JP6410442B2 - リチウムイオン電池用負極の製造方法、及び、リチウムイオン電池の製造方法 - Google Patents

リチウムイオン電池用負極の製造方法、及び、リチウムイオン電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、リチウムイオン電池用スラリー、リチウムイオン電池用負極、リチウムイオン電池用負極の製造方法、リチウムイオン電池、及び、リチウムイオン電池用負極活物質の製造方法に関する。
近年、環境保護のため二酸化炭素排出量の低減が切に望まれている。自動車業界では、電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)の導入による二酸化炭素排出量の低減に期待が集まっており、これらの実用化の鍵を握るモータ駆動用二次電池の開発が鋭意行われている。二次電池としては、高エネルギー密度、高出力密度が達成できるリチウムイオン二次電池に注目が集まっている。
リチウムイオン二次電池は、一般に、バインダを用いて正極または負極活物質等を正極用または負極用集電体にそれぞれ塗布して電極を構成している。また、双極型の電池の場合には、集電体の一方の面にバインダを用いて正極活物質等を塗布して正極層を、反対側の面にバインダを用いて負極活物質等を塗布して負極層を有する双極型電極を構成している。
リチウムイオン二次電池において、充電時には、正極活物質からリチウムイオンが引き抜かれ、負極活物質に吸蔵される。一方、放電時には、負極活物質からリチウムイオンが放出され、正極活物質に移動する。このとき、一定の電気量(電気エネルギー)を外部に取り出すことができる。
しかしながら、リチウムイオン二次電池の多くは、初回の充放電時の不可逆容量が大きいという問題がある。ここで、不可逆容量とは、初回の充電容量(充電に要した電気量)と初回の放電容量(放電に要した電気量)との差である。つまり、不可逆容量が大きいことは、充電に見合った電気量を放電することができないことを意味する。不可逆容量の原因としては、主に、初回の充電時に負極に吸蔵されるが放電時に放出されないリチウムイオンの存在、及び、初回の充電時に電解液が分解する際に費やされる電気量の2つが考えられている。
不可逆容量の問題を解決するため、特許文献1には、不可逆容量が小さい電極用炭素材料を安定的に効率よく製造することを可能とする電極用炭素材料の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、二次電池を組み立てた後、2回目以降の充電のカットオフ電圧よりも高いカットオフ電圧で1回目の充電(予備充電)を行うことにより不可逆容量を補填する技術が開示されている。さらに、特許文献3には、二次電池において、負極と電気的に接続され、負極に接しない状態で金属リチウム又はリチウム合金を配置する技術が開示されている。
特開2011−40406号公報 特開2013−12336号公報 特開平8−102333号公報
特許文献1〜3に記載の発明では、二次電池の不可逆容量をある程度小さくすることはできるが、不可逆容量をさらに小さくしようとする要求は大きい。また、特許文献2に記載の発明のように、二次電池を組み立てた後に予備充電を行うと、予備充電の際に電解液が分解してガスが発生する。そのため、二次電池の製造工程において、デガス工程と呼ばれるガス抜き工程を行う必要があり、二次電池の製造工程を簡素化することができない原因となっている。
本発明は、上記状況を踏まえてなされたものであり、リチウムイオン電池の不可逆容量を小さくすることができる負極活物質を含むリチウムイオン電池用スラリーを提供することを目的とする。また、本発明は、該リチウムイオン電池用スラリーに含まれる負極活物質を有するリチウムイオン電池用負極、該リチウムイオン電池用負極の製造方法、該リチウムイオン電池用負極を用いたリチウムイオン電池、及び、上記リチウムイオン電池用スラリーを用いたリチウムイオン電池用負極活物質の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、リチウムイオン電池を組み立てる前の負極活物質にリチウム等をドープすることにより、リチウムイオン電池の不可逆容量を小さくすることができ、かつ、リチウムイオン電池の製造時にデガス工程を行う必要がないことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明のリチウムイオン電池用スラリーは、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質及び分散媒を含むリチウムイオン電池用スラリーであって、上記リチウムイオン電池用負極活物質は、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされてなることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極は、本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれるリチウムイオン電池用負極活物質を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極の製造方法は、本発明のリチウムイオン電池用スラリーを含むスラリーを膜上に塗布する工程と、加圧又は減圧してリチウムイオン電池用負極活物質を上記膜上に定着する工程とを含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池は、本発明のリチウムイオン電池用負極を用いたことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン二次電池は、本発明のリチウムイオン電池用負極を用いたリチウムイオン二次電池であって、不可逆容量が0.1〜50mAh/gであることを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極活物質の製造方法は、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質と分散媒とを混合し、原料スラリーを得る工程と、上記原料スラリー中の上記リチウムイオン電池用負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープする工程とを含むことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーにおいては、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされた粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質が含まれていることを特徴としている。つまり、リチウムイオン電池を組み立てる前の時点で、負極活物質にはリチウムイオンがあらかじめ吸蔵されている。したがって、この負極活物質を有する負極を用いてリチウムイオン電池を組み立てて初回の充放電を行った場合、放電時に放出されないリチウムイオンは依然として存在するが、そのリチウムイオンを正極活物質が負担する割合は小さくなる。そのため、初回の充電に費やした電気量を放電に費やすことができるため、不可逆容量を小さくすることができる。また、充電時に吸蔵されるリチウムイオンを供給する正極活物質は一般的に高価であるため、本発明では、正極活物質の使用量を低減することもできる。さらに、リチウムイオンがあらかじめ吸蔵された負極活物質を用いてリチウムイオン電池を製造する場合、初回の充電時に電解液が分解してガスが発生することがないため、リチウムイオン電池の製造時にデガス工程を行う必要がない。
実施例3で得た予備充電用負極をカッターナイフで切断し、断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−2000)で観察した写真である。
以下、本発明を詳細に説明する。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
[リチウムイオン電池用スラリー]
本発明のリチウムイオン電池用スラリーは、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質及び分散媒を含むリチウムイオン電池用スラリーであって、上記リチウムイオン電池用負極活物質は、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされてなることを特徴とする。
つまり、本発明のリチウムイオン電池用スラリーでは、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質が、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされた状態で分散媒中に分散している。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれる粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質は、電気化学的処理によりリチウム及び/又はリチウムイオンがドープされている。
リチウム及び/又はリチウムイオンは、金属リチウム及び/又は正極活物質からドープされていることが望ましく、金属リチウムからドープされていることがより望ましい。
例えば、製品であるリチウムイオン電池を作製する前に、負極活物質を有する負極と金属リチウム極とを用いて予備充電用電池を作製し、予備充電用電池に対して予備充電を行うことによって、負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープすることができる。また、製品であるリチウムイオン電池を作製する前に、負極活物質を有する負極と正極活物質を有する正極とを用いて予備充電用電池を作製し、予備充電用電池に対して予備充電を行うことによっても、負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープすることができる。
リチウムイオン電池用負極活物質としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコン、及び金属合金(例えばリチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiTi12等)等が挙げられる。
リチウムイオン電池用負極活物質の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01〜100μmであることが望ましく、0.1〜20μmであることがより望ましく、2〜10μmであることがさらに望ましい。
本明細書において、リチウムイオン電池用負極活物質の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーにおいて、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質は、リチウムイオン電池用スラリー全体の重量に対して25〜80重量%含まれていることが望ましく、40〜65重量%含まれていることがより望ましい。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれる分散媒としては、電解液、非水溶媒等が挙げられる。
