発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、図面は、実施形態の説明のため、実際の寸法、形状と適宜変更して示している。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。図2は、図1の前側転がり軸受部および後側転がり軸受部の近傍を拡大して示す部分拡大断面図である。図3は、第1の実施形態の非定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。図4は、図3の前側転がり軸受部および後側転がり軸受部の近傍を拡大して示す部分拡大断面図である。図5は、図1のA−A線で切断して矢印方向から見たときの回転機構の平面図である。図1から図4は、回転機構1の回転中心軸AXを含み、かつ回転中心軸AXと平行な平面で回転機構1を切った断面を示している。なお、本実施形態において、軸方向とは、回転中心軸AXと平行な方向である。
本実施形態の回転機構1は、回転を伝達する機械要素である。回転機構1は、例えば、真空環境、減圧環境、プロセスガス充填環境等の環境下で使用される工作機械、搬送装置、半導体製造装置等に適用される。
図1に示すように、回転機構1は、ハウジング20と、ハウジング20に挿通される軸部材10と、軸部材10を回転可能に支持する前側転がり軸受部(第1の転がり軸受部)50及び後側転がり軸受部(第2の転がり軸受部)51と、後側転がり軸受部51の外輪43bに軸方向の荷重を加える押圧機構としての密閉空間75を有する。
ハウジング20は、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51を収容する部材である。本実施形態において、ハウジング20は、前側転がり軸受部50を収容する第1の胴部20aと、後側転がり軸受部51を収容する第2の胴部20bとを有する。第1の胴部20aおよび第2の胴部20bは、筒状の部材であり、軸方向に連続して設けられる。ハウジング20は、第2の胴部20bの軸方向後側(第1の胴部20aと反対側)に底部20cを有する。底部20cは、第2の胴部20bよりも径方向の内方に延びる平板状の部材であり、第2の胴部20bと一体に設けられる。また、ハウジング20は、第1の胴部20aの上方にハウジングフランジ部22を有する。ハウジングフランジ部22は、第1の胴部20aの径方向の外方に延びる平板状の部材であり、第1の胴部20aにボルト25で固定される。
ハウジングフランジ部22は、例えば半導体製造装置等の筐体18にボルト26で締結される。ハウジングフランジ部22と筐体18とを締結することで、ハウジング20が筐体18に固定される。図5に示すように、ハウジングフランジ部22は平面視円形であるが、これに限定されず適宜変更することができる。図1および図5に示すように、ハウジングフランジ部22は、筐体18と重なり合う部分に環状の溝を有している。この環状溝にOリング(環状シール)95がはめ込まれて、ハウジングフランジ部22と筐体18との間がシールされる。
図1に示すように、ハウジングフランジ部22、第1の胴部20a、第2の胴部20b、底部20cは、軸方向に貫通する貫通孔22c、20f、20g、20hをそれぞれ有している。軸部材10は、回転機構1の出力軸(主軸)であり、貫通孔22c、20f、20g、20hを通ってハウジング20に挿通されている。軸部材10は、一方向に延びる棒状の部材であり、中実状の部材でもよく、中空状の部材でもよい。軸部材10として、例えば、外周面にネジ溝が形成されたボールねじ軸などのねじ軸や、内部に液体または気体の流通路を有する中空管等を用いることができる。
軸部材10の一端部は、第1の固定部12を介して回転部33が接続されており、第1の固定部12および回転部33はボルト35によって軸部材10に固定される。軸部材10と第1の固定部12との接続面は、軸部材10の環状溝にはめ込まれたOリング(環状シール)92によってシールされている。同様に、第1の固定部12と回転部33との接続面は、第1の固定部12の環状溝にはめ込まれたOリング(環状シール)91によってシールされている。第1の固定部12は、ハウジングフランジ部22の貫通孔22c内に配置されており、回転部33は、第1の固定部12を覆うとともに、ハウジングフランジ部22の一部と重なって配置される。
回転部33は、平面視で円盤状の板部材であり、軸部材10の軸方向と交差する方向(径方向)に延出する。回転部33は、軸部材10に固定され、軸部材10とともに回転する。回転部33の軸部材10と反対側の面が、例えば半導体製造装置等の雰囲気ガス中に配置され、ワーク等が載置される。図1に示すように、ハウジングフランジ部22の軸方向前側の面(第1の胴部20aと反対側の面)と、回転部33の軸方向後側の面(軸部材10側の面)とが対向する。なお、本実施形態において、「前側」とは軸方向において回転部33側を示し、「後側」とは、回転部33と反対側、すなわちハウジング20の底部20c側を示す。
