JP6413855B2 - Cr6+濃度測定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、蛍光光度法を用いた被測定水中のCr6+濃度の測定方法に関する。
排水に含まれるCr6+は、強い毒性を持つため、その排水基準が厳しく設定されている。一方、Cr6+は、産業において非常に有用性が高く、例えば、クロムめっき、腐食抑制剤、皮なめし、写真等に使用される。
Cr6+が排水基準で厳しく規制されていることから、排水に含まれているCr6+を連続モニタリングするニーズが高い。一般的な連続モニタリング装置には、JIS K1020に準拠したジフェニルカルバジド吸光光度法が採用されており、かかる連続モニタリング装置は市販されている。
また、以下の特許文献1には、金属イオンが結合すると蛍光色が変化し、かつ、金属イオン濃度が増大すると蛍光強度が増大する蛍光発色試薬と混合させた時の蛍光強度を測定することで、Cr6+の混入を監視する方法が提案されている。
特開2014−153228号公報
テクノインターナショナル株式会社、蛍光染料の特性、[online]、[2014年12月16日検索]、インターネット<URL:http://www.technointer.com/GroundwaterEquipments/references/Groundwater/GW07−DyeTracer.html>
しかしながら、上述のCr6+の測定方法は、試料をサンプリングしたものを前処理槽、測定槽へ導入するという手間のかかる測定方法であり、更に、JIS法に準拠すると煮沸や5分間放置するという手順が必要となるため、リアルタイムにモニタリングすることは困難である。
また、上記特許文献1のようにCr6+と蛍光発色試薬とを混合させた時の蛍光強度を測定する場合、蛍光発色試薬として4,4−ジフロロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(BODIPY)等といった高価な試薬を添加する必要があるため、コスト面からみて実用的ではない。
ところで、本発明者らが、Cr6+を含む水中に含まれる特定化学物質の濃度を蛍光光度法により測定することを検討したところ、Cr6+が蛍光消光を示すことを初めて見出した。
一方で、光学的な計測法である蛍光光度法や紫外・可視吸光光度法は、浮遊性固形物(Suspended Solid:以降SSと呼ぶ)の影響を強く受けることが知られている(例えば、特許文献1を参照)。すなわち、測定に用いる光が、SSによって遮断されたり吸収されたりする場合がある。また、測定に用いる光によって、SS自体から蛍光が発せられる可能性もある。このような現象は、検知の精度に影響を与えることとなる。工場排水のように化学成分を高濃度に含む排水においては、SSを高濃度に含む場合が多いため、Cr6+のみの消光作用を適切に評価するためには、上記のような現象に対して何らかの対策を取ることも重要となる。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、Cr6+を含む排水において、コストをかけることなく、連続的にCr6+の濃度を測定することが可能なCr6+濃度の測定方法を提供することにある。
本発明者らは、上記問題について鋭意検討した結果、Cr6+を含む水に、既知の濃度の蛍光物質を一定量添加した際の蛍光強度の消光度合いからCr6+を検知し、濃度レベルを把握することで、安定的にCr6+を連続モニタリングできることに想到し、以下で説明する本発明を完成するに至った。
上記知見を基になされた本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)Cr6+を含む被測定水において、既知の濃度の蛍光物質を一定量添加した際の蛍光強度からCr6+濃度を測定する方法であって、前記被測定水に対して、予め、既知の濃度の蛍光物質が一定量添加されており、予め作成された前記蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関するデータベースを利用して、前記蛍光物質が添加された前記被測定水をサンプリングして得られた試料における前記蛍光物質の発する蛍光強度を測定する測定工程と、測定された前記蛍光強度の測定結果と、予め作成された、前記蛍光物質の一定量を添加した水にCr6+を添加した際の、蛍光強度の消光度合いとCr6+濃度との相関関係を表わす情報と、を利用して、前記試料中のCr6+濃度を算出する濃度算出工程と、を含む、Cr6+濃度測定方法。
(2)前記相関関係を表わす情報は、Cr6+濃度と、Cr6+に起因する消光が生じた後の前記蛍光物質の蛍光強度と、の間の相関関係を表わした情報である、(1)に記載の濃度測定方法。
(3)前記相関関係を表わす情報は、Cr6+濃度と、前記蛍光物質の蛍光強度の消光の大きさと、の間の相関関係を表わした情報である、(1)に記載の濃度測定方法。
(4)前記測定工程に先立ち、前記試料のpHを少なくとも6〜8に調整して、Feイオンを水酸化物として析出させ、固形物の除去を行う除去工程をさらに有する、(1)〜(3)の何れか1項に記載の濃度測定方法。
(5)前記除去工程では、膜分離により、前記試料から前記水酸化物を除去する、(4)に記載の濃度測定方法。
(6)前記Cr6+を含む被測定水は、めっき排水、クロム酸塩を含む冷却水、皮なめし工場排水又は写真工場排水のいずれかを含む、(1)〜(5)の何れか1項に記載の濃度測定方法。
以上説明したように本発明によれば、Cr6+を含む水に含まれるCr6+濃度を、蛍光モニタリングにより従来よりも迅速、低コストかつ連続的に測定することができる。
本発明の実施形態に係る濃度測定方法で用いられる蛍光スペクトル測定装置の構成の一例を示した説明図である。 同実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における蛍光測定ユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における演算処理ユニットの構成の一例を模式的に示したブロック図である。 同実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における演算処理ユニットのハードウェア構成の一例を模式的に示したブロック図である。 同実施形態に係る濃度測定方法の流れを模式的に示した説明図である。 実施例1について説明するためのグラフ図である。 Cr6+濃度と蛍光消光度合いとの相関関係を示すためのグラフ図である。 実施例2について説明するためのグラフ図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
