上述のように、埋め込み特性が良好で、アウトガスの発生が少ないレジスト下層膜材料の開発が求められていた。埋め込み特性を向上させるにはレジスト下層膜材料にモノマー成分を添加することが有効である。ところがモノマー成分を添加すると、ベーク時にこのモノマー成分が蒸発してアウトガスとなり、ホットプレートの天板に付着する。この天板に付着したものが落下すると欠陥の原因となるため、埋め込み特性の向上性能とアウトガスの防止性能はトレードオフの関係になる。本発明者らは、埋め込み特性に優れ、かつアウトガスの発生が少ないレジスト下層膜材料を構築するために鋭意検討を重ね、段差基板側には埋め込みに必要なモノマー成分が多く、表層にはポリマー成分が多く分布するレジスト下層膜の構成が、埋め込み特性の向上とアウトガスの発生の抑制の両立に効果的であることに想到した。
本発明者らは、更に検討を重ね、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂及び下記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体のいずれか又は両方をブレンドしたレジスト下層膜材料であれば、埋め込み特性を向上させるとともに、モノマー成分を多く含有する場合においてもアウトガスの発生を抑えることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と、下記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂及び下記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体のいずれか又は両方を含有するレジスト下層膜材料である。
(式中、R
1、R
2は水素原子であるか、又はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基、スルホキシド基、スルホン基、若しくはエステル結合を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、若しくは炭素数7〜10のアラルキル基であり、これらの基はフッ素原子を有していてもよく、かつ、全R
1と全R
2の総数の10%以上が少なくとも1個以上のフッ素原子を有する基である。R
3、R
4、R
11、R
12は水素原子、ヒドロキシ基、及び炭素数1〜4のアルコキシ基のいずれか、又はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、エーテル基、若しくはスルフィド基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、若しくは炭素数6〜10のアリール基である。R
18、R
19はR
3、R
4、R
11、R
12と同様の基又はハロゲン原子である。R
5、R
6、R
13、R
14、R
20、R
21は水素原子であるか、あるいはR
5とR
6、R
13とR
14、R
20とR
21が結合して形成されるエーテル結合である。R
7、R
15は水素原子であるか、又はヒドロキシ基、アルコキシ基、アシロキシ基、エーテル基、スルフィド基、クロロ基、若しくはニトロ基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキル基、炭素数2〜10のアルケニル基、若しくは炭素数6〜10のアリール基である。R
9、R
10、R
16、R
17は水素原子、酸不安定基、及びグリシジル基のいずれか、又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基、アシル基、若しくはアルコキシカルボニル基である。X
1、X
2、X
3は単結合であるか、又はヒドロキシ基、カルボキシル基、エーテル基、ラクトン環を有していてもよい炭素数1〜38の直鎖状、分岐状、若しくは環状の2価炭化水素基である。X
1が2価炭化水素基の場合、R
5及びR
6はX
1中の炭素原子と結合して形成されるエーテル結合であってもよく、X
2が2価炭化水素基の場合、R
13及びR
14はX
2中の炭素原子と結合して形成されるエーテル結合であってもよく、X
3が2価炭化水素基の場合、R
20及びR
21はX
3中の炭素原子と結合して形成されるエーテル結合であってもよい。a、b、c、d、g、h、i、j、k、l、m、及びnは1又は2である。)
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<レジスト下層膜材料>
本発明のレジスト下層膜材料は、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と、上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂及び上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体のいずれか又は両方を含有するものである。このようなレジスト下層膜材料であれば、スピンコート中に上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、かつ、所定量以上のフッ素原子を有するノボラック樹脂が膜表面を覆う。このフッ素原子を含む層の存在によって、埋め込み特性を向上させるためのモノマー成分を含むレジスト下層膜材料を高温でベークした場合でも、アウトガスの発生を抑えることができる。
また、上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体をモノマー成分として加えることによって、段差基板での埋め込み特性が更に向上する。通常、このようなモノマー成分の添加によって、ベーク中のアウトガスの発生が多くなるが、本発明のレジスト下層膜材料では、上記のように、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、かつ、所定量以上のフッ素原子を有するノボラック樹脂が、コート時に、レジスト下層膜の表面に移動し、この樹脂が多く含まれる樹脂層がレジスト下層膜の表面に形成される。レジスト下層膜表面がこのフッ素原子を含有するビスナフトールノボラック樹脂の樹脂層によって覆われることによって、モノマー成分を含む場合においても、ベーク中にモノマー成分がレジスト下層膜表面から蒸発してアウトガスとなることを抑えることができる。これは、アウトガスの発生を抑えて埋め込み特性を向上させるための有効な手段である。また、モノマー成分の配合量を増やしたり、分子量の小さいものを使用したりすることで、更に埋め込み特性を向上させることもできる。
また、レジスト下層膜上の珪素含有中間層膜(SOG膜)をフッ化水素酸水溶液で剥離する場合やTiN膜やBPSG(Boron Phosphorus Silicate Glass)膜をアルカリ性の剥離液SC(Standard Clean)1で剥離する場合のレジスト下層膜表面のダメージを防ぐためにも、レジスト下層膜表層にフッ素原子を含有する層が形成されていることは効果的である。これは、フッ素の撥水性によってフッ化水素酸水溶液やSC1のレジスト下層膜への浸透を防ぐことができるためである。
更に、ナフタレン環はArFエキシマレーザーの波長193nmにおける吸収が比較的小さいために、レジスト下層膜からの反射を抑えることができ、しかも縮合芳香族環であるため、ドライエッチング耐性が高いという利点を持つ。
また、レジスト下層膜の上にはスピンコートで形成される珪素含有中間層膜だけでなく、SiON膜やTiN膜等の反射防止膜とハードマスクを兼用した無機膜が形成される場合がある。SiON膜は反射防止効果に優れるだけでなく、スピンコートで形成された珪素含有中間層膜よりもドライエッチング耐性が高いという特徴を持つ。また、TiN膜はドライエッチング耐性が高いだけでなく、SC1等のアルカリ性の剥離液で剥離できるというメリットもある。これらのSiON膜やTiN膜を形成するときには300℃以上の基板温度が必要となるため、ドライエッチング耐性等が良好であっても耐熱性が不十分なレジスト下層膜は、このような無機膜を形成する方法に適用することができない。一方、本発明のレジスト下層膜材料を用いて形成したレジスト下層膜は十分な耐熱性を有するため、上記のように300℃以上の加熱が必要な無機膜を形成する場合にも好適に用いることができる。
また、例えばホールパターンが形成されている段差基板上に下層膜溶液を塗布した場合、塗布直後はホールの底には空隙が存在しており、高温ベーク後にホールの底への埋め込みが行われる。このことは、ベーク中に樹脂の流動が起き、樹脂がホールの底に埋め込まれ、空隙はボイドとなって下層膜表面方向に移動して消失することを示している。
通常、樹脂を含有する溶液を500rpm以下の低速で回転させ、その後ベークによって溶剤を蒸発させると不均一な膜厚となる。一方、700rpm以上の回転でスピンコートした場合は膜厚の不均一現象は起こらない。低速回転スピンコート後のベークで膜厚が不均一になる現象はマランゴニ効果による。
同様のマランゴニ効果は、下層膜樹脂の高温ベーク時にも起こっていると考えられる。モノマーだけから構成される樹脂材料を使用した場合に、コート後にウェハーエッジからのプルバック現象や、膜厚が不均一化する現象が起こることは、マランゴニ効果から説明できる。高温物質は表面張力が低く、これが膜表面に移動し温度が下がることによって表面張力が高くなる。一般的には表面張力が低い材料が膜表面を覆う方がエネルギー的には安定であるが、マランゴニ効果では逆であるためにエネルギー的に不安定となり、膜厚の不均一が生じるのである。
