JP2013214610A - 電子部品のシールドケース - Google Patents

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康 野村
Kazuhiro Inaba
和宏 稲葉
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Abstract

【課題】生産性に優れ、十分な遮蔽性能を備える電子部品のシールドケースを提供する。
【解決手段】電子部品を収納する電子部品のシールドケース1である。このシールドケース1は、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料で構成され、電子部品の周囲を取り囲むメインケース10を備える。メインケース10は、磁性粉末を含むため、優れた磁気遮蔽能を持ち、電子部品を外部磁場から保護する。このような構成を備えるシールドケース1は、生産性に優れ、かつ十分な磁気遮蔽能を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、電子部品を収納する磁気遮蔽能を持った電子部品のシールドケースに関する。
産業の発達に伴い、電子部品を搭載した工業製品が身近なものとなった。例えば車両には、制御基板などの電子部品を収納した電装ユニット(ECU)が搭載されている。このような電装ユニットでは、電子部品を収納する筐体として、電子部品を収納する内部空間を外部から電磁遮蔽するシールドケースが採用されている。例えば、特許文献1には、シールドケースの軽量化を図るために、植物繊維で形成した箱体に、メッキ処理を施したシールドケースが開示されている。
特開2010−34299号公報
近年、電子機器の高性能化に伴い、優れた磁気遮蔽能を備えるシールドケースの開発が望まれている。特に、ハイブリッド自動車や電気自動車などの駆動源に電力を利用する車両では当該車両内に生じる磁場が大きく、車両に搭載されるICチップなどの電子部品を効果的に保護できる磁気遮蔽能を備えるシールドケースが望まれている。
また、電子部品を用いた工業製品の増加に伴い、その電子部品を収納するシールドケースの需要も増加している。その需要に応えるため、シールドケースの生産性を向上させることも望まれている。
その他、シールドケースの軽量化も望まれている。例えば、携帯電話などの携帯機器は従来から小型・軽量化が求められているし、車両なども燃費を向上させる手段の一つとして小型・軽量化が求められている。その軽量化の一助として、シールドケースの軽量化が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、生産性に優れ、十分な磁気遮蔽能を備える電子部品のシールドケースを提供することにある。また、本発明の別の目的は、従来よりも軽量な電子部品のシールドケースを提供することにある。
本発明者らは、樹脂中に磁性粉末を混合した複合材料でシールドケースを構成することを検討した。このような複合材料を用いれば、シールドケースに優れた磁気遮蔽能を持たせることができる上、複合材料を成形・硬化させるだけで、シールドケースを容易に量産できると考えられるからである。しかし、その検討の結果、単に樹脂中に磁性粉末を混合した複合材料では、十分な磁気遮蔽能を有するシールドケースとならない恐れがあることが分かった。流体の樹脂と磁性粉末とを混合した複合材料を成形・硬化させた場合、混合から硬化までの間に複合材料中で磁性粉末が沈降し易く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態で樹脂を硬化させることが難しいからである。磁性粉末が沈降した複合材料は、その磁気遮蔽能に部分的なムラがあり、十分な磁気遮蔽能を持たない部分を有する可能性がある。この知見を踏まえて本発明者らは、再度、樹脂中に磁性粉末を混合した複合材料でシールドケースを構成することを検討した結果、本発明を完成するに至った。以下に、本発明電子部品のシールドケースを規定する。
本発明電子部品のシールドケースは、電子部品を内部に収納するシールドケースであって、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料で構成され、電子部品の周囲を取り囲むメインケースを備えることを特徴とする。メインケースは磁性粉末を含むことで磁気遮蔽能を有する。
なお、本発明電子部品のシールドケースは、最低限、メインケースを備えていれば良く、後述するように、メインケースに加えてサブケースを備えていても構わない。