図2に示すように、回転機構1の定常状態において、回転部33のシール面33aと、ハウジングフランジ部22のシール面22dとが、微小隙間W1を有して対面している。シール面33aは、回転部33の軸方向の後側の面であり、シール面22dは、ハウジングフランジ部22の軸方向の前側の面である。また、ハウジングフランジ部22に複数の排気溝22a、22bが設けられており、複数の排気溝22a、22bは回転部33と重なる位置に配置されている。なお、図5に示すように、排気溝22a、22bは、回転中心軸AXを中心とした環状の溝である。排気溝の本数や形状は、これに限定されず、種々の形状に変更可能である。
図1に示すように、排気溝22aには排気ポンプ72が接続され、排気溝22bには排気ポンプ71が接続されている。排気ポンプ71、72によって、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1の気体が排気される。これによって、回転部33のシール面33aとハウジングフランジ部22のシール面22dとの間が非接触の状態でシールされ、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1が、差動排気シール90としての機能を有する。
本実施形態において差動排気シール90とは、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1の気体を排気することにより、回転部33とハウジングフランジ部22とが非接触の状態で、回転部33とハウジングフランジ部22との対向面を挟む両側の雰囲気(例えば高真空と大気圧)を一定の状態に保つように機能するものをいう。また、本実施形態において「定常状態」とは、回転部33のシール面33aとハウジングフランジ部22のシール面22dとの間の微小隙間が維持されて、差動排気シール90によってシールされている状態を示す。「定常状態」は、軸部材10および回転部33が回転している状態と、停止している状態との両方を含む。
図1及び図2に示すように、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51は、軸部材10を回転可能に支持する。前側転がり軸受部50と後側転がり軸受部51とは、軸方向に隣り合って配置されており、前側転がり軸受部50は軸方向前側(回転部33側)に配置され、後側転がり軸受部51は、前側転がり軸受部50に対して軸方向後側(回転部33と反対側)に配置される。前側転がり軸受部50は、第1の転がり軸受41と第2の転がり軸受42を有する。第1の転がり軸受41と第2の転がり軸受42とは、軸方向に隣り合っており、例えば、背面組み合わせ(DB組み合わせ)で配置される。後側転がり軸受部51は、第3の転がり軸受43を有する。
第1の転がり軸受41、第2の転がり軸受42および第3の転がり軸受43は、例えば、アンギュラ玉軸受である。第1の転がり軸受41は、内輪41aと、外輪41bと、転動体41cとを有する。第2の転がり軸受42は、内輪42aと、外輪42bと、転動体42cとを有する。第3の転がり軸受43は、内輪43aと、外輪43bと、転動体43cとを有する。
ハウジングフランジ部22の貫通孔22cの内壁は、第1の胴部20aの貫通孔20fの内壁よりも径方向の内側に位置している。また、第2の胴部20bは、上端において第2の胴部20bの貫通孔20gの内壁から径方向に突出する突出部20dを有する。前側転がり軸受部50の外輪41bおよび外輪42bは、ハウジングフランジ部22と突出部20dとの間に挟み込まれて、ハウジング20に固定される。外輪41bおよび外輪42bの軸方向の位置は、ハウジングフランジ部22と突出部20dとで固定される。
上述したように、軸部材10の上端には、第1の固定部12が接続されている。第1の固定部12は、軸部材10よりも大きい直径を有しており、軸部材10の外周よりも径方向の外側に延びている。また、軸部材10は、後側転がり軸受部51の下方に第2の固定部14を有する。第2の固定部14は、軸部材10の外周よりも外側に突出する鍔状の部材であり、軸部材10と一体に回転する。前側転がり軸受部50の内輪41a、内輪42aおよび後側転がり軸受部51の内輪43aは、第1の固定部12と第2の固定部14との間に挟み込まれて、軸部材10に固定される。また、内輪42aと内輪43aとの間には内輪スペーサ54が設けられている。
後側転がり軸受部51の外輪43bは、第2の胴部20bの貫通孔20gの内壁に対して微小なクリアランス(図1及び図2には図示しない)を有して配置されている。また、外輪43bは、第2の胴部20bの突出部20dに対して軸方向に空間を設けて配置されている。すなわち、外輪43bは、ハウジング20に対して軸方向に移動可能となっている。