これに対し、本発明のレジスト下層膜材料は、フッ素を含有する表面張力が低い材料(即ち、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂)を含有するものであるため、この表面張力が低い材料によって膜表面が覆われ、マランゴニ効果による不安定性を解消することができる。即ち、膜厚均一性も向上させることができる。
本発明のレジスト下層膜材料は、上記のように、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を必須とし、更に一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体のうちいずれか一方、又はこれらの両方を含むものである。即ち、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を含み、一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体を含まないものとしてもよいし、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体を含み、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を含まないものとしてもよいし、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体の3種をすべて含むものとしてもよい。
中でも、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体の3種をすべて含むものとすることが好ましい。
このように、一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂、一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂、一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体の3種をすべて含むものとすることで、埋め込み特性の向上と、アウトガスの低減を更にバランスよく達成することができる。
上記一般式中のX1、X2、及びX3で示される炭素数1〜38の直鎖状、分岐状、若しくは環状の2価炭化水素基としては、より具体的には、炭素数1〜38の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基、アリーレン基、及びアラルキレン基等を例示できる。
上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を得るためのモノマーとして用いることができるビスナフトール誘導体としては、具体的には下記のものを例示できる。また、上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体としても、下記のものを用いることができる。
ここで、R25は、R1、R9、R16を示し、R26はR2、R10、R17を示す。また、上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を得るためのビスナフトール誘導体と、埋め込み特性向上のための上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体は、同一でも非同一でも構わない。
また、R
9、R
10、R
16、R
17が酸不安定基の場合、これらは同一でも非同一でもよく、特に下記式(A−1)〜(A−3)で示される基等を例示できる。
上記式(A−1)において、RL30は、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、炭素数1〜6のアルキル基を有するトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基、又は上記一般式(A−3)で示される置換基である。三級アルキル基として具体的には、tert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基として具体的には、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基として具体的には、3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。A1は0〜6の整数である。
上記式(A−1)で示される酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
更に、三級アルキル基としては、下記に示す式(A−1)−1〜(A−1)−10で示される置換基を挙げることもできる。
ここで、RL37は互いに同一又は異種の炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基又は炭素数6〜17のアリール基であり、RL38は水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。また、RL39は、互いに同一又は異種の炭素数2〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基である。A1は前述の通りである。
上記式(A−2)において、R
L31、R
L32は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等を例示できる。R
L33は、炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい1価の炭化水素基であり、特には直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、及びこれらの水素原子の一部がヒドロキシ基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを例示でき、具体的には下記の置換アルキル基等を例示できる。
RL31とRL32、RL31とRL33、RL32とRL33とは結合して、これらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には環の形成に関与するRL31、RL32、RL33はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。環としては、炭素数3〜10が好ましく、特に炭素数4〜10が好ましい。
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、直鎖状又は分岐状のものとしては、下記式(A−2)−1〜(A−2)−69のものを例示できる。
上記式(A−2)で示される酸不安定基のうち、環状のものとしては、テトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等を例示できる。
また、下記一般式(A−2a)あるいは(A−2b)で表される架橋型アセタール基によって、ベース樹脂である上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂が、分子間あるいは分子内で架橋されていてもよい。
上記式中、RL40、RL41は水素原子又は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキル基であるか、あるいはRL40とRL41は結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。環を形成する場合にはRL40、RL41は炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。RL42は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキレン基である。B1、D1は0又は1〜10、好ましくは0又は1〜5の整数である。また、C1は1〜7、好ましくは1〜3の整数である。
上記式中、Aは(C1+1)価の炭素数1〜50の脂肪族若しくは脂環式飽和炭化水素基、芳香族炭化水素基、又はヘテロ環基であり、これらの基にはヘテロ原子が介在してもよく、これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部がヒドロキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、又はフッ素原子によって置換されていてもよい。また、Aは好ましくは、2〜4価の炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、若しくは環状のアルキレン基、アルキルトリイル基、アルキルテトライル基、又は炭素数6〜30のアリーレン基であり、これらの基にはヘテロ原子が介在していてもよい。また、これらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部がヒドロキシ基、カルボキシル基、アシル基、又はハロゲン原子によって置換されていてもよい。また、Bは−CO−O−、−NHCO−O−、又は−NHCONH−で示される基である。