上記構成とすることで、[1]シールドケースに磁気遮蔽能を持たせることができる、[2]生産性に優れるシールドケースとすることができる、[3]シールドケースの全体的な磁気遮蔽能にムラができ難い、[4]電子部品を振動から保護することができる、[5]軽量化できる、といった効果を奏する。
まず、効果[1]について、図1を参照しつつ説明する。図1は、電子部品9を内部に収納したメインケースのみからなるシールドケース8を磁場の中に置いたときの磁力線の状態を示す説明図である(図中の点線は磁力線を示す)。この図1に示すように、磁性粉末を内在するシールドケース8はケース8の内部空間に比べて磁気を通しやすいため、磁力線はケース8に沿って曲げられ、ケース8の内部空間に侵入することなくケース8外に抜ける。また、ケース8内で発生した磁力線は、磁気を通し易いケース8内に封じ込められる。なお、複合材料に含まれる磁性粉末が十分な導電性を持っていれば、ケース8に高周波に対する優れた遮蔽能を持たせることもできる。
次に、効果[2]について言及する。磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料は成形性に優れ、かつ成形後に熱処理などでミラブル型シリコーンゴムを硬化させるだけでシールドケースのメインケースを完成させることができる。
次に、効果[3]について言及する。上記複合材料に用いられるミラブル型シリコーンゴムは、硬化前でも低流動性であるため、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混練して複合材料を作製してから、その複合材料でメインケースを作製するまでの間に、複合材料中で磁性粉末の沈降がほぼ生じない。つまり、複合材料の作製時に、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態としておけば、その複合材料を用いて作製されたメインケースでも磁性粉末が均一に分散した状態となる。その結果、ムラのない磁気遮蔽能を持ったメインケース(シールドケース)とすることができる。
次に、効果[4]について言及する。ミラブル型シリコーンゴムは、適度な弾性を有するため、制振性に優れる。特に、本発明シールドケースを車載用とする場合、シールドケースの制振性が高いと、振動に起因するシールドケース内の電子部品の断線などを効果的に抑制することができる。
最後に、効果[5]について言及する。複合材料は、磁性粉末と、この磁性粉末よりも比重の小さなミラブル型シリコーンゴムとからなる。そのため、複合材料を用いて作製された本発明シールドケースは、全体を磁性材料で構成したシールドケースよりも軽量である。
本発明シールドケースの一形態として、シールドケースを構成するメインケースは、底板部と、側壁部と、蓋部と、を備える形態を挙げることができる。底板部は、シールドケースの設置対象に対向する部材であり、側壁部は、底板部の縁部に立設される部材である。また、蓋部は、側壁部によって形成される開口部を塞ぐ部材である。
底板部と側壁部と蓋部とを備えるメインケースによれば、電子部品を全方位から実質的に取り囲むことができ、電子部品をより確実に外部磁場から保護することができる。なお、電子部品は、シールドケースの外部に存在する外部機器と接続された状態で使用される場合がある。そこで、後述する実施形態1〜3に示すように、側壁部(底板部でも蓋部でも構わない)の位置にコネクタなどを挿入するためのコネクタ部が設けられていても良い。つまり、本発明シールドケースでは、その内部空間がシールドケースの使用時に実質的に閉鎖されていれば良く、コネクタ部のような開放孔の存在を許容する。
本発明シールドケースの一形態として、メインケースを構成する複合材料における磁性粉末の含有量は、40体積%〜70体積%である形態を挙げることができる。
複合材料を100%としたとき、磁性粉末の含有量が40体積%以上であることで、優れた磁気遮蔽能を有する複合材料とすることができる。一方、磁性粉末の含有量が70体積%以下であることで、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとの混合が行ない易い。また、磁性粉末の含有量を70体積%以下とすることで、複合材料の粘度が高くなり過ぎることを抑制でき、複合材料を用いて所望の形状のメインケースを作製し易い。より好ましい磁性粉末の含有量は45体積%〜65体積%である。
本発明シールドケースの一形態として、メインケースとは異なる材質で構成され、メインケースの内周面または外周面を実質的に覆うサブケースを備える形態を挙げることができる。
メインケースに加えて、メインケースとは異なる材質で構成されたサブケースを備えるシールドケースとすることで、メインケースだけでは発揮し得ない機能を持ったシールドケースとすることができる。例えば、後述するように、サブケースによりメインケースを補強したり、サブケースによりシールドケースに高周波の遮蔽性能を持たせることが挙げられる。
