JP6415938B2 - 磁性部材およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、磁性部材に関し、特に電磁ノイズ対策が必要な機器の筐体や磁性ヨークに好適な部材に関する。
軟磁性を有する扁平金属粉末とバインダを含む混合物を成型した磁性シートを折り曲げ加工して磁性部材として用いられる技術が知られている。
特許文献1には、扁平形状を有する軟磁性金属粉末をバインダ成分によって結着させた弾性を有する磁芯であって、55体積%以上の軟磁性金属粉末と10体積%以上、かつ25体積%以下の空孔とを含んでおり、酸化ケイ素を主成分としたバインダ成分を有する平板形状の磁芯に関する技術が記載されている。
特許文献2には、軟磁性粉末が分散された磁気シールド層と、少なくとも1層の絶縁層が樹脂中に設けられている高抵抗磁気シールド材であって、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂を用いることにより一定の形状に折り曲げ加工することができる磁気シールド材に関する技術が記載されている。
特許文献3には、扁平形状の軟磁性体粉末と結合剤として塩素化ポリエチレンを用いて構成される筒形状の複合磁性体であって、筒の中心軸方向に磁化困難軸を有するように、軟磁性体粉末を配向した電磁干渉抑制体に関する技術が記載されている。
特許第5474251号公報 特開平6−252586号公報 特開2001−126904号公報
特許文献1には、平板形状の磁芯を折り曲げて用いるという技術思想が開示されていない。したがって、折り曲げに対する充分な柔軟性を有しておらず、曲面となるように外力を加えた場合、微小な亀裂が生じて、磁気特性が損なわれる可能性を含むという課題がある。
特許文献2に記載された磁気シールド材は、熱可塑性樹脂または熱硬化性樹脂の結着によって曲面形状を保持するために、樹脂組成物を一定量必要とする。したがって、軟磁性粉末の体積比率を増やすことには限界があり、一定値以上の磁気特性が得られないという課題がある。
特許文献3に記載された複合磁性体も、軟磁性粉末と樹脂組成物からなり、特許文献2に記載された磁気シールド材と同様の課題を有する。すなわち、軟磁性粉末の体積比率を増やすことには限界があり、用途によっては、充分な磁気特性を確保できないという課題がある。
そこで本発明は、上記課題を解決し、磁気特性を維持したままで、外力を加えない状態でも所望の曲面形状を有する磁性部材およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明は特許文献1に記載された、扁平形状を有する軟磁性粉末と酸化ケイ素を主成分とするバインダ成分の結着構造およびその製造工程に着目してなされたものである。
軟磁性粉末を樹脂組成物で結着させた複合磁性体は、特許文献2または特許文献3記載の発明に例示されるように、樹脂組成物中に軟磁性粉末が分散されてなる。
このような構造の複合磁性体を、外力を加えない状態においても曲面や屈面を有する立体形状を保持するように形成するために、特許文献2段落0020記載のように熱可塑性樹脂を用いて加熱成形しても良いが、高温での形態安定性に問題があることに加えて、そもそも熱可塑性樹脂では軟磁性粉末の充填率を向上させることができず、透磁率等の磁気特性も充分に得ることができない。
また、特許文献3記載の発明のように押し出し成形によって曲面を形成するためには、平板状に形成する以上に充分な分量の樹脂組成物を用いる必要がある。したがって、特許文献2記載の発明と同様に軟磁性粉末の充填率を向上させることができず、透磁率等の磁気特性を充分に得ることができない。
一方、特許文献1に記載された酸化ケイ素を主成分とするバインダ成分を有する磁性シートは、バインダの性質上、特許文献2記載の発明のような加熱成形ができず、特許文献3記載の発明のような押し出し成形では、充分な磁気特性を得ることができない。なお、特許文献1に記載された磁性シートは、その構造上、無理に曲げようとすると割れが生ずることから、特許文献2、3の方法により曲面加工することは困難である。
