JP6415297B2 - 銅張セラミックス回路基板、これを搭載した電子機器、及び銅張セラミックス回路基板の製造方法 - Google Patents

銅張セラミックス回路基板、これを搭載した電子機器、及び銅張セラミックス回路基板の製造方法 Download PDF

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この発明は、セラミックス板と銅板が接合された主としてパワー系デバイスに利用される銅張セラミックス回路基板、この銅張セラミックス回路基板を搭載した電子機器、及び銅張セラミックス回路基板の製造方法に関する。
セラミックス板と、セラミックス板に接合した銅板からなる配線とを有してなる銅張セラミックス回路基板は、耐熱性、放熱性、絶縁性を有することから、パワーIC(Integrated Circuit)、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の主にパワー系半導体デバイスに使用されている。近年、これらの機器の電流値、電圧値が大きくなり、小型化も進んでいることから、半導体と半導体デバイスを構成する導電材料が発する熱が大きくなる傾向にある。また、耐熱性を有するSiC半導体の実用化、LED(Light Emitting Diode)の高輝度化などの適用範囲の広がり、車載半導体等の水冷から空冷へのニーズの高まり等の背景から、銅張セラミックス回路基板に要求される耐熱性、放熱性、絶縁性も一層厳しくなっている。
銅張セラミックス回路基板における不良の一つの要因は、セラミックスと銅の界面での剥離、セラミックス板へのクラック導入による破壊が挙げられる。これらの不良の多くは、セラミックスと銅の熱膨張係数の違いに起因する熱応力により発生する。一般的に銅張セラミックス回路基板は、セラミックス板に使用されるアルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等のセラミックスに対して、銅板に使用される銅の熱膨張係数が大きく異なり、大きいことから、使用環境や半導体デバイス自体から発する熱、及び熱サイクルによって、セラミックスと銅の界面に発生する熱歪みによる応力、繰り返し応力が発生し、セラミックス板と銅板との剥離、セラミックス板へのクラック導入によるセラミックス板の破壊を引き起こす。
銅張セラミックス回路基板の放熱性を高める方策として、セラミックス板の薄肉化、セラミックス板に接合される銅板の厚肉化、電流容量を高める方策として銅回路を形成する銅板の厚肉化が挙げられる。しかしながら、セラミックス板の薄肉化はセラミックス板の破壊の点から、銅板の厚肉化はセラミックスと銅の界面の熱応力の点から、銅張セラミックス回路基板の耐久性に対して不利に働くことから、技術的な難易度は一層増している。材料面からこの問題を解決する方策として、セラミックス板の高強度化がなされている。一方、銅板側からのアプローチは少ない。
同じ回路基板部材として、プラスチック回路基板の一つである可撓性回路基板に使用される銅箔に関して、銅箔面法線方向に配向した立方体集合組織を形成させ、銅箔の疲労特性を向上させたとの発明がある(例えば、特許文献1参照)。また、銅の<100>が銅箔の厚さ方向と箔面内の一方向の2つの直交軸に対して、方位差10°以内にある優先配向領域が、面積率で50%以上を占めるように主方位を有し、屈曲部の稜線から銅箔の厚み方向に切った配線断面に対する法線が、箔面内の<100>主方位と2.9〜87.1°の角度を有する可撓性回路基板(例えば、特許文献2参照)、及び銅箔の長手方向が実質的に銅箔の<100>軸方向であり、長手方向に対して3〜87°傾けた方向に所定の線幅を有する直線状の配線を形成する製造方法がある(例えば、特許文献3参照)。これらの特許文献では、可撓性回路基板の屈曲に対する銅箔の疲労寿命の向上を目的として、銅箔の破断伸びの高い方位の活用が図られている。
銅張セラミックス回路基板と可撓性プラスチック回路基板の大きな違いは、プロセス温度と使用温度範囲と故障モードにある。銅張セラミックス回路基板の場合、セラミックス板と銅板の接合時のプロセス温度は1000℃を超える場合がある一方、可撓性プラスチック回路基板の接合温度は400℃以下の場合が多い。使用温度も比較的耐熱性のあるポリイミド樹脂を使用した可撓性プラスチック回路基板でも300℃程度以下であるのに対し、セラミックス基板ではSiC半導体の出現によってこれを超える環境で使用されることも想定される。また、ポリイミド樹脂は、ある程度熱膨張係数を銅に近づけることができ、この技術によって2層の可撓性銅張積層回路基板が実現できている。これに対して、アルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウムでは、耐熱性や絶縁性を維持したまま熱膨張係数を銅に近づけることが難しい。したがって、熱応力による破壊の問題は、銅張セラミックス回路基板の方がはるかに大きい。また、可撓性銅張プラスチック回路基板では、携帯電話等のヒンジ、スライド部等、折り曲げに近い屈曲を場合によっては繰り返しの機械的な歪み、応力を受け、破壊は主として銅箔で起こる。このために、銅箔には、疲労特性の高いものが要求される。一般的に金属の疲労特性を向上させるためには、強度を高めたり、破断伸びを大きくする設計が必要である。一方、銅張セラミックス回路基板では、破壊は主としてセラミックス板で起こり、銅板には広い歪み範囲で、歪みを与えた時の応力が小さいことが求められる。
一方、線材の長手方向に<100>方位を集積させて長手方向のヤング率を低減した線材(例えば、特許文献4参照)や、結晶軸<100>が、金属テープ材料の厚さ方向とテープ材料面内の1方向に対して方位差15°以内に配向し、更に<212>を特定方向に配向させることによって降伏応力の低減と破断伸びの向上を図り、半導体と接続した後の熱応力を低減する線材が開示されている(例えば、特許文献5参照)。特許文献5は、面心立方金属のシュミット因子に着目して、降伏点(0.2%耐力)近傍の比較的小さな歪み領域での応力の低減を図っている。
上記のシュミット因子は、一つの結晶方位に1軸の変形荷重を加えた時の結晶の本質的な変形のし易さを示す因子であり、下記の数式1で表せる(例えば、非特許文献1参照)。
Figure 0006415297
上記の数式1において、λは金属の結晶構造に由来するすべり方向と、変形荷重方向とのなす角度であり、また、φは金属の結晶構造に由来するすべり面の法線方向と変形荷重方向とのなす角度である。銅を始めとする面心立方構造を有する金属のすべり面は(111)、すべり方向は<110>である。
シュミット因子は、0から0.5までの数値で、値が大きいほど変形が容易である。これは、金属の変形は結晶構造に由来するすべり面内のすべり方向に変形し、変形で結晶にかかるすべり面に沿うすべり方向のせん断応力が一定の臨界分解せん断応力で降伏するというモデルに基づく。このモデルは、特に面心立方構造の金属単結晶の降伏強度を良く表すと言われている。したがって、降伏点近傍、一般的な金属手では0.2%程度の歪みに対する応力を考える上で有用な指標である。
銅張セラミックス回路基板では、銅板とセラミックス板を接合する温度は1000℃を超え、また、その用途特性から後のプロセス温度や使用温度範囲が大きい。銅張セラミックス回路基板の場合、銅とセラミックスの熱膨張係数差から考えて歪で1%程度までの挙動を考慮し設計する必要がある。
通常、銅張セラミックス回路基板は、セラミックス板の両面、もしくは片面に銅板をろう付け、又は直接接合法で接合され、その後回路に使用する面にマスキングを施して、マスキングをしていない部分を酸等を使用して化学的に腐食除去(エッチング)して回路を形成する。銅張セラミックス回路基板に使用される銅板の厚さは、一般的に0.1mmから、場合によっては1mmになることがある。したがって、セラミックス板と銅板の接合体の銅板外表面から接合体のセラミックス板接合面に向かって深さ(銅板の板厚)方向にエッチングした時に場所によってエッチングレートに差がある場合、均一にエッチングされず、望む形状に回路が形成できない場合がある。場所による差を生じさせる原因の一つが結晶方位の向きによるエッチングレートの差である。これまでの銅張セラミックス回路基板に使用されている銅板は多結晶体であり、その影響を受けやすく、特に銅板の厚さが大きくなればその問題は大きくなる 。
アルミナ等の酸化物セラミックス板と銅板の接合方法として、直接接合法(DCB:Direct Copper Bonding)が挙げられる。この方法は、アルミナを主体とするセラミックス板と銅板の面同士を対向、接触させて、界面にCu−CuO共晶体を生成せしめ、その後冷却することによって接合する方法である。この接合法ではCu−CuO共晶体を生成する温度が接合界面に酸化銅の液相が生じる1065℃から、銅が溶解する1083℃までと接合マージンが狭く、材料組織が変化すると銅の酸化状態が変化したり、接合界面への酸素の拡散供給条件が変化して、接合界面にボイドが生じたり、場所によって接合しない部分が生じる問題があった。
