JP6411143B2 - 放射線遮蔽構造物 - Google Patents

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本発明は、放射線発生装置から放出された放射線量を管理する管理区域に設定された放射線遮蔽構造物に関する。
放射線発生装置から放出された放射線による被曝を防ぐために、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や医療法等よって、放射線発生装置からの放射線量が所定の基準値以上の領域を管理区域として、他の領域と明確に区分することが定められている。そして、一般的に、放射線量を減衰させ、かつ、他の領域との区分のために、放射線発生装置を放射線遮蔽構造物で覆い、この構造物の外周部ラインを管理区域に設定するものである。このような放射線遮蔽構造物としては、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。
特許文献1に記載の放射線遮蔽構造は、放射線発生装置(文献では「高エネルギーリニアック」)の側方を覆う壁部と、放射線発生装置の上方を覆う天井部と、を備えている。
壁部及び天井部の厚さは、外部領域に漏洩する放射線量が所定の基準値を満たすように設定されている。
特開2010−151617号公報
しかし、特許文献1に記載の放射線遮蔽構造では、天井部及び壁部を、コンクリート躯体と金属等の放射線減衰率の高い遮蔽部材とを組み合わせて構成することで、天井厚及び壁厚を薄くしている。しかし、このような遮蔽部材のコストは非常に高く、また、金属等の重量は非常に重く、施工時の運搬やコンクリート躯体への取付等、施工性に課題がある。この課題に対しては、天井部等をコンクリート層一層で構成することが考えられるが、一層のコンクリート層に、特許文献1に記載の天井部等と同じ遮蔽性能を負担させるとなると、コンクリート層の層厚が非常に厚くなって、材料コストの低減や構造負荷の軽減を図る上で、未だ改善の余地がある。
上記状況に鑑み、材料コストの低減や構造負荷の軽減を図ることが可能であり、施工性の良い放射線遮蔽構造物が要望されている。
本発明の特徴は、
放射線発生装置から放出された放射線量を管理する管理区域に設定された放射線遮蔽構造物であって、
前記放射線発生装置の側方を覆う遮蔽側壁部と、前記放射線発生装置の下方を覆う遮蔽床部と、前記放射線発生装置の上方を覆う遮蔽天井部と、が備えられ、
前記遮蔽床部及び前記遮蔽天井部の何れか又はその両方は、前記放射線発生装置に近い側に設けられると共にコンクリートで構成される第一層と、前記第一層よりも前記放射線発生装置から遠ざかるように前記第一層に対して離間された状態で設けられると共にコンクリートで構成される第二層と、前記第一層と前記第二層との間に設けられると共に空気層によって構成された中間層と、を有し
前記第一層及び前記第二層のうち下側に位置する層の上下方向の厚さは、前記第一層及び前記第二層のうち上側に位置する層の上下方向の厚さよりも厚く設定されていることにある。
本特徴構成によれば、放射線発生装置から放出された放射線を、平均放射線減衰率が低い安価な中間層によって減衰することができる。これにより、外部領域に漏洩する放射線量が所定の基準値を満たすようにしながら、コンクリート層の厚さを薄くして、材料コストの低減を図ることができる。また、コンクリート層の厚さを薄くすることにより、混和剤の使用量を減少させて、その材料コストを抑えながらも温度ひび割れの発生を軽減することができる。さらに、第一コンクリート層も第二コンクリート層もコンクリートで構成されているため、施工性の良い放射線遮蔽構造物となる。
なお、本発明において、「平均放射線減衰率」とは、層全体における放射線減衰率の平均値を意味するものとする。
また、本特徴構成によれば、下側に位置する層の方が厚いため、低重心化を図ることができ、構造バランスが向上する。
また、本特徴構成によれば、中間層を安価に構成して、更なる材料コストの低減を図ると共に重量を大幅に軽減することができる。