これらの中では、電解液が望ましい。すなわち、本発明のリチウムイオン電池用スラリーは、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質及び電解液を含む電解液スラリーであることが望ましい。
電解液としては、リチウムイオン電池の製造に用いられる、電解質及び非水溶媒を含有する電解液を使用することができる。
電解液に含有される電解質としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から望ましいのはLiPFである。
電解液に含有される非水溶媒としては、通常の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から望ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に望ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に望ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も望ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合液である。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれる分散媒として使用する非水溶媒も、電解液に含有される非水溶媒と同じものを使用することができる。非水溶媒としては、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーにおいて、分散媒は、リチウムイオン電池用スラリー全体の重量に対して20〜75重量%含まれていることが望ましく、35〜60重量%含まれていることがより望ましい。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーは、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質及び分散媒の他、導電助剤等が含まれていてもよい。
導電助剤としては、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属{アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、金、銅及びチタン等}、カーボン{グラファイト及びカーボンブラック[アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等]等}、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電助剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、望ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、金、銅、チタン及びこれらの混合物であり、さらに望ましくは銀、金、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、特に望ましくはカーボンである。またこれらの導電助剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電助剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。また、導電助剤として、炭素繊維を用いてもよい。
導電助剤の形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電助剤の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01〜10μmであることが望ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、導電助剤の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーは、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされていない粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質と、分散媒と、必要に応じて導電助剤とを混合して原料スラリーを調製した後、原料スラリー中のリチウムイオン電池用負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープすることにより得ることができる。
上記の方法により、リチウムイオン電池用負極活物質が得られると考えることもできる。したがって、このようなリチウムイオン電池用負極活物質の製造方法も本発明の1つである。
[リチウムイオン電池用負極活物質の製造方法]
本発明のリチウムイオン電池用負極活物質の製造方法は、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質と分散媒とを混合し、原料スラリーを得る工程と、上記原料スラリー中の上記リチウムイオン電池用負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープする工程とを含むことを特徴とする。
