以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。まず、図1から図26を参照し、第1実施形態として、本発明をパチンコ遊技機(以下、単に「パチンコ機」という)10に適用した場合の一実施形態について説明する。図1は、第1実施形態におけるパチンコ機10の正面図であり、図2はパチンコ機10の遊技盤13の正面図であり、図3はパチンコ機10の後面図である。
図1に示すように、パチンコ機10は、略矩形状に組み合わせた木枠により外殻が形成される外枠11と、その外枠11と略同一の外形形状に形成され外枠11に対して開閉可能に支持された内枠12とを備えている。外枠11には、内枠12を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ18が取り付けられ、そのヒンジ18が設けられた側を開閉の軸として内枠12が正面手前側へ開閉可能に支持されている。
内枠12には、多数の釘や入賞口63,64等を有する遊技盤13(図2参照)が裏面側から着脱可能に装着される。この遊技盤13の正面を球(遊技球)が流下することにより弾球遊技が行われる。なお、内枠12には、球を遊技盤13の正面領域に発射する球発射ユニット112a(図4参照)やその球発射ユニット112aから発射された球を遊技盤13の正面領域まで誘導する発射レール(図示せず)等が取り付けられている。
内枠12の正面側には、その正面上側を覆う正面枠14と、その下側を覆う下皿ユニット15とが設けられている。正面枠14及び下皿ユニット15を支持するために正面視(図1参照)左側の上下2カ所に金属製のヒンジ19が取り付けられ、そのヒンジ19が設けられた側を開閉の軸として正面枠14及び下皿ユニット15が正面手前側へ開閉可能に支持されている。なお、内枠12の施錠と正面枠14の施錠とは、シリンダ錠20の鍵穴21に専用の鍵を差し込んで所定の操作を行うことでそれぞれ解除される。
正面枠14は、装飾用の樹脂部品や電気部品等を組み付けたものであり、その略中央部には略楕円形状に開口形成された窓部14cが設けられている。正面枠14の裏面側には2枚の板ガラスを有するガラスユニット16が配設され、そのガラスユニット16を介して遊技盤13の正面がパチンコ機10の正面側に視認可能となっている。
正面枠14には、球を貯留する上皿17が正面側へ張り出して上面を開放した略箱状に形成されており、この上皿17に賞球や貸出球などが排出される。上皿17の底面は正面視(図1参照)右側に下降傾斜して形成され、その傾斜により上皿17に投入された球が球発射ユニット112a(図4参照)へと案内される。また、上皿17の上面には、枠ボタン22が設けられている。この枠ボタン22は、例えば、第3図柄表示装置81(図2参照)で表示される演出のステージを変更したり、スーパーリーチの演出内容を変更したりする場合などに、遊技者により操作される。
正面枠14には、その周囲(例えばコーナー部分)に各種ランプ等の発光手段が設けられている。これら発光手段は、大当たり時や所定のリーチ時等における遊技状態の変化に応じて、点灯又は点滅することにより発光態様が変更制御され、遊技中の演出効果を高める役割を果たす。窓部14cの周縁には、LED等の発光手段を内蔵した電飾部29〜33が設けられている。パチンコ機10においては、これら電飾部29〜33が大当たりランプ等の演出ランプとして機能し、大当たり時やリーチ演出時等には内蔵するLEDの点灯や点滅によって各電飾部29〜33が点灯または点滅して、大当たり中である旨、或いは大当たり一歩手前のリーチ中である旨が報知される。また、正面枠14の正面視(図1参照)左上部には、LED等の発光手段が内蔵され賞球の払い出し中とエラー発生時とを表示可能な表示ランプ34が設けられている。
また、右側の電飾部32下側には、正面枠14の裏面側を視認できるように裏面側より透明樹脂を取り付けて小窓35が形成され、遊技盤13正面の貼着スペースK1(図2参照)に貼付される証紙等がパチンコ機10の正面から視認可能とされている。また、パチンコ機10においては、より煌びやかさを醸し出すために、電飾部29〜33の周りの領域にクロムメッキを施したABS樹脂製のメッキ部材36が取り付けられている。
窓部14cの下方には、貸球操作部40が配設されている。貸球操作部40には、度数表示部41と、球貸しボタン42と、返却ボタン43とが設けられている。パチンコ機10の側方に配置されるカードユニット(球貸しユニット)(図示せず)に紙幣やカード等を投入した状態で貸球操作部40が操作されると、その操作に応じて球の貸出が行われる。具体的には、度数表示部41はカード等の残額情報が表示される領域であり、内蔵されたLEDが点灯して残額情報として残額が数字で表示される。球貸しボタン42は、カード等(記録媒体)に記録された情報に基づいて貸出球を得るために操作されるものであり、カード等に残額が存在する限りにおいて貸出球が上皿17に供給される。返却ボタン43は、カードユニットに挿入されたカード等の返却を求める際に操作される。なお、カードユニットを介さずに球貸し装置等から上皿17に球が直接貸し出されるパチンコ機、いわゆる現金機では貸球操作部40が不要となるが、この場合には、貸球操作部40の設置部分に飾りシール等を付加して部品構成は共通のものとしても良い。カードユニットを用いたパチンコ機と現金機との共通化を図ることができる。
上皿17の下側に位置する下皿ユニット15には、その中央部に上皿17に貯留しきれなかった球を貯留するための下皿50が上面を開放した略箱状に形成されている。下皿50の右側には、球を遊技盤13の正面へ打ち込むために遊技者によって操作される操作ハンドル51が配設される。
操作ハンドル51の内部には、球発射ユニット112aの駆動を許可するためのタッチセンサ51aと、押下操作している期間中には球の発射を停止する発射停止スイッチ51bと、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)を電気抵抗の変化により検出する可変抵抗器(図示せず)などが内蔵されている。操作ハンドル51が遊技者によって右回りに回動操作されると、タッチセンサ51aがオンされると共に可変抵抗器の抵抗値が回動操作量に対応して変化し、その可変抵抗器の抵抗値に対応した強さ(発射強度)で球が発射され、これにより遊技者の操作に対応した飛び量で遊技盤13の正面へ球が打ち込まれる。また、操作ハンドル51が遊技者により操作されていない状態においては、タッチセンサ51aおよび発射停止スイッチ51bがオフとなっている。
下皿50の正面下方部には、下皿50に貯留された球を下方へ排出する際に操作するための球抜きレバー52が設けられている。この球抜きレバー52は、常時、右方向に付勢されており、その付勢に抗して左方向へスライドさせることにより、下皿50の底面に形成された底面口が開口して、その底面口から球が自然落下して排出される。この球抜きレバー52の操作は、通常、下皿50の下方に下皿50から排出された球を受け取る箱(一般に「千両箱」と称される)を置いた状態で行われる。下皿50の右方には、上述したように操作ハンドル51が配設され、下皿50の左方には灰皿53が取り付けられている。
図2に示すように、遊技盤13は、正面視略正方形状に切削加工したベース板60に、球案内用の多数の釘(図示せず)や風車(可動部材310を図示し、その他は図示せず)の他、レール61,62、一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第一可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、スルーゲート67、可変表示装置ユニット80等を組み付けて構成され、その周縁部が内枠12(図1参照)の裏面側に取り付けられる。ベース板60は光透過性の樹脂材料からなり、その正面側からベース板60の後面側に配設された各種構造体を遊技者に視認させることが可能に形成される。一般入賞口63、第1入賞口64、第2入賞口640、第1可変入賞装置65、第2可変入賞装置(図示せず)、可変表示装置ユニット80は、ルータ加工によってベース板60に形成された貫通穴に配設され、遊技盤13の正面側からタッピングネジ等により固定されている。
遊技盤13の正面中央部分は、正面枠14の窓部14c(図1参照)を通じて内枠12の正面側から視認することができる。以下に、主に図2を参照して、遊技盤13の構成について説明する。
遊技盤13の正面には、帯状の金属板を略円弧状に屈曲加工して形成した外レール62が植立され、その外レール62の内側位置には外レール62と同様に帯状の金属板で形成した円弧状の内レール61が植立される。この内レール61と外レール62とにより遊技盤13の正面外周が囲まれ、遊技盤13とガラスユニット16(図1参照)とにより前後が囲まれることにより、遊技盤13の正面には、球の挙動により遊技が行われる遊技領域が形成される。遊技領域は、遊技盤13の正面であって2本のレール61,62とレール間を繋ぐ樹脂製の外縁部材73とにより区画して形成される領域(入賞口等が配設され、発射された球が流下する領域)である。
2本のレール61,62は、球発射ユニット112a(図4参照)から発射された球を遊技盤13上部へ案内するために設けられたものである。内レール61の先端部分(図2の左上部)には戻り球防止部材68が取り付けられ、一旦、遊技盤13の上部へ案内された球が再度球案内通路内に戻ってしまうといった事態が防止される。外レール62の先端部(図2の右上部)には、球の最大飛翔部分に対応する位置に返しゴム69が取り付けられ、所定以上の勢いで発射された球は、返しゴム69に当たって、勢いが減衰されつつ中央部側へ跳ね返される。
遊技領域の正面視左側下部(図2の左側下部)には、発光手段である複数のLED及び7セグメント表示器を備える第1図柄表示装置37A,37Bが配設されている。第1図柄表示装置37A,37Bは、主制御装置110(図4参照)で行われる各制御に応じた表示がなされるものであり、主にパチンコ機10の遊技状態の表示が行われる。本実施形態では、第1図柄表示装置37A,37Bは、球が、第1入賞口64へ入賞したか、第2入賞口640へ入賞したかに応じて使い分けられるように構成されている。具体的には、球が、第1入賞口64へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Aが作動し、一方で、球が、第2入賞口640へ入賞した場合には、第1図柄表示装置37Bが作動するように構成されている。
また、第1図柄表示装置37A,37Bは、LEDにより、パチンコ機10が確変中か時短中か通常中であるかを点灯状態により示したり、変動中であるか否かを点灯状態により示したり、停止図柄が確変大当たりに対応した図柄か普通大当たりに対応した図柄か外れ図柄であるかを点灯状態により示したり、保留球数を点灯状態により示すと共に、7セグメント表示装置により、大当たり中のラウンド数やエラー表示を行う。なお、複数のLEDは、それぞれのLEDの発光色(例えば、赤、緑、青)が異なるよう構成され、その発光色の組み合わせにより、少ないLEDでパチンコ機10の各種遊技状態を示唆することができる。
尚、本パチンコ機10では、第1入賞口64及び第2入賞口640へ入賞があったことを契機として抽選が行われる。パチンコ機10は、その抽選において、大当たりか否かの当否判定(大当たり抽選)を行うと共に、大当たりと判定した場合はその大当たり種別の判定も行う。ここで判定される大当たり種別としては、15R確変大当たり、4R確変大当たり、15R通常大当たりが用意されている。第1図柄表示装置37A,37Bには、変動終了後の停止図柄として抽選の結果が大当たりであるか否かが示されるだけでなく、大当たりである場合はその大当たり種別に応じた図柄が示される。
ここで、「15R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことであり、「4R確変大当たり」とは、最大ラウンド数が4ラウンドの大当たりの後に高確率状態へ移行する確変大当たりのことである。また、「15R通常大当たり」は、最大ラウンド数が15ラウンドの大当たりの後に、低確率状態へ移行すると共に、所定の変動回数の間(例えば、100変動回数)は時短状態となる大当たりのことである。
また、「高確率状態」とは、大当たり終了後に付加価値としてその後の大当たり確率がアップした状態、いわゆる確率変動中(確変中)の時をいい、換言すれば、特別遊技状態へ移行し易い遊技の状態のことである。本実施形態における高確率状態(確変中)は、後述する第2図柄の当たり確率がアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態を含む。「低確率状態」とは、確変中でない時をいい、大当たり確率が通常の状態、即ち、確変の時より大当たり確率が低い状態をいう。また、「低確率状態」のうちの時短状態(時短中)とは、大当たり確率が通常の状態であると共に、大当たり確率がそのままで第2図柄の当たり確率のみがアップして第2入賞口640へ球が入賞し易い遊技の状態のことをいう。一方、パチンコ機10が通常中とは、確変中でも時短中でもない遊技の状態(大当たり確率も第2図柄の当たり確率もアップしていない状態)である。
確変中や時短中は、第2図柄の当たり確率がアップするだけではなく、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間も変更され、通常中と比して長い時間が設定される。電動役物640aが開放された状態(開放状態)にある場合は、その電動役物640aが閉鎖された状態(閉鎖状態)にある場合と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態となる。よって、確変中や時短中は、第2入賞口640へ球が入賞し易い状態となり、大当たり抽選が行われる回数を増やすことができる。
なお、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aの開放時間を変更するのではなく、または、その開放時間を変更することに加えて、1回の当たりで電動役物640aが開放する回数を通常中よりも増やす変更を行うものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2図柄の当たり確率は変更せず、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間および1回の当たりで電動役物640aが開放する回数の少なくとも一方を変更するものとしてもよい。また、確変中や時短中において、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放される時間や、1回の当たりで電動役物640aを開放する回数はせず、第2図柄の当たり確率だけを、通常中と比してアップするよう変更するものであってもよい。
遊技領域には、球が入賞することにより5個から15個の球が賞球として払い出される複数の一般入賞口63が配設されている。また、遊技領域の中央部分には、可変表示装置ユニット80が配設されている。可変表示装置ユニット80には、第1入賞口64及び第2入賞口640への入賞(始動入賞)をトリガとして、第1図柄表示装置37A,37Bにおける変動表示と同期させながら、第3図柄の変動表示を行う液晶ディスプレイ(以下単に「表示装置」と略す)で構成された第3図柄表示装置81と、スルーゲート67の球の通過をトリガとして第2図柄を変動表示するLEDで構成される第2図柄表示装置(図示せず)とが設けられている。また、可変表示装置ユニット80には、第3図柄表示装置81の外周を囲むようにして、センターフレーム86が配設されている。
第3図柄表示装置81は9インチサイズの大型の液晶ディスプレイで構成されるものであり、表示制御装置114(図4参照)によって表示内容が制御されることにより、例えば上、中及び下の3つの図柄列が表示される。各図柄列は複数の図柄(第3図柄)によって構成され、これらの第3図柄が図柄列毎に横スクロールして第3図柄表示装置81の表示画面上にて第3図柄が可変表示されるようになっている。本実施形態の第3図柄表示装置81は、主制御装置110(図4参照)の制御に伴った遊技状態の表示が第1図柄表示装置37A,37Bで行われるのに対して、その第1図柄表示装置37A,37Bの表示に応じた装飾的な表示を行うものである。なお、表示装置に代えて、例えばリール等を用いて第3図柄表示装置81を構成するようにしても良い。
第2図柄表示装置は、球がスルーゲート67を通過する毎に表示図柄(第2図柄(図示せず))としての「○」の図柄と「×」の図柄とを所定時間交互に点灯させる変動表示を行うものである。パチンコ機10では、球がスルーゲート67を通過したことが検出されると、当たり抽選が行われる。その当たり抽選の結果、当たりであれば、第2図柄表示装置において、第2図柄の変動表示後に「○」の図柄が停止表示される。また、当たり抽選の結果、外れであれば、第2図柄表示装置において、第3図柄の変動表示後に「×」の図柄が停止表示される。
パチンコ機10は、第2図柄表示装置における変動表示が所定図柄(本実施形態においては「○」の図柄)で停止した場合に、第2入賞口640に付随された電動役物640aが所定時間だけ作動状態となる(開放される)よう構成されている。
第2図柄の変動表示にかかる時間は、遊技状態が通常中の場合よりも、確変中または時短中の方が短くなるように設定される。これにより、確変中および時短中は、第2図柄の変動表示が短い時間で行われるので、当たり抽選を通常中よりも多く行うことができる。よって、当たり抽選において当たりとなる機会が増えるので、第2入賞口640の電動役物640aが開放状態となる機会を遊技者に多く与えることができる。よって、確変中および時短中は、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態とすることができる。
なお、確変中または時短中において、当たり確率を高める、1回に当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を増やすなど、その他の方法によっても、確変中または時短中に第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態としている場合は、第2図柄の変動表示にかかる時間を遊技状態にかかわらず一定としてもよい。一方、第2図柄の変動表示にかかる時間を、確変中または時短中において通常中よりも短く設定する場合は、当たり確率を遊技状態にかかわらず一定にしてもよいし、また、1回の当たりに対する電動役物640aの開放時間や開放回数を遊技状態にかかわらず一定にしてもよい。
スルーゲート67は、可変表示装置ユニット80の下側の領域における右方において遊技盤に組み付けられ、遊技盤に発射された球のうち、遊技盤の右方を流下する球の一部が通過可能に構成されている。スルーゲート67を球が通過すると、第2図柄の当たり抽選が行われる。当たり抽選の後、第2図柄表示装置にて変動表示を行い、当たり抽選の結果が当たりであれば、変動表示の停止図柄として「○」の図柄を表示し、当たり抽選の結果が外れであれば、変動表示の停止図柄として「×」の図柄を表示する。
球のスルーゲート67の通過回数は、合計で最大4回まで保留され、その保留球数が上述した第1図柄表示装置37A,37Bにより表示されると共に第2図柄保留ランプ(図示せず)においても点灯表示される。第2図柄保留ランプは、最大保留数分の4つ設けられ、第3図柄表示装置81の下方に左右対称に配設されている。
なお、第2図柄の変動表示は、本実施形態のように、第2図柄表示装置において複数のランプの点灯と非点灯を切り換えることにより行うものの他、第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81の一部を使用して行うようにしても良い。同様に、第2図柄保留ランプの点灯を第3図柄表示装置81の一部で行うようにしても良い。また、スルーゲート67の球の通過に対する最大保留球数は4回に限定されるものでなく、3回以下、又は、5回以上の回数(例えば、8回)に設定しても良い。また、スルーゲート67の組み付け数は1つに限定されるものではなく、複数(例えば、2つ)であっても良い。また、スルーゲート67の組み付け位置は可変表示装置ユニット80の右方に限定されるものではなく、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。また、第1図柄表示装置37A,37Bにより保留球数が示されるので、第2図柄保留ランプにより点灯表示を行わないものとしてもよい。
可変表示装置ユニット80の下方には、球が入賞し得る第1入賞口64が配設されている。この第1入賞口64へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第1入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第1入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Aで示される。
一方、第1入賞口64の正面視右方には、球が入賞し得る第2入賞口640が配設されている。この第2入賞口640へ球が入賞すると遊技盤13の裏面側に設けられる第2入賞口スイッチ(図示せず)がオンとなり、その第2入賞口スイッチのオンに起因して主制御装置110(図4参照)で大当たりの抽選がなされ、その抽選結果に応じた表示が第1図柄表示装置37Bで示される。
また、第1入賞口64および第2入賞口640は、それぞれ、球が入賞すると5個の球が賞球として払い出される入賞口の1つにもなっている。なお、本実施形態においては、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを同じに構成したが、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数と第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数とを異なる数、例えば、第1入賞口64へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を3個とし、第2入賞口640へ球が入賞した場合に払い出される賞球数を5個として構成してもよい。
第2入賞口640には電動役物640aが付随されている。この電動役物640aは開閉可能に構成されており、通常は電動役物640aが閉鎖状態(縮小状態)となって、球が第2入賞口640へ入賞しにくい状態となっている。一方、スルーゲート67への球の通過を契機として行われる第2図柄の変動表示の結果、「○」の図柄が第2図柄表示装置に表示された場合、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となり、球が第2入賞口640へ入賞しやすい状態となる。
上述した通り、確変中および時短中は、通常中と比して第2図柄の当たり確率が高く、また、第2図柄の変動表示にかかる時間も短いので、第2図柄の変動表示において「○」の図柄が表示され易くなって、電動役物640aが開放状態(拡大状態)となる回数が増える。更に、確変中および時短中は、電動役物640aが開放される時間も、通常中より長くなる。よって、確変中および時短中は、通常時と比して、第2入賞口640へ球が入賞しやすい状態を作ることができる。
ここで、第1入賞口64に球が入賞した場合と第2入賞口640へ球が入賞した場合とで、大当たりとなる確率は、低確率状態であっても高確率状態でも同一である。しかしながら、大当たりとなった場合に選定される大当たりの種別として15R確変大当たりとなる確率は、第2入賞口640へ球が入賞した場合のほうが第1入賞口64へ球が入賞した場合よりも高く設定されている。一方、第1入賞口64は、第2入賞口640にあるような電動役物は有しておらず、球が常時入賞可能な状態となっている。
よって、通常中においては、第2入賞口640に付随する電動役物が閉鎖状態にある場合が多く、第2入賞口640に入賞しづらいので、電動役物のない第1入賞口64へ向けて、可変表示装置ユニット80の左方を球が通過するように球を発射し(所謂「左打ち」)、第1入賞口64への入賞によって大当たり抽選の機会を多く得て、大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
一方、確変中や時短中は、スルーゲート67に球を通過させることで、第2入賞口640に付随する電動役物640aが開放状態となりやすく、第2入賞口640に入賞しやすい状態であるので、第2入賞口640へ向けて、可変表示装置80の右方を球が通過するように球を発射し(所謂「右打ち」)、スルーゲート67を通過させて電動役物を開放状態にすると共に、第2入賞口640への入賞によって15R確変大当たりとなることを狙った方が、遊技者にとって有利となる。
このように、本実施形態のパチンコ機10は、パチンコ機10の遊技状態(確変中であるか、時短中であるか、通常中であるか)に応じて、遊技者に対し、球の発射の仕方を「左打ち」と「右打ち」とに変えさせることができる。よって、遊技者に対して、球の打ち方に変化をもたらすことができるので、遊技を楽しませることができる。