次に、本実施形態の回転機構1の定常状態において、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1を設ける構成について説明する。図2に示すように、第2の胴部20bには、外輪スペーサ52が収納されている。外輪スペーサ52は、後側転がり軸受部51に対して軸方向後側(前側転がり軸受部50と反対側)に配置されている。外輪スペーサ52は、第1の円筒部52aと第2の円筒部52bとを有している。第2の円筒部52bの内壁には環状溝が設けられて、この環状溝にOリング93がはめ込まれており、外輪スペーサ52と軸部材10との間はOリング93によってシールされる。また、第1の円筒部52aは、第2の円筒部52bよりも径方向の厚さが薄く、第2の円筒部52bの外縁において軸方向に突出する。第1の円筒部52aは、後側転がり軸受部51の外輪43bと対向する。
図1に示すように、ハウジング20の底部20cは貫通孔20hを有している。貫通孔20hの内壁には環状溝が設けられて、この環状溝にOリング94がはめ込まれる。底部20cと軸部材10との間は、Oリング94によってシールされる。図1に示すように、軸部材10、第2の胴部20b、外輪スペーサ52、および底部20cによって囲まれた空間が密閉空間75となる。密閉空間75には、圧力調整部74が接続されている。圧力調整部74は、高圧ガス供給部74aから圧力調整弁74bを介して高圧ガスを密閉空間75に供給し、また、密閉空間75のガスを圧力調整弁74bから排出する。これにより、密閉空間75の圧力が変更可能となっている。高圧ガス供給部74aは、高圧の空気や、窒素ガス等の高圧ガスを供給する。図1に示すように、圧力調整部74は制御部70により制御されて、密閉空間75の圧力を変更する。
本実施形態の回転機構1の定常状態において、密閉空間75の圧力が、ハウジング20の前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51が設けられた空間の圧力よりも大きくなるように維持されている。これにより、後側転がり軸受部51の外輪43bは、外輪スペーサ52の第1の円筒部52aにより軸方向前側に向かう荷重が加えられる。つまり、本実施形態において、密閉空間75と、密閉空間75の圧力を調整する圧力調整部74とは、後側転がり軸受部51に軸方向の荷重を加える押圧機構としての機能を有する。
上述のように、後側転がり軸受部51の外輪43bは、ハウジング20に固定されておらず、軸方向に移動可能である。そのため、外輪43bが外輪スペーサ52から軸方向の荷重を受けると、軸方向前側(回転部33側)に向かって変位する。外輪43bが軸方向前側に変位すると、転動体43cも外輪43bに追随して軸方向に変位する。そして、転動体43cの変位に伴って内輪43aにも軸方向の荷重が加えられる。ここで、転動体43cと内輪43aとの接触面と、転動体43cと外輪43bとの接触面との間で反力が生じる。このため、密閉空間75からの軸方向の荷重と、反力とがつり合う位置で内輪43aおよび外輪43bが停止する。後側転がり軸受部51は、軸方向の力を加えるとあたかも弾性体のように振る舞う。なお、前側転がり軸受部50は、第1の転がり軸受41と第2の転がり軸受42の2つの軸受を有しているが、後側転がり軸受部51と同様に全体として弾性体のように振る舞う。
密閉空間75からの軸方向の荷重により、後側転がり軸受部51の外輪43b、転動体43cを介して、内輪43aに軸方向の前側に向かう荷重が加えられ、内輪43aは軸方向前側に変位する。前側転がり軸受部50の内輪41aおよび内輪42aは、内輪スペーサ54を介して、内輪43aと隣り合って固定されているため、内輪43aの変位に伴って内輪41aおよび内輪42aも軸方向に変位する。内輪41a、内輪42a、内輪43aは、前側転がり軸受部50の反力および後側転がり軸受部51の反力との合計と、密閉空間75からの荷重がつり合う位置で停止する。
内輪41aの上端に第1の固定部12が当接しているため、内輪41a、内輪42a、内輪43aの変位に伴い、第1の固定部12、軸部材10および回転部33が軸方向に変位する。これにより、図2に示すように、回転機構1の定常状態において、回転部33のシール面33aとハウジングフランジ部22のシール面22dとの間に微小隙間W1が設けられ、差動排気シール90により回転部33とハウジングフランジ部22との間が非接触の状態でシールされる。
本実施形態において、定常状態の回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1は、差動排気シール90に求められるシール性能により、数μm〜数10μmに適宜設定される。また、ハウジングフランジ部22の排気溝22a、22bの数も、適宜変更することが可能である。
次に、本実施形態の回転機構1の非定常状態における、回転部33とハウジングフランジ部22との間の隙間を小さくする構成について説明する。本実施形態において、「非定常状態」とは、排気ポンプ71、72の故障が発生した場合や、排気ポンプ71、72と排気溝22a、22bとを接続する配管系にリークが発生した場合、電源系統に異常が発生した場合等、差動排気シール90のシール性能を発揮できなくなる状態をいう。また、「非定常状態」は、軸部材10および回転部33の回転駆動が停止している状態、または、静止に近い状態である。