本発明者らは、特許文献1記載の磁性シートにおいて、軟磁性粉末を溶媒および増粘剤とともに混合し、一定条件下で加熱し溶媒を揮発させる工程で新たな樹脂材料を加えることなく、磁性シートに曲げ加工を施すことができることを見出した。
すなわち、その曲面構造を保持しつつ有機成分を熱分解させる熱処理を行うことにより無機物を主とするバインダ成分により軟磁性粉末を結着させ、外力を加えない状態であっても曲面を有する構造が得られることを見出した。
したがって、本発明によれば、バインダ成分の体積比率を増すことなく、非平面を含む立体形状を有する磁性部材を得ることができる。
なお、曲げ加工の際、磁性シート曲面の外周部が伸長され、外周部の表面近傍に微細な亀裂の生ずる場合もあるが、外周部から圧縮力を加えつつ、後工程である有機成分を熱分解させる熱処理を行うことにより、微細な亀裂は修復される。
本発明の磁性部材は、扁平形状を有する軟磁性金属粉末を、酸化ケイ素を主成分とするバインダ成分によって結着させてなり、弾性を有する磁性部材であって、55体積%以上の前記軟磁性金属粉末と、10体積%以上、25体積%以下の空孔とを含んでおり、外力を加えない状態で曲面や屈曲面といった非平面部を有することを特徴とする。
本発明の磁性部材は、ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下であることを特徴とする。
本発明の磁性部材は、ヤング率が10GPa以上、90GPa以下であることを特徴とする。
本発明の磁性部材は、100Ω・m以上の電気抵抗率を有することを特徴とする。
本発明の磁性部材は、樹脂またはフィルムで被覆してなることを特徴とする。
本発明の磁性部品は、前記磁性部材を1以上組み合わせてなることを特徴とする。
本発明の磁性部品は、前記磁性部材を筐体形状に形成してなることを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、扁平形状を有する軟磁性粉末と、酸化ケイ素を主成分としたバインダ成分を含む混合物を塗布し乾燥して予備成形体たる板状体を得る工程と、板状体を少なくとも非平面部を有する面で保持して圧縮成形し成形体を得る工程と、成形体を少なくとも酸素または窒素のいずれかを含有する雰囲気下で非平面部を有する状態に保持して軟磁性粉末を酸化ケイ素で結着させる熱処理工程を含むことを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、扁平形状を有する軟磁性粉末と、酸化ケイ素を主成分としてバインダ成分を含む混合物を塗布し乾燥して予備成形体たる板状体を得る工程と、板状体を平面で挟持して圧縮成形して成形体を得る工程と、成形体を少なくとも酸素または窒素のいずれかを含有する雰囲気下で非平面部を有する状態に保持して軟磁性粉末を酸化ケイ素で結着させる熱処理工程を含むことを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下である前記磁性部材が得られることを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、ヤング率が10GPa以上、90GPa以下である磁性部材が得られることを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、100Ω・m以上の電気抵抗率を有する磁性部材が得られることを特徴とする。
本発明の磁性部材の製造方法は、樹脂またはフィルムで被覆してなる磁性部材が得られることを特徴とする。
本発明によれば、軟磁性粉末の体積比率を減少させることなく、すなわち、磁気特性を維持したままで、外力を加えない状態でも所望の非平面形状を有する磁性部材およびその製造方法が得られる。
また、本発明によれば、携帯機器の筐体や蓋、立体形状を伴う、たとえば、ハイブリッド車のモーター近傍に用いるのに好適な電磁ノイズ対策部品等の磁性部品が得られる。
本発明の磁性部材における実施の形態を示す斜視図である。 本発明の磁性部材における第1の実施の形態を示す説明図で、図2(a)は予備成形体の断面図、図2(b)は成形体の断面図、図2(c)は磁性部材の断面図、図2(d)は磁性部材の構造説明図である。 本発明の磁性部材における第2の実施の形態を示す説明図で、図3(a)は予備成形体の断面図、図3(b)は成形体の断面図、図3(c)は磁性部材の断面図を示す。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の磁性部材における実施の形態を示す斜視図である。