(蛍光スペクトル測定装置の構成について)
本発明の実施形態に係る濃度測定方法について説明するに先立ち、本実施形態に係る濃度測定方法で用いられる蛍光スペクトル測定装置の構成について、図1〜図4を参照しながら簡単に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る濃度測定方法で用いられる蛍光スペクトル測定装置の構成の一例を示した説明図である。図2は、本実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における蛍光測定ユニットの構成の一例を模式的に示した説明図である。図3は、本実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における演算処理ユニットの構成の一例を模式的に示したブロック図である。図4は、本実施形態に係る蛍光スペクトル測定装置における演算処理ユニットのハードウェア構成の一例を模式的に示したブロック図である。
本実施形態に係る蛍光スペクトルの測定装置1は、蛍光光度法を用いて、水中に含まれる既知の蛍光物質の蛍光強度を測定する装置である。ここで、「既知の蛍光物質」とは、化合物又は薬剤として特定可能であり、蛍光を発する化合物をいう。
本実施形態に係る濃度測定方法に用いられる蛍光スペクトル測定装置1は、図1に模式的に示したように、蛍光測定ユニット10と、演算処理ユニット20と、を備える。
蛍光測定ユニット10は、測定対象物に対して所定波長の励起光を照射して、測定対象物からの蛍光を測定するユニットである。蛍光測定ユニット10によって測定された蛍光の強度に関する情報は、演算処理ユニット20に対して出力される。
演算処理ユニット20は、蛍光測定ユニット10から出力された蛍光の強度に関する情報を利用して以下で詳述する演算処理を行い、測定対象物の濃度を算出するユニットである。
以下では、蛍光測定ユニット10及び演算処理ユニット20の詳細な構成について、順を追って説明する。
<蛍光測定ユニット10の構成例>
まず、図2を参照しながら、蛍光測定ユニット10の構成例について簡単に説明する。
キセノンランプやレーザ光源などといった光源101から射出された励起光103は、ビームスプリッタ105へと導光されて、2つの光路へと分岐される。一方の光路を進む励起光103は、モニタ側検知器107へと導光されて、比測光として用いられる。また、もう一方の光路を進む励起光103は、測定対象物である排水等の試料の入った試料セル109へと導光される。
試料セル109にある波長の励起光103が照射されると、試料に含まれる成分に応じた蛍光111が発生し、発生した蛍光111は、光電子倍増管などといった検知器113へと導光される。検知器113によって、試料に含まれる成分に起因して発生した蛍光111の強度(蛍光スペクトル強度)が検知される。
モニタ側検知器107で検知された比測光の強度に関する情報(例えば、検知器から出力される電気信号の大きさに関する情報)や、検知器113で検知された蛍光111の強度に関する情報(例えば、検知器から出力される電気信号の大きさに関する情報)は、演算処理ユニット20へと出力される。
この際、試料中に複数の成分が混在して、同一の励起波長で蛍光を発するとしても、発生する蛍光の波長が互いに相違していれば、最適な蛍光波長を選択することにより、複数の成分を分離して測定することが可能となる。
励起光103の波長は、一般的な汎用の蛍光分光光度計で計測可能な波長範囲、すなわち200nm〜800nm程度までの範囲で、連続的に変更可能である。蛍光111の波長も、一般的な汎用の蛍光分光光度計で計測可能な波長範囲、すなわち200nm〜800nm程度までの範囲で、連続的に測定可能である。測定対象の成分が特定されている場合は、励起光及び/又は蛍光の波長の範囲を、測定対象の成分に応じて狭くすることも可能である。
測定に用いられる励起光103の波長は、後述する演算処理ユニット20に格納されている、既知の蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関するデータベースに基づいて、演算処理ユニット20により制御される。
蛍光光度法を用いた分析は、ろ紙でろ過した後のろ液(試料)を試料セルに1〜2mL程度移したうえで、励起光を試料セルに対して照射し、検知された測光値を演算処理ユニット20へと出力されることで開始される。
<演算処理ユニット20の構成例>
次に、図3を参照しながら、演算処理ユニット20の構成例について簡単に説明する。
演算処理ユニット20は、蛍光測定ユニット10に実装された、各種プロセッサ等から構成される演算処理チップとして実現されていてもよいし、蛍光測定ユニット10に接続された各種コンピュータとして実現されていてもよい。
本実施形態に係る演算処理ユニット20は、図3に模式的に示したように、測定制御部201と、データ取得部203と、濃度算出処理部205と、濃度検知部207と、記憶部209と、を主に備える。また、演算処理ユニット20は、結果出力部211と、表示制御部213と、を更に備えることが好ましい。
測定制御部201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、通信装置等により実現される。測定制御部201は、後述する記憶部209等に格納されている、既知の蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関するデータベースに基づいて、蛍光測定ユニット10による蛍光測定処理の制御を行う。また、測定制御部201は、上記データベースに記載されている、着目する既知の蛍光物質の蛍光特性(励起波長、蛍光波長、蛍光強度などの特性)等に関する情報を濃度算出処理部205に出力して、蛍光特性に関する情報を後段の濃度算出処理に利用させる。また、測定制御部201は、被測定水に予め添加されている既知の蛍光物質の濃度及び添加量に関する情報を濃度算出処理部205に出力して、後段の濃度算出処理に利用させる。
データ取得部203は、例えば、CPU、ROM、RAM、通信装置等により実現される。データ取得部203は、蛍光測定ユニット10から出力された、水中の既知の蛍光物質の蛍光111の強度に関する情報(すなわち、蛍光スペクトルに関する情報)を取得する。データ取得部203が取得した蛍光111の強度に関する情報は、後述する濃度算出処理部205に伝送される。