更に、直接接合法で作製した銅張セラミックス回路基板の場合、ろう付で接合した回路基板のようにAg−Cu−Ti層のような金属ろう接合層が存在しない。これらの層は 熱応力の緩衝層としての働きが期待できる。また、ポリイミドと銅箔を張り合わせた可撓性銅張積層回路基板では銅の上に電気めっき等によって銅の凹凸を設ける粗化処理がおこなわれ、界面での機械的、熱的性質の急峻な変化を緩和し、アンカー効果による接合強度の向上が図られている。これに対して直接接合法で接合された銅張セラミックス回路基板では、銅板とセラミックス板が直接、あるいはごく薄い銅酸化物層を介して接合される。したがって、セラミックスと銅との界面での熱伝導、すなわち放熱性では優れているが、接合界面での応力の緩和をするためには、使用するセラミックス板、あるいは銅板で何らかの措置を講じる必要があった。
特許第3009383号公報 特許第4763068号公報 特許第5243892号公報 特許第5446188号公報 特許第4932974号公報
幸田成康著「標準金属学講座 改定金属物理学序論」コロナ社出版 1973年 p155
本発明の課題は、従来の軟質銅板では困難であった、
(1)降伏応力を超える広い歪範囲で応力を緩和するための軟質性
(2)均一なエッチング特性
(3)均一な酸素拡散経路
を有する銅板を同時に具備させることであり、銅張セラミックス回路基板の製造時、並びに銅張セラミックス回路基板を使用した電子機器の使用時に受ける繰り返しの熱履歴に対して、銅張セラミックス回路基板上の銅とセラミックスの接合界面の剥離、セラミックス板の破壊による故障が少ない信頼性の高い銅張セラミックス回路基板とこれを搭載した電子機器を提供することを目的とする。
更に、銅張セラミックス回路基板の銅板とセラミックス板の接合時のボイドの形成等による未接合による接合の不均質性が小さく、接合工程での接合歩留まりが高く、更にエッチングによる銅回路形成工程における精緻な回路形成を可能にする銅張セラミックス回路基板の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う本発明に係る銅張セラミックス回路基板は、セラミックス板の片面、又は両面に銅板が接合され、銅板の一部に銅回路が形成された銅張セラミックス回路基板において、少なくとも銅回路を形成する銅板が結晶軸<100>を主方位とする配向銅板であって、銅の結晶軸<100>がセラミックス板の法線方向に方位差15°以内、かつセラミックス板の面内特定方向に15°以内の条件を満たす<100>優先配向領域が、80面積%以上100面積%以下である。
上記の銅張セラミックス回路基板は、銅回路のコーナー部を形成する2つの辺の二等分線方向に対して、配向銅板の面内の特定方向が、5°以上45°以下であるのがよい。
前記、又は上記の銅張セラミックス回路基板は、配向銅板を板面法線方向から面積0.32mmの視野で、かつ重複しない16視野以上観察した時、銅板の板厚以下の島状結晶粒の結晶粒界と双相境界を除く方位差15°以上の傾角を有する粒界が存在する視野が0%以上50%以下であるのがよい。
また、上述するいずれかに記載の銅張セラミックス回路基板は、セラミックス板がアルミナを主体とする酸化物であり、銅板との接合界面においてセラミックス側の接合界面がセラミックス板を構成する元素の酸化物、銅板を構成する酸化物であり、銅側の接合界面の80面積%以上100面積%以下が銅の(100)であるのがよい。
更に、上記を含めて上述するいずれかに記載の銅張セラミックス回路基板は、銅回路が酸、又はアルカリによるエッチング処理によって形成されているのがよい。
前記目的に沿う本発明に係る電子機器は、上述するいずれかに記載の銅張セラミックス回路基板を搭載した電子機器である。
前記目的に沿う本発明に係る銅張セラミックス回路基板の製造方法は、1065〜1083℃の温度で、かつ酸素濃度が100〜2000ppm含有するガス中で、銅の結晶軸<100>が銅板面の法線方向と銅板面内の特定方向に対して方位差15°以内である条件を満たす<100>優先配向領域の面積率が、80%以上100%以下で、かつ表面を酸化させた状態の配向銅板を、アルミナを主体とするセラミックス板に対向、接触させて、界面にCu−CuO共晶体を生成せしめ、その後冷却することによって接合し、配向銅板をエッチング加工して銅回路を形成する。
本発明の手段をとることによって、セラミックス板と接合された銅板、又は銅回路が銅面内方向に広い歪み範囲内で軟質なものにすることができる。軟質な銅板では、同じ歪みを与えた時の応力が小さくなるので、銅張セラミックス回路基板の昇降温によるセラミックスと銅の熱膨張係数の差に起因する熱歪みに対して、銅とセラミックスの接合界面やセラミックスに加わる熱応力を小さくすることが出来、銅張セラミックス回路基板の銅とセラミックスの接合界面の剥離、セラミックス板の破壊を防ぐことが可能になる。
また、本発明の銅張セラミックス回路基板上の銅板は、銅板面内で力学的な異方性を有するので、銅張セラミックス回路基板界面において最も大きな応力発生する方向と銅板の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで、更に信頼性の高い銅張セラミックス回路基板が得られる。一般的に接合面における最大応力は銅回路の角部の対角線方向になることから、この方向と銅板の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで高い効果が得られる。
更に、銅の結晶方位が揃っていることによって、酸やアルカリを使用した銅のエッチングによる銅回路形成時に結晶方位が揃っていない多結晶体に比較して、結晶方位によるエッチングレートの差、結晶粒内と結晶粒界のエッチングレートの差が小さくなり、精緻でより微細な回路を形成することが可能になる。
また、更には、直接接合法によるアルミナを主体とするセラミックス板と銅板の接合時に、銅の結晶方位が揃っていることによって、結晶方位が揃っていない多結晶体に比較して、酸素拡散速さが均一になる。その結果、銅とセラミックス板を対向、接触させて加熱し、界面にCu−CuO共晶体を生成せしめる1065〜1083℃の温度域で接合面の反対側の銅板表面から深さ(銅板の板厚)方向に酸素が均一に供給される結果、接合面内の酸素濃度が均一になり、ボイド等の未接合がない均質な接合が可能になり、製造時の接合歩留まりが向上する。
ボイド等の未接合がない均質な接合面を有する銅張セラミックス回路基板は、昇降温による接合面内での応力集中が起きにくいことから、銅張セラミックス回路基板の銅とセラミックスの接合界面の剥離、セラミックス板の破壊を防ぐことが可能になる。
(A)、(B)はそれぞれ本発明の一実施の形態に係る銅張セラミックス回路基板の平面図、A−A’線縦断面図である。 銅を始めとする面心立方金属の方位を表す単位ステレオ三角形上にシュミット因子を等高線で表示した図である。 (a)は本発明の一実施の形態に係る銅張セラミックス回路基板に用いた銅板のEBSDで測定したSEM写真、(b)は従来の銅張セラミックス回路基板に用いた銅板のEBSDで測定したSEM写真である。 本発明の一実施の形態に係る銅張セラミックス回路基板に用いた銅板の実施例1で作製した板厚方向と直交する断面について、EBSDで測定した正極点図であり、(a)は銅板Aから切り出した引張試験片、(b)は銅板Bから切り出した引張試験片である。 同銅張セラミックス回路基板に用いた銅板の実施例1の引張試験結果であり、(a)は破断までのSS(応力−歪)曲線、(b)は伸び値5% までの拡大図である。 同銅張セラミックス回路基板の実施例2、実施例3の製品寸法を示す説明図である。
図1(A)、(B)を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る銅張セラミックス回路基板を説明する。ここで、図1(A)は、銅張セラミックス回路基板の一方の主面側の平面図であり、図2(B)は、図1(A)におけるA−A’線の縦断面図である。