図2は、本発明の磁性部材における第1の実施の形態を示す説明図で、図2(a)は予備成形体の断面図、図2(b)は成形体の断面図、図2(c)は磁性部材の断面図、図2(d)は磁性部材の構造説明図である。
磁性部材100は、たとえば携帯機器の蓋として用いることが可能なように、両端に曲面部5を有する。
以下に、その製造方法を詳述する。
扁平形状の軟磁性粉末1と、バインダ成分2を混合してスラリーを作成し、たとえばPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布、乾燥して板状の予備成形体を得る。この状態を図2(a)に示す。なお、この段階のバインダ成分2は、塗布された状態で熱硬化性バインダ成分および溶媒、増粘剤を含み、乾燥により溶媒が除去される。
次に、予備成形体を所定の大きさに切断し、必要に応じて複数枚積層し、図示しない治具で挟持して圧縮成形し、成形体を得る。この状態を図2(b)に示す。
治具は、たとえば分割金型からなり、図1に示した形状となるように曲面部5を有する。すなわち、予備成形体を曲面で保持して、成形体を得る。
圧縮成形の条件は、たとえば曲面金型中のシートに、150℃の温度下において、200MPaの成型圧力で1時間の加圧成型を施すのが好ましい。
次に、成形体を、曲面部5を有する治具に固定し、すなわち、曲面で保持したまま、少なくとも酸素または窒素を含有する雰囲気下で熱処理して、磁性部材200を得る。この状態を図2(c)に示す。
治具は、強度および耐熱性に優れ、かつ成形体を熱処理雰囲気にさらすことが可能な材質からなるものであればいずれも用いることができ、たとえばステンレスからなるメッシュ板を組み合わせたものが好ましい。また、前工程の圧縮成形に用いた分割金型の一部を外して用いてもよい。
熱処理の条件は、たとえば、窒素雰囲気中で600℃、1時間行うのが好ましい。
なお、酸素または窒素含有雰囲気下の熱処理により、バインダ成分2に含まれる有機物成分はほとんど熱分解して消失し、主成分たる熱硬化性バインダ成分に含まれる酸化ケイ素を主成分とするガラス質からなるバインダ成分、すなわち無機物成分が残留する。この状態を図2(d)に示す。
すなわち、磁性部材の一部4を拡大し模式化すると、軟磁性粉末1が、無機物成分21により結着され、空孔3を内包する構造となる。
上記構造により、磁性部材200は、ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下の高い強度を有する。
上記構造により、磁性部材200は、ヤング率が10GPa以上、90GPa以下の弾性を有する。
上記構造により、磁性部材200は、100Ω・m以上の高い電気抵抗率を有し、同時に良好な絶縁性をも有する。
上記構造により、磁性部材200は、軟磁性粉末の充填率をあげることができ、飽和磁束密度、比透磁率および熱伝導率を向上させることができる。
具体的には、磁気特性を保ちつつ充分な熱伝導率を得るためには、軟磁性粉末の体積比率は55%以上、85体積%以下含まれていることが好ましい。
軟磁性粉末の充填率がこの範囲にあるとき、高い飽和磁束密度、高い比透磁率および高い熱伝導率を両立させることができる。
扁平形状の軟磁性粉末は、公知の材料から適宜選択して用いることができるが、鉄系金属磁性粉末、特にFe-Si-Al系合金が特に好ましい。パーマロイ、Zr-Co-Ta合金等の軟磁性金属粉末も好ましい。
軟磁性粉末は、扁平形状であれば本発明の効果を奏するが、扁平金属粉末に樹脂を含浸して硬化させ、硬化体を作製し、硬化体を研磨し、走査電子顕微鏡を使用して研磨面上に位置する扁平金属粉末の形状を観察したときのアスペクト比は、曲面の面内方向の透磁率を高めるためにより、10以上が好ましく、粒径は、長径が50μm以上のものが好ましい。
バインダ成分は、熱硬化性を有し、無機物として酸化ケイ素を主に含むものであれば、公知の材料から適宜選択して用いることができるが、メチル系シリコーンレジンが特に好ましい。
