制御ユニット34の制御によって、スイッチ7を第1状態とし、第1回路Aおよび第4回路Dを閉状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Dを開状態とする。
これにより、発電素子9により生じた電気エネルギー(焦電電流)が、第4回路Dを介して、紙面右周りの電流として、受電コンデンサ10に供給される(矢印D参照)。
また、これとともに、発電素子9により生じた電気エネルギー(焦電電流)が、第1回路Aを介して、紙面左周りの電流として、第1コンデンサ11に蓄積される(矢印A参照)。
(2)次いで、この発電システム31では、図4に示すように、熱源32の制御により、発電素子9を冷却し、温度低下させる。
このとき、発電素子9は、上記(1)において加熱された影響により、一方側(紙面左側)の電極が正電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が負電荷を帯びるように、電気分極している。
そこで、この発電システム31では、制御ユニット34の制御によって、スイッチ7を第2状態とし、第1回路Aおよび第4回路Dを開状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Cを閉状態とする。
これにより、第2コンデンサ12に蓄積されている電気エネルギーが、第2回路Bを介して、紙面右周りの電流として、発電素子9に供給される(矢印B参照)。また、図示しないが、受電コンデンサ10に蓄積されている電気エネルギーが、第3回路Cを介して、発電素子9に供給される。すなわち、発電素子9に、電圧が印加される。
(3)次いで、この発電システム31では、図5に示すように、上記(2)から引き続いて、発電素子9を冷却する。
この発電システム31において、発電素子9が冷却され、温度低下する場合には、発電素子9は、一方側(紙面左側)の電極が負電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が静電荷を帯びるように、電気分極する。
そこで、この発電システム31では、上記(2)から引き続いて、スイッチ7を第2状態とし、第1回路Aおよび第4回路Dを開状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Cを閉状態とする。
これにより、発電素子9により生じた電気エネルギー(焦電電流)が、第3回路Cを介して、紙面右周りの電流として、受電コンデンサ10に供給される(矢印C参照)。
また、これとともに、発電素子9により生じた電気エネルギー(焦電電流)が、第2回路Bを介して、紙面左周りの電流として、第2コンデンサ12に蓄積される(矢印B参照)。
(4)次いで、この発電システム31では、図6に示すように、熱源32の制御により、発電素子9を加熱し、温度上昇させる。
このとき、発電素子9は、上記(3)において冷却された影響により、一方側(紙面左側)の電極が負電荷を帯び、他方側(紙面右側)の電極が静電荷を帯びるように、電気分極している。
そこで、この発電システム31では、制御ユニット34の制御によって、スイッチ7を第1状態とし、第1回路Aおよび第4回路Dを閉状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Cを開状態とする。
これにより、第1コンデンサ11に蓄積されている電気エネルギーが、第1回路Aを介して、紙面右周りの電流として、発電素子9に供給される(矢印A参照)。また、図示しないが、受電コンデンサ10に蓄積されている電気エネルギーが、第4回路Dを介して、発電素子9に供給される。すなわち、発電素子9に、電圧が印加される。
(5)その後、上記(4)から引き続き発電素子9を加熱する場合には、上記(1)で示すように、制御ユニット34の制御によって、スイッチ7を第1状態とし、第1回路Aおよび第4回路Dを閉状態とし、かつ、第2回路Bおよび第3回路Dを開状態とする。このようにして、上記(1)〜(4)の処理が、繰り返され、発電素子9から電力が取り出され、その電力が受電コンデンサ10(受電ユニット3)に供給される。
このような発電回路1および発電システム31によれば、発電ユニット2において生じるエネルギーを用いて、発電素子9に電圧を印加することができるため、外部からの電力投入を不要とし、発電素子9から効率よく電力を取り出すことができる。
また、通常、発電システム31において、発電素子9に過剰な電圧を印加すると、発電素子9に損傷を生じる場合がある。これに対して、上記の発電システム31では、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12によって発電素子9に電圧が印加される。そのため、それら第1コンデンサ11および第2コンデンサ12の静電容量を選択および設計することによって、印加される電圧を選択および設計することができる。その結果、発電素子9に過剰な電圧が印加させることを抑制することができ、発電素子9の損傷を抑制することができる。とりわけ、第1コンデンサ11および第2コンデンサ12として、互いに異なる静電容量のコンデンサを選択できるため、発電素子9の加熱時に印加される電圧と、発電素子9の冷却時に印加される電圧とを、個別に設計することができ、発電素子9に過剰な電圧が印加させることを抑制することができ、発電素子9の損傷を抑制することができる。
