JP6419460B2 - ビオチン化合物、ビオチン標識化剤及びタンパク質集合体 - Google Patents

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本発明は、ビオチン化化合物、ビオチン標識化剤、及びタンパク質集合体に関する。
ゲノム情報ならびにタンパク質構造情報の蓄積に伴い、タンパク質の機能性分子としての価値が高まっている。また、タンパク質を単体として利用するのみならず、積極的に多量体化したり、異種分子と複合化したりすることで、タンパク質機能の効果の上昇が期待出来る。そのような研究においては、タンパク質本来の機能を損なわずに、タンパク質間を部位特異的に連結する技術が必要とされる。
バイオリファイナリーとは、再生可能資源であるバイオマスを資源として、バイオ燃料や化学製品を生産することを言い、石油使用量や二酸化炭素発生量の減少などの利点から、近年注目を集めている。しかしながら、植物性バイオマス中の約1/2を占めるセルロースは、多数のグルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子である分子内・分子間及び層間水素結合により極めて安定した結晶構造を取るため、その分解には強酸や高温、高圧といった過酷な条件下で多量のエネルギーが必要となることが実利用の観点から問題とされている。
また植物性バイオマスは作物系と木質系の2つに大別されるが、食料問題との競合から糖化・発酵の行い易い作物系ではなく、特に結晶構造が強固な木質系バイオマスをいかにグルコースへと分解するかが肝要となっている。一方で、自然界においてセルロースは、セルロース分解性の微生物によって常温、常圧下で分解されている。この反応を行っているのがセルロース分解酵素セルラーゼであり、将来的にセルロース系バイオマスを資源として利用するためには、このセルラーゼを上手く利用して酵素糖化率を向上させる必要がある。
自然界ではこれに加えて、バイオマス分解酵素群を高度に集積化させた集合体“セルロソーム”を形成することにより、糖化反応効率を向上させている。セルロソームとは、セルロース系バイオマスに作用して、その分解を行う複合酵素集合体であり、セルラーゼやヘミセルラーゼ等の酵素が、相互作用を行う足場タンパク質であるコヘシンとドックリンとの特異的相互作用により高度に集積した構造を有し、セルロース結合ドメインによってセルロース基質への吸着を促進する機能も有している。セルロソーム形成により、異なる機能を有するタンパク質やペプチドを1次元に集積化することで、遊離酵素と比べて大幅な糖化効率の向上が達成されている。
これまでにアビジン―ビオチン相互作用を用いて二量体酵素であるアルカリホスファターゼの特定部位をビスビオチン化し、これをストレプトアビジンと混合することで、自発的に1次元状の酵素集合体を得られることが知られている(図1、特許文献1)。具体的には二量体型酵素の対角線上の特定の位置に、ストレプトアビジンの4次構造に合わせた2分岐型のビスビオチン化基質を用いて修飾を行い、ストレプトアビジンと混合することで”ひも状”の1次元酵素集合体の構造制御に成功している。
国際公開2013/084526号パンフレット
特許文献1に開示されている2分岐型のビスビオチン化基質を用いる際には、タンパク質が少なくとも多量体構造を有していなければならず、単量体タンパク質を集合体化することが困難である。また、集合体化を施すにしても、タンパク質又はペプチドが発揮する機能を妨げないような特定の位置を探索して、その位置にビスビオチン化を施すといった工夫が必要となっている。さらに、多量体構造を有するタンパク質全体の立体構造や多量体タンパク質であっても、サブユニット同士の結合が脆弱であれば、多量体構造を維持させることが困難である。
本発明は、タンパク質又はペプチドがとる立体構造に影響されることなく、容易にタンパク質又はペプチドの集合体を作製することを目的とする。
本願発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規ビオチン化合物を設計・合成し、これをテトラビオチン型のラベル化試薬としてトランスグルタミナーゼ(MTG)と共に用いて、単量体構造を有する酵素をテトラビオチン化することで、斯かる酵素の集合体が形成できることを見出した。
本発明は斯かる知見に基づいて完成されたものであり、以下に示す広い態様の発明を包含するものである。
項1 式(1)又は式(2)で表されるビオチン化合物:
Figure 0006419460
Figure 0006419460
(式(1)及び(2)のR1〜R7は、同一又は異なってアミノ酸残基又はペプチド残基であり、該アミノ酸残基のカルボキシル基又はペプチド残基のカルボキシル末端のカルボキシル基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するアミノ基とペプチド結合を形成し、該アミノ酸残基のアミノ基又はペプチド残基のアミノ末端のアミノ基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するカルボニル基とペプチド結合を形成する。)。
項2 R1〜R7に示されるアミノ酸残基が、同一又は異なってグリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、及びセリン残基からなる群より選択される1種である、請求項1に記載のビオチン化合物。
項3 R1〜R7に示されるペプチド残基が、グリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、及びセリン残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む、上記項1に記載のビオチン化合物
項4 式(3)又は式(4)で表されるビオチン化合物:
Figure 0006419460
Figure 0006419460
項5 上記項1〜項4の何れか1項に記載のビオチン化合物を含む、タンパク質又はペプチドに対するビオチン標識化剤。
項6 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも一つ含む上記項5に記載のビオチン標識化剤。
項7 上記項5又は上記6に記載のビオチン標識化剤とトランスグルタミナーゼを含む、タンパク質又はペプチドのビオチン標識化キット。
項8 トランスグルタミナーゼが微生物由来である、上記項7に記載のビオチン標識化キット。
項9 以下の工程1〜3を含む、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法:
(1)項1〜項4の何れか1項に記載のビオチン化合物とタンパク質又はペプチドを、トランスグルタミナーゼの存在下で混合して接触させる工程(1)、
(2)工程(1)にて得られる混合物を、前記トランスグルタミナーゼの至適活性条件下におく工程(2)、及び