上記一般式(A−2a)、(A−2b)で示される架橋型アセタール基として、具体的には下記式(A−2)−70〜(A−2)−77のものを例示できる。
次に、上記式(A−3)においてRL34、RL35、RL36は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基等の1価の炭化水素基又は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルケニル基である。また、これらの基は酸素、硫黄、窒素、フッ素等のヘテロ原子を含んでもよく、RL34とRL35、RL34とRL36、RL35とRL36とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に、炭素数3〜20の脂環を形成してもよい。
上記式(A−3)で示される三級アルキル基としては、tert−ブチル基、トリエチルカルビル基、1−エチルノルボニル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−エチルシクロペンチル基、2−(2−メチル)アダマンチル基、2−(2−エチル)アダマンチル基、tert−アミル基等を例示できる。
更に、三級アルキル基として、下記に示す式(A−3)−1〜(A−3)−18を具体的に例示できる。
上記式(A−3)−1〜(A−3)−18中、RL43は同一又は異種の炭素数1〜8の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基、又は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基である。RL44、RL46は水素原子又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状、又は環状のアルキル基である。RL45は炭素数6〜20のフェニル基等のアリール基である。
更に、下記式(A−3)−19、(A−3)−20に示すように、
アルキレン基、アリーレン基等の2価以上の基であるR
L47を含み、ポリマーの分子内あるいは分子間が架橋されていてもよい。E1は0〜8、好ましくは0〜6の整数である。
また、上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂は上述のビスナフトール誘導体以外のモノマーと共縮合されたものであってもよい。共縮合に使用できるモノマーとしては具体的には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメチル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジアリル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフルオロ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジフェニル−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,2’ジメトキシ−4,4’−(9H−フルオレン−9−イリデン)ビスフェノール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、3,3,3’,3’,4,4’−ヘキサメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−5,5’−ジオール、5,5’−ジメチル−3,3,3’,3’−テトラメチル−2,3,2’,3’−テトラヒドロ−(1,1’)−スピロビインデン−6,6’−ジオール、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、1,4−ジヒドロキシナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、1,8−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,4−ジヒドロキシナフタレン、2,5−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,8−ジヒドロキシナフタレン、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、6−メトキシ−2−ナフトール、3−メトキシ−2−ナフトール、1,4−ジメトキシナフタレン、1,5−ジメトキシナフタレン、1,6−ジメトキシナフタレン、1,7−ジメトキシナフタレン、1,8−ジメトキシナフタレン、2,3−ジメトキシナフタレン、2,6−ジメトキシナフタレン、2,7−ジメトキシナフタレン、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、ナフタレン、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1,2−ジメチルナフタレン、1,3−ジメチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、1,5−ジメチルナフタレン、1,6−ジメチルナフタレン、1,7−ジメチルナフタレン、1,8−ジメチルナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、2,7−ジメチルナフタレン、1−エチルナフタレン、2−エチルナフタレン、1−プロピルナフタレン、2−プロピルナフタレン、1−ブチルナフタレン、2−ブチルナフタレン、1−フェニルナフタレン、1−シクロヘキシルナフタレン、1−シクロペンチルナフタレン、インデン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、アセナフテン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノール、ジシクロペンタジエン、置換又は非置換のフェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、2−フルオロフェノール、3−フルオロフェノール、4−フルオロフェノール、4−トリフルオロメチルフェノール、2,3−ジフルオロフェノール、2,4−ジフルオロフェノール、2,5−ジフルオロフェノール、2,6−ジフルオロフェノール、3,4−ジフルオロフェノール、3,5−ジフルオロフェノール、2,3,4−トリフルオロフェノール、2,3,6−トリフルオロフェノール、3,4,5−トリフルオロフェノール、2−トリフルオロメトキシフェノール、3−トリフルオロメトキシフェノール、4−トリフルオロメトキシフェノール、2−トリフルオロメチルチオフェノール、3−トリフルオロメチルチオフェノール、4−トリフルオロメチルチオフェノール、2,3−ジトリフルオロフェノール、2,4−ジトリフルオロフェノール、2,5−ジトリフルオロフェノール、2,6−ジトリフルオロフェノール、3,4−ジトリフルオロフェノール、3,5−ジトリフルオロフェノール、ペンタフルオロフェノール、3−トリフルオロメチルフェノール、2−トリフルオロメチルフェノール、4―(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)フェノール、3―(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)フェノール、3,5―ジ(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール)フェノール等を例示できる。
上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を合成する際には、上述の置換又は非置換のビスナフトール誘導体に、必要に応じてその他のモノマーを加え、そこにアルデヒドを加えてノボラック化して重合させる。ノボラック化することによって分子量が増大し、ベーク時の低分子量体によるアウトガスやパーティクルの発生を抑えることができる。
上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の合成に使用可能なアルデヒドとしては、例えば、ホルムアルデヒド、トリオキサン、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メトキシベンズアルデヒド、フェニルベンズアルデヒド、トリチルベンズアルデヒド、シクロヘキシルベンズアルデヒド、シクロペンチルベンズアルデヒド、tert−ブチルベンズアルデヒド、ナフタレンアルデヒド、ヒドロキシナフタレンアルデヒド、アントラセンアルデヒド、フルオレンアルデヒド、ピレンアルデヒド、メトキシナフタレンアルデヒド、ジメトキシナフタレンアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、ナフタレンアセトアルデヒド、置換又は非置換のカルボキシルナフタレンアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド、フルフラール、フランカルボキシアルデヒド、チオフェンアルデヒド等が例示できる。これらのうち、特にホルムアルデヒドが好適である。
