JP6411776B2 - 磁気共鳴装置 - Google Patents

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Description

本発明は、スペクトルを作成する磁気共鳴装置に関する。
近年、人体の関心部位に含まれる代謝物を測定する方法として、代謝物の情報を含むスペクトルを計測するMRスペクトロスコピー(MRSpectroscopy)法が知られている(特許文献1参照)。
特開2014−004012号公報
MRスペクトロスコピー法の一例として、複数のコイルエレメントを有するコイルを用いてMR信号を収集するためのスキャンを実行し、収集したMR信号に基づいて、代謝物の情報を含むスペクトルを作成する方法が知られている。以下に、この方法の一例について説明する。
先ず、スキャンが行われる部位(関心部位)を設定する。
図49に、設定された関心部位を概略的に示す。図49では、被検体の頭部に、4つの領域V1〜V4を有する関心部位が設定された例が示されている。また、図49では、MR信号を収集するための複数のコイルエレメントも概略的に示されている。ここでは、簡単のため、2つのコイルエレメント4aおよび4bのみが示されている。
関心部位を設定した後、水信号を抑制するためのRFパルス(例えば、CHESSパルス)を含むシーケンスを実行し、コイルエレメント4aおよび4bを用いてMR信号を収集する。そして、収集したMR信号を用いて、コイルエレメントごとに、各領域におけるスペクトルを作成する。図50に、作成されたスペクトルを概略的に示す。図50(a)は、コイルエレメント4aが受信したMR信号に基づいて作成されたスペクトルA1〜A4を示す。図50(b)は、コイルエレメント4bが受信したMR信号に基づいて作成されたスペクトルB1〜B4を示す。水信号を抑制するためのRFパルスを含むシーケンスが実行されているので、図50のスペクトルは、水のピークが低減されている。したがって、代謝物のピークを含むスペクトルを得ることができる。
コイルエレメントごとにスペクトルを得た後、これらのスペクトルを合成する。図51にスペクトルの合成方法の一例を示す。
先ず、コイルエレメント4aにより得られた領域V1のスペクトルA1から、所定の代謝物(例えば、NAA、Cho、Cre)のピーク値QaおよびノイズNaを求め、ノイズで正規化された代謝物のピーク値Qa/Naを、スペクトルA1に乗算する。これにより、スペクトルの強度が増幅されたスペクトルMAが得られる。
次に、コイルエレメント4bにより得られた領域V1のスペクトルB1から、所定の代謝物(例えば、NAA、Cho、Cre)のピーク値QbおよびノイズNbを求め、ノイズで正規化された代謝物のピーク値Qb/Nbを、スペクトルB1に乗算する。これにより、スペクトルの強度が増幅されたスペクトルMBが得られる。
スペクトルMAおよびMBを得た後、スペクトルMAおよびMBを加算することにより、領域V1の合成スペクトルM1を得ることができる。
図51では、領域V1における合成スペクトルの作成方法について示したが、他の領域V2、V3、およびV4についても、同様の方法で、合成スペクトルを作成することができる。
しかし、一般的に、代謝物は濃度が低いので、代謝物のピーク値はあまり大きくならない。したがって、上記の方法では、SN比の大きい合成スペクトルを得ることが難しいという問題がある。
したがって、SN比の大きい合成スペクトルを容易に得ることができる技術が望まれている。
本発明の第1の観点は、水および代謝物を含む関心部位からMR信号を発生させるためのシーケンスを実行するスキャン手段であって、前記関心部位に含まれる水の信号を抑制するためのRFパルスを含む第1のシーケンスと、前記RFパルスを含まない第2のシーケンスとを実行するスキャン手段と、
前記第1のシーケンスにより発生した第1のMR信号と、前記第2のシーケンスにより発生した第2のMR信号とを受信する複数のコイルエレメントを備えたコイルと、
各コイルエレメントで受信された第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記代謝物のピークを含む第1のスペクトルを生成するとともに、各コイルエレメントで受信された第2のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記水のピークを含む第2のスペクトルを生成するスペクトル生成手段と、
前記第2のスペクトルの水のピークの特性値に基づいて、前記コイルエレメントごとに得られた前記第1のスペクトルの強度を調整するための係数を算出する係数算出手段と、
前記係数を用いて前記第1のスペクトルの各々の強度を調整し、強度が調整された前記第1のスペクトルを合成する合成手段と、
を有する、磁気共鳴装置である。
本発明の第2の観点は、水および代謝物を含む関心部位からMR信号を発生させるためのシーケンスを実行するスキャン手段であって、前記関心部位に含まれる水の信号を抑制するためのRFパルスを含む第1のシーケンスと、前記RFパルスを含まない第2のシーケンスとを実行するスキャン手段と、
前記第1のシーケンスにより発生した第1のMR信号と、前記第2のシーケンスにより発生した第2のMR信号とを受信する複数のコイルエレメントを備えたコイルと、
各コイルエレメントで受信された第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記代謝物のピークを含む第1のスペクトルを生成するとともに、各コイルエレメントで受信された第2のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記水のピークを含む第2のスペクトルを生成するスペクトル生成手段と、
を有する磁気共鳴装置に適用されるプログラムであって、
前記第2のスペクトルの水のピークの特性値に基づいて、前記コイルエレメントごとに得られた前記第1のスペクトルの強度を調整するための係数を算出する係数算出処理と、
前記係数を用いて前記第1のスペクトルの各々の強度を調整し、強度が調整された前記第1のスペクトルを合成する合成処理と、
をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
第2のスペクトルの水のピーク値の特性値に基づいて算出した係数を用いて第1のスペクトルを合成するので、SN比の大きい合成スペクトルを得ることができる。
本発明の第1の形態の磁気共鳴装置の概略図である。 受信コイル4の説明図である。 プロセッサ9が実行する処理を示す図である。 第1の形態で実行されるスキャンの説明図である。 MR装置の動作フローを示す図である。 ローカライザスキャンA0により得られた画像の一例を示す図である。 オペレータが設定した関心部位VOIの一例を示す図である。 CSIスキャンA1で実行されるシーケンスa1を示す図である。 CSIスキャンA1で実行されるシーケンスa2を示す図である。 CSIスキャンA1で実行されるシーケンスa3を示す図である。 CSIスキャンA1で実行されるシーケンスa4を示す図である。 シーケンスa1〜a4を実行することにより得られたMR信号を概略的に示す図である。 MR信号S1〜S4が受信コイル4で受信され、受信器で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。 MR信号S1、S2、S3、およびS4から得られた受信データを概略的に示す図である。 MRSスキャンA2で実行されるシーケンスの一例を示す図である。 MR信号S5が受信コイル4で受信され、受信器で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。 受信データをスペクトルに変換するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルを示す図である。 スペクトルを概略的に示す図である。 ピーク値PaおよびPbを示す図である。 ノイズNaおよびNbを示す図である。 水のピーク値をノイズで正規化するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。 スペクトルを加算するときの説明図である。 第2の形態においてプロセッサ9が実行する処理を示す図である。 第2の形態におけるMR装置の動作フローを示す図である。 位相を算出するときの説明図である。 位相データSP5aに基づいて、コイルエレメント4aにより得られた受信データS1a〜S4aの位相を補正するときの説明図である。 位相データSP5bに基づいて、コイルエレメント4bにより得られた受信データS1b〜S4bの位相を補正するときの説明図である。 スペクトルを概略的に示す図である。 