(3)工程(2)にて得られる混合物から、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドを回収する工程(3)。
項10 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも1つ含む上記項9に記載の製造方法。
項11 トランスグルタミナーゼが微生物由来である、上記項8又は上記項9に記載の製造方法。
項12 以下の工程(A)及び(B)を含む、タンパク質又はペプチドの集合体の製造方法:
(A)項1〜項4の何れか1項に記載のビオチン化合物を用い、トランスグルタミナーゼの存在下でビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドと、アビジン化合物とを混合して接触させる工程(A)及び
(B)工程(A)にて得られる混合物から、タンパク質又はペプチドの集合体を回収する工程(B)。
項13 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも1つ含む上記項12に記載の製造方法。
項14 トランスグルタミナーゼが微生物由来である、上記項12又は項13に記載の製造方法。
項15 アビジン化合物が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、AVRタンパク質、ブラダビジン、リザビジン、タマビジンからなる群より選択される少なくとも1種である上記項1〜項1の何れか1項に記載の製造方法。
本発明によると、タンパク質又はペプチドの立体構造に依らず、容易にタンパク質又はペプチドの集合体を形成させることができる。
本発明によって形成されたタンパク質又はペプチドの集合体は、斯かるタンパク質又はペプチドそのものが発揮する作用を減衰することなく、寧ろその作用が強まる。
従来のビオチン化合物を用いたタンパク質集合体の作成方法を説明する図。 実施例1におけるRP−HPLCによる解析結果を示す図。 実施例1におけるRP−HPLCによる解析結果を示す図。 実施例1におけるSECによる解析結果を示す図。 実施例1におけるAFM写真像。 実施例1におけるSECによる解析結果を示す図。 実施例1におけるセルロースの糖化反応を検討した実験結果を示す図。 実施例1におけるセルロースの糖化反応を検討した実験結果を示す図。 実施例2におけるSECによる解析結果を示す図。 実施例2におけるOVAのELISA結果を示す図。 (bis(bis(biotin−GEG)K)KGLQG)のMS解析結果を示す図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。 本願発明を説明する図。
<ビオチン化合物>
本発明に係るビオチン化合物は、下記式(1)又は式(2)にて表される。
Figure 0006419460
Figure 0006419460
式(1)及び式(2)のR1〜R7は、同一又は異なってアミノ酸残基又はペプチド残基であり、該アミノ酸残基のカルボキシル基又はペプチド残基のカルボキシル末端のカルボキシル基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するアミノ基とペプチド結合を形成し、該アミノ酸残基のアミノ基又はペプチド残基のアミノ末端のアミノ基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するカルボニル基とペプチド結合を形成している。
式(1)及び式(2)のR1〜R7がアミノ酸残基である場合のアミノ酸残基は、それぞれ同一であっても異なっていてもよく、それぞれ1つ以上のカルボキシル基とアミノ基を有する化合物であると定義される広義のアミノ酸から、それが有するアミノ基の水素原子及びカルボキシル基の水酸基が除かれて得られるアミノ酸残基であればよい。すなわち、アミノ酸残基とは、天然アミノ酸に由来するアミノ酸残基であっても、非天然アミノ酸に由来するアミノ酸残基であってもよい。
具体的なアミノ酸残基は、特に限定はされないが、例えば本発明に係るビオチン化合物が分子的に自己集合することなく、水に対する溶解度を高くする観点から、グリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、セリン残基等が好ましい。
式(1)及び式(2)のR1〜R7がペプチド残基である場合のペプチド残基の種類はそれぞれ同一であっても異なっていてもよく、上述のアミノ酸残基がペプチド結合し、且つペプチド主鎖のアミノ末端のアミノ基から水素原子及びペプチド主鎖のカルボキシ末端のカルボキシル基から水酸基が除かれて得られるペプチド残基であればよい。
具体的なペプチド残基は、特に限定はされないが、例えば本発明に係るビオチン化合物が分子的に自己集合することなく、水への溶解度を高くする観点から、グリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、セリン残基等のアミノ酸残基を含むペプチド残基であることが好ましい。
本発明に係るビオチン化合物の中でも、下記式(3)、下記式(4)等で表される化合物が好ましい。
Figure 0006419460
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なお、本明細書において式()にて表されるビオチン化合物を、bis(bis(biotin−GGG)−K)−KGLQGと呼ぶことがあり、式()にて表される化合物を、bis(bis(biotin−GEG)−K)−KGLQGと呼ぶことがある。
本発明のビオチン化合物は、ビオチン、各種構成アミノ酸残基に基づくアミノ酸を原料にし、例えば固相合成法のような一般的なFmocペプチド合成方法を採用すれば製造すればよい。具体的なペプチド合成方法として、例えば以下の手順による方法が挙げられる。当然以下に示す方法に限定されることはなく、適宜変更を施したメソッドを採用してもよい。
1)PD−10カラムを組み立て、その中に0.1mmol分のFmoc−Gly−Alko resinを添加する。
2)3mLのDMFで一晩震盪し、樹脂の膨潤を行う。
3)3mLのDMFで3回洗浄し、安定剤の除去を行う。
4)3mLの20%PPD/DMFで1回洗浄し、Fmocの脱保護を行う。
5)3mLの20%PPD/DMFで15分震盪し、Fmocの脱保護を行う。
6)3mLのDMFで3回洗浄する。
7)0.5mmolのFmoc−各種アミノ酸及び0.45MのHBTU,2.1mLのHOBt/DMF溶液、0.7mLの0.9M DIEA/DMF溶液を加え、適当な時間で震盪する。
8)3mLのDMFで3回洗浄する。なお、ここでKaiserテストによって未反応樹脂の確認を行ってもよい。テスト結果が陽性の場合、上記の7)に戻りアミノ酸を再伸長させてもよい。テスト結果が陰性の場合、以下の操作を先に進めればよい。
9)3mLのDCMで3回洗浄する。
10)3mLのDMFで3回洗浄する。
11)3mLの20%PPD/DMFで1回洗浄し、Fmocの脱保護を行う。
12)3mLの20%PPD/DMFで15分震盪し、Fmocの脱保護を行う。