上記のアルデヒドは、単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、上記アルデヒドの使用量は、置換又は非置換のビスナフトール誘導体1モルに対して0.2〜5モルが好ましく、より好ましくは0.5〜2モルである。
上記のビスナフトール誘導体と上記アルデヒドの縮合反応に、触媒を用いることもできる。具体的には、塩酸、硝酸、硫酸、ギ酸、シュウ酸、酢酸、メタンスルホン酸、カンファースルホン酸、トシル酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性触媒等を例示できる。これらの酸性触媒の使用量は、ビスナフトール誘導体1モルに対して1×10−5〜5×10−1モルが好適である。
上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂としては、重量平均分子量で分子量が400〜20,000の範囲のものが好ましい。更に好ましくは500〜10,000の範囲のものであり、特に好ましくは600〜10,000の範囲のものである。分子量が小さい方が埋め込み特性に優れるが、ベーク時にアウトガスが発生しやすくなるので、埋め込み特性とアウトガス発生の観点で最適化することが好ましい。
埋め込み特性とアウトガス低減を両立させるためには、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂1質量部に対して、上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂0.1〜50質量部の割合で混合することが好ましく、また同様に、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂1質量部に対して、上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体を0〜50質量部の割合で混合することが好ましい。
更に、本発明のレジスト下層膜材料が、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の1質量部に対して、上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体を合計5〜100質量部の割合で混合することが好ましい。このような割合にすることで、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の樹脂層によるアウトガスの低減と、上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体による埋め込み特性の向上を、特にバランスよく達成することができる。
また、上記一般式(1)、(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂を製造した際、反応溶液には未重合の置換又は非置換のビスナフトール誘導体等のモノマーや、2量体、3量体等の低分子量体が含まれている場合がある。ビスナフトール誘導体はナフトール誘導体に比べれば分子量が大きいため、ナフトール誘導体に比べてアウトガス成分になりにくいが、未重合のモノマーや低分子量体が多量に含まれると、アウトガス発生の一因となりうるため、埋め込み特性とアウトガス低減の両立の観点から、出来る限り除去することが好ましい。埋め込み特性を向上させるためにモノマー成分を添加する場合には、上記のようにして未重合のモノマーや低分子量体を除去した後、別途所望の量のモノマー成分を添加することが好ましい。
本発明のレジスト下層膜材料は、上記一般式(1)に示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂と、上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂及び下記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体のいずれか又は両方を含有するものであるが、これらのノボラック樹脂以外の樹脂をブレンドすることもできる。ブレンド可能な樹脂としては、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−ジメチルフェノール、2,5−ジメチルフェノール、3,4−ジメチルフェノール、3,5−ジメチルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、3−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3,5−ジフェニルフェノール、2−ナフチルフェノール、3−ナフチルフェノール、4−ナフチルフェノール、4−トリチルフェノール、レゾルシノール、2−メチルレゾルシノール、4−メチルレゾルシノール、5−メチルレゾルシノール、カテコール、4−tert−ブチルカテコール、2−メトキシフェノール、3−メトキシフェノール、2−プロピルフェノール、3−プロピルフェノール、4−プロピルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2−メトキシ−5−メチルフェノール、2−tert−ブチル−5−メチルフェノール、ピロガロール、チモール、イソチモール、1−ナフトール、2−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、4−メトキシ−1−ナフトール、7−メトキシ−2−ナフトール、1,5−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン、フェノールフタレイン、フェノールレッド、クレゾールフタレイン、クレゾールレッド、チモールフタレイン、3−ヒドロキシ−ナフタレン−2−カルボン酸メチル、インデン、ヒドロキシインデン、ベンゾフラン、ヒドロキシアントラセン、アセナフチレン、ビフェニル、ビスフェノール、トリスフェノールとアルデヒドとの反応によるノボラック樹脂等を例示できる。更には、フェノール化合物を、アルデヒドを用いずにジシクロペンタジエン、テトラヒドロインデン、4−ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、5−ビニルノルボルナ−2−エン、α−ピネン、β−ピネン、又はリモネンと共重合させた樹脂等を例示できる。
更に、モノマー成分として、上記一般式(3)で示されるビスナフトール誘導体以外にも、ヒドロキシスチレン、アルコキシスチレン、ヒドロキシビニルナフタレン、アルコキシビニルナフタレン、(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル類、無水マレイン酸、無水イタコン酸等から選ばれる化合物を添加することができる。また、置換又は非置換のナフトール類の化合物を添加することもできる。
また、本発明のレジスト下層膜材料には、高炭素樹脂を併用してもよく、このような樹脂としては、特開2004−205658号公報、同2004−205676号公報、同2004−205685号公報、同2004−271838号公報、同2004−354554号公報、同2005−10431号公報、同2005−49810号公報、同2005−114921号公報、同2005−128509号公報、同2005−250434号公報、同2006−053543号公報、同2006−227391号公報、同2006−259249号公報、同2006−259482号公報、同2006−285095号公報、同2006−293207号公報、同2006−293298号公報、同2007−140461号公報、同2007−171895号公報、同2007−199653号公報、同2007−316282号公報、同2008−26600号、同2008−65303号公報、同2008−96684号公報、同2008−257188号公報、同2010−160189号公報、同2010−134437号公報、同2010−170013号公報、同2010−271654号公報、同2008−116677号公報、同2008−145539号公報に記載のレジスト下層膜材料に使用されている樹脂を例示できる。
また、本発明のレジスト下層膜材料は、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂が、上記一般式(1)中のR
1及び/又はR
2として、下記一般式(4)−1〜(4)−5から選ばれる1種以上の基を含むものであることが好ましい。
(式中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基である。R
0は水素原子、メチル基、アセチル基、又はトリフルオロアセチル基である。Rfはフッ素原子であるか、少なくとも1個以上のフッ素原子を有し、更にヒドロキシ基若しくはアルコキシ基を有していてもよい直鎖状、分岐状、若しくは環状の炭素数1〜9のアルキル基、炭素数2〜8のアルケニル基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数7〜10のアラルキル基、若しくは炭素数1〜10のアルコキシ基である。R
22は水素原子、メチル基、又はエチル基である。R
23、R
24は水素原子又は炭素数1〜5の直鎖状若しくは分岐状のアルキル基である。)
このような基を含有することで、レジスト下層膜材料から発生するアウトガスの量を、更に低減させることができる。