図1(A)、(B)に示すように、銅張セラミックス回路基板10は、セラミックス板11の両面に銅板12が接合され、片面には銅回路が形成されている。本発明では、ことわらない限り、セラミックス板11、又は銅板12の面、あるいは板面とは、板の広い面を指し、厚さとはこれと直交する法線方向の長さを指すものとする。銅回路は、片面に複数個の銅板12の島状エリアとして形成され、所望の島状エリア銅板12上には、半導体チップの裏面を半田や樹脂等で接合し、半導体チップの上面に設けられる接続端子と他の島状エリア銅板12上間をボンディングワイヤで電気的に接続すると共に、他の島状エリア銅板12と外部とを金属リードで電気的に接続するのが一般的である。また、反対面は、ベタ状の銅板12が形成されて他の部材と面で接触させ放熱の機能を持たせるのが一般的である。用途によっては、銅回路が両面に形成されていても良いし、銅回路反対面には銅板12が接合されていなくてもよい。
従来の銅張セラミックス回路基板に使用される銅板は、多結晶体であるのに対し、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、高度に配向していることが特徴である。この銅張セラミックス回路基板10の少なくともどちらか一方の面の銅板12は、回路基板10面の法線方向と回路基板10上の銅板12面内のいずれか一方向に対して<100>主方位を有する配向銅板12であり、この配向銅板12の結晶軸<100>が、回路基板10面の法線方向に対して方位差15°以内であり、かつ回路基板10上の銅板12面内のいずれか一方向に対して方位差15°以内である条件を満たす<100>優先配向領域の面積率が、80%以上100%以下である。優先配向領域の面積率は、高いほうが望ましく、90%以上100%以下であることが望ましい。
ここで主方位とは、材料内において特定結晶方位が材料座標系で特定の方向に配向していた時、その結晶方位を主方位と呼ぶ。本発明の銅張セラミックス回路基板10の少なくとも一面の銅板12は、銅板12の法線方向と銅板12面内の特定の一方向に<100>が一定の基準以上に揃った(配向した)銅板12である。銅板12内の任意の断面を結晶粒の粒径以下に十分に細かくかつ等間隔に分割した時、その領域(点)における銅の<100>軸が、銅張セラミックス回路基板10の銅板12板面の法線方向に対して15°以内で、かつ回路基板10上の銅板12面内の特定の一方向に対して15°以内である点がそうでない点を合わせた全体の点数に対する割合が80%以上100%以下、望ましくは90%以上100%以下であることが本発明の形態である。本発明の銅張セラミックス回路基板10の少なくとも一面の銅板12は、<100>が銅板12の法線方向と銅板12面内の特定の一方向に15°以内にある<100>主方位を有する点の集合体である<100>優先配向領域の面積割合が80%以上100%以下、望ましくは90%以上100%以下であるということができる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12組織は、結晶方位解析手法として一般的に広まっているEBSD(Electron Backscattered Diffraction)法で計測、評価することができる。EBSD法は、走査型電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)に付設して、試料の表面に局所的に電子線を照射して、その後方散乱回折により発生する回折パターンを解析してその点の方位付けを行う手法である。測定試料の表面、あるいは断面上を2次元的に等間隔に点状の電子線照射位置を走査することによって、その面の結晶方位の2次元的分布を知ることができ、結晶粒の大きさや、集合組織等の解析をすることができる。
単位格子の所定結晶軸が一定の方位差以内にある<100>優先配向領域の面積率については、測定点数と測定面積を銅板12の平均的な組織を代表するように十分大きく取ることによって、単位格子の所定結晶軸が一定の方位差以下にある点の全体の点数に対する割合から求めることができる。
EBSD法の方位情報は3次元であるから、銅板12の方位情報は、任意の断面の研磨面で評価可能である。ただし、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅は、銅板12であり、例えば板面と直交するC断面は研磨面の面積が制限される。そのため、本発明では銅板12の板厚方向と直交する銅板12の面内の断面組織を、800×1600μm以上の領域を4μm以下の間隔で評価することを基準とする。
通常、銅張セラミックス回路基板は、セラミックスと銅を接合する時に必要な温度が800℃以上、場合によっては1000℃を超える場合があり、樹脂と銅で構成されるプラスチック回路基板を始めとする他の用途での接合温度よりも圧倒的に高い。また、その後のデバイス製造工程や使用温度も他の用途よりも高い。したがって、かかる熱歪みは他の用途に比較して大きく、より大きな歪み範囲で軟質である必要がある。また、セラミックスはプラスチックやシリコン等に比較して、剛性、強度が高い。したがって、セラミックス板11と銅板12の接合界面での歪みと応力の緩和は、殆どが銅が変形することで行われる。そして、破壊は主として脆性のあるセラミックス側で起こることが特徴である。この点からも銅がより大きい歪み範囲で軟質であることによる効果は大きくなる。本発明の銅張セラミックス回路基板10の銅板12は、回路基板10面の法線方向とそれと直交する回路基板10上の銅板12面内のいずれか一方向の2軸に銅の<100>軸が主方位をなしているため、残りの直交する1軸を加えた3軸共高度に配向している。その結果として、一般的な多結晶銅板に比較して結晶粒径は大きくなるため、金属学で良く知られている金属の降伏強度は結晶粒の大きさと負の相関にあるとしたホールペッチ則にしたがって、軟質にふるまう。
また、結晶学的な方位関係で、降伏応力が高い方位が少なくなるので、銅板12板面内あらゆる方向に軟質にふるまう。以下、具体的に説明する。
図2は、銅を始めとする面心立方金属の方位を表す単位ステレオ三角形上にシュミット因子を等高線で表示したものである(非特許文献1参照)。
本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、単位格子を構成する[100]、[010]、[001](総称して<100>と表記される)の3軸が揃った単結晶に近い材料であり、一つの100主方位が銅板12の法線方向を向いていることから、銅板12の面内の方位は、図2で示されるステレオ三角形の100と110を結ぶ線上で示される方位のいずれかになる。一般的な圧延で作製した銅の場合、圧延方向、すなわち板面内で通常長手方向に<111>が配向し易いが、<111>方向に変形を加えたときのシュミット因子は約0.272であり、その値が小さく、降伏に高い応力が必要な方位である。一方、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12における面内方向における一次すべり系のシュミット因子の最小値は約0.408であり、面内方向の降伏応力は<111>方向に変形を加えたときに比較して小さくなる。なお、一次すべり系とは、複数のすべり系のうち最も容易にすべり変形がおきる系、すなわちシュミット因子が最大になる系をいう。
金属材料の降伏応力は、0.2%の永久歪みを与えた時の応力値(0.2%耐力)で表す場合が多く、以上の理由で本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12の面内方向の0.2%耐力値は小さくなる。そして、更に、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、歪み1%まで、更には破断時まで低い応力値を維持することができる。この特性は、製造時、使用時の経験温度範囲がプラスチック基板より大きくなる銅張セラミックス回路基板10に適用することで非常に優位に作用する。
すなわち本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、広い歪み範囲で同じ歪みを与えた時の応力が小さくなるので、銅張セラミックス回路基板10の昇降温によるセラミックスと銅の熱膨張係数の差に起因する熱歪みに対して、銅とセラミックスの接合界面やセラミックスに加わる熱応力を小さくすることが出来、銅張セラミックス回路基板10の銅とセラミックスの接合界面の剥離、セラミックス板11の破壊を防ぐことが可能になる。
更に本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、高度に配向していることから銅板12面内で強い異方性がある。したがって、銅張セラミックス回路基板10のセラミックス板11と銅板12の接合界面内方向に大きな歪みが加わる方向と銅板12の面内方位でその歪みを与えた時に最も応力が小さくなる方位とを合わせると更に効果が大きくなる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10の少なくとも一面の銅板12の面内の方位は、図2で示されるステレオ三角形の100と110を結ぶ線上で示される方位のいずれかになる。本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12では、セラミックス基板11上の銅回路の方向と銅板12の主方位は相対的にどのような関係にあっても良いが、より適した関係が存在する。