非定常状態において、図3に示すように、排気ポンプ71、72の非常停止等の異常を検出部73が検知し、検出部73は、異常信号を制御部70に出力する。制御部70は、異常信号を受け取った場合、排気弁71a、72aを閉じて、排気ポンプ71、72と排気溝22a、22bとの間を遮断する。さらに、圧力調整弁74bを調整して、圧力調整部74からの高圧ガスを遮断するとともに、密閉空間75内の気体を排出する。これにより、密閉空間75の圧力が減少し、密閉空間75からの軸方向の荷重が低減され、または、軸方向の荷重が発生しない状態となる。
これにより、後側転がり軸受部51の外輪43bに荷重が加えられなくなり、外輪43bは軸方向後側に変位する。これに伴って、前側転がり軸受部50の内輪41a、内輪42aおよび後側転がり軸受部51の内輪43aは、軸方向後側、つまり定常状態の変位方向と反対側の方向に変位する。よって、図4に示すように、回転部33のシール面33aとハウジングフランジ部22のシール面22dとの間の微小隙間W2が小さくなる。これにより、差動排気シール90の異常が発生した場合でも、回転部33のシール面33aとハウジングフランジ部22のシール面22dとの間のシール性能の低下が抑制される。
本実施形態の押圧機構は、密閉空間75の圧力で後側転がり軸受部51の外輪43bに荷重を加える。したがって、外輪43bの外周に沿って均一に荷重が加えられるため、微小空間W1、W2の大きさが、回転部33の外周に沿って均一となる。したがって、定常状態において差動排気シール90のシール性能が向上し、また、非定常状態において回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間が確実に小さくなる。
また、密閉空間75の圧力を精度よく制御することにより、定常状態の微小隙間W1および非定常状態の微小隙間W2を精度よく維持することができる。例えば、ハウジング20内に、密閉空間75とは別の密閉空間を追加して、複数の密閉空間を多段に接続することができる。これにより、圧力調整部74からの高圧ガスの圧力が、段階的に調整されて密閉空間75に導入され、密閉空間75の圧力変化が緩やかになるため、圧力制御の精度が向上する。したがって、定常状態の微小隙間W1が精度よく維持される。または、圧力調整弁74bに排気タンク(図示しない)を接続することにより、密閉空間75内の気体を排出する際に、密閉空間75内の圧力変化が緩やかになる。これにより、非定常状態の微小隙間W2が精度よく維持される。
なお、本実施形態において、検出部73は排気ポンプ71、72の異常停止を検出しているがこれに限定するものではない。例えば、ハウジングフランジ部22の排気溝22a、22bの真空度の値から差動排気シール90の異常を検出するものや、電源系統(図示しない)の出力電圧値から差動排気シール90の異常を検出するものであってもよい。また、複数の検出部を組み合わせてもよい。
図6は、転がり軸受の剛性の定義を説明するための説明図である。図6上図は、初期状態の転がり軸受部RB1を示し、図6下図は、外輪ORに軸方向の力F0を作用させて外輪ORを内輪IRに対して軸方向にX0だけ相対変位させた状態を示す。転動体Bは、外輪ORの内周面に設けられた軌道面ORaと、内輪IRの外周面に設けられた軌道面IRaと、に接する。外輪ORを軸方向に変位させると、転動体Bも外輪ORの変位に追随して軸方向に変位する。しかし、転動体Bと軌道面ORaおよび軌道面IRaとの間で反力が生じるため、この反力と力F0とが釣り合う位置で転動体Bおよび外輪ORが停止する。力F0を取り除くと、反力によって転動体Bおよび外輪ORは元の位置に戻る。
転がり軸受部RB1は、軸方向の力F0を加えると、あたかも弾性体のような振る舞いをする。そのため、本実施形態では、外輪ORと内輪IRとが軸方向に相対変位したときに、この相対変位量を「変形量」といい、転がり軸受部RB1に発生する反力を「弾性力」といい、単位変形量あたりの力(転がり軸受部RB1に作用させる軸方向の力:せん断力)の大きさを「剛性」という。図6の例では、力F0を相対変位量X0で除算した値F0/X0が転がり軸受部RB1の剛性である。転がり軸受部の剛性とは、外輪と内輪とを軸方向に相対変位させる場合の相対変位のし難さを意味する。
剛性は、転がり軸受部の接触角や転がり軸受部を構成する転がり軸受の数によって変化する。図6に示すように、軸部材の中心軸を含む断面において、転動体Bが内輪IRの軌道面IRaと接触する箇所を第1の点C1とし、転動体Bが外輪ORの軌道面ORaと接触する箇所を第2の点C2とする。接触角は、第1の点C1と第2の点C2を結ぶ直線が、軸部材の中心軸と直交する直線に対してなす角度θである。剛性は、接触角θが大きいほど大きい。剛性は、転がり軸受部を構成する転がり軸受の数が多いほど大きい。図6上図に示す初期状態の転がり軸受部RB1の接触角は角度θaであり、図6下図に示す外輪ORを軸方向にX0だけ変位させたときの接触角はθbである。外輪ORを変位させたとき、接触角θbは初期状態の接触角θaよりも大きくなり、外輪ORを軸方向にX0だけ変位させたときの転がり軸受部RB1の剛性が大きくなる。