位相補正後の代謝物スペクトルM1a〜M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルM1b〜M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。 スペクトルを加算するときの説明図である。 第3の形態で実行されるスキャンの説明図である。 第3の形態においてプロセッサ9が実行する処理を示す図である。 第3の形態におけるMR装置の動作フローを示す図である。 MRSスキャンA3で実行されるパルスシーケンスの一例を示す図である。 MR信号S6が受信コイル4で受信され、受信器で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。 スペクトルを概略的に示す図である。 差分スペクトルWa_difを示す図である。 差分スペクトルWb_difを示す図である。 ピーク値PaおよびPbを示す図である。 ノイズNaおよびNbを示す図である。 水のピーク値をノイズで正規化するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。 位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。 実測により得られたスペクトルを示す図である。 設定された関心部位を概略的に示す図である。 作成されたスペクトルを概略的に示す図である。 スペクトルの合成方法を示す図である。
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
(1)第1の形態
図1は、本発明の第1の形態の磁気共鳴装置の概略図である。
磁気共鳴装置(以下、「MR装置」と呼ぶ)100は、マグネット2、テーブル3、受信RFコイル(以下、「受信コイル」と呼ぶ)4などを有している。
マグネット2は、被検体13が収容されるボア21を有している。また、マグネット2には、静磁場を発生させるための超伝導コイル、勾配パルスを印加するための勾配コイル、およびRFパルスを送信するとともにMR信号を受信するための送受信コイルなどが内蔵されている。
テーブル3は、被検体13を支持するクレードル3aを有している。クレードル3aは、ボア21内に移動できるように構成されている。クレードル3aによって、被検体13はボア21に搬送される。
受信コイル4は、被検体13からの磁気共鳴信号を受信する。
図2は、受信コイル4の説明図である。図2(a)は、受信コイル4の斜視図、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図である。
受信コイル4は、被検体からの磁気共鳴信号を受信するためのn個のコイルエレメントを有している。本形態では、説明の便宜上、n=2、すなわち、受信コイル4は2つのコイルエレメント4aおよび4bを有する例が示されている。
図1に戻って説明を続ける。
MR装置100は、更に、送信器5、勾配磁場電源6、受信器7、コンピュータ8、操作部11、および表示部12などを有している。
送信器5は、マグネット2に備えられた送受信コイルに電流を供給する。勾配磁場電源6はマグネット2に備えられた勾配コイルに電流を供給する。受信器7は、受信コイル4が受信した信号に対して、検波などの信号処理を行う。MR装置100は、複数個の受信器7を有しているが、図1では、1個の受信器7のみが示されている。尚、マグネット2、送信器5、勾配磁場電源6を合わせたものがスキャン手段に相当する。また、受信器7は、データ生成手段に相当する。
コンピュータ8は、表示部12に必要な情報を伝送したり、画像を再構成するなど、MR装置100の各種の動作を実現するように、MR装置100の各部の動作を制御する。コンピュータ8は、プロセッサ9およびメモリ10などを有している。
メモリ10には、プロセッサ9により実行されるプログラムなどが記憶されている。プロセッサ9は、メモリ10に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに記述されている処理を実行する。図3に、プロセッサ9が実行する処理を示す。プロセッサ9は、メモリ10に記憶されているプログラムを読み出すことにより、スペクトル作成手段91〜画像作成手段94などを構成する。
スペクトル作成手段91は、受信器7から得られたデータに基づいて、スペクトルを作成する。スペクトル作成手段91は、変換手段91aおよび補正手段91bを有している。変換手段91aは、受信器7から得られたデータをスペクトルに変換する。補正手段91bは、変換手段91aにより得られたスペクトルの位相を補正する。
係数算出手段92は、スペクトルの強度を調整するための係数を算出する。
合成手段93は、係数算出手段92により算出された係数を用いてスペクトルの強度を調整し、強度が調整されたスペクトルを合成する。
画像作成手段94は、合成手段93により合成されたスペクトルに基づいて画像を作成する。
尚、受信器7およびスペクトル作成手段91を合わせたものが、スペクトル生成手段に相当する。
図1に戻って説明を続ける。
操作部11は、オペレータにより操作され、種々の情報をコンピュータ8に入力する。表示部12は種々の情報を表示する。
MR装置100は、上記のように構成されている。
次に、被検体13を撮影するときに実行されるスキャンについて説明する。
図4は、第1の形態で実行されるスキャンの説明図である。
第1の形態では、ローカライザスキャンA0、CSI(Chemical Shift Imaging)スキャンA1、およびMRS(Magnetic Resonance Spectroscopy)スキャンA2が実行される。
ローカライザスキャンA0では、関心部位VOI(後述する図7参照)を設定するときに使用される画像を取得するためのシーケンスが実行される。
CSIスキャンA1では、水の信号を抑制するためのRFパルスを含むシーケンスが実行される。
MRSスキャンA2では、水の信号を抑制するためのRFパルスを含まないシーケンスが実行される。
第1の形態では、図4に示すスキャンを実行し、CSI画像を作成する。以下に、図4に示すスキャンを実行しCSI画像を作成するときのMR装置の動作フローについて説明する。
図5はMR装置の動作フローを示す図である。
ステップST1では、ローカライザスキャンA0を実行する。図6に、ローカライザスキャンA0により得られた画像の一例を示す。オペレータは、ローカライザスキャンA0により得られた画像に基づいて、CSIスキャンA1を実行するときの関心部位VOIを設定する(図7参照)。
図7は、オペレータが設定した関心部位VOIの一例を示す図である。図7では、説明の便宜上、4つの領域V1〜V4を有する関心部位VOIが設定されたとする。関心部位VOIを設定した後、ステップST2に進む。
ステップST2では、CSIスキャンA1およびMRSスキャンA2が実行される。以下、CSIスキャンA1およびMRSスキャンA2について順に説明する。
(1)CSIスキャンA1について
図8は、CSIスキャンA1で実行されるパルスシーケンスの一例を示す図である。
CSIスキャンA1は、関心部位VOIからMR信号を発生させるためのシーケンスがn回実行される。第1の形態では、関心部位VOIは、4つの領域V1〜V4を有しているので、n=4、すなわち、シーケンスが4回実行される。図8では、実行される4回のシーケンスを、符号a1、a2、a3、およびa4で示してある。また、図8には、シーケンスa1の具体例が示されている。シーケンスa1は、水信号を抑制するためのCHESS(Chemical Shift Selective)パルスを有する水抑制部p1と、関心部位VOIからMR信号S1を収集するためのデータ収集部p2を有している。シーケンスa1を実行することにより、MR信号S1が得られる。
データ収集部p2は、RFパルスとして、90°パルスと2つの180°パルスとを有している。これらのRFパルスの中心周波数は、水の共鳴周波数に設定されている。また、データ収集部p2は、x軸に印加される位相エンコード勾配パルスPxと、y軸に印加される位相エンコード勾配パルスPyとを有している。位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度をxとし、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度をyとすると、シーケンスa1では、(x,y)=(x1,y1)に設定されている。
シーケンスa1を実行した後、シーケンスa2、a3、a4が順に実行される。シーケンスa2、a3、およびa4は、位相エンコード勾配パルスの磁場強度を除いて、シーケンスa1と同じである。図9、図10、図11に、それぞれ、シーケンスa2、a3、およびa4を示す。