濃度算出処理部205は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。濃度算出処理部205は、試料の蛍光の測定結果に基づいて、Cr6+濃度を算出する。かかる濃度算出処理には、後述する記憶部209等に格納されている、既知の蛍光物質の蛍光強度と、Cr6+濃度と蛍光強度消光度合いと、の相関関係を表わす情報が利用される。
より詳細には、濃度算出処理部205は、測定制御部201から出力された蛍光特性に関する情報等を参照しながら、データ取得部203から出力された蛍光の強度に関する情報の中から着目すべき蛍光スペクトルの波長及びその強度を選定する。その後、濃度算出処理部205は、選定した蛍光波長とその蛍光強度を利用し、被測定水に含まれる既知濃度の蛍光物質の蛍光強度値と、Cr6+濃度と蛍光強度消光度合いとの相関関係を表す情報と、に基づいて、Cr6+の濃度を算出する。濃度算出処理部205における更に詳細なCr6+濃度の算出方法については、以下で改めて詳述する。
濃度算出処理部205は、以上のようにして算出したCr6+濃度に関する算出結果を、後述する濃度検知部207に伝送する。また、濃度算出処理部205は、得られた算出結果を、後述する結果出力部211に出力して、排水系の制御コンピュータや、排水系の管理者等に向けて出力させるようにしてもよい。更に、濃度算出処理部205は、算出したCr6+濃度に関する算出結果を、蛍光強度の測定された日時を示す時刻情報等と関連付けて、履歴情報として記憶部209等に記録してもよい。
濃度検知部207は、例えば、CPU、ROM、RAM等により実現される。濃度検知部207は、濃度算出処理部205によって算出されたCr6+濃度に基づいて、Cr6+に関する所定の検知レベルを超えたか否かを判断する。かかる判断に用いられる検知レベル(基準値)は、記憶部209等に予め格納しておけばよい。
Cr6+濃度が所定の検知レベルを超えた場合、濃度検知部207は、基準値以上のCr6+が検知された旨を示す情報を、後述する結果出力部211に出力する。これにより、Cr6+の検知結果が、排水系の制御コンピュータや、排水系の管理者等に向けて出力されることとなる。
かかる演算手順は、上記のように非常に簡便であり、試料セルを蛍光スペクトル測定装置1の蛍光測定ユニット10にセットしてから上記のような分析結果が出るまで、数秒〜数分しか要しない。従って、かかる蛍光スペクトル測定装置1を用いることで、水中のCr6+濃度を迅速かつ連続的に測定することが可能となる。
記憶部209は、例えば本実施形態に係る演算処理ユニット20が備えるRAMやストレージ装置等により実現される。記憶部209には、本実施形態に係る演算処理ユニット20が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベースや相関関係やプログラム等が、適宜記録される。この記憶部209は、測定制御部201、データ取得部203、濃度算出処理部205、濃度検知部207、結果出力部211、表示制御部213等が、自由にデータのリード/ライト処理を行うことが可能である。
結果出力部211は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。結果出力部211は、濃度算出処理部205から出力された濃度算出結果に関する情報や、濃度検知部207から出力された検知結果に関する情報を、後述する表示制御部213に出力する。これにより、上記濃度算出結果や検知結果等に関する情報が、表示部(図示せず。)に出力されることとなる。また、結果出力部211は、得られた検出結果を、排水系の制御を行っている制御コンピュータ等の外部の装置に出力してもよい。これにより、制御コンピュータ等の外部の装置においては、アラームを動作させて、制御コンピュータ等の管理者に対処操作を開始させることが可能となる。
また、結果出力部211は、得られた検出結果を利用して、製品に関する各種の帳票を作成してもよい。また、結果出力部211は、得られた各種情報を、当該情報を算出した日時等に関する時刻情報と関連づけて、記憶部209等に履歴情報として格納してもよい。
表示制御部213は、例えば、CPU、ROM、RAM、出力装置、通信装置等により実現される。表示制御部213は、結果出力部211から伝送された、濃度算出結果や検知結果等に関する情報を、蛍光スペクトル測定装置1が備えるディスプレイ等の出力装置や蛍光スペクトル測定装置1の外部に設けられた出力装置等に表示する際の表示制御を行う。これにより、蛍光スペクトル測定装置1の利用者は、濃度算出結果や検知結果等といった各種結果を、その場で把握することが可能となる。
以上、本実施形態に係る演算処理ユニット20の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
なお、上述のような本実施形態に係る演算処理ユニットの各機能を実現するためのコンピュータプログラムを作製し、パーソナルコンピュータ等に実装することが可能である。また、このようなコンピュータプログラムが格納された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
[ハードウェア構成について]
次に、図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20のハードウェア構成について、詳細に説明する。図4は、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
演算処理ユニット20は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、を備える。また、演算処理ユニット20は、更に、バス907と、入力装置909と、出力装置911と、ストレージ装置913と、ドライブ915と、接続ポート917と、通信装置919とを備える。
CPU901は、演算処理装置及び制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置913、又は、リムーバブル記録媒体921に記録された各種プログラムに従って、演算処理ユニット20内の動作全般又はその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901が使用するプログラムや、プログラムの実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるバス907により相互に接続されている。