サブケースを備える本発明シールドケースの一形態として、サブケースの剛性をメインケースよりも高くした形態を挙げることができる。
メインケースよりも高剛性のサブケースをメインケースの内周面または外周面に設けることで、複合材料でできたメインケースを補強することができる。例えば、プラスチックや、金属材料(合金を含む)でサブケースを構成することが挙げられる。特に、プラスチックでサブケースを構成すれば、シールドケースの高重量化を回避しつつ、メインケースを補強することができる。
サブケースを備える本発明シールドケースの一形態として、サブケースの全体にわたって非磁性金属を含ませた形態を挙げることができる。
アルミニウムやその合金などの非磁性金属は、高周波を効果的に遮蔽することができる。そのため、非磁性金属を含むサブケースを備えるシールドケースによれば、高周波を効果的に遮蔽することができる。
本発明シールドケースの一形態として、シールドケース内に収納される電子部品は、車両に搭載される電子部品である形態を挙げることができる。この形態はつまり、本発明シールドケース自体も車載される形態である。
本発明シールドケースの効果(均一的な磁気遮蔽能、優れた制振性、軽量性、良好な生産性)は、車載用電子部品のシールドケースとして特に有効である。
本発明電子部品のシールドケースは、生産性に優れ、かつ十分な磁気遮蔽能を備える。
本発明電子部品のシールドケースを磁場の中に置いたときの磁力線の状態を示す説明図である。 実施形態1に係る電子部品のシールドケースの斜視図である。 実施形態1に係る電子部品のシールドケースの分解斜視図である。 実施形態2に係る電子部品のシールドケースの分解斜視図である。 実施形態3に係る電子部品のシールドケースの分解斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。図中の同一符号は同一名称物を示す。
<実施形態1>
≪全体構成≫
図2、3に示すように、本実施形態の電子部品のシールドケース1は、箱状に形成されたメインケース10からなり、そのメインケース10の内部空間に図示しない電子部品を収納する。このシールドケース1(=メインケース10)の最も特徴とするところは、シールドケース1全体が、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料で構成されていることにある。
≪シールドケースの形状≫
シールドケース1(メインケース10)は、代表的には、図2,3に示すように矩形状の底板部11と、底板部11に立設される4つの側壁部12〜15と、側壁部12〜15によって底板部11とは反対側に形成される蓋部19と、を備える直方体状の箱体である。本実施形態では、底板部11に側壁部12〜15が一体化された有底の箱体に、平板状の蓋部19をボルト1Bで固定する構成を採用している。このような構成のシールドケース1によれば、電子部品を全方位から実質的に取り囲み、シールドケース1内の電子部品を外部磁場から保護することができる。
なお、シールドケース1の形状は立方体状に限定されるわけではなく、円筒状などでも構わないし、異形状であっても構わない。また、シールドケース1は、蓋部19に側壁部12〜15を一体化したものを平板状の底板部11に被せる形態としても良い。もちろん、底板部11と蓋部19の両方に側壁部を設けても良い。
本例のシールドケース1には、側壁12の位置にコネクタ部10hが形成されている。このコネクタ部10hは、シールドケース1内の電子部品に他の電子部品を電気的に接続するためのコネクタなどを導入する孔である。つまり、シールドケース1は、その使用時に実質的に閉鎖されていれば良く、このコネクタ部10hのような開放孔の存在を許容する。
メインケース10(シールドケース1)の厚さは、1mm以上とすることが好ましい。メインケース10で磁力線を屈曲させるため、ある程度の厚さがあった方が、内部空間内への磁力線の侵入を効果的に抑制できるからである。なお、メインケース10の厚さをあまり厚くしても磁気遮蔽効果が頭打ちになるし、メインケース10(即ち、シールドケース1)の大型化・高重量化を招く。そのため、メインケース10の厚さは、2mm以下とすることが好ましい。
≪シールドケースの材質≫
シールドケース1を構成するメインケース10は、磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを含む高透磁率体の複合材料で形成されている。複合材料における磁性粉末は、ミラブル型シリコーンゴム中に均一的に分散されている。そのため、この複合材料で構成されるシールドケース1によれば、図1を参照して既に説明したように、シールドケース1で磁力線を屈曲させて、シールドケース1の内部空間内への磁力線の侵入を抑制することができる。