シーケンスa2(図9参照)では、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度xは、x=x1に設定されており、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度yは、y=y2(<y1)に設定されている。したがって、(x,y)=(x1,y2)である。シーケンスa2は、シーケンスa1と比較すると、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度が異なっているが、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度は同じである。シーケンスa2を実行することにより、MR信号S2が得られる。
シーケンスa3(図10参照)では、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度xは、x=x2(<x1)に設定されており、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度yは、y=y1に設定されている。したがって、(x,y)=(x2,y1)である。シーケンスa3は、シーケンスa1と比較すると、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度が異なっているが、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度は同じである。シーケンスa3を実行することにより、MR信号S3が得られる。
シーケンスa4(図11参照)では、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度xは、x=x2(<x1)に設定されており、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度yは、y=y2(<y1)に設定されている。したがって、(x,y)=(x2,y2)である。シーケンスa4は、シーケンスa1と比較すると、位相エンコード勾配パルスPxの磁場強度が異なっており、また、位相エンコード勾配パルスPyの磁場強度も異なっている。シーケンスa4を実行することにより、MR信号S4が得られる。
したがって、CSIスキャンA1のシーケンスa1〜a4を実行することにより、MR信号S1〜S4が得られる。図12に、シーケンスa1〜a4を実行することにより得られたMR信号を概略的に示す。これらのMR信号S1〜S4は受信コイル4で受信され、受信器7で信号処理される(図13参照)。
図13は、MR信号S1〜S4が受信コイル4で受信され、受信器7で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。
CSIスキャンA1のシーケンスa1により得られたMR信号S1は、受信コイル4で受信され、受信器7で信号処理(例えば、検波)される。受信コイル4は、2つのコイルエレメント4a及び4bを有しているので、コイルエレメントごとにMR信号S1が受信される。各コイルエレメント4a,4bはMR信号S1を電気信号Sa,Sbに変換し、受信器7に供給する。受信器7は、各コイルエレメントから受け取った電気信号Sa,Sbに対して、検波などの信号処理を行う。したがって、一方の受信器7は、コイルエレメント4aによって得られた受信データS1aを出力し、他方の受信器7は、コイルエレメント4bにより得られた受信データS1bを出力する。受信データS1aは、コイルエレメント4aで受信されたMR信号S1の振幅と位相の情報を含んでおり、一方、受信データS1bは、コイルエレメント4bで受信されたMR信号S1の振幅と位相の情報を含んでいる。
図13では、MR信号S1から得られた受信データS1a,S1bを示したが、他のシーケンスa2、a3、およびa4により得られたMR信号S2、S3、およびS4についても、MR信号S1と同じ処理が実行される。したがって、MR信号S2、S3、およびS4についても、2つの受信データが得られる。
図14に、MR信号S1、S2、S3、およびS4から得られた受信データを概略的に示す。受信データS1a、S2a、S3a、およびS4aは、コイルエレメント4aにより得られた受信データであり、一方、受信データS1b、S2b、S3b、およびS4bは、コイルエレメント4bにより得られた受信データである。これらの受信データは、プロセッサ9(図1参照)に伝送される。
次に、MRSスキャンA2について説明する。
(2)MRSスキャンA2について
図15は、MRSスキャンA2で実行されるシーケンスの一例を示す図である。
MRSスキャンA2は、関心部位VOIを一つの領域(シングルボクセル)と見なして、関心部位VOIからMR信号を発生させるためのスキャンである。MRSスキャンA2では、関心部位VOIからMR信号を発生させるためのシーケンスbが1回実行される。シーケンスbは、CHESSパルスを備えていない点を除いて、図8に示すシーケンスa1と同じである。
MRSスキャンA2を実行することにより、MR信号S5が得られる。MR信号S5は、受信コイル4で受信され、受信器で信号処理される(図16参照)。
図16は、MR信号S5が受信コイル4で受信され、受信器で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。
MRSスキャンA2のシーケンスbにより得られたMR信号S5は、受信コイル4で受信され、受信器7で信号処理(例えば、検波)される。受信コイル4は、2つのコイルエレメント4a及び4bを有しているので、コイルエレメントごとにMR信号S5が受信される。各コイルエレメント4a,4bはMR信号S5を電気信号Sa,Sbに変換し、受信器7に供給する。受信器7は、各コイルエレメントから受け取った電気信号Sa,Sbに対して、検波などの信号処理を行う。したがって、一方の受信器7は、コイルエレメント4aによって得られた受信データS5aを出力し、他方の受信器7は、コイルエレメント4bにより得られた受信データS5bを出力する。受信データS5aおよびS5bは、プロセッサ9(図1参照)に伝送される。
したがって、CSIスキャンA1を実行することにより、受信データS1a〜S4aおよびS1b〜S4b(図14参照)を得ることができ、MRSスキャンA2を実行することにより、受信データS5aおよびS5b(図16参照)を得ることができる。CSIスキャンA1およびMRSスキャンA2を実行した後、ステップST3に進む。
ステップST3では、スペクトル作成手段91(図3参照)が、CSIスキャンA1により得られた受信データ(図14参照)に基づいて、関心部位VOIの各領域におけるスペクトルを作成する。ステップST3は、ステップST31およびST32を有している。以下、ステップST31およびST32について順に説明する。
ステップST31では、変換手段91a(図3参照)が、受信データをスペクトルに変換する(図17参照)。
図17は、受信データをスペクトルに変換するときの説明図である。
変換手段91aは、フーリエ変換を用いて、コイルエレメントごとに得られた受信データをスペクトルに変換する。
図17(a)は、コイルエレメント4aによる受信データS1a、S2a、S3a、およびS4aから得られたスペクトルM1a、M2a、M3a、およびM4aを示す。一方、図17(b)は、コイルエレメント4bによる受信データS1b、S2b、S3b、およびS4bから得られたスペクトルM1b、M2b、M3b、およびM4bを示す。CSIスキャンA1では、水抑制を行うためのCHESSパルスが使用されているので(図8参照)、スペクトルM1a〜M4aおよびM1b〜M4bは、水のピークが抑制されている。また、スペクトルM1a〜M4aおよびM1b〜M4bは、水のピークが抑制されているので、水よりも濃度の小さい代謝物のピークを得ることができる。したがって、CSIスキャンA1を実行することにより、代謝物のピークを含むスペクトル(以下、「代謝物スペクトル」と呼ぶ)M1a〜M4aおよびM1b〜M4bが得られる。
代謝物スペクトルを得た後、ステップST32に進む。
ステップST32では、補正手段91b(図3参照)が、図17に示す代謝物スペクトルM1a〜M4aおよびM1b〜M4bの位相を補正する。図18に、位相補正後の代謝物スペクトルを示す。
図18(a1)は位相補正前の代謝物スペクトルM1a〜M4aを示し、図18(a2)は、代謝物スペクトルM1a〜M4aを位相補正することにより得られた代謝物スペクトルを示す。図18(a2)では、位相補正後の代謝物スペクトルには、符号「P−M1a」、「P−M2a」、「P−M3a」、および「P−M4a」が付されている。