第1入賞口64の上方右側には第1可変入賞装置65が配設されており、その略中央部分に特定入賞口65aが設けられている。パチンコ機10においては、第1入賞口64又は第2入賞口640への入賞に起因して行われた大当たり抽選が大当たりとなると、所定時間(変動時間)が経過した後に、大当たりの停止図柄となるよう第1図柄表示装置37A又は第1図柄表示装置37Bを点灯させると共に、その大当たりに対応した停止図柄を第3図柄表示装置81に表示させて、大当たりの発生が示される。その後、球が入賞し易い特別遊技状態(大当たり)に遊技状態が遷移する。この特別遊技状態として、通常時には閉鎖されている特定入賞口65aが、所定時間(例えば、30秒経過するまで、或いは、球が10個入賞するまで)開放される。
この特定入賞口65aは、所定時間が経過すると閉鎖され、その閉鎖後、再度、その特定入賞口65aが所定時間開放される。この特定入賞口65aの開閉動作は、最高で例えば15回(15ラウンド)繰り返し可能にされている。この開閉動作が行われている状態が、遊技者にとって有利な特別遊技状態の一形態であり、遊技者には、遊技上の価値(遊技価値)の付与として通常時より多量の賞球の払い出しが行われる。
第1可変入賞装置65は、具体的には、特定入賞口65aを覆う正面視三角形状の開閉板と、その開閉板の下辺を軸として右側に開閉駆動するための大開放口ソレノイド(図示せず)とを備えている。特定入賞口65aは、通常時は、球が入賞できないか又は入賞し難い閉状態になっている。大当たりの際には大開放口ソレノイドを駆動して開閉板を右側に傾倒し、球が特定入賞口65aに入賞しやすい開状態を一時的に形成し、その開状態と通常時の閉状態との状態を交互に繰り返すように作動する。
なお、上記した形態に特別遊技状態は限定されるものではない。特定入賞口65aとは別に開閉される大開放口を遊技領域に設け、第1図柄表示装置37A,37Bにおいて大当たりに対応したLEDが点灯した場合に、特定入賞口65aが所定時間開放され、その特定入賞口65aの開放中に、球が特定入賞口65a内へ入賞することを契機として特定入賞口65aとは別に設けられた大開放口が所定時間、所定回数開放される遊技状態を特別遊技状態として形成するようにしても良い。また、特定入賞口65aは1つに限るものではなく、1つ若しくは2以上の複数(例えば3つ)を配置しても良く、また配置位置も第1入賞口64の下方右側や、第1入賞口64の下方左側に限らず、例えば、可変表示装置ユニット80の左方でも良い。
遊技盤13の下側における右隅部には、証紙や識別ラベル等を貼着するための貼着スペースK1が設けられ、貼着スペースK1に貼られた証紙等は、正面枠14の小窓35(図1参照)を通じて視認することができる。
遊技盤13には、第1アウト口71が設けられている。遊技領域を流下する球であって、いずれの入賞口63,64,65a,640にも入賞しなかった球は、第1アウト口71を通って図示しない球排出路へと案内される。第1アウト口71は、第1入賞口64の下方に配設される。
遊技盤13には、球の落下方向を適宜分散、調整等するために多数の釘が植設されているとともに、風車等の各種部材(役物)とが配設されている。本実施形態においては、風車の内の一つ(可動部材310と称す)が遊技盤13の正面視左側上方に配設され、図2において図示されている。
図3に示すように、パチンコ機10の後面側には、制御基板ユニット90,91と、裏パックユニット94とが主に備えられている。制御基板ユニット90は、主基板(主制御装置110)と音声ランプ制御基板(音声ランプ制御装置113)と表示制御基板(表示制御装置114)とが搭載されてユニット化されている。制御基板ユニット91は、払出制御基板(払出制御装置111)と発射制御基板(発射制御装置112)と電源基板(電源装置115)とカードユニット接続基板116とが搭載されてユニット化されている。
裏パックユニット94は、保護カバー部を形成する裏パック92と払出ユニット93とがユニット化されている。また、各制御基板には、各制御を司る1チップマイコンとしてのMPU、各種機器との連絡をとるポート、各種抽選の際に用いられる乱数発生器、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロックパルス発生回路等が、必要に応じて搭載されている。
なお、主制御装置110、音声ランプ制御装置113及び表示制御装置114、払出制御装置111及び発射制御装置112、電源装置115、カードユニット接続基板116は、それぞれ基板ボックス100〜104に収納されている。基板ボックス100〜104は、ボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えており、そのボックスベースとボックスカバーとが互いに連結されて、各制御装置や各基板が収納される。
また、基板ボックス100(主制御装置110)及び基板ボックス102(払出制御装置111及び発射制御装置112)は、ボックスベースとボックスカバーとを封印ユニット(図示せず)によって開封不能に連結(かしめ構造による連結)している。また、ボックスベースとボックスカバーとの連結部には、ボックスベースとボックスカバーとに亘って封印シール(図示せず)が貼着されている。この封印シールは、脆性な素材で構成されており、基板ボックス100,102を開封するために封印シールを剥がそうとしたり、基板ボックス100,102を無理に開封しようとすると、ボックスベース側とボックスカバー側とに切断される。よって、封印ユニット又は封印シールを確認することで、基板ボックス100,102が開封されたかどうかを知ることができる。
払出ユニット93は、裏パックユニット94の最上部に位置して上方に開口したタンク130と、タンク130の下方に連結され下流側に向けて緩やかに傾斜するタンクレール131と、タンクレール131の下流側に縦向きに連結されるケースレール132と、ケースレール132の最下流部に設けられ、払出モータ216(図4参照)の所定の電気的構成により球の払出を行う払出装置133とを備えている。タンク130には、遊技ホールの島設備から供給される球が逐次補給され、払出装置133により必要個数の球の払い出しが適宜行われる。タンクレール131には、当該タンクレール131に振動を付加するためのバイブレータ134が取り付けられている。
また、払出制御装置111には状態復帰スイッチ120が設けられ、発射制御装置112には可変抵抗器の操作つまみ121が設けられ、電源装置115にはRAM消去スイッチ122が設けられている。状態復帰スイッチ120は、例えば、払出モータ216(図4参照)部の球詰まり等、払出エラーの発生時に球詰まりを解消(正常状態への復帰)するために操作される。操作つまみ121は、発射ソレノイドの発射力を調整するために操作される。RAM消去スイッチ122は、パチンコ機10を初期状態に戻したい場合に電源投入時に操作される。
次に、図4を参照して、本パチンコ機10の電気的構成について説明する。図4は、パチンコ機10の電気的構成を示すブロック図である。
主制御装置110には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU201が搭載されている。MPU201には、該MPU201により実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM202と、そのROM202内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリであるRAM203と、そのほか、割込回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種回路が内蔵されている。主制御装置110では、MPU201によって、大当たり抽選や第1図柄表示装置37A,37B及び第3図柄表示装置81における表示の設定、第2図柄表示装置における表示結果の抽選といったパチンコ機10の主要な処理を実行する。
なお、払出制御装置111や音声ランプ制御装置113などのサブ制御装置に対して動作を指示するために、主制御装置110から該サブ制御装置へ各種のコマンドがデータ送受信回路によって送信されるが、かかるコマンドは、主制御装置110からサブ制御装置へ一方向にのみ送信される。
RAM203は、各種エリア、カウンタ、フラグのほか、MPU201の内部レジスタの内容やMPU201により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。なお、RAM203は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM203に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。
停電などの発生により電源が遮断されると、その電源遮断時(停電発生時を含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタの値がRAM203に記憶される。一方、電源投入時(停電解消による電源投入を含む。以下同様)には、RAM203に記憶される情報に基づいて、パチンコ機10の状態が電源遮断前の状態に復帰される。RAM203への書き込みはメイン処理(図示せず)によって電源遮断時に実行され、RAM203に書き込まれた各値の復帰は電源投入時の立ち上げ処理(図示せず)において実行される。なお、MPU201のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路252からの停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU201へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
主制御装置110のMPU201には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン204を介して入出力ポート205が接続されている。入出力ポート205には、払出制御装置111、音声ランプ制御装置113、第1図柄表示装置37A,37B、第2図柄表示装置、第2図柄保留ランプ、特定入賞口65aの開閉板の下辺を軸として正面側に開閉駆動するための大開放口ソレノイドや電動役物を駆動するためのソレノイドなどからなるソレノイド209が接続され、MPU201は、入出力ポート205を介してこれらに対し各種コマンドや制御信号を送信する。
また、入出力ポート205には、図示しないスイッチ群およびスライド位置検出センサSや回転位置検出センサRを含むセンサ群などからなる各種スイッチ208、電源装置115に設けられた後述のRAM消去スイッチ回路253が接続され、MPU201は各種スイッチ208から出力される信号や、RAM消去スイッチ回路253より出力されるRAM消去信号SG2に基づいて各種処理を実行する。
払出制御装置111は、払出モータ216を駆動させて賞球や貸出球の払出制御を行うものである。演算装置であるMPU211は、そのMPU211により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM212と、ワークメモリ等として使用されるRAM213とを有している。
払出制御装置111のRAM213は、主制御装置110のRAM203と同様に、MPU211の内部レジスタの内容やMPU211により実行される制御プログラムの戻り先番地などが記憶されるスタックエリアと、各種のフラグおよびカウンタ、I/O等の値が記憶される作業エリア(作業領域)とを有している。RAM213は、パチンコ機10の電源の遮断後においても電源装置115からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM213に記憶されるデータは、すべてバックアップされる。なお、主制御装置110のMPU201と同様、MPU211のNMI端子にも、停電等の発生による電源遮断時に停電監視回路252から停電信号SG1が入力されるように構成されており、その停電信号SG1がMPU211へ入力されると、停電時処理としてのNMI割込処理(図示せず)が即座に実行される。
払出制御装置111のMPU211には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン214を介して入出力ポート215が接続されている。入出力ポート215には、主制御装置110や払出モータ216、発射制御装置112などがそれぞれ接続されている。また、図示はしないが、払出制御装置111には、払い出された賞球を検出するための賞球検出スイッチが接続されている。なお、該賞球検出スイッチは、払出制御装置111に接続されるが、主制御装置110には接続されていない。
発射制御装置112は、主制御装置110により球の発射の指示がなされた場合に、操作ハンドル51の回動操作量に応じた球の打ち出し強さとなるよう球発射ユニット112aを制御するものである。球発射ユニット112aは、図示しない発射ソレノイドおよび電磁石を備えており、その発射ソレノイドおよび電磁石は、所定条件が整っている場合に駆動が許可される。具体的には、遊技者が操作ハンドル51に触れていることをタッチセンサ51aにより検出し、球の発射を停止させるための発射停止スイッチ51bがオフ(操作されていないこと)を条件に、操作ハンドル51の回動操作量(回動位置)に対応して発射ソレノイドが励磁され、操作ハンドル51の操作量に応じた強さで球が発射される。
音声ランプ制御装置113は、音声出力装置(図示しないスピーカなど)226における音声の出力、ランプ表示装置(電飾部29〜33、表示ランプ34など)227における点灯および消灯の出力、変動演出(変動表示)や予告演出といった表示制御装置114で行われる第3図柄表示装置81の表示態様の設定などを制御するものである。演算装置であるMPU221は、そのMPU221により実行される制御プログラムや固定値データ等を記憶したROM222と、ワークメモリ等として使用されるRAM223とを有している。
音声ランプ制御装置113のMPU221には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン224を介して入出力ポート225が接続されている。入出力ポート225には、主制御装置110、表示制御装置114、音声出力装置226、ランプ表示装置227、その他装置228、枠ボタン22などがそれぞれ接続されている。その他装置228には駆動モータ472が含まれる。
音声ランプ制御装置113は、主制御装置110から受信した各種のコマンド(変動パターンコマンド、停止種別コマンド等)に基づいて、第3図柄表示装置81の表示態様を決定し、決定した表示態様をコマンド(表示用変動パターンコマンド、表示用停止種別コマンド等)によって表示制御装置114へ通知する。また、音声ランプ制御装置113は、枠ボタン22からの入力を監視し、遊技者によって枠ボタン22が操作された場合は、第3図柄表示装置81で表示されるステージを変更したり、スーパーリーチ時の演出内容を変更したりするように、表示制御装置114へ指示する。ステージが変更される場合は、変更後のステージに応じた後面画像を第3図柄表示装置81に表示させるべく、変更後のステージに関する情報を含めた後面画像変更コマンドを表示制御装置114へ送信する。ここで、後面画像とは、第3図柄表示装置81に表示させる主要な画像である第3図柄の後面側に表示される画像のことである。表示制御装置114は、この音声ランプ制御装置113から送信されるコマンドに従って、第3図柄表示装置81に各種の画像を表示する。
また、音声ランプ制御装置113は、表示制御装置114から第3図柄表示装置81の表示内容を表すコマンド(表示コマンド)を受信する。音声ランプ制御装置113では、表示制御装置114から受信した表示コマンドに基づき、第3図柄表示装置81の表示内容に合わせて、その表示内容に対応する音声を音声出力装置226から出力し、また、その表示内容に対応させてランプ表示装置227の点灯および消灯を制御する。
表示制御装置114は、音声ランプ制御装置113及び第3図柄表示装置81が接続され、音声ランプ制御装置113より受信したコマンドに基づいて、第3図柄表示装置81における第3図柄の変動演出などの表示を制御するものである。また、表示制御装置114は、第3図柄表示装置81の表示内容を通知する表示コマンドを適宜音声ランプ制御装置113へ送信する。音声ランプ制御装置113は、この表示コマンドによって示される表示内容にあわせて音声出力装置226から音声を出力することで、第3図柄表示装置81の表示と音声出力装置226からの音声出力とをあわせることができる。
電源装置115は、パチンコ機10の各部に電源を供給するための電源部251と、停電等による電源遮断を監視する停電監視回路252と、RAM消去スイッチ122(図3参照)が設けられたRAM消去スイッチ回路253とを有している。電源部251は、図示しない電源経路を通じて、各制御装置110〜114等に対して各々に必要な動作電圧を供給する装置である。その概要としては、電源部251は、外部より供給される交流24ボルトの電圧を取り込み、各種スイッチ208などの各種スイッチや、ソレノイド209などのソレノイド、モータ等を駆動するための12ボルトの電圧、ロジック用の5ボルトの電圧、RAMバックアップ用のバックアップ電圧などを生成し、これら12ボルトの電圧、5ボルトの電圧及びバックアップ電圧を各制御装置110〜114等に対して必要な電圧を供給する。
停電監視回路252は、停電等の発生による電源遮断時に、主制御装置110のMPU201及び払出制御装置111のMPU211の各NMI端子へ停電信号SG1を出力するための回路である。停電監視回路252は、電源部251から出力される最大電圧である直流安定24ボルトの電圧を監視し、この電圧が22ボルト未満になった場合に停電(電源断、電源遮断)の発生と判断して、停電信号SG1を主制御装置110及び払出制御装置111へ出力する。停電信号SG1の出力によって、主制御装置110及び払出制御装置111は、停電の発生を認識し、NMI割込処理を実行する。なお、電源部251は、直流安定24ボルトの電圧が22ボルト未満になった後においても、NMI割込処理の実行に充分な時間の間、制御系の駆動電圧である5ボルトの電圧の出力を正常値に維持するように構成されている。よって、主制御装置110及び払出制御装置111は、NMI割込処理(図示せず)を正常に実行し完了することができる。
RAM消去スイッチ回路253は、RAM消去スイッチ122(図3参照)が押下された場合に、主制御装置110へ、バックアップデータをクリアさせるためのRAM消去信号SG2を出力するための回路である。主制御装置110は、パチンコ機10の電源投入時に、RAM消去信号SG2を入力した場合に、バックアップデータをクリアすると共に、払出制御装置111においてバックアップデータをクリアさせるための払出初期化コマンドを払出制御装置111に対して送信する。
次いで、図5から図26を参照して、動作ユニット200について説明する。まず、図5から図7を参照して、背面ケース210への各ユニット300及び400の収容構造について説明する。
図5は、動作ユニット200の正面斜視図であり、図6及び図7は、分解した動作ユニット200を正面視した動作ユニット200の分解正面斜視図である。なお、図7では、複合動作ユニット400が背面ケース210に装着された状態が図示される。
図5から図7に示すように、動作ユニット200は、底壁部211と、その底壁部211の外縁から立設される外壁部212とから一面側(図6紙面手前側)が開放された箱状に形成される背面ケース210を備える。背面ケース210は、その底壁部211の中央に矩形状の開口211aが開口形成されることで、正面視矩形の枠状に形成される。開口211aは、第3図柄表示装置81(図2参照)の外形に対応した(即ち、第3図柄表示装置81を配設可能な)大きさに形成される。
動作ユニット200は、背面ケース210の内部空間に、正面ユニット300及び複合動作ユニット400がそれぞれ収容され、これを1ユニットとして構成される。
具体的には、複合動作ユニット400は、背面ケース210の外壁部212の内側面が形成する形状よりも若干小さな外形で形成され、外壁部212の内側面に当接しながら、外壁部212に囲われる態様で底壁部211に配設される(図7参照)。複合動作ユニット400は、組立状態(図5参照)において、正面視で背面ケース210の開口211aと一致する位置に矩形状の開口が形成される。
この図7に示す状態に対し、正面ユニット300は、複合動作ユニット400の正面側に、重ね合わされた積層状態で配設され、背面ケース210に収容される(図5参照)。
このように、本実施形態では、所定の動作ユニット(例えば、複合動作ユニット400)に対し、他の動作ユニット(例えば、正面ユニット300)が正面側に重ね合わされた積層状態で配設されるので、正面視において、所定の動作ユニットを、他の動作ユニットによって遮蔽することができる。
言い換えれば、遊技盤13(図2参照)が光透過性材料から形成され、その遊技盤13の背面側に配設される動作ユニットを遊技者が視認可能とされる場合に、所定の動作ユニットの必要な部分のみを遊技者に視認させ、他の部分を他の動作ユニットにより遊技者から遮蔽することができる。これにより、他の動作ユニットによって遮蔽される所定の演出部材については、その全体が遊技者から視認されることを前提として設計する必要がないので、その設計の自由度の向上を図ることができる。
次いで、図8を参照して、複合動作ユニット400の動作態様の概略について説明する。なお、図8の説明においては、図5から図7を適宜参照する。
図8は、動作ユニット200の正面図である。なお、図8では、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420が張出位置に配置された状態が図示される。
図5に示す退避位置では、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420は、背面ケース210の開口211aの上方および下方に退避され、遊技者から視認不能とされる(図2参照)。一方、図8に示す張出位置では、一対のスライド部材420が互いに対向する向きにスライド移動され、一対のスライド部材420が背面ケース210の開口211aの中央(即ち、第3図柄表示装置81の正面、図2参照)に配置される。
これら各動作ユニット300及び400は、それぞれ独立して動作可能に形成されると共に、上述したように、重ね合わされた(積層された)状態で配設されるので、各動作ユニット300及び400のうちの層を違えて配設されるものについては、例え動作部材が背面ケース210の開口211aの内方に張り出す態様のものであっても同時に動作させることができる。即ち、各動作ユニット300及び400をそれぞれ単体で動作させるだけでなく、これらの動作を組み合わせることができるので、その演出効果を高めることができる。
なお、複合動作ユニット400は、一対のスライド部材420の退避位置および張出位置が、一対のスライド部材420の可動範囲の終端として形成される。
次いで、図9から図24を参照して、複合動作ユニット400について説明する。図9(a)及び図9(b)は、複合動作ユニット400の正面斜視図である。なお、図9(a)では、スライド部材420及び半月部材460が退避位置に配置され、図9(b)では、スライド部材420及び半月部材460が張出位置に配置された状態が図示される。なお、スライド部材420及び半月部材460の張出位置は、スライド部材420の可動範囲の終端のうち上述した退避位置の反対側に位置する終端として形成される。
図9に示すように、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420は、上下方向にスライド移動され、そのスライド移動の過程で、半月部材460がスライド部材420の軸支孔421a(図12参照)を中心に回転される。次に、複合動作ユニット400の全体構成について説明する。
図10は、複合動作ユニット400の分解正面斜視図であり、図11は、複合動作ユニット400の分解背面斜視図であり、図12は、一対のスライド部材420、背面カバー430、第1ギア群440及び第2ギア群450の正面分解斜視図であり、図13は、一対のスライド部材420、背面カバー430、第1ギア群440及び第2ギア群450の背面分解斜視図である。
図10から図13に示すように、複合動作ユニット400は、左右一対で配設されると共に背面ケース210に締結固定される一対のベース部材410と、それらのベース部材410を連結すると共に上下方向にスライド移動可能に形成される一対のスライド部材420と、それらのスライド部材420の本体部421の背面に締結されることで本体部421との間に空間を形成する背面カバー430と、スライド部材420と背面カバー430との間に配設される第1ギア群440と、同じくスライド部材420と背面カバー430との間に配設される第2ギア群450と、第2ギア群450の反転ギア453に係止される半月部材460と、スライド部材420を移動させる駆動力を発生させる駆動装置470と、を主に備えて構成される。
ベース部材410は、上下方向に長尺の矩形板形状に形成されると共に複合動作ユニット400の骨格となる部材であって、厚み方向を前後方向と一致させる長尺板形状の本体部411と、厚み方向に穿設され上下方向に延びる複数のスライド孔412と、そのスライド孔412の延設方向と平行な壁面として一対のベース部材410の対向する面に形成される位置合わせ壁413と、組立状態(図9参照)においてその位置合わせ壁413に当接される側面の反対側の側面にラックギア414a,414bが形成される固定ラックギア部材414と、を備える。