バス907は、ブリッジを介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バスに接続されている。
入力装置909は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチ及びレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置909は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、演算処理ユニット20の操作に対応したPDA等の外部接続機器923であってもよい。更に、入力装置909は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。演算処理ユニット20のユーザは、この入力装置909を操作することにより、演算処理ユニット20に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
出力装置911は、取得した情報をユーザに対して視覚的又は聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。このような装置として、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置及びランプなどの表示装置や、スピーカ及びヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなどがある。出力装置911は、例えば、演算処理ユニット20が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、演算処理ユニット20が行った各種処理により得られた結果を、テキスト又はイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
ストレージ装置913は、演算処理ユニット20の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置913は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、又は、光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置913は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、及び、外部から取得した各種のデータなどを格納する。
ドライブ915は、記録媒体用リーダライタであり、演算処理ユニット20に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ915は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、又は、半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体921に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体921は、例えば、CDメディア、DVDメディア、Blu−ray(登録商標)メディア等である。また、リムーバブル記録媒体921は、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、フラッシュメモリ、又は、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等であってもよい。また、リムーバブル記録媒体921は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
接続ポート917は、機器を演算処理ユニット20に直接接続するためのポートである。接続ポート917の一例として、USB(Universal Serial Bus)ポート、IEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート等がある。この接続ポート917に外部接続機器923を接続することで、演算処理ユニット20は、外部接続機器923から直接各種のデータを取得したり、外部接続機器923に各種のデータを提供したりする。
通信装置919は、例えば、通信網925に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置919は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth(登録商標)、又は、WUSB(Wireless USB)用の通信カード等である。また、通信装置919は、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、又は、各種通信用のモデム等であってもよい。この通信装置919は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で、例えばTCP/IP等の所定のプロトコルに則して信号等を送受信することができる。また、通信装置919に接続される通信網925は、有線又は無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、社内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信又は衛星通信等であってもよい。
以上、本発明の実施形態に係る演算処理ユニット20の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
以上、本実施形態に係る濃度測定方法で用いられる蛍光スペクトル測定装置1の構成について、簡単に説明した。
(濃度測定方法について)
次に、本実施形態に係る濃度測定方法について、詳細に説明する。
本実施形態に係る濃度測定方法は、Cr6+を含む被測定水において、Cr6+が持つ蛍光消光作用を利用することにより、既知の濃度の蛍光物質を一定量添加した際の、蛍光強度の消光度合いからCr6+を検知し、濃度レベルを把握する方法である。