一方、図18(b1)は位相補正前の代謝物スペクトルM1b〜M4bを示し、図18(b2)は、代謝物スペクトルM1b〜M4bを位相補正することにより得られた代謝物スペクトルを示す。図18(b2)では、位相補正後の代謝物スペクトルには、符号「P−M1b」、「P−M2b」、「P−M3b」、および「P−M4b」が付されている。
位相補正では、例えば、0次の位相補正および1次の位相補正を行うことができる。
位相補正を行った後、ステップST4に進む。
ステップST4では、変換手段91aが、MRSスキャンA2により得られた受信データS5aおよびS5b(図16参照)をスペクトルに変換する。変換手段91aは、フーリエ変換を用いて、受信データS5aおよびS5bをスペクトルに変換する。図19に、スペクトルを概略的に示す。図19(a)は、コイルエレメント4aによる受信データS5aから得られたスペクトルWaを示す。一方、図19(b)は、コイルエレメント4bによる受信データS5bから得られたスペクトルWbを示す。MRSスキャンA2では、水抑制を行うためのCHESSパルスが使用されていないので(図15参照)、スペクトルWaおよびWbは、大きい水のピークを有している。したがって、MRSスキャンA2を実行することにより、水のピークを含むスペクトル(以下、「水スペクトル」と呼ぶ)WaおよびWbを作成することができる。
水スペクトルWaおよびWbを作成した後、ステップST5に進む。
ステップST5では、係数算出手段92(図3参照)が、水スペクトルWaおよびWbに基づいて、後述するステップST6においてスペクトルを合成するときに使用する係数を求める。以下、係数の求め方について説明する。尚、ステップST5は、ステップST51〜ST53を有しているので、各ステップについて順に説明する。
ステップST51では、係数算出手段92が、水スペクトルWaおよびWbに現れる水のピークの特性値を求める。水のピークの特性値とは、水のピークの大きさを表す値であり、例えば、水のピークのピーク値や、水のピークの面積である。本形態では、水のピークの特性値として、水のピークのピーク値を求める。図20に、水スペクトルWaに現れる水のピークのピーク値Paと、水スペクトルWbに現れる水のピークのピーク値Pbとを概略的に示す。ピーク値PaおよびPbを求めた後、ステップST52に進む。
ステップST52では、係数算出手段92が、水スペクトルWaおよびWbのノイズを求める。図21に、求められたノイズNaおよびNbを示す。ノイズNaおよびNbは、例えば、水のピークから離れた周波数範囲の信号値を平均することにより求めることができる。ノイズNaおよびNbを求めた後、ステップST53に進む。
ステップST53では、係数算出手段92が、水のピーク値PaおよびPbをノイズNaおよびNbで正規化する。図22は、水のピーク値をノイズで正規化するときの説明図である。係数算出手段92は、先ず、水のピーク値PaをノイズNaで除算する。これにより、ノイズで正規化されたピーク値Pa/Naを求めることができる。また、係数算出手段92は、水のピーク値PbをノイズNbで除算する。これにより、水のピーク値PbがノイズNbで正規化されたピーク値Pb/Nbを求めることができる。正規化されたピーク値Pa/NaおよびPb/Nbが、ステップST6においてスペクトルを合成するときの係数として用いられる。係数Pa/NaおよびPb/Nbを求めた後、ステップST6に進む。
ステップST6では、合成手段93(図3参照)が、係数Pa/NaおよびPb/Nbに基づいて、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4a(図18(a2)参照)と、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4b(図18(b2)参照)とを合成する。以下に、合成方法について説明する。
先ず、合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算する(図23参照)。
図23は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。
合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算する。これにより、Pa/Naの値に応じて、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図23では、代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに係数Pa/Naを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを、符号MA1〜MA4で示してある。
次に、合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算する(図24参照)。
図24は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。
合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算する。これにより、Pb/Nbの値に応じて、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図24では、代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに係数Pb/Nbを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを、符号MB1〜MB4で示してある。
次に、合成手段93は、代謝物スペクトルMA1〜MA4(図23参照)と代謝物スペクトルMB1〜MB4(図24参照)とを加算する。図25は、スペクトルを加算するときの説明図である。合成手段93は、領域V1〜V4ごとにスペクトルを加算する。これにより、領域V1〜V4ごとに合成スペクトルM1〜M4を得ることができる。
第1の形態では、ステップST5において、水スペクトルWaおよびWbから水のピーク値PaおよびPbを検出し、水のピーク値をノイズで正規化することにより、代謝物スペクトルの強度を調整するための係数Pa/NaおよびPb/Nbを求めている。水は代謝物よりも濃度がかなり大きいので、水のピーク値は代謝物のピーク値よりもかなり大きくなる。したがって、係数Pa/Naを用いて代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aの強度を調整するとともに、係数Pb/Nbを用いて代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bの強度を調整し、強度が調整された代謝物スペクトルを加算することにより、SN比の大きい合成スペクトルM1〜M4を得ることができる。
スペクトルを合成した後、ステップST7に進む。
ステップST7では、画像作成手段94(図3参照)は、合成スペクトルに現れているピークを検出し、ピーク値を求める。そして、画像作成手段94は、ピーク値に基づいて、代謝物ごとにCSI画像を作成する。CSI画像を作成したら、フローを終了する。
第1の形態では、水のピーク値を用いて求めた係数Pa/NaおよびPb/Nbで代謝物スペクトルの強度を調整し、強度が調整された後のスペクトルを加算するので、SN比の大きい合成スペクトルを得ることができる。
尚、生体内に高濃度で含まれている物質として、水の他に、脂質がある。したがって、水スペクトルに、脂質のピークが含まれている場合は、水のピーク値の代わりに、脂質のピーク値を検出し、ノイズで正規化された脂質のピーク値を用いて代謝物スペクトルを合成することも考えられる。しかし、代謝物は、一般的に、細胞膜近傍の束縛水からの信号であるので、代謝物の濃度分布は、脂質よりも水の濃度分布に近いと推定することができる。したがって、脂質のピーク値よりも水のピーク値を用いた方が、代謝物の濃度分布を反映した合成スペクトルを得ることができるので、水のピーク値を検出することが望ましい。
(2)第2の形態
第2の形態では、第1の形態と同様に、図4に示すスキャンを実行し、CSI画像を作成する。尚、第2の形態のMR装置の構成は、第1の形態のMR装置と比較すると、プロセッサ9が実行する処理が異なるが、プロセッサ9以外の部分は、第1の形態のMR装置と同じ構成である。したがって、第2のMR装置の説明にあたっては、プロセッサ9について主に説明する。
図26は、第2の形態においてプロセッサ9が実行する処理を示す図である。プロセッサ9は、メモリ10に記憶されているプログラムを読み出すことにより、スペクトル作成手段911〜画像作成手段915などを構成する。
スペクトル作成手段911は、受信器7から得られたデータに基づいて、スペクトルを作成する。スペクトル作成手段911は、位相算出手段911a、補正手段911b、および変換手段911cを有している。
