JP6413824B2 - ガスセンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ガスセンサ及びその製造方法に関する。
従来、例えばSnOなどの酸化物半導体を検出部に利用したガスセンサ(酸化物半導体ガスセンサ)が広く知られている(例えば特許文献1参照)。
また、グラフェンを用いたガスセンサ(グラフェンガスセンサ)の研究開発も行われている(例えば非特許文献1参照)。
また、金属・半導体接合を利用したショットキダイオード型水素ガスセンサもある(例えば非特許文献2、特許文献2、3参照)。
特開2000−65773号公報 特開平6−222027号公報 特開2006−329802号公報
F. Schedin et al., "Detection of individual gas molecules adsorbed on graphene", Nature Materials, Vol. 6, September 2007, pp. 652-655 Paul F. Ruths et al., "A Study of Pd/Si MIS Schottky Barrier Diode Hydrogen Detector", IEEE Transaction on Electron Devices, Vol. ED-28, No. 9, September 1981, pp. 1003-1009
しかしながら、酸化物半導体ガスセンサは、ガス濃度の検出限界が数百ppm程度であり、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出するのは難しい。
また、グラフェンガスセンサでは、ガス分子の吸着による大きな電気伝導度の変化は得られにくく、より一層の検出感度の向上が必要である。
また、ショットキダイオード型水素ガスセンサは、現状では呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出できるまでには至っておらず、また、水素以外の物質に対して反応するかどうかも明らかでない。
そこで、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出することができるようにしたい。
本ガスセンサは、下部金属電極と、下部金属電極上に設けられ、ガスを検出する検出層と、検出層上に設けられた上部金属電極とを備え、検出層は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層と、障壁層上に積層された第1グラフェン層とを備え、上部金属電極は、第1グラフェン層が部分的に露出するように設けられている。
本ガスセンサの製造方法は、ガスを検出する検出層を形成する工程と、下部金属電極上に、検出層を設ける工程と、検出層上に、上部金属電極を設ける工程とを含み、検出層を形成する工程は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層を形成する工程と、障壁層上に積層された第1グラフェン層を形成する工程とを含み、上部金属電極を設ける工程において、第1グラフェン層が部分的に露出するように上部金属電極を設ける。
したがって、本ガスセンサ及びその製造方法によれば、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出することができるという利点がある。
本実施形態にかかるガスセンサの構成を示す模式的断面図である。 吸着前後の仕事関数の変化量Δφとアンモニウム分子の被覆率の関係を示す図である。 本実施形態のガスセンサの動作原理を説明するための図であって、(A)は分子吸着前のバンド図であり、(B)は分子吸着後のバンド図である。 (A)、(B)は、金属の仕事関数φ、半導体の電子親和力χ、ショットキ障壁の高さφを説明するためのバンド図である。 本実施形態にかかるガスセンサの具体的な構成例を示す模式的断面図である。 (A)〜(E)は、本実施形態の具体的な構成例のガスセンサの製造方法を説明するための模式的断面図である。 (A)〜(H)は、本実施形態の変形例のガスセンサの製造方法を説明するための模式的断面図である。 本実施形態の変形例のガスセンサの構成を示す模式的断面図である。
以下、図面により、本発明の実施の形態にかかるガスセンサ及びその製造方法について、図1〜図8を参照しながら説明する。
本実施形態のガスセンサは、グラフェンを検出部に利用したガスセンサであって、図1に示すように、下部金属電極1と、下部金属電極1上に設けられ、ガス(被検気体;被検分子)を検出する検出層2と、検出層2上に設けられた上部金属電極3とを備える。そして、検出層2は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層21と、障壁層21上に積層された第1グラフェン層22とを備える。また、上部金属電極3は、第1グラフェン層22が部分的に露出するように設けられている。このように、本実施形態のガスセンサは、下部金属電極1と上部金属電極3との間に挟まれる検出層2に、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層21と第1グラフェン層22を積層し、第1グラフェン層22を部分的に露出させたガスセンサデバイスを備える。このガスセンサでは、第1グラフェン層22が部分的に露出しているため、ガス検出時には、被検気体であるガスに対して第1グラフェン層22の表面の少なくとも一部分が暴露されることになる。なお、ガスセンサを化学物質センサ、呼気ガスセンサ、グラフェンガスセンサともいう。