そのため、このような発電システム31は、特に制限されないが、例えば、自動車などに搭載される。このような場合、発電素子9は、例えば、自動車のエキゾーストマニホールドにおける分岐管の内部または表面などに配置され、自動車のエンジンおよび排ガスが、熱源32として用いられる。そして、エンジンの燃焼サイクルに応じて排ガスの温度が経時的に上下され、発電素子9が加熱および/または冷却され、上記の発電システム31により発電される。得られる電力は、バッテリーに蓄積されてもよく、また、例えば、ヘッドライトなどの電気負荷装置に用いられてもよく、さらには、自動車の動力として用いられてもよい。
なお、上記した説明では、受電ユニット3は、発電素子9により生じた電力を受電する受電デバイスとして、コンデンサ(受電コンデンサ10)を備えているが、発電素子9により生じた電力が蓄積または利用されるデバイスであれば、特に制限されず、受電コンデンサ10に代替して、バッテリーなどの蓄電デバイスや、灯火装置などの電気負荷デバイスなどを備えることもできる。また、図示しないが、発電回路1には、必要により、任意の場所に、例えば、昇圧器、電圧変換器、インダクタなどの公知の電気デバイスを介在させることもできる。
また、導線6の構成は、上記に限定されず、例えば、図7に示すように、第1回路A、第2回路B、第3回路Cおよび第4回路Dが、それぞれが独立して構成されるように、複数の導線6を備えていてもよい。
図7において、導線6は、第1回路Aを構成する第1独立導線41と、第2回路Bを構成する第2独立導線42と、第3回路Cを構成する第3独立導線43と、第4回路Dを構成する第4独立導線44とを備えている。
第1独立導線41は、発電素子9および第1コンデンサ11が介在(接続)され、かつ、受電コンデンサ10および第2コンデンサ12が介在(接続)されない環状導線として設けられている。
第2独立導線42は、発電素子9および第2コンデンサ12が介在(接続)され、かつ、受電コンデンサ10および第1コンデンサ11が介在(接続)されない環状導線として設けられている。
第3独立導線43は、発電素子9、受電コンデンサ10および第1コンデンサ11が介在(接続)され、かつ、第2コンデンサ12が介在(接続)されない環状導線として設けられている。
第4独立導線44は、発電素子9、受電コンデンサ10および第2コンデンサ12が介在(接続)され、かつ、第1コンデンサ11が介在(接続)されない環状導線として設けられている。
また、このような場合、スイッチ7は、第1独立導線41、第2独立導線42、第3独立導線43および第4独立導線44のそれぞれに、個別に設けられる。
このような発電システム31によっても、発電ユニット2において生じるエネルギーを用いて、発電素子9に電圧を印加することができるため、外部からの電力投入を不要とし、発電素子9から効率よく電力を取り出すことができる。
1 発電回路
6 回路
7 スイッチ
9 発電素子
10 受電コンデンサ
11 第1コンデンサ
12 第2コンデンサ
A 第1回路
B 第2回路
C 第3回路
D 第4回路

Claims (2)

  1. 温度が経時的に上下されることにより電気分極する発電素子と、
    前記発電素子から取り出された電力が供給される受電デバイスと、
    前記発電素子に電圧を印加するための第1コンデンサと、
    前記第1コンデンサとは別途、前記発電素子に電圧を印加するための第2コンデンサと、
    前記発電素子、前記受電デバイス、前記第1コンデンサおよび前記第2コンデンサを接続する導線と、
    前記導線を開閉するスイッチとを備え、
    前記導線は、
    前記発電素子および前記第1コンデンサが接続され、前記受電デバイスおよび前記第2コンデンサが接続されない第1回路と、
    前記発電素子および前記第2コンデンサが接続され、前記受電デバイスおよび前記第1コンデンサが接続されない第2回路と、
    前記発電素子、前記受電デバイスおよび前記第1コンデンサが接続され、前記第2コンデンサが接続されない第3回路と、
    前記発電素子、前記受電デバイスおよび前記第2コンデンサが接続され、前記第1コンデンサが接続されない第4回路と
    を構成し、
    前記スイッチは、
    前記第1回路および前記第4回路を閉状態とし、かつ、
    前記第2回路および前記第3回路を開状態とする第1状態と、
    前記第2回路および前記第3回路を閉状態とし、かつ、
    前記第1回路および前記第4回路を開状態とする第2状態と
    を切り替え可能とする
    ことを特徴とする、発電回路。
  2. 請求項1に記載の発電回路と、
    前記発電素子の温度を経時的に上下させる熱源と、
    前記発電素子の温度を検知する温度検知手段と、
    前記温度検知手段による検知に基づいて、前記スイッチを制御するための制御手段とを備えることを特徴とする、発電システム。
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