スライド孔412は、スライド部材420のスライド方向を規制する長孔であって、各ベース部材410の略中央に連設されると共に延設方向が一致される一対の中間スライド孔412aと、その中間スライド孔412aの外方(一対のベース部材410が対向する側の反対側)に形成される外方スライド孔412bと、中間スライド孔412aの内方(一対のベース部材410の対向側)に形成される内方スライド孔412cと、を備える。なお、外方スライド孔412bと内方スライド孔412cとは上下互い違いに形成される。即ち、例えば、外方スライド孔412bがベース部材410の上部に形成される場合には、内方スライド孔412cはベース部材410の下部に形成される。
固定ラックギア部材414は、第1ギア群440及び第2ギア群450に駆動力を伝達する目的で位置合わせ壁413に当接された状態でベース部材410に締結されると共に断面矩形の棒形状に形成される部材であって、位置合わせ壁413に当接される側面である外側面と、その外側面と平行に形成される外側面の反対側の面に亘って刻設される常設ラックギア414aと、その常設ラックギア414aの正面側(図10手前側)に隣接して刻設されるラックギアであってベース部材410の中央部付近にのみ刻設される限定ラックギア414bと、を主に備える。
なお、常設ラックギア414aは、第2ギア群450に歯合され、限定ラックギア414bは、第1ギア群440に歯合されるが、詳細は後述する。また、限定ラックギア414bは第1ギア群440の異形ギア441と歯合し始める側に配置される始動ギア歯414b1(端のギア歯)が、その他のギア歯に比較して大型に形成される(図10参照)。
スライド部材420は、中央部分に半月部材460が配設されると共に上下スライドされる部材である。なお、スライド部材420は上下一対で形成され、各スライド部材420の構成は共通(正面視における中心点で点対称)なので、一方(上側)のスライド部材420のみ説明し、他方(下側)のスライド部材420の説明を省略する。
即ち、一方のスライド部材420は、左右方向に長尺の矩形板状に形成されると共に両端部において正面側へ段が形成される本体部421と、その本体部421の両端部から鉛直下方に延設される一対の被伝達脚部422と、本体部421の上下両端から背面側(図11手前側)へ板状に延設される一対の側壁部423と、本体部421の背面から突設されると共に複数が左右方向に連設される第1軸支ピン424と、本体部421の一方(図11右方)の端部の背面から複数が突設される第2軸支ピン425と、を主に備える。
本体部421は、中央部に穿設される大径の軸支孔421aと、その軸支孔421aと同軸の円弧状に穿設される回転規制孔421bと、上端の側壁部423と対向配置されると共に中央側が側壁部423に一段近接されるスライド規制壁部421cと、両端部において背面側へ突設されると共に上下一対で形成されるスライド規制ピン421dと、を主に備えて構成される。
軸支孔421aは、半月部材460の円弧状壁部461cが挿通される開口であって、軸支孔421aの直径は円弧状壁部461cの外径よりも若干大きな直径で形成される。この軸支孔421aを通して半月部材460と反転ギア453とが相対回転不能に連結される。
回転規制孔421bは、半月部材460の係止ピン461eが挿通される開口であって、回転規制孔421bの幅は係止ピン461eの直径よりも若干大きな幅で形成される。回転規制孔421bの端部に係止ピン461eが当接されることで半月部材460のそれ以上の回転が規制される。
スライド規制壁部421cは、本体部421の上側の側壁部423との間に第1ギア群440のスライドラック442を収容する部分であって、段に形成される部分がスライドラック442に付勢力を与える付勢バネ442cの一端をせき止める態様で形成される。
スライド規制ピン421dは、リング状のカラー部材Cに挿入されると共にベース部材410の中間スライド孔412aに挿通される筒状の部材であって、先端において抜け止め板Bが締結固定される。
カラー部材C(図17(a)参照)は、フランジ(大径部)を有するリング状に形成される。フランジの外径は中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも大径に形成され、フランジの形成されるリング部分の外径は中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも若干小さく形成される。そのため、フランジがスライド部材420の本体部421とベース部材410の本体部411との間に介在すると共に、カラー部材Cのリング部分が中間スライド孔412aに若干の隙間を空けて収容される。これにより、スライド規制ピン421dは、中間スライド孔412aの延設方向に自由に移動可能に形成される一方、中間スライド孔412aの延設方向と直交する方向への移動を規制される。
抜け止め板B(図19(a)参照)は、本体部が中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの幅よりも大きな幅で形成される。そのため、抜け止め板Bがスライド規制ピン421dに締結された状態において、スライド部材420はベース部材410と引き抜き不能に連結される。
また、抜け止め板Bは、スライド規制ピン421dの端部に当接する面に締結孔が穿設されると共にその締結孔の周りがカラー部材Cのリング部分と同形に肉盛りされる。その肉盛り部分は、中間スライド孔412aに収容される。これにより、スライド規制ピン421dの根本部分にはカラー部材Cが配設されると共に先端部分には抜け止め板Bの肉盛り部分が配設されるので、スライド規制ピン421dの軸を中間スライド孔412aを含む各スライド孔412a〜412cの開口方向に一致させながら安定して支持することができる(図19(a)参照)。
被伝達脚部422は、駆動装置470の駆動力が伝達される部分であって、駆動装置470の駆動ギア473に歯合されるラックギア422aと、本体部421のスライド規制ピン421dと同じ態様で突設されるスライド規制ピン422bと、ラックギア422aの前側の歯幅方向(ギア歯の連設方向に垂直な方向)側面に覆設される前側壁部422cと、その前側壁部422cに形成される円弧状の切り欠きである切り欠き部422dと、を主に備える。
スライド規制ピン422bは、スライド規制ピン421dと同様にカラー部材C及び抜け止め板Bが配設され、ベース部材410の各スライド孔412b,412cに挿通される。本実施形態では、正面視右方の被伝達脚部422のスライド規制ピン422bがベース部材410の外方スライド孔412cに挿通されると共に、正面視左方の被伝達脚部422のスライド規制ピン422bがベース部材410の内方スライド孔412cに挿通される。これにより、抜け止め板Bがスライド規制ピン422bに締結された状態において、スライド規制ピン422bの軸を各スライド孔412b,412cの開口方向に一致させながら安定して支持すると共にスライド部材420及びベース部材410を引き抜き不能に連結することができる。
前側壁部422cは、組立状態(図18参照)の正面視において、駆動ギア473のギア歯と重なり可能な態様で形成される。
切り欠き部422dは、一対のスライド部材420が退避位置(図9(a)参照)に配置された状態において、駆動ギア473の歯先円より若干大きな代表円が駆動ギアの回転軸と中心軸を合わせて配置された場合に、正面視でその代表円が前側壁部422cに投影される部分に形成される。
側壁部423は、本体部421の軸支孔421aの穿設される領域の上下において切り欠かれる切り欠き部423aを備える。切り欠き部423aは、半月部材460の駆動レバー467が通過する部分としての役割を有する。
第1軸支ピン424は、スライド部材420の背面から複数(本実施形態では3箇所)が連設される嵩上げ軸支ピン424aと、スライド部材420の軸支孔421aに隣接される二層ギア軸支ピン424bと、を主に備える。
嵩上げ軸支ピン424aは、周囲に同一高さのリング状部を備えるため、挿通される第2ギア群450がスライド部材420の本体部421から嵩上げされて(本体部421から所定距離空けて)軸支される。これにより、その空間に第1ギア群440を配設することができる。
背面カバー430は、スライド部材420の背面に締結固定されることでスライド部材420の本体部421及び一対の側壁部423に蓋をする部材であって、スライド規制ピン421dが挿通される一対の挿通孔430aがそれぞれ一方の端部に穿設される。
第1ギア群440は、スライド部材420及び背面カバー430の間に収容されると共に限定ラックギア414bに歯合されるギア群であって、限定ラックギア414bに歯合される異形ギア441と、側面にラックギア442bが刻設されると共にスライド部材420のスライド規制壁部421cに沿ってスライド移動されるスライドラック442と、異形ギア441の回転をスライドラック442に伝達させる一対の伝達ギア443と、異形ギア441及び一対の伝達ギア443のうち異形ギア441側に配設される伝達ギア443に軸方向から蓋をする板状部材であってスライド部材420の本体部421に締結固定される中間板444と、を主に備える。
異形ギア441は、刻設されるギア歯のうち、他の歯に比較して大型に形成される始動ギア歯441aを備える。
異形ギア441及び一対の伝達ギア443は、それぞれスライド部材420の複数の第2軸支ピン425に軸支される。
スライドラック442は、矩形棒形状に形成される本体部442aと、その本体部442aの一方の側面に形成されると共に伝達ギア443に歯合されるラックギア442bと、本体部442aの側面から突設される突部に係止される付勢バネ442cと、を主に備える。
付勢バネ442cは、スライド部材420のスライド規制壁部421cの段部に係止されることで、スライドラック442を伝達ギア443側へ押し戻す付勢力を発生させる。
中間板444は、第1ギア群440と第2ギア群450とを前後に区分けする板であって、正面側へ軸支ピン444aが突設される。
軸支ピン444aには、第2ギア群450の複数のギアのうち、ベース部材410の常設ラックギア414aに歯合される伝達ギア451が軸支される。
第2ギア群450は、スライド部材420の上下方向の変位を利用して反転ギア453を回転させることで半月部材460を反転させる役割を有し、左右方向に複数個(本実施形態では4個)が連設されると共に外端部のギアがベース部材410の常設ラックギア414aに歯合される複数の伝達ギア451と、その複数の伝達ギア451のうち常設ラックギア414aの反対側の内端部に軸支される伝達ギア451に上層(背面側の層)のギア歯452aが歯合される二層ギア452と、その二層ギア452の下層(正面側の層)の分断ギア歯452bに歯合される反転ギア453と、を主に備える。
伝達ギア451は、複数のギアのうち、ベース部材410の常設ラックギア414a側の端のギアは第1ギア群440の軸支ピン444aに軸支され、その他のギアはスライド部材420の嵩上げ軸支ピン424aに軸支される。
上述したように、嵩上げ軸支ピン424aは、周囲に同一高さのリング状部を備えるため、伝達ギア451はスライド部材420の本体部421から嵩上げされて(本体部421から所定距離空けて)軸支される。これにより、第1ギア群440の軸支ピン444aに軸支される伝達ギア451と、その他の伝達ギア451との軸方向高さを一致させることができる。即ち、複数の伝達ギア451は、スライド部材420の本体部421から所定距離空けた状態で互いに軸支される。
二層ギア452は、樹脂材料から形成され、上層(背面側の層)に刻設されるギア歯452aと、下層(正面側の層)に刻設される分断ギア歯452bと、上層と下層との間に形成される円板部452cと、反転ギア453の円弧状凹部453cに摺動される円弧状の壁面である摺動壁部452dと、を主に備える(図20参照)。
ギア歯452aは、伝達ギア451と常時歯合されるため、スライド部材420が上下にスライド移動すると二層ギア452は常時回転される。
二層ギア452の下層は、分断ギア歯452bが刻設される領域と摺動壁部452dが形成される領域とで構成され、分断ギア歯452b及び摺動壁部452dの境界に他の中間ギア歯452b2よりも大型の始動ギア歯452b1が刻設される。なお、ギア歯の受け入れ部分として始動ギア歯452b1の両側に形成される窪み部452b3,452b4(図20参照)は、中間ギア歯452b2のギア歯間の窪みに比較して深く形成される。これにより、後述する反転ギア453の中間ギア歯453b2より大型に形成される始動ギア歯453b1を噛み合い良好(ギア歯が深く噛み合う状態)に受け入れることができる。従って、ギア歯の大きさが歯ごとに異なる場合でも、二層ギア452と反転ギア453との歯合関係を良好に保つことができる。
始動ギア歯452b1の両側に形成される窪み部452b3,452b4は、反転ギア453の始動ギア歯453b1の受け入れ部分として働く(図23(b)参照)。なお、窪み部452b3,452b4のうち、摺動壁部452dに近接される側を第1窪み部452b3とし、その第1窪み部452b3の反対側を第2窪み部452b4とする。
ギア歯452bは、分断ギア歯452bの始動ギア歯452b1より小型に形成されると共に中間ギア歯452b2より大型に形成される。これにより、後述するように、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453の始動ギア歯453b1との歯合開始時の歯合ずれを抑制すると共に歯合継続時の回転の精度を向上させることができる。
なお、歯合開始時とは、二層ギア452の始動ギア歯452b1と、反転ギア453とが当接し始める時を意味し、ギア歯同士が当接され始める場合に限るものではない。本実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1と、反転ギア453の係合突状受け部453dとが当接される時を意味する。
また、歯合継続時とは、始動ギア歯452b1,453b1が歯合した後で中間ギア歯452b2,453b2が歯合される状態を意味する。
始動ギア歯452b1を大型にする方法としては、歯幅(歯車の軸方向に沿った長さ)を大型にする方法も考えられる。しかし、本実施形態では、二層ギア452を二層構造にしやすいという理由から、始動ギア歯452b1と中間ギア歯452b2との歯幅を同一に形成し、歯厚(歯の連設方向の寸法)及び歯たけを大きくしている。
円板部452cは、二層ギア452に隣接する伝達ギア451のギア歯や二層ギア452に隣接する反転ギア453のギア歯に軸方向視において重ね合わされて形成される(図21(b)参照)。これにより、伝達ギア451や反転ギア453が軸方向に動いた場合に、それぞれのギア歯が円板部452cに当接されることで、伝達ギア451や反転ギア453がぐらつくことを抑制することができると共に伝達ギア451や反転ギア453のそれ以上の移動を抑制することができる。
反転ギア453は、二層ギア452に歯合され回転されることで半月部材460を反転させる部材であって、半月部材460の筒状本体462aが挿通可能な筒状に形成される本体部453aと、その本体部453aの一方の端部から外方へ向けて形成される反転ギア歯453bと、筒状本体462aの外周に沿った方向で反転ギア歯453bと隣接して形成され本体部453aの軸対象に配置されると共に二層ギア452の摺動壁部452dに摺動される円弧状の壁面である円弧状凹部453cと、その円弧状凹部453cが形成される幅広の突出部である係合突状受け部453dと、本体部453aの外周面を三等分した位置から径方向に突設される係止突部453eと、を主に備える。
反転ギア歯453bは、その両端部に、中間ギア歯453b2(両端部以外のギア歯)よりも(歯厚および歯たけが)大型の始動ギア歯453b1が刻設される。なお、ギア歯の受け入れ部分として始動ギア歯453b1と係合突状受け部453dとの間に形成される窪み部453b3は、中間ギア歯453b2のギア歯間に形成される窪みに比較して深く形成される。これにより、二層ギア452の中間ギア歯452b2より大型に形成される始動ギア歯452b1を噛み合い良好(ギア歯が深く噛み合う状態)に受け入れることができる。従って、ギア歯の大きさが歯ごとに異なる場合でも、二層ギア452と反転ギア453との歯合関係を良好に保つことができる。
円弧状凹部453cは、二層ギア452の摺動壁部452dに当接される部分であって、その摺動壁部452dの半径と略同一の曲率半径で形成される。
係止突部453eは、半月部材460の本体部461に形成される円弧状壁部461cに相対回転不能な態様で嵌合される。これにより、反転ギア453と半月部材460とが一体で回転される。
次いで、図14及び図15を参照して、半月部材460について説明する。図14は、半月部材460の正面斜視図であり、図15は、半月部材460の背面斜視図である。なお、図14及び図15では、半月部材460の本体部461から前カバー466が取り外された状態が図示される。
半月部材460は、スライド部材420(図10参照)の中央に配設されると共にスライド部材420のスライド移動に伴って上下が反転する態様で軸回転される部材であって、半円形状の板部材であって半月部材460の骨格をなす本体部461と、その本体部461の中央付近に穿設される連結孔461aに挿通される筒状本体462aを有する中心ギア462と、その中心ギア462の回転に伴って本体部461に沿ってスライド移動される複数の爪部材463と、その爪部材463の根本に形成されるスライド孔463aに挿通されるスライドピン464bを備えるクランクギア464と、中心ギア462とクランクギア464との間に配設されると共に中心ギア462とクランクギア464とに歯合される伝達ギア群465と、本体部461の正面側から締結固定される前カバー466と、中心ギア462の筒状本体462aの端部に締結固定される駆動レバー467(図12参照)と、を主に備える。
本体部461は、中心ギア462が挿通される連結孔461aと、クランクギア464及び伝達ギア群465が軸支される複数の軸支ピン461bと、連結孔461aの周囲に反転ギア453の内周径より若干小さい外径で突設されると共に係止突部453eを嵌め合わせられる切り欠きが形成される円弧状壁部461cと、付勢バネを引っかけられる鉤爪状の鉤部461dと、背面から突設される係止ピン461eと、を主に備える。
係止ピン461eは、組立状態(図21(a)参照)でスライド部材420の回転規制孔421bに挿通される。これにより、半月部材460の回転角度が規制される。
中心ギア462は、本体部461の連結孔461aに挿通される筒状本体462aと、その筒状本体462aの一方の端部から径方向にフランジ状に形成されるフランジ部462bと、そのフランジ部462bの外周面から径方向内方に刻設されるギア歯462cと、筒状本体462aの一方の端部の反対側の端部である他方の端部に駆動レバー467を締結固定可能に形成される締結孔462dと、一端が本体部461の鉤部461dに係止される付勢バネの他端が引っかけられる鉤爪状の鉤部462eと、を主に備える。
爪部材463は、クランクギア464のスライドピン464bが挿通される長孔状のスライド孔463aと、正面側に突設される長尺の板状体であるスライド板部463bと、を主に備える。
スライド板部463bは、前カバー466に穿設される長孔状のスライド孔466aに挿通される。これにより、爪部材463は前カバー466のスライド孔466aの延設方向にスライド移動可能に形成される。
クランクギア464は、本体部461の軸支ピン461bに軸支されると共に外周面にギア歯が刻設される本体部464aと、その本体部464aの回転軸とは偏心して突設されるスライドピン464bと、を主に備える。
本体部464aは、中心ギア462及び伝達ギア群465に歯合されることで、中心ギア462の回転に伴って回転される。
スライドピン464bは、本体部464aが回転されることで、それぞれの軸支ピン461bを軸にして移動される。それにより、スライドピン464bは、中心ギア462に近接して配置される第1位置(図14参照)と、中心ギア462から遠ざけられて配置される第2位置との間を移動される。このスライドピン464bの移動により、爪部材463が前カバー466のスライド孔466aに沿って移動される(図26(b)参照)。
前カバー466は、本体部461の正面側に締結固定されると共に半月部材460の各部材を本体部461との間に収容する部材であって、爪部材463のスライド板部463bが挿通される長孔状のスライド孔466aが穿設される。
駆動レバー467は、径方向外方に延設される長尺板形状のレバー部467a(図13参照)と、中心ギア462の締結孔462dと合致する位置に穿設される挿通孔467b(図13参照)と、を主に備える。
レバー部467a(図13参照)は、スライドラック442に押される部分であって、スライドラック442にレバー部467aが押されることで中心ギア462が回転される。
図10から図13に戻って説明する。駆動装置470は、ベース部材410の中央部において正面側へ嵩上げして配設されると共にベース部材410に締結固定される締結板部471と、その締結板部471に締結固定される駆動モータ472と、その駆動モータ472の駆動軸に挿通される駆動ギア473と、を主に備える。
締結板部471は、駆動ギア472のモータケースの外形に沿って断面円弧状に形成されると共に正面側へ延設される一対の規制壁部471a,471bを備え、一方の規制壁部471a(組立状態において内側)がモータケースの略中間位置まで延設され、他方の規制壁部471b(組立状態において外側)が一方の規制壁部471aの延設端よりも長く延設される。これら一対の規制壁部471a,471bは駆動モータ472を締結板部471から引き抜く際のガイドとして利用される。
駆動ギア473は、一対のスライド部材420のラックギア422aに両側から対向配置され、両側から歯合される。
次いで、図16から図19を参照して、複合動作ユニット400の一対のスライド部材420の移動の概要について説明する。図16及び図18は、複合動作ユニット400の部分正面図であり、図17(a)は、図16のXVIIa−XVIIa線における複合動作ユニット400の部分断面図であり、図17(b)は、図17(a)から駆動装置470を移動させた後の複合動作ユニット400の部分断面図であり、図19(a)は、図18のXIXa−XIXa線における複合動作ユニット400の部分断面図であり、図19(b)は、図19(a)から駆動モータ472を駆動ギア473から分離させた後の複合動作ユニット400の部分断面図である。なお、図16及び図17は一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態が図示され、図18及び図19は一対のスライド部材420が張出位置に配置された状態が図示される。
図16及び図18に示すように、一対のスライド部材420は、互いの被伝達脚部422同士で駆動装置470の駆動ギア473を挟む。このとき、駆動ギア473を挟んで対向配置される被伝達脚部422のラックギア422aが単一の駆動ギア473と歯合される。これにより、駆動ギア473が駆動モータ472により回転されることで、駆動ギア473を挟んで対向配置される被伝達脚部422が同期してスライド移動される。
即ち、スライド部材420が退避位置(図16参照)に配置された状態において、駆動ギア473が正面視時計回りに回転されることで、上側のスライド部材420は下方へ、下側のスライド部材420は上方へ互いに等速で移動される。このとき、左右に一対で配設される駆動モータ472は同期制御され、一対のスライド部材を安定してスライド移動させることができる。
また、一対のスライド部材420のそれぞれの重量が、駆動ギア473に対して相反する方向にかけられる。例えば、正面視右側の駆動ギア473には、上側のスライド部材420からは駆動ギア473を時計回りに回転させる方向へ重量がかけられ、下側のスライド部材420からは駆動ギア473を反時計回りに回転させる方向へ重量がかけられる。これにより、一対のスライド部材420の重量をそれぞれ等しくしておけば、駆動モータ472の動力を切断しても、一対のスライド部材420の重量の釣り合いにより駆動ギア473を停止したままにできる。そのため、一対のスライド部材420を任意の位置に配置した時に駆動モータ472の動力を切断しても、一対のスライド部材420をその位置で停止させたままにすることができる。
スライド部材420の一対の被伝達脚部422は、駆動ギア473に同方向から歯合される。即ち、例えば、上側のスライド部材420の左右一対の被伝達脚部422は左右共に正面視右側から駆動ギア473に歯合され、下側のスライド部材420の左右一対の被伝達脚部422は左右共に正面視左側から駆動ギア473に歯合される。
これにより、駆動ギア473に歯合される一方の被伝達脚部422が突発的に移動しても(例えば歯合される駆動ギア473からの距離が増大する方向へ移動しても)、その一方の被伝達脚部422と本体部421を介して連結されている他方の被伝達脚部422は一方の被伝達脚部422と同方向へ移動される。即ち、歯合される駆動ギア473から遠ざかる方向へ移動されるので、他方の被伝達脚部422に歯合される駆動ギア473に大きな荷重を加えることを抑制することができる。
ここで、例えば、スライド部材420の一方の被伝達脚部422は駆動ギア473に正面視右側から歯合されると共に他方の被伝達脚部422は駆動ギア473に正面視左側から歯合されると、一方の被伝達脚部422が駆動ギア473から距離が増大する方向へ移動されることで他方の被伝達脚部422が駆動ギア473に押しつけられる。これにより、他方の被伝達脚部422に歯合される駆動ギア473に大きな荷重を加えることになる。