図2で示されるステレオ三角形の100と110を結ぶ線上で示される方位の中で、その方位に1軸変形を加えた時、<100>方位は、銅板12面内の他の方位より硬くふるまう。これば、シュミット因子が面内で最も小さく、また全てのすべり系が等価であり、多くのすべり系ですべり変形が起こるため、加工硬化が起こりやすいためである。したがって、<100>方位は、ヤング率は小さい方位である一方、降伏点近傍からより大きな歪領域では、同じ歪を与えた時の応力は大きくなる。したがって、太陽電池用インターコネクターのような比較的小さな歪みが加わる用途には適しているが、銅張セラミックス回路基板10のような用途では、セラミックス板11と銅板12の接合面内の主歪み方向と銅板12の<100>主方位はずらした方が好ましい。
<110>方位に1軸変形を加えた時のシュミット因子は、<100>方位と同じ値で小さいが、主すべり系と2次すべり系の差が大きくなるので、大きな塑性ひずみを与えた時の応力が<100>より小さくなる。シュミット因子が最も大きくなるのが、<100>から板面の法線方向の軸を中心軸として22.5°回転した方位である。したがって、セラミックスと銅の界面内で最大0.2%程度の比較的小さな歪みが想定される場合は、その方向に銅板12の<210>に一致するように配置して接合すればよい。より大きな歪みが想定される場合は、面内の主歪みの方向が銅板12の<100>主方位に対して、より大きな角度をとったほうが良い。主すべり系と2次すべり系の差が大きくなり、よりすべり変形が起きやすくなるからである。
以上により、銅張セラミックス回路基板10のような用途では、セラミックス板11と銅板12の接合面内の主歪み方向と銅板12の<100>主方位の角度は、5°以上、45°以下を取ることが望ましく、15°以上、35°以下にあれば更に望ましい。セラミックス板11と銅板12の接合面内の主歪み方向は、等方的な銅板12を使用したとして、有限要素法等の数値計算により決定できる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10では、セラミックス板11に接合された少なくとも一方の配向銅板12のコーナー部が、配向銅板12の面内においてコーナーを形成する配向銅板12の2つの辺と等しい角度を有する直線と配向銅板12面内の<100>主方位のなす角が5°以上、45°以下、望ましくは15°以上、35°以下の範囲であることを要件として規定する。これは、セラミックス板11の破壊が銅回路のコーナーを構成する2辺を等分する直線に対し直角にクラックが導入されて起こる場合が多く、銅回路のコーナー部を構成する2辺を等分する直線方向に主歪みが導入されている場合が多いためである。本発明の銅張セラミックス回路基板10では、銅回路の全てのコーナーで上記の条件が満たされ、更に15°以上、35°以下の範囲にあれば望ましいが、回路形状の関係で難しい場合は回路を構成する銅板12のうち、最も熱歪が大きくなる部分でこの条件を満たせばよい。通常、最も大きな面積を有する銅回路のコーナー部になる。
以上、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、銅板12面内で力学的な異方性を有するので、銅張セラミックス回路基板10界面において最も大きな応力は発生する方向と銅板12の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで、更に信頼性の高い銅張セラミックス回路基板10が得られる。一般的に接合面における最大応力は、銅回路のコーナー近傍でコーナーを形成する配向銅板12の2つの辺と等しい角度を有する方向になることから、この方向と銅板12の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで高い効果が得られる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10に接合される少なくとも一方の銅板12は、直交する3つの<100>軸に高度に配向しているから、必然的に結晶粒の大きさは大きくなる。一般的な銅張セラミックス回路基板に使用されている銅板の平均結晶粒径が30μm〜150μm程度であるのに対し、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の配向銅板12の結晶粒は銅回路全体にまたがる場合が多い。
ここで、本発明の銅張セラミックス回路基板10において、銅板12の平均結晶粒径は、結晶粒の円相当の面積平均径とする。この面積平均径は、前述したEBSD法等で求めることができる。EBSD法では、隣り合う測定点の結晶方位同士が指定した角度以上の値の場合に、この測定点間の境界を結晶粒界と判定する。この結晶粒界により閉じられた領域が結晶粒と定義され、結晶粒を構成している測定点の点数から面積が求まり、さらにこの面積を円換算した場合の直径を結晶粒径とする。
本発明の銅張セラミックス回路基板10において、結晶粒の大きさを示す結晶粒界は、回転角で15°以上の方位差を有する結晶粒界で囲まれる領域とする、一般的な基準を用いる。面心立方構造を有した金属の焼鈍組織にみられる双晶境界は、結晶粒界に含まれないものとする。また、結晶粒の大きさは、面積で重みづけされた円相当径の平均、すなわち面積平均径(MA)であって、次の数式2で定義されるものとする。
Figure 0006415297
ここで、Nは結晶粒の総数、Aiは結晶粒iの面積であり、νiは、結晶粒iの円相当径である。
本発明の銅張セラミックス回路基板10上の配向銅板12の結晶粒は、極めて大きいので、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の配向銅板12の結晶粒の大きさを表す指標として、配向銅板12の板面法線方向から銅板12面内の任意の重複しない断面を0.32mmの視野で16視野以上評価した時、<100>優先配向領域に囲まれた面積平均径が銅板12の板厚以下の島状粒子の結晶粒界と双晶境界を除く方位差15°以上の大きな傾角を有する結晶粒界が存在する視野が観察視野数の50%以下とした。これは、一般的に使用されているSEMに付随するEBSD装置の通常の条件で、かつ客観的に評価できる指標である。
視野領域0.32mm(例えば0.4mm×0.8mmの領域)は、近年、EBSD装置を付設するSEMとして一般的に使用されている電界放射型の走査電子顕微鏡(FE:Field Emission−SEM)の最も低い倍率で大きな視野を評価しようとした時、装置に依存せず測定可能な視野領域として決めた数値である。しかし、この面積は、本発明の銅張セラミックス回路基板10上の配向銅板12の結晶粒より小さい場合が多いことから、これを重複しない視野範囲で16視野以上取ることとする。総測定領域は、5.12mm(約2.3mm角)になる。この面積は正方形に換算すると2.26mm角になり、銅張セラミックス回路基板10で想定されている銅板12の厚さより大きい。なお、1つの測定視野面積は、0.32mmに固定する必要はなく、例えば、0.8mm×1.6mmの視野で測定した場合、重ならない0.32mmの視野単位を4視野評価したことになるため、異なる0.8mm×1.6mmの視野で4回測定すればよいことになる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10では、配向銅板12の0.32mmの視野単位を16カ所以上測定して、その視野に大傾角粒界が観察される視野が50%以下である必要があるが、大傾角粒界に<100>優先配向領域に囲まれた面積平均径が銅板12の板厚以下の島状組織の結晶粒界と双晶境界は含まない。本発明の銅張セラミックス回路基板10の配向銅板12では、<100>優先配向領域の中に島状に焼鈍双晶を含む場合や粒状のCuO相を含む場合があるが、粒径が板厚より小さな島状の相や双晶境界は、機械的な性質、酸素の拡散に及ぼす影響が小さい。一般的な圧延銅板の平均結晶粒径は150μm以下であるので、0.32mmの視野には100%大傾角粒界が含まれる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10上の銅板12は、あらゆる銅張セラミックス回路基板10に用いることができるが、特に効果を発揮するのが、セラミックス基板11に銅板12を直接接合法で接合させた銅張セラミックス回路基板10についてである。これは、前述した接合信頼性の点から、また後述する接合プロセス上の利点からである。