本実施形態において、前側転がり軸受部50と後側転がり軸受部51とを用いて軸部材10を軸方向に変位させている。前側転がり軸受部50と後側転がり軸受部51との剛性を異ならせることにより、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位量を変更することができる。
以上のように、本実施形態の回転機構1は、ハウジング20と、ハウジング20に挿通される軸部材10と、軸部材10に固定され、軸部材の軸方向と交差する方向に延出してハウジング20の軸方向の面と対面する回転部33と、ハウジング20と回転部33との間の隙間をシールする差動排気シール90と、軸部材10を回転可能に支持する前側転がり軸受部(第1の転がり軸受部)50と、前側転がり軸受部(第1の転がり軸受部)50に対して回転部33の反対側に隣り合う後側転がり軸受部(第2の転がり軸受部)51と、回転部33に向かう軸方向の荷重を後側転がり軸受部(第2の転がり軸受部)51の外輪43bに加えて、後側転がり軸受部(第2の転がり軸受部)51および前側転がり軸受部(第1の転がり軸受部)50を介して軸部材10を軸方向に変位させて、ハウジング20と回転部33との間の隙間を設ける押圧機構とを有する。
また、本実施形態の回転機構1は、押圧機構が停止した場合、軸部材10が、後側転がり軸受部(第2の転がり軸受部)51および前側転がり軸受部(第1の転がり軸受部)50とともに軸方向10に変位し、ハウジング20と回転部33との間の隙間が小さくなる。
これによれば、回転機構1が定常状態で動作している場合に、押圧機構が、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51を介して軸部材10を変位させて、ハウジング20と回転部33との間に微小隙間W1が設けられる。これにより、ハウジング20と回転部33との間が差動排気シール90でシールされる。また、回転機構1が非定常状態の場合、すなわち、差動排気シール90の排気系や電源系統等に異常が発生した場合には、押圧機構が停止して後側転がり軸受部51に荷重が加えられなくなる。これにより、軸部材10が、定常状態の変位方向と反対方向に変位し、ハウジング20と回転部33との間の隙間が微小隙間W2に迅速に小さくなる。したがって、差動排気シール90に異常が生じた場合に、ハウジング20と回転部33との間のシール性能の低下が抑制される。
本実施形態の回転機構1は、差動排気シール90と押圧機構とを制御する制御部70を有し、制御部70は、差動排気シール90の異常状態の情報を受け取った場合に押圧機構の駆動を停止する。これによれば、差動排気シール90の異常が生じた場合に、ハウジング20と回転部33との間の隙間が迅速に小さくなる。
本実施形態の回転機構1は、前側転がり軸受部50の内輪41a、42aと後側転がり軸受部51の内輪43aとが、内輪スペーサ54を介して軸方向に隣接するとともに軸部材10に固定されて、前側転がり軸受部50の外輪41b、42bが、ハウジング20に固定される。この構成によれば、後側転がり軸受部51は、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51の全体の剛性への関与が小さくなり、前側転がり軸受部50により全体の剛性が決定される。
本実施形態の回転機構1において、押圧機構は、ハウジング20内において後側転がり軸受部51に対して回転部33と反対側の位置に設けられた密閉空間75と、密閉空間75の圧力を調整する圧力調整部74とを有する。これによれば、密閉空間75の圧力が後側転がり軸受部51の外輪43bに荷重を加える。したがって、外輪43bの外周に沿って均一に荷重が加えられるため、差動排気シール90の微小空間W1、W2の大きさが、回転部33の外周に沿って均一となる。
(第2の実施形態)
図7は、第2の実施形態の定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。本実施形態において、後側転がり軸受部51の外輪43bに軸方向の荷重を加える押圧機構として、ピエゾアクチュエータ77が設けられている。ハウジング20、回転部33、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51の構造は、図1〜図5に示す第1の実施形態と同様である。
ピエゾアクチュエータ77は、印加される電圧に応じて形状が変化する圧電素子を利用して、軸方向の荷重を発生させる。図7に示すように、ピエゾアクチュエータ77は、ハウジング20の底部20cに固定されており、後側転がり軸受部51の外輪43bの周方向に沿って複数設けられている。ピエゾアクチュエータ77は、駆動部78からの駆動電圧によって変形し、軸方向の前側に延び、外輪スペーサ53を介して後側転がり軸受部51の外輪43bに、軸方向の前側に向かう荷重を加えることができる。