位相算出手段911aは、MRSスキャンA2により得られた受信データS5aおよびS5bに基づいて、MR信号の位相を算出する(後述する図28参照)。補正手段911bは、位相算出手段911aにより算出された位相に基づいて、CSIスキャンA1により得られた受信データの位相を補正する(後述する図29および図30参照)。変換手段911cは、補正手段911bにより得られた位相補正後のデータを、スペクトルに変換する。
係数算出手段912は、スペクトルの強度を調整するための係数を算出する。
合成手段913は、係数算出手段912により算出された係数を用いてスペクトルの強度を調整し、強度が調整されたスペクトルを合成する。
補正手段914は、合成手段913により得られた合成スペクトルの位相を補正する。
画像作成手段915は、補正手段914により得られた位相補正後のスペクトルに基づいて画像を作成する。
第2の形態のプロセッサ9は、上記のように構成されている。
次に、第2の形態において、図4に示すスキャンを実行しCSI画像を作成するときのMR装置の動作フローについて説明する。
図27は、第2の形態におけるMR装置の動作フローを示す図である。
ステップST1およびST2は、第1の形態と同じであるので、説明は省略する。ステップST2においてCSIスキャンA1およびMRSスキャンA2を実行した後、ステップST21に進む。
ステップST21では、位相算出手段911a(図26参照)が、MRSスキャンA2により得られた受信データS5aおよびS5b(図16参照)に基づいて、MR信号S5の位相を算出する。図28は、位相を算出するときの説明図である。位相算出手段911aは、受信データS5aからMR信号S5の位相情報を検出し、各時刻における位相を算出する。したがって、受信データS5aから、MR信号の位相の時間変化を表す位相データSP5aを得ることができる。また、位相算出手段911aは、受信データS5bからMR信号S5の位相情報を検出し、各時刻における位相を算出する。したがって、受信データS5bから、MR信号の位相の時間変化を表す位相データSP5bを得ることができる。位相データSP5aおよびSP5bを求めた後、ステップST22に進む。
ステップST22では、補正手段911b(図26参照)が、ステップST21で求めた位相データSP5aおよびSP5bに基づいて、CSIスキャンにより得られた受信データS1a〜S4aおよびS1b〜S4b(図14参照)の位相を補正する。位相データSP5aは、コイルエレメント4aにより得られた受信データS1a〜S4aの位相を補正するために使用される。一方、位相データSP5bは、コイルエレメント4bにより得られた受信データS1b〜S4bの位相を補正するために使用される。以下、補正方法について図29および図30を参照しながら説明する。
図29は、位相データSP5aに基づいて、コイルエレメント4aにより得られた受信データS1a〜S4aの位相を補正するときの説明図である。
補正手段911bは、先ず、受信データS1aの各時刻における位相を求める。次に、受信データS1aの各時刻における位相を、位相データSP5aの各時刻における位相で補正する。具体的には、受信データS1aの各時刻における位相から、位相データS5aの各時刻における位相を減算する。したがって、位相データS5aに基づいて受信データS1aの位相を補正することができる。図29では、位相補正された受信データS1aを、符号「S1a_p」で示してある。
上記のように、受信データS1aの各時刻における位相から、位相データS5aの各時刻における位相を減算することにより、受信データS1aの位相から、渦電流により生じる位相成分と、RFパルスの中心周波数とは異なる周波数で共鳴すること(オフレゾナンス)により生じる位相成分とを除去することができる。以下に、受信データS1aの位相から、渦電流により生じる位相成分と、オフレゾナンスにより生じる位相成分とを除去することができる理由について説明する。
先ず、受信データS1aの位相について考える。受信データS1aは、CSIスキャンA1のシーケンスa1(図8参照)により得られたMR信号S1をコイルエレメント4aで受信したときの位相を表している。シーケンスa1は水抑制を行うので、シーケンスa1を実行すると、水のスピンによるMR信号は抑制される。したがって、シーケンスa1を実行することにより、濃度の低い代謝物のスピンによるMR信号の位相情報を取得することができる。このため、受信データS1aの位相をφs1とすると、位相φs1は、代謝物の化学シフトによる位相成分ωmを用いて、以下の式で表すことができる。
φs1=ωo+ωm+ωp+ωe ・・・(1)
ここで、ωo:オフレゾナンスにより生じる位相成分
ωm:代謝物の化学シフトによる位相成分
ωp:位相エンコード勾配パルスにより生じる位相成分
ωe:渦電流により生じる位相成分
次に、位相データS5aの位相について考える。位相データS5aは、MRSスキャンA2のシーケンスb(図15参照)により得られたMR信号S5をコイルエレメント4aで受信したときの位相を表している。MRSスキャンA2のシーケンスbは水抑制が行われていないので、シーケンスbを実行すると、代謝物のスピンによるMR信号よりも、水のスピンによるMR信号が大きくなる。したがって、MR信号S5の位相を考える場合、代謝物の化学シフトによる位相成分ωmは無視することができ、水の化学シフトによる位相成分ωwを考えればよい。ここで、位相データS5aの位相をφs5とすると、位相φs5は、水の化学シフトによる位相成分ωwを用いて、以下の式で表すことができる。
φs5=ωo+ωw+ωp+ωe ・・・(2)
ここで、ωo:オフレゾナンスにより生じる位相成分
ωw:水の化学シフトによる位相成分
ωp:位相エンコード勾配パルスにより生じる位相成分
ωe:渦電流により生じる位相成分
ただし、位相データS5aは、MRSスキャンA2のシーケンスb(図15参照)により得られたMR信号S5aの位相を表している。ここで、MRSスキャンA2のシーケンスbで使用されているRFパルスについて考えると、シーケンスbのRFパルス(90°パルス、180°パルス)の中心周波数は、第1の形態で述べたように、水の共鳴周波数に設定されている。したがって、式(2)の右辺第2項ωwはゼロと考えることができる。また、MRSスキャンA2では、シーケンスbが1回のみ実行されているので、位相エンコード勾配パルスにより生じる位相変化は発生しないと考えることができる。したがって、式(2)の右辺第3項ωpもゼロと考えることができる。このため、式(2)は、以下の式で表すことができる。
φs5=ωo+ωe ・・・(3)
次に、φs1からφs5を減算することにより、φs1の位相を補正する。ここで、位相補正後のφs1を「φs1_p」で表すと、φs1_pは、式(1)および式(3)を用いて、以下の式で表すことができる。
φs1_p=φs1−φs5
=(ωo+ωc+ωp+ωe)−(ωo+ωe)
=ωc+ωp ・・・(4)
式(4)を参照すると、位相補正後のφs1_pには、オフレゾナンスにより生じる位相成分ωoと、渦電流により生じる位相成分ωeが含まれていないことがわかる。したがって、受信データS1aの位相φs1から位相データS5aの位相φs5を減算することにより、受信データS1aの位相φs1から、オフレゾナンスにより生じる位相成分ωoと、渦電流により生じる位相成分ωeを除去できることがわかる。
尚、上記の説明では、受信データS1aの位相を補正する方法が示されているが、他の受信データS2a、S3a、S4aの位相も、位相データSP5aを用いて補正される。図29では、位相補正された受信データS2a、S3a、およびS4aを、それぞれ、符号「S2a_p」、「S3a_p」、および「S4a_p」で示してある。
したがって、受信データS1a〜S4aの位相から、オフレゾナンスにより生じる位相成分ωoと、渦電流により生じる位相成分ωeを除去することができる。
次に、補正手段911bは、位相データSP5bに基づいて、コイルエレメント4bにより得られた受信データS1b〜S4bに含まれる位相を補正する(図30参照)。
図30は、位相データSP5bに基づいて、コイルエレメント4bにより得られた受信データS1b〜S4bの位相を補正するときの説明図である。
補正手段911bは、先ず、受信データS1bの各時刻における位相を求める。次に、受信データS1bの各時刻における位相を、位相データSP5bの各時刻における位相で補正する。具体的には、受信データS1bの各時刻における位相から、位相データS5bの各時刻における位相を減算する。したがって、位相データS5bに基づいて受信データS1bの位相を補正することができる。図30では、位相補正された受信データS1bを、符号「S1b_p」で示してある。