さらに、本発明において、
前記中間層の外周部に、前記中間層と前記中間層の外部領域とを平面計画的に仕切る仕切壁が備えられ、
前記中間層は、前記管理区域を管理する管理者の許可に基づいて立ち入り可能な室に構成されていると好適である。
本特徴構成のように、仕切壁を設けて中間層を管理することで、放射線発生装置の作動時には、中間層への立ち入りを禁止しながらも、放射線発生装置の停止時には、比較的広い空間を占める中間層を室として有効利用することができる。
さらに、本発明において、
放射線使用室以外の用途に使用される他用途領域を有する建築物内に設けられていると好適である。
本発明では、中間層の厚さを調整することで、第一層と第二層の厚さを自由に設定することができるため、本特徴構成のような放射線使用室及び他用途領域を有する建築物において、平面計画や構造計画の自由度が向上する。
さらに、本発明において、
複数階層の前記建築物内において複数の階に亘る状態で設けられ、
前記第一層と前記第二層とが異なる階に属していると好適である。
本特徴構成によれば、中間層を任意の階に設定することで、その階の上階のスラブや下階のスラブを第一層や第二層に兼用することができる。これにより、材料コストを抑えることができると共に、第一層及び第二層を階毎に周囲のスラブと同じ工程で施工することができ、施工性が向上する。
さらに、本発明において、
前記建築物において、平面視で前記建築物の外壁から前記建築物の中央側へ離間する状態で設けられていると好適である。
本特徴構成によれば、重量の重い放射線遮蔽構造物が建築物の中央側へ少しでも近付くため、建築物の平面重心が建築物の中央側寄りとなり、構造バランスが向上する。
放射線遮蔽構造物の縦断面図である。 放射線遮蔽構造物における放射線使用室の平面図である。 放射線遮蔽構造物において遮蔽天井部の中間層を室として利用する場合における平面図である。 (a)遮蔽天井部を一層構造で構成した放射線遮蔽構造物の模式的な縦断面図である。(b)遮蔽天井部を三層構造で構成した放射線遮蔽構造物の模式的な縦断面図である。 医療施設の地下二階の平面図である。 医療施設の縦断面図である。 図5におけるVII−VII位置での縦断面図である。 別実施形態に係る放射線遮蔽構造物の縦断面図である。 遮蔽扉の制御フロー図である。 遮蔽床部を三層構造で構成した放射線遮蔽構造物の縦断面図である。
本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
〔放射線遮蔽構造物〕
図1から図3に示すように、放射線遮蔽構造物1は、放射線発生装置2から放出された放射線を遮蔽するものである。放射線遮蔽構造物1内には、放射線発生装置2が設置される放射線使用室3が設けられている。放射線遮蔽構造物1は、遮蔽側壁部5と、遮蔽床部6と、遮蔽天井部7と、を備えている。
〔遮蔽側壁部〕
遮蔽側壁部5は、放射線発生装置2の側方を覆うものである。遮蔽側壁部5は、三層構造で構成されている。具体的には、遮蔽側壁部5は、第一コンクリート層51(本発明に係る「第一層」に相当)と、第二コンクリート層52(本発明に係る「第二層」に相当)と、中間層53と、を有している。
第一コンクリート層51は、三層のうち最も内周側に設けられている。すなわち、第一コンクリート層51は、放射線発生装置2に近い側に設けられている。第一コンクリート層51は、例えば、現場打ちコンクリートで構成されている。
第二コンクリート層52は、三層のうち最も外周側に設けられている。すなわち、第二コンクリート層52は、放射線発生装置2から遠ざかるように第一コンクリート層51に対して離間された状態で設けられている。第二コンクリート層52は、例えば、現場打ちコンクリートで構成されている。
中間層53は、第一コンクリート層51と第二コンクリート層52との間に設けられている。中間層53は、第一コンクリート層51及び第二コンクリート層52よりも平均放射線減衰率が低い材料で構成されている。中間層53は、例えば、空気や発泡材を充填することで構成されている。