上記一般式(4)−1〜(4)−5で示される基としては、具体的には下記のものを例示できる。
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂としては、上記一般式(1)中の全R1と全R2の総数の10%以上、更に好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上が上記一般式(4)−1〜(4)−5から選ばれる基であるものが好ましい。また、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂は、上記一般式(4)−1〜(4)−5から選ばれるフッ素原子を含有する基を、複数種含有していても構わない。
また、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の合成方法としては、R1及び/又はR2にフッ素含有基を有するビスナフトール誘導体をモノマーとして用い、これとアルデヒドを反応させてノボラック化させる方法、あるいは、R1及び/又はR2に水素原子等を有するビスナフトール誘導体をモノマーとして用い、これとアルデヒドを反応させてノボラック化させた後、得られたノボラック樹脂にフッ素含有基を付加する方法や、ノボラック樹脂が有するヒドロキシ基の水素原子をフッ素含有基で置換する方法などを例示できる。
更に、ノボラック樹脂にフッ素含有基を付加する方法としては、例えば、ノボラック樹脂が有するヒドロキシ基と、炭素―炭素二重結合を有するフッ素含有化合物を付加反応させる方法を例示できる。また、ノボラック樹脂が有するヒドロキシ基の水素原子をフッ素含有基で置換する方法としては、例えば、1個以上のフッ素原子を含有するエポキシ化合物、酸無水物、又は酸クロリド等を用いて置換する方法を例示できる。
(有機溶剤)
本発明のレジスト下層膜材料には、更に有機溶剤を使用してもよい。本発明のレジスト下層膜材料において使用可能な有機溶剤としては、上記のノボラック樹脂等のベース樹脂、モノマー成分、更には後述の酸発生剤、架橋剤等の添加剤が溶解するものであれば特に制限はない。具体的には、特開2007−199653号公報中の(0091)〜(0092)段落に記載されている溶剤を添加することができる。
(架橋剤)
レジスト下層膜としては、レジスト下層膜上に珪素含有中間層膜材料あるいはレジスト上層膜材料をディスペンスしたときに、珪素含有中間層膜材料あるいはレジスト上層膜材料に溶解しないことと、珪素含有中間層膜あるいはレジスト上層膜とミキシングしない特性が必要である。そのため、本発明のレジスト下層膜材料には、塗布後のベークで架橋させるための架橋剤を添加することが好ましい。
本発明で使用可能な架橋剤としては、メチロール基、アルコキシメチル基、及びアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも一つの基で置換されたメラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物、ウレア化合物、エポキシ化合物、イソシアネート化合物、若しくはアジド化合物、又はアルケニルエーテル基等の2重結合を含む化合物等を例示できる。これらは添加剤として用いてもよいが、ポリマー側鎖にペンダント基として導入してもよい。また、ヒドロキシ基を含む化合物も架橋剤として用いることができる。
前記架橋剤の具体例のうち、更にエポキシ化合物としては、トリス(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、トリメチロールメタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、トリエチロールエタントリグリシジルエーテル等を例示できる。メラミン化合物としては、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンの1〜6個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、又はその混合物、ヘキサメトキシエチルメラミン、ヘキサアシロキシメチルメラミン、ヘキサメチロールメラミンのメチロール基の1〜6個がアシロキシメチル化した化合物、又はその混合物等を例示できる。グアナミン化合物としては、テトラメチロールグアナミン、テトラメトキシメチルグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、又はその混合物、テトラメトキシエチルグアナミン、テトラアシロキシグアナミン、テトラメチロールグアナミンの1〜4個のメチロール基がアシロキシメチル化した化合物、又はその混合物等を例示できる。グリコールウリル化合物としては、テトラメチロールグリコールウリル、テトラメトキシグリコールウリル、テトラメトキシメチルグリコールウリル、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がメトキシメチル化した化合物、又はその混合物、テトラメチロールグリコールウリルのメチロール基の1〜4個がアシロキシメチル化した化合物、又はその混合物等を例示できる。ウレア化合物としてはテトラメチロールウレア、テトラメトキシメチルウレア、テトラメチロールウレアの1〜4個のメチロール基がメトキシメチル化した化合物、又はその混合物、テトラメトキシエチルウレア等を例示できる。イソシアネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等が例示でき、アジド化合物としては、1,1’−ビフェニル−4,4’−ビスアジド、4,4’−メチリデンビスアジド、4,4’−オキシビスアジド等を例示できる。
また、アセタール基によって架橋を形成する架橋剤としては、分子内に複数のエノールエーテル基を有する化合物を例示できる。分子内に少なくとも2つ以上のエノールエーテル基を有する架橋剤としては、エチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、1,2−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、テトラメチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ソルビトールテトラビニルエーテル、ソルビトールペンタビニルエーテル、エチレングリコールジプロペニルエーテル、トリエチレングリコールジプロペニルエーテル、1,2−プロパンジオールジプロペニルエーテル、1,4−ブタンジオールジプロペニルエーテル、テトラメチレングリコールジプロペニルエーテル、ネオペンチルグリコールジプロペニルエーテル、トリメチロールプロパントリプロペニルエーテル、ヘキサンジオールジプロペニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジオールジプロペニルエーテル、ペンタエリスリトールトリプロペニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラプロペニルエーテル、ソルビトールテトラプロペニルエーテル、ソルビトールペンタプロペニルエーテル等が例示される。
更には分子内に複数のエノールエーテル基を有する化合物の架橋剤として下記に示される化合物も例示できる。
エノールエーテル基は、熱によってヒドロキシ基とアセタール結合するため、分子内に複数のエノールエーテル基を有する化合物を添加することによって、アセタール基による熱架橋が行われる。
なお、分子内に少なくとも2つ以上のオキシランを含有する酸脱離性の3級エステル基を有する架橋剤を添加することもできる。このような架橋剤としては具体的には、特開2006−96848号公報に記載のものを例示できる。このような架橋剤を用いると、特開2001−226430号公報に示されるようにオキシランが熱によって架橋し、3級エステル部分が酸によって分解する。
また、本発明のレジスト下層膜材料は、上記のような架橋剤を添加しなくてもスピンコート後300℃以上の加熱によって架橋させることができる。この場合は酸化カップリング反応によってポリマー同士が結合する。
(酸発生剤)
また、本発明のレジスト下層膜材料には、熱による架橋反応を更に促進させるための酸発生剤を添加することができる。酸発生剤は熱分解によって酸を発生するものや、光照射によって酸を発生するものがあるが、いずれのものも添加することができる。酸発生剤としては、具体的には、特開2007−199653号公報の(0061)〜(0085)段落に記載されている材料を挙げることができる。
以上説明したような本発明のレジスト下層膜材料を用いれば、上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有し、かつ、所定量以上のフッ素原子を有するノボラック樹脂の樹脂層がレジスト下層膜表面に形成され、このフッ素原子を含む層の存在によって、レジスト下層膜材料を高温でベークした場合でも、アウトガスの発生を抑えることができる。また、レジスト下層膜材料に上記一般式(3)で示されるモノマー成分を加えることによって、アウトガスの発生を抑えながら段差基板での埋め込み特性を向上させることができる。
<パターン形成方法>