13)3mLのDMFで3回洗浄する。
14)上記7)から13)までを繰り返し、目的のビオチン化合物となるようにそれを構成するアミノ酸を伸長させる。例えば、Fmoc−Lys(Fmoc)−OH、Fmoc−Gly等の化合物を、適宜採用して伸長させる。
15)アミノ酸を伸長させた樹脂に、ビオチン、及び0.45MのHBTU、2.1mLのHOBt/DMF溶液、0.7mLの0.9M DIEA/DMF溶液を加え、適当な時間で震盪する。
16)3mLのDCMで5回、3mLのDMFで5回、3mLのメタノールで5回洗浄後、一晩真空乾燥する。
17)TFA、TIS、及び脱イオン水をそれぞれ95:2.5:2.5で混合した2.5mLのカクテルを添加して1時間攪拌し、樹脂からの切り出しを行う。
18)全ての伸長操作の後切り出した溶液に対して、40mLのジエチルエーテルを添加して析出させ、凍結乾燥により粗ペプチドが得られる。
19)得られた粗ペプチドを下記の条件でペプチド由来の230nmの吸収を追跡する事でHPLCによって精製し、生成物に相当するフラクションを回収し、凍結乾燥させる。HPLCの条件は、カラムとして、inertsil ODA−3(10×250mm)を用い、移動相として0.1%のTFA/Milli−Q水(A)及びアセトニトリルを用い、10%の(B)から70%の(B)を30分でグラジエントをかけるか、70%の(B)から10%の(B)を40分でグラジエントをかけるかすればよい。
<ビオチン標識化剤>
本発明に係るビオチン標識化剤は、上述の本発明に係るビオチン化合物を含み、タンパク質又はペプチドをビオチン標識することに専ら好適に用いられる。
本発明に係るビオチン標識化剤100重量部あたり、0.0001〜100重量部含まれていればよい。すなわち、上述の本発明に係るビオチン化合物をそのまま本発明に係るビオチン標識化剤としてもよく、タンパク質又はペプチドへのビオチン標識を妨げない範囲において、他の成分が含まれていてもよい。
本発明に係るビオチン標識化剤が対象とするタンパク質又はペプチドは、特に限定はされないが、斯かるタンパク質又はペプチドのアミノ酸配列内に配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも1つ含んでいることが好ましい。中でも、配列番号4に示すアミノ酸配列を含んでいることが好ましい。
タンパク質又はペプチドのアミノ酸配列内に配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列が含まれる位置は特に限定はされないが、例えば、タンパク質又はペプチドとして、エンドグルカネース又はβグルコシダーゼが採用される場合、上記配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列が、エンドグルカネース又はβグルコシダーゼのアミノ酸配列のC末端領域に含まれていることが好ましい。
このような配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を有するタンパク質又はペプチドは、公知の遺伝子工学的手段又はペプチド合成手段を採用することによって容易に得ることができる。
<ビオチン標識化キット>
本発明に係るビオチン標識化キットは、上述のビオチン標識化剤及びトランスグルタミナーゼを含む。
トランスグルタミナーゼとは、グルタミン残基と、リジン残基又は一級アミン基を有する化合物との間でのアシル転移反応を触媒する酵素であれば特に限定はされないが、微生物由来のトランスグルタミナーゼであること好ましい。具体的な微生物も特に限定はされないが、Streptomyces mobaraensis由来のトランスグルタミナーゼであり、NCBI Accession No.Q8KRJ2P81453に示されるアミノ酸配列を有するトランスグルタミナーゼが好ましい。
本発明に係るビオチン標識化キットには、更にキットを提供する分野で通常用いられているバッファー、マニュアル、ディスポーザブルカラム等といった公知の構成物品、試薬等が含まれていてもよい。
<ビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法>
本発明に係るビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法は、以下に示す工程(1)〜(3)を含む。
(1)本発明に係るビオチン化合物とタンパク質又はペプチドを、トランスグルタミナーゼの存在下で混合して接触させる工程(1)、
(2)工程(1)にて得られる混合物を、前記トランスグルタミナーゼの至適活性条件下におく工程(2)、及び
(3)工程(2)にて得られる混合物から、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドを回収する工程(3)。
工程(1)について
本発明に係るビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法における工程(1)は、本発明に係るビオチン化合物とタンパク質又はペプチドを、トランスグルタミナーゼの存在下で混合して接触させる工程である。
タンパク質又はペプチド並びにトランスグルタミナーゼは、共に特に限定されることなく、上述の本発明に係る<ビオチン標識化剤>にて説明した通りとすることができる。
接触させる際の条件等は、特に限定されることはなく、例えば特許文献1のビオチン標識化方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
本発明に係るビオチン化合物、及びタンパク質又はペプチドの使用量についても同様に、特許文献1のビオチン標識化方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
工程(2)について
本発明に係るビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法における工程(2)は、上記工程(1)にて得られる混合物を、前記トランスグルタミナーゼの至適活性条件下におく工程である。
具体的なトランスグルタミナーゼの至適活性条件は、特に限定されることはなく、例えば特許文献1のビオチン標識化方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
トランスグルタミナーゼの使用量についても同様に、特許文献1のビオチン標識化方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
工程(3)について
本発明に係るビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法における工程(3)は、上記工程(2)にて得られる混合物から、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドを回収する工程である。