遮蔽側壁部5には、内側遮蔽扉D1と外側遮蔽扉D2との二重扉が設けられている。内側遮蔽扉D1及び外側遮蔽扉D2は、放射線を遮蔽する材料で構成されている。内側遮蔽扉D1及び外側遮蔽扉D2は、放射線発生装置2の作動時に施錠されるように構成され、厳重な放射線管理がなされている。
〔遮蔽床部〕
遮蔽床部6は、放射線発生装置2の下方を覆うものである。遮蔽床部6は、例えば、現場打ちコンクリートで構成されている。なお、遮蔽床部6の下方は地盤であって、人の立ち入りが不可能であることから、遮蔽床部6の放射線遮蔽構造についての詳細な説明は省略する。
〔遮蔽天井部〕
遮蔽天井部7は、放射線発生装置2の上方を覆うものである。遮蔽天井部7は、三層構造で構成されている。具体的には、遮蔽天井部7は、第一コンクリート層71(本発明に係る「第一層」に相当)と、第二コンクリート層72(本発明に係る「第二層」に相当)と、中間層73と、を有している。
第一コンクリート層71は、三層のうち最も下側に設けられている。すなわち、第一コンクリート層71は、放射線発生装置2に近い側に設けられている。第一コンクリート層71は、例えば、現場打ちコンクリートで構成されている。
第二コンクリート層72は、三層のうち最も上側に設けられている。すなわち、第二コンクリート層72は、放射線発生装置2から遠ざかるように第一コンクリート層71に対して離間された状態で設けられている。第二コンクリート層72は、例えば、現場打ちコンクリートで構成されている。
中間層73は、第一コンクリート層71と第二コンクリート層72との間に設けられている。中間層73は、第一コンクリート層71及び第二コンクリート層72よりも平均放射線減衰率が低い材料で構成されている。中間層73は、例えば、空気や発泡材を充填することで構成されている。
遮蔽天井部7において、第一コンクリート層71の上下方向の厚さは、第二コンクリート層72の上下方向の厚さよりも厚く設定されている。したがって、放射線遮蔽構造物1の重心が低くなって構造バランスが向上し、放射線遮蔽構造物1の建築構造を簡素化することができる。
〔放射線遮蔽構造物による放射線の遮蔽〕
放射線遮蔽構造物1は、放射線発生装置2から放出された放射線量を管理する管理区域Zに設定されている。管理区域Zの境界は、遮蔽側壁部5の外周面、遮蔽床部6の外周面及び遮蔽天井部7の外周面に設定されている。放射線発生装置2から放出された放射線は、水平方向は遮蔽側壁部5によって基準値以下にまで減衰され、上方向は遮蔽天井部7によって基準値以下にまで減衰される。
ここで、上述のように、遮蔽側壁部5及び遮蔽天井部7が三層構造で構成されているところ、第一コンクリート層51・71及び第二コンクリート層52・72のみならず、中間層53・73によっても放射線を減衰することができる。したがって、中間層53・73の分だけ、第一コンクリート層51・71及び第二コンクリート層52・72が負担する放射線の遮蔽量が少なくて済み、第一コンクリート層51・71と第二コンクリート層52・72の厚さを薄くすることができる。
そして、第一コンクリート層51・71と第二コンクリート層52・72の厚さを薄くして、中間層53・73をコンクリートよりも軽い材料(例えば、空気、発泡材)で構成することにより、平均放射線減衰率が低い安価な中間層53・73によって材料コストの低減を図ることができるのみならず、遮蔽側壁部5及び遮蔽天井部7の軽量化によって構造負荷の軽減も図ることもできる。
また、コンクリート層が分厚いと、温度ひび割れを抑制するために、混和剤の使用量が増大するところ、第一コンクリート層51・71と第二コンクリート層52・72の厚さを薄くすることにより、混和剤の使用量を減少させて、その材料コストを抑えながらも温度ひび割れの発生を軽減することができる。
〔中間層の利用〕