以下同様に、他の受信データS2b、S3b、S4bの位相も、位相データSP5bを用いて補正される。図30では、位相補正された受信データS2b、S3b、およびS4bを、それぞれ、符号「S2b_p」、「S3b_p」、および「S4b_p」で示してある。
したがって、受信データS1b〜S4bの位相から、オフレゾナンスにより生じる位相成分ωoと、渦電流により生じる位相成分ωeを除去することができる。
受信データの位相を補正した後、ステップST23に進む。
ステップST23では、変換手段911c(図26参照)が、ステップST22により得られた位相補正後の受信データ(図29および図30参照)を、関心部位VOIの各領域におけるスペクトルに変換する。図31に、得られたスペクトルを概略的に示す。図31(a)は、位相補正後の受信データS1a_p、S2a_p、S3a_p、およびS4a_pにより得られた代謝物スペクトルM1a、M2a、M3a、およびM4aを示す。一方、図31(b)は、位相補正後の受信データS1b_p、S2b_p、S3b_p、およびS4b_pにより得られた−0代謝物スペクトルM1b、M2b、M3b、およびM4bを示す。
スペクトルを求めた後、ステップST4進む。
ステップST4およびST5は、第1の形態と同じであるので説明は省略する。ステップST4において水スペクトルWaおよびWbを作成し(図19参照)、ステップST5において係数算出手段912(図26参照)が係数Pa/NaおよびPb/Nb(図22参照)を求めた後、ステップST6に進む。
ステップST6では、合成手段913(図26参照)が、係数Pa/NaおよびPb/Nbに基づいて、代謝物スペクトルM1a〜M4a(図31(a)参照)と、代謝物スペクトルM1b〜M4b(図31(b)参照)とを合成する。以下に、合成方法について説明する。
先ず、合成手段913は、位相補正後の代謝物スペクトルM1a〜M4aに、係数Pa/Naを乗算する(図32参照)。
図32は、位相補正後の代謝物スペクトルM1a〜M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。
合成手段913は、位相補正後の代謝物スペクトルM1a〜M4aに、係数Pa/Naを乗算する。これにより、Pa/Naの値に応じて、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図32では、代謝物スペクトルM1a〜M4aに係数Pa/Naを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを、符号MA1〜MA4で示してある。
次に、合成手段913は、位相補正後の代謝物スペクトルM1b〜M4bに、係数Pb/Nbを乗算する(図33参照)。
図33は、位相補正後の代謝物スペクトルM1b〜M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。
合成手段913は、位相補正後の代謝物スペクトルM1b〜M4bに、係数Pb/Nbを乗算する。これにより、Pb/Nbの値に応じて、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図33では、代謝物スペクトルM1b〜M4bに係数Pb/Nbを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを、符号MB1〜MB4で示してある。
次に、合成手段913は、代謝物スペクトルMA1〜MA4(図32参照)と代謝物スペクトルMB1〜MB4(図33参照)とを加算する。図34は、スペクトルを加算するときの説明図である。合成手段913は、領域V1〜V4ごとにスペクトルを加算する。これにより、領域V1〜V4ごとに合成スペクトルM1〜M4を得ることができる。
尚、合成スペクトルM1〜M4を比較すると、合成スペクトルM1はピークが上向きであるが、合成スペクトルM3およびM4はピークが下向きであり、更に、合成スペクトルM2のピークはスプリットしている。したがって、合成スペクトルのピークを上向きに揃える必要がある。そこで、第2の形態では、合成スペクトルM1〜M4のピークを上向きの揃えるための位相補正を行う。この位相補正を行うために、ステップST61に進む。
ステップST61では、補正手段914(図26参照)が、合成スペクトルM1〜M4のピークが上向きに揃うように、合成スペクトルM1〜M4の位相を補正する。合成スペクトルM1〜M4のピークを上向きに揃えた後、ステップST7に進み、画像作成手段915がCSI画像を作成し、フローを終了する。
第2の形態でも、第1の形態と同様にSN比の大きい合成スペクトルを得ることができる。また、第2の形態では、渦電流による位相成分ωeおよびオフレゾナンスによる位相成分ωoを除去した後で、各領域のスペクトルを作成するので、位相補正の精度を高めることができる。
(3)第3の形態
図35は、第3の形態で実行されるスキャンの説明図である。
第3の形態では、ローカライザスキャンA0、CSIスキャンA1、MRSスキャンA2、およびMRSスキャンA3が実行される。
スキャンA0、A1、およびA2は第1の形態と同じであるので、説明は省略する。
MRSスキャンA3では、水の信号を抑制するためのRFパルスを含むシーケンスが実行される。
第3の形態では、図35に示すスキャンを実行し、CSI画像を作成する。以下に、図35に示すスキャンを実行しCSI画像を作成するときのMR装置の動作フローについて説明する。尚、第3の形態のMR装置の構成は、第1の形態のMR装置と比較すると、プロセッサ9が実行する処理が異なるが、プロセッサ9以外の部分は、第1の形態のMR装置と同じ構成である。したがって、第3のMR装置の説明にあたっては、プロセッサ9について主に説明する。
図36は、第3の形態においてプロセッサ9が実行する処理を示す図である。プロセッサ9は、メモリ10に記憶されているプログラムを読み出すことにより、スペクトル作成手段91〜画像作成手段94などを構成する。
スペクトル作成手段91は、受信器7から得られたデータに基づいて、スペクトルを作成する。スペクトル作成手段91は、変換手段91aおよび補正手段91bを有している。変換手段91aは、受信器7から得られたデータをスペクトルに変換する。補正手段91bは、変換手段91aにより得られたスペクトルの位相を補正する。差分手段91cは、スペクトルを差分することにより、差分スペクトルを求める。
係数算出手段92は、差分手段91cにより求められた差分スペクトルに基づいて、スペクトルの強度を調整するための係数を算出する。
合成手段93は、係数算出手段92により算出された係数を用いてスペクトルの強度を調整し、強度が調整されたスペクトルを合成する。
画像作成手段94は、合成手段93により合成されたスペクトルに基づいて画像を作成する。
第3の形態のプロセッサ9は、上記のように構成されている。
次に、第3の形態において、スキャンを実行しCSI画像を作成するときのMR装置の動作フローについて説明する。
図37は、第3の形態におけるMR装置の動作フローを示す図である。
ステップST1は、第1の形態と同じであるので、説明は省略する。ステップST1においてローカライザスキャンA0実行した後、ステップST2に進む。
ステップST2では、CSIスキャンA1、MRSスキャンA2、およびMRSスキャンA3が実行される。以下、CSIスキャンA1およびMRSスキャンA2は、第1の形態と同じであるので説明は省略し、以下では、MRSスキャンA3について詳細に説明する。
CSIスキャンA1およびMRSスキャンA2を実行した後、MRSスキャンA3が実行される(図38参照)。
図38は、MRSスキャンA3で実行されるパルスシーケンスの一例を示す図である。
MRSスキャンA3は、関心部位VOIを一つの領域(シングルボクセル)と見なして、関心部位VOIからMR信号を発生させるためのスキャンである。MRSスキャンA3では、関心部位VOIからMR信号を発生させるためのシーケンスcが1回実行される。シーケンスcは、水を抑制するためのCHESSパルスを備えている点を除いて、図15に示すシーケンスbと同じである。
MRSスキャンA3を実行することにより、MR信号S6が得られる。MR信号S6は、受信コイル4で受信され、受信器で信号処理される(図39参照)。
図39は、MR信号S6が受信コイル4で受信され、受信器で信号処理されるときの様子を概略的に示す図である。
受信コイル4は、2つのコイルエレメント4a及び4bを有しているので、コイルエレメントごとにMR信号S6が受信される。各コイルエレメント4a,4bはMR信号S6を電気信号Sa,Sbに変換し、受信器7に供給する。受信器7は、各コイルエレメントから受け取った電気信号Sa,Sbに対して、検波などの信号処理を行う。したがって、一方の受信器7は、コイルエレメント4aによって得られた受信データS6aを出力し、他方の受信器7は、コイルエレメント4bにより得られた受信データS6bを出力する。受信データS6aおよびS6bは、プロセッサ9(図1参照)に伝送される。
