JP6420628B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

本発明は車両用シートに係り、より詳しくは、磁気レオロジー流体を利用したシートフォームを用いてシートフォームの剛性を調節する車両用シートに関する。

自動車の乗り心地は衝撃吸収装置だけでなく、室内シートの構造とも密接な関係がある。このため、運転者及び搭乗者が最も快適で安楽な乗り心地を感じられるシートについて人間工学的な研究が活発に進められている。
従来の車両用シートは、運転者または搭乗者を支持するシートクッションと、シートクッションの後方に回動できるようにヒンジで結合されたシートバッグから構成され、これらシートクッションとシートバッグは基本的にシートフレーム、クッション材（フォームパッド）及び表皮材（カバー）の基本三つの部品を含む構成からなる（例えば、特許文献１参照）。

シートクッションは、運転者及び搭乗者が着座時に、人体に接する部位として、シートの安楽さを決める重要な要素である。しかし、従来の車両用シートの場合、シートクッションの剛性がシートの製作時に決められ、車両の走行中に急停止する状況、あるいは使用者の姿勢変更のように瞬時に圧力が一か所に集中する場合には、運転者及び搭乗者を補助するに足りないという短所があった。
一方、液状の分散液中に強磁性体の微細粒子を懸濁させた磁気レオロジー流体（Ｍａｇｎｅｔｏｒｈｅｏｌｏｇｉｃａｌ Ｆｌｕｕｉｄ：ＭＲＦ）は古くから知られている。磁気レオロジー流体は磁界が加わっている状態と、磁界が加わっていない状態とでは、その粘度及び流動性が極端に変化する液体で、しかも、その変化は可逆的であるところに特徴がある。即ち、磁場が印加されていない状態で磁気レオロジー流体は、粘度が低く油のように流動するが、磁場が印加された状態では、粘度が上昇しゴムのように固くなる性質を有している（例えば、特許文献２参照）。

ＫＲ１０−０４４３９９３ Ｂ１ 特開２００４−０７１９５５号公報

本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであって、その目的とするところは、車両の走行中に発生する旋回や急停止などの状況による使用者の身体の支持、及び使用者の姿勢変更による瞬間的な圧力変化にも使用者の身体をより快適で安楽に支持することができる車両用シートを提供することにある。

上記目的を達成するためになされた本発明の車両用シートは、磁気レオロジー流体によって磁性を持つように形成された単位フォーム、及び単位フォームの両側に設けられて単位フォームを貫く磁場を形成する磁性体、を含むことを特徴とする。

単位フォームと磁性体は一つのフォームパッドユニットを形成することができる。
フォームパッドユニットは、複数個が集まってフォームパッドアセンブリーを形成することができる。
フォームパッドユニットは、シートフォームの一部にだけ形成されることができる。

磁性体には、磁性体が上下方向に移動できるようにするラック・アンド・ピニオンギアが結合されることができる。
ラック・アンド・ピニオンギアはモーターによって駆動されることができる。
ラック・アンド・ピニオンギアは車内のスイッチを通じて駆動することができる。
ラック・アンド・ピニオンギアは複数の磁性体を同時に駆動することができる。
磁性体は永久磁石であることもある。

本発明によると、上記構造からなる車両用シートは、車両の走行によって圧力の集中が生じる時には、磁気レオロジー流体と磁場の影響で自動的に剛性が調節される。これによって急停止あるいは使用者の姿勢変更などのような圧力集中状況下でも、車両のシートが使用者の体重を效果的に支持することから、使用者に快適性と安楽感とを与えることができる。
また、フォームパッドユニットあるいはフォームパッドアセンブリーの配置によって剛性の分布を多様にすることができ、一つのシートからも多様な種類の剛性を選択することができるため、使用者オーダーメードシートの提供が可能になり、車両に高級感を付与することができるため、ブランドイメージの向上にも效果がある。

本発明の一実施例による車両用シートのフォームパッドアセンブリーを示す斜視図である。 図１のＡ部分に圧力が加えられた状態を示す模式図である。 図２によって図１のＡ部分が変形された状態を示す斜視図である。 従来のシートフォームと本発明によるシートフォームとの圧力発生時の変形量を比較した図面である。 磁性体が最高の高さにある状態を示した作動図である。 磁性体が最低の高さにある状態を示した作動図である。