〔磁性粉末〕
上記複合材料に含まれる磁性粉末は、単一種の磁性粉末でも、材質の異なる複数種の磁性粉末を混合したものでもよい。この磁性粉末としては、純鉄粉や鉄合金粉末といった鉄基材料からなるものが好ましい。具体的な磁性粉末として、例えば、JFEスチール株式会社製の球状純鉄粉や、株式会社神戸製鋼所製の300NH(高圧縮性アトマイズ純鉄粉)などを挙げることができる。
磁性粉末の平均粒径は、5μm以上300μm以下、特に20μm以上250μm以下とすることが好ましい。平均粒径が上記範囲を満たす磁性粉末を原料に用いると、磁性粉末の流動性が高く、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させ易い。もちろん、平均粒径が異なる複数種の磁性粉末を用いても良く、そうすることで、より一層、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させ易くなる。なお、複合材料における磁性粉末と原料に用いる磁性粉末とは、その大きさが実質的に同じである(維持されている)。
複合材料における磁性粉末の含有量は、複合材料全体を100%としたとき、体積割合で40体積%〜70体積%とすることが好ましい。磁性粉末の含有量が上記範囲にあれば、十分な磁気遮蔽能を複合材料に持たせることができる。複合材料におけるより好ましい磁性粉末の含有量は、45体積%〜65体積%である。
〔ミラブル型シリコーンゴム〕
複合材料を構成するミラブル型シリコーンゴムは、硬化前であれば粘土程度の流動性を有する。つまり、硬化前のミラブル型シリコーンゴムでは、その内部に上記磁性粉末を均一に混合し易く、しかもその混合状態が半永久的に維持される。また、硬化後のミラブル型シリコーンゴムは容易に塑性変形しない弾性体となるため、このミラブル型シリコーンゴムを含む複合材料で形成されたメインケース10の形状は保持されるし、複合材料における磁性粉末の分散状態も維持される。
上記ミラブル型シリコーンゴムの特徴的な物性値(硬化後)を以下に列挙する。
・伸び率…100%以上
・ヤング率(25℃)…0.1〜50MPa
・重合度…3000〜10000の線状ポリマー
〔その他〕
上記複合材料は、窒化珪素(Si)、アルミナ(Al)、窒化アルミニウム(AlN)、窒化ほう素(BN)、炭化珪素(SiC)などのセラミックフィラーを含んでいても良い。複合材料にセラミックフィラーを含有させることで、シールドケースの熱伝導性を高めることができる。そうすることで、電子部品で発生した熱が内部空間に籠もって内部空間の温度が上昇し、電子部品の動作が不安定になることを効果的に回避することができる。
≪シールドケースの製造方法≫
図1のシールドケース1(メインケース10)を作製するには、まず硬化していないミラブル型シリコーンゴムに磁性粉末を加え、これらを混練した複合材料を作製する。このとき、磁性粉末を複数回に分けて加えると、シリコーンゴム中に磁性粉末を均一的に分散させ易い。また、複合材料には、硬化後のシリコーンゴムの弾性や強度を向上させる硬化剤(加硫剤)を添加することが好ましい。加硫剤としては、例えば、パーオキサイド系の加硫剤を挙げることができる。なお、複合材料に、セラミックスフィラーを加えるのであれば、この混練の段階に加えておく。
次に、作製した複合材料を金型でプレス成形するなどして有底の箱体(底板部11+側壁部12〜15)と蓋部19を作製する。そして、これらを熱処理して、ミラブル型シリコーンゴムを硬化させる。もちろん、硬化のための熱処理は金型ごと行なっても良い。
ここで、熱処理の条件は、150℃〜220℃×30分〜4時間とすることが好ましい。熱処理温度を150℃以上、保持時間を30分以上とすることで、ミラブル型シリコーンゴムを確実に硬化させることができる。また、熱処理によってシリコーンゴム中に生成する低分子シロキサンを低減することもできる。低分子シロキサンは接点障害を引き起こす物質として知られており、この低分子シロキサンを低減することで、シールドケース1内に収納される電子部品、あるいはシールドケース1外に配置される他の電子部品に接点障害が生じることを抑制できる。
作製した有底筒状体に蓋部19をボルト1Bで固定すれば、シールドケース1を完成させることができる。もちろん、車両に搭載する際は、シールドケース1の内部空間に図示しない電子部品が配置される。
≪シールドケースの効果≫
以上説明したシールドケース1によれば、次の効果を奏することができる。