中間層73を空気層とすれば、中間層73を室(例えば、居室、倉庫)として利用することができる。中間層73の外周部に、中間層73と中間層73の外部領域とを平面計画的に仕切る仕切壁8を設け、中間層73への立ち入りを管理する。つまり、中間層73は、管理区域Zを管理する管理者の許可に基づいて立ち入り可能な室となっている。この場合、中間層73の外周部に、放射線を遮蔽する材料で構成された遮蔽扉D3を設けると共に、放射線遮蔽構造物1の外部に、中間層73への階段(昇降用ステップやスロープ等でも構わない)を設ける。
〔空気層の厚さの設定〕
次に、上述した放射線遮蔽構造物1における遮蔽天井部7を例として、中間層(空気層)73の厚さの設定手法について、図4により説明する。
ここで、図4(a)に示す放射線遮蔽構造物101において、コンクリート層171の厚さtを、遮蔽天井部107の遮蔽性能を維持しながらΔ薄くしたい。
そこで、図4(b)に示す放射線遮蔽構造物1のように、遮蔽天井部7を第一コンクリート層71と第二コンクリート層72との間に中間層(空気層)73を挟む三層構造にする場合、第一コンクリート層71と第二コンクリート層72との間隔、すなわち、中間層(空気層)73の厚さtをいくらに設定すれば良いかについて検討する。
計算地点における放射線量Eは、[式1]より算出することができる。
=(I/L)・D・K …[式1]
ここで、
:計算地点における放射線量
I:放射線発生源から1mの距離における放射線量
L:放射線発生源から計算地点までの距離(m)
:遮蔽材の透過率
K:各種係数
遮蔽材の透過率Dは、[式2]より算出することができる。
=F・exp(−λ×t) …[式2]
ここで、
t:遮蔽材の厚さ(cm)
:遮蔽材の透過率を近似するパラメータ
λ:遮蔽材の透過率を近似するパラメータ(cm−1
図4(a)において、計算地点A(コンクリート層171の天端位置)での放射線量EAを、[式1]より算出する。
ここで、
放射線発生源から計算地点Aまでの距離は、H+tである。
コンクリート層171の透過率をDt1とすると、Dt1はコンクリート層171の厚さtを用いて、[式2]より算出することができる。
よって、[式1]より、
={I/(H+t}・Dt1・K …[式3]
図4(b)において、計算地点B(第二コンクリート層72の天端位置)での放射線量Eを、[式1]より算出する。
ここで、
放射線発生源から計算地点Bまでの距離は、H+(tt)+t+tである。
第一コンクリート層71及び第二コンクリート層72の透過率をD(t1−Δt)+t2とすると、D(t1−Δt)+t2は、第一コンクリート層71の厚さと第二コンクリート層72の厚さとの合計(t−Δ)+tを用いて、[式2]より算出することができる。
よって、[式1]より、
={I/(H+(tt)+t+t}・D(t1−Δt)+t2・K
…[式4]
=Eであるため、[式3]及び[式4]より、
{I/(H+t}・Dt1・K={I/(H+(tt)+t+t}・D(t1−Δt)+t2・K …[式5]
ここで、
I、H、t、Dt1、K、Δ、t、D(t1−Δt)+t2は、既知である。
よって、[式5]より、
txを算出することができる。
このような考え方によって、コンクリート層171の厚さを所望量薄くする場合に、中間層73の厚さをいくらに設定すれば良いかが検証できる。これにより、中間層73を上手く利用することで、建築条件に応じて、コンクリート層171の厚さを適宜調整することができる。
〔放射線遮蔽構造物の医療施設への適用〕
放射線遮蔽構造物1は、単独の建屋として設けられても良いが、例えば、鉄筋コンクリート造(RC造)または鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)の医療施設4(本発明に係る「建築物」に相当)内に構築しても良く、この例について、図5から図7により説明する。
図5から図7に示すように、医療施設4は、地上n階地下二階建ての複数階層に構成されている。医療施設4内には、放射線使用室3の他、放射線使用室3以外の用途に使用される他用途領域11、例えば、居室(待合室、診察室、病室、執務室等)、倉庫、駐車場等が設けられている。放射線遮蔽構造物1の詳細な構造は、上記した通りであるので、重複する説明は省略する。