工程(3)では、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドを回収するとともに、適宜公知の手段を用いて更に精製する工程が含まれていてもよい。
本発明に係るビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法によって得られるビオチン標識化タンパク質又はペプチドは、アビジン化合物と共に用いることによって、分子生物学的検出手段に好適に用いることができる。特に、下記に示すようにアビジン化合物と共に用いることによるタンパク質又はペプチドの集合体を形成させるのに好適にも強いることができる。
<タンパク質又はペプチドの集合体の製造方法>
本発明に係るタンパク質又はペプチドの集合体の製造方法は、以下の工程(A)及び(B)を含む。
(A)本発明に係るビオチン化合物を用い、トランスグルタミナーゼの存在下でビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドと、アビジン化合物とを混合して接触させる工程(A)及び
(B)工程(A)にて得られる混合物から、タンパク質又はペプチドの集合体を回収する工程(B)。
工程(A)について
本発明に係るタンパク質又はペプチドの集合体の製造方法における工程(A)は、本発明に係るビオチン化合物を用い、トランスグルタミナーゼの存在下でビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドと、アビジン化合物とを混合して接触させる工程である。
タンパク質又はペプチド並びにトランスグルタミナーゼは、共に特に限定されることなく、上述の本発明に係る<ビオチン標識化剤>にて説明した通りとすることができる。
工程(A)におけるビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドの入手手段は特に限定はされないが、例えば、上述の本発明に係る<ビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法>を採用することができる。
アビジン化合物はビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドの電荷等の特性に応じて適宜選択すればよく、特に限定はされないが、例えば、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、AVRタンパク質、ブラダビジン、リザビジン、タマビジン等が挙げられる。
接触させる際の条件等は、特に限定されることはなく、例えば特許文献1のタンパク質又はペプチド集合体の製造方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
ビオチン標識化されたタンパク質又はペプチド及びアビジン化合物の使用量についても同様に、特許文献1のビオチン標識化方法に記載された条件を適宜変更して採用すればよい。
工程(B)について
本発明に係るタンパク質又はペプチドの集合体の製造方法における工程(B)は、工程(A)にて得られる混合物から、タンパク質又はペプチドの集合体を回収する工程である。
工程(B)では、タンパク質又はペプチドの集合体を回収するとともに、適宜公知の手段を用いて更に精製する工程が含まれていてもよい。
本発明に係るタンパク質又はペプチドの集合体の製造方法によって得られるタンパク質又はペプチドの集合体は、集合体を形成するタンパク質又はペプチドそのものが発揮する効果よりも相乗的に上昇した効果を発揮する。例えば、斯かる効果がセルラーゼに起因するセルロース分解活性であれば、得れるタンパク質又はペプチドの集合体はセルロソームとして有用であり、ベータグルコシダーゼ活性であれば、免疫学的測定法における検出感度を著しく上昇させることができるといった効果が期待できる。
以下に、本発明をより詳細に説明するための実施例を示すが、本発明が以下に示す実施例に限定されないのは言うまでもない。
<実施例1>
エンドグルカナーゼ(EG)の触媒ドメイン(CDEG)とセルロース結合ドメイン(CBM)からなる人工セルロソーム系を構築し、異種タンパク質からなる1次元タンパク質集合体の形成が可能なこと、それによる集合体の機能向上が可能なことを明らかにした。
1.新規テトラビオチン化基質Q−biotin のペプチド合成
化学式()に示すtetra−biotin化基質ペプチドbis(bis(biotin−GGG)−K)−KGLQG(以下Q−biotinと呼ぶこともある。)は、Fmoc固相合成法の手順に従って合成した。
樹脂はFmoc−Gly−Alko resinを用いた。合成スケールは0.2mmolで行った。縮合カクテルは、(1−Cyano−2−ethoxy−2−oxoethylidenaminooxy)dimethylamino−morpholino− carbenium hexafluorophosphate、N,N−diisopropylethylamineを用いた。trifluoroacetic acid、triidopropylsilane、脱イオン水を95:2.5:2.5で混合したカクテル2.5mLを添加し、1時間攪拌し、樹脂からの切り出しを行った。切り出した溶液に対して、diethyl etherを40mL添加し、析出させ、凍結乾燥により粗ペプチドを得た。得られた粗ペプチドを表1に示す条件でペプチド由来の230nmの吸収を追跡する事でRP−HPLCによって精製し、生成物に相当するフラクションを回収し、凍結乾燥させた。同定はMALDI−TOF MS及びRP−HPLCによって行った。
Figure 0006419460
2.Q−biotin とDansyl Cadaverine(DC)のMTG反応確認
今回合成したQ−biotinがMTGによって認識されるのかどうかを、MTGのK側(一級アミン)基質であるdansyl cadaverine(DC)を用いて確認した。酵素反応はTBS緩衝液(25mMのTris−HCl、137mMのNaCl、2.37mMのKCl、pH7.4)中に、最終濃度が1μM、20μM、0.1U/mLとなるようにDC、Q−biotin、MTGを加え、それらを良く攪拌し、25°Cで30分間静置させることで行った。反応後のサンプルを表1に示す条件でRP−HPLCを用いた分析を行い、このときDC由来の333nmの吸収を追跡する事によってMTGの架橋反応を確認した。
3.Q−biotin を用いた各種タンパク質のビオチン化
Figure 0006419460
K−tag proteinとQ−biotinを用いて、MTG架橋反応による各種タンパク質のビオチン化を行った。酵素反応はTBS緩衝液中に、最終濃度が10μM、200μM、0.5U/mLとなるように、表2に示すようにC末端に変異が施された各種K−tag protein(K−tag CDEG、K−tag EG、K−tag CBM)、Q−biotin、MTGを加え、それらを良く攪拌し、37°Cで3時間静置させることで行った。