[1]シールドケース1内の電子部品を外部の磁気から保護できる
既に述べたように、高透磁率体のシールドケース1により、外部の磁力線がシールドケース1の内部空間に侵入することを抑制できる。その結果、シールドケース1内の電子部品を外部磁気から保護できる。
[2]生産性に優れる
磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料は成形性に優れるため、シールドケース1を容易に作製できる。ミラブル型シリコーンゴムを含む複合材料は柔らかいため、図1のシールドケース1よりも複雑な形状のものであっても容易に成形することができる。また、成形後に熱処理などでミラブル型シリコーンゴムを硬化させるだけでシールドケース1を完成させることができる。
[3]シールドケースの全体的な遮蔽性能にムラができ難い
硬化前のミラブル型シリコーンゴムは低流動性であるため、この内部に混合した磁性粉末が沈降せず、複合材料中で分散された状態を維持し易い。そのため、複合材料の作製時に、複合材料中に磁性粉末を均一に分散させた状態としておけば、その複合材料を用いて作製されたシールドケース1でも磁性粉末が均一に分散した状態となる。その結果、シールドケース1の遮蔽性能にムラがなく、効果的に電子部品を保護できるシールドケース1とすることができる。
[4]制振性に優れる
硬化後のミラブル型シリコーンゴムは適度な弾性を有しているため、シールドケース1は制振性に優れる。シールドケース1の制振性が高いと、シールドケース1内の電子部品に断線などの不具合が生じ難い。
[5]軽量化できる
本実施形態のシールドケース1は、全体を磁性材料で構成したシールドケースと同程度の磁気遮蔽能を有しながら、全体を磁性材料で構成したシールドケースよりも軽量である。
<実施形態2>
実施形態2では、複合材料からなるメインケース10と、そのメインケース10の外周に設けられるサブケース20とを備えるシールドケース2を図4に基づいて説明する。
図4に示すシールドケース2に備わるメインケース10は、実施形態1のシールドケース1と同じものである。つまり、実施形態2のシールドケース2は、実施形態1のシールドケース1の外周にさらにサブケース20を設けたものと考えて良い。以下、サブケース20についてのみ説明する。
本実施形態におけるサブケース20は、個別に作製された6枚の板状部材21〜25,29をメインケース10の外周面に貼り合わせることで形成した。板状部材21はメインケース10の外底面、板状部材22〜25はメインケース10の外側面、板状部材29はメインケース10の蓋部19の上面に対応している。これら板状部材のうち、板状部材22には、メインケース10のコネクタ部10hの外形に対応した内形を有するコネクタ部20hが形成されている。これら板状部材21〜25,29は、メインケース10の外周に接着剤などで固定すると良い。
サブケース20の材質は、サブケース20を設ける目的によって適宜選択することができる。例えば、メインケース10を補強するためにサブケース20を設けるのであれば、メインケース10よりも高剛性の材質でサブケース20を構成すれば良い。例えば、サブケース20をプラスチックで構成すれば、シールドケース2を高重量化することなく、メインケース10を補強できる。その他、サブケース20をアルミニウムやその合金などの非磁性金属で構成する、あるいは非磁性金属の粉末を含む合成樹脂で構成しても良い。そうすることで、メインケース10を補強でき、しかもシールドケース2内に配置される電子部品からの高周波がシールドケース2の外部に漏れること、およびシールドケース2外からの高周波がシールドケース2内に侵入することを効果的に防止することができる。
本実施形態2のシールドケース2によれば、剛性を有するサブケース20が外に配置されることで、シールドケース2をその設置対象に取り付け易くすることができる。
<実施形態3>
実施形態3では、複合材料からなるメインケース10の内周側にサブケース30を設けたシールドケース3を図5に基づいて説明する。
図5に示すシールドケース3に備わるメインケース10は、実施形態1のシールドケース1と同じものであるので、本実施形態ではサブケース30についてのみ説明する。
本実施形態におけるサブケース30は、個別に作製された6枚の板状部材31〜35,39と、4枚の延板状部材36をメインケース10の内周面に貼り合わせることで形成した。板状部材31はメインケース10の内底面、板状部材32〜35はメインケース10の内側面、板状部材29はメインケース10の蓋部19の下面に対応している。これら板状部材のうち、板状部材32には、メインケース10のコネクタ部10hの内形に対応した外径を有するコネクタ部30hが形成されている。また、延板状部材36は、メインケース10の内周角部に対応している。これら部材31〜36,39は、メインケース10の内周に接着剤などで固定すると良い。