本実施形態では、検出層2は、第1グラフェン層22との間に障壁層21を挟むように障壁層21の下に積層された第2グラフェン層23をさらに備える。つまり、本実施形態では、検出層2は、第2グラフェン層23、障壁層21、第1グラフェン層22が順に積層され、2つのグラフェン層23、22の間に障壁層21が挟まれた構造になっている。このように、第1グラフェン層22と第2グラフェン層23は障壁層21を介して接触している。
また、本実施形態では、障壁層21は、六方晶の窒化ホウ素(h−BN;BN)又は窒化ホウ素と炭素(グラファイト)の混晶(h−BCN;BCN)からなる。つまり、本実施形態では、検出層2は、グラフェン、BN又はBCN、グラフェンが順に積層され、2つのグラフェンの間にBN又はBCNが挟まれた構造になっている。例えば、障壁層21をBN層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、BN(バルク)の電子親和力は約2.49eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。これにより、障壁層21は、グラフェン層22に対してエネルギ障壁を形成しうることになる。
ここで、BNはバンドギャップが約6eVのワイドギャップ半導体であり、BCNはその組成比によって0から6eVの範囲でバンドギャップを調整できる半導体である。なお、障壁層21のバンドギャップはグラフェンから見た障壁高さに関係してくるため、被検ガスに応じて、即ち、被検ガスに対するグラフェンの仕事関数の変化に応じて、適宜選択することが望ましい。なお、障壁層21はグラフェンよりもバンドギャップが大きい材料からなる層である。
具体的には、基板4上に、下部金属電極1が設けられており、この下部金属電極1上に、検出層2を構成する第2グラフェン層23、障壁層21としてのBN層又はBCN層、第1グラフェン層22が順に積層されており、検出層2の最上層である第1グラフェン層22上に、第1グラフェン層22が部分的に露出するように、上部金属電極3が設けられている。そして、上部金属電極3及び下部金属電極1にモニタ装置5が接続されており、第1グラフェン層22と第2グラフェン層23との間の電気伝導度(導電率)を測定することができるようになっている。ここでは、モニタ装置5によって電流の変化をモニタすることができるようになっている。なお、モニタ装置5を電流モニタ装置ともいう。
次に、本実施形態のガスセンサの原理を説明する。
まず、密度汎関数理論を用いた第一原理計算法によって、アンモニウムガス分子(NH)を吸着したグラフェンシートの仕事関数を求める。
ここで、アンモニウム分子は、グラフェンに対してドナーとして働き、グラフェンはn型にドーピングされる。
また、図2は、吸着前後の仕事関数の変化量Δφとアンモニウム分子の被覆率の関係を示している。これは、第一原理計算から得られた、アンモニウム分子の吸着によるグラフェンの仕事関数変化の被覆率依存性を示している。ここで、被覆率とは、表面原子数に対する吸着分子数の比である。
図2中、実線Aで示すように、吸着分子数、即ち、被覆率が増えるにつれて、仕事関数は減少していく。なお、ここでは、比較のために、プラス1価の電荷がついた場合として、金属(Cu)の表面にアルカリ金属原子(K)が吸着した場合の仕事関数の変化を丸印でプロットしている(例えば村田好正、八木克道、服部健雄、「固体表面と界面の物性」、培風館(1999)、81頁から83頁参照)。
このように、金属と比較してグラフェンの仕事関数の変化は大きく、特に被覆率が低い(分子濃度が低い)場合は、2倍以上に達することがわかる。
これは、次のように解釈できる。
仕事関数の変化は、(1)吸着分子からの電荷移動による双極子の効果と、(2)n型ドーピングによるフェルミ準位の上昇の効果との合算であると考えられる。ドーピングされた電子濃度をρとすると、(2)によるフェルミ準位の上昇ΔEはρ/Dの程度になる。ここで、Dは物質の状態密度である。グラフェンの状態密度は、フェルミ準位で0になるという特異な性質を持つことから、通常の物質に比べてΔEが大きな値を持つことになる。他方、金属は一般にフェルミ準位で大きな状態密度を持つ。これが、金属と比較してグラフェンの仕事関数の変化が大きくなる理由と考えられる。
次に、本実施形態のガスセンサの動作原理を図3(A)、図3(B)のバンド図を参照しながら説明する。
ここで、図3(A)は分子吸着前のバンド図であり、図3(B)は分子吸着後のバンド図である。
ここでは、両グラフェン層間にはバイアス電圧Vを印加する。
分子吸着前のグラフェンの仕事関数をφg0、h−BCNの電子親和力をχとすると、第1グラフェン層から見た障壁高さφb0はφg0−χとなる。
分子吸着によって第1グラフェン層22を構成するグラフェンの仕事関数がφ=φg0+Δφに変化したとすると、第1グラフェン層22から見た障壁高さφはφ−χとなり、やはりΔφだけ変化する。
理想的な熱励起電流を考えると、両グラフェン層22,23間にはexp[−qφ/kT]に比例した電流が流れる。つまり、両グラフェン層22,23間に外部から印加した電位差(バイアス電圧)をVとすると、両グラフェン層22,23間に流れる電流密度Jは、
J=J(exp[eV/kT]−1)
=ATexp[−qφ/kT]=ATexp[−q(φ−χ)/kT]
で与えられる。
ここで、Aは半導体のリチャードソン定数、Tは絶対温度、qは素電荷、kはボルツマン定数である。
このように、Jはφひいてはφに関して指数関数的依存性を持つことから、わずかなφの変化、あるいは、吸着量の変化に対して大きな電流変化が期待できる。
ここで、ガスセンサの検出感度γを、吸着後の電流(あるいは電気伝導度)と吸着前の電流(あるいは電気伝導度)の比で定義すると、
γ=exp[−(φ+Δφ)/kT]/exp[−φ/kT]
=exp[−Δφ/kT]
となる。
例えば、Δφ=−0.5eV、室温を仮定すると、γ=2.5×10となり、従来のグラフェンセンサ(障壁層21を備えないもの)と比較して飛躍的な感度向上が得られる。