以下、本発明のリチウムイオン電池用負極活物質の製造方法について説明する。
(1)まず、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質と分散媒とを混合し、原料スラリーを得る。必要により、導電助剤を加えてもよい。
このとき、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質を、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされていない状態で分散媒中に分散させる。
リチウムイオン電池用負極活物質、分散媒、導電助剤の種類などについては本発明のリチウムイオン電池用スラリーで説明したとおりであるので、その詳細な説明を省略する。
原料スラリーを得る際、粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質を、分散媒の重量に基づいて30〜90重量%の濃度で分散させることが望ましく、50〜80重量%の濃度で分散させることがより望ましい。
混合法は特に限定されないが、例えば、攪拌式、振とう式及び回転式などの混合機を使用した方法が挙げられる。また、ホモジナイザー、ボールミル、サンドミル、ロールミル及び遊星式混合機などの分散混合機を使用した方法も挙げられる。
(2)次に、原料スラリー中のリチウムイオン電池用負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープする。
リチウム及び/又はリチウムイオンをドープする方法は特に限定されないが、例えば、原料スラリーを用いて予備充電用負極を作製し、予備充電用負極と予備充電用正極とを備える予備充電用電池を作製した後、予備充電用電池に対して予備充電を行う方法などが挙げられる。
その方法の一例について、以下の(2−1)〜(2−3)で説明する。
(2−1)まず、原料スラリーを膜の上に塗布し、加圧又は減圧して、リチウムイオン電池用負極活物質を膜の上に定着させることにより、予備充電用負極を作製する。
膜としては、その後の加圧又は減圧において負極活物質と分散媒とを分離できるものが望ましい。また、膜が導電性の高い材料(導電性材料)からなると、集電体の代わりに膜を用いることができ、また、集電体と膜を接触させても導電性が阻害されないため望ましい。例えば、電気伝導度が100S/cm以上である材料を好適に用いることができる。
このような特性を有する材料の例としては、炭素繊維等の導電性繊維を配合した濾紙、金属メッシュ等が挙げられる。
金属メッシュとしては、ステンレス製メッシュを用いることが望ましく、例えばSUS316製の綾畳織金網(サンネット工業製)等が挙げられる。金属メッシュの目開きは、活物質粒子及び導電部材が通過しない程度とすることが望ましく、例えば2300メッシュのものを用いることが望ましい。
原料スラリーは、バーコーター、刷毛等の任意の塗工装置を用いて膜の上に塗布することができる。
加圧操作の方法としては、原料スラリーの塗布面の上からプレス機を用いてプレスする方法が挙げられる。また、減圧操作の方法としては、膜に原料スラリーが塗布されていない側の面に濾紙やメッシュ等を当てて、真空ポンプにより吸引する方法が挙げられる。加圧又は減圧により原料スラリーから分散媒が除去されて、負極活物質が膜の上に定着される。
上述のとおり、膜が導電性材料からなるとき、膜は集電体として使用することができ、また、集電体と膜を接触させて1つの集電体として機能させることもできる。
また、膜が導電性を有さない材料であるときは、膜をセパレータ側に配置するようにするとよい。また、膜をセパレータとしてもよい。導電性を有さない材料からなる膜の例としては、アラミドセパレータ(日本バイリーン株式会社製)等が挙げられる。
分散媒が電解液である場合、膜が負極活物質を透過させず電解液を透過させる膜であり、加圧又は減圧して電解液を膜を透過させて除去してもよい。
また、加圧又は減圧の後、原料スラリーをさらに強い圧力で加圧してもよい。
この工程(プレス工程ともいう)は、前述の加圧又は減圧工程よりも、更に圧力差を大きくして負極活物質の密度を向上させる工程である。プレス工程は、減圧工程の後に加圧するという態様と、加圧工程の後に加圧する圧力を更に高くするという態様の両方を含む。
さらに、膜の上に定着された予備充電用負極を、集電体又はセパレータの主面に転写する工程を行ってもよい。
この場合、予備充電用負極の主面のうち、膜と反対側の主面を集電体又はセパレータの主面に接触させて転写することが望ましい。
膜が導電性材料からなり、集電体の代わりに膜を用いる場合、膜と反対側の主面をセパレータの主面に接触させて転写させることが望ましい。また、膜を集電体として用いない場合は、転写後に、膜を剥離する工程を行うことが望ましい。
(2−2)次に、予備充電用負極と予備充電用正極とを備える予備充電用電池を作製する。
例えば、予備充電用負極を、対極となる予備充電用正極を組み合わせて、セパレータとともにセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することで予備充電用電池を得ることができる。また、集電体の一方の面に予備充電用正極を形成し、もう一方の面に予備充電用負極を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでも予備充電用電池を得ることができる。
予備充電用正極としては、正極活物質を有する正極及び金属リチウム極を用いることができるが、正極活物質は高価であることから、金属リチウム極を用いることが望ましい。