放射線使用室3は、放射線による検査や治療が行われる室(例えば、リニアック室やサイバーナイフ室等)に構成されている。放射線使用室3には、放射線による検査や治療に用いられる放射線発生装置2が設置されている。
放射線遮蔽構造物1は、医療施設4内において、放射線使用室3が最下階である地下二階に属する状態で、かつ、地下一階と地下二階とに亘る二つの階層に嵌り込む状態で構築されている。放射線遮蔽構造物1は、医療施設4において、平面視で医療施設4の外壁4aから医療施設4の中央側へ離間する状態で設けられており、医療施設4の構造バランスが良い。放射線遮蔽構造物1は、放射線の減衰・遮蔽、及び、他用途領域11との区画を果たすものであり、遮蔽側壁部5と、遮蔽床部6と、遮蔽天井部7と、を備えている。なお、以下においては、説明の簡素化のために、仕上げ厚については考慮していない。
遮蔽側壁部5には、上述の説明とは異なって、コンクリートよりも放射線遮蔽率が高い金属製の遮蔽板9が埋め込まれている。これにより、遮蔽側壁部5の水平方向の厚さを薄くして、放射線遮蔽構造物1が占める平面スペースを小さくしている。遮蔽板9は、例えば、鉛や鉄で構成すると良い。
遮蔽床部6の下方には、湧水ピット10が設けられている。遮蔽床部6の天端は、地下二階の床レベルB2FLよりも若干低い高さ位置に設定され、遮蔽床部6の上に、放射線発生装置2に対する配管、配線が通されている。湧水ピット10の下方は地盤であって、人の立ち入りが不可能であることから、遮蔽床部6の放射線遮蔽構造についての詳細な説明は省略する。
遮蔽天井部7は、上述したように、第一コンクリート層71と第二コンクリート層72と中間層73との三層構造で構成されている。
第一コンクリート層71は、他用途領域11における地下一階のスラブよりも厚く、その天端は、地下一階の床レベルB1FLよりも高い高さ位置に設定され、かつ、その下端は、他用途領域11における地下一階のスラブの下端よりも低い高さ位置に設定されている。しかし、第一コンクリート層71は、他用途領域11における地下一階のスラブと同じような高さ位置に形成されているので、第一コンクリート層71を現場打ちする場合に、周囲の他用途領域11の地下一階のスラブと同じ工程で打設することが可能であり、施工及び施工監理がし易い。
中間層73は、医療施設4内において地下一階に属するように構成されている。すなわち、中間層73は、地下一階の床レベルB1FLと地上一階の床レベル1FLとの間において、第一コンクリート層71と第二コンクリート層72とに亘るように設けられている。
中間層73は、空気によって構成され、かつ、比較的厚い厚みに構成されており、室(居室や倉庫等)として利用可能である。中間層73における放射線量は、未だ基準値以下になっていないので、中間層73の外周に、中間層73と他用途領域11(外部領域)とを平面計画的に仕切る仕切壁8を設け、管理者等以外の者の他用途領域11から中間層73への侵入を規制している。仕切壁8は、コンクリート造(鉄筋コンクリート造を含む)であっても軽量鉄骨造であっても良い。中間層73への出入りは、遮蔽扉D3から行う。
第二コンクリート層72は、第一コンクリート層71と中間層73の厚みを上手く調整することで、他用途領域11の地上一階のスラブと同じ高さ位置、同じ厚みに設定されている。すなわち、第二コンクリート層72の天端は、他用途領域11における地上一階のスラブと同様に、地上一階の床レベル1FLと同じ高さ位置に設定されている。したがって、第二コンクリート層72を現場打ちする場合に、周囲の他用途領域11の地上一階のスラブと同じ工程で打設することが可能であると共に、他用途領域11の型枠構成を援用できるため、施工及び施工監理がし易い。