このように、γは仕事関数の変化に対して指数関数的に変化する。また、上述の図2を参照しながら説明した内容を考慮すると、本実施形態のガスセンサは、従来のショットキダイオード型ガスセンサと比較しても高い検出感度が得られることになる。
このように、本実施形態にかかるガスセンサでは、表面の状態に敏感なグラフェンの特長を保持しつつ、より一層の検出感度向上を実現し、例えばショットキダイオード型ガスセンサよりも高い検出感度を実現するため、ガス分子吸着によるグラフェンの仕事関数変化を利用する。
このため、本実施形態にかかるガスセンサによれば、ガス分子吸着によるグラフェンの仕事関数変化を利用することで、ppbレベルの濃度のガス分子を大きな電気伝導度変化で高感度に検出することが可能となる。
これにより、例えば呼気中の微量なガス分子を検出するのに十分な性能を有するガスセンサを実現することができる。つまり、呼気中に含まれる物質(化学物質)を検出する呼気ガスセンサ、即ち、ppbレベルの濃度に対しても高い検出感度が要求される呼気ガスセンサを実現することができ、疾病の発見・診断を可能にする高感度なガスセンサを実現することが可能となる。また、ガスセンサを動作させるのに加熱が不要であるため、例えば簡便な呼気検査を実施することが可能となり、実用性の高い呼気ガスセンサを実現することができる。
ところで、上述のように構成しているのは、以下の理由による。
近年、環境・医療をはじめ、多くの分野でセンサ技術に対する要求が高まっている。
化学物質センサは、液体または気体中の特定の化学物質を検出・濃度測定する装置であり、自然あるいは人工環境下での化学物質検出や環境管理に用いられる。化学物質センサは低濃度の化学物質を検出するため、高感度であることが要求される。
ガスセンサは化学物質センサの一形態であり、気体中に含まれる化学物質を検出する。ガスセンサの用途は多岐にわたるが、大きなものとして医療・診断機器への応用がある。
ある特定の疾病に関係して、人間の呼気中に含まれる特定の化学物質の含有量が変化することが知られており、これらの変化量を検出するガスセンサがあれば簡便かつ迅速な診断が可能となり、将来の高齢化社会における健康維持・医療費抑制への貢献が期待できる。
例えば、胃癌患者の場合、呼気中のアンモニア濃度が増加することが知られている。このアンモニア濃度の経過観察が胃癌発症の判定に有効であるとの報告があり、その診断閾値は200ppb程度と考えられている(例えばDavid J. Kearney et al., “Breath Ammonia Measurement in Helicobacter pylori Infection”, Digestive Diseases and Sciences, Vol. 47, No. 11, (November 2002), pp2523-2530参照)。
このように、呼気中に含まれる物質を検出するガスセンサ(呼気ガスセンサ)には、ppbレベルの濃度(ガス濃度)に対しても高い検出感度が要求される。
ところで、例えばSnOなどの酸化物半導体を検出部に利用したガスセンサ(酸化物半導体ガスセンサ)が広く知られている(例えば特許文献1参照)。
しかしながら、酸化物半導体ガスセンサは、ガス濃度の検出限界が数百ppm程度であるため、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出するのは難しい。このため、例えば呼気ガスセンサの検出感度としては不十分である。また、酸化物半導体ガスセンサを動作させるには300℃〜400℃に加熱する必要があるため、例えば呼気中のガス分子などの被検ガス分子が加熱によって変化してしまうおそれがあり、また、例えば呼気検査などを簡便に実施することができず、実用性に乏しい。このため、酸化物半導体ガスセンサを例えば呼気ガスセンサとして利用するのは困難である。
また、グラフェンを用いたガスセンサ(グラフェンガスセンサ)の研究開発も行われている(例えば非特許文献2参照)。
ここで、グラフェンは炭素原子が6角形に結合した単原子層のシートである。グラフェンでは、全ての原子が表面を形成しており、周囲に接触する物質との相互作用が大きいという特徴がある。
グラフェンガスセンサでは、グラフェンの表面にガス分子が吸着することで生じる電荷移動に起因したグラフェンの電気伝導度の変化を利用してガス分子の検出を行なっており、酸化物半導体ガスセンサのように動作時に加熱を必要としない。
しかしながら、グラフェンはギャップレス半導体であり、室温ですでに多数の電子が励起されているというグラフェン特有の物性により、ガス分子の吸着の有無による大きな電気伝導度の変化は得られにくい。例えば、グラフェンガスセンサでは、濃度1ppmのアンモニアガスに対して電気伝導度に反応は見られるものの、その変化率は約4%程度と低い値となってしまう(例えば非特許文献1参照)。
このように、グラフェンガスセンサは、より一層の検出感度向上が望まれる。
また、比較的高い検出感度を実現しているガスセンサとして、金属・半導体接合を利用したショットキダイオード型水素ガスセンサがある(例えば非特許文献2、特許文献2、3参照)。
このようなショットキダイオード型水素ガスセンサは、例えば、Siやダイヤモンドといった半導体と、PtやPdといった金属からなるショットキ接合において、金属表面への水素吸着による仕事関数の減少を検出原理としている。
N型半導体を考えた場合、金属の仕事関数をφ、半導体の電子親和力をχとすると、ショットキ障壁の高さはφ−χとなる(図4(A)、図4(B)参照)。なお、図4(A)は金属と半導体を接触させる前の状態を示しており、図4(B)は金属と半導体を接触させた後の状態を示している。
ここで、金属と半導体に外部から印加した電位差をVとすると、ショットキ接合を流れる電流密度Jは、
J=J(exp[eV/kT]−1)
=ATexp[−qφ/kT]=ATexp[−q(φ−χ)/kT]
で与えられる。