直接接合法で接合される本発明の銅張セラミックス回路基板10の接合界面において特徴的であるのは、セラミックス板11に接合された少なくとも一方の配向銅板12の(100)とセラミックスを構成する酸化物、又はCuOがその界面で微視的に直接接合されている部分が多い点である。銅とポリイミド、セラミックス、シリコン半導体等の金属以外の基体を接合したデバイスで、銅特定面と非金属基体が直接接合される例は、可撓性回路基板や太陽電池用インターコネクターにも殆どない。
セラミックスを構成する酸化物とは、セラミックス板11がアルミナであれば、アルミナと、アルミナ板を焼成する時に焼結を助けるために意図的に添加されるシリカ、マグネシア、カルシア等の助剤成分の酸化物、並びに不可避不純物成分の酸化物であり、セラミックス板がアルミナ−ジルコニアであれば、アルミナ、ジルコニアとアルミナ板を焼成する時に焼結を助けるために意図的に添加されるシリカ、マグネシア、カルシア等の助剤成分の酸化物、ジルコニアを安定化させるために意図的に添加された希土類酸化物、並びに不可避不純物成分の酸化物である。CuOは、1μm以下の厚さで配向銅板12の(100)とセラミックス板11の間に存在する領域もあるが、配向銅板12の(100)とセラミックス板11の界面に存在するCuO相は均一であり、これが熱サイクルが加わった時の界面破壊や、セラミックス板11のクラックを防止し、接合信頼性向上に寄与する。
本発明の銅張セラミックス回路基板10に使用される銅板12の材質は、電気伝導性、熱伝導性の点から純度が高いほうが望ましく、コストの点から無酸素銅、タフピッチ銅、リン脱酸銅が望ましい。この銅板12は、材料組織上の特徴を阻害するものでなければ、多少の不純物を含有していても良い。しかしながら、多量の不純物は、<100>優先配向領域の面積率を阻害するので好ましくないが、例えば銀や錫であれば、0.05質量%までは許容できる。また、本発明の銅張セラミックス回路基板10に使用される銅板12の厚さは、0.2mmから0.6mmが典型的であるが、放熱性を要求される用途では、1.0mm 以上になる場合がある。
本発明の銅張セラミックス回路基板10に使用されるセラミックス板11の材質は、限定されるものではないが、アルミナ、アルミナ−ジルコニア等のアルミナを主体とする酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウムが望ましい。これらのセラミックスの純度は100%である必要はなく、5質量%以下程度で、セラミックスの焼結を助けるためのケイ素、マグネシウム、希土類元素等の成分が含まれていても良い。本発明の銅張セラミックス回路基板10に使用されるセラミックス板11の厚さは、0.2mmから1.0mmが典型的であるが、放熱性を高めるためには、強度、絶縁性が確保される限り、薄いほうが望ましい。なお、銅板12を直接接合法で接合させる場合にはアルミナ、アルミナ−ジルコニア等のアルミナを主体とする酸化物セラミックスが望ましいが、セラミックスの焼結を助けるためのケイ素、マグネシウム、希土類元素等の成分が5質量%以下程度含まれる窒化ケイ素、窒化アルミニウムの窒化物セラミックスを用いることもできる。また、本発明の銅張セラミックス回路基板10に窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の窒化物セラミックスからなるセラミックス板11を用いる場合には、銅板12を活性金属ろう材を介して接合させることもできる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10を作製するには、銅板12、セラミックス板11の製造、銅とセラミックスの接合、銅回路形成のプロセスを経る。本発明の銅張セラミックス回路基板10に使用される銅板12の成分は、特殊なものではないが、プロセスには工夫する必要がある。この銅板12は、板面の法線方向と銅板12面内のいずれか一方向に対して<100>主方位を有する配向銅板12であり、配向銅板12の結晶軸<100>が、回路基板10面の法線方向に対して方位差15°以内であり、かつ回路基板10上の銅板12面内のいずれか一方向に対して方位差15°以内である条件を満たす<100>優先配向領域の面積率が、80%以上100%以下であることを特徴とする。
配向銅板12の製造プロセスは、特に限定するものではないが、条件制御した特殊な圧延加工と熱処理によって得ることができる。例えば、異周速圧延、クロス圧延等の圧延を施し、様々な方向にせん断歪みを導入した後、一次再結晶させ、その後動的再結晶が起こらない条件で90%以上の冷間圧延を施し、目標とする厚さで内部に圧延方向に平行な均一なラメラー組織を有する板を作製した後、加熱して再結晶させることによって得ることができる。特に、最終板厚が厚くなると配向銅板12の作製は難しくなるので、プロセス条件を選び厳密に制御する必要がある。
ラミックス板11と銅板12の接合方法としては、TiやZrの活性化金属を含む銅より融点の低い例えばAg−Cu合金のような金属ろう材をセラミックス板11と銅板12の間に挟んで液相接合する活性金属法や、セラミックス板11と銅板12の面同士を対向、接触させて、1050℃以上の温度で界面にCu−CuO共晶体を生成せしめ、その後冷却することによって接合する直接接合法がある。いずれの場合でも、銅張セラミックス回路基板10の製造工程では、銅とセラミックスの接合工程で非常に高い温度が必要であるから、銅板12の最終再結晶熱処理は接合工程で同時に行うことができる。本発明の銅張セラミックス回路基板10の作製で想定している比較的純度の高い銅板12では400℃以下、無酸素銅板であれば200℃以下で再結晶するため、最終再結晶熱処理前の銅板12をセラミックス板11に対向、接触させておくことで、高温で接合が形成される時には、銅板12も所定の組織が形成されている。
セラミックス板11と銅板12を接合した後は、少なくとも一方の面に銅回路が形成する。銅回路の形成は、銅回路に使用する面にマスキングを施して、マスキングをしていない部分を例えば、塩化第二鉄(FeCl)や、塩化第二銅(CuCl)等の酸のエッチング液、又は例えば、酸化銅(CuO)に塩化アンモニウム(NHCl)を混ぜ合わせて形成される(CuO+4NHCl→Cu(NH)4Cl+2HO)のCu(NH)4Cl等のアルカリのエッチング液を使用して化学的に腐食、除去して銅回路を形成する。銅張セラミックス回路基板10に使用される銅板12の厚さは、一般的に0.1mmから場合によっては1mm になる場合がある。したがって、セラミックスと銅の接合体を銅板12表面からセラミックスとの接合面に向かって深さ(銅板12の板厚)方向にエッチングした時に、場所によってエッチングレートに差がある場合、均一にエッチングされず、望む形状に銅回路が形成できない場合がある。場所によるエッチングレートの差を生じさせる原因の一つが結晶粒内と結晶粒界、あるいは結晶方位の向きによるエッチングレートの差である。これまでの銅張セラミックス回路基板に使用されている銅板は多結晶体であり、その影響を受けやすく、特に銅板の厚さが大きくなればその問題は大きくなる。
本発明の銅張セラミックス回路基板10の製造方法では、銅の結晶方位が高度に揃っていることによって、酸を使用した銅のエッチングによる銅回路形成時に結晶方位が揃っていない多結晶体に比較して、結晶方位によるエッチングレートの差、結晶粒内と結晶粒界のエッチングレートの差が小さくなり、精緻でより微細な銅回路を形成することが可能になる。
また、本発明の銅張セラッミックス回路基板10の製造方法は、セラミックス板11に銅板12を直接接合法で接合する場合において、優位性を発揮する。前述したように、直接接合法は、セラミックス板11と表面を酸化させた銅板12面同士を対向、接触させて、界面にCu−CuO共晶体を生成せしめ、その後冷却することによって接合する方法である。この直接接合法では、Cu−CuO共晶体を生成する温度が接合界面に酸化銅の液相が生じる1065℃以上で接合させるが、銅の融点が1083℃であるため接合するための焼成温度マージンが狭くなっている。そして、この狭い温度マージンの中で焼成して材料組織が変化すると銅の酸化状態が変化したり、接合界面への酸素の拡散供給条件が変化して、接合界面にボイドが生じたり、場所によって接合しない部分が生じる問題があった。