第2の実施形態の定常状態における回転機構2は、図7に示すように後側転がり軸受部51の外輪43bが、ピエゾアクチュエータ77により軸方向前側の荷重を受けて、軸方向前側に変位する。後側転がり軸受部51の外輪43b、転動体43cを介して、内輪43aに軸方向の荷重が加えられ、内輪43aは軸方向前側に変位する。前側転がり軸受部50の内輪41aおよび内輪42aは、内輪スペーサ54を介して、内輪43aと隣り合って固定されているため、内輪41aおよび内輪42aも軸方向に変位する。そして、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位に伴って、第1の固定部12、軸部材10および回転部33が軸方向前側に変位する。これにより、回転機構2の定常状態において、回転部33とハウジングフランジ部22との間に微小隙間が設けられ、差動排気シール90により回転部33とハウジングフランジ部22との間がシールされる。
また、非定常状態において、排気ポンプ71、72の非常停止等の異常を検出部73が検出し、検出部73は、異常信号を制御部70に出力する。制御部70は、異常信号を受け取った場合、駆動部78に駆動信号を出力し、駆動部78からピエゾアクチュエータ77に印加される駆動電圧を停止、または、低減させる。よって、ピエゾアクチュエータ77からの軸方向の荷重が発生せず、または、軸方向の荷重が低減する。前側転がり軸受部50の内輪41a、内輪42aおよび後側転がり軸受部51の内輪43aは、軸方向後側、つまり定常状態の変位方向と反対側の方向に変位する。よって、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間が小さくなるため、差動排気シール90の異常が発生した場合でも、回転部33とハウジングフランジ部22との間のシール性能の低下を抑制することができる。
本実施形態の回転機構2は、後側転がり軸受部51に荷重を加える押圧機構としてピエゾアクチュエータ77を用いているため、軸部材10の変位量を精度良く制御することができる。さらに、ピエゾアクチュエータ77は、駆動と停止とを迅速に切り替えることが可能であり、異常が検出された場合、迅速に回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間を小さくすることができる。本実施形態の回転機構2は、図1に示す、押圧機構としての密閉空間75が設けられておらず、外輪スペーサ53は、軸部材10と間隔を有して配置され、また、底部20cも軸部材10と間隔を有して配置される。すなわち、図1または図3に示すOリング93、94と軸部材10との間の摺動が生じないため、本実施形態の回転機構2は、軸部材10の高速回転に対応可能である。
本実施形態の回転機構2において、前側転がり軸受部50の剛性を小さく、後側転がり軸受部51の剛性を大きくすることにより、ピエゾアクチュエータ77からの軸方向の荷重を受けたときに、前側転がり軸受部50が後側転がり軸受部51よりも弾性変形しやすくなる。したがって、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位量が大きくなり、軸部材10が効率よく変位する。具体的には、前側転がり軸受部50の第1の転がり軸受41および第2の転がり軸受42の接触角を15°とし、後側転がり軸受部51の第3の転がり軸受43の接触角を45°とする。この場合、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位量は、第3の転がり軸受43の外輪43bの変位量に対して約70%の大きさとなり、ピエゾアクチュエータ77からの軸方向の荷重によって、効率よく軸部材10が変位する。
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態の定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。本実施形態の回転機構3は、ハウジング20が、1つの第1の胴部20aを有しており、構造が簡略化されている。図8に示すように、前側転がり軸受部50の外輪42bと後側転がり軸受部51の外輪43bとの間には、空間が設けられている。すなわち、前側転がり軸受部50の外輪41bおよび外輪42bは、ハウジング20の第1の胴部20aに、軸方向に固定されていない。そのため、前側転がり軸受部50を固定するための構造が簡略化され、ハウジング20の構造が簡略化される。
本実施形態においても、定常状態において、後側転がり軸受部51の外輪43bが、ピエゾアクチュエータ77により軸方向前側の荷重を受けて、軸方向前側に変位する。後側転がり軸受部51の外輪43b、転動体43cを介して、内輪43aに軸方向の荷重が加えられ、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aが軸方向に変位する。内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位に伴って、第1の固定部12、軸部材10および回転部33が軸方向前側に変位する。これにより、回転機構3の定常状態において、回転部33とハウジングフランジ部22との間に微小隙間が設けられ、差動排気シール90により回転部33とハウジングフランジ部22との間がシールされる。