ここで、Aは半導体のリチャードソン定数、Tは絶対温度、qは素電荷、kはボルツマン定数である。
このように、Jはφひいてはφに関して指数関数的依存性を持つことから、わずかなφの変化、あるいは、吸着量の変化に対して大きな電流変化が期待できる。例えば、非特許文献2によれば、ショットキダイオード型水素ガスセンサは154ppmの水素ガスに対して約2桁の電流変化を示している。
しかしながら、ショットキダイオード型水素ガスセンサは、現状では呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出できるまでには至っていない。このため、現状では呼気ガスセンサとして必要な感度であるppbレベルの感度には達しておらず、呼気センサとして十分な感度にはいない。また、金属中への水素分子の拡散が必要なことから応答速度が遅い。また、水素以外の物質に対して反応するかどうかも明らかでない。
そこで、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出することができるようにすべく、上述のような構成を採用している。
次に、本実施形態にかかるガスセンサの製造方法について説明する。
本実施形態では、ガスを検出する検出層2を形成する工程と、下部金属電極1上に、検出層2を設ける工程と、検出層2上に、上部金属電極3を設ける工程とを含み、検出層2を形成する工程は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層21を形成する工程と、障壁層21上に積層された第1グラフェン層22を形成する工程とを含む。
そして、上部金属電極3を設ける工程において、第1グラフェン層22が部分的に露出するように上部金属電極3を設ける。
本実施形態では、検出層2を形成する工程は、さらに、障壁層21を形成する工程の前に、第2グラフェン層23を形成する工程を含み、障壁層21を形成する工程において、第2グラフェン層23上に障壁層21を形成する。
また、本実施形態では、障壁層21を形成する工程において、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなる障壁層21を形成する。この場合、検出層2を形成する工程に含まれる各工程は、同一真空槽中で連続して行なわれる。
以下、本実施形態にかかるガスセンサの具体的な構成例を挙げて、その構成及び製造方法について説明する。
本具体的な構成例では、図5に示すように、Si基板4上に、SiOからなる絶縁層6を介して、上述のデバイス構造、即ち、下部金属電極1上に、検出層2を構成する第2グラフェン層23、障壁層21としてのBN層、第1グラフェン層22が順に積層されており、検出層2の最上層である第1グラフェン層22上に、第1グラフェン層22が部分的に露出するように、上部金属電極3が設けられている構造を設け、表面を保護膜7で覆っている。
この具体的な構成例では、例えば厚さ1原子層のグラフェンからなる第1グラフェン層22と、例えば厚さ1原子層のグラフェンからなる第2グラフェン層23とを有する。そして、これらのグラフェン層22、23は、例えば厚さ5原子層のBNからなる障壁層(BN層)21を挟んで対向している。また、第1グラフェン層22の表面は少なくともその一部分が被検ガスに対して暴露されるようにしている。また、両グラフェン層22、23にはそれぞれ金属電極1、3を接続し、これらの金属電極1、3に電気伝導度をモニタするためのモニタ装置5を接続している。
なお、モニタ装置5は、必要に応じて、各種の電源、電気回路、増幅回路、サンプリング回路、AD変換器、データ処理用コンピュータなどを含むものとする。
次に、本具体的な構成例のガスセンサの製造方法について、図6(A)〜図6(E)を参照しながら説明する。
まず、図6(A)に示すように、CVDによる結晶合成を行なって、第1グラフェン層22、第2グラフェン層23及びBN層21を形成する。ここで、BNはグラフェンとの連続一括合成が可能である(例えばMin Wang et al., “A Platform for Large-Scale Graphene Electronics CVD-Growth of Single-Layer Graphene on CVD-Grown Hexagonal Boron Nitride”, ADVANCED ATERIALS, 25, 2746-2752 (2013)やZheng Liu et al., “Direct Growth of Graphene/Hexagonal Boron Nitride Stacked Layers”, Nano Letters, 11, 2032-2037 (2011)参照)。
ここでは、まず、触媒であるCu基板10をCVD合成炉にセットし、例えば、基板温度1000℃、原料ガスH:CH=500:1、全圧760Torrの条件下でグラフェンの合成を行なって、Cu基板10上に、厚さ1原子層のグラフェンからなる第2グラフェン層23を形成する。希釈ガスとしてはArを用いる。
次に、同一あるいは真空槽にて連結されたCVD合成炉において、例えば、基板温度1000℃、全圧760Torrの条件下で石英トレイに準備されたNHBH(アンモニアボラン)粉末(1〜5g程度)を昇華させてBNの合成を行なって、第2グラフェン層23上に、厚さ5原子層のBNからなるBN層(障壁層)21を形成する。希釈ガスとしてはArを用いる。
さらに、同一あるいは真空槽にて連結されたCVD合成炉において、例えば、基板温度1000℃、原料ガスH:CH=500:1、全圧760Torrの条件下でグラフェンの合成を行なって、BN層21上に、厚さ1原子層のグラフェンからなる第1グラフェン層22を形成する。同じく希釈ガスとしてArを用いる。