本実施形態に係るCr6+濃度の測定方法は、Cr6+を含む被測定水において、既知の濃度の蛍光物質を一定量添加した際の蛍光強度からCr6+濃度を測定する方法であり、被測定水に対して、予め、既知の濃度の蛍光物質が一定量添加されており、予め作成された前記蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関するデータベースを利用して、前記蛍光物質が添加された前記被測定水をサンプリングして得られた試料における前記蛍光物質の発する蛍光強度を測定する測定工程と、測定された前記蛍光強度の測定結果と、予め作成された、前記蛍光物質の一定量を添加した水にCr6+を添加した際の、蛍光強度の消光度合いとCr6+濃度との相関関係を表わす情報と、を利用して、前記試料中のCr6+濃度を算出する濃度算出工程と、を含む。
本実施形態に係る濃度測定方法では、Cr6+の濃度が既知の各サンプルに対して所定濃度の蛍光物質を添加し、所定濃度の蛍光物質とCr6+とが存在している各サンプルの蛍光強度を測定しておく。また、別途、所定濃度の蛍光物質が単独で存在しているサンプルの蛍光強度も測定しておく。先だって言及しているように、サンプル中にCr6+が存在することで、サンプルの蛍光強度の消光が生じる。従って、所定濃度の蛍光物質が単独で存在しているサンプルの蛍光強度と、所定濃度の蛍光物質とCr6+とが存在しているサンプルの蛍光強度と、の差分に着目することで、Cr6+濃度と蛍光強度の消光の大きさとの相関関係を予め特定することができる。
ここで、上記のような既知の蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関する情報は、データベースとして予め準備しておく。その上で、Cr6+の濃度が未知のサンプルに対して、上記のような相関関係が明らかとなっている濃度の蛍光物質を予め添加し、サンプルの蛍光強度を測定する。得られた蛍光強度の測定結果と、本来所定濃度の蛍光物質が発する蛍光強度と、の差分から、Cr6+に起因する蛍光強度の消光が発生したか否かを判断することができる。また、本発明者らが見出したCr6+による蛍光強度の消光現象では、Cr6+に起因する蛍光強度の消光度合いは、Cr6+の濃度が濃くなるほど大きくなる。従って、消光の大きさ(換言すれば、得られる差分値)と、上記の相関関係と、を利用して、Cr6+の濃度レベルを把握することが可能となる。
なお、上記説明では、Cr6+に起因する蛍光強度の消光の大きさと、Cr6+濃度との相関関係を利用する場合を例に挙げたが、Cr6+に起因して蛍光強度の消光が生じた後の蛍光物質の蛍光強度と、Cr6+濃度との相関関係に着目した場合であっても、同様の処理を行うことが可能となる。以下では、Cr6+に起因して蛍光強度の消光が生じた後の蛍光物質の蛍光強度と、Cr6+濃度との相関関係を例に挙げながら、詳細な説明を行うものとする。
例えば、以下の実施例で詳述するように、5mg/Lとなるようフェノールスルホン酸(PSA)を水に添加し、図5に示すCr6+濃度と蛍光強度の消光度合いとの相関関係から、Cr6+を検知し、その濃度レベルを把握することができる。図5では、Cr6+濃度が0mg/Lの場合では、PSA5mg/Lの蛍光強度値はおよそ2.2Vであり、Cr6+濃度が10mg/Lの場合では、PSA5mg/Lの蛍光強度値は蛍光消光作用により0Vになっている。また、図5から明らかなように、Cr6+濃度と蛍光強度値との間の相関関係は、線形式で近似できた。このような相関関係を用いて、蛍光強度値から0〜10mg/LのCr6+濃度を算出することができる。
更に、既知の蛍光物質の濃度を変えることで、測定したいCr6+濃度の上限値を変えることができる。例えば、PSA濃度を10mg/Lにすることで、消光により蛍光強度値が0Vになるのに要するCr6+濃度は、PSA5mg/Lの蛍光強度値が消光するのに要するCr6+濃度である10mg/Lよりも多くなるため、測定したいCr6+濃度の上限値は10mg/Lよりも高くなる。ただし、PSA濃度を高くし過ぎると濃度消光が発生するため、相関関係は別途求めることが重要である。濃度消光が起きる濃度は蛍光物質で異なるが、本発明者らの実施例において、PSAの濃度消光が起きるのは75〜100mg/Lであった。
ここで、既知の蛍光物質は、特定の励起光に応じて特有の蛍光を発生するものであれば特に限定するものではないが、上記のPSA以外に、以下のようなものを挙げることができる。
例えば、紫外吸収光度法による連続モニタリングで一般的に使用されるトレーサーであるウラニンNa(フローレッセン)やローダミンなどは比較的安価であるため、特に大流量の排水系を対象に本発明を適用する場合は、有利である。更に、これらのトレーサーはEPA認可品であり、また、National Sanitation Foundation(NSF)のANSI/NSF Standard60によって定められた濃度レベルであれば、アメリカにおいては飲料水に使用できると公認されていることが、非特許文献1に記載されている。更に、これらのトレーサーは、生分解性があり、環境に対して安全とされている。
また、測定対象の水に既知の蛍光物質がある一定範囲内の濃度で含まれており、Cr6+による蛍光消光作用と定量的相関性があり、かつ、既知の蛍光物質の蛍光強度値とCr6+濃度の相関関係からCr6+濃度が算出可能であるならば、既知の蛍光物質が測定対象の水に含まれていても、本発明が適用可能である。ただし、測定対象の水に元来含まれる蛍光物質濃度が大きく変動する場合には、元来含まれている蛍光物質とは別の既知の蛍光物質を添加することが好ましい。
蛍光物質濃度の変動度合いについては、一般的な検出限界の考え方が適用できる。すなわち、蛍光物質濃度の変動に伴う蛍光強度値の平均値と標準偏差σに基づき、この平均から3σまでを検出限界値とみなし、検出限界値に対応するCr6+濃度を求めることができる。例えば、既知の蛍光物質を一定量添加した時の蛍光強度値の平均値が2.2Vであり、標準偏差が0.05Vであり、図5と同じ既知の蛍光物質の蛍光強度値とCr6+濃度との相関関係が存在した場合を考える。この際、検出限界値は、2.2−3×0.05=2.05Vとみなせるため、検出可能なCr6+濃度、すなわち定量下限は、蛍光強度2.05VにおけるCr6+濃度値である0.57mg/Lと考えることができる。この定量下限値が所望のCr6+測定精度を満たさない場合は、別の既知の蛍光物質を添加することができる。