CSIスキャンA1〜MRSスキャンA3を実行した後、ステップST3に進む。
ステップST3およびST4は、第1の形態と同じであるので説明は省略する。ステップST3において位相補正後の代謝物スペクトル(図18(a2)および(b2))を作成し、ステップST4において水スペクトルWaおよびWbを作成した後(図19参照)、ステップST41に進む。
ステップST41では、変換手段91a(図36参照)が、MRSスキャンA3により得られた受信データS6aおよびS6b(図39参照)を、スペクトルに変換する。図40に、スペクトルを概略的に示す。図40(a)は、コイルエレメント4aの受信データS6aから得られたスペクトルMaを示しており、図40(b)は、コイルエレメント4bの受信データS6bから得られたスペクトルMbを示している。MRSスキャンA3では、水抑制を行うためのCHESSパルスが使用されているので(図38参照)、スペクトルMaおよびMbは、代謝物のピークを含む代謝物スペクトルである。
代謝物スペクトルMaおよびMbを作成した後、ステップST42に進む。
ステップST42では、差分手段91c(図36参照)が、ステップST4で得られた水スペクトルWaおよびWb(図19参照)と、ステップST41で得られた代謝物スペクトルMaおよびMb(図40参照)との差分スペクトルを求める。以下に、差分スペクトルの求め方について、図41および図42を参照しながら説明する。
差分手段91cは、先ず、図41に示すように、コイルエレメント4aにより得られた水スペクトルWaから、コイルエレメント4aにより得られた代謝物スペクトルMaを減算する。水スペクトルWaから代謝物スペクトルMaを減算することにより、差分スペクトルWa_difを得ることができる。この減算により、水スペクトルWaに現れる水のピークを残したまま、水スペクトルWaに現れる代謝物のピークやその他の不要なピーク(例えば、脂質のピーク)を小さくすることができる。
次に、差分手段91cは、図42に示すように、コイルエレメント4bにより得られた水スペクトルWbから、コイルエレメント4bにより得られた代謝物スペクトルMbを減算する。水スペクトルWbから代謝物スペクトルMbを減算することにより、差分スペクトルWb_difを得ることができる。この減算により、水スペクトルWbに現れる水のピークを残したまま、水スペクトルWbに現れる代謝物のピークやその他の不要なピーク(例えば、脂質のピーク)を小さくすることができる。
差分スペクトルWa_difおよびWb_difを求めた後、ステップST5に進む。
ステップST5では、係数算出手段92(図36参照)が、差分スペクトルWa_difおよびWb_difに基づいて、後述するステップST6においてスペクトルを合成するときに使用する係数を求める。以下、係数の求め方について説明する。尚、ステップST5は、ステップST51〜ST53を有しているので、各ステップについて順に説明する。
ステップST51では、係数算出手段92が、差分スペクトルWa_difおよびWb_difに現れる水のピーク値を求める。図43に、求められたピーク値PaおよびPbを示す。ピーク値PaおよびPbを求めた後、ステップST52に進む。
ステップST52では、係数算出手段92が、水スペクトルWaおよびWb(図19参照)を求める。図44に、求められたノイズNaおよびNbを示す。ノイズNaおよびNbは、例えば、水のピークから離れた周波数範囲の信号値を平均することにより求めることができる。ノイズNaおよびNbを求めた後、ステップST53に進む。
ステップST53では、係数算出手段92が、差分スペクトルから求めた水のピーク値を、水スペクトルから求めたノイズで正規化する。図45は、水のピーク値をノイズで正規化するときの説明図である。係数算出手段92は、先ず、水のピーク値PaをノイズNaで除算する。これにより、ノイズで正規化されたピーク値Pa/Naを求めることができる。また、係数算出手段92は、水のピーク値PbをノイズNbで除算する。これにより、水のピーク値PbがノイズNbで正規化されたピーク値Pb/Nbを求めることができる。正規化されたピーク値Pa/NaおよびPb/Nbが、ステップST6においてスペクトルを合成するときの係数として用いられる。係数Pa/NaおよびPb/Nbを求めた後、ステップST6に進む。
ステップST6では、合成手段93(図36参照)が、係数Pa/NaおよびPb/Nbに基づいて、ステップST3で求めた位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aおよびP−M1b〜P−M4b(図18(a2)および(b2)参照)を合成する。以下に、合成方法について説明する。
先ず、合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算する(図46参照)。
図46は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算するときの説明図である。
合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに、係数Pa/Naを乗算する。これにより、Pa/Naの値を考慮して、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図46では、代謝物スペクトルP−M1a〜P−M4aに係数Pa/Naを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを符号MA1〜MA4で示してある。
次に、合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算する(図47参照)。
図47は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算するときの説明図である。
合成手段93は、位相補正後の代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに、係数Pb/Nbを乗算する。これにより、Pb/Nbの値を考慮して、代謝物スペクトルの強度を調整することができる。図47では、代謝物スペクトルP−M1b〜P−M4bに係数Pb/Nbを乗算することにより得られた代謝物スペクトルを符号MB1〜MB4で示してある。
次に、合成手段93は、代謝物スペクトルMA1〜MA4(図46参照)と代謝物スペクトルMB1〜MB4(図47参照)とを加算する。これにより、領域ごとに合成スペクトルM1〜M4(図25参照)を得ることができる。スペクトルを合成した後、ステップST7に進む。
ステップST7では、画像作成手段94(図36参照)が、合成スペクトルM1〜M4に現れているピークを検出し、ピーク値を求める。そして、画像作成手段94は、ピーク値に基づいて、代謝物ごとにCSI画像を作成する。CSI画像を作成したら、フローを終了する。
第3の形態でも、第1の形態と同様に、SN比の大きい合成スペクトルを得ることができる。また、第3の形態では、ステップST42において水スペクトルから代謝物スペクトルを減算しているので、水スペクトルに現れる水のピークを残したまま、水スペクトルに現れる代謝物のピークや脂質のピークを小さくすることができる。したがって、差分スペクトルは、水スペクトルよりも、代謝物のピークが小さいので、差分スペクトルから水のピークを検出することにより、代謝物のピークや脂質のピークを水のピークとして誤検出する可能性を更に低減することができる。このため、ステップST6において代謝物スペクトルの強度を調整するために使用される係数の信頼性を高めることができる。
尚、第3の形態では、水スペクトルWaおよびWbのノイズを求めているが、水スペクトルの代わりに、代謝物スペクトルMaおよびMbのノイズを求め、代謝物スペクトルMaおよびMbから求めたノイズを用いて差分スペクトルの水のピーク値を正規化してもよい。
最後に、本発明により、SN比が高い合成スペクトルが得られることを検証するために、スペクトルを実測した。以下に、実測により得られたスペクトルを示す。
図48は実測により得られたスペクトルを示す図である。
図48(a)は、第1の形態の方法(水スペクトルから水のピーク値とノイズを求め、ピーク値をノイズで正規化することにより得られた係数を用いてスペクトルを合成する方法)により得られた合成スペクトルを示す図である。
図48(b)は、第3の形態の方法(差分スペクトルから水のピーク値を求めるとともに、水スペクトルからノイズを求め、ピーク値をノイズで正規化することにより得られた係数を用いてスペクトルを合成する方法)により得られた合成スペクトルを示す図である。