なお、グラフェンの原料ガスは、例えばC、CHなどの炭化水素ガス、例えばCOHなどのアルコールなどを用いても良い。また、BNの原料ガスは、NHBHに限らず、例えばNHとBを用いても良い。また、触媒についても、Cuに限らずCo、Fe、Ni、Pt、Auなどの金属、あるいは、それらを少なくとも一種含む合金、炭化物、酸化物、窒化物などを用いることも可能である。
本具体的な構成例では、グラフェン/BN接合の障壁高さをコントロールする場合、グラフェン/BN接合の品質が重要になる。グラフェン/BN接合が不純物、汚染、欠陥等を持つと、意図しないエネルギ準位が形成され、グラフェン/BN接合の障壁高さのコントロールが阻害されるおそれがある。このため、本具体的な構成例では、第2グラフェン層23、BN層21、第1グラフェン層22の3層を大気中に出すことなく連続的に合成することで、不純物を含まない第1グラフェン層/BN層及びBN層/第2グラフェン層の両界面を形成するようにしている。
ところで、図6(C)に示すように、別途、Si基板4を用意し、熱酸化によって表面に厚さ300nmのSiO絶縁膜6を形成する。
さらに、真空蒸着法によって、Au(200nm)/Ti(5nm)からなる第1オーミック電極(下部金属電極)1を形成する。この際、必要に応じてフォトリソグラフィ技術とリフトオフあるいはエッチング技術を用い、電極を選択的に配置することも可能である。
次いで、図6(B)、図6(D)に示すように、上記Si基板4の上方に形成された第1オーミック電極1上に、CVD合成した第2グラフェン層23/BN層21/第1グラフェン層22からなる積層膜を転写する。なお、転写技術としてはこれまでCVD合成グラフェン膜に対して行なわれてきた技術が適用できる。
ここでは、第2グラフェン層23/BN層21/第1グラフェン層22からなる積層膜上に支持体となるPMMA膜11を塗布した後、Cu基板10を例えば塩化鉄溶液にて溶解・除去する。PMMA膜11によって支持された第2グラフェン層23/BN層21/第1グラフェン層22からなる積層膜を上記Si基板4の上方に配置・転写した後、PMMA膜11を有機溶剤にて除去する。
なお、転写された第2グラフェン層23/BN層21/第1グラフェン層22からなる積層膜に対し、必要に応じてフォトリソグラフィ技術とエッチング技術を用い、選択的に配置することも可能である。また、グラフェンは酸素プラズマを用いたリアクティブイオンエッチング(RIE)、BNはArイオンを用いたイオンエッチングにより除去可能である。
次いで、第1グラフェン22層上にフォトリソグラフィ技術によって電極形成領域を確定した後、図6(E)に示すように、真空蒸着法とリフトオフ技術によって、Au(200nm)/Ti(5nm)からなる第2オーミック電極(上部金属電極)3を形成する。
さらに、デバイスの保護及び安定化のため、必要に応じて、絶縁物からなる保護膜7を形成する(図5参照)。
但し、第1グラフェン層22の表面の少なくとも一部分は被検ガスに対して暴露されるように、第1グラフェン層22の表面の少なくとも一部分は第2オーミック電極3や保護膜7によって覆われないようにする。なお、被検ガスに対する感度を高めるという観点からは、暴露される面積は、電極3及び保護膜7によって覆われた面積と比較して、大きくすることが望ましい。
なお、第1グラフェン層22の厚さは、状態密度を最小にするという観点からは薄いこと、できれば1原子層であることが望ましいが、これに限定されるものではなく、例えば1から10原子層程度までの範囲で選択すれば良い。
また、第2グラフェン層23の厚さは、必ずしも状態密度を最小にする必要はないため、1原子層に限定されるものではない。例えば作製プロセスの容易さやグラフェン層自体に発生する(寄生)抵抗などを勘案して決めれば良い。
また、障壁層21の厚さに関しては、本ガスセンサの原理は障壁層21を熱励起電流が流れることを想定しているため、障壁層21が薄いとトンネル効果によってグラフェン間に電流が流れてしまい、また、逆に電子の平均自由行程を越えて厚いと散乱によって抵抗が増大してしまい、いずれも感度の低下をもたらす。このため、障壁層21の厚さは、例えば、5原子層から100nm程度の範囲とすることが望ましい。
したがって、本実施形態にかかるガスセンサ及びその製造方法によれば、例えば呼気中のガス分子の濃度のようにppbレベルの濃度のガスを高感度で検出することができるという利点がある。
なお、上述の実施形態では、障壁層21を、六方晶の窒化ホウ素(h−BN;BN)又は窒化ホウ素と炭素(グラファイト)の混晶(h−BCN;BCN)からなるものとしているが、これに限られるものではなく、例えば、障壁層21を、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなるものとしても良い。なお、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶を、遷移金属ダイカルコゲナイド系物質ともいう。
ここで、遷移金属ダイカルコゲナイド系物質は、Nb、Mo、Wといった遷移金属とS、Se、Teといったカルコゲン原子の化合物であり、グラファイトや窒化ホウ素と同じく2次元の層状物質(2次元材料)である。また、遷移金属とカルコゲン原子の組み合わせや結晶構造によって、金属、半導体、絶縁体といった多様な性質を持ち、このうち、半導体の性質を持つものとして、六方晶のMoS、WS、MoSe、WSeなどがある。