正極活物質を有する正極を用いる場合、正極活物質を有する正極は、バインダ(結着剤)を用いて正極活物質を集電体に塗布して乾燥させることにより作製することができる。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn)、リチウムと遷移金属とのリン酸塩(例えばLiFePO)等が挙げられる。
バインダとしては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の高分子化合物が挙げられる。
集電体としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、焼成炭素、導電性高分子及び導電性ガラス等が挙げられる。
セパレータとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維、ガラス繊維等からなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニア等のセラミック微粒子を付着させたもの等が挙げられる。
電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれる電解液として上述した電解液を使用することができる。
(2−3)予備充電用電池に対して予備充電を行う。
これにより、リチウムイオン電池用負極活物質にリチウム及び/又はリチウムイオンをドープすることができる。
予備充電の方法は特に限定されないが、予備充電用電池に対して1サイクルの充放電を行う方法が望ましい。
上記の方法により、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされた粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質を製造することができる。製造されたリチウムイオン電池用負極活物質は電解液を含むスラリーの状態であるため、上記の方法により、分散媒が電解液である場合の本発明のリチウムイオン電池用スラリーを製造することができたとも言える。
なお、後述するように、製造されたリチウムイオン電池用負極活物質を用いてリチウムイオン電池用負極を作製する場合、予備充電用電池を解体する必要がある。
[リチウムイオン電池用負極]
本発明のリチウムイオン電池用負極は、上述した本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれるリチウムイオン電池用負極活物質を有することを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池用負極の厚さは、リチウムイオン電池の高容量化の観点から、50〜5000μmが好ましく、より好ましくは50〜1000μmであり、さらに好ましくは150〜800μmである。
本発明においては、上記リチウムイオン電池用スラリーを用いることにより、吸引濾過(減圧)等により電極層を形成でき、従来のバインダを用いた電極で厚膜化する際のバインダ溶媒の乾燥時の偏在によるクラック等の不具合が発生しないため、厚膜化が可能である。したがって、活物質の重量あたりの不可逆容量が小さく、かつ、充放電容量の大きい電極が作成可能である。
本発明のリチウムイオン電池用負極を作製する方法は特に限定されないが、例えば、本発明のリチウムイオン電池用スラリーを上述の方法で製造した場合、予備充電用電池を解体して取り外した予備充電用負極を本発明のリチウムイオン電池用負極として使用することができる。
また、予備充電用電池を解体して予備充電用負極を取り外した後、予備充電用負極に定着したスラリーに分散媒を加えて再びスラリー化し、予備充電用負極を作製する方法と同様の方法により本発明のリチウムイオン電池用負極を作製することができる。この場合、スラリーを膜の上に塗布し、加圧又は減圧して、リチウムイオン電池用負極活物質を膜の上に定着させることにより、本発明のリチウムイオン電池用負極を作製する。
使用する分散媒や膜の種類、加圧・減圧操作の方法などについては、予備充電用負極を作製する場合と同様であるため、その詳細な説明を省略する。
[リチウムイオン電池]
本発明のリチウムイオン電池は、上述した本発明のリチウムイオン電池用負極を用いたことを特徴とする。
本発明のリチウムイオン電池を作製する方法は特に限定されないが、例えば、本発明のリチウムイオン電池用負極とリチウムイオン電池用正極を組み合わせて、セパレータとともにセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することで得ることができる。また、集電体の一方の面に本発明のリチウムイオン電池用負極を形成し、もう一方の面にリチウムイオン電池用正極を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収納し、電解液を注入し、セル容器を密封することでも得ることができる。
リチウムイオン電池用正極としては、正極活物質を有する正極を用いることができる。正極活物質を有する正極は、バインダを用いて正極活物質を集電体に塗布して乾燥させることにより作製することができる。
正極活物質としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物(例えばLiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn)、リチウムと遷移金属とのリン酸塩(例えばLiFePO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール)等が挙げられる。