Cr6+を含む被測定水に、添加しようとする蛍光物質が既に一定量含まれている場合には、Cr6+を含む被測定水単独の蛍光強度と、更に蛍光物質を一定量添加した際の蛍光強度との差分から、Cr6+の影響による消光度を把握することができる。
また、既知の蛍光物質は、水グリコール系作動油のような各種作動油や、界面活性剤等を挙げることができる。また、被測定水のうち、対象となる排水としては、めっき排水、クロム酸塩を含む冷却水、皮なめし工場排水、写真工場排水などを挙げることができる。
なお、本発明における、Cr6+濃度を測定する試料のサンプリング間隔は、例えば秒毎であっても、日毎であっても構わない。さらに、その時間間隔は、必ずしも一定である必要は無い。試料のサンプリング間隔は、Cr6+を含む被測定水のCr6+濃度の変動具合や監視の必要程度に応じて、選定することが可能である。
本実施形態に係る濃度測定方法では、実際の測定操作に先立って、対象とする既知の蛍光物質の蛍光スペクトルが予め測定されて、既知の蛍光物質に特徴的な励起波長、蛍光波長及び蛍光スペクトル強度がデータベース化されているものとする。また、対象とする蛍光物質を含み、Cr6+濃度を変えながら添加した各水溶液について、励起波長及び蛍光波長における蛍光スペクトル強度を測定し、Cr6+濃度と、蛍光の消光度合いと、の相関関係を表わす情報(例えば、検量線など)が予め作成されているものとする。これらデータベースや相関関係を表わす情報は、蛍光スペクトル測定装置1が有する演算処理ユニット20(例えば、記憶部209等)に、予め格納されているものとする。
<蛍光スペクトル測定に際して>
ここで、先だって説明したように、蛍光光度法における蛍光スペクトル強度は、蛍光性成分の周囲の性質(試料のpH、共存塩、SS等)により影響を受ける可能性がある。そのため、例えば検知に供する試料のpH等を一定範囲に調整するなどといった測定前処理を行うことが好ましい。
また、測定は光学的な原理に基づくことから、試料の濁度やSSは、先だって説明したような理由から、測定に先立って低減させることが好ましい。また、蛍光測定ユニット10の検知器113が接液型の検知器である場合、試料中に含まれるSSが検知器に汚れとして付着し、測定自体が困難になる可能性が高くなる。このような理由からも、蛍光スペクトルの測定に先立って、試料のSS濃度を低減させることが好ましい。
更に、蛍光光度法においては、試料中の成分の濃度が高まると蛍光が弱められるという、消光作用(quenching)が発生しうる。この消光作用は、水中に存在する分子同士の衝突や異種又は同種の励起−未励起分子間の非衝突エネルギー移動により生じると考えられている。蛍光光度法では測定対象物の低濃度の混入を高感度で検知することが可能であるが、測定対象物が高濃度で混入した場合には、この消光作用のため、低濃度の混入であると誤判断し、正しく検知できなくなる可能性がある。
以下で説明する本実施形態に係る濃度測定方法では、以上説明したような注意点に留意しつつ、以下のような流れで処理が実施される。
<濃度測定方法の流れについて>
以下では、図6を参照しながら、本実施形態に係る濃度測定方法の流れの一例を、詳細に説明する。図6は、本実施形態に係る濃度測定方法の流れの一例を模式的に示した説明図である。
Cr6+を少なくとも含む被測定水は、所定の排水経路を通って、所定の排水処理がなされつつ、排水口から排出されているものとする。ここで、本実施形態に係る濃度測定方法では、図6に示したように、排水経路から分岐された流路の更に上流側において、予め、所定濃度の蛍光物質が一定量添加されている。
本実施形態に係る濃度測定方法では、この排水経路から分岐された流路を通る上記水に対して、以下で詳述するようなpH調整工程(ステップS103)、固液分離工程(ステップS105)、測定工程(ステップS107)、濃度算出工程(ステップS109)、検知工程(ステップS111)及び対処工程(ステップS113)が施される。
なお、図6では、排水経路から分岐された流路の更に上流側で、所定濃度の蛍光物質が一定量添加される場合に着目して図示を行っているが、所定濃度の蛍光物質が一定量添加されるタイミングは、図6に示した例に限定されるものではなく、分岐された流路の直前で添加してもよく、分岐された流路における測定工程(ステップS107)に至るまでの任意のタイミングで添加されてもよい。すなわち、本実施形態に係る濃度測定方法では、蛍光強度が測定される測定工程に先立ってさえいれば、任意のタイミングで所定濃度の蛍光物質を一定量添加すればよい。この際、添加された蛍光物質の蛍光強度をより正確に測定するために、測定工程S107になるべく近いタイミングで蛍光物質を添加することが、より好ましい。
蛍光消光を示すイオン種はCr6+以外にFe3+、Cr3+、Ni2+、Cu2+,Co2+などが一般的に知られている。また、本発明者らは、これらのイオン種に加えて、Fe2+も蛍光消光を示すことを見出している。Cr6+を測定する際は、これらのイオン種が除去されていることが望ましい。そのため、本実施形態に係る濃度測定方法では、蛍光消光を示すイオン種等を試料中から除去する除去工程が実施される。かかる除去工程は、図6に示したように、pH調整工程S103と、固液分離工程S105という2つの工程から構成される。
pH調整工程S103は、試料のpHを調整することで、水に共存しているCr3+、Fe3+、Fe2+等を、水酸化物として析出させる工程である。かかる水酸化物の析出反応は、以下の反応式(1)〜(3)で表わされる。
Cr3+ + 3OH → Cr(OH)↓ ・・・(1)
Fe2+ + 2OH → Fe(OH)↓ ・・・(2)
Fe3+ + 3OH → Fe(OH)↓ ・・・(3)
試料のpH調整には、調整前の試料の液性に応じて、酸又はアルカリが用いられる。pH調整に用いられる酸としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸等を挙げることができる。また、pH調整に用いられるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムの溶液等を挙げることができる。
pH調整に用いられる酸やアルカリの添加量制御には、制御用出力を備えたpH計測器を用いることが好ましい。例えば、設定値未満のpHとなった場合には酸を送液するポンプを動作させ、設定値超過のpHとなった場合にはアルカリを送液するポンプを動作せるように、設定値に合わせて制御用出力を出すようにpH計測器を設定することで、試料のpHを容易に制御することができる。