溶媒は、公知の材料から適宜選択して用いることができるが、エタノールが特に好ましい。
増粘剤は、公知の材料から適宜選択して用いることができるが、ポリアクリル酸エステルが特に好ましい。
なお、強度または意匠性向上のために、磁性部材200を複数重ねて圧着または接着して、磁性部品としてもよい。
同様に、強度または意匠性向上のために、磁性部材または磁性部品の表面に樹脂やフィルムを被覆してもよい。
被覆する樹脂やフィルムは、一般的なコーティング材料から用途や意匠に応じて適宜選択して用いるのが好ましく、特にアクリル系樹脂やポリオフィン系樹脂が好ましい。
(第2の実施の形態)
図3は、本発明の磁性部材における第2の実施の形態を示す説明図で、図3(a)は予備成形体の断面図、図3(b)は成形体の断面図、図3(c)は磁性部材の断面図である。
図1に例示した磁性部材100の他の製造方法を以下に詳述する。
扁平形状の軟磁性粉末1と、バインダ成分2を混合してスラリーを作成し、たとえばPETフィルム上に塗布、乾燥して板状の予備成形体を得る。この状態を図3(a)に示す。なお、この段階のバインダ成分2は、塗布された状態で熱硬化性バインダ成分および溶媒、増粘剤を含み、乾燥により溶媒が除去される。
次に、予備成形体を所定の大きさに切断し、図示しない治具で保持して圧縮成形し、成形体を得る。この状態を図3(b)に示す。
治具は、たとえば平行な1組の平面を有する金型からなる。すなわち、予備成形体を平面で保持して、成形体を得る。
なお、本実施の形態における圧縮成形の条件は、実施の形態1と同様とする。
次に、成形体を他の曲面を有する、図示しない治具に固定する。すなわち、図1に示した曲面部5を有する形状となるような曲面で保持しつつ、少なくとも酸素または窒素を含有する雰囲気下で熱処理して、磁性部材300を得る。この状態を図3(c)に示す。
治具は、強度および耐熱性に優れ、かつ成形体を熱処理雰囲気にさらすことが可能な材質からなるものであればいずれも用いることができ、たとえばステンレスからなるメッシュ板を組み合わせたものが好ましい。
なお、熱処理の条件は、実施の形態1と同様とする。
実施の形態1で説明したように、少なくとも酸素または窒素を含有する雰囲気下の熱処理により、バインダ成分2に含まれる有機物成分はほとんど熱分解して消失し、主成分たる熱硬化性バインダ成分に含まれる酸化ケイ素を主成分とするガラス質からなるバインダ成分、すなわち無機物成分が残留する。
磁性部材の一部を拡大し模式化すると、軟磁性粉末が無機物成分により結着され、空孔を内包する構造となる。
上記構造により、磁性部材300は、ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下の高い強度を有する。
上記構造により、磁性部材300は、ヤング率が10GPa以上、90GPa以下の弾性を有する。
上記構造により、磁性部材300は、100Ω・m以上の高い電気抵抗率を有し、同時に良好な絶縁性をも有する。
上記構造により、磁性部材300は、軟磁性粉末の充填率をあげることができ、飽和磁束密度、比透磁率および熱伝導率を向上させることができる。
具体的には、磁気特性を保ちつつ充分な熱伝導率を得るためには、軟磁性粉末の体積比率は55%以上、85体積%以下含まれていることが好ましい。
軟磁性粉末の充填率がこの範囲にあるとき、高い飽和磁束密度、高い比透磁率および高い熱伝導率を両立させることができる。
扁平形状の軟磁性粉末、バインダ成分、溶媒、増粘剤については、実施の形態1で説明したものを用いるのが好ましい。
強度または意匠性向上のために、磁性部材300を複数重ねて圧着または接着して、磁性部品としてもよい。
同様に、強度または意匠性向上のために、磁性部材または磁性部品の表面に樹脂やフィルムを被覆してもよい。
被覆する樹脂やフィルムは、一般的なコーティング材料から用途や意匠に応じて適宜選択して用いるのが好ましい。
本実施の形態において、実施の形態1で用いた曲面を有する形状の金型に替えて、平行な平面を有する金型を用いて、成形体を得たのは、以下の理由による。
成形体を得るための圧縮成形に、曲面を有する形状の金型を用いると、加圧状態が均一性を欠くおそれがあり、加圧条件を厳密に調整する必要が生じる。