反応後のサンプルについてSDS−PAGEを行い、CBBによりゲルの染色を行った。Ni−NTAカラムを用いたHis−tag精製により、過剰の未反応の基質とビオチン化タンパク質(b−CDEG、b−EG、及びb−CBM)を単離し反応を終了させた。精製後のサンプルについてviva spinカラムで回収緩衝液(20mMのTris−HCl、200mMのNaClpH、8.0)への交換を、溶出時の緩衝液が0.1%以下になるまで行った。
4.HABA法によるビオチンラベル化率の算出
4−1.試薬の調製
24.2mgの4−hydroxy−azobenzene−2’−carboxylic acid(HABA)を9.9mLの超純水に溶解させ、100μLの1MのNaOHを添加した(HABA溶液)。10mgの卵白由来avidinを20mLのメスフラスコに入れ、先に調製したHABA溶液を600μL加えた後、PBSでメスアップした(HABA−avidin溶液)。
4−2.測定方法
1mL石英セルにHABA−avidin溶液を900μLとり、500nmに於ける吸収を測定した。この時の値をAbs(A)とした。次に10μMb−CDEG溶液100μL添加し、吸光度が安定した時の500nmの吸収を測定した。この値をAbs(B)とした。吸光度を下記の数式に当てはめ、サンプル中のビオチン濃度からビオチンのラベル化率を算出した。
[ビオチン]=10−3×(0.9×Abs(A)ーAbs(B))/34
ビオチン化率=[ビオチン]/[各種タンパク質]
以後、本明細書において[物質名]との記載は、物質名の濃度を意味する。
5.b −CD EG 、b −EGを用いたセルロースの糖化反応
酵素糖化反応は、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中に、最終濃度が0.5wt%のAvicel(結晶性セルロース基質)若しくは0.05wt%のcarboxymethyl cellulose(CMC:可溶性セルロース基質)と、100nMのb−CDEG、b−EGとなるように調製したサンプルを混合し、50°Cで攪拌させることで行った。糖化反応の評価は、3,5,−dinitrosalicylic acid(DNS)法を用いて生成した還元末端の定量にて行った。0、1、3、6、12、24、及び48時間の時点で100μLサンプリングを行い、それぞれについて100μLのDNS試薬を加え、攪拌後99°Cで5分間加熱した。加熱後すぐにヴォルテックスにて撹拌し、氷浴上で2分間静置することで常温まで冷却した。150,000rpmで1分間遠心分離を行い、得られた上清を96穴プレートに100μL/wellの量で添加し、プレートリーダーで540nmの吸収を測定することで還元末端量の定量を行った。
6.ストレプトアビジン添加による酵素集合体の形成
集合体の形成はTBS緩衝液中に、最終濃度が2μMのb−CDEG若しくはb−EG及び1、2、4、8、若しくは16μMとなるようにストレプトアビジン(以下、SAと呼ぶことがある。)を加えたサンプルを激しく攪拌した後、30分間室温で静置し集合体の形成を行った。このとき、サンプル中の混合比は[SA monomer(mSA)]/[biotin]=1/8、1/4、1/2、1、又は2である。集合体形成後のサンプルについてサイズ排除カラムクロマトグラフィー(SEC)にて分画し、集合体形成の挙動を追跡した。SECによる分析は20mMのTris−HCl、200mMのNaCl(pH8.0)、流速0.5mL/minにて280nmの吸収を追跡することにより行った。
同様にして、b−EGの最終濃度は2μMで固定し、2、8,若しくは18μMの最終濃度となるようにしたb−CBM又は4、10、又は20μMのSAを加えたサンプルについて、激しく攪拌した後30分間室温で静置し、集合体の形成を行った。このとき、サンプル中の混合比は[SA monomer]/[biotin]=1である。集合体形成後のサンプルについてサイズ排除カラムクロマトグラフィー(SEC)にて分画し、集合体形成の挙動を追跡した。SECによる分析は20mMのTris−HCl、200mMのNaCl(pH8.0)、流速0.5mL/minにて280nmの吸収を追跡することにより行った。
7.新規自己集合性人工セルロソームを用いた結晶性セルロースの糖化反応
酵素糖化反応は、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中に、最終濃度が0.5wt%のAvicel、及び100nMのb−CDEG又はb−EGを含む酵素集合体:(CDEG−SA)集合体、(EG−SA)集合体、(EG/CBM−SA)集合体となるように調製したサンプルについて、50°Cで攪拌させることで行った。生成還元末端の定量については実験項5と同様にして行った。
(結果と考察)
1.新規テトラビオチン化基質のペプチド合成
Q−biotinをRP−HPLCにより精製した後のMALDI−TOF MS解析結果を行った。図2に示すように、理論分子量によく一致した単一ピークが観察され、RP−HPLCにおいても単一のピークが観察されたことから、Q−biotinの合成に成功したと判断し、以降の実験はこのサンプルを用いて検討を行った。
Q−biotin:bis(bis(biotin−Gly−Gly−Gly)−Lys)−Lys−Gly−Leu−Gln−Gly
白色粉末、MALDI−Tof MS;m/z:calculated for C971553129Na([M+Na])2370.6,found2370.1
2.Q−biotin とDansyl Cadaverine(DC)のMTG反応確認
Q−biotinがMTGによって認識されるか評価する為に、MTGのリジン残基側の基質であるDCとの架橋反応を試みた。評価はRP−HPLCによって、DC由来の333nmの吸収を追跡し、比較する事によって行った。結果を図3に示す。DC由来のピークが17.057minにおいて観察され、Q−biotin存在下でもピーク位置はほぼ変化しなかった。これに対し、MTGによる架橋化反応を行ったサンプルにおいては、新たに28.285minにピークが出現した。PR−HPLCにおけるピーク面積から算出された反応率は86%であった。このピークに相当するフラクションを回収し、MALDI−TOF MSによる分析を行った所、Q−biotinとDCの架橋体に相当する分子量であったことから、よって今回新規に合成したビオチン化基質であるQ−biotinはMTGによって認識されることを確認した。
Bis(bis(biotin−Gly−Gly−Gly)−Lys)−Lys−Gly−Leu−Gln−GlyーDC
MALDI−Tof MS;m/z:calculated for C1141773331Na([M+Na])2689.1,found 2689.4
3.Q−biotin を用いたタンパク質のビオチン化と評価