これに対し、本実施形態では、上述したように駆動ギア473に大きな荷重が加えられることを防止することができるので、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの歯合関係の適正化を図ることができる。また、一対のスライド部材420の形状を同等にすることができ、部材の共通化をすることができる。
図19(a)に示すように、駆動ギア473と前側壁部422cとは、前後方向(図19(a)紙面上下方向)に干渉する。一方、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態(図16参照)において、正面視で切り欠き部422dの外形から間隔を空けた状態で駆動ギア473を視認することができる。なお、この「正面視で切り欠き部422dの外形から間隔を空けた状態で駆動ギア473を視認することができる」スライド部材420と駆動ギア473との位置関係を特定位相位置として説明する。
そのため、一対のスライド部材420が可動範囲の終端である退避位置(特定位相位置)に配置された状態において、駆動ギア473を被伝達脚部422に形成される切り欠き部422dを通して引き抜くことができる。これによりスライド部材420をベース部材410から取り外すことなく駆動ギア473を交換することができる(図17(b)参照)。よって、駆動ギア473のメンテナンス性を向上させることができる。
ここで、一対のスライド部材420は、駆動ギア473を挟んで対向配置され、それぞれの被伝達脚部422のラックギア422aで駆動ギア473に歯合される。この状態で、一対のスライド部材420は双方が同様に退避位置(図16参照)に配置される状態を形成する必要があるので、駆動ギア473とラックギア422aとは任意のギア歯で歯合させれば良いものではない。即ち、駆動ギア473と一対のスライド部材420のラックギア422aとは、相互に噛み合うギア歯の関係が固定される(歯合時に駆動ギア473の代表ギア歯と当接されるラックギア422aの代表ギア歯が規定される)適正歯合状態を形成する。
その適正歯合状態を形成するために、スライド部材420の切り欠き部422dを利用することができる。即ち、切り欠き部422dは、上述した通り、一対のスライド部材420が退避位置(図16参照)に配置された状態において、駆動ギア473の歯先円より若干大きな代表円が駆動ギア473の回転軸と中心軸を合わせて配置された場合に、前後方向(図16紙面垂直方向)で前側壁部422cに投影される部分に形成される。
そのため、一対のスライド部材420を退避位置に配置させた状態(図16参照)で、切り欠き部422dが対向配置される。この状態で、駆動ギア473が切り欠き部422dを通して移動される(図16紙面垂直方向へ移動される)ことで、駆動ギア473とラックギア422aとを適正歯合状態で噛み合わせることができる。
一対のスライド部材420を退避位置(特定位相位置)に配置した状態において、一対のスライド部材420は上下方向外側への移動が遮られる(上側のスライド部材420は上方への、下側のスライド部材420は下方へのそれ以上の移動が遮られる)。即ち、スライド部材420を退避位置側へ無作為に移動させた場合、スライド部材420は少なくとも退避位置で停止される(移動抵抗が増加する)。
よって、メンテナンス作業者が駆動ギア473を取り替える際のスライド部材420の位置調節において、スライド部材420を無作為に退避方向へ移動させてもスライド部材420は可動範囲の終端である退避位置(特定位相位置)で停止される。これにより、切り欠き部422dを通して駆動ギア473を容易に取り出すことができ、また、その状態で駆動ギア473を一対のスライド部材420のラックギア422aに容易に噛み合わせることができる。従って、メンテナンス性を向上させることができる。
図17(a)を参照して、駆動装置470の配置について説明する。上述した通り、一対のスライド部材420には切り欠き部422dが形成されるので、一対のスライド部材420を退避位置に配置した状態で、ベース部材410に、組立状態の駆動装置470を締結固定することができる。これにより、駆動装置470の配設自由度を向上させることができる。
即ち、スライド部材420の前側壁部422cに切り欠き部422dが形成されていない場合(例えば、ラックギア422aの全領域において前側壁部422cが形成されている場合)、駆動装置470をベース部材410に組み付けようとしても、駆動ギア473が前側壁部422cに当接してしまい、駆動装置470をベース部材410に組み付けることができない。そのため、駆動装置470を前側壁部422cの反対側に配設せざるを得ず、駆動装置470の配設自由度が低かった。
これに対し、本実施形態では、前側壁部422cに切り欠き部422dが形成されるので、その切り欠き部422dを通して駆動ギア473を前後方向へ移動させることで、駆動装置470をスライド部材420の前側(前側壁部422cの配設される側)に配設することができる。よって、駆動装置470の配設自由度を向上させることができる。
また、駆動ギア473と駆動モータ472との間の層にスライド部材420の前側壁部422cが形成され、スライド部材420を退避位置から移動させることで、駆動ギア473と前側壁部422cとを前後方向視(図16紙面垂直方向視)で重ねることができる。これにより、駆動装置470の交換の際に、駆動モータ472と駆動ギア473とを合わせて外すか、駆動ギア473は残して駆動モータ472だけを外すかを選択することができる。
即ち、スライド部材420の前側壁部422cに駆動ギア473を当接させたまま駆動モータ472を引き抜くことで、駆動モータ472と駆動ギア473とを分離させることができる(図19(b)参照)。これにより、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの歯合状態を維持したまま駆動モータ472を交換することができる。よって、駆動モータ472の交換の前後において、駆動ギア473と被伝達脚部422のラックギア422aとの再度の噛み合わせ調整を不要とすることができ、メンテナンス性を向上させることができる。
このとき、駆動ギア473は、駆動ギア473を挟んで対向配置される一対の被伝達脚部422の前側壁部422cと前後方向視(図18紙面垂直方向視)で重なる(図18参照)。よって、駆動モータ472から駆動ギア473が引き抜かれる際には、少なくとも回転軸を挟んで対向配置される2点から駆動ギア473に力が加えられる。そのため、駆動ギア473に対して駆動モータ472が傾斜することが抑制される。
また、駆動モータ472を締結板部471から引き抜く際に、駆動モータ472を規制壁部471a,471bに押し当てながら規制壁部471a,471bに沿わせて移動させることができるので、駆動モータ472の軸心が駆動ギア473に対して傾くことを抑制することができる。これにより、駆動ギア473が変形することを抑制することができる。
図19(a)に示すように、一方の規制壁部471aが駆動モータ472のモータケースの前端面よりも締結板部471側へ退避して形成される。これにより、一方の規制壁部471aの延設端を支点Sにして駆動モータ472を引き抜くことができる。即ち、一方の規制壁部471aの延設端と駆動モータ472の側面とは隣接配置されるので、一方の規制壁部471aの延設端を支点Sとすると共に駆動モータ472の側面(図19(a)では理解を容易とするために作用点Wが駆動モータ472の内部に図示される)を作用点Wとして駆動モータ472に力を加える場合の支点Sと作用点Wとの距離を最短とすることができる。それにより、力点の設定次第で、駆動モータ472の引き抜きに要する力を抑えることができる。なお、図19(a)に支点Sと作用点Wとの関係および仮想的な梃子を図示する。
また、一方の規制壁部471aと対向配置される他方の規制壁部471bに駆動モータ472を押し当てながら駆動モータ472を引き抜くことができる。これにより、駆動モータ472を引き抜く際に駆動モータ472が駆動ギア473に対して傾く傾斜の度合いを抑えることができる。
図19(a)に示すように、他方の規制壁部471bは一方の規制壁部471aの延設端部よりも前方(図19(a)上方)へ張り出して形成される。これにより、一方の規制壁部471aを支点Sとして駆動モータ472を引き抜く場合に、作用点Wが他方の規制壁部471bに最も近接される状態W1において、他方の規制壁部471bから駆動モータ472に対して作用点Wへ押し戻す方向へ向いた力をかけることができる。そのため、他方の規制壁部471bにより駆動モータ472の駆動軸と垂直方向への移動を防止することができる。これにより、駆動モータ472を引き抜く際に駆動モータ472が一方の規制壁部471aから離間する方向へ移動することを確実に防止することができる。
次いで、図20を参照して、複合動作ユニット400の半月部材460の回転に関わる二層ギア452について説明する。図20(a)は、二層ギア452の正面図であり、図20(b)は、二層ギア452の背面図である。
図20(a)及び図20(b)に示すように、二層ギア452は円板部452cを境に正面側と背面側とで異なるギア歯が刻設されるギア部材である。図20(a)に示すように、摺動壁部452dに隣接される始動ギア歯452b1が、中間ギア歯452b2に比較して大型に形成される。そのため、後述するように、反転ギア453との衝突(当接)に耐え得る耐久性を始動ギア歯452b1に持たせることができる。本実施形態では、摺動壁部452dに隣接される始動ギア歯452b1のみを大型に形成し、中間ギア歯452b2は小型に形成しているので、耐久性の向上と、材料費用の抑制との両立を図ることができる。
二層ギア452は、第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4の底を形成する壁面としての窪み底壁部452eと、その窪み底壁部452e及びリング状のリブを連結する押し返しリブ452fと、を備える。
ここで、第2窪み部452b4は反転ギア453(図23参照)の始動ギア歯453b1を受け入れる窪みとして十分な深さが必要とされる一方で、第1窪み部452b3は反転ギア453の係合突状受け部453dが進入する窪みである。そのため、第2窪み部452b4ほどの深さは必要とされないが、本実施形態では、第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4の深さが略同一で形成されている。これにより、二層ギア452の成型時における第1窪み部452b3及び第2窪み部452b4付近の樹脂材料の熱収縮量を均一化することができ、二層ギア452の成型性を向上させることができる。
図20(a)に示すように、摺動壁部452d、中間ギア歯452b2の歯底が形成する壁部および窪み底壁部452eで囲まれる領域に空間が形成される。このとき、摺動壁部452d及び窪み底壁部452eの板厚が略同一で形成されることで、樹脂成形に特有なヒケの発生を抑制することができる。また、樹脂材料の材料費用を抑制することができる。
ここで、窪み底壁部452eは、二層ギア452の機能を確保するために必ずしも必要ではない。一方で、窪み底壁部452eによって、始動ギア歯452b1及び摺動壁部452dが連結される態様で形成されている。そのため、始動ギア歯452b1が反転ギア453と当接する際の衝撃を分散させることができる(図23(b)参照)。
押し返しリブ452fは、第2窪み部452b4の窪み底壁部452eと連結される。ここで、始動ギア歯452b1に反転ギア453が当接される際に生じる力Fの力線の方向(図23(b)参照)が押し返しリブ452fへ向いている。これにより、二層ギア452の摺動壁部452d、中間ギア歯452b2の歯底が形成する壁部および窪み底壁部452eで囲まれる領域に空間を形成する場合であっても、押し返しリブ452fにより力Fに対する抵抗力を向上させることができる。よって、当接時の衝撃で始動ギア歯452b1が変形することを防止することができる。
図20(b)に示すように、ギア歯452aは二層ギア452の周囲に亘って形成される。ギア歯452aは、伝達ギア451と常時歯合されるため(図21(b)参照)、スライド部材420が上下にスライド移動すると二層ギア452は常時回転される(図21(a)参照)。
次いで、図21から図26を参照して、複合動作ユニット400の移動の詳細について、即ち、駆動装置470の駆動力が伝達されることで移動されるスライド部材420及び半月部材460の動作について説明する。図21から図26は複合動作ユニット400の動作を時系列で説明するものである。なお、図21から図26では、理解を容易とするために、背面カバー430の図示が省略される。
図21(a)及び図22(a)は、複合動作ユニット400の背面図であり、図21(b)及び図22(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図21では、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態が図示され、図22では、一対のスライド部材が退避位置から所定距離スライド移動されると共に、反転ギア453の係合突状受け部453dの端部が二層ギア452の第1窪み部452b3と対向配置される状態が図示される。また、図21(b)及び図22(b)において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図21(b)に示すように、一対のスライド部材420が退避位置に配置された状態において、反転ギア453は、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cが二層ギア452の摺動壁部452dに面で外接される。これにより、反転ギア453の姿勢を維持することができる。
この場合、係合突状受け部453dと摺動壁部452dとの機械的嵌合が反転ギア453の姿勢を維持する保持機構として作用する。そのため、反転ギア453の姿勢を維持するために、弾性バネなどの他の部材を配設することを不要とできる。
また、二層ギア452の摺動壁部452dと反転ギア453の係合突状受け部453dとが、二層ギア452の回転軸と反転ギア453の回転軸とを結ぶ直線の両側で当接される。そのため、反転ギア453の回転方向に寄らず反転ギア453の回転を防止することができ、反転ギア453の姿勢を維持することができる。
図22(b)に示すように、一対のスライド部材420が移動されると、複数の伝達ギア451のうちベース部材410の常設ラックギア414aと歯合される伝達ギア451が回転される。その回転に伴いその他の伝達ギア451及び伝達ギア451にギア歯452で歯合される二層ギア452も回転される。その一方で、反転ギア453は二層ギア452に歯合されていないので、退避位置と同様の姿勢に維持される。
一対のスライド部材420が移動している間、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cは、二層ギア452の摺動壁部452dから摺動摩擦を受ける。本実施形態では、係合突状受け部453dの円弧状凹部453cが二層ギア452の摺動壁部452dに面で外接されることで、摺動摩擦が一箇所に集中することを抑制し、円弧状凹部453cの全体に摩擦力を分散させることができる。これにより、反転ギア453に二層ギア452から局所的に大きな力が加えられることを抑制することができる。また、二層ギア452と反転ギア453とが当接する箇所が増加することで、反転ギア453の姿勢を維持する効果を向上させることができる。
図23(a)及び図23(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図23(a)では、図22(b)から二層ギア452が背面視で反時計回りに所定量回転された状態が図示され、図23(b)では、図23(a)の状態から更に二層ギア452が背面視で反時計回りに所定量回転された状態が図示される。また、図23において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図22(b)で上述したように、反転ギア453が二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される前に、反転ギア453の係合突状受け部453dの端部が二層ギア452の第1窪み部452b3と対向配置される。
このとき、第1窪み部452b3と対向配置される係合突状受け部453dの端部は二層ギア452と当接されていないので、反転ギア453の姿勢を維持する効果が解除され、少なくとも1の回転方向(図22(b)紙面時計回り方向)への回転が可能となる。
図23(a)に示すように、二層ギア452が図23(a)の反時計回りに所定量回転されることで、反転ギア453が二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される前に回転される。即ち、二層ギア452の摺動壁部452dから反転ギア453の係合突状受け部453dにかけられる摺動摩擦により反転ギア453が回転される。このとき、反転ギア453は、係合突状受け部453dを二層ギア452の第1窪み部452b3に進入させる態様で回転される。
即ち、反転ギア453は、二層ギア452の摺動壁部452dから反転ギア453の係合突状受け部453dにかけられる摺動摩擦により若干回転された(図23(a)参照)後で、二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される(図23(b)参照)。これにより、反転ギア453と二層ギア452の始動ギア歯452b1とが当接する時の衝撃を抑制することができる。
図23(b)に示すように、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453とが当接され始める位置が、二層ギア452の回転軸と反転ギア453の回転軸とを結ぶ直線よりも、二層ギア452の回転方向の逆側へ戻された位置(図23(b)上方)に形成される。
これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453とが当接され始める際に反転ギア453に加えられる力が、反転ギア453の回転方向を向く成分と、反転ギア453の回転軸へ向く成分とに分けて伝えられる。そのため、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453との当接開始時に反転ギア453が回転しすぎることを抑制することができる。
即ち、二層ギア452の始動ギア歯452b1が反転ギア453に当接され始める場合、はじめから複数歯で互いに歯合されるわけでは無い。そのため、二層ギア452の始動ギア歯452b1に当接される際に反転ギア453の回転方向に加えられる力が過剰な場合、反転ギア453が二層ギア452の回転速度よりも高速で回転(移動)することがある。その場合、二層ギア452と反転ギア453との噛み合わせに失敗する恐れがある。
一方、本実施形態によれば、当接開始時に二層ギア452から反転ギア453へ加えられる力を、反転ギア453の回転方向と垂直な方向(回転軸へ向く方向)にも生じさせることによって、反転ギア453の回転抵抗を一時的に上昇させることができる。即ち、反転ギア453を回転軸に押しつけることで、回転抵抗を上昇させることができる。これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1との当接開始時に反転ギア453が回転しすぎることを抑制することができる。
また、始動ギア歯452b1,453b1が二層ギア452のギア歯452aよりも大型に形成されることで、二層ギア452と反転ギア453との歯合開始時における歯外れを防止することができる。
ここで、ギア歯は大型化するほど形成される遊び(バックラッシ)が大きくなるため、歯が大型化するほど途中から歯合されるギア同士の位置関係(位相関係)のずれを大きく許容できるようになる。即ち、ギアの歯が小型化すると、歯合されるギア同士の位置関係(位相関係)がわずかにずれるだけでも、歯合される歯が一歯ずれる恐れがある。
本実施形態では、駆動装置470(図10参照)の駆動力が伝達される伝達ギア451と二層ギア452のギア歯452aとの間で発生する遊び(バックラッシ)よりも、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453の始動ギア歯453b1との間で発生する遊び(バックラッシ)の方が大きくなる。即ち、伝達ギア451との関係で生じる二層ギア452の位相関係のずれは、二層ギア452と反転ギア453との間で生じる位相関係のずれより小さく、許容可能なものである。これにより、二層ギア452と反転ギア453との歯合開始時における歯のずれを防止することができる。
二層ギア452が回転方向で反転ギア453と当接され始める場合、二層ギア452の始動ギア歯452b1が反転ギア453の係合突状受け部453dに当接され始める。即ち、係合突状受け部453dが、始動ギア歯452b1と歯合され始めるギア歯の代わりとして使用される。これにより、反転ギア453の耐久性を向上させることができる。
即ち、円弧状凹部453cが形成される係合突状受け部453dは、二層ギア452のギア歯と歯合する役割の部分ではなく、二層ギア452の外周面に当接することで反転ギア453の姿勢の維持を図る役割の部分である。そのため、ギア歯のように、歯合される相手側のギア歯の大きさに合わせて大きさが制限されるものではない。また、二層ギア452の係合突状受け部453dと反転ギア453との当接開始時に当接される部分は大型で丈夫であることが望ましく、係合突状受け部453dをその部分に使用することで、反転ギア453の耐久性を向上させることができる。
スライド部材420が駆動装置470(図10参照)の駆動力で移動されることで常設ラックギア414aと歯合される伝達ギア451が回転され、それに伴い二層ギア452が回転される。即ち、駆動装置470と二層ギア452とは直接歯合されるものではなく、少なくとも駆動ギア473に歯合される被伝達脚部422が、駆動装置470と二層ギア452との間に介在する。これにより、二層ギア452の始動ギア歯452b1と反転ギア453との当接時の衝撃が、緩和された状態で駆動装置470に伝えられる。そのため、当接時の衝撃によって駆動装置470が破損することを防止することができる。
図24(a)及び図25(a)は、複合動作ユニット400の背面図であり、図24(b)及び図25(b)は、二層ギア452及び反転ギア453の背面図である。なお、図24では、一対の半月部材460が図22(a)の状態からそれぞれ所定量回転された状態が図示され、図25では、一対の半月部材460が図22(a)の状態からそれぞれ180度回転し終えた直後の状態が図示される。また、図24(b)及び図25(b)において、二層ギア452は分断ギア歯452b及び摺動壁部452dが実線で図示され、ギア歯452a及び円板部452cが想像線で図示される。
図24(b)に示すように、半月部材460が回転される状態では、二層ギア452の中間ギア歯452b2と反転ギア453の中間ギア歯453b2とが歯合される。
本実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1が中間ギア歯452b2に比較して大型に形成される。そのため、反転ギア453との当接開始時に反転ギア453に当接される始動ギア歯452b1の耐久性が向上され、二層ギア452の破損を防止することができる。
また、図24(b)に示すように、二層ギア452と反転ギア453とが中間ギア歯452b2,453b2で歯合されることで、歯合開始時よりも歯合継続時の方がバックラッシを小さくすることができる。これにより、歯合継続時における反転ギア453の回転を滑らかなものにすることができる。よって、歯合開始時に衝突される始動ギア歯452b1の耐久性向上と、反転ギア453の回転の滑らかさの向上との両立を図ることができる。
また、二層ギア452の中間ギア歯452b2がギア歯452aに比較して小型に形成されるので、二層ギア452の中間ギア歯452b2と反転ギア453の中間ギア歯453b2との周方向の噛み合いの誤差(遊び)は、ギア歯452aと伝達ギア451との噛み合いの誤差に比較して小さく生じる。これにより、歯合継続時の反転ギア453の動作の正確さを、ギア歯452aと伝達ギア451との噛み合いの誤差以下に維持することができる。
図25に示すように、半月部材460が180度回転し終えたところで、二層ギア452と反転ギア453との歯合は解除され、二層ギア452の摺動壁部452dと反転ギアの円弧状凹部453cとが面で当接される。そのため、反転ギア453の姿勢が維持され、その反転ギア453の係止突部453e(図12参照)と円弧状壁部461c(図15参照)とが相対回転不能に嵌合される半月部材460の姿勢も維持される。
次いで、図26を参照して、半月部材460の爪部材463の動作について説明する。図26(a)及び図26(b)は、複合動作ユニット400の部分背面図である。
なお、図26では、ベース部材410の常設ラックギア414aの図示が部分的に省略され、限定ラックギア414bが視認可能とされると共にその部分が拡大視される。また、図26(a)は、異形ギア441の始動ギア歯441aが限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1に当接される直前の状態が図示され、図26(b)は、スライドラック442が移動終端まで到達した状態が図示される。