したがって、より複雑な形状を有する成形体を得る場合には、平面状態に保持して、空孔を有する状態で圧縮成形を確実に行うのが好ましい。
すなわち、曲面部の曲率が小さい成型体を得る場合は、作業工数が少ない実施の形態1の製造方法が好ましく、曲面部の曲率が大きい成型体を得る場合は、本実施の形態の製造方法が好ましい。
軟磁性金属の原料粉末として、平均粒径D50として55μmを有するFe−Si−Al系合金のガスアトマイズ粉末を用いた。
粉末形状を扁平化するために、ボールミルを用いて、前記原料粉末を12時間粉砕し、さらに、窒素雰囲気中で700℃、3時間の熱処理を加え、扁平形状を有する粉末を得た。作製した扁平金属粉末の平均長径(Da)は60μmであり、平均最大厚さ(ta)は3μmであり、平均アスペクト比(Da/ta)は20である。
扁平金属粉末のアスペクト比は、圧縮した金属粉末に樹脂を含浸して硬化させ、この硬化体を研磨して、走査電子顕微鏡にて研磨面上にある扁平金属粉末の形状を観察することによって求めた。詳しくは、30個の扁平金属粉末について、長径(D)と、最も厚い部位の厚さ(t)を測定し、アスペクト比(D/t)の平均値を計算した。
つづいて、扁平金属粉末、溶媒、増粘剤及び熱硬化性バインダ成分を混合してスラリーを作製した。具体的には、溶媒、増粘剤及び熱硬化性バインダ成分からなる混合物を、毎分250回転の回転速度で、5時間混合した。次に、スラリーを容器に投入し、毎分100回転の回転速度で、1時間混合した。
溶媒としては、エタノールを使用した。増粘剤としては、ポリアクリル酸エステルを使用した。熱硬化性バインダ成分としては、メチル系シリコーンレジンを使用した。このとき、メチル系シリコーンレジンの固形分の添加量は、金属粉末に対して5重量%である。
ダイスロット法によりPETフィルム上にスラリーを塗布した。その後、60℃で1時間乾燥して溶媒を除去し、板状の予備成形体を作製した。
この予備成形体を、抜型を用いて切断し、横50mm、縦80mmの長方形の複数枚のシートを得た。さらに、これらのシートを15枚積層して、曲面部を2箇所有する金型に入れた。
金型中のシートに、150℃の温度下において、2MPaの成型圧力で1時間の加圧成型を施して、成形体を得た。
つづいて、成形体を、曲面部を有する金型の内周部側を外して、すなわち、曲面部の外周部側を金型に残した状態で、大気中で700℃、1時間の熱処理を加え、曲面部を2箇所有する厚み1mmの磁性部材を得た。
この熱処理により、有機成分は、ほぼ完全に熱分解し、磁性部材中に残らなかった。また、この熱処理により、メチル系シリコーンレジンの固形分は、酸化ケイ素を主成分とするガラス質からなるバインダ成分となり、加熱減量した。メチル系シリコーンレジンの固形分の加熱減量は、22重量%であった。
磁性部材は、車載機器の筐体の一部として用いたところ、電磁ノイズ対策として有用かつ、耐熱性および形態保持性も良好であった。
原料粉末として、平均粒径D50が55μmのFe−Si−Al系合金のガスアトマイズ粉末を用意した。原料粉末をボールミルで8時間処理し、さらに、窒素雰囲気中で700℃、3時間の熱処理を加え、軟磁性を有する扁平な金属粉末を作製した。
金属粉末の平均長径(Da)は60μm、平均最大厚さ(ta)は3μm、平均アスペクト比(Da/ta)は20であった。
この金属粉末を、増粘剤、及び熱硬化性バインダ成分と混合してスラリーを作製した。溶媒はエタノールを、増粘剤はポリアクリル酸エステルを使用した。熱硬化性バインダ成分としては、メチル系シリコーンレジンを使用した。
ダイスロット法によって、スラリーをPETフィルム上に塗布した後、60℃の温度下で1時間乾燥して溶媒を除去し、板状の予備成形体を得た。
この予備成形体を、抜型を用いて切断し、横30mm縦40mmの長方形の複数枚のシートを得た。これらのシートを10枚積層して板状となるよう、平面形状の金型中に封入した。
金型に封入したシートに、150℃、2MPaの成型圧力にて1時間の加圧成形を施した。成形歪を取り除くために、予備成形体を窒素雰囲気中にて、350℃、1時間の条件で加熱処理し、厚さが2.2mmの成形体を得た。