例えば、障壁層21をMoS層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、MoS(単層)の電子親和力は約3.01eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。同様に、障壁層21をWS層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、WS(単層)の電子親和力は約2.86eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、障壁層21をMoSe層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、MoSe(単層)の電子親和力は約3.04eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、障壁層21をWSe層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、WSe(単層)の電子親和力は約3.04eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、障壁層21を黒リン層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、黒リン(単層)の電子親和力は約3.24eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。
このように、障壁層21を、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなるものとする場合、ガスセンサの製造方法は、上述の実施形態及び具体的な構成例におけるガスセンサの製造方法に含まれる障壁層21を形成する工程において、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる障壁層21を形成するようにすれば良い。
例えば、以下のようにして製造すれば良い。
例えば図7(A)に示すように、まず、CVDによる結晶合成を行なって、第2グラフェン層23、障壁層21としてのMoS層を形成する。ここで、グラフェン上でのMoSの合成方法は、例えばYumeng Shi et al., “van der Waals Epitaxy of MoS2 Layers Using Graphene As Growth Templates”, Nano Letters, 12, 2784-2791 (2012)に記載されている方法を採用することができる。また、MoSはグラフェンとの連続一括合成が可能である。
ここでは、まず、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、Cu基板10上に第2グラフェン層23を形成し、第2グラフェン層23上にMoS層(障壁層)21を形成する。
ところで、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、図7(C)に示すように、別途、Si基板4を用意し、SiO絶縁膜6を形成し、Au/Tiからなる第1オーミック電極(下部金属電極)1を形成する。
次いで、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、図7(B)、図7(D)に示すように、PMMA膜11を用いて、上記Si基板4の上方に形成された第1オーミック電極1上に、CVD合成した第2グラフェン層23/MoS層21からなる積層膜を転写する。
また、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、図7(E)に示すように、CVDによる結晶合成を行なって、Cu基板10上に、第1グラフェン層22を形成し、図7(F)、図7(G)に示すように、PMMA膜11を用いて、上記Si基板4の上方に転写された第2グラフェン層23/MoS層21からなる積層膜上に転写する。このようにして、上記Si基板4の上方に形成された第1オーミック電極1上に、第2グラフェン層23、MoS層21、第1グラフェン層22を積層した構造が設けられる。
次いで、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、図7(H)に示すように、第1グラフェン層22上にAu/Tiからなる第2オーミック電極(上部金属電極)3を形成する。
さらに、上述の実施形態の具体的な構成例の製造方法と同様に、デバイスの保護及び安定化のため、必要に応じて、絶縁物からなる保護膜7を形成する(図5参照)。
また、上述の実施形態及び変形例では、検出層2を、第1グラフェン層22との間に障壁層21を挟むように障壁層21の下に積層された第2グラフェン層23をさらに備えるものとしているが、これに限られるものではない。
例えば図8に示すように、第2グラフェン層23を設けなくても良い。つまり、検出層2を、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層21と、障壁層21上に積層された第1グラフェン層22とを備える2層構造としても良い。
但し、2層構造の場合、下部金属電極(例えばAu/Ti)1の表面に、大気中にて2層構造の積層膜(例えばグラフェン/BN(又はBCN)積層膜又はグラフェン/遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶(又は黒リン)積層膜)21,22を転写することになり、障壁層21と下部金属電極1との界面への酸素、水、転写時の有機溶剤、塩化鉄溶液の付着によって汚染されてしまうおそれがある。そして、界面への不純物の付着があると、例えば、意図しない界面準位の発生やフェルミ準位のピンニング、酸化による組成の変化や欠陥の形成といった原因による障壁高さの設計からのずれ、及び、再現性及び歩留まりの低下といったおそれが生じる。このため、障壁高さをコントロールする場合には、上述の実施形態のように3層構造とし、第1グラフェン層22/BN層及びBN層21/第2グラフェン層23の両方の接合を、途中大気中にさらすことなく、同一真空槽中にて連続的に合成することで、両界面を不純物、汚染、欠陥等を含まないものとするのが好ましい。