異形ギア歯441と限定ラックギア414bとの歯合は、異形ギア441が適切な姿勢で限定ラックギア414bに当接されないと、不良となる。即ち、異形ギア441の始動ギア歯441aと限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1とが当接される姿勢で異形ギア441が限定ラックギア414bに当接されれば、良好に歯合される。その一方で、例えば、異形ギア441のギア歯であって始動ギア歯441a以外のギア歯と限定ラックギア414bの始動ギア歯414b1とが当接される場合、歯合の途中で歯合不良をおこし、異形ギア441の回転が継続不能となる。この場合、スライド部材420のスライド移動も停止されるので、スライド部材420が動作不良を起こす。
本実施形態では、スライドラック442が付勢バネ442cの付勢力により左右外方に維持される。異形ギア441は伝達ギア443を介してスライドラック442から力を受ける。そのため、異形ギア441の姿勢を上述した適切な姿勢に維持することができる。
図26(b)に示すように、異形ギア441が限定ラックギア414bに歯合され回転されることで、伝達ギア443が回転されると共にスライドラック442が移動される。スライドラック442は、移動の途中で駆動レバー467に当接し、駆動レバー467が回転する。駆動レバー467は、半月部材460の中心ギア462(図15参照)に締結固定されているため、駆動レバー467が回転することで中心ギア462が回転する。これにより、クランクギア464が回転され(図14参照)、爪部材463が張り出す方向へ移動される。よって、スライド部材420の移動に連動して爪部材463を移動させることができる。
次いで、図27及び図28を参照して、第2実施形態における複合動作ユニット2400について説明する。
第1実施形態では、スライド部材420が退避位置に配置された状態において被伝達脚部422の切り欠き部422dが駆動ギア473の正面側で対向配置される場合を説明したが、第2実施形態における複合動作ユニット2400は、スライド部材2420が退避位置から張出位置へ移動する途中で被伝達脚部2422の切り欠き部2422dが駆動ギア473の正面側で対向配置される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図27及び図28は一対のスライド部材2420の正面図である。なお、図27は、一対のスライド部材2420が退避位置に配置された状態が図示され、図28は、一対のスライド部材2420が退避位置から移動され第2ギア群450の始動ギア歯452b1及び始動ギア453b1(図23(b)参照)が当接され始める状態が図示される。また、理解を容易とするために駆動装置470の図示が省略される。
図27に示すように、一対のスライド部材2420が退避位置に配置された状態において、駆動ギア473の正面側(図27紙面手前側)にラックギア422aの前側の歯幅方向側面に覆設される前側壁部2422cが重ねられる。
図28に示すように、一対のスライド部材2420が、二層ギア452の始動ギア歯452b1及び反転ギア453の始動ギア歯453b1(図23(b)参照)が当接され始める位置に配置された状態において、切り欠き部2422dが駆動ギア473の正面側(図27紙面手前側)に形成される。切り欠き部2422dは、駆動ギア473の歯先円より若干大きな円形状に形成される。
図28に示すように、正面視で切り欠き部2422dの外形から離間された状態で駆動ギア473を視認することができる(特定位相位置)。そのため、駆動ギア473を被伝達脚部2422に形成される切り欠き部2422dを通して引き抜くことができるので、これによりスライド部材2420をベース部材2410から取り外すことなく駆動ギア473を交換することができる。よって、駆動ギア473のメンテナンス性を向上させることができる。
本実施形態では、一対のスライド部材2420が退避位置から移動され第2ギア群450の始動ギア歯452b1及び始動ギア歯453b1(図23(a)参照)が当接され始める状態で特定位相位置をとるため、メンテナンス作業者はスライド部材2420を移動させる際の抵抗が上昇することを頼りに特定位相位置にスライド部材2420を移動させることができる。
即ち、スライド部材2420は移動される際、伝達ギア451(図24(a)参照)がベース部材2410の常設ラックギア414aに常に歯合されている。そのため、伝達ギア451の回転の抵抗が上昇すると、それはスライド部材2420の移動抵抗として把握できる。ここで、伝達ギア451は、二層ギア452と歯合されているため、二層ギア452と反転ギア453とが歯合を開始する際に生じる抵抗が伝達ギア451に伝わる。すると、伝達ギア451の回転の抵抗が上昇するので、スライド部材2420の移動抵抗が上昇する。これにより、メンテナンス作業者は、スライド部材2420の移動抵抗が上昇することを頼りに特定位相位置にスライド部材2420を移動させることができる。
ここで、特定位相位置では、前側壁部2422cが駆動ギア473と重ならないため、駆動ギア473に前側壁部2422cを当接させ駆動ギア473の回転時のぐらつきを抑制する効果が弱まる。
本実施形態では、一対のスライド部材2420の移動中、即ち、駆動ギア473の回転中に特定位相位置(切り欠き部2422dが駆動ギア473と合致する状態)が形成される。そのため、特定位相位置に駆動ギア473が差し掛かる際には駆動ギア473は十分な回転方向(軸垂直方向)への速度を備えている。そのため、特定位相位置において発生しがちな駆動ギア473のぐらつきを、駆動ギア473の回転方向の勢いで緩和させることができる。
ベース部材2410は、組立状態において中央側(図27中心側)に突設される三角突起部2415を備える。この三角突起部2415を頼りに一対のスライド部材2420を特定位相位置まで移動させることを容易にすることができる。
ここで、遊技機13のメンテナンスにおいて、駆動ギア473ごと駆動モータ472を取りはずす場合、スライド部材2420を特定位相位置に配置させる必要がある。しかし、駆動モータ472がスライド部材2420を隠す態様で正面側に配設されているため(図9参照)、正面側から切り欠き部2422dが駆動ギア473と一致する状態を視認することが困難である。そのため、特定位相位置にスライド部材2420を配置させることが難しい。
一方、三角突起部2415は正面側から視認可能な位置に配置されるため、メンテナンスにおいて三角突起部2415を頼りにスライド部材2410の位置あわせを行うことを容易にすることができる。本実施形態では、一対のスライド部材2420が特定位相位置に配置されると三角突起部2415と、スライド部材2420の端部に形成される三角形の模様とが一連の模様を形成する。これにより、メンテナンス作業者が駆動ギア473を取り外してメンテナンスを行うことを容易にすることができる。
次いで、図29及び図30を参照して、第3実施形態における二層ギア3452及び反転ギア3453について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452及び反転ギア453の始動ギア歯452b1,453b1が回転軸方向視で大型に形成される場合、即ち、歯たけ及び歯厚が大きくされる場合を説明したが、第3実施形態における二層ギア3452及び反転ギア3453は、始動ギア歯3452b1,3453b1が回転軸方向視では他のギア歯と同一形状に形成される一方で軸方向に大型に形成される、即ち、歯幅が大きく形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図29(a)は、二層ギア3452の正面図であり、図29(b)は、二層ギア3452の底面図であり、図29(c)は、二層ギア3452の側面図である。
図29に示すように、二層ギア3452は、摺動壁部452dに隣接して配設されると共に歯幅が大きく形成される始動ギア歯3452b1と、その始動ギア歯3452b1の歯元側の円周方向の側面から二層ギア3452の同心円に沿って延設されると共に始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2の歯元側の正面側端面に固着される円周リブ3452eと、始動ギア歯3452b1の歯元側の径方向の側面から回転軸へ向けて延設されると共に二層ギア3452の本体部の正面側端面に固着される径方向リブ3452fと、を主に備える。
始動ギア歯3452b1は、歯たけ及び歯厚は中間ギア歯452b2と略同一とされるが、歯幅は中間ギア歯452b2に比較して大きく形成される。これにより、始動ギア歯3452b1の剛性を向上させることができ、反転ギア3453との歯合開始時に始動ギア歯3452b1が破損することを抑制することができる。
円周リブ3452eは、始動ギア歯3452b1の側面、即ち延設基点において二層ギア3452の軸方向に最も幅広に形成され、始動ギア歯3452b1から離れるほど幅が徐々に短縮される。即ち、図29(b)に示すように、底面視で略三角形状に視認される。円周リブ3452eにより、二層ギア3452の円周方向に沿った始動ギア歯3452bの剛性を向上させることができ、始動ギア歯3452b1が回転方向に屈曲することを防止することができる。
また、円周リブ3452eは、始動ギア歯3452b1の付近(本実施形態では始動ギア歯3452b1の2つ隣まで)の中間ギア歯452b2まで延設される。これにより、円周リブ3452eを利用して中間ギア歯452b2の歯元を始動ギア歯3452b1側へ引く力を生じさせることが可能になる。
即ち、始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2と反転ギア3453とが歯合した場合に中間ギア歯452b2に生じる変形(始動ギア歯3452b1から離間する方向へ向けた変形)を、円周リブ3452eにより抑制することができる。
円周リブ3452eが始動ギア歯3452b1付近の中間ギア歯452b2までに限って固着されるのは、始動ギア歯3452b1から離れた位置にある中間ギア歯452b2は、回転が定常状態になってから反転ギア3453と歯合されることによる。
即ち、始動ギア歯3452b1から離れた中間ギア歯452b2(例えば、一対の始動ギア歯3452b1の中間付近の中間ギア歯452b2)が反転ギア3453と歯合される場合には、既に回転が定常状態となり、反転ギア3453は十分な回転速度を有している。そのため、中間ギア歯452b2が反転ギア3453から受ける力は小さく、円周リブ3452eによる補強が不要なためである。
径方向リブ3452fは、始動ギア歯3452b1の歯元側の径方向の側面から回転軸へ向けて延設されると共に二層ギア3452の本体部の正面側端面に固着されるので、始動ギア歯3452b1の径方向の剛性を向上させることができる。これにより、二層ギア3452に歯合される反転ギア3453が軸方向に移動され、がたつくことで、始動ギア歯3452b1の正面側端部(図29(b)上端)が回転軸へ向けて力を受けたとしても、始動ギア歯3452b1が倒れることを防止することができる。従って、始動ギア歯3452b1の耐久性を向上させることができる。
図30(a)は、反転ギア3453の正面図であり、図30(b)は、反転ギア3453の底面図であり、図30(c)は、反転ギア3453の側面図である。
図30に示すように、反転ギア3453は、円弧状凹部453cに隣接される始動ギア歯3453b1と、その始動ギア歯3453b1の歯元側の側面から反転ギア3453の同心円に沿って延設されると共に反転ギア3453の本体部に固着される円周リブ3453fと、を主に備える。
始動ギア歯3453b1は、歯たけ及び歯厚は他の中間ギア歯453b2と略同一とされる一方、歯幅は他の中間ギア歯453b2に比較して大きく形成される。これにより、始動ギア歯3453b1の剛性を向上させることができる。
円周リブ3453fは、始動ギア歯3453b1の側面、即ち延設基点において軸方向に最も幅広に形成され、始動ギア歯3453b1から離れるほど幅が徐々に短縮される。即ち、図30(b)に示すように、底面視で略三角形状に視認される。円周リブ3453fにより、始動ギア歯3453b1が回転方向に屈曲することを防止することができる。
また、円周リブ3453fは、始動ギア歯3453b1に隣接される係合突状受け部453d側へ向けて延設される。これにより二層ギア3452から力が加えられる方向(始動ギア歯3453b1から隣接する係合突状受け部453dへ向かう方向)に対する始動ギア歯3453b1の剛性が向上する。従って、始動ギア歯3453b1の耐久性を向上させることができる。
次いで、図31及び図32を参照して、第4実施形態における二層ギア4452及び反転ギア4453について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452の始動ギア歯452b1が回転軸方向視で大型に形成される場合、即ち、歯たけ及び歯厚が大きくされる場合を説明したが、第4実施形態における二層ギア4452は、始動ギア歯4452b1が回転軸方向視では他のギア歯と同一形状に形成される一方で歯幅が大きく形成されると共に、始動ギア歯4452b1に挟まれる中間ギア歯4452b2の歯幅が、始動ギア歯4452b1から離れるほどより短縮される態様で形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図31(a)は、二層ギア4452の正面図であり、図31(b)は、二層ギア4452の底面図であり、図31(c)は、図31(b)のXXXIc−XXXIc線における二層ギア4452の断面図である。
図31に示すように、二層ギア4452は、摺動壁部452dに隣接される一対の始動ギア歯4452b1と、それらの始動ギア歯4452b1の間に形成される中間ギア歯4452b2と、始動ギア歯4452b1と中間ギア歯4452b2との正面側側面に覆設される板状部4452eと、を主に備える。
図31(b)に示すように、始動ギア歯4452b1と中間ギア歯4452b2とで構成される分断ギア歯4452bの歯幅は、始動ギア歯4452b1において最大となり、中間ギア歯4452b2の歯幅が始動ギア歯4452b1から遠ざかるにつれて始動ギア歯4452b1を基準に階段状に短縮される。
板状部4452eは、正面視で分断ギア歯4452bの歯底側から歯先円と同等の位置まで張り出す態様で形成されると共に分断ギア歯4452bの正面側側面に覆設される。板状部4452eは分断ギア歯4452bの正面側側面の形成位置に合わせて底面視で滑らかな曲線を描く態様で形成される(図31(b)参照)。
ここで、分断ギア歯4452bの正面側側面が同一平面上に形成され、板状部4452eも平面上に形成される場合を考える。この場合、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時に反転ギア4453が二層ギア4452の軸方向に位置ずれすることの許容量を大きくするために円板部452cと板状部4452eとの距離を大きくすると、回転中の反転ギア4453の軸方向位置が定まらない。一方で、回転中の反転ギア4453の軸方向位置を正確に定めようとすると、歯合開始時に反転ギア4453が軸方向にわずかに位置ずれすることで、反転ギア4453が板状部4452eの外周面に当接し、歯合不良が生じる恐れがある。
これに対し、本実施形態では、反転ギア4453が二層ギア4452に歯合される前に生じる恐れのある軸方向への(図31(b)上方への)位置ずれを、歯合開始位置である始動ギア歯4452b1付近で最大限許容することができる。
また、板状部4452eが底面視(図31(b)参照)で始動ギア歯4452b1から離間するほど円板部452cとの距離が短縮される滑らかな曲線を描く態様で形成されている。そのため、反転ギア4453が板状部4452eに当接されることで、歯合が進むにつれて反転ギア4453の軸方向の位置をより大きく修正することができる(図31(b)下方に移動させることができる)。従って、二層ギア4452と反転ギア4453との歯合時の軸方向での位置ずれを、歯合が進むにつれて修正することができる。
図32(a)は、反転ギア4453の正面図であり、図32(b)は、反転ギア4453の底面図であり、図32(c)は、図32(a)の矢印XXXIIc方向視における反転ギア4453の部分側面図である。
図32に示すように、反転ギア4453は、一対の円弧状凹部453cにそれぞれ隣り合って配設される一対の始動ギア歯4453b1と、その始動ギア歯4453b1に挟まれた領域に形成される中間ギア歯4453b2と、を主に備える。
図32(b)に示すように、反転ギア4453は、始動ギア歯4453b1の歯幅が最大とされ、始動ギア歯4453b1から遠ざかるにつれて中間ギア歯4453b2の歯幅が短縮される態様で形成される。その短縮の度合い(図32(b)における各ギア歯の上端を結ぶ線の傾き)が、二層ギア4452の分断ギア歯4452bの歯幅の短縮の度合い(図31(b)における各ギア歯の上端を結ぶ線の傾き)に比較して緩やかに形成される。
図32(c)に示すように、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2は、一対の係合突状受け部453dから最も遠ざかって形成される中間ギア歯4453b2を除いて、幅方向の端面(図32(b)上端面)が係合突状受け部側に下降傾斜して形成される。これにより、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への相対的な位置ずれの許容量を大きく保持しつつ、位置ずれの修正をより急激におこなうことができる。
即ち、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2が二層ギア4452に歯合される場合、各ギア歯4453b1,4453b2は係合突状受け部側(歯幅が最短側、図32(c)右側)から歯合され始める。そのため、例えば、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅方向の寸法が歯幅最長側(図32(c)左側)で一定とされる場合に比較して、歯合開始時の板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を大きく確保することができる。従って、反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への位置ずれの許容量を大きく確保することができる。
一方、反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2と二層ギア4452との歯合が進むと、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅最長側(図32(c)左側)が二層ギア4452の板状部4452eの背面側(図31(b)下方)へ入り込む。これにより、例えば、各ギア歯4453b1,4453b2の歯幅方向の寸法が歯幅最短側(図32(c)右側)で一定とされる場合に比較して、歯合解除(互いの各歯が逃げる時)直前の板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を小さくすることができる。
従って、各ギア歯4453b1,4453b2が二層ギア4452と噛み合う際に、ギア歯4453b1,4453b2ごとの噛み合い始めから噛み合い解除までの間で、板状部4452eと各ギア歯4453b1,4453b2との間の間隔(遊び)を小さくすることができる。これにより反転ギア4453と二層ギア4452との、位置ずれの修正をより急激におこなうことができる。
また、本実施形態では、板状部4452eの傾斜(図31(b)参照)が反転ギア4453の各ギア歯4453b1,4453b2の傾斜(図32(c)参照)と逆向きに形成されるので、上述した反転ギア4453と二層ギア4452との歯合開始時の軸方向への位置ずれの許容量を大きく保持しつつ位置ずれの修正をより急激にする効果を向上させることができる。
なお、一対の係合突状受け部453dから最も遠ざかって形成される中間ギア歯4453b2の幅方向の端面(図32(b)上端面)は反転ギア4453の回転軸に垂直な平面で形成される。
次いで、図33から図35を参照して、第5実施形態における第2ギア群5450について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452が単一の樹脂材料のみから形成される場合を説明したが、第5実施形態における二層ギア5452は、始動ギア歯5452b1の内部に磁性材料が埋設される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図33は、二層ギア5452の正面図である。図33に示すように、二層ギア5452は、始動ギア歯5452b1に回転軸と平行な方向に沿って埋め込み孔5452gが穿設され、その埋め込み孔5452gに埋め込み部材5452hが埋設される。
埋め込み孔5452gは、断面円径の有底孔形状に形成され、埋め込み部材5452hは、埋め込み孔5452gの直径と同等か若干大きな直径の円柱形状に形成される。これにより、埋め込み部材5452hは埋め込み孔5452gに嵌め込み固定される。
埋め込み部材5452hは、金属磁性材料やプラスチック磁性材料から形成される円柱形状の部材であって、軸に沿った平面でS極とN極とが二分割される。なお、図33から図35において、埋め込み部材5452hの黒塗り側がN極で、その反対側がS極でそれぞれ形成される。
図34は、第2ギア群5450の部分正面図である。なお、図34は、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1が反転ギア5453の係合突状受け部453dに当接する直前の状態が図示される。また、二層ギア5452の円板部452c及びギア歯452aと伝達ギア451とが想像線で図示される。
図34に示すように、反転ギア5453は、始動ギア歯5453b1に軸と平行な方向に沿って埋め込み孔5453fが穿設され、その埋め込み孔5453fに埋め込み部材5453gが埋設される。これにより、埋め込み部材5453gは埋め込み孔5453fに嵌め込み固定される。
埋め込み部材5453gは、金属磁性材料やプラスチック磁性材料から形成される円柱形状の部材であって、軸に沿った平面でS極とN極とが二分割される。
図34に示すように、磁極を二分割する平面は、径方向に沿って形成されると共に軸を通る平面とされ、始動ギア歯5452b1,5453b1は向かい合う側に反対の極を向けて埋め込まれる。即ち、始動ギア歯5452b1は歯合時に始動ギア歯5453b1と対向する側(図34上側)にN極が形成され、始動ギア歯5453b1は歯合時に始動ギア歯5452b1と対向する側(図34下側)にS極が形成される。これにより、二層ギア5452と反転ギア5453との歯合において、歯合ギア歯5452b1,5453b1を引きつけ合わせる磁力が発生する。
即ち、図34に示す状態から二層ギア5452が図34反時計回りに回転されるにつれて埋め込み部材5452h,5453gの距離が縮まるので間に発生する磁力は大きくなり、始動ギア歯5453b1が始動ギア歯5452b1に引きつけられる。これにより、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1と反転ギア5453の係合突状受け部453dとが当接する前に反転ギア5453が磁力に引かれて回転される。そのため、静止状態の反転ギア5453に始動ギア歯5452b1が当接する場合に比較して、当接時の衝撃や当接時に二層ギア5452及び反転ギア5453が受ける荷重を緩和することができる。
図35は、第2ギア群5450の部分正面図である。なお、図35は、図34の状態から、所定量だけ二層ギア5452が図35反時計回りに回転された状態が図示される。また、二層ギア5452の円板部452c及びギア歯452aと伝達ギア451とが想像線で図示される。
図35に示すように、二層ギア5452の回転方向前方において二層ギア5452と反転ギア5453との間に隙間が形成される。これにより、二層ギア5452と反転ギア5453との当接開始時だけでなく、二層ギア5452と反転ギア5453とが歯合により回転される間において係合突状受け部453dに加えられる荷重を抑制することができる。従って、係合突状受け部453dに必要な強度を低くすることができ、係合突状受け部453dの設計自由度を向上させることができる。
次いで、図36及び図37を参照して、第6実施形態における第2ギア群6450について説明する。
第1実施形態では、二層ギア452が一体で形成される場合を説明したが、第6実施形態における二層ギア6452は、始動ギア歯452b1が省略されると共に、中間ギア歯452b2とは別体の異形ギア歯部材6452gを備えて構成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図36は、二層ギア6452の正面分解斜視図である。なお、図36では、異形ギア歯部材6452gが円板部452cから取り外された状態が図示される。本実施形態では異形ギア歯部材6452gが鉄などの金属材料から形成されることで、二層ギア6452の異形ギア歯部材6452g以外の部分であって樹脂材料から一体に形成される部分に比較して異形ギア歯部材6452gの剛性が高くされる。また、部分的に金属材料とすることで、二層ギア6452全体を金属材料で形成する場合に比較して軽量化でき、二層ギア6452を回転させるために必要な駆動力を抑制することができる。