また、めっき排水のようにpH変動が大きい水に対しては、一定量注入のpH制御が困難となる場合があるため、PID制御によるpH制御を用いても良い。
また、試料のpHをどのような範囲の値にすればよいかについて、本発明者らは、既知の蛍光物質としてフェノールスルホン酸(PSA)に着目した場合について、PSAにCr6+、Fe2+、Fe3+、Cr3+を混合した試料を利用して、以下の実験例で示すように鋭意検討を行った。この際に、着目するPSAの蛍光としては、(励起波長/蛍光波長)=(230nm/300nm)と、(270nm/300nm)の2種類とした。
その結果、PSAにCr6+を意図的に添加した場合では、pH2〜10の範囲において、(270nm/300nm)の蛍光ピークはろ過に代表される固液分離処理の有無に関わらず、蛍光消光によりほとんど検出されなかった。
同様に、PSAにFe2+を意図的に添加した場合では、pH2〜10の範囲において、(270nm/300nm)の蛍光ピークは、ろ過に代表される固液分離処理を行わなかった場合には、ほとんど計測されず、ろ過を行った場合には、pH6〜8の範囲でのみ計測された。また、(230nm/300nm)の蛍光ピークは、ろ過処理の有無に関わらず、pH2〜10でほとんど計測されなかった。この結果から、原水中にFe2+が含まれている場合には、原水のpHを少なくとも6〜8に調整し、ろ過(すなわち、固液分離処理)を行わないと、PSAを蛍光光度法で検知できないことがわかった。換言すれば、原水中にFe2+が存在している場合には、原水のpHを6〜8に調整することによって、原水中のFe2+が水酸化鉄として析出し、ろ過処理により水酸化鉄が除去されているものと考えられる。
同様に、PSAにFe3+を意図的に添加した場合では、原水のpHを少なくとも6〜8に調整し、ろ過を行った場合には(230nm/300nm)及び(270nm/300nm)の双方の蛍光ピークが計測されるのに対し、ろ過を行わなかった場合には、pH2〜10の範囲において、双方の蛍光ピークは計測されなかった。従って、原水中にFe3+が存在している場合においても、原水のpHを6〜8に調整することによって、原水中のFe3+が水酸化鉄として析出し、ろ過処理により水酸化鉄が除去されているものと考えられる。
また、PSAにCr3+を意図的に添加した場合では、原水のpHを2〜10とした場合の全てにおいて、(230nm/300nm)及び(270nm/300nm)の双方の蛍光ピークが計測される。ここで、ろ過を行うことにより、双方の蛍光ピークにおいて、蛍光強度が増加することが観測された。
なお、既知の蛍光物質としてPSA以外の物質に着目した場合であっても、上記と同様の挙動が観測された。
従って、これらの検討結果から、試料のpHを6〜8に調整することによって、試料中に存在するFe2+、Fe3+、Cr3+による蛍光消光を水酸化物として析出させることで除去が可能であることがわかった。
試料のpHが上記範囲となるように調整された後に、固液分離工程S105が実施される。この固液分離工程によって、試料中に析出したCr(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)といった水酸化物が試料中から除去されるとともに、試料中に存在しうる懸濁物質(SS)も試料中から除去されることとなる。
排水系を流れる水を連続的に処理することを考えると、かかる固液分離工程では、膜分離を用いて、試料から固形物を除去することが好ましい。膜分離を選択した場合には、分離膜の閉塞を防ぐために、エアレーションによるせん断応力を利用して、分離膜への固形物堆積を抑制することができる。
なお、固液分離の方法として、膜分離以外にも、重力沈降やサイクロン方式などといった方法を用いても良い。しかしながら、重力沈降方式は一定の滞留時間を要するため、蛍光測定を行うにはタイムラグが発生する可能性がある。また、サイクロン方式は、迅速に固液分離を行うためタイムラグは小さいものの、遠心力による除去方法のため、固形物の比重等によって微細な固形物が除去しきれない場合がある。従って、比較的迅速かつ蛍光測定に影響を与えないように固形物を除去するには、膜分離による方法が望ましい。
なお、Cr3+、Fe3+、Fe2+がpH調整工程S103において液体試料中に残存した場合には、後段の測定工程での蛍光光度法による測定に影響が出てしまう。そのため、Cr3+、Fe3+、Fe2+を液体試料中からより確実に除去するために、固液分離工程S105にて再度上記のようなpH調整を実施しても良い。
固液分離工程S105を経て各種水酸化物やSSなどの固形物が除去された試料は、図1〜図4を参照しながら説明したような蛍光スペクトル測定装置1を用いて、一連の測定処理が行われる。蛍光スペクトル測定装置1を用いた処理は、図6に示したように、測定工程S107、濃度算出工程S109及び検知工程S111から構成される。
測定工程S107では、蛍光スペクトル測定装置1の記憶部209等に格納されたデータベースを参照し、データベースに記載されている蛍光特性に基づいて、着目している排水系において添加される既知の蛍光物質に特有の蛍光スペクトルが選定される。その上で、蛍光スペクトル測定装置1により選定した蛍光スペクトル強度を測定して、添加する既知の蛍光物質の蛍光スペクトルのピーク位置における蛍光スペクトル強度を得る。また、既に蛍光スペクトルの測定された試料は、所定の流路を経由して、もとの排水系へと連続的に再流入する。
また、濃度算出工程S109では、測定工程S107で得られた蛍光スペクトル強度と、蛍光スペクトル測定装置1の記憶部209等に格納されたCr6+濃度と蛍光消光度合いの相関関係に基づいて、被測定水中のCr6+濃度が算出される。
検知工程S111では、濃度算出工程S109で得られた、対象とする被測定水の各種濃度を基に、所定の検知レベル(基準値)を超えたかが判定される。所定の検知レベルを超えたと判断された場合、蛍光スペクトル測定装置1は、排水系を管理するコンピュータ等にその旨を示す情報を出力する。その結果、排水系を管理するコンピュータ等は、Cr6+濃度が基準値を超えた旨を知らせるアラームなどを動作させる。
対処工程S113では、検知工程S111で動作したアラーム等の警告に応じて、流路の遮断等といった措置が、現場の管理者又は管理コンピュータ等によって実施される。
以上、図6を参照しながら、本実施形態に係る濃度測定方法の流れについて、詳細に説明した。