また、非定常状態において、排気ポンプ71、72の非常停止等の異常を検出部73が検出し、検出部73は、異常信号を制御部70に出力する。制御部70は、異常信号を受け取った場合、駆動部78に駆動信号を出力して、駆動部78からピエゾアクチュエータ77に印加される駆動電圧を停止、または、低減させる。ピエゾアクチュエータ77からの荷重が外輪43bに加えられなくなる。これにより、前側転がり軸受部50の内輪41a、内輪42aおよび後側転がり軸受部51の内輪43aは、軸方向後側(回転部33と反対側の方向)、つまり定常状態の変位方向と反対側の方向に変位する。よって、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間が小さくなるため、差動排気シール90の異常が発生した場合でも、回転部33とハウジングフランジ部22との間のシール性能の低下が抑制される。
本実施形態の回転機構3は、前側転がり軸受部50の内輪41a、42aと後側転がり軸受部51の内輪43aとが、内輪スペーサ54を介して軸方向に隣接するとともに軸部材10に固定されて、前側転がり軸受部50の外輪41b、42bが、後側転がり軸受部51の外輪43bと空間を設けて隣り合う。これによれば、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51のハウジング20への固定構造が簡略化される。また、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51をハウジング20に組み込む際に、ピエゾアクチュエータ77の変位により予圧管理を行うことも可能であり、回転機構3を短時間で製造することが可能である。
本実施形態の回転機構3において、前側転がり軸受部50の剛性を小さく、後側転がり軸受部51の剛性を大きくすることにより、ピエゾアクチュエータ77からの軸方向の荷重を受けたときに、前側転がり軸受部50が後側転がり軸受部51よりも弾性変形しやすくなる。したがって、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位量が大きくなり、軸部材10が効率よく変位する。具体的には、前側転がり軸受部50の第1の転がり軸受41および第2の転がり軸受42の接触角を15°とし、後側転がり軸受部51の第3の転がり軸受43の接触角を45°とする。この場合、内輪41a、内輪42aおよび内輪43aの変位量は、第3の転がり軸受43の外輪43bの変位量に対して約70%の大きさとなり、ピエゾアクチュエータ77からの軸方向の荷重によって、効率よく軸部材10が変位する。
(第4の実施形態)
図9は、第4の実施形態の定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。本実施形態の回転機構4において、前側転がり軸受部50が第1の転がり軸受41と第4の転がり軸受44とを有している。第1の転がり軸受41は、第1の実施形態と同様に、アンギュラ玉軸受であり、第4の転がり軸受44は、円筒ころ軸受である。第4の転がり軸受44は、内輪44aと、外輪44bと、円筒状の転動体44cとを有する。
第4の転がり軸受44は、第1の転がり軸受41に対して軸方向の後側(底部20c側)に隣り合って配置されている。第1の転がり軸受41の内輪41aと、第4の転がり軸受44の内輪44aとは内輪スペーサ56を介して軸方向に並んでいる。また、第1の転がり軸受41の外輪41bと、第4の転がり軸受44の外輪44bとは外輪スペーサ55を介して軸方向に並んでいる。
後側転がり軸受部51(第3の転がり軸受43)は、第4の転がり軸受44の軸方向の後側に隣り合っている。第3の転がり軸受43の内輪43aと、第4の転がり軸受44の内輪44aとは内輪スペーサ54を介して軸方向に並んでいる。第3の転がり軸受43の外輪43bと、第4の転がり軸受44の外輪44bとは、空間を設けて軸方向に並んでいる。
本実施形態において、前側転がり軸受部50は、複数の転がり軸受41、44を有し、複数の転がり軸受41、44のうち少なくとも1つの第4の転がり軸受44が円筒ころ軸受である。このため、アンギュラ玉軸受を用いた場合に比べ、第4の転がり軸受44の内輪44aと外輪44bとの相対変位量が大きくなる。つまり、前側転がり軸受部50の剛性が小さくなる。したがって、後側転がり軸受部51の外輪43bが、ピエゾアクチュエータ77から軸方向の荷重を受けて変位したときに、内輪41a、内輪44aおよび内輪43aの変位量が大きくなる。したがって、回転部33、第1の固定部12および軸部材10の変位量が大きくなり、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間を変更できる範囲が拡大するため、差動排気シール90のシール性能を適切に設定することができる。