図36に示すように、二層ギア6452は、一対の異形ギア歯部材6452gと、その異形ギア歯部材6452gが挿通される孔であって円板部452cに穿設される差し込み孔6452c1と、第1窪み部452b3と第2窪み部452b4との間に形成される切り欠きであって異形ギア歯部材6452gのギア歯本体部6452g1が挟み込まれるギア歯側切り欠き6452b5と、摺動壁部452dに形成される切り欠きであって異形ギア歯部材6452gの摺動受け部6452g3が挟み込まれる摺動部切り欠き6452d1と、摺動壁部452dの両端部にL字の鉤形状に形成される鉤型受け部6452d2と、を主に備える。
異形ギア歯部材6452gは、第1実施形態における始動ギア歯452b1を歯底側に延長した形状からなるギア歯本体部6452g1と、そのギア歯本体部6452g1の歯先の反対側の端部から背面側に突設される円柱状の差し込みピン6452g2と、組立状態(図37参照)において側面が摺動壁部452dの一部を形成する摺動受け部6452g3と、ギア歯本体部6452g1と摺動受け部6452g3とを連結する連結部6452g4と、を主に備える。
ギア歯本体部6452g1は、ギア歯側切り欠き6452b5に挟まれる部分の歯厚がギア歯側切り欠き6452b5の寸法と同等か若干大きく形成される。これにより、組立状態(図37参照)でギア歯本体部6452g1がギア歯側切り欠き6452b5に挟持される。
摺動受け部6452g3は組立状態(図37参照)で外周面が摺動壁部452dの外周面と滑らかにつながる態様で形成される。連結部6452g4の外周面は窪み底壁部452eと組立状態(図37参照)で若干の間隔をあけて対向配置される。
組立状態(図37参照)において、差し込みピン6452g2が差し込み孔6452c1に挿通されると共にギア歯本体部6452g1がギア歯側切り欠き6452b5に挟まれる。更に、連結部6452g4が第2窪み部452b4の窪み底壁部452eと若干の間隔をあけて対向配置され、摺動受け部6452g3の内周側が鉤型受け部6452d2に当接される。これにより、ギア歯本体部6452g1が反転ギア453に当接されることで差し込み孔6452c1を軸に回転する回転量を抑制することができる。
図37は、二層ギア6452及び反転ギア453の正面図である。なお、図37では、異形ギア歯部材6452gのギア歯本体部6452g1が反転ギア453の係合突状受け部453dに当接された状態が図示されると共に、円板部452cが想像線で図示される。
図37に示すように、異形ギア歯部材6452gが反転ギア453から加えられる荷重を反転ギア453の係合突状受け部453dに受けさせることができる。
即ち、異形ギア歯部材6452gを金属材料から形成したとしても、その異形ギア歯部材6452gを支持する部分は樹脂材料から形成される。また、二層ギア6452は成型時のヒケの発生を防ぐため径方向の厚さが略一定に形成されるので剛性が十分ではない。そのため、二層ギア6452と反転ギア453とが当接される場合に生じる荷重により、異形ギア歯部材6452gが移動する(差し込み孔6452c1を軸に回転する)と、異形ギア歯部材6452gから押圧力を受ける異形ギア歯部材6452g以外の部分(窪み底壁部452e等)が破損する恐れがある。
一方、本実施形態では、異形ギア歯部材6452gが、連結部6452g4の外周面と窪み底壁部452eとの間に形成される若干の間隔を埋める方向に移動され始める(差し込み孔6452c1を軸に回転され始める)と、反転ギア453の円弧状凹部453cに異形ギア歯部材6452gの摺動受け部6452g3が押しつけられる。円弧状凹部453cは径方向の厚みが十分に確保され剛性の大きい部分である。
これにより、異形ギア歯部材6452gが反転ギア453から加えられる荷重を反転ギア453の係合突状受け部453dに受けさせることができ、二層ギア6452の部分であって異形ギア歯部材6452g以外の部分(窪み底壁部452e等)に加えられる荷重を抑制することができる。また、反転ギア453の円弧状凹部453cを利用して異形ギア歯部材6452gを支えることができる。
次いで、図38から図45を参照して、第7実施形態における複合動作ユニット7400について説明する。
第1実施形態では、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置が一通りに限定される場合を説明したが、第7実施形態における複合動作ユニット7400は、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を少なくとも2通り形成可能である。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図38(a)から図38(c)は、二層ギア7452の背面図である。なお、図38(a)では、二層ギア7452の回転が停止される静止状態が図示され、図38(b)では、二層ギア7452の回転速度Vが境界速度Vbより低速な第1回転速度V1である状態が図示され、図38(c)では、二層ギア7452の回転速度Vが境界速度Vbより高速な第2回転速度V2である状態が図示される。
なお、理解を容易にするために、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。これは、以降の図面でも同様である。また、境界速度Vbとは、突出ギア部材7452eが没入状態から張出状態へ切り替えられる時の二層ギア7452の回転速度Vを意味する。
図38に示すように、二層ギア7452は、回転軸から径方向外側へ向けて形成される断面矩形の溝である案内溝7452dと、その案内溝7452dの溝幅より若干小さな幅で形成されると共に先端がギア歯形状に形成される突出ギア部材7452eと、その突出ギア部材7452eと二層ギア7452の回転軸とを連結する付勢バネ7452fと、を主に備えて構成される。
案内溝7452dは、二層ギア7452の外周を円周方向に3等分する配置で3箇所形成され、それぞれの案内溝7452dに突出ギア部材7452eおよび付勢バネ7452fが配設される。また、各案内溝7452dを結ぶ二層ギア7452の外周面に中間ギア歯452b2が形成される。
突出ギア部材7452eは、各突出ギア部材7452e1〜7452e3がそれぞれ同じ質量で形成され、各付勢バネ7452fはそれぞれ同一のバネ定数で形成される。
図38(a)に示すように、二層ギア7452の停止状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯底を連ねた面よりも回転軸側へ没入する。このとき、不正バネ7452fは自然長とされる。
図38(b)に示すように、二層ギア7452が境界速度Vbより低速な第1回転速度V1で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア7452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ7452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも回転軸側に位置される(没入状態)。
そのため、後述するように、二層ギア7452が第1回転速度V1で回転される場合には、二層ギア7452は反転ギア7453(図42参照)と歯合開始されない。即ち、二層ギア7452は反転ギア7453に対して空回りする。
図38(c)に示すように、二層ギア7452が境界速度Vbより高速な第2回転速度V2で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア7452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ7452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、突出ギア部材7452eは中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、後述するように、二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合には、二層ギア7452の突出ギア部材7452eが反転ギア7453(図39参照)に当接することで、二層ギア7452が反転ギア7453に歯合され始める。
即ち、二層ギア7452の回転速度Vを境界速度Vbに対して高速とするか、低速とするかで、二層ギア7452が反転ギア7453(図39参照)と歯合し始めるか否かを選択することができる。そのため、二層ギア7452の回転速度Vを回転の途中で変化させることで(スライド部材420(図40参照)の移動速度を移動の途中で変化させることで)、半月部材460(図40参照)が回転される時のスライド部材420の配置のバリエーションを複数通り用意することができる。
次いで、図39から図44を参照して、半月部材460が回転され始める時のスライド部材420の配置のバリエーションについて説明する。まず、図39から図41を参照して、移動部材420の退避位置からの移動開始直後から主動ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合(第1速度パターン)を説明する。
図39(a)から図39(e)は、二層ギア7452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア7452及び反転ギア7453の背面図であり、図40(a)、図40(b)、図41(a)及び図41(b)は、スライド部材420のスライド移動および半月部材460の姿勢変化を時系列で図示した複合動作ユニット7400の正面図である。なお、理解を容易にするために、図39では、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略され、図40及び図41では締結板部471及び駆動モータ472の図示が省略される。
なお、図39(a)及び図40(a)、図39(b)及び図40(b)、図39(c)及び図41(a)、そして図39(d)及び図41(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図39では、二層ギア7452の回転方向が矢印で図示され、図39に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア7452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図39(a)に示すように、二層ギア7452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)から第2回転速度V2で回転され、二層ギア7452が所定量回転されると第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接される(図39(b)参照)。これにより、反転ギア7453が回転され始め、半月部材460が姿勢変化し始める(図40(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図39(c)及び図41(a)参照)。
二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア7452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア7452と外接され(図39(d)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共にスライド部材420に対する半月部材460の姿勢が固定される(図41(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア7452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する(図39(e)参照)。その後、突出ギア部材7452eが付勢バネ7452fの付勢力で二層ギア7452の径方向内側へ移動される。
ここで、図39(d)から図39(e)の状態まで二層ギア7452が回転される場合には、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が係合突状受け部453dに当接し、二層ギア7452と反転ギア7453とが再度噛み合う恐れがある。
これに対し、本実施形態では、係合突状受け部453dの一端(図39(e)上側の端)に円弧状の面取り部7453eが形成される。
第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が面取り部7453eに当接されると、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1に二層ギア7452の径方向内側へ向く力が作用される。これにより、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1が反転ギア745と噛み合う前に、第3突出部材7452e3及び第1突出部材7452e1をそれぞれ没入状態にすることができる。従って、二層ギア7452と反転ギア7453とが再度噛み合うことを防止することができる。
次いで、図42から図44を参照して、移動部材420の退避位置からの移動開始直後は二層ギア7452が第1回転速度V1で回転され、回転の途中で二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される(回転速度Vが変化される)場合(第2速度パターン)を説明する。
図42(a)から図42(e)は、二層ギア7452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア7452及び反転ギア7453の背面図であり、図43(a)、図43(b)、図44(a)及び図44(b)は、スライド部材420のスライド移動および半月部材460の姿勢変化を時系列で図示した複合動作ユニット7400の正面図である。なお、理解を容易にするために、図42では、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略され、図43及び図44では締結板部471及び駆動モータ472の図示が省略される。
なお、図42(a)及び上述した図40(a)、図42(b)及び図43(a)、図42(c)及び図43(b)、図42(d)及び図44(a)、そして図42(e)及び図44(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図42では、二層ギア7452の回転方向が矢印で図示され、図42(a)に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア7452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図42(a)に示すように、二層ギア7452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)では第1回転速度V1で回転されるため、突出ギア部材7452eが没入状態を形成する。
そのため、二層ギア7452が所定量回転されても第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接されないため、二層ギア7452と反転ギア7453との歯合は開始されない(図42(b)参照)。これにより、半月部材460の姿勢が維持されたままスライド部材420が移動される(図43(a)参照)。
二層ギア7452が回転を継続され、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453の係合突状受け部453dに近接するまでに、二層ギア7452の回転速度Vが第2回転速度V2に変更される。これにより、突出ギア部材7452eが張出状態を形成し(図42(c)参照)、第2突出ギア部材7452e2が係合突状受け部453dに当接されることで反転ギア7453が回転され始めると共に半月部材460が姿勢変化し始める(図43(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図42(d)及び図44(a)参照)。
二層ギア7452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア7452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア7452と外接され(図42(e)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共にスライド部材420に対する半月部材460の姿勢が固定される(図44(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア7452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する。
なお、二層ギア7452の回転速度Vとスライド部材420の移動速度とは比例関係にあるので、二層ギア7452の回転速度Vを変化させることは駆動モータ472の回転速度を変化させることで容易に行うことができる。
このように、本実施形態によれば、スライド部材420が退避位置から張出位置までスライド移動される間において半月部材460が回転され始める時の、スライド部材420の位置を少なくとも2通りで変更することができる。即ち、回転開始時から二層ギア7452が第2回転速度V2で回転される場合(図39から図41まで参照)に比較して、回転途中で第1回転速度V1から第2回転速度V2に変化される場合(図42から図44まで参照)に、半月部材460の回転する時のスライド部材420の配置を中央側(上下方向中心側)に寄せることができる(図40(b)及び図43(b)参照)。これにより、演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図45を参照して、上述した第1速度パターン及び第2速度パターンの代表例について説明する。図45は、二層ギア7452の速度変化を示すグラフである。なお、図45において、横軸は、退避位置(P=0)から張出位置(P=Pmax)の間におけるスライド部材420の位置(P)が示され、縦軸は、スライド部材420のスライド移動時に回転される二層ギア7452の回転速度Vが示される。
なお、図45の横軸において、第1位置P1は、第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図39(b)参照)を意味し、第2位置P2は、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図42(c)を意味する。実線は上述した第1速度パターンが示され、破線は上述した第2速度パターンが示される。
上述したとおり、本実施形態では、第1速度パターンで二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第1位置P1に到達した直後に姿勢変化され始める。これに対し、第2速度パターンで二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第2位置P2に到達した直後に姿勢変化され始める。
即ち、スライド部材420のスライド移動中に二層ギア7452の回転速度Vを変えることにより、半月部材460の姿勢変化がされ始める時のスライド部材420の位置を変化させることができる。従って、スライド部材420および半月部材460の演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図46から図48を参照して、第8実施形態における複合動作ユニット8400について説明する。
第7実施形態では、二層ギア7452の回転速度Vを回転の途中で変更することで半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を変更する場合を説明したが、第8実施形態における複合動作ユニット8400は、半月部材460が回転する時のスライド部材420の位置を二層ギア8452の回転速度は等速に維持したまま変更可能に形成される。なお、上述した各実施形態と同一の部分には同一の符号を付して、その説明は省略する。
図46(a)及び図46(b)は、二層ギア8452の背面図である。なお、図46(a)では、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転される状態が図示され、図46(b)では、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される状態が図示される。二層ギア8452の回転が停止される静止状態は図38(a)と同様なので、説明を省略する。
なお、理解を容易にするために、ギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。これは、以降の図面でも同様である。また、分離回転速度V3とは、第1突出ギア部材7452e1は没入状態を形成する一方で第2突出ギア部材7452e2は張出状態を形成する回転速度を意味し、共同回転速度V4とは、第1突出ギア部材7452e1及び第2突出ギア部材7452e2が共に張出状態を形成する回転速度を意味する。
図46(a)に示すように、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転されると、各突出ギア部材7452eがそれぞれ異なる張出量で二層ギア8452の径方向外側へ向けて移動される(少なくとも第2突出ギア部材7452e2の方が第1突出ギア部材7452e1よりも移動量が大きい)。
本実施形態では、各突出ギア部材7452eと二層ギア7452の回転軸とを連結する付勢バネ8452fのバネ定数がそれぞれ異なって形成される。即ち、第1突出ギア部材7452e1と二層ギア8452の回転軸とを連結する第1付勢バネ8452f1のバネ定数は、第2突出ギア部材7452e2と二層ギア8452の回転軸とを連結する第2付勢バネ8452f2のバネ定数よりも大きくされる。なお、第3付勢バネ8452f3のバネ定数は第1付勢バネ8452f1のバネ定数よりも大きくされる。
図46(a)に示すように、二層ギア7452が分離回転速度V3で回転されると、第1突出ギア部材7452e1は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも回転軸側に位置され(没入状態)、第2突出ギア部材7452e2は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、後述するように、二層ギア8452が分離回転速度V3で回転される場合には、二層ギア8452は第1突出ギア部材7452e1では反転ギア7453と歯合開始されず、第2突出ギア部材7452e2で反転ギア7453と歯合される。
図46(b)に示すように、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される場合、突出ギア部材7452eを二層ギア8452の径方向外側へ移動させようとする力が生じる。この力と、付勢バネ8452fによる付勢力とが釣り合う位置まで突出ギア部材7452eが張出される。その張り出した状態において、少なくとも第1突出ギア部材7452e1及び第2突出ギア部材7452e2は中間ギア歯452b2の歯先を連ねた面よりも径方向外側に張り出される(張出状態)。
そのため、二層ギア8452が共同回転速度V4で回転される場合には、二層ギア8452の突出ギア部材7452eのうち第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に当接することで、二層ギア7452が反転ギア7453に歯合され始める。
なお、二層ギア8452が共同回転速度V4で等速回転される場合の二層ギア8452、反転ギア7453及びスライド部材420の動作は図39から図41に図示される動作と同様であるため、説明を省略する。
図47(a)から図47(e)は、二層ギア8452及び反転ギア7453の回転を時系列で図示した二層ギア8452及び反転ギア7453の背面図である。なお、図47の説明においては、図40、図43及び図44を適宜参照すると共に、図47では、理解を容易とするためにギア歯452aおよび円板部452cの図示が省略される。
なお、図47(a)及び上述した図40(a)、図47(b)及び図43(a)、図47(c)及び図43(b)、図47(d)及び図44(a)、そして図47(e)及び図44(b)がそれぞれ略同時点の図であり、互いに対応関係にある。また、図47では、二層ギア8452及び反転ギア7453の回転方向が矢印で図示され、図47に示すように、円弧状凹部453cは二層ギア8452の中間ギア歯452b2の歯先を連ねた円に外接される態様で形成される。
図47(a)に示すように、二層ギア8452はスライド部材420の移動開始直後(図40(a)参照)から分離回転速度V3で回転されるため、第1突出ギア部材7452e1が没入状態を形成すると共に、第2突出ギア部材7452e2は張出状態を形成する。