また、第2グラフェン層23に代えて、例えば、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層23Xを備えるものとしても良い(図1参照)。つまり、検出層2を、第1グラフェン層22との間に障壁層21を挟むように障壁層21の下に積層され、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層23Xをさらに備えるものとしても良い。この場合、障壁層21は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなるものとすれば良い。なお、2次元材料層は半導体又は金属の層状物質からなる層である。
例えば、障壁層21をBN層とし、2次元材料層23Xを半導体の性質を持つMoS層とする場合、電子親和力及び仕事関数を第一原理計算法によって計算すると、BN(バルク)の電子親和力は約2.49eVであり、ゼロギャップ半導体であるグラフェン(単層)の仕事関数4.35eVであるため、障壁層21は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、MoS(単層)の電子親和力は約3.01eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい電子親和力を持つ材料からなることになる。同様に、2次元材料層23Xを半導体の性質を持つWS層とする場合、WS(単層)の電子親和力は約2.86eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、2次元材料層23Xを半導体の性質を持つMoSe層とする場合、MoSe(単層)の電子親和力は約3.04eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、2次元材料層23Xを半導体の性質を持つWSe層とする場合、WSe(単層)の電子親和力は約3.04eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい電子親和力を持つ材料からなることになる。また、2次元材料層23Xを金属の性質を持つNbS層とする場合、NbS(単層)の仕事関数は約4.85eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい仕事関数を持つ材料からなることになる。また、2次元材料層23Xを半導体の性質を持つ黒リン層とする場合、黒リン(単層)の電子親和力は約3.24eVであるため、2次元材料層23Xは、障壁層21の材料であるBNの電子親和力よりも大きい電子親和力を持つ材料からなることになる。これらの場合、障壁層21よりも第1グラフェン層22及び2次元材料層23Xのエネルギは低くなる。
このように、障壁層21は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなるものとし、検出層2を、第1グラフェン層22との間に障壁層21を挟むように障壁層21の下に積層され、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層23Xをさらに備えるものとする場合、ガスセンサの製造方法は、上述の実施形態及び具体的な構成例におけるガスセンサの製造方法に含まれる障壁層21を形成する工程において、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなる障壁層21を形成し、検出層2を形成する工程を、さらに、障壁層21を形成する工程の前に、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層23Xを形成する工程を含むものとし、障壁層21を形成する工程において、2次元材料層23X上に障壁層21を形成するようにすれば良い。
但し、2次元材料層23Xを備えるものとする場合、2次元材料層23Xを構成する層状物質を下部金属電極1上に転写した後、第1グラフェン層22/BN(又はBCN)層21の積層膜を転写することになるため、上述の2層構造の積層膜とする場合と同様に、界面への不純物の付着等が生じるおそれがある。
また、上述の実施形態及び変形例では、アンモニア(電子供与性のガス分子)を検出する呼気ガスセンサを例に挙げて説明しているが、これに限られるものではない。例えば、ノナナールやアセトンなどを検出する呼気ガスセンサとしても用いることができる。また、例えば、NO、NO、水素、酸素、メタン、水などのグラフェンが反応するガスを検出するガスセンサとして用いることもできる。
なお、本発明は、上述した実施形態及び変形例に記載した構成に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
以下、上述の実施形態及び変形例に関し、更に、付記を開示する。
(付記1)
下部金属電極と、
前記下部金属電極上に設けられ、ガスを検出する検出層と、
前記検出層上に設けられた上部金属電極とを備え、
前記検出層は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層と、前記障壁層上に積層された第1グラフェン層とを備え、
前記上部金属電極は、前記第1グラフェン層が部分的に露出するように設けられていることを特徴とするガスセンサ。
(付記2)
前記検出層は、前記第1グラフェン層との間に前記障壁層を挟むように前記障壁層の下に積層された第2グラフェン層をさらに備えることを特徴とする、付記1に記載のガスセンサ。
(付記3)
前記障壁層は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなることを特徴とする、付記1又は2に記載のガスセンサ。
(付記4)
前記障壁層は、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなることを特徴とする、付記1又は2に記載のガスセンサ。