図48(c)は、本発明とは別の方法(代謝物スペクトルのピーク値をノイズで正規化することにより得られた係数を用いてスペクトルを合成する方法)により得られた合成スペクトルを示す図である。
図48を参照すると、図48(a)および図48(b)の合成スペクトルは、図48(c)の合成スペクトルよりも、SN比が大きくなっている。したがって、本発明の方法により、SN比の大きい合成スペクトルが得られることがわかる。
2 マグネット
3 テーブル
3a クレードル
4 受信コイル
5 送信器
6 勾配磁場電源
7 受信器
8 コンピュータ
9 プロセッサ
10 メモリ
11 操作部
12 表示部
13 被検体
21 ボア
100 MR装置

Claims (14)

  1. 水および代謝物を含む関心部位からMR信号を発生させるためのシーケンスを実行するスキャン手段であって、前記関心部位に含まれる水の信号を抑制するためのRFパルスを含む第1のシーケンスと、前記RFパルスを含まない第2のシーケンスとを実行するスキャン手段と、
    前記第1のシーケンスにより発生した第1のMR信号と、前記第2のシーケンスにより発生した第2のMR信号とを受信する複数のコイルエレメントを備えたコイルと、
    各コイルエレメントで受信された第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記代謝物のピークを含む第1のスペクトルを生成するとともに、各コイルエレメントで受信された第2のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記水のピークを含む第2のスペクトルを生成するスペクトル生成手段と、
    前記第2のスペクトルの水のピークの特性値に基づいて、前記コイルエレメントごとに得られた前記第1のスペクトルの強度を調整するための係数を算出する係数算出手段と、
    前記係数を用いて前記第1のスペクトルの各々の強度を調整し、強度が調整された前記第1のスペクトルを合成する合成手段と、
    を有し、
    前記係数算出手段は、
    前記第2のスペクトルのノイズを求め、前記ノイズで前記特性値を正規化し、正規化された前記特性値に基づいて、前記係数を算出する、磁気共鳴装置。
  2. 前記スペクトル生成手段は、
    前記各コイルエレメントで受信された第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記第1のMR信号の位相と振幅の情報を含む第1のデータを生成するデータ生成手段と、
    前記コイルエレメントごとに生成された第1のデータに基づいて、前記第1のスペクトルを作成する作成手段と、
    を有する、請求項1に記載の磁気共鳴装置。
  3. 前記作成手段は、
    前記第1のデータを、代謝物のピークを含む第3のスペクトルに変換する変換手段と、
    前記第3のスペクトルの位相を補正することにより、前記第1のスペクトルを得る補正手段と、
    を有する請求項2に記載の磁気共鳴装置。
  4. 前記第1のシーケンスは、第1の軸に印加される第1の位相エンコード勾配パルスと、第2の軸に印加される第2の位相エンコード勾配パルスとを有する、請求項3に記載の磁気共鳴装置。
  5. 前記関心部位は複数の領域を有しており、
    前記スキャン手段は、前記第1の位相エンコード勾配パルスの磁場強度と前記第2の位相エンコード勾配パルスの磁場強度との組み合わせが異なる複数の第1のシーケンスを実行し、
    前記コイルは、前記複数の第1のシーケンスにより発生した複数の第1のMR信号を受信し、
    前記データ生成手段は、前記各コイルエレメントで受信された複数の第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに複数の第1のデータを生成し、
    前記変換手段は、前記コイルエレメントごとに生成された複数の第1のデータを、前記関心部位の各領域における前記第3のスペクトルに変換する、請求項4に記載の磁気共鳴装置。
  6. 前記データ生成手段は、前記各コイルエレメントで受信された第2のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記第2のMR信号の位相と振幅の情報を含む第2のデータを生成し、
    前記作成手段は、前記コイルエレメントごとに生成された前記第2のデータに基づいて、前記第2のスペクトルを作成する、請求項3〜5のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
  7. 前記スキャン手段は、前記RFパルスを含む第3のシーケンスを実行し、
    前記コイルは、前記第3のシーケンスにより発生した第3のMR信号を受信し、
    前記データ生成手段は、前記各コイルエレメントで受信された第3のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記第3のMR信号の位相と振幅の情報を含む第3のデータを生成し、
    前記作成手段は、前記第2のデータと前記第3のデータとに基づいて、前記第2のスペクトルを作成する、請求項6に記載の磁気共鳴装置。
  8. 前記作成手段は、
    前記第2のデータを、水のピークを含む第4のスペクトルに変換するとともに、前記第3のデータを、代謝物のピークを含む第5のスペクトルに変換し、前記第4のスペクトルと前記第5のスペクトルとを差分することにより、前記第2のスペクトルを作成する、請求項7に記載の磁気共鳴装置。
  9. 前記作成手段は、
    前記第2のデータに含まれる第2のMR信号の位相を算出する位相算出手段と、
    前記位相算出手段により算出された位相に基づいて、前記第1のデータに含まれる第のMR信号の位相を補正する補正手段と、
    位相が補正された前記第1のデータを、前記第1のスペクトルに変換する変換手段と、
    を有する、請求項6〜8のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
  10. 前記スキャン手段は、前記関心部位を単一の領域と見なした1回の第2のシーケンスを実行する、請求項1〜9のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
  11. 前記係数算出手段は、
    前記第4のスペクトル又は前記第5のスペクトルのノイズを求め、前記ノイズで前記特性値を正規化し、正規化された特性値に基づいて前記係数を算出する、請求項8に記載の磁気共鳴装置。
  12. 前記合成手段は、
    前記コイルエレメントごとに得られた前記第1のスペクトルに前記係数を乗算し、係数が乗算された前記第1のスペクトルを加算する、請求項1〜11のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
  13. 前記特性値は、水のピークのピーク値、又は水のピークの面積である、請求項1〜12のうちのいずれか一項に記載の磁気共鳴装置。
  14. 水および代謝物を含む関心部位からMR信号を発生させるためのシーケンスを実行するスキャン手段であって、前記関心部位に含まれる水の信号を抑制するためのRFパルスを含む第1のシーケンスと、前記RFパルスを含まない第2のシーケンスとを実行するスキャン手段と、
    前記第1のシーケンスにより発生した第1のMR信号と、前記第2のシーケンスにより発生した第2のMR信号とを受信する複数のコイルエレメントを備えたコイルと、
    各コイルエレメントで受信された第1のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記代謝物のピークを含む第1のスペクトルを生成するとともに、各コイルエレメントで受信された第2のMR信号に基づいて、前記コイルエレメントごとに、前記水のピークを含む第2のスペクトルを生成するスペクトル生成手段と、
    を有する磁気共鳴装置に適用されるプログラムであって、
    前記第2のスペクトルの水のピークの特性値に基づいて、前記コイルエレメントごとに得られた前記第1のスペクトルの強度を調整するための係数を算出する係数算出処理と、
    前記係数を用いて前記第1のスペクトルの各々の強度を調整し、強度が調整された前記第1のスペクトルを合成する合成処理と、
    をコンピュータに実行させるためのプログラムであり、
    前記係数算出処理は、
    前記第2のスペクトルのノイズを求め、前記ノイズで前記特性値を正規化し、正規化された前記特性値に基づいて、前記係数を算出する、プログラム。
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