すなわち、直接接合法による接合方法では、接合に酸素の存在が重要な役割を果たしている。酸素は、銅板表面の酸化銅と接合熱処理時の雰囲気ガスから供給される。雰囲気ガスから供給される酸素は、銅板表面から深さ(銅板の板厚)方向に銅中を拡散してセラミックス板との接触面に到達する。酸素の拡散速さは、結晶粒内より結晶粒界の方が通りやすく速くなるので、多結晶体でかつ結晶粒が比較大きい場合には、粒内と粒界に当たる場所によって酸素の供給量に差が生じ、接合の均一性を損ねる原因になる。特に、銅板は、1065℃以上の高い熱にさらされることから、結晶粒が粗大化した状態にあり、接合界面で銅の結晶粒の中央に当たった部分では、酸素の欠乏による未接合が起こりやすく、結晶粒界に当る部分に雰囲気ガスの酸素濃度等の接合プロセス条件を合わせた場合、このような不具合を生じやすい。
これに対して、本発明の銅張セラッミックス回路基板10の製造方法では、Cu−CuO共晶体を生成する温度では既に銅板12は結晶粒が高度に配向しており、大きな傾角を有する結晶粒界が極めて少ない状態になっている。したがって、結晶方位が揃っていない多結晶体に比較して、酸素拡散速さが均一になる。その結果、銅板12とセラミックス板11を対向、接触させて加熱し、界面にCu−CuO共晶体を生成せしめる1065〜1083℃の温度域で接合面の反対側の銅板12表面から深さ(銅板12の板厚)方向に酸素が均一に供給される結果、接合面内の酸素濃度が均一になり、ボイド等の未接合がない均質な接合が可能になり、製造時の接合歩留まりが向上する。また、ボイド等の未接合がない均質な接合面を有する本発明の銅張セラミックス回路基板10は、昇降温による接合面内での応力集中が起きにくいことから、銅張セラミックス回路基板10の銅とセラミックスの接合界面の剥離、セラミックス板11の破壊を防ぐことが可能になる。
従来から、銅張セラミックス回路基板には、銅回路の所望の島状エリア銅板上の所定の位置に半導体チップの裏面を半田や樹脂等で接合させるようになっている。通常、この所定の位置決めには、画像認識装置で上方から所望の島状エリア銅板の外形形状を捉えて銅板上の半導体チップを載置するための所定の位置を割り出し、その位置に半導体チップを載置させて接合している。この画像認識装置が所望の島状エリア銅板の外形形状を捉え、所定の位置を割り出すためには、セラミックス板上の銅板を上方からみて、セラミックス板と銅板との境界がはっきりと認識できることが必要となっている。図3(a)に示すように、本発明の銅張セラミックス回路基板10は、セラミックス板11上の銅板12の結晶粒が高度に配向しており、大きな傾角を有する結晶粒界が極めて少ない状態である。したがって、画像認識装置は、セラミックス板11表面と島状エリア銅板12表面との境界を確実に認識でき、外形形状を捉えることができる。これに対して、図3(b)に示すように、従来の銅張セラミックス回路基板は、セラミックス板上の銅板が結晶方位の揃っていない多結晶体の状態である。したがって、画像認識装置は、セラミックス板表面と島状エリア銅板表面との境界を認識できない場合が発生し、生産性の低下を引き起こしている。
以下、本実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これは本発明の例を示すものであり、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、本発明の銅張セラミックス回路基板に使用される銅板の機械的な特性を広い歪範囲まで調べた。
以下の加工方法により、銅板Aを作製した。原料銅板は成分規格JIS C1020の無酸素銅板である。銅板のサイズは厚さ3mm、幅200mmであり、焼鈍規格は1/2Hである。この銅板を異周速圧延機で上下のロールの周速差20%で2.0mmまで圧延した。その後、ベル炉を使用して、窒素中で300℃1時間のバッチ焼鈍を行った。更に銅板は冷間圧延によって0.2mmまで圧延を行った。冷間圧延におけるパス回数は、11回、1回あたりの圧下率は18〜23%であり、加工による熱が80℃を超えないよう通常より圧延スピードを落として冷間加工した。
また、比較として成分規格が同じJIS C1020の市販の0.2mm厚の冷間圧延板を比較材として準備し、これを銅板Bとした。
次に、銅板Aについては、圧延方向に対し、平行(0°)、15°、30°、45°、90°に角度をつけ、銅板Bについては、圧延方向に対し、平行(0°)、45°に角度をつけ、長さ140mm、幅10mmの引張試験片を切り出した。次いで、窒素気流中で1000℃1時間保持する熱処理を実施した。これは、セラミックス板と銅板の接合を模擬した熱処理である。
作製した引張試験片の中から無作為に4枚づつ取り出して、EBSDを使用して方位解析を行った。試料は導電接着剤を使用し、アルミニウム製台座に圧延方向を合わせて接着し、板厚方向に板厚の約1/2である約0.1mmまで粗研磨を施した後、コロイダルシリカを使用して鏡面研磨をおこなった。その後、FE-SEMを使用して800μm×1600μmの領域をステップ幅4μmの間隔で測定をした。測定結果は、銅板A,銅板Bについて得られた正極点図の中の1枚づつをそれぞれ図4(a)、図4(b)に示した。図中の1点が1つの測定点を表す。正極点図は銅板Aの4視野、銅板Bの4視野でそれぞれ殆ど差が認められなかった。
図4(a)に示すように、銅板Aでは圧延方向(RD方向)、板面内の圧延方向に直角な方向(TD方向)、これら2つの方向に直交する板厚方向(ND方向)に強く001集積(配向)していることが分かる。銅板Aの4枚について、結晶軸<100>が、銅板の法線方向に対して方位差15°以内であり、かつ銅板の圧延方向に対して方位差15°以内である条件を満たす<100>優先配向領域の面積率の平均値は99.9%、最大値は100%、最小値は99.8%であった。本測定では異なる0.4mm×0.8mmの領域16か所測定したが、10μm以下の島状の双晶方位を有する島状の第2相は僅かに見られた視野があったが、それを除く大傾角粒界が認められた視野はなかった。
一方、銅板Bは、図4(b)の正極点図から、RD方位とTD方位に直交するND軸周りに僅かに配向性が認められたが、配向性は弱い。4つの視野における結晶粒の面積平均径の平均値は41.6μmであり、0.4mm×0.8mmの領域に分割した16視野全ての視野に当然のことながら、大傾角粒界が存在した。
次いで、銅板A、Bの引張試験片の引張試験を実施した。引張試験は、評点間距離100mm、引張速さ10mm/min.の条件で測定した。測定結果は、図5(a)、(b)に示す。この結果のうち、それぞれの試料で平均的なSS(応力−歪み)曲線を図5(a)に示した。縦軸の応力はロードセルにかかる荷重を試料の初期断面積で割って算出した値、横軸の伸びは引張試験機のクロスヘッドの移動量を標点間距離で割って算出した値である。また、図5(b)は伸び値5% までの拡大図である。
銅板Aと、銅板Bでは、大きな挙動の違いがみられた。銅板の破断伸びは、銅板Aを0°または90°の角度で切り出した時、最も小さい値を示したが、20%以上あるため、銅張セラミックス回路基板用の銅板としては十分である。銅板Aの引張試験片の応力値は、全ての角度条件、全ての歪領域で、銅板Bの応力値を下回った。これは、銅板Aは高度に3軸配向した単結晶状の材料であるのに対し、銅板Bは熱処理によって結晶粒は粗大化しているものの多結晶体であり、結晶粒の大きさの差によるものと考えられる。これらの銅板が接合された銅張セラミックス回路基板の接合面に発生する熱応力は、銅板Bより銅板Aの方が小さい。したがって、接合後の熱収縮率の差、その後の回路基板の作製時の熱、使用時の熱サイクルによる接合界面の剥離やセラミックス板の破壊確率は、銅板Aを接合した本発明の銅張セラミックス回路基板の方が小さく、信頼性が高くなると言える。
銅板Bの切り出し角度によるSS曲線の差は小さいのに対し、銅板Aのそれは極めて大きい。これは銅板Bの板厚方向のND軸周りの配向性が小さいのに対して、銅板Aの配向性は極めて強く、結晶方位による異方性が強く出ているためである。
銅板Aを圧延方向と平行(0°)に切り出した時、引張方向は<100>主方位と一致する。<100>方位は、銅板面内の他の方位より硬くふるまう。これば、シュミット因子が面内で最も小さく、また全てのすべり系が等価であり、多くのすべり系ですべり変形が起こるため、加工硬化が起こりやすいためである。したがって、<100>方位は、ヤング率は小さい方位である一方、降伏点近傍からより大きな歪領域まで、同じ歪を与えた時の応力は大きくなる。太陽電池用インターコネクターのような0.2%程度の比較的小さな歪みが加わる用途には適しているが、銅張セラミックス回路基板のような用途では、セラミックス板と銅板の接合面内の主歪み方向と銅板の<100>主方位はずらした方が好ましいといえる。
銅板Aを圧延方向と45°の角度をつけて切り出した時、引張方向は<110>主方位と一致する。<110>方位に1軸変形を加えた時のシュミット因子は<100>方位と同じ値で小さいが、主すべり系と2次すべり系の差が大きくなるので、大きな塑性ひずみを与えた時の応力が<100>より小さくなる。したがって、銅張セラミックス回路基板の接合面内で歪みが大きくなる方向には、<100>より<110>主方位を合わせたほうがよい。