Q−biotinを用いてMTGによるビオチン化反応を行ったサンプルについてSDS−PAGEによる分析を行った。32kDa付近にCDEG由来のバンドが、48kDa付近にEG由来のバンドが、13kDa付近にCBM由来のバンドが、そして37kDa付近にMTG由来のバンドが観察された。MTG反応後のレーンにおいて、修飾されたQ−biotinに由来する高分子量側へのバンドシフトが観察された。このことから、MTGによってQ−biotinが目的タンパク質に導入されたことが示唆された。同様に、反応時間の最適化を行った所、反応開始3時間でほぼ全てのK−tag proteinが反応している様子が観察された。また、HABA法を用いてビオチン化率を測定した。結果を表3に示す。
HABAはpH7.0〜7.6の範囲でavidinと結合し、500nm(ε=34,000dm/molcm)に吸収を持つ黄橙色のHABA−avidin集合体を形成する。HABA−avidinのアフィニティ(K=10−8−1)に比べてavidin−biotin間のアフィニティが強いため(K=10−15−1)、biotinが存在するとavidinと結合していたHABAがbiotinに置換され、500nmにおける吸光値が減少する。
この吸光値の変化は溶液中のbiotin分子数に相関するため、この原理を利用してビオチン化率を算出する。テトラビオチン化基質であるQ−biotinが修飾されている場合、K−tag protein1分子につき4分子のbiotinが修飾されるため、理論値はビオチン化率4.00となる。今回調製したK−tag proteinのビオチン化率を表3に示す。
Figure 0006419460
この結果より、3種類のK−tag proteinに対し、ほぼ定量的なビオチン化反応を達成した。
次に、ビオチン修飾後のサンプルについて活性測定を行い、ビオチン修飾後の残存活性を測定した。今回、基質として可溶性セルロース基質であるCMCと結晶性セルロース基質であるAvicelを用いて活性測定を行った。ビオチン修飾前の活性を1.00とした比活性を表4に示す。
Figure 0006419460
僅かに活性の低下が見られたものの、十分な活性を維持しており、これはMTGによるペプチドタグ選択的ビオチン化によるものであると考えられた。活性の低下については、修飾されたbiotin基が基質取り込みを阻害している可能性が考えられた。
4.SA添加による酵素集合体の形成
SECによる分析を行った結果を図4に示す。b−CDEG及びSA単体では、溶出時間15.6mL及び16.0mLの位置にピークが観察された。次に、b−CDEGの濃度を一定にして、SAを加えた場合、b−CDEGのピーク強度が減少し、新たに溶出時間の早い高分子量側にブロードなピークが観察された。[mSA]/[biotin]=1/8及び1/4においては、まず13.1mL及び14.0mLにピークが観察されたが、検量線から分子量を算出した所、これらはそれぞれ分子量約140kDa及び90kDaに相当した。b−CDEG及びSA4量体の分子量がそれぞれ約50kDaであることと、混合比から考えると、13.1mL及び14.0mLのピークはそれぞれ、(CDEG)−SA−(CDEG)、(CDEG)−SA集合体であることが推察された。更にSAを添加した[mSA]/[biotin]=1/2の条件においては集合体の一部が排除体積で溶出されるほど大きな集合体(分子量>1.3MDa)を形成し、系中のSAとbiotinの個数が等しくなる[mSA]/[biotin]=1の条件においては、CDEG由来のピークが完全に消失し、ほぼ全てが排除体積で溶出されるほどの大きな集合体となった。
こちらのサンプルについて原子間力顕微鏡(AFM)を用いた直接観察を行った結果を図5に示す。SAを添加する前、b−CDEGのみの場合、直径10−30nm程度の島状の構造物が見られ、これはサンプル調製過程の乾燥操作時に、修飾したビオチン基の疎水性により凝集した結果と推察された。これに対し、SAを添加した(CDEG−SA)集合体の場合、平均高さ5nm、長さ200nm程度のヒモ状構造体の形成が見られた。これによりSAの4次構造に合わせた新規テトラビオチン化基質Q−biotinの設計により、酵素集合体の構造制御が達成され、天然のセルロソームの構造を模した1次元状人工セルロソームの構築に成功した。
−EGについてもSAの添加による集合体形成の検討を行った所、b−CDEGと同様の巨大集合体を構築していることが明らかとなった。次にb−EGについてb−CBMを1、4、又は9等量添加し、集合体形成を試みた。その結果を図6に示す。系中のタンパク質濃度が増加しても、ほぼ全てのEGおよびCBMがavidin−biotin相互作用により集合体となることが明らかとなった。系中の全てのタンパク質を集合体化できるというのが本研究の強みであり、以上よりCBMの添加によって集合体としての結晶性セルロース表面への結合力を増強した人工セルロソーム(EG/CBM−SA)集合体の構築に成功した。
5.人工セルロソームを用いた結晶性セルロース基質の糖化反応
最後に調製した(CDEG−SA)集合体を用いて糖化反応を行った。結果を図7に示す。反応開始48時間後のCDEGのみ遊離状態における比活性を1.0とする。その結果、遊離のb−CDEGと比較して、集合体を形成することによって糖化効率の向上が見られた。更に、SA添加量を[mSA]/[biotin]=1/2及び1と増加させることで糖化効率は更に増大し、全てのb−CDEGが集合体を形成する条件のサンプルについて、最大で1.7倍の糖化効率の向上を得た。
一般的にセルラーゼの加水分解反応においては、CBMが重要な働きを示すことが知られており、CBMによる結晶性セルロース表面への吸着促進効果により、分解効率が向上する。そこで上記で使用したCDEGをEG(CBM−CD)へと変更し、更に追加でCBMを添加することで結合力を増強し、更なる糖化効率の向上を試みた。(EG/CBM−SA)集合体について糖化反応を行った結果を図8に示す。この結果、b−CDEGと同様、b−EGについてもSAの添加による集合体形成により、1.4倍の増強効果を得た。ここで、CBMを添加して集合体の結合力を増強したところ、それに従い分解効率が増大し、最大で2.6倍の分解効率向上を達成した。これは人工セルソロームの形成により、不溶性基質への結合力が向上したこと、また触媒ドメインが局在化することにより可溶性オリゴ糖への分解が促進されたことなどが理由として推察された。
本発明の新規テトラビオチン化基質Q−biotinを用いることで、ビオチン修飾された単量体型のセルラーゼをSAと混合するだけで簡便に集合体を形成することができ、系中のSAとビオチン基の濃度が等しい条件において、分子量1.3MDa以上、長さ200nm程度の一次元状超巨大酵素集合体を形成することが出来た。更にこの人工セルロソームを用いて結晶性セルロースの分解反応を行うことで、最大2.6倍の分解効率の向上を達成した。
<実施例2>
(目的)
本検討では、新規テトラビオチン化基質であるQ−biotinを用いることにより、単量体型酵素を簡便に集合体化できることを生かし、抗原抗体反応を用いた一般的な検出系であるELISAへの応用を検討した。モデル酵素として単量体型酵素であるThermobifida fusca由来β-グルコシダーゼ(BGL)を用い、バイオセンサー構築および評価を行った。比較検討として、特許文献1に記載された直鎖型ビオチン化基質biotin−GGG−GGLQG、分岐型ビスビオチン化基質bis(biotin−GGG)−KGLQG、及び化学修飾によりビオチン化を行ったBGLを用いた。