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態において、第一コンクリート層71の天端は、地下一階の床レベルB1FLよりも高い高さ位置に設定されているが、中間層73を室として積極的に利用するべく、図8に示すように、第一コンクリート層71の天端を地下一階の床レベルB1FLと同じ高さ位置に設定しても良い。これにより、中間層73の高さ(天井高)を高く確保することができるため、室としての中間層73の使い勝手が向上する。また、第一コンクリート層71を、他用途領域11における地下一階のスラブと同時に施工することができるだけでなく、コンクリートの均し作業(左官工事)等を他用途領域11における地下一階のスラブと同時に行うこともできるため、施工性が飛躍的に向上する。さらに、中間層73の床レベルと他用途領域11における地下一階の床レベルB1FLとが揃うため、中間層73へのアクセスが容易となり、中間層73を使い勝手の良い室に構成することができる。
(2)また、中間層73を室として積極的に利用する場合、放射線発生装置2の作動時に、中間層73へ人が立ち入らないようにしなければならない。その措置としては、上述したように、中間層73を管理者の許可に基づいて立ち入り可能な室とすることが考えられるが、これ以外に、例えば以下のような自動的な管理構成が考えられる。
遮蔽扉D3に、自動施錠式の第一施錠装置及び手動施錠式の第二施錠装置を設けると共に、第一施錠装置と第二施錠装置の施錠状態を管理する制御装置を設ける。第一施錠装置は、制御装置によってのみ施錠、解錠されるものである。第二施錠装置は、外部領域からは手動で施錠、解除することができ、中間層73の内部からは少なくとも施錠することができない構成とする。制御装置は、第二施錠装置の施錠状態を検知している。つまり、制御装置は、第二施錠装置が施錠されているときは、中間層73に人は立ち入っておらず、第二施錠装置が解錠されているときは、中間層73に人が立ち入っているものと判断する。
図9に示すように、放射線発生装置2が作動している場合(S1:Yes)、制御装置は、第一施錠装置の施錠を維持する(S2)。また、放射線発生装置2が停止している場合(S1:No)、制御装置は、第一施錠装置の施錠を解除する(S3)。この状態においては、第二施錠装置を外部領域から手動で解除しさえすれば、中間層73へ立ち入ることができる。
そして、制御装置は、放射線発生装置2が作動の準備を開始した旨の信号(作動準備開始信号)を受信すると(S4:Yes)、第二施錠装置の施錠が解除されているか否かを判断する(S5)。また、制御装置は、前記作動準備開始信号を受信しない場合(S4:No)、第一施錠装置の施錠解除を維持する(S6)。
そして、第二施錠装置の施錠が解除されている場合(S5:Yes)、制御装置は、放射線使用室3への報知や管理室への報知を実行する(S7)。これらの報知は、例えば、表示手段(例えば、ディスプレイ)や音声手段(例えば、スピーカ)を用いて行う。これにより、放射線使用室3内の人に対して管理室内に人が存在することを知らせることができると共に、中間層73に立ち入っている人に対して速やかな退室を促すことができる。
また、第二施錠装置の施錠が解除されていない場合(S5:No)、第一施錠装置が施錠された後(S8)、放射線発生装置2の作動が開始される(S9)。
なお、中間層73への人の立ち入りの自動的な管理構成は、上述のものに限定されない。例えば、第二施錠装置の代わりに中間層73に人感センサーを備え、制御装置が、人感センサーの検知結果に基づいて第一施錠装置を制御しても良い。
(3)上記実施形態では、遮蔽側壁部5や遮蔽天井部7が三層構造で構成されているが、放射線使用室3の下方に室があるような場合、図10に示すように、遮蔽床部6を三層構造で構成しても良い。この場合、図10に示すように、遮蔽床部6が、第一コンクリート層61(本発明に係る「第一層」に相当)と、第二コンクリート層62(本発明に係る「第二層」に相当)と、中間層63と、を備えている。