(付記5)
前記障壁層は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなり、
前記検出層は、前記第1グラフェン層との間に前記障壁層を挟むように前記障壁層の下に積層され、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層をさらに備えることを特徴とする、付記1に記載のガスセンサ。
(付記6)
ガスを検出する検出層を形成する工程と、
下部金属電極上に、前記検出層を設ける工程と、
前記検出層上に、上部金属電極を設ける工程とを含み、
前記検出層を形成する工程は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層を形成する工程と、前記障壁層上に積層された第1グラフェン層を形成する工程とを含み、
前記上部金属電極を設ける工程において、前記第1グラフェン層が部分的に露出するように前記上部金属電極を設けることを特徴とするガスセンサの製造方法。
(付記7)
前記検出層を形成する工程は、さらに、前記障壁層を形成する工程の前に、第2グラフェン層を形成する工程を含み、前記障壁層を形成する工程において、前記第2グラフェン層上に前記障壁層を形成することを特徴とする、付記6に記載のガスセンサの製造方法。
(付記8)
前記障壁層を形成する工程において、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなる障壁層を形成することを特徴とする、付記6又は7に記載のガスセンサの製造方法。
(付記9)
前記検出層を形成する工程に含まれる各工程は、同一真空槽中で連続して行なわれることを特徴とする、付記8に記載のガスセンサの製造方法。
(付記10)
前記障壁層を形成する工程において、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる障壁層を形成することを特徴とする、付記6又は7に記載のガスセンサの製造方法。
(付記11)
前記障壁層を形成する工程において、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなる障壁層を形成し、
前記検出層を形成する工程は、さらに、前記障壁層を形成する工程の前に、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層を形成する工程を含み、前記障壁層を形成する工程において、前記2次元材料層上に前記障壁層を形成することを特徴とする、付記6に記載のガスセンサの製造方法。
1 下部金属電極
2 検出層
21 障壁層
22 第1グラフェン層
23 第2グラフェン層
23X 2次元材料層
3 上部金属電極
4 基板
5 モニタ装置
6 SiO絶縁層
7 保護膜(絶縁膜)
10 Cu基板
11 PMMA膜

Claims (9)

  1. 下部金属電極と、
    前記下部金属電極上に設けられ、ガスを検出する検出層と、
    前記検出層上に設けられた上部金属電極とを備え、
    前記検出層は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層と、前記障壁層上に積層された第1グラフェン層とを備え、
    前記上部金属電極は、前記第1グラフェン層が部分的に露出するように設けられていることを特徴とするガスセンサ。
  2. 前記検出層は、前記第1グラフェン層との間に前記障壁層を挟むように前記障壁層の下に積層された第2グラフェン層をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサ。
  3. 前記障壁層は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  4. 前記障壁層は、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のガスセンサ。
  5. 前記障壁層は、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなり、
    前記検出層は、前記第1グラフェン層との間に前記障壁層を挟むように前記障壁層の下に積層され、遷移金属ダイカルコゲナイド系結晶又は黒リンからなる2次元材料層をさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載のガスセンサ。
  6. ガスを検出する検出層を形成する工程と、
    下部金属電極上に、前記検出層を設ける工程と、
    前記検出層上に、上部金属電極を設ける工程とを含み、
    前記検出層を形成する工程は、グラフェンの仕事関数よりも小さい電子親和力を持つ材料からなる障壁層を形成する工程と、前記障壁層上に積層された第1グラフェン層を形成する工程とを含み、
    前記上部金属電極を設ける工程において、前記第1グラフェン層が部分的に露出するように前記上部金属電極を設けることを特徴とするガスセンサの製造方法。
  7. 前記検出層を形成する工程は、さらに、前記障壁層を形成する工程の前に、第2グラフェン層を形成する工程を含み、前記障壁層を形成する工程において、前記第2グラフェン層上に前記障壁層を形成することを特徴とする、請求項6に記載のガスセンサの製造方法。
  8. 前記障壁層を形成する工程において、六方晶の窒化ホウ素又は窒化ホウ素と炭素の混晶からなる障壁層を形成することを特徴とする、請求項6又は7に記載のガスセンサの製造方法。
  9. 前記検出層を形成する工程に含まれる各工程は、同一真空槽中で連続して行なわれることを特徴とする、請求項8に記載のガスセンサの製造方法。
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