本発明では、リソグラフィーにより基板にパターンを形成する方法であって、被加工基板上に上述の本発明のレジスト下層膜材料を用いてレジスト下層膜を形成し、該レジスト下層膜上に珪素含有中間層膜材料を用いて珪素含有中間層膜を形成し、該珪素含有中間層膜上にレジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成し、該レジスト上層膜のパターン回路領域を露光した後、現像して前記レジスト上層膜にレジストパターンを形成し、該レジストパターンが形成されたレジスト上層膜をマスクにして前記珪素含有中間層膜にエッチングでパターンを転写し、該パターンが転写された珪素含有中間層膜をマスクにして前記レジスト下層膜にエッチングでパターンを転写し、更に、該パターンが転写されたレジスト下層膜をマスクにして前記被加工基板にエッチングでパターンを形成するパターン形成方法を提供する。
以下、本発明のパターン形成方法の一例について、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
図1は、珪素含有中間層膜材料を用いた、本発明の3層プロセスのパターン形成方法の一例を示すフロー図である。図1のフロー図に示されるパターン形成方法では、まず、(A)基板1上の被加工層2の上に本発明のレジスト下層膜材料をコーティングしてレジスト下層膜3を形成し、レジスト下層膜3上に珪素含有中間層膜材料をコーティングして珪素含有中間層膜4を形成し、珪素含有中間層膜4上にレジスト上層膜材料をコーティングして、レジスト上層膜5を形成する。次に、(B)レジスト上層膜5のパターン回路領域6を露光し、(C)現像して前記レジスト上層膜5にレジストパターンを形成し(ポジ型レジストの場合)、(D)レジストパターンが形成されたレジスト上層膜5をマスクにして珪素含有中間層膜4にエッチングでパターンを転写し、E)パターンが転写された珪素含有中間層膜4をマスクにしてレジスト下層膜3にエッチングでパターンを転写し、(F)更に、パターンが転写されたレジスト下層膜3をマスクにして被加工層2にエッチングでパターンを形成する。
[被加工基板]
被加工基板としては、特に限定されないが、例えば基板上に被加工層が形成されたものを用いることができる。基板としては、特に限定されるものではなく、Si、α−Si、p−Si、SiO2、SiN、SiON、W、TiN、Al等で被加工層と異なる材質のものを好適に用いることができる。また、被加工層としては、Si、SiO2、SiON、SiN、p−Si、α−Si、W、W−Si、Al、Cu、Al−Si等及び種々のLow−k膜(低誘電膜)、及びそのエッチングストッパー膜、あるいはFin−FETの段差基板などを好適に用いることができ、被加工層の厚さとしては、10〜10,000nmが好ましく、20〜5,000nmが特に好ましい。
被加工基板とレジスト下層膜との間に、被加工基板を加工するためのハードマスクを形成しても良く、ハードマスクとしては被加工基板がSiO2系の絶縁膜基板の場合はSiN、SiON、p−Si、α−Si、W、W−Si、アモルファスカ−ボン等が用いられる。被加工基板がp−Si、W−Si、Al−Si等のゲート電極の場合はSiO2、SiN、SiON等が用いられる。
本発明のレジスト下層膜材料を用いて形成したレジスト下層膜の上には、レジスト上層膜を形成してもよいが、レジスト上層膜とレジスト下層膜の間に、珪素、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属から選ばれる元素を含有する中間層膜を設けるトライレイヤープロセスも、好ましく用いられる。トライレイヤー用の中間層膜に含有される元素としては、珪素が最も好ましい。
[珪素含有中間層膜]
珪素含有中間層膜の材料としては、特に限定されないが、特開2007−302873号公報に記載の露光波長に吸収を有するシルセスキオキサン系の材料を用いることができる。また、珪素含有中間層膜は、スピンコートによって形成される。珪素含有中間層膜材料をスピンコートした後に150〜300℃の温度でベークして、珪素酸化膜からなる珪素含有中間層膜を形成することができる。
トライレイヤープロセスに適用した場合の珪素含有中間層膜の反射防止効果に最適な光学定数(n、k値)は、n値が1.5〜1.9、k値が0.15〜0.3、膜厚が20〜130nmの範囲である。また、レジスト下層膜としては、n値が1.3〜1.8、k値が0.2〜0.8、膜厚が50nm以上のものが最適である。
[レジスト上層膜]
レジスト上層膜材料としては、特に限定されないが、例えば特開平9−73173号公報、特開2000−336121号公報に示されるような公知の炭化水素系からなるベースポリマーを使用することができる。なお、レジスト上層膜の厚さは特に制限されないが、20〜500nmのものが好ましく、特に30〜400nmのものが好ましい。
上記レジスト上層膜材料を用いてレジスト上層膜を形成する場合、前記レジスト下層膜を形成する場合と同様に、スピンコート法等が好適である。レジスト上層膜をスピンコート法等で形成した後に行うプリベークは、80〜180℃で、10〜300秒の範囲が好ましい。
また、珪素含有中間層膜に代わって、無機ハードマスク中間層膜を形成する際には、レジスト下層膜とレジスト上層膜の間に、珪素酸化膜、珪素窒化膜、珪素酸化窒化膜、珪素炭化膜、ポリシリコン膜、窒化チタン膜、酸化チタン膜、炭化チタン膜、酸化ジルコニウム膜、又は酸化ハフニウム膜から選ばれる無機ハードマスク中間層膜を形成してもよい。
[無機ハードマスク中間層膜]
無機ハードマスク中間層膜の材料としては、特に限定されない。珪素、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の金属から選ばれる元素を含有する無機ハードマスク中間層膜、特にはチタン含有中間膜については特開2014−178602号公報に記載の材料を用いることができる。レジスト下層膜上に無機ハードマスク中間層膜を形成し、その上にレジスト上層膜を設けてトライレイヤープロセスとすることができる。無機ハードマスク中間層膜材料としては、特にp−Si、SiN、SiON、SiC、TiN、TiO2、TiC、ZrO2、HfO2が好適である。無機ハードマスク中間層膜の形成は、CVD法、ALD法、又はスパッタリング法等によって行うことができる。
また、無機ハードマスク中間層膜の上に有機反射防止膜を形成して、4層レジスト膜とする場合には、無機ハードマスク中間層膜上に有機反射防止膜材料をコーティングして有機反射防止膜を形成してもよい。この場合は4層プロセスとなる。
[有機反射防止膜]
有機反射防止膜材料としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
更に、炭化水素膜と、その上に珪素含有中間層膜を形成して5層レジスト膜とする場合、無機ハードマスク中間層膜上に炭化水素膜材料を用いて炭化水素膜をスピンコートで形成し、その上に珪素含有中間層膜材料を用いて珪素含有中間層膜を形成してもよい。この場合は5層プロセスとなる。
[炭化水素膜]
炭化水素膜材料としては、特に限定されず、公知のものを使用できる。
[パターンの形成]
(3層プロセス)
まず、本発明のレジスト下層膜材料を用いたレジスト下層膜の形成方法について説明する。通常のフォトレジスト膜の形成法と同様に、スピンコート法等で基板上に形成することが可能である。スピンコート法等でレジスト下層膜材料を上記の被加工基板上に塗布し、レジスト下層膜を形成した後、有機溶剤を蒸発させて、レジスト上層膜とのミキシングを防止するため、あるいは架橋反応を促進させるためにベークをすることが好ましい。ベーク温度は80〜1,000℃の範囲内で、10〜300秒の範囲内が好ましい。なお、このレジスト下層膜の厚さは適宜選定されるが、5〜100,000nmとすることが好ましく、特に10〜50,000nmとすることが好ましい。このような厚さにすれば、高い反射防止効果を得ることができる。
ベーク方法としては、ホットプレート上で行う方法が最も一般的である。また、赤外線を照射する方法でベークを行うこともできる。400℃以上の高温ベークをホットプレートで行うこともできるが、ファーネス中で数百枚のウェハーをバッチ加熱処理する方法ではスループットを稼ぐことができるメリットがある。
3層プロセスの場合、図1中の(A)に示したように、基板1の上に積層された被加工層2上にレジスト下層膜3を形成した後、珪素含有中間層膜4を形成し、その上にレジスト上層膜5を形成する。
また、レジスト上層膜の上にレジスト保護膜を形成することもできる。レジスト保護膜は、液浸露光を行う際、レジスト上層膜からの酸発生剤等の添加剤の溶出を防ぐ目的及び滑水性を向上させる目的で設ける場合がある。また、レジスト保護膜を、反射防止機能を有するものとすることもできる。レジスト保護膜としては、水溶性のものと非水溶性のものがある。非水溶性のレジスト保護膜としては、アルカリ現像液に溶解するものとアルカリ現像液に溶解せず、有機溶剤で剥離する材料があるが、前者の方がレジストの現像と同時に剥離可能である分だけプロセス的なメリットがあり、好ましい。有機溶剤現像によるネガパターン形成に適用する場合は、後者の溶剤剥離型は現像と同時に剥離可能である。アルカリ現像液に可溶な場合は、αトリフルオロメチルヒドロキシ基を有する高分子化合物を炭素数4以上の高級アルコールや炭素数8〜12のエーテル化合物に溶解したものが用いられる。