以下に、添付した図面を基にして、本発明の好ましい実施例による車両用シートについて詳しく説明する。
図１は本発明の一実施例による車両用シートのフォームパッドアセンブリーを示す斜視図である。本発明の車両用シートは、磁気レオロジー流体が磁場の有無によって粘度が変化する性質を利用して、磁気レオロジー流体によって磁性を持つように形成された単位フォーム１０、及び単位フォーム１０の両側に設けられて単位フォーム１０を貫く磁場を形成する磁性体３０、を含む。本実施例では、単位フォーム１０と磁性体３０は一つのフォームパッドユニット１００を形成し、フォームパッドユニット１００は複数個が横方向または縦方向または縦横方向に結合してフォームパッドアセンブリー１０００が形成される。

フォームパッドユニット１００は、本実施例では圧力が使用者の太ももと尻がシートに接触する一部分に形成された例について説明するが、車両の設計や環境によって車両シートのシートクッションやシートバッグ（図示しない）の一部分又は全体に形成されることができ、このような加圧形態はいくらでも想定可能である。また、車両のシートクッションやシートバッグでフォームパッドアセンブリー１０００が占める空間以外には一般的なフォームパッド（図示しない）を結合することができる。さらに、フォームパッドアセンブリー１０００とフォームパッドの結合体の外側にはカバーが結合されてシートが完成される。
単位フォーム１０は、一般的なシートのフォームパッドを一定の大きさに形成し、フォームパッドを磁気レオロジー流体（ＭＡｇｎｅｔｏ ＲｈｅｏｌｏｇｉｃＡｌ Ｆｌｕｉｄ）に浸して磁気レオロジー流体を含浸させ、フォームパッドが磁性を持つように形成されたものである。磁気レオロジー流体は、磁場が印加されれば粘度が変わる特性を持つものであって、シリコンオイルまたはミネラルオイルなどの非伝導性溶媒の中にミクロンの大きさの磁性を持つことができる粒子を分散させた非コロイド溶液である。よって、磁場が印加されない場合には分散粒子がニュートン流体の性質を帯びるが、磁場が印加されると分散粒子が分極化を起こして印加された磁場と平行な方向へと纎維質が形成され、伝達力や流動に対する抵抗力を持つ固体化流体である。

単位フォーム１０は、上記のとおり磁気レオロジー流体にフォームパッドを浸したり、フォームパッドを磁気レオロジー流体で濡らして、磁性によって剛性が変化されるように形成したものである。また、単位フォーム１０の両側には対の極を持つ磁性体３０が設けられる。両側の磁性体３０はそれぞれ異なる極を持つように設置される。磁性体３０は永久磁石であることもある。この磁性体３０によってＮ極からＳ極に磁場が形成され、形成された磁場によって磁気レオロジー流体の粘度が変化する。
図２は、図１のＡ部分に圧力が加えられた状態を示す模式図であり、図３は、図２によって図１のＡ部分が変形された状態を示す斜視図である。図２と図３に図示したとおり、車両の運行状況によって使用者Ｈが一側に傾いてシートクッションＳの両側で異なる圧力が作用した状態になる。本実施例では、使用者ＨがシートクッションＳの左側を強く加圧した例を示した。その結果、図１のフォームパッドアセンブリー１０００のＡ部分の単位フォーム１０が加圧されて図３に示した形態になる。
本発明によると、単位フォーム１０の大きさが小さくなる（高さが低くなる）につれ、元の単位フォーム１０の大きさに比べて磁性体３０の磁場の影響を受ける相対的な面積が増えるので、単位フォーム１０の剛性が強くなる。よって、車両のシートクッションＳが使用者Ｈの体重を效果的に支持するようになる。

このことを図４を基に説明する。
図４は、従来のフォームパッドと本発明によるフォームパッドとの圧力発生時の変形量を比較した図面であって、図中左側が従来のフォームパッド、右側が本発明によるフォームパッドである。両方のシートクッションに同一の圧力が加えられると、従来のフォームパッドは、使用者の意志とは関係なく瞬時に変形し、全体の変形量が多く生じて使用者を效果的に支持できなくなるため、使用者は不安定となり、不安感を抱いていた。これに対し、本発明による車両用シートでは、フォームパッドに従来例と同一の圧力が与えられても、磁性体３０の磁場の影響を受けた単位フォーム１０は、磁気レオロジー流体が瞬時にフォームパッドに剛性を与えて、変形量が少ない状態を維持することができるので、使用者をより效果的に支持することができる。従来と本発明のフォームパッドの変形量の差をＢで示した。