(4)上記実施形態において、遮蔽天井部7において、第一コンクリート層71の上下方向の厚さは、第二コンクリート層72の上下方向の厚さよりも厚く設定されているが、第二コンクリート層72の上下方向の厚さが、第一コンクリート層71の上下方向の厚さよりも厚く設定されていても良い。すなわち、遮蔽天井部においても、遮蔽側壁部においても、遮蔽床部においても、建築条件に応じて、第一コンクリート層、中間層、第二コンクリート層の厚みを適宜調整することで、好適な放射線遮蔽構造物1とすることができる。
(5)上記実施形態において、中間層53(73)が異素材層の組合せで構成されていても良い。
(6)放射線遮蔽構造物1を医療施設4等の建築物に組み込む場合、その建築物の条件によっては、放射線遮蔽構造物1をどの階に組み込んでも良い。また、1階層のみに亘るように構成しても、3階層以上にわたるように構成しても良い。
(7)上記実施形態において、放射線遮蔽構造物1は、医療施設4において、平面視で医療施設4の外壁4aから医療施設4の中央側へ離間する状態で設けられているが、医療施設4の外壁4aに沿って設けられ、医療施設4の外壁4aの外部に隣り合うような状態で設けられていても良い。
(8)上記実施形態において、遮蔽側壁部5(第一コンクリート層51、第二コンクリート層52)、遮蔽床部6及び遮蔽天井部7(第一コンクリート層71、第二コンクリート層72)は、現場打ちコンクリートで構成されているが、プレキャストコンクリートで構成されていても良い。
なお、本発明は、上記実施形態及び別実施形態に限定されるものではなく、その他種々の変更が可能である。また、上記実施形態及び別実施形態は、矛盾の生じない限り、適宜組み合わせたり又は省略したりすることができる。
本発明は、放射線発生装置から放出された放射線量を管理する管理区域に設定された放射線遮蔽構造物に利用可能である。
1 放射線遮蔽構造物
2 放射線発生装置
4 医療施設(建築物)
4a 外壁
5 遮蔽側壁部
6 遮蔽床部
7 遮蔽天井部
8 仕切壁
11 他用途領域、外部領域
51 第一コンクリート層(第一層)
52 第二コンクリート層(第二層)
53 中間層(中間層、空気層)
71 第一コンクリート層(第一層)
72 第二コンクリート層(第二層)
73 中間層(中間層、空気層)
Z 管理区域

Claims (5)

  1. 放射線発生装置から放出された放射線量を管理する管理区域に設定された放射線遮蔽構造物であって、
    前記放射線発生装置の側方を覆う遮蔽側壁部と、前記放射線発生装置の下方を覆う遮蔽床部と、前記放射線発生装置の上方を覆う遮蔽天井部と、が備えられ、
    前記遮蔽床部及び前記遮蔽天井部の何れか又はその両方は、前記放射線発生装置に近い側に設けられると共にコンクリートで構成される第一層と、前記第一層よりも前記放射線発生装置から遠ざかるように前記第一層に対して離間された状態で設けられると共にコンクリートで構成される第二層と、前記第一層と前記第二層との間に設けられると共に空気層によって構成された中間層と、を有し
    前記第一層及び前記第二層のうち下側に位置する層の上下方向の厚さは、前記第一層及び前記第二層のうち上側に位置する層の上下方向の厚さよりも厚く設定されている放射線遮蔽構造物。
  2. 前記中間層の外周部に、前記中間層と前記中間層の外部領域とを平面計画的に仕切る仕切壁が備えられ、
    前記中間層は、前記管理区域を管理する管理者の許可に基づいて立ち入り可能な室に構成されている請求項1に記載の放射線遮蔽構造物。
  3. 放射線使用室以外の用途に使用される他用途領域を有する建築物内に設けられている請求項1又は2に記載の放射線遮蔽構造物。
  4. 複数階層の前記建築物内において複数の階に亘る状態で設けられ、
    前記第一層と前記第二層とが異なる階に属している請求項に記載の放射線遮蔽構造物。
  5. 前記建築物において、平面視で前記建築物の外壁から前記建築物の中央側へ離間する状態で設けられている請求項又はに記載の放射線遮蔽構造物。
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