なお、本実施形態において、前側転がり軸受部50の剛性は、第1〜第3の実施形態の回転機構1、2、3に比べて低下する。しかし、差動排気シール90の微小隙間を変更する際には、軸部材10の回転駆動が停止している状態、または、静止に近い状態であるため、前側転がり軸受部50の剛性が低下していても、軸部材10の回転駆動に支障はない。
(第5の実施形態)
図10は、第5の実施形態の定常状態における回転機構を模式的に示す断面図である。本実施形態の回転機構5は、前側転がり軸受部50の内輪41aの軸方向前側に内輪スペーサ57を有する。その他のハウジング20、軸部材10、回転部33等の構成は、第1の実施形態と同様である。
本実施形態の回転機構5は、密閉空間75から軸方向の荷重を受けて、後側転がり軸受部51の外輪43bが変位する。そして、前側転がり軸受部50の内輪41a、内輪42aおよび後側転がり軸受部51の内輪43aが軸方向前側に変位する。内輪41a、内輪42、内輪43aは、定常状態において、第1の転がり軸受41の内輪41aと外輪41bの高さがほぼ一致する位置に変位する。したがって、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1は、内輪スペーサ57の厚さにより設けられる。また、排気ポンプ(図10には図示しない)等の異常が発生した場合、密閉空間75からの軸方向の荷重が低減され、内輪41a、内輪42a、内輪43aが軸方向後側に変位する。これにより、回転部33とハウジングフランジ部22との間の微小隙間W1が迅速に塞がれて、差動排気シール90のシール性能の低下が抑制される。
本実施形態において、内輪スペーサ57の厚さを変更することにより微小隙間W1の大きさが調整可能である。そのため、前側転がり軸受部50および後側転がり軸受部51の剛性や、変位量などの微調整を行うことなく、所定の微小隙間W1が維持される。
(半導体製造装置)
図11は、第1の実施形態に係る回転機構を備えた半導体製造装置を模式的に示す断面図である。図11に示すように、半導体製造装置100は、筐体18と、回転機構1と、電動機8と、電動機8を制御する制御装置80とを有する。なお、半導体製造装置100において、回転機構1が、軸部材10としてスピンドルを備える回転駆動装置(スピンドルユニット)を一例として説明するが、回転機構1の適用対象はこれに限定されるものではない。
ハウジングフランジ部22が筐体18とボルト26によって締結されることで、回転機構1が筐体18に固定される。筐体18の内部空間Vは、筐体18とハウジングフランジ部22との間のOリング95、および回転部33とハウジングフランジ部22との間の差動排気シール90によってシールされる。これにより、筐体18の内部空間Vが真空環境、減圧環境、プロセスガス充填環境に維持される。
回転部33は、第1の固定部12を介して軸部材10に接続されて、内部空間Vに設置される。回転機構1の軸部材10と電動機8とは、カップリング82、出力シャフト81を介して接続されて。電動機8の回転駆動により軸部材10が回転し、回転機構1の回転部33が回転する。半導体製造装置100は、回転部33の上に搬送ステージ85を有している。半導体製造装置100は、内部空間Vにある被搬送物(例えば、半導体基板、ガラス基板、工作物又は工具)を搬送ステージ85に搭載して移動させる。すなわち、回転機構1と電動機8と搬送ステージ85は、半導体基板等のワークを内部空間V内で搬送する搬送装置である。電動機8は、例えば、ダイレクトドライブモータ、ベルトドライブを用いた駆動装置、リニアモータ、サーボモータなどである。
半導体製造装置100は、回転機構1を備えているため、定常状態で動作している場合に、ハウジング20と回転部33との間が差動排気シール90でシールされ内部空間Vの環境が維持される。また、回転機構1が非定常状態の場合、すなわち、差動排気シール90の排気系や電源系統等に異常が発生した場合には、押圧機構が停止して後側転がり軸受部51に荷重が加えられなくなる。したがって、軸部材10が、定常状態の変位方向と反対方向に変位し、ハウジング20と回転部33との間の隙間が迅速に塞がれる。したがって、差動排気シール90に異常が生じた場合に、シール性能の変化を抑制することが可能であり、内部空間Vの環境の急激な低下が抑制される。
回転機構1は、半導体製造装置に限定されず種々の装置に適用可能である。例えば、回転機構1は、回転部33にワークを載置して、ワークの位置決めをし、ワークの切削加工等を行う工作機械等にも適用可能である。
上述の各実施形態において、軸部材10を回転可能に支持する転がり軸受の数および種類は、適宜変更することができる。また、後側転がり軸受部51に軸方向の荷重を加える押圧機構として、密閉空間75、ピエゾアクチュエータ77を示したが、これに限定されるものではない。例えば、リニアアクチュエータや磁気アクチュエータなど、転がり軸受に軸方向の荷重を加えられるものが用いられる。第1の転がり軸受41〜第4の転がり軸受44の寸法は、互いに等しいものを示したが、前側転がり軸受部と後側転がり軸受部との剛性を異ならせるために、前側転がり軸受部と後側転がり軸受部の内輪および外輪の寸法を互いに異ならせてもよい。