レジスト保護膜の形成方法としては、プリベーク後のレジスト上層膜上に保護膜材料をスピンコートし、プリベークによって形成する。レジスト保護膜の膜厚としては10〜200nmの範囲が好ましい。ドライ又は液浸露光後、ポストエクスポジュアーベーク(PEB)を行い、アルカリ現像液で10〜300秒間現像を行う。アルカリ現像液は2.38質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液が一般的に広く用いられている。現像液に可溶のレジスト保護膜を用いた場合、レジスト保護膜の剥離とレジスト上層膜の現像を同時に行うことができる。
レジスト上層膜のレジストパターンの形成は、常法に従って行うことができる。レジスト上層膜のパターン回路領域の露光を行い、PEB、現像を行うことで、レジストパターンを得ることができる。珪素含有酸不安定基がペンダントされたポリマーに酸発生剤が添加された珪素含有中間層膜を適用した場合は、露光と現像によってレジストパターンの形成と同時に珪素含有中間層膜のパターンを得ることができる。
このとき、PEB前に、レジスト上層膜上に水が残っていると、PEB中に水がレジスト上層膜中の酸を吸い出してしまい、パターン形成ができなくなる恐れがある。そのため、PEB前にレジスト保護膜上の水を完全に除去するため、PEB前のスピンドライ、乾燥空気や窒素による膜表面のパージ、あるいは露光後のステージ上の水回収に使用されるノズル形状や水回収プロセスの最適化などによって膜上の水を乾燥あるいは回収することが好ましい。
まず、レジスト上層膜5のパターン回路領域6を露光し(図1、(B))、PEB及び現像を行って、レジスト上層膜5にレジストパターンを形成する(図1、(C))。この得られたレジストパターンをマスクとして、CF系ガスを用いて珪素含有中間層膜4をエッチングして、珪素含有中間層膜4にパターンを転写する(図1、(D))。
ここで、現像は、アルカリ水溶液を用いたパドル法、ディップ法等が用いられ、特にはテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの2.38質量%水溶液を用いたパドル法が好ましい。まず、室温で10秒〜300秒の範囲で現像液で処理し、その後純水でリンスし、スピンドライあるいは窒素ブロー等によって乾燥する。アルカリ現像によってポジ型レジストの露光部分が溶解し、ネガレジストの場合は露光部分が不溶化する。
有機溶剤現像によってネガパターンを形成することもできる。この時に用いられる現像液は、2−オクタノン、2−ノナノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−ヘキサノン、3−ヘキサノン、ジイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン、メチルアセトフェノン、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸アミル、酢酸ブテニル、酢酸イソアミル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、蟻酸イソブチル、蟻酸アミル、蟻酸イソアミル、吉草酸メチル、ペンテン酸メチル、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル、乳酸ブチル、乳酸イソブチル、乳酸アミル、乳酸イソアミル、2−ヒドロキシイソ酪酸メチル、2−ヒドロキシイソ酪酸エチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、酢酸フェニル、酢酸ベンジル、フェニル酢酸メチル、蟻酸ベンジル、蟻酸フェニルエチル、3−フェニルプロピオン酸メチル、プロピオン酸ベンジル、フェニル酢酸エチル、酢酸2−フェニルエチル等から選ばれる1種以上の溶剤である。
次に、レジストパターンと珪素含有中間層膜のパターンをマスクとしてレジスト下層膜3に、酸素プラズマ等のドライエッチング等でパターンを転写する(図1、(E))。本発明のレジスト下層膜材料を用いて形成されたレジスト下層膜のドライエッチングは、酸素ガス又は水素ガスを含有するエッチングガスを用いて行うことが好ましい。また、酸素ガス又は水素ガスに加えて、He、Ar等の不活性ガスや、CO、CO2、NH3、SO2、N2、NO2ガス等を加えることも可能である。
また、上記レジスト上層膜材料として、珪素原子を含有するポリマーを含まないものを用い、レジスト下層膜のエッチングを行う際に、酸素ガス又は水素ガスを含有するエッチングガスを用いることが好ましい。このようなエッチングガスを用いることで、レジスト上層膜の除去と、レジスト下層膜のエッチングを同時に行うことができる。
更に、珪素含有中間層膜のパターンを除去した後、レジスト下層膜のパターンをマスクにして、被加工層2をエッチングして、パターンを形成する(図1、(F))。このとき、被加工層2がSiO2、SiN等であればフロン系ガスを含有するエッチングガスが、ポリシリコン(p−Si)やAl、W等であれば塩素系又は臭素系ガスを含有するエッチングガスが好適である。イオンを打ち込む場合は被加工基板の加工は必ずしも必要ではなく、レジスト下層膜のパターンをマスクにしてイオンの打ち込みを行う。イオンを打ち込む前、あるいは打ち込んだ後に、珪素含有中間層膜とレジスト下層膜を剥離する。この剥離は、CF系のガスやO2系のガスによるドライ剥離、硫酸過酸化水素水やアンモニア過酸化水素水などのウェット剥離によって行うことができる。
また、珪素含有中間層膜に代わって無機ハードマスク中間層膜を形成する際、無機ハードマスク中間層膜のエッチングは常法に従って行えばよい。
また、4層プロセスの場合、有機反射防止膜のエッチングは常法に従って行えばよい。更に、有機反射防止膜のエッチングは、無機ハードマスク中間層膜のエッチングと連続して行ってもよいし、また、有機反射防止膜のみをエッチングしてから、エッチング装置を変えるなどして無機ハードマスク中間層膜のエッチングを行ってもよい。
また、5層プロセスの場合、炭化水素膜のエッチングは常法に従って行えばよい。
以上のように、本発明のレジスト下層膜材料を用いた本発明のパターン形成方法であれば、基板を十分に埋め込むことができ、かつアウトガスの発生を抑えることができるため、半導体装置等の製造工程における微細加工時の欠陥を大幅に低減することが可能となる。従って、本発明のレジスト下層膜及びパターン形成方法は、特に、共ピッチの細いトレンチパターンの埋め込みと、欠陥の発生源となるレジスト下層膜のベーク時のアウトガスの発生を抑えることが求められるFin−FET等の3次元デバイスの製造などに好適である。
以下、実施例、比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの記載によって限定されるものではない。
<上記一般式(2)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の合成>
[合成例1−1]
6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジ(2−ナフトール)45g、37質量%ホルマリン水溶液120g、シュウ酸5g、ジオキサン50gを加え、100℃で24時間撹拌した。反応後、メチルイソブチルケトン500mLに溶解させ、十分な水洗により触媒と金属不純物を除去した後、150℃、2mmHgまで減圧し、水分と溶剤を減圧留去し、以下に示すノボラック樹脂2−1を得た。
ノボラック樹脂2−1
分子量(Mw)=3,100
分散度(Mw/Mn)=3.88
[合成例1−2]
合成例1−1と同様にして、αナフトールフタレイン45g、37質量%ホルマリン水溶液120g、シュウ酸5g、ジオキサン50gを加え、以下に示すノボラック樹脂2−2を得た。
ノボラック樹脂2−2
分子量(Mw)=2,100
分散度(Mw/Mn)=3.67
[合成例1−3]
合成例1−1と同様にして、ナフトフルオレセイン45g、37質量%ホルマリン水溶液120g、シュウ酸5g、ジオキサン50gを加え、以下に示すノボラック樹脂2−3を得た。
ノボラック樹脂2−3
分子量(Mw)=2,600
分散度(Mw/Mn)=3.55
[合成例1−4]
6,6’−(9H−フルオレン−9,9−ジイル)ジ(2−ナフトール)45g、37質量%ホルマリン水溶液60g、シュウ酸5g、ジオキサン50gを加え、80℃で24時間撹拌した。反応後、メチルイソブチルケトン500mlに溶解させ、十分な水洗により触媒と金属不純物を除去した後、150℃、2mmHgまで減圧し、水分と溶剤を減圧留去し、以下に示すノボラック樹脂2−4を得た。
ノボラック樹脂2−4
分子量(Mw)=1,100
分散度(Mw/Mn)=3.86
<上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するノボラック樹脂の合成>
[合成例2−1]
ノボラック樹脂2−1 4.6g、4,5−エポキシ−1,1,1−トリフルオロペンタン2.2g、1−メトキシ−2−プロパノール40g、25質量%苛性ソーダ水0.2gの混合物を、室温で24時間撹拌した。酢酸エチルで希釈後、希硝酸及び超純水で洗浄した後、溶媒を減圧留去し、以下に示すノボラック樹脂1−1 6.8gを得た。この得られたノボラック樹脂1−1を、13C,1H−NMR(核磁気共鳴)及びGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)で分析したところ、以下の分析結果となった。
ノボラック樹脂1−1
分子量(Mw)=4,000