銅板Aを圧延方向と15°の角度をつけて切り出した時、また30°で切り出した時は、シュミット因子がより大きくなるため、降伏応力は0°方向、45°方向に切り出した時より降伏応力が小さくなる。更に、主すべり系と2次すべり系にかかるせん断応力の差も大きくなるため、より高い歪みまで変形に低い応力で済む。15°で切り出した試料より、30°で切り出した試料のSS曲線が寝ているのは、主すべり系と2次すべり系にかかるせん断応力の差が後者の方が大きいためと考えられる。セラミックス板の破壊は引張応力の高い点を起点とする場合が多いので、接合界面においてこれらの方位を引張応力の高い方位に合わせるのは合理的である。
本発明の銅張セラミックス回路基板上の銅板は、銅板面内で力学的な異方性を有するので、セラミックス回路基板界面において最も大きな応力発生する方向と銅板の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで、更に信頼性の高い銅張セラミックス回路基板が得られる。一般的に接合面における最大応力は銅回路の角部の対角線方向になることから、この方向と銅板の面内方向で軟質にふるまう方向を合わせることで高い効果が得られる。
図6に示す寸法の銅張セラミックス回路基板を作製して、本発明の効果を調べた。図中の寸法数値の単位はmmである。セラミックス板は、サイズが40mm×10mm×0.32mm厚の20重量%ジルコニア入りアルミナセラミックス板を使用した。助剤成分としてシリカ、マグネシア、イットリアが総量で2重量%含まれる。
銅板には、前記の銅板A、銅板Bに加えて、銅板Aと銅板Bの中間的な組織の銅板を作製するため銅の加工プロセスを変更した材料を作製した。銅板Cは、銅板Aのプロセスに対し、異周速圧延を板厚1.8mmまで実施し、窒素中で300℃1時間のバッチ焼鈍を行った後、冷間圧延によって0.2mmまで圧延を行った試料である。銅板Dは窒素中で250℃1時間のバッチ焼鈍を行った以外は銅板Aと同じプロセスを経た銅板であり、銅板Eは窒素中で200℃1時間のバッチ焼鈍を行った以外は銅板Aと同じプロセスを経た銅板である。
冷間加工後の板厚0.2mmのそれぞれの銅板は、外形寸法が40mm×10mmになるように切断した後、銅板A〜銅板Eを大気中200℃で1時間熱処理して表面を酸化させた後、同じ種類の2枚の銅板でジルコニア入りアルミナセラミックス板を挟んで、接合熱処理を行った。この接合熱処理は、窒素ガスと乾燥空気の流量を制御できる電気炉で行った。始め酸素分圧を200ppmに調整した窒素ガスを通気させながら1070℃まで昇温し、1時間保定した後、0.5℃/分で1020℃まで降温し、その後炉冷却した。途中、1050℃で乾燥空気を遮断し、100%窒素中で熱処理した。作製した接合体は、酸によるエッチング処理によって、図6のような銅張セラミックス回路基板試料とした。
このように銅板A〜銅板Eまでの5種類の銅板を接合した銅張セラミックス回路基板は、それぞれ30枚づつ作製し、それぞれのグループ毎に銅板組織、初期接合性、回路形成性、接合信頼性の評価を行った。
銅板の組織の評価は、作製した銅張セラミックス回路基板のそれぞれのグループの中から無作為に4枚づつ取り出して、EBSDを使用して方位解析を行った。銅板板厚方向に板厚の約1/2である約0.1mmまで粗研磨を施した後、コロイダルシリカを使用して鏡面研磨をおこなった。その後、FE−SEMを使用して800μm×1600μmの領域をステップ幅4μmの間隔で結晶方位測定をした。
初期接合性の評価は、セラミックスと銅板の界面で発生するセラミックス板1枚当たりのボイドの数で評価した。Φ1mm以上のボイド等の未接合の領域があった場合、銅板の表面からそれが分かるので、その数を数え、1枚の銅張セラミックス回路基板中に発生するボイドの数を換算した。
回路形成性の評価は、銅張セラミックス回路基板上の銅板面の上方から、銅板のエッジ部を目視によって観察した。
接合信頼性の評価は、熱サイクル試験(TCT:Temperature Cycle Test) で評価した。熱サイクルは−40℃×30分→25℃×5分→125℃×30分→25℃×5分のサイクルを1000サイクル繰り返した。TCT試験後、30枚の銅張セラミックス回路基板のセラミックス板にクラックが発生した数を調べた。
結果をまとめたものを表1に示す。
Figure 0006415297
銅板の組織は、銅板のプロセスに大きく依存した。銅板B以外の試料は、<100>優先配向領域の面積割合が大きく、これらは銅板面内で結合し粗大な結晶粒を形成し、内部に島状の方位の異なる相を含有した組織を呈していた。特に、銅板Aは、視野内で1つの結晶粒を形成していた。銅板Bは、通常見られる多結晶体であり、平均結晶粒径は51.3μmであった。銅板Aと銅板Cに含有する島状組織は、周囲の<100>優先配向領域に対して双相関係にあり、その大きさは10μm以下であったが、銅板Cでは、島状の組織が多数みられたが、殆どの島状組織の平均粒径は0.2mm以下であった。銅箔Cでは一部15°以上の回転角を有し、かつ双相境界ではない大傾角粒界が1視野で観察された。平均粒径は、双相境界ではなく、0.2mm以上の島状組織においては銅板D、銅板Eでは増加した。
φ1mm以上の未接合部の数は、<100>優先配向領域の面積割合が小さくなると、大きくなる傾向が認められた。銅張セラミックス回路基板に使用される銅板の結晶粒は、接合時には再結晶によって総じて粗大化しているため、結晶粒界と結晶粒内の酸素拡散速さの差によってセラミックス板と銅板の間のCu−CuO液相界面へ外部からの酸素供給の不均一になる傾向にあるが、更に<100>優先配向領域の面積割合(%)が一定以上大きくなると大傾角粒界の数が著しく少なくなることから、不均一性が減少し、界面内で均一な接合条件が達成されるためである。
エッチングを施した回路端面の状態はどれも問題ない範囲であったが、特に銅板A、銅板Cが優れ、<100>優先配向領域の面積率が大きくなるほど、シャープなものが得られた。これは、結晶方位が揃った結果、酸による結晶方位、あるいは結晶粒内と結晶粒界エッチングレートの差が小さくなったためである。
TCTでクラックが観察された数は、<100>優先配向領域の面積割合が大きくなるほど少なくなった。その理由は、結晶粒が大きくなるほど銅板の降伏応力が低下し、<100>優先配向領域の面積割合が大きくなるほど広い歪範囲で銅板が軟質になるため、接合時や熱サイクル時にセラミックス板と銅板の接合界面でのセラミックスにかかる熱応力が低下するためである。
図6に示す寸法の銅張セラミックス回路基板を作製して、本発明の更なる効果を調べた。図中の寸法数値の単位はmmである。セラミックス板はサイズが40mm×10mm×0.25mm厚の市販の純度96%のアルミナ板を使用した。
実施例における銅板Aの切り出し方向を変えてその効果を調べた。銅板回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線に対する圧延方向の角度(α)を様々に変えて銅張セラミックス回路基板を作製し、その角度の効果を調べた。比較のために銅板Bを接合した銅張セラミックス回路基板も作製した。
冷間加工後の板厚0.2mmの銅板Aを圧延方向に対して様々な角度をつけて40mm×10mmに切断した後、200℃で1時間熱処理して表面を酸化させた後、同じ種類の2枚の銅板でアルミナ板を挟んで、接合熱処理を行った。また、銅板Bは、圧延方向と10mmの長さの辺の角度を45°、0°にした2種類の銅板を切り出し、接合用銅板とした。
接合熱処理は、窒素ガスと乾燥空気の流量を制御できる電気炉で行った。始め酸素分圧を200ppmに調整した窒素ガスを通気させながら1070℃まで昇温し、1時間保定した後、0.5℃/分で1020℃まで降温し、その後炉冷却した。途中、1050℃で乾燥空気を遮断し、100%窒素中で熱処理した。作製した接合体は、酸によるエッチング処理によって図6に示すような銅張セラミックス回路基板試料とした。
銅板A、銅板Bについて、同じ切断角度条件の銅張セラミックス回路基板試料をそれぞれ30枚づつ作製し、銅板組織、接合信頼性の評価を行った。
銅板の組織は、EBSD によって評価した。作製した銅張セラミックス回路基板の中から無作為に4枚づつ取り出して、EBSDを使用して方位解析を行った。板厚方向に板厚の約1/2である約0.1mmまで粗研磨を施した後、コロイダルシリカを使用して鏡面研磨をおこなった。その後、FE−SEMを使用して800μm×1600μmの領域をステップ幅4μmの間隔で結晶方位測定をした。