続いて、成形体を、ステンレスメッシュ板からなる曲面部を有する治具に成形しつつ載置して、窒素雰囲気中で600℃、1時間の条件で熱処理し、磁性部材を得た。
磁性部材は、体積抵抗率として100Ω・m以上の値を有していた。また、密度は4.9g/cmであり、この密度から求めた金属成分の体積充填率は、約67%であった。
この磁性部材の表面にフィルムコーティングを施した。
磁性部材は、携帯機器の電池蓋として用いたところ、電磁ノイズ対策に加え、筐体強度および意匠性が増し、耐熱性および形態保持性も良好であった。
上記より、軟磁性粉末の体積比率を減少させることなく、すなわち、磁気特性を維持したままで、外力を加えない状態でも所望の非平面形状を有する磁性部材およびその製造方法が得られた。
以上、本発明の実施の形態および実施例を説明したが、本発明は、上記に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の変更や修正が可能である。すなわち、当業者であれば成し得る各種変形、修正もまた本発明に含まれる。
1 軟磁性粉末
2 バインダ成分
21 無機物成分
3 空孔
4 磁性部材の一部
5 曲面部
100,200,300 磁性部材

Claims (13)

  1. 扁平形状を有する軟磁性金属粉末を、酸化ケイ素を主成分とするバインダ成分によって結着させてなり、弾性を有する磁性部材であって、55体積%以上の前記軟磁性金属粉末と、10体積%以上、25体積%以下の空孔とを含んでおり、外力を加えない状態で非平面部を有することを特徴とする磁性部材。
  2. ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下であることを特徴とする請求項1記載の磁性部材。
  3. ヤング率が10GPa以上、90GPa以下であることを特徴とする請求項1または2記載の磁性部材。
  4. 100Ω・m以上の電気抵抗率を有することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の磁性部材。
  5. 少なくとも一部を、樹脂またはフィルムで被覆してなることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の磁性部材。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の磁性部材を1以上組み合わせてなることを特徴とする磁性部品。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の磁性部材を筐体形状に形成してなることを特徴とする磁性部品。
  8. 扁平形状を有する軟磁性粉末と、酸化ケイ素を主成分としたバインダ成分を含む混合物を塗布し乾燥して板状体を得る工程と、板状体を少なくとも非平面部を有する面で保持して圧縮成形する工程と、板状体を少なくとも酸素または窒素のいずれかを含有する雰囲気下で非平面部を有する状態に保持して軟磁性粉末を酸化ケイ素で結着させる熱処理工程を含むことを特徴とする磁性部材の製造方法。
  9. 扁平形状を有する軟磁性粉末と、酸化ケイ素を主成分としてバインダ成分を含む混合物を塗布し乾燥して板状体を得る工程と、板状体を平面で保持して圧縮成形する工程と、板状体を少なくとも酸素または窒素を含有する雰囲気下で非平面部を有する状態に保持して軟磁性粉末を酸化ケイ素で結着させる熱処理工程を含むことを特徴とする磁性部材の製造方法。
  10. ISO7619−typeDによるゴム硬度が、92以上、96以下であることを特徴とする請求項8または9記載の磁性部材の製造方法。
  11. ヤング率が10GPa以上、90GPa以下であることを特徴とする請求項8ないし10のいずれかに記載の磁性部材の製造方法。
  12. 100Ω・m以上の電気抵抗率を有することを特徴とする請求項8ないし11のいずれかに記載の磁性部材の製造方法。
  13. 樹脂またはフィルムで被覆してなることを特徴とする請求項8ないし12のいずれかに記載の磁性部材の製造方法。
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