そのため、二層ギア8452が所定量回転されても第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453の係合突状受け部453dに当接されないため、二層ギア8452と反転ギア7453との歯合は開始されない(図47(b)参照)。これにより、半月部材460の姿勢が維持されたままスライド部材420が移動される(図43(a)参照)。
二層ギア8452が分離回転速度V3のまま回転を継続され、第2突出ギア部材7452e2が係合突状受け部453dに当接されることで反転ギア7453が回転され始めると共に半月部材460が姿勢変化し始める(図43(b)参照)。
反転ギア7453が回転され始めた後、二層ギア8452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合うことで、反転ギア7453の回転が継続されると共に半月部材460の姿勢変化が継続される(図47(d)及び図44(a)参照)。
二層ギア8452の中間ギア歯452b2と反転ギア7453の中間ギア歯453b2とが噛み合ったあと、更に二層ギア8452が回転されることで、反転ギア7453の円弧状凹部453cが再度二層ギア8452と外接され(図47(e)参照)、反転ギア7453の回転が停止されると共に半月部材460の姿勢が固定される(図44(b)参照)。
その後、スライド部材420がスライド移動し終わる(図26(b)参照)まで二層ギア8452は回転され、スライド部材420が停止されることで回転を停止する。
このように、本実施形態によれば、スライド部材420が退避位置から張出位置までスライド移動される間において半月部材460が回転され始める時の、スライド部材420の位置を少なくとも2通りで変更することができ、そのためにスライド部材420のスライド移動中の速度変化を要しない。
即ち、二層ギア8452が共同回転速度V4で定速回転される場合(図40及び図41参照)に比較して、二層ギア8452が分離回転速度V3で定速回転される場合(図43及び図44参照)に、半月部材460の回転する時のスライド部材420の配置を中央側(上下方向中心側)に寄せることができる(図40(b)及び図43(b)参照)。これにより、演出のバリエーションを増やすことができる。
次いで、図48を参照して、上述した分離回転速度V3および共同回転速度V4をグラフにして説明する。図48は、二層ギア7452の回転速度Vを示すグラフである。なお、図48において、横軸はスライド部材420が退避位置(P=0)から張出位置(P=Pmax)の間におけるスライド部材420の位置(P)が示され、縦軸はスライド部材420のスライド移動時に回転される二層ギア7452の回転速度Vが示される。
なお、図48の横軸において、第1位置P1は、第1突出ギア部材7452e1が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図39(b)参照)を意味し、第2位置P2は、第2突出ギア部材7452e2が反転ギア7453に初めに対向配置される位置(図42(c)を意味する。
上述したとおり、本実施形態では、共同回転速度V4で二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第1位置P1に到達した直後に姿勢変化され始める。これに対し、分離回転速度V3で二層ギア7452が回転される場合には、半月部材460はスライド部材420が第2位置P2に到達した直後に姿勢変化され始める。
即ち、スライド部材420のスライド移動の速度を2種類設定しておけば、移動中にスライド部材420のスライド移動の速度を変化させなくとも、半月部材460の姿勢変化がされ始める時のスライド部材420の位置を変化させることができる。従って、スライド部材420および半月部材460の演出のバリエーションを増やすことができる。
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
上記各実施形態において、一の実施形態における構成の一部または全部を、他の実施形態における構成の一部または全部の構成と組み合わせて或いは置き換えて、別の実施形態としても良い。
上記各実施形態では、スライドラック442の移動に起因して半月部材460の爪部材463が移動する場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、半月部材460が回転されることにより駆動レバー467が回転される回転軌跡状に係止ピンが配設され、駆動レバー467がその係止ピンにせき止められることで半月部材460と駆動レバーとの間に回転角度差が生じ、爪部材463が移動される態様でも良い。この場合、半月部材460の回転と爪部材463の移動とを連動させることができる。
上記各実施形態では、スライド部材420の切り欠き部422dが円弧状に形成される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動ギア473から離間する方向へ向けて矩形状に切り欠かれても良い。これにより、切り欠き部422dの設計自由度を向上させると共に、スライド部材420に必要な材料を削減することができる。
上記各実施形態では、駆動ギア473の歯先を連ねた形状が略円形である場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動ギア473が周方向に4分割され、その分割された各部分ごとにギア歯の歯たけを異ならせても良い。この場合、ギア歯の歯たけが短い部分を被伝達脚部422へ向けて駆動ギア473を取り付けることで、駆動ギア473を通すために被伝達脚部422の切り欠き部422dに要求される大きさを小さくすることができる。その一方で、ギア歯の歯たけが長い部分で被伝達脚部422への駆動力の伝達を確保することができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
上記各実施形態では、対向配置される一対の被伝達脚部422に形成される切り欠き部422dを通して駆動ギア473を付け外しする場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、被伝達脚部422に切り欠き部422dは形成されず、被伝達脚部422が互いに遠ざかる方向(スライド方向と垂直な方向)へ移動可能に形成されても良い。この場合、一対の被伝達脚部422が近づいて配置されると駆動ギア473は取り外し不能である一方、一対の被伝達脚部422が距離を空けて配置されると駆動ギア473は取り外し可能とすることができる。
上記第5実施形態では、二層ギア5452の埋め込み孔5452gに磁性材料から形成される埋め込み部材5452hが埋設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1の周囲を磁性材料で覆う態様でも良い。これにより、磁性材料を始動ギア歯5452b1の外側に配設できるので、反転ギア5453と磁性材料との間隔を縮めることができ、二層ギア5452と反転ギア5453との間で歯合開始時に働く磁力をより強力にすることができる。
上記第5実施形態では、反転ギア5453の始動ギア歯5453b1に埋め込み孔5453fが穿設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、埋め込み孔5453fが係合突状受け部453dに穿設され埋め込み部材5453gが埋設される態様で形成しても良い。この場合、埋め込み部材5453gの磁力と、二層ギア5452に埋設される埋め込み部材5452hの磁力とが反発しあう関係となるように埋め込み部材5452h,5453gを埋設することで、二層ギア5452と反転ギア5453の当接時の衝撃を緩和することができる。即ち、二層ギア5452の始動ギア歯5452b1が反転ギア5453の係合突状受け部453dに当接される前に、反発する磁力により反転ギア5453を始動ギア歯5452b1から遠ざかる方向へ回転させることができる。従って、始動ギア歯5452b1の耐久性を向上させることができる。
上記第7実施形態では、各突出ギア部材7452eの質量がそれぞれ等しい場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各突出ギア部材7452eがそれぞれ質量を違えて形成され、質量のより大きい突出ギア部材7452eを付勢する付勢バネ7452fのバネ定数をより大きく形成しても良い。これにより、質量の大小による突出ギア部材7452eの張出方の違いを付勢バネ7452fの付勢力の大小により緩和することができる。
上記第7及び第8実施形態では、二層ギア7452,8452の突出ギア部材7452eが移動可能に形成されることで、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能な場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、反転ギア7453が二層ギア7452,8452の軸直角方向に移動可能に形成されても良い。この場合、反転ギア7453が二層ギア7452,8452から離間することで、互いに当接されない状態を形成可能である一方、反転ギア7453が二層ギア7452,8452に近づくことで、互いに当接可能とすることができる。そのため、移動可能な突出ギア部材7452eを不要とした場合でも、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能とすることができる。
上記第7及び第8実施形態では、二層ギア7452,8452の突出ギア部材7452eが移動可能に形成されることで、二層ギア7452,8452と反転ギア7453との当接のタイミングを変化可能な場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、二層ギア7452,8452が、反転ギア7453及び伝達ギア451と歯合されない第1状態と、反転ギア7453及び伝達ギア451と歯合される第2状態とを形成可能としても良い。この場合、第1状態では二層ギア7452,8452に駆動力を非伝達とする一方、第2状態では二層ギア7452,8452に駆動力を伝達することができる。そのため、移動可能な突出ギア部材7452eを不要とした場合でも、反転ギア7453が動作開始するタイミングを変化可能とすることができる。
上記第8実施形態では、各突出ギア部材7452eの質量がそれぞれ等しく、各付勢バネ8452fのバネ定数がそれぞれ異なる場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、各付勢バネ8452fのバネ定数はそれぞれ同一とし、各突出ギア部材7452eの質量をそれぞれ異ならせても良い。これにより、バネ定数を調整するよりも容易に各突出ギア部材7452eの張出量を調節することができる。
上記各実施形態では、駆動ギア473が駆動モータ472の駆動軸に一点で軸支される場合を説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、駆動モータ472の駆動軸に固着される軸支部材の端部にピンが複数突設されると共に、駆動ギア473の回転体部に複数のピンが嵌合される嵌合部が複数形成され、軸支部材と駆動ギア473とが複数点で係合されても良い。この場合、駆動モータ472の駆動軸と駆動ギア473との位相関係をピンが回転方向で駆動ギア473に引っかかることにより維持することができるので、駆動ギア473と複数のピンとの嵌め合わせを緩く形成することができる。
これにより、駆動モータ472と駆動ギア473の回転体部とを分離するために必要な力を小さくできるので、被伝達脚部422の前側壁部422cが変形したり駆動モータ472に過大な応力が付加されたりすることを防止することができる。
本発明を上記各実施形態とは異なるタイプのパチンコ機等に実施してもよい。例えば、一度大当たりすると、それを含めて複数回(例えば2回、3回)大当たり状態が発生するまで、大当たり期待値が高められるようなパチンコ機(通称、2回権利物、3回権利物と称される)として実施してもよい。また、大当たり図柄が表示された後に、所定の領域に球を入賞させることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるパチンコ機として実施してもよい。また、Vゾーン等の特別領域を有する入賞装置を有し、その特別領域に球を入賞させることを必要条件として特別遊技状態となるパチンコ機に実施してもよい。更に、パチンコ機以外にも、アレパチ、雀球、スロットマシン、いわゆるパチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機などの各種遊技機として実施するようにしても良い。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
以下に、本発明の遊技機に加えて上述した実施形態に含まれる各種発明の概念を示す。
<駆動ギア473と切り欠き部422dとが重なる技術思想の一例>
ベース部材に支持され側面にギア歯が刻設されると共に互いに歯合される第1ギア部材および第2ギア部材を備え、少なくとも前記第1ギア部材は回転ギアから形成され、前記第2ギア部材は、前記ギア歯の側面に覆設される板状部を備え、その板状部が、前記第1ギア部材の回転軸方向視において前記第1ギア部材の前記ギア歯であって前記第2ギア部材と歯合している前記ギア歯に重なり可能に形成される遊技機であって、前記板状部は、前記第2ギア部材のギア歯の歯先側から歯底側へえぐられて形成される切り欠き部を備え、前記切り欠き部と前記第1ギア部材とが所定位置に配置されることで、少なくとも前記第1ギア部材と前記板状部とが前記第1ギア部材の回転軸方向視で間隔を空けて視認される特定位相位置を形成可能であることを特徴とする遊技機A1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、互いに歯合される一対のギア部材の内の一方のギア部材のギア歯の側面に板状部が形成されることで、一対のギア部材の内の一方のギア部材の反対側のギア部材である他方のギア部材の軸方向への移動を防止する遊技機がある(例えば特開2012−217702号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、他方のギア部材を抜き取る際に、一方のギア部材を予め抜き取る必要があった。そのため、メンテナンス性が低くなるという問題点があった。
これに対し、遊技機A1によれば、板状部に切り欠き部が形成されることで、少なくとも特定位相位置において第1ギア部材の回転軸方向視で板状部と第1ギア部材とが間隔を空けて視認される。そのため、特定位相位置において、第1ギア部材を板状部の切り欠き部を通して引き抜くことができるので、第2ギア部材を予め抜き取ることなく第1ギア部材を交換することができる。よって、歯合される一対のギア部材のメンテナンス性を向上させることができる。
なお、第1ギア部材が回転ギアで形成されているので、板状部が形成される第2ギア部材は、回転ギアであってもラックギアであっても良い。
遊技機A1において、前記切り欠き部は、前記第2ギア部材の歯先側において、その第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った形成幅が、前記第2ギア部材の歯先を連ねた外形と前記第1ギア部材の歯先円とが交差する点間の前記第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った距離と、同等か若干大きく設定されることを特徴とする遊技機A2。
遊技機A2によれば、遊技機A1の奏する効果に加え、第1ギア部材の回転軸方向視において第1ギア部材が切り欠き部と重なる期間を最小限に短くすることができる。これにより、第1ギア部材が回転軸方向に移動することを規制する作用を板状部により確保することができる。
なお、切り欠き部の形状は特に限定されるものではなく、円弧状でもよいし、矩形状でもよい。
また、第2ギア部材のギア歯の大きさは均一である必要は無い。例えば、第2ギア部材が周方向に4分割され、その分割された部分ごとにギア歯の大きさ(特に歯たけ)が異なって形成される場合、小さなギア歯の歯先円と第2ギア部材の歯先を連ねた外形とが交差する点間の距離で切り欠き部を形成することで、大きなギア歯の歯先円を基に切り欠き部を形成する場合に比較して、切り欠き部が大型化することを抑制することができる。従って、第1ギア部材が回転軸方向に移動することを規制する作用を板状部により確保することができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
遊技機A1又はA2において、前記切り欠き部は、前記第1ギア部材と同軸に形成される円であってその第1ギア部材の歯先円より若干大きな直径に形成される円を、前記第1ギア部材の回転軸方向から前記板状部に投影した場合に重なる形状で形成されることを特徴とする遊技機A3。
遊技機A3によれば、遊技機A1又はA2の奏する効果に加え、切り欠き部は、第1ギア部材の歯先円より若干大きな直径に形成されると共に第1ギア部材と同軸の円を第1ギア部材の回転軸方向から板状部に投影した場合に重なる形状に形成される。そのため、切り欠き部の大きさを最小限に抑えると共に、板状部の形成面積を最大限に確保することができ、板状部の剛性を向上させることができる。
なお、第2ギア部材のギア歯の大きさは均一である必要は無い。例えば、第2ギア部材が周方向に4分割され、その分割された部分ごとにギア歯の大きさ(特に歯たけ)が異なって形成される場合、小さなギア歯の歯先円と第2ギア部材の歯先を連ねた外形とが交差する点間の距離で切り欠き部を形成することで、大きなギア歯の歯先円を基に切り欠き部を形成する場合に比較して、切り欠き部が大型化することを抑制することができる。従って、板状部の形成面積を最大限に確保することができ、板状部の剛性を向上させることができる。なお、上述した分割された部分において、ギア歯の形成されない部分があっても良い。
遊技機A2又はA3において、前記第1ギア部材に刻設される前記ギア歯と前記第2ギア部材に刻設される前記ギア歯とは、噛み合うギア歯の関係が固定される適正歯合状態を形成するものであって、その適正歯合状態は、前記第1ギア部材を、前記第2ギア部材に形成される前記切り欠き部に沿って移動させると共に前記第2ギア部材に歯合させることで形成されることを特徴とする遊技機A4。
遊技機A4によれば、遊技機A2又はA3の奏する効果に加え、第2ギア部材の板状部の切り欠き部の外形に沿って第1ギア部材を移動させ、第1ギア部材と第2ギア部材とを歯合させると、ギア歯が適正歯合状態で歯合される。
そのため、適正歯合状態に第1ギア部材と第2ギア部材とを歯合させる場合において、板状部の切り欠き部で第1ギア部材と第2ギア部材との歯合時の位置合わせを行うことができる。これにより、第1ギア部材と第2ギア部材との噛み合わせ調整を容易にすることができるので、ギア交換のメンテナンス性を向上することができる。
なお、第1ギア部材と第2ギア部材とが相互に噛み合う歯の関係が固定される場合とは、歯合される回転ギア部材が側面の一部に歯が刻設される不完全ギアである場合や、回転ギア部材に対して往復移動する移動ラック部材が歯合される場合などが例示される。
なお、ギア交換時には、例えば、第1ギア部材の各歯を第2ギア部材のどの歯に歯合させるかが問題となるが、この場合に、相互に噛み合う歯の関係において適正歯合状態に歯合させるためには、相互に噛み合うギア歯が少なくとも一歯ずれることを抑制できればよい。
遊技機A1からA4において、少なくとも前記特定位相位置において、前記第1ギア部材または前記第2ギア部材の少なくとも一方のギア部材の移動抵抗が増加することを特徴とする遊技機A5。
遊技機A5によれば、遊技機A1からA4の奏する効果に加え、少なくとも前記特定位相位置において、第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方のギア部材の移動抵抗が増加する。そのため、メンテナンス作業者は移動抵抗が増加することを頼りに作業することで、例えば一対のギア部材を噛み合わせる(適正歯合位置でギア部材を嵌め込む)作業を容易とすることができる。
即ち、第1ギア部材と第2ギア部材とが移動の途中で止まった状態において、板状部の切り欠き部が第1ギア部材と合致していない場合には、第1ギア部材を抜き取ろうとしても、板状部が邪魔となり抜き取ることができない。そのため、第2ギア部材を移動させる必要がある。この場合に、抵抗が増加する位置まで第2ギア部材を移動させることで、板状部の切り欠き部を第1ギア部材と合致する位置に形成させることができ、第1ギア部材を抜き取ることが容易となる。
なお、移動抵抗が増加する場合としては、例えば、特定位相位置において第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方と擦れる摩擦部材が配設される場合や、特定位相位置において第1ギア部材または第2ギア部材の少なくとも一方が移動終端に到達する場合等が例示される。
遊技機A1からA4において、前記第1ギア部材および前記第2ギア部材がそれぞれ移動終端まで移動される態様で形成され、それぞれの前記移動終端に前記第1ギア部材および前記第2ギア部材が配置された場合に、前記第1ギア部材の回転軸方向視において前記板状部と前記第1ギア部材とが少なくとも一部重なることを特徴とする遊技機A6。
遊技機A6によれば、遊技機A1からA4のいずれかの奏する効果に加え、第1ギア部材と第2ギア部材とが移動終端に配置された場合に、第1ギア部材の回転軸方向視において板状部と第1ギア部材とが少なくとも一部重なる。即ち、第1ギア部材および前記第2ギア部材の移動終端と異なる位置に特定位相位置(切り欠き部が第1ギア部材と合致する状態)が形成される。そのため、第1ギア部材および第2ギア部材が移動され、特定位相位置に第1ギア部材が差し掛かる際には第1ギア部材は十分な回転方向(軸垂直方向)への速度を備えている。よって、特定位相位置において発生しがちな第1ギア部材のぐらつきを、第1ギア部材の回転方向の勢いで緩和させることができる。
遊技機A1からA6において、駆動力を発生する駆動モータを備え、前記第1ギア部材は引き抜き可能な態様で前記駆動モータに軸支され、その駆動モータと前記第1ギア部材との間の層に前記板状部が形成されることを特徴とする遊技機A7。
遊技機A7によれば、遊技機A1からA6の奏する効果に加え、第1ギア部材が引き抜き可能な態様で駆動モータに軸支される。
ここで、板状部が形成される側から第1ギア部材を第2ギア部材に歯合させようとしても、第1ギア部材が板状部に当接され移動が防止されるので、第1ギア部材と前記第2ギア部材とを歯合させることができない。そのため、駆動モータに第1ギア部材が軸支される場合は、駆動モータの配設位置が限定される恐れがあった。
これに対し、遊技機A7によれば、板状部の切り欠き部を第1ギア部材が通過できるので、駆動モータの配設位置が板状部との関係で限定されることはなく、駆動モータの配設自由度を向上させることができる。
また、駆動モータと第1ギア部材との間の層に第2ギア部材の板状部が形成されるので、駆動モータの交換の際に、駆動モータと第1ギア部材とを合わせて外すか、駆動モータだけを外すかを選択することができる。
即ち、板状部に第1ギア部材を当接させたまま駆動モータを引き抜くことで、駆動モータと第1ギア部材とを容易に分離させることができる。このように駆動モータを交換することで、第1ギア部材と第2ギア部材との歯合状態を維持したまま駆動モータを交換することができ、第1ギア部材と第2ギア部材との再度の噛み合わせ調整を不要とすることができる。これによりメンテナンス性を向上させることができる。
なお、第1ギア部材が駆動モータから引き抜き可能な態様で軸支される場合としては、第1ギア部材が駆動モータの駆動軸に外嵌固定される場合や、駆動モータの駆動軸の先端に配設されたアダプタから複数のピンが突設されると共に第1ギア部材にそれらの複数のピンが差し込まれる場合等が例示される。
遊技機A7において、前記第1ギア部材は、一方の端部が前記駆動モータの駆動軸に固着される軸部と、その軸部の前記一方の端部の反対側の端部である他方の端部に連結される回転体部とを備え、前記軸部と前記回転体部とは分離可能に形成され、前記軸部は、前記他方の端部の端面から軸心方向に突設される複数の突設ピンを備え、前記回転体部は、前記複数の突設ピンがそれぞれ嵌合される複数の嵌合部を備え、前記軸部と前記回転体部との連結は、前記複数の突設ピンが前記複数の嵌合部に嵌合されることで形成されることを特徴とする遊技機A8。
ここで、第1ギア部材を板状部に当接させて駆動モータの駆動軸から直接引き抜くためには、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との間で生じる静止摩擦以上の力が必要となり、その静止摩擦以上の力が第1ギア部材に当接される板状部を通して第2ギア部材に付加される。静止摩擦は、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との位相関係を維持するために大きく設定されるので、板状部が変形したり駆動モータに過大な応力が付加されたりする恐れがある。
これに対し、遊技機A8によれば、遊技機A7の奏する効果に加え、駆動モータの駆動軸に固着される軸部の端部に突設ピンが複数突設されると共に回転体部に突設ピンが嵌合される嵌合部が複数形成される。即ち、軸部と回転体部とが複数点で係合されることで、静止摩擦を大きくすることなく、駆動モータの駆動軸と第1ギア部材との位相関係を維持することができる。