接合信頼性の評価は、熱サイクル試験(TCT)で評価した。熱サイクルは−40℃×30分→25℃×5分→125℃×30分→25℃×5分のサイクルを1000サイクル繰り返した。TCT試験後、30枚の銅張セラミックス回路基板のセラミックス板にクラックが発生した数を調べた。
結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 0006415297
銅板A、銅板Bは、実施例1、実施例2で示した組織を呈していた。銅板Aは、<100>優先配向領域の面積割合が殆どを占め、最大100%、最小99.7%、平均で99.9%であった。僅かに内部に島状の方位の異なる相を含有しているが、その平均径は10μm以下であった。銅板Bは、通常見られる多結晶体であり、平均結晶粒径は68.8μmであった。
銅板Aの銅板面内の<100>主方位は、圧延方向、圧延方向と直角の方向、そして銅板面法線と一致していた。したがって、銅板Aを使用した銅張セラミックス回路基板では、銅回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線と<100>主方位のなす角度は一意に決まり、角度αと一致する。
銅板Aと銅板Bを使用して作製した銅張セラミックス回路基板の外観を比較すると、銅板Aを使用して作製した銅張セラミックス回路基板では、均一に全面で接合されていたのに対し、銅板Bを使用して作製した銅張セラミックス回路基板では、φ1mm程度のボイドが複数観察された。
銅板Aを使用した銅張セラミックス回路基板の接合界面の断面をSEMとEBSDで評価した結果、一部、助剤に使用したシリカとマグネシアが介在していたが、その殆どの接合界面で銅板の(100)が直接、あるいは厚さ1μm以下の極薄いCuO相を介してアルミナと接合されていた。一方、銅板Bを使用した銅張セラミックス回路基板の接合界面では、一部、助剤に使用したシリカとマグネシアが介在していた点では同じであるが、接合界面で銅板の様々な面で直接、あるいはCuO相を介してアルミナと接合されていた。CuO相の分布は、銅板Aを使用していた場合と比較して不均一であった。
TCT後にセラミックス板に発生したクラックは、銅板とセラミックス板の接合界面から発生し、その殆どは銅回路コーナー部近くの銅板の下に位置していた。またその起点とみられるクラックの方向は、セラミックス板法線方向から観察した時、銅回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線とほぼ直角であった。したがって、接合界面でのセラミックス板に印加される主応力は、銅板回路コーナー部近くの銅板の下で、銅回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線の方向であると考えられる。
銅板Aを使用した銅張セラミックス回路基板では、そのTCTで評価した接合信頼性はαに依存した。αが、5°から45°の時に良好な結果が得られ、αが22°、30°にした場合の結果が最も良好であった。これは、銅板Aの結晶方位が、銅回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線の方向に対し、シュミット因子が大きく、かつ主すべり系と2次すべり系の差が大きい方位に当たっていたため、広い歪み範囲で応力を緩和できたためである。
αが0°、45°にした場合、銅板回路コーナー部を形成する互いに90°の角度をなす2辺と45°を成す直線の方向とそれぞれ<100>主方位と<110>主方位が一致する。<100>方位と<110>方位のシュミット因子は同じであるが、差が生じた理由は、後者が主すべり系と2次すべり系の差が最も大きい方位であるため、降伏応力以上の広い歪み範囲で応力を緩和できたためである。
一方、銅板Bを使用した銅張セラミックス回路基板のTCTでみた接合信頼性は、銅板Aを使用した場合に比較して劣っていた。また、圧延方向と回路方向による接合信頼性の異方性も見られなかった。
銅板Aを使用した銅張セラミックス基板のセラミックス基板の接合信頼性が優れている要因は、銅板Bに対して広い歪み範囲で軟質であること、接合界面で均一な接合が実現できていることにより、接合界面において、セラミックス板にかかる熱応力が小さく、接合の不均一性に起因する応力集中がないためである。
本発明の銅張セラミックス回路基板、これを搭載した電子機器、及び銅張セラミックス回路基板の製造方法は、急激に高電圧が掛かる機器であって、発生する熱を速やかに放熱して高信頼性を維持して使用できる、例えば、エアコン等の家庭用や業務用電子機器、ロボットやエレベータ等の制御用電子機器、電気自動車や電車等の電子機器等に利用されている。
10:銅張セラミックス回路基板
11:セラミックス板
12:銅板

Claims (7)

  1. セラミックス板の片面又は両面に銅板が接合されており、かつ前記銅板の少なくとも一部が銅回路を備えている銅張セラミックス回路基板において、
    前記銅回路を備えている前記銅板は、結晶軸<100>を主方位とし、かつ銅の結晶軸<100>が前記銅板の法線方向に方位差15°以内でありかつ前記銅板の面内特定方向に15°以内である<100>優先配向領域を備え、かつ前記銅板の任意の断面における前記<100>優先配向領域の面積率が80%以上100%以下の配向銅板であることを特徴とする銅張セラミックス回路基板。
  2. 前記銅回路の少なくとも1のコーナー部において、前記コーナー部を形成する2つの辺の二等分線方向に対して、前記配向銅板の前記面内特定方向が、5°以上45°以下であることを特徴とする請求項1記載の銅張セラミックス回路基板。
  3. 前記配向銅板を板面法線方向から面積0.32mmの視野で、かつ重複しない16視野以上観察した時、前記<100>優先配向領域に囲まれた、面積平均径が前記配向銅板の板厚以下の島状結晶粒の結晶粒界と、双相境界を除く、方位差15°以上の傾角を有する結晶粒界が存在する視野が0%以上50%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の銅張セラミックス回路基板。
  4. セラミックス板の片面又は両面に銅板が接合されており、かつ前記銅板の少なくとも一部が銅回路を備えている銅張セラミックス回路基板において、
    前記銅回路を備えている前記銅板は、結晶軸<100>を主方位とし、かつ銅の結晶軸<100>が前記銅板の法線方向に方位差15°以内でありかつ前記銅板の面内特定方向に15°以内である<100>優先配向領域の面積率が80%以上100%以下の配向銅板であり、
    前記銅張セラミックス回路基板の接合界面は、前記配向銅板の(100)が、直接又は厚さ1μm以下のCuO相を介して、前記セラミックス板を構成する酸化物に接合されている部分を有していることを特徴とする銅張セラミックス回路基板。
  5. 請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の銅張セラミックス回路基板を搭載してなる電子機器。
  6. 結晶軸<100>を主方位とし、かつ銅の結晶軸<100>が銅板の法線方向に方位差15°以内でありかつ前記銅板の面内特定方向に15°以内である<100>優先配向領域を備え、かつ前記銅板の任意の断面における前記<100>優先配向領域の面積率が80%以上100%以下である配向銅板を、セラミックス板の片面又は両面に接合した後に、前記配向銅板にエッチング処理により銅回路を形成することを特徴とする銅張セラミックス回路基板の製造方法。
  7. 酸素を含有しているガス中において、かつセラミックス板の片面又は両面に銅板の銅板面を対向させて接触させた状態で、かつ1065℃から1083℃の範囲内にまで温度を上昇させることで、前記銅板を配向銅板に変換するとともに、前記銅板と前記セラミックス板との界面にCu−CuO共晶体を生成させる熱処理工程と、
    熱処理済の前記セラミックス板と前記配向銅板とを冷却してこれらを接合させる接合工程と、
    前記配向銅板にエッチング処理により銅回路を形成する銅回路形成工程と、を備え、
    前記セラミックス板は、ケイ素、マグネシウム、希土類元素から選択される少なくとも1の成分を5質量%以下含有している窒化ケイ素又は窒化アルミニウムからなる窒化物セラミックス、又は、酸化物セラミックスであり、
    前記配向銅板は、結晶軸<100>を主方位とし、かつ銅の結晶軸<100>が前記銅板の法線方向に方位差15°以内でありかつ前記銅板の面内特定方向に15°以内である<100>優先配向領域の面積率が80%以上100%以下であることを特徴とする銅張セラミックス回路基板の製造方法。
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