本実施形態のサブケース30の材質も、実施形態2と同様に、サブケース30を設ける目的に応じて適宜選択すると良い。例えば、シールドケース3の内周側に配置されるサブケース30を非磁性金属で構成すると、シールドケース3に高周波遮蔽能を持たせることができる。
本実施形態のシールドケース3によれば、弾性を有するメインケース10が外に配置されていることで、制振性に優れる。また、このシールドケース3によれば、剛性を有するサブケース30が内に配置されていることで、電子部品の固定状態が安定する。
<実施形態4>
実施形態4では、サブケースを先に作製し、そのサブケースの内周あるいは外周に後からメインケースを取り付ける例を説明する。
サブケースにメインケースを取り付ける場合、例えば、実施形態2の図4において、符号10をサブケース、符号20をメインケースと考える、あるいは実施形態3の図4において、符号10をサブケース、符号30をメインケースと考えれば良い。
その他、サブケースにメインケースを取り付ける場合、メインケースを構成する複合材料の粘着性を利用することもできる。既に述べたように、ミラブル型シリコーンゴムを含む複合材料は、硬化前であれば粘土程度の粘性を持っている。そこで、箱型に形成したサブケースの外周あるいは内周に硬化前の複合材料を貼り付けて、サブケースごと複合材料を熱処理する。この手法であれば、複合材料を硬化させてメインケースを完成させると同時に、サブケースとメインケースとを一体化することができる。なお、半硬化状態にある複合材料からなる板材をサブケースに貼り付けて、サブケースごと熱処理することで、サブケースとメインケースとを一体化させても良い。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、メインケースを構成する複合材料中に、非磁性金属粉末を混合し、メインケースに高周波に対する遮蔽能を持たせても良い。
本発明電子部品のシールドケースは、ECUなどの筐体、プラグインハイブリッド自動車のプラグのハウジングなどに好適に利用することができる。
8,1,2,3 シールドケース
9 電子部品
10 メインケース
11 底板部 12〜15 側壁部 10h コネクタ部 19 蓋部
20 サブケース
21〜25,29 板状部材 20h コネクタ部
30 サブケース
31〜35,39 板状部材 36 延板状部材 30h コネクタ部
1B ボルト

Claims (7)

  1. 電子部品を内部に収納する電子部品のシールドケースであって、
    磁性粉末とミラブル型シリコーンゴムとを混合した複合材料で構成され、前記電子部品の周囲を取り囲むメインケースを備える電子部品のシールドケース。
  2. 前記メインケースは、
    シールドケースの設置対象に対向する底板部と、
    前記底板部の縁部に立設される側壁部と、
    前記側壁部によって形成される開口部を塞ぐ蓋部と、
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の電子部品のシールドケース。
  3. 前記複合材料における前記磁性粉末の含有量は、40体積%〜70体積%であることを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品のシールドケース。
  4. 前記メインケースとは異なる材質で構成され、前記メインケースの内周面または外周面を実質的に覆うサブケースを備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子部品のシールドケース。
  5. 前記サブケースは、前記メインケースよりも高剛性であることを特徴とする請求項4に記載の電子部品のシールドケース。
  6. 前記サブケースの全体にわたって非磁性金属が含まれることを特徴とする請求項4または5に記載の電子部品のシールドケース。
  7. 前記電子部品は、車両に搭載される電子部品であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の電子部品のシールドケース。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016096237A (ja) * 2014-11-14 2016-05-26 Necトーキン株式会社 磁性部材およびその製造方法

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