(実験操作)
1.K−tag BGLの発現および精製
K−tag BGLとして野生型BGLのC末端にK−tag配列(−(GGGS)−MRHKGS−HHHHHH)を遺伝子工学的に挿入し、pET22b(+)を発現ベクターとして用いて大腸菌BL21(DE3)株内に形質転換を行った。LB培地で培養、およびIPTGによる誘導発現を行った菌体について細胞破砕を行った。遠心分離後の上清についてNi−NTAカラムを用いた精製を行い、PD−10カラムを用いて10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に置換した後、以降の検討に用いた。
2.Q−biotin を用いたK−tag BGLのビオチン化
K−tag BGLとQ−biotinを用いて、MTG架橋反応によるタンパク質のビオチン化を行った。酵素反応はTBS緩衝液中に、最終濃度が10μM、200μM、0.5U/mLとなるように、K−tag BGL、Q−biotin、MTGを加え、37°Cで3時間静置させることで行った。反応後のサンプルについてNi−NTAカラムを用いたHis−tag精製により、過剰の未反応の基質とビオチン化タンパク質(b−BGL)を単離し反応を終了させた。PD−10カラムを用いて10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に置換した後、以降の検討に用いた。
同様に、特許文献1に記載された方法にてbiotin−GGG−KGLQG及びbis(biotin−GGG)−KGLQGを入手し、これらを用いてMTG架橋反応によるビオチン修飾を行い、最終的にビオチン化タンパク質(b−BGL、b−BGL)を調製し、PD−10カラムを用いて10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に置換した後、以降の検討に用いた。
3.化学修飾を用いたK−tag BGLおよび抗OVA抗体のビオチン化
K−tag BGLと化学修飾ビオチン化基質であるNHS−PEO−biotinを用いて、化学修飾によるタンパク質のビオチン化を行た。反応は50mMのホウ酸緩衝液(pH9.0)中に、最終濃度が10μM又は200μMとなるようにK−tag BGLとNHS−PEO−biotin加え、それらを良く攪拌し、37°Cで3時間静置させることで行った。反応後のサンプルについてNi−NTAカラムを用いたHis−tag精製により、過剰の未反応の基質とビオチン化タンパク質(chem−BGL)を単離し反応を終了させた。PD−10カラムを用いて10mMのリン酸緩衝液(pH7.0)に置換した後、以降の検討に用いた。抗OVA抗体についても同様の検討を行い、ビオチン修飾抗OVA抗体を得た。
4.HABA法によるビオチンラベル化率の算出
4−1.試薬の調製
実施例1に記載の方法と同様に調製した。
4−2.測定方法
実施例1に記載の方法と同様に行った。
5.ビオチン修飾BGLの酵素反応
酵素糖化反応は、50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)中に、最終濃度が100nM、10mMとなるようにビオチン修飾BGLと基質である4−ニトロフェニルβ−D−ガラクトピラノシド(p−NPG)を加え、50°Cで静置させることで行った。酵素反応の評価は、UV−vis分光高度計で410nmの吸収を追跡する事で行った。
6.SA添加による集合体の形成
集合体の形成はTBS緩衝液中に、最終濃度が2μMのビオチン化BGL(b−BGL、b−BGL及びb−BGL)と2、4、及び8μMとなるようにSAを加えたサンプルについて、激しく攪拌した後30分間室温で静置し、サイズ排除カラムクロマトグラフィー(SEC)にて分画し、集合体の分子量を分析した。このとき、サンプル中のSA単量体とビオチンの濃度比は[mSA]/[biotin]=1である。SECによる分析は20mMのTBS緩衝液(pH7.4)、流速0.5mL/minにて280nmの吸収を追跡することにより行った。
7.BGL集合体を用いたELISAによるOVA検出(直接法)
まず10−10ng/mLとなるように調製した抗原であるOVAを100μL/well加え、4°Cで12時間静置することで固相化を行った。200μL/wellのPBSTで5回洗浄後、2%BSA/PBSを200μL/well加え、37°Cで2時間静置することでブロッキングを行った。200μL/wellのPBSTで5回洗浄後、ビオチン化anti−OVAマウス由来抗体の10,000倍希釈溶液を100μL/well加え、37°Cで2時間静置した。200μL/wellのPBSTで5回洗浄後、1.0(b−BGL及びchem−BGL)、0.5(b−BGL)、及び0.25μM(b−BGL)の各濃度のSA溶液を50μL/wellで加え、37°Cで30分静置した後、1.0μMのビオチン化BGL溶液をそれぞれ加え、37°Cで30分静置した。このとき、サンプル中のSA単量体とビオチンの濃度比は[mSA]/[biotin]=1である。
上記作成したプレートを200μL/wellのPBSTで5回洗浄後、p−NPGを基質として用いた活性測定を行った。活性測定は、10mMのp−NPPを含む50mMのリン酸緩衝液(pH7.0)の条件下、50°Cで行い、p−NPに由来する410nmの吸収を追跡することによって活性測定を行った。
(実験結果)
1.ビオチン修飾BGLの特性評価
ビオチン修飾BGLについて活性測定およびビオチン修飾数の算出を行った結果を以下に示す;ビオチン修飾BGL(比活性,ビオチン修飾数):b−BGL(0.94±0.03,3.87±0.09)、b−BGL(0.97±0.02,0.97±0.04)、b−BGL(1.01±0.03,1.92±0.08)、chem−BGL(0.75±0.03,6.87±0.59)。この結果MTGを用いて、BGLのK−tag特異的にビオチン修飾を行ったサンプルについては、ほぼ定量的かつ活性を維持したままでのビオチン修飾が達成された。これに対し、化学修飾を行ったサンプルは、ランダムな修飾による活性の低下が見られ、またビオチン修飾数の制御も困難であった。上記検討により、単量体型モデル酵素であるBGLに対してビオチン修飾が確認されたため、以後の検討に用いた。
2.SAの添加によるBGL集合体の形成