分散度(Mw/Mn)=3.95
[合成例2−2]
ノボラック樹脂2−1 4.6g、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸無水物4.3g、酢酸エチル30g、メタンスルホン酸0.2gの混合物を、70℃で24時間撹拌した。冷却後、希アンモニア水及び超純水で洗浄した後、溶媒を減圧留去し、以下に示すノボラック樹脂1−2 6.6gを得た。この得られたノボラック樹脂1−2を上記と同様にして分析したところ、以下の分析結果となった。
ノボラック樹脂1−2
分子量(Mw)=3,600
分散度(Mw/Mn)=3.90
[合成例2−3]
ノボラック樹脂2−1 4.6g、トリフルオロメタンスルフィン酸無水物5.0g、N,N−ジメチルホルムアミド40g、トリエチルアミン3.0gの混合物を、70℃で24時間撹拌した。冷却後、酢酸エチルで希釈し、続けて超純水で洗浄した後、溶媒を減圧留去し、以下に示すノボラック樹脂1−3 6.9gを得た。この得られたノボラック樹脂1−3を上記と同様にして分析したところ、以下の分析結果となった。
ノボラック樹脂1−3
分子量(Mw)=3,400
分散度(Mw/Mn)=3.89
[合成例2−4]
合成例2−1と同様にして、ノボラック樹脂2−1 4.6g、ノナフルオロブタンスルホン酸クロリド6.4g、N,N−ジメチルホルムアミド40g、トリエチルアミン3.0gの混合物から、以下に示すノボラック樹脂1−4 10.2gを得た。この得られたノボラック樹脂1−4を上記と同様にして分析したところ、以下の分析結果となった。
ノボラック樹脂1−4
分子量(Mw)=4,200
分散度(Mw/Mn)=4.25
[合成例2−5]
ノボラック樹脂2−1 4.0gをテトラヒドロフラン40mLに溶解させ、更にメタンスルホン酸0.01g、2,2,2−トリフルオロエチルビニルエーテル1.7gを加えて室温で1時間反応させた後、30質量%アンモニア水0.25gを加えて反応を停止させた。得られた反応溶液を、酢酸水1L中で晶出沈殿させ、更に水洗を2回行った後、濾過することで得られた白色固体を、40℃で減圧乾燥し、以下に示す白色重合体を得た。この得られた重合体をノボラック樹脂1−5とし、上記と同様にして分析したところ、以下の分析結果となった。
ノボラック樹脂1−5
分子量(Mw)=3,800
分散度(Mw/Mn)=4.00
<実施例1−1〜1−10、比較例1−1、1−2>
[レジスト下層膜材料の調製]
上記ノボラック樹脂1−1〜1−5、ノボラック樹脂2−1〜2−4、及び下記に示されるモノマー1〜6を、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に、表1に示す割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってレジスト下層膜材料(下層膜材料1〜10、比較下層膜材料1、2)をそれぞれ調製した。
(屈折率測定)
上記で調製したレジスト下層膜材料(下層膜材料1〜10、比較下層膜材料1、2)をシリコン(Si)基板上に塗布して、350℃で60秒間ベークして、それぞれ膜厚100nmのレジスト下層膜を形成した。レジスト下層膜の形成後、入射角度可変のJ.A.ウーラム社製分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求めた。その結果を表1に示す。
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(昇華物測定)
製造したレジスト下層膜材料(下層膜材料1〜10、比較下層膜材料1、2)を、それぞれSi基板上に塗布し、表2に記載の条件で焼成し、ベーク中にホットプレートオーブン中に発生するパーティクルを、リオン社製パーティクルカウンターKR−11Aを用いて0.3μmと0.5μmサイズのパーティクル数について測定した。結果を表2に示す。
上記結果より、下層膜材料1〜10及び比較下層膜材料2は、比較下層膜材料1に比べて、ベーク中のパーティクルの発生が少ないことから、アウトガスの発生が低減されており、焼成用オーブンを汚染しにくいことが分かった。また、いずれの下層膜材料も、十分な耐熱性を有することが分かった。
(段差基板上の埋め込み評価)
<実施例2−1〜2−10、比較例2−1、2−2>
段差基板として、膜厚500nm、サイズ160nm、ピッチ320nmのSiO2膜の密集ホールパターンが形成されたSi基板を使用した。製造したレジスト下層膜材料(下層膜材料1〜10、比較下層膜材料1、2)を、平坦なSi基板上で95nm膜厚となるように段差基板のSiO2膜上に塗布した後、ウェハーを割断してホールの底までレジスト下層膜材料が埋め込まれているかどうかSEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。結果を表3に示す。
上記表3に示される結果より、下層膜材料1〜10は、高アスペクトな段差基板においても埋め込み特性が良好であり、かつ表2の結果と併せて、アウトガスの発生を抑えていることが分かる。一方、比較下層膜材料1、2では、埋め込み特性の確保とアウトガスの低減の両立ができていないことが分かった。
<実施例3−1〜3−10、比較例3−1、3−2>
[珪素含有中間層膜材料の調製]
下記に示される珪素含有ポリマー及び酸発生剤PAG1を、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に、表4に示される割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによって珪素含有中間層膜材料を調製した。上記で調製した珪素含有中間層膜材料を、Si基板上に塗布して、200℃で60秒間ベークしてそれぞれ膜厚40nmの珪素含有中間層膜を形成した。珪素含有中間層膜の形成後、入射角度可変のJ.A.ウーラム社製分光エリプソメーター(VASE)で波長193nmにおける屈折率(n,k)を求め、その結果を表4に示す。
[レジスト上層膜材料の調製]
下記に示されるレジストポリマー、酸発生剤PAG2、クエンチャーを、FC−4430(住友スリーエム社製)0.1質量%を含む有機溶剤中に、表5に示される割合で溶解させ、孔径0.1μmのフッ素樹脂製のフィルターで濾過することによってレジスト上層膜材料(ArF用レジスト膜材料)を調製した。
レジストポリマー
分子量(Mw)=7,500
分散度(Mw/Mn)=1.92
[パターンエッチング試験]
製造したレジスト下層膜形成材料(下層膜材料1〜10、比較下層膜材料1、2)を、膜厚80nmのSiO2膜が形成された300mmSiウェハー基板上に塗布して、350℃で60秒間ベークして膜厚100nmのレジスト下層膜を形成した。なお、レジスト下層膜のベーク雰囲気は空気中とした。その上に上記調製した珪素含有中間層膜材料を塗布して200℃で60秒間ベークして膜厚35nmの珪素含有中間層膜を形成し、その上にArF用レジスト膜材料を塗布し、105℃で60秒間ベークして膜厚100nmのArF用レジスト膜を形成した。
次いで、上記のようにして3層の膜を形成したSiウェハー基板を、ArF液浸露光装置(ニコン社製;NSR−S610C,NA1.30、σ0.98/0.65、35度ダイポールs偏光照明、6%ハーフトーン位相シフトマスク)で露光し、100℃で60秒間ベーク(PEB)し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液で30秒間現像し、43nm1:1のポジ型のラインアンドスペースパターンを得た。
次いで、東京エレクトロン社製エッチング装置Teliusを用いてドライエッチングによって、上記形成したレジストパターンをマスクにして珪素含有中間層膜にパターンを転写した。更に、同様にドライエッチングによって、パターンを転写した珪素含有中間層膜をマスクにして、レジスト下層膜にパターンを転写し、パターンを転写したレジスト下層膜をマスクにして、SiO2膜にパターンを転写した。
エッチング条件は下記に示すとおりである。
珪素含有中間層膜への転写条件
チャンバー圧力 10.0Pa
RFパワー 1,500W
CF4ガス流量 15sccm(mL/min)
O2ガス流量 75sccm(mL/min)
時間 15sec
レジスト下層膜への転写条件
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 500W
Arガス流量 75sccm(mL/min)
O2ガス流量 45sccm(mL/min)
時間 120sec
SiO2膜への転写条件
チャンバー圧力 2.0Pa
RFパワー 2,200W
C5F12ガス流量 20sccm(mL/min)
C2F6ガス流量 10sccm(mL/min)
Arガス流量 300sccm(mL/min)
O2ガス流量 60sccm(mL/min)
時間 90sec
次に、エッチング後のウェハーを割断して、日立製作所社製電子顕微鏡(S−4700)にてパターン断面を観察し、各エッチング段階におけるエッチング後のパターン形状や、SiO2膜のエッチング後のパターンのよれを比較した。結果を表6に示す。
上記表6に示される結果より、本発明のレジスト下層膜材料を用いれば、従来型のレジスト下層膜と同様にドライエッチング後においても良好なパターンを形成できることが分かった。また、いずれの下層膜材料も、十分なドライエッチング耐性を有することが分かった。