なお、既知の蛍光物質が、難燃性作動油もしくは水溶性切削油などの各種切削油や、界面活性剤である場合についても、既知の蛍光物質がPSA等の特定の化合物である場合と同様に濃度測定処理を行うことが可能である。
しかしながら、既知の蛍光物質が、高い蛍光スペクトル強度を発する場合も考えられる。かかる場合には、例えば測定工程S107の直前など、所定のタイミングにおいて、試料を所定の倍率で希釈する希釈工程を付加してもよい。これにより、既知の蛍光物質以外の成分が発する蛍光スペクトル強度を低下させることができ、蛍光光度法に適した強度で蛍光スペクトルを測定することが可能となる。
なお、測定工程S107に先立って希釈工程が実施され、試料が所定の倍率で希釈された場合には、濃度算出工程S109において、希釈倍率を考慮した濃度算出処理が行われることとなる。
以上、図5及び図6を参照しながら、本実施形態に係る濃度測定方法について詳細に説明した。
次に、各種の実験例を示しながら、本発明の実施形態に係る濃度測定方法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実験例は、本発明に係る濃度測定方法のあくまでも一具体例であって、本発明に係る濃度測定方法が下記に示す実験例に限定されるものではない。
(実験例1:フェノールスルホン酸を用いたCr6+濃度の測定)
連続的に発生するCr6+を含む被測定水をサンプリングし、蛍光物質としてフェノールスルホン酸(PSA)を定常的に5mg/L添加して、フェノールスルホン酸の蛍光ピークである(励起波長/蛍光波長)=(270nm/300nm)の蛍光強度を連続的に測定した。その結果、図7に示すように、測定開始後5時間後に蛍光強度が大幅に消光し、12時間辺りから増加し始め、14時間経過後には蛍光強度が測定開始初期の値レベルに戻る変化を示した。予め求めておいた、水にフェノールスルホン酸(PSA)を5mg/L添加した試料に対して、Cr6+を添加した際の蛍光強度とCr6+濃度との相関関係を示す図5から、この連続的に発生する水のCr6+濃度を算出した結果、サンプリング開始から5時間経過時のCr6+濃度は、7mg/Lと算出された。一方、同じ試料を、JIS K1020に準拠したジフェニルカルバジド吸光光度法にて測定した結果、Cr6+濃度は5mg/Lであった。また、水をサンプリングしてから測定結果が得られるまでに要した時間は、配管及び測定槽の滞留時間である1分間であった。よって、本発明に係る濃度測定方法を用いることで、従来のCr6+濃度モニタリング装置よりも短時間に、比較的近い分析結果を得ることができた。
この結果から、連続的に発生する水におけるCr6+の濃度を迅速に測定可能であることが、本発明により可能となった。
(実験例2:Feイオンを含む水のフェノールスルホン酸を用いたCr6+濃度の測定)
連続的に発生するCr6+、Fe2+及びFe3+を含む被測定水をサンプリングし、pH7に調整して膜分離により固液分離を行った試料に、蛍光物質としてフェノールスルホン酸(PSA)を定常的に5mg/L添加して、フェノールスルホン酸の蛍光ピークである(励起波長/蛍光波長)=(270nm/300nm)の蛍光強度を連続的に測定した。その結果、図8に示すように、測定開始後1.5時間後に蛍光強度が大幅に消光し、2.5時間辺りから増加し始め、3.5時間経過後には蛍光強度が測定開始初期の値レベルに戻る変化を示した。予め求めておいた、水にフェノールスルホン酸(PSA)を5mg/L添加した試料に対して、Cr6+を添加した際の蛍光強度とCr6+濃度との相関関係を示す図5から、この連続的に発生する水のCr6+濃度を算出した結果、サンプリング開始から1時間経過時は、Cr6+濃度はほぼ0mg/Lであり、2時間経過時はCr6+濃度は10mg/Lであり、3時間経過時はCr6+濃度は4mg/Lであり、4時間経過時はCr6+濃度はほぼ0mg/Lであると算出された。一方、同じ試料を、JIS K1020に準拠したジフェニルカルバジド吸光光度法にて測定した結果、ほぼ同様の分析結果が得られた。
この結果から、連続的に発生する水におけるCr6+の濃度を迅速に測定可能であることが、本発明により可能となった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1 蛍光スペクトル測定装置
10 蛍光測定ユニット
20 演算処理ユニット
101 光源
103 励起光
105 ビームスプリッタ
107 モニタ側検知器
109 試料セル
111 蛍光
113 検知器
201 測定制御部
203 データ取得部
205 濃度算出処理部
207 濃度検知部
209 記憶部
211 結果出力部
213 表示制御部

Claims (6)

  1. Cr6+を含む被測定水において、既知の濃度の蛍光物質を一定量添加した際の蛍光強度からCr6+濃度を測定する方法であって、
    前記被測定水に対して、予め、既知の濃度の蛍光物質が一定量添加されており、
    予め作成された前記蛍光物質の励起波長、蛍光波長及び蛍光強度に関するデータベースを利用して、前記蛍光物質が添加された前記被測定水をサンプリングして得られた試料における前記蛍光物質の発する蛍光強度を測定する測定工程と、
    測定された前記蛍光強度の測定結果と、予め作成された、前記蛍光物質の一定量を添加した水にCr6+を添加した際の、蛍光強度の消光度合いとCr6+濃度との相関関係を表わす情報と、を利用して、前記試料中のCr6+濃度を算出する濃度算出工程と、
    を含む、Cr6+濃度測定方法。
  2. 前記相関関係を表わす情報は、Cr6+濃度と、Cr6+に起因する消光が生じた後の前記蛍光物質の蛍光強度と、の間の相関関係を表わした情報である、請求項1に記載の濃度測定方法。
  3. 前記相関関係を表わす情報は、Cr6+濃度と、前記蛍光物質の蛍光強度の消光の大きさと、の間の相関関係を表わした情報である、請求項1に記載の濃度測定方法。
  4. 前記測定工程に先立ち、前記試料のpHを少なくとも6〜8に調整して、Feイオンを水酸化物として析出させ、固形物の除去を行う除去工程をさらに有する、請求項1〜3の何れか1項に記載の濃度測定方法。
  5. 前記除去工程では、膜分離により、前記試料から前記水酸化物を除去する、請求項4に記載の濃度測定方法。
  6. 前記Cr6+を含む被測定水は、めっき排水、クロム酸塩を含む冷却水、皮なめし工場排水又は写真工場排水のいずれかを含む、請求項1〜5の何れか1項に記載の濃度測定方法。
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