上記操作によりビオチン修飾が得られたため、次にSAと混合することによって、アビジン−ビオチン相互作用による集合体の形成を試みた。形成した集合体についてSECを用いて集合体の分子量を分析した結果を図9に示す。SECにおいては大きな分子量を持つ集合体が早く溶出される。まずK−tagBGLのみを流した所、溶出時間15.8mL付近にBGL由来のピークが観察された。直鎖型ビオチン化基質を修飾したb−BGLについて集合体形成を試み、SECにより分析すると、12mL付近にピークが得られた。4量体を形成しているSAとb−BGLの組み合わせの場合、形成される集合体は4分子のBGLがSAに結合した集合体BGL−SA集合体と推察された。次に分岐型ビスビオチン化基質を修飾したb−BGLの集合体は溶出時間14mLにピークが観察され、形成される集合体としてはBGL1分子で2分子のビオチン基を持つことになるため、BGL−SA集合体を形成していると考えられた。これに対し、4分岐型新規テトラビオチン化基質Q−biotinを修飾したb−BGL集合体を形成させた場合、用いたカラムの排除体積で溶出される程の超巨大酵素集合体を形成しており、分子量は1.3MDa以上と推定された。以上より、単量体型酵素に対してビオチン修飾を行い、集合体の形成を試みる場合には、テトラビオチン化基質を用いた場合においてのみ、超巨大酵素集合体の形成が可能となると言える。
3.BGL集合体を用いたOVAの検出
最後に調製したBGL集合体を用いて、バイオセンサーへの応用を試みた。抗原タンパク質としてはOvallbumin(OVA)を選択し、OVAを固層化したプレートに対し、ビオチン修飾抗OVA抗体、SA、ビオチン化BGLと順に添加した後、BGLの酵素反応によってOVAの検出を行った。結果を図10に示す。
その結果、まず化学修飾を行ったchem−BGLについては、修飾による活性の低下から、検出感度が一番低く、シグナルの急激な減少が確認された。これに対し、テトラビオチン化基質を用いて調製したb−BGL集合体を用いた場合において、酵素反応によるシグナル増強とOVA濃度10ng/mLまでの検出が可能であった。これはb−BGLやb−BGLの場合はOVA1分子に対し、BGLが1−3分子しか結合できないのに対し、b−BGLの場合は、OVA1分子に対し、複数の酵素からなるBGL集合体が結合することで、より多くのBGLが検出酵素として働くことが出来るようになったためと推察された。
(結論)
テトラビオチン化基質を用いて調製した単量体型モデル酵素を用いることで、超巨大集合体の形成とそれを用いた高感度検出を達成した。
<実施例3>
実施例1にて作製したQ−biotin、すなわちbis(bis(biotin−GGG)−K)−KGLQGのGGGにおける二番目のG(グリシン残基)に代えてE(グルタミン酸)としたビオチン化合物を作製した。具体的には化学式()にて示されるビオチン化合物であり、本明細書においてbis(bis(biotin−GEG)−K)−KGLQGとも呼ぶ。
製造方法は、Q−biotinの製造方法と同様に、Fmoc固相合成法の手順に従って合成した。得られたビオチン化合物のMALDI−TOF MSデータを図11に示す。
図11に示すように、化学式()に示すビオチン化合物が合成されたことが明らかとなった。

Claims (15)

  1. 式(1)又は式(2)で表されるビオチン化合物:
    Figure 0006419460
    Figure 0006419460
    (式(1)及び(2)のR1〜R7は、同一又は異なってアミノ酸残基又はペプチド残基であり、該アミノ酸残基のカルボキシル基又はペプチド残基のカルボキシル末端のカルボキシル基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するアミノ基とペプチド結合を形成し、該アミノ酸残基のアミノ基又はペプチド残基のアミノ末端のアミノ基は、式(1)又は式(2)のR1〜R7のそれぞれに隣接するカルボニル基とペプチド結合を形成する。)。
  2. R1〜R7に示されるアミノ酸残基が、同一又は異なってグリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、及びセリン残基からなる群より選択される1種である、請求項1に記載のビオチン化合物。
  3. R1〜R7に示されるペプチド残基が、グリシン残基、グルタミン酸残基、アスパラギン酸残基、アルギニン残基、リジン残基、ヒスチジン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、プロリン残基、及びセリン残基からなる群より選択される少なくとも1つのアミノ酸残基を含む、請求項1に記載のビオチン化合物
  4. 式(3)又は式(4)で表されるビオチン化合物:
    Figure 0006419460
    Figure 0006419460
  5. 請求項1〜4の何れか1項に記載のビオチン化合物を含む、タンパク質又はペプチドに対するビオチン標識化剤。
  6. 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも一つ含む請求項5に記載のビオチン標識化剤。
  7. 請求項5又は6に記載のビオチン標識化剤とトランスグルタミナーゼを含む、タンパク質又はペプチドのビオチン標識化キット。
  8. トランスグルタミナーゼが微生物由来である、請求項7に記載のビオチン標識化キット。
  9. 以下の工程1〜3を含む、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドの製造方法:
    (1)請求項1〜の何れか1項に記載のビオチン化合物とタンパク質又はペプチドを、トランスグルタミナーゼの存在下で混合して接触させる工程(1)、
    (2)工程(1)にて得られる混合物を、前記トランスグルタミナーゼの至適活性条件下におく工程(2)、及び
    (3)工程(2)にて得られる混合物から、ビオチン標識化タンパク質又はペプチドを回収する工程(3)。
  10. 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも一つ含む請求項9に記載の製造方法。
  11. トランスグルタミナーゼが微生物由来である、請求項8又は9に記載の製造方法。
  12. 以下の工程(A)及び(B)を含む、タンパク質又はペプチドの集合体の製造方法:(A)請求項1〜の何れか1項に記載のビオチン化合物を用い、トランスグルタミナーゼの存在下でビオチン標識化されたタンパク質又はペプチドと、アビジン化合物とを混合して接触させる工程(A)及び
    (B)工程(A)にて得られる混合物から、タンパク質又はペプチドの集合体を回収する工程(B)。
  13. 前記タンパク質又はペプチドが、配列番号1〜4の何れかに示されるアミノ酸配列を少なくとも一つ含む請求項12に記載の製造方法。
  14. トランスグルタミナーゼが微生物由来である、請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. アビジン化合物が、アビジン、ストレプトアビジン、ニュートラアビジン、AVRタンパク質、ブラダビジン、リザビジン、タマビジンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1〜1の何れか1項に記載の製造方法。
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