図５は、磁性体が最高の高さにある状態を示した作動図で、図６は、磁性体が最低の高さにある状態を示した作動図である。図５と図６に示したとおり、磁性体３０には磁性体３０がモーター３３の駆動によって上下方向に移動できるようにするラック・アンド・ピニオンギア３１が装着される。ラック・アンド・ピニオンギア３１は、車内のスイッチ（図示しない）によって駆動するように装着される。ラック・アンド・ピニオンギア３１は、複数の磁性体３０を縦方向あるいは横方向、あるいは全体のフォームパッドアセンブリー１０００を同時に駆動できるように形成される。このため、磁性体３０を上下に駆動して磁気レオロジー流体を含浸された単位フォーム１０が磁性体３０の磁場に暴露される面積を調節して、単位フォーム１０が磁場にさらに暴露させたり、暴露を減らしたりして、望む剛性に設定することが可能となる。
したがって、使用者は磁性体３０の適切な位置変化を遂行してフォームパッドアセンブリー１０００の全体の剛性を硬く調節したり、ふかふかに調節して、スポーツモードからセダンモードまで好みの硬さに調節できる。さらに、使用者にオーダーメード機能を提供することも可能となる。例えば、一つの車両であってもその時の使用者の気分によってスポーツモードあるいはセダンモードでシートクッションの剛性を調節することが可能となる。

すなわち、本発明の車両用シートはフォームパッドユニット１００を適切に配置し、車両の走行によって身の傾きが生じる場合、圧力を集中的に受ける部分の単位フォーム１０が圧縮され、単位フォーム１０の全体が磁場に暴露されて剛性が増加するようにする。一方、単位フォーム１０が加圧されない部分は、単位フォーム１０の一部だけ磁性体３０の磁場に暴露されるため、剛性が加圧された部分に比べて剛性が弱くなる。また、使用者の好みの特性に応じてモーター３３を駆動し、ラック・アンド・ピニオンギア３１を駆動して磁性体３０の配置を上下方向に駆動させることで、圧力の集中がない時にも望む剛性を選択することができる。
本発明の車両用シートによると、車両の走行によって圧力の集中が生じる時には、磁気レオロジー流体と磁場の影響で自動的に剛性が調節される。これにより、急停止あるいは使用者の姿勢変更などのような圧力集中状況下でも、車両のシートが使用者の体重を效果的に支持できるようになり、使用者に快適性と安楽感とを与えることができる。また、フォームパッドユニットあるいはフォームパッドアセンブリーの配置によって剛性の分布を多様にすることができ、一つのシートからも多様な種類の剛性を選択することができて、使用者オーダーメードシートの提供が可能となるので、車両の高級感に影響を及ぼし、ブランドイメージ向上の效果がある。

以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明の範囲は特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって解釈されなければならない。また、この技術分野で通常の知識を有する者なら、本発明の技術的範囲内で多くの修正と変形ができることはいうまでもない。

１０：単位フォーム
３０：磁性体
３１：ラック・アンド・ピニオンギア
３３：モーター
１００：フォームパッドユニット
１０００：フォームパッドアセンブリー
Ａ：圧力が加えられた部分
Ｂ：従来と本発明のフォームパッドの変形量の差
Ｈ：使用者
Ｓ：シートクッション

Claims (9)

1. 磁気レオロジー流体によって磁性を持つように形成された単位フォーム、及び
   前記単位フォームの両側に設けられて該単位フォームを貫く磁場を形成する磁性体、を含み、
   車両の走行によって搭乗者に傾きが生じる場合、圧力を集中的に受ける部分の前記単位フォームが圧縮され、前記単位フォームの全体が磁場に暴露されて剛性が増加することを特徴とする車両用シート。
   
2. 前記単位フォームと前記磁性体は一つのフォームパッドユニットを形成することを特徴とする請求項１に記載の車両用シート。
3. 前記フォームパッドユニットは、複数個が集まってフォームパッドアセンブリーを形成することを特徴とする請求項２に記載の車両用シート。
4. 前記フォームパッドユニットは、シートフォームの一部にだけ形成されることを特徴とする請求項２に記載の車両用シート。
5. 前記磁性体には磁性体が上下方向に移動できるようにするラック・アンド・ピニオンギアが結合されたことを特徴とする請求項１に記載の車両用シート。
6. 前記ラック・アンド・ピニオンギアは、モーターによって駆動されることを特徴とする請求項５に記載の車両用シート。
7. 前記ラック・アンド・ピニオンギアは、車内のスイッチを通じて駆動できることを特徴とする請求項５に記載の車両用シート。
8. 前記ラック・アンド・ピニオンギアは、複数の磁性体を同時に駆動できることを特徴とする請求項５に記載の車両用シート。
9. 前記磁性体は永久磁石であることを特徴とする請求項１に記載の車両用シート。

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