そのため、駆動モータと第1ギア部材の回転体部とを分離するために必要な力を小さくできる。よって、第2ギア部材の板状部が変形したり駆動モータに過大な応力が付加されたりすることを防止する事ができる。
なお、嵌合部としては、貫通孔や、有底筒状に形成される窪みが例示される。
遊技機A7又はA8において、前記駆動モータに近接して配設されると共に、その駆動モータのモータケースの側面に沿って前記駆動モータの前記駆動軸の延設方向の反対方向へ延設される規制部を備えることを特徴とする遊技機A9。
遊技機A9によれば、遊技機A7又はA8の奏する効果に加え、駆動モータを第1ギア部材から引き抜く際に、駆動モータの側面に沿って延設される規制部に駆動モータを押し当てながら引き抜くことができる。これにより、駆動モータの軸心が第1ギア部材に対して傾くことを抑制することができ、第1ギア部材が変形することを抑制することができる。
遊技機A9において、前記規制部が前記駆動モータのモータケースを間に挟んで一対で形成され、その一対の規制部の内の一方の規制部の延設端は、前記駆動モータの前記モータケースの端面であって前記駆動軸が配設される端面の反対側の端面より前記駆動軸側に形成されることを特徴とする遊技機A10。
遊技機A10によれば、遊技機A9の奏する効果に加え、一対で形成される規制部の内の一方の規制部の延設端が駆動モータのモータケースの端面よりも駆動軸側に形成されるので、一方の規制部の延設端を駆動モータの引き抜きの支点として有効に利用することができる。即ち、規制部の延設端と駆動モータの側面とは隣接配置されるので、規制部の延設端を支点とすると共に駆動モータの側面を作用点として駆動モータに力を加える場合に支点と作用点との距離を最短とすることができる。それにより、引き抜きに要する力を抑えることができる。
また、一方の規制部の延設端を支点として駆動モータを引き抜く場合に、一方の規制部の反対側の規制部に駆動モータを押し当てながら駆動モータを引き抜くことができる。これにより、駆動モータを引き抜く際に駆動モータが他方のギアに対して傾く傾斜の度合いを抑えることができる。
遊技機A10において、前記一対の規制部の内、前記一方の規制部の反対側の規制部である他方の規制部が、前記一方の規制部の延設端部と同等に張り出すか、又は前記一方の規制部の延設端部よりも前記駆動モータの前記駆動軸の反対側へ張り出して形成されることを特徴とする遊技機A11。
遊技機A11によれば、遊技機A11の奏する効果に加え、駆動モータの引き抜き時に駆動モータが押しつけられる他方の規制部が、少なくとも一方の規制部の延設端部よりも駆動モータの駆動軸の反対側へ張り出して形成される。そのため、一方の規制部の延設端を支点として駆動モータを引き抜く際に作用点が他方の規制部に最も近接される状態(即ち、作用点が駆動モータの駆動軸に垂直な平面であって一方の規制部の延設端を含む平面に配置される状態)において、他方の規制部により駆動モータの移動を防止することができる。
これにより、駆動モータを引き抜く際に駆動モータが一方の規制部から離間する方向へ移動することを確実に防止することができる。
遊技機A7からA11において、前記第1ギア部材を挟んで前記第2ギア部材と対向配置される移動当接部材を備え、その移動当接部材は、前記特定位相位置において前記第1ギア部材の軸心方向視において前記第1ギア部材と間隔を空けて配設され、かつ、前記第2ギア部材の前記板状部が前記第1ギア部材に前記第1ギア部材の軸心方向視において重なる状態の内の少なくとも1の状態において、前記第1ギア部材の軸心方向視において前記第1ギア部材と前記移動当接部材とが重なることを特徴とする遊技機A12。
遊技機A12によれば、遊技機A7からA11の奏する効果に加え、第1ギア部材が第2ギア部材の板状部と、その第2ギア部材と対向配置される移動当接部材とに同時に当接される。これにより、駆動モータから第1ギア部材が引き抜かれる際の第1ギア部材の傾きを抑制することができる。
<噛み合わせ用の始動ギア歯452b1が大型に形成される技術思想の一例>
回転ギアとして形成される主動ギア部材と、その主動ギア部材の回転途中に歯合を開始される従動ギア部材とを備え、それら主動ギア部材および従動ギア部材の少なくとも一方は、歯合開始時に当接される噛み合い歯と、その噛み合い歯が歯合した後の歯合継続時に噛み合う中間歯とを備え、前記噛み合い歯が、前記中間歯に比較して大型に形成されることを特徴とする遊技機B1。
ここで、主動ギア部材(駆動モータで回転される側)の回転途中に主動ギア部材と従動ギア部材(主動ギア部材の回転が伝達される側)との歯合が開始される遊技機がある(例えば特開2013−244210号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時に噛み合う歯は、噛み合いはじめに衝突を受け、破損しやすかった。一方、ギアの歯を大きくすればギア歯の破損防止をすることはできるが、バックラッシが大きくなり、従動ギア部材を滑らかに回転させることが難しくなる。そのため、耐久性と回転の滑らかさの両立を達成することは困難であった。
これに対し、遊技機B1によれば、噛み合い歯が中間歯に比較して大型に形成されるので、主動ギア部材と従動ギア部材との少なくとも一方は歯合開始時に噛み合う噛み合い歯の耐久性が向上され、噛み合い歯の破損を防止することができる。また、中間歯において主動ギア部材と従動ギア部材とのバックラッシを小さくできるので、噛み合い歯が歯合した後で中間歯が歯合される歯合継続時における従動ギア部材の回転を滑らかなものにすることができる。これにより、噛み合い歯の耐久性向上と、従動ギア部材の回転の滑らかさの向上とを両立させることができる。
なお、歯合開始時とは、主動ギア部材または従動ギア部材の少なくとも一方に形成される噛み合い歯が、その一方のギア部材の反対側の他方のギア部材に当接され始める状態を意味する。
また、噛み合い歯を大型に形成するとは、歯幅、歯厚または歯たけの内の少なくとも1つを中間歯に比較して大きく形成することを意味する。
遊技機B1において、前記従動ギア部材の姿勢を保持する保持機構を備えることを特徴とする遊技機B2。
遊技機B2によれば、遊技機B1の奏する効果に加え、従動ギア部材の姿勢を保持する保持機構を備えるため、主動ギア部材に歯合されていない状態における従動ギア部材の姿勢を安定させることができる。
なお、保持機構としては、従動ギア部材を軸方向に挟持して保持する機構や、機械的な位置合わせにより保持を行う機構等が例示される。
遊技機B2において、前記従動ギア部材が前記主動ギア部材から退避する方向に切り欠かれる切り欠き部を備え、その切り欠き部が、前記主動ギア部材の外周に少なくとも2点で当接されることにより、前記保持機構が形成されることを特徴とする遊技機B3。
遊技機B3によれば、遊技機B2の奏する効果に加え、従動ギア部材を保持する保持機構を、主動ギア部材と従動ギア部材との2点での当接で形成することができる。これにより、従動ギア部材の姿勢を保持するための別部材を配設不要とすることができる。
なお、切り欠き部は、主動ギア部材の歯先円に干渉しない形であれば良く、形状は限定されるものではないが、少なくとも、切り欠き部の曲率半径が主動ギア部材の歯先円の半径以下に形成される。
遊技機B3において、前記切り欠き部が、前記主動ギア部材に外接する円弧状の凹部として形成されることを特徴とする遊技機B4。
遊技機B4によれば、遊技機B3の奏する効果に加え、従動ギア部材の切り欠き部が主動ギア部材の外周に面で当接されることで、従動ギア部材の姿勢を保持する効果を向上させることができる。
即ち、従動ギア部材の切り欠き部が主動ギア部材の外周に面で当接されることで、当接時の摩擦力が一箇所に集中することを抑制し、切り欠き部の全体に摩擦力を分散させることができる。これにより、主動ギア部材で従動ギア部材を保持する箇所を増加させ、従動ギア部材の姿勢を維持する効果を向上させることができる。
なお、切り欠き部が主動ギア部材に外接される態様は特に限定されるものではない。即ち、例えば、主動ギア部材の歯先円に外接される態様でも良いし、主動ギア部材にギア歯が省略される面が形成されその省略される面に外接される態様でも良い。
遊技機B4において、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材の前記切り欠き部とは、互いの当接点が前記主動ギア部材の中心軸から前記従動ギア部材の歯底を連ねた面に引かれた垂線の少なくとも両側に形成されることを特徴とする遊技機B5。
遊技機B5によれば、遊技機B4の奏する効果に加え、主動ギア部材と従動ギア部材の切り欠き部との当接点が主動ギア部材の中心軸から従動ギア部材の歯底を連ねた面に引かれた垂線の少なくとも両側に形成されるので、切り欠き部が主動ギア部材に当接されている状態において、従動ギア部材の両方向への回転(移動)を防止することができる。
なお、従動ギア部材としては、回転ギアとして形成される回転ギア部材や、平行移動するギアとして形成されるラックギア等が例示される。
遊技機B2からB5のいずれかにおいて、前記従動ギア部材は、前記噛み合い歯よりも大型に形成される係合突状受け部を備え、その係合突状受け部に前記切り欠き部が形成され、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との歯合は、前記主動ギア部材の前記噛み合い歯と前記係合突状受け部とが当接した後で開始されることを特徴とする遊技機B6。
遊技機B6によれば、遊技機B2からB5のいずれかの奏する効果に加え、係合突状受け部を主動ギア部材に当接される歯の代わりとして利用することで、従動ギア部材の耐久性を向上させることができる。
切り欠き部が形成される係合突状受け部は、本来、主動ギア部材のギア歯と歯合する役割の部分ではなく、主動ギア部材の外周面に当接することで従動ギア部材の姿勢の維持を図る役割の部分である。そのため、ギア歯のように、歯合されるギア歯の大きさに合わせて大きさが制限されるものではない。よって、ギア歯よりも頑丈に形成された係合突状受け部を主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時に当接される部分に使用することで、従動ギア部材の耐久性を向上させることができる。
遊技機B6において、前記主動ギア部材は、前記噛み合い歯に隣接して形成される窪みである窪み部を備え、前記主動ギア部材の前記噛み合い歯が前記係合突状受け部に当接される前に前記係合突状受け部が前記窪み部に進入する態様で前記従動ギア部材が回転されることを特徴とする遊技機B7。
遊技機B7によれば、遊技機B6の奏する効果に加え、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に当接する前に従動ギア部材が回転されるので、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合開始時の衝撃を抑制することができる。
ここで、従動ギア部材が主動ギア部材の外周面に2点で当接されている場合、主動ギア部材が回転しても、従動ギア部材は姿勢が維持される。一方で、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に近接すると、その噛み合い歯に隣接して形成される窪み部が係合突状受け部と対面する。窪み部は係合突状受け部と当接されないので、従動ギア部材の姿勢を維持する効果が解除される。そして、主動ギア部材の外周面と係合突状受け部との間に生じる摩擦力により、従動ギア部材がわずかに回転され、係合突状受け部が窪み部に進入する。これにより、主動ギア部材の噛み合い歯が従動ギア部材の係合突状受け部に当接される前に従動ギア部材が回転を開始するので、主動ギア部材と従動ギア部材とが歯合を開始する際の衝撃を抑制することができる。
<突出ギア部材7452eが二層ギア7452の径方向に移動する技術思想の一例>
駆動力を発生させる駆動源と、その駆動源の駆動力で回転される主動ギア部材と、その主動ギア部材の回転と連動して移動される第1移動部材と、前記主動ギア部材の回転の途中で前記主動ギア部材と連動して移動開始される従動ギア部材と、その従動ギア部材の移動と連動して移動される第2移動部材と、前記主動ギア部材および前記従動ギア部材の連動を開始させる調整装置と、を備え、前記第1移動部材は、移動基端から移動終端までの移動範囲で移動され、前記調整装置により前記従動ギア部材が前記主動ギア部材と連動して移動開始する時における前記第1移動部材の位置を複数形成可能であることを特徴とする遊技機C1。
ここで、パチンコ機等の遊技機において、単一の駆動源の駆動力で移動される第1移動部材と第2移動部材とを備える遊技機がある(例えば特開2009−125092号公報を参照)。しかし、上述した従来の遊技機では、第1移動部材の移動途中の特定の位置における第2移動部材の態様が一通りに限定されるため、演出のバリエーションが少ないという問題点があった。
これに対し、遊技機C1によれば、調整装置により従動ギア部材が主動ギア部材と連動して移動を始める時における第1移動部材の位置を複数形成可能なので、従動ギア部材と連動する第2移動部材が移動を始める時の第1移動部材の位置を複数形成することができる。よって、第1移動部材および第2移動部材の演出のバリエーションを複数形成することができる。
なお、主動ギア部材と連動して従動ギア部材が移動を始める場合としては、主動ギア部材と従動ギア部材とが歯合されることで従動ギア部材が移動される態様や、主動ギア部材と従動ギア部材との間で生じる摩擦で従動ギア部材が移動される態様や、主動ギア部材と従動ギア部材とが磁性体材料から形成され、それら主動ギア部材と従動ギア部材との間で生じる磁力で従動ギア部材が移動される態様等が例示される。
また、調整装置の形成態様としては、主動ギア部材または従動ギア部材の少なくとも一方のギア歯が回転軸から離間する方向に張り出し可能に形成される態様や、主動ギア部材および従動ギア部材の軸間距離を変更可能に形成される態様等が例示される。
遊技機C1において、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との連動は歯合によるものであって、前記調整装置は、前記主動ギア部材に配設されると共に前記主動ギア部材の径方向に移動可能とされる突出部材を備え、その突出部材は、前記従動ギア部材に前記主動ギア部材の回転方向から当接可能な位置まで張り出す張出状態と、前記従動ギア部材に回転方向から当接不能な位置に配置される没入状態と、を形成可能とされ、前記突出部材が前記張出状態を形成しながら前記主動ギア部材が回転する場合に、前記従動ギア部材に前記突出部材が当接され、前記主動ギア部材と前記従動ギア部材との歯合が開始されることを特徴とする遊技機C2。
遊技機C2によれば、遊技機C1の奏する効果に加え、調整装置の突出部材が張出状態となるか、没入状態となるかによって、主動ギア部材と従動ギア部材との連動の仕方を異ならせることができる。
ここで、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合の開始および解除は、主動ギア部材と従動ギア部材との軸間距離を変化させることでも行うことができる。しかしその場合、主動ギア部材と従動ギア部材との歯合抵抗を抑制するために回転軸の平行度を維持したまま回転軸を軸垂直方向に移動させる必要があり、移動の平行度に精度が要求される。そのため、主動ギア部材と従動ギア部材とを移動させる機構が複雑化する恐れがある。
これに対し、遊技機C2では、主動ギア部材が径方向に移動可能に形成される突出部材を備え、その突出部材が張り出す場合(張出状態を形成する場合)に主動ギア部材と従動ギア部材との歯合が開始される。そのため、主動ギア部材と従動ギア部材との回転軸を移動させることは不要であるので回転軸の平行度は保持される。従って、突出部材を移動させる機構に精度が要求されず、突出部材を移動させる機構を単純化できる。
なお、突出部材を張出状態に形成させる方法としては、主動ギア部材を回転させた時に生じる遠心力で突出部材を張り出させる方法や、突出部材の内側にソレノイドが配設されソレノイドの駆動により突出部材を張り出させる方法等が例示される。また、突出部材は一つでも複数でも良い。
遊技機C2において、前記突出部材は、前記主動ギア部材の回転軸側へ向けて生じる付勢力を受けることで少なくとも前記主動ギア部材の静止状態において前記没入状態を形成され、前記主動ギア部材を回転させる回転速度を切り替えることによって前記没入状態と前記張出状態とを切り替え可能に形成されることを特徴とする遊技機C3。
遊技機C3によれば、遊技機C2の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を異ならせることで、突出部材が従動ギア部材と当接する張出状態と、突出部材が従動ギア部材に対して空転する没入状態とを切り替えることができる。
これにより、駆動源の動作速度の制御と突出部材の状態とを連動させることができるので、例えば突出部材をソレノイドで張り出させる場合に比較して、主動ギア部材と従動ギア部材との連動の制御を単純化することができる。
なお、付勢力を生じさせる部材としては、コイルスプリングやねじりバネなどの弾性バネや、伸縮性の十分あるゴム材料からなる部材等が例示される。
また、突出部材は、位相違いで主動ギア部材に複数配設されても良い。この場合、各突出部材の重量や、各突出部材に作用する付勢力を調整することで各突出部材が張り出す量を調整することができる。
遊技機C2又はC3において、前記突出部材は、第1突出部材と、その第1突出部材と位相違いで形成される第2突出部材とを備え、それらの第1突出部材と第2突出部材とは前記主動ギア部材の回転により張り出される量が略同等とされ、前記主動ギア部材は、前記第1突出部材および前記第2突出部材が前記没入状態を形成する第1回転速度と、前記第1突出部材および前記第2突出部材が前記張出状態を形成する第2回転速度とを形成可能とされ、前記主動ギア部材の回転速度を、前記第1回転速度と前記第2回転速度との間で前記主動ギア部材の回転途中に切り替え可能とされることを特徴とする遊技機C4。
遊技機C4によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を回転中に変化させることで、第1突出部材で従動ギア部材に当接され始める位相と、第2突出部材で従動ギア部材に当接され始める位相との少なくとも2種類の位相で主動ギア部材を従動ギア部材に当接させることができる。
即ち、第1回転速度で主動ギア部材を回転させておいて、第1突出部材が従動ギア部材側に位置される直前に主動ギア部材の回転速度を第2回転速度に変更することで、第1突出部材で従動ギア部材との歯合を開始させることができる。また、一方で、第1回転速度で主動ギア部材を回転させておいて、第2突出部材が従動ギア部材側に位置される直前に主動ギア部材の回転速度を第2回転速度に変更することで、第2突出部材で従動ギア部材との歯合を開始させることができる。
換言すると、主動ギア部材の回転速度を上昇させるタイミングを任意に選択することで、突出部材の張出、没入のタイミングを任意に選択することができる。即ち、第1移動部材の移動開始時の移動速度が同じでも、第1移動部材の移動速度を上昇させるタイミングによって第2移動部材を移動させるタイミングを変化させることができる。これにより、第1移動部材の移動開始時の速度を確認するだけでその後の演出を予想することを困難とでき、第1移動部材および第2移動部材の動作の注目度を向上させることができる。従って、第1移動部材および第2移動部材の演出効果を向上させることができる。
なお、第1突出部材と第2突出部材とが略同等な張出量で張り出す場合としては、第1突出部材と第2突出部材との質量が同等とされると共にそれぞれに作用される付勢力が同等とされる場合や、第1突出部材と第2突出部材との質量は異なるため主動ギア部材の回転により生じる径方向外向きの力は異なるが、その違いを解消する態様で各突出部材に作用される付勢力が変化される場合等が例示される。例えば、付勢力が弾性バネにより生じる場合には、第1突出部材に付勢力を与える弾性バネと第2突出部材に付勢力を与える弾性バネとのバネ定数を変化させることが例示される。
遊技機C2又はC3において、前記突出部材は、第1突出部材と、その第1突出部材と位相違いで形成されると共に前記主動ギア部材の回転途中で前記第1突出部材が前記従動ギア部材に近接した後で前記従動ギア部材に近接する第2突出部材と、を備え、それらの第1突出部材と第2突出部材とは前記主動ギア部材の回転により張り出される張出量が異なって形成され、前記主動ギア部材は、前記突出部材のうち、前記第1突出部材は没入状態を形成すると共に前記第2突出部材は前記張出状態を形成する分離回転速度と、前記第1突出部材および前記第2突出部材の双方が前記張出状態を形成する共同回転速度と、を形成可能とされることを特徴とする遊技機C5。
遊技機C5によれば、遊技機C2又はC3の奏する効果に加え、主動ギア部材の回転速度を回転中に変化させずに、第1突出部材で従動ギア部材に当接させる状態と、第2突出部材で従動ギア部材に当接させる状態とを形成することができる。
即ち、分離回転速度で主動ギア部材が定速回転されることで主動ギア部材は従動ギア部材に第2突出部材で歯合開始される。一方で、共同回転速度で主動ギア部材が回転されることで主動ギア部材は従動ギア部材に第1突出部材で歯合開始される。
即ち、第2移動部材が移動開始する時における第1移動部材の位置を変化させるために、駆動源の回転速度を主動ギア部材の回転途中に変化させる必要が無いので、駆動源の制御を単純化することができる。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機D1。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の動的表示が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備えた遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機であることを特徴とする遊技機D2。中でも、パチンコ遊技機の基本構成としては操作ハンドルを備え、その操作ハンドルの操作に応じて球を所定の遊技領域へ発射し、球が遊技領域内の所定の位置に配設された作動口に入賞(又は作動口を通過)することを必要条件として、表示手段において動的表示されている識別情報が所定時間後に確定停止されるものが挙げられる。また、特別遊技状態の発生時には、遊技領域内の所定の位置に配設された可変入賞装置(特定入賞口)が所定の態様で開放されて球を入賞可能とし、その入賞個数に応じた有価価値(景品球のみならず、磁気カードへ書き込まれるデータ等も含む)が付与されるものが挙げられる。
遊技機A1からA12,B1からB7,C1からC5のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機D3。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を動的表示した後に識別情報を確定表示する可変表示手段を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の動的表示が停止され、その停止時の確定識別情報が特定識別情報であることを必要条件として、遊技者に有利な特別遊技状態を発生させる特別遊技状態発生手段とを備え、遊技媒体として球を使用すると共に、前記識別情報の動的表示の開始に際しては所定数の球を必要とし、特別遊技状態の発生に際しては多くの球が払い出されるように構成されている遊技機」となる。
<その他>
<手段>
技術的思想1記載の遊技機は、ベース部材に支持され側面にギア歯が刻設されると共に互いに歯合される第1ギア部材および第2ギア部材を備え、少なくとも前記第1ギア部材は回転ギアから形成され、前記第2ギア部材は、前記ギア歯の側面に覆設される板状部を備え、その板状部が、前記第1ギア部材の回転軸方向視において前記第1ギア部材の前記ギア歯であって前記第2ギア部材と歯合している前記ギア歯に重なり可能に形成される遊技機であって、前記板状部は、前記第2ギア部材のギア歯の歯先側から歯底側へえぐられて形成される切り欠き部を備え、前記切り欠き部と前記第1ギア部材とが所定位置に配置されることで、少なくとも前記第1ギア部材と前記板状部とが前記第1ギア部材の回転軸方向視で間隔を空けて視認される特定位相位置を形成可能である。
技術的思想2記載の遊技機は、技術的思想1記載の遊技機において、前記切り欠き部は、前記第2ギア部材の歯先側において、その第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った形成幅が、前記第2ギア部材の歯先を連ねた外形と前記第1ギア部材の歯先円とが交差する点間の前記第2ギア部材の前記ギア歯の連設方向に沿った距離と、同等か若干大きく設定される。
技術的思想3記載の遊技機は、技術的思想1又は2に記載の遊技機において、前記切り欠き部は、前記第1ギア部材と同軸に形成される円であってその第1ギア部材の歯先円より若干大きな直径に形成される円を、前記第1ギア部材の回転軸方向から前記板状部に投影した場合に重なる形状で形成される。
<効果>
技術的思想1記載の遊技機によれば、遊技機のメンテナンス性を良好にすることができる。
技術的思想2記載の遊技機によれば、技術的思想1記載の遊技機の奏する効果に加え、切り欠き部が駆動時のギアに及ぼす影響を最小限とすることができる。
技術的思想3記載の遊技機によれば、技術的思想1又は2に記載の遊技機の奏する効果に加え、板状部の剛性を確保することができる。