バインダ及び集電体としては、予備充電用正極を作製する際に使用するものと同じものを使用することができる。
セパレータ及び電解液としては、予備充電用電池を作製する際に使用するものと同じものを使用することができる。
[リチウムイオン二次電池]
本発明のリチウムイオン電池は、リチウムイオン二次電池として使用することができる。本発明のリチウムイオン電池は本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれるリチウムイオンを有する負極を備えるため、不可逆容量を小さくすることができる。
すなわち、上述した本発明のリチウムイオン電池用負極を用いたリチウムイオン二次電池であって、不可逆容量が0.1〜50mAh/gであることを特徴とするリチウムイオン二次電池もまた、本発明の1つである。
本発明のリチウムイオン二次電池において、不可逆容量は望ましくは0.1〜50mAh/gであり、より望ましく0.5〜35mAh/gである。
リチウムイオン二次電池の不可逆容量は、実施例に記載する方法で充放電を行い、充放電の1サイクル目の充電容量から放電容量を差し引くことにより求めることができる。なお、上記の不可逆容量は、活物質の重量当たりの不可逆容量である。
次に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明の主旨を逸脱しない限り本発明は実施例に限定されるものではない。なお、特記しない限り部は重量部、%は重量%を意味する。
[炭素繊維の作製]
炭素繊維は、Eiichi Yasuda,Asao Oya,Shinya Komura,Shigeki Tomonoh,Takashi Nishizawa,Shinsuke Nagata,Takashi Akatsu、CARBON、50、2012、1432−1434及びEiichi Yasuda,Takashi Akatsu,Yasuhiro Tanabe,Kazumasa Nakamura,Yasuto Hoshikawa,Naoya Miyajima、TANSO、255、2012、254〜265頁の製造方法を参考にして製造した。
炭素前駆体として合成メソフェーズピッチAR・MPH(三菱ガス化学(株)製)10重量部とポリメチルペンテンTPX RT18(三井化学(株)製)90重量部を、バレル温度310℃、窒素雰囲気下で一軸押出機を用いて溶融混練し、樹脂組成物を調製した。
上記樹脂組成物を390℃で溶融押出し紡糸した。紡糸した樹脂組成物を電気炉に入れ、窒素雰囲気下270℃で3時間保持し炭素前駆体を安定化させた。ついで、電気炉を1時間かけて500℃まで昇温し、500℃で1時間保持し、ポリメチルペンテンを分解除去した。電気炉を2時間かけて1000℃まで昇温し1000℃で30分間保持し、残った安定化させた炭素前駆体を導電性繊維とした。
得られた導電性繊維90重量部、水500重量部とΦ0.1mmのジルコニアボール1000重量部をポットミル容器に入れ5分間粉砕した。ジルコニアボールを分級後、100℃で乾燥し、導電性の炭素繊維を得た。
SEMでの測定結果より、平均繊維径は、0.9μm、平均繊維長は、25μmであった。
[電解液の作製]
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)に、LiPFを1mol/Lの割合で溶解させてリチウムイオン電池用電解液を作製した。
[リチウムイオン電池用正極の作製]
正極活物質粒子としてのLiFePO粉末(中国製 SLFP−ES01)85重量部、アセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]10重量部を、ポリフッ化ビニリデン[シグマアルドリッチ社製]5重量部を含むN−メチルピロリドン(以下、NMP)溶液と混合して溶剤スラリーを作製した。
上記溶剤スラリーを、大気中でコーターを用いて厚さ20μmのアルミニウム電解箔上の片面に塗布し、100℃で15分間乾燥させてリチウムイオン電池用正極(C1:目付量10.5mg/cm、C2:目付量63.0mg/cm)を作製した。
<実施例1>
[リチウムイオン電池用負極の作製]
負極活物質粒子としての難黒鉛化性炭素((株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F))100重量部を、電解液に対する含有量が55重量%となるように上記電解液と混合して、遊星式混合機で撹拌することにより、原料スラリーを作製した。
膜としてアラミドセパレータ(日本バイリーン株式会社製)を準備し、上記アラミドセパレータに原料スラリーを塗布し、吸引濾過(減圧)するとともに加圧圧力1.5kg/cmで加圧することにより、負極活物質粒子をアラミドセパレータ上に定着させて、目付量6.0mg/cm(電極厚み75μm)となるように予備充電用負極を作製した。
作製した予備充電用負極を、φ15mmに打ち抜き、φ15mmのLi金属からなる予備充電用正極と共に2032型コインセル内の両端に配置した。
負極側の集電体としては厚さ20μmの銅箔を用い、予備充電用負極のアラミドセパレータをセパレータ側(正極側)に配置した。
電極間にセパレータ(セルガード3501)を2枚挿入し、予備充電用セルを作製した。セルに上記電解液を注液密封し、予備充電用電池を作製した。
室温下、充放電測定装置「HJ0501SM8A」[北斗電工(株)製]を用いて、電流0.1C、下限電位0VでCC−CV充電し、10分間の休止後、電流0.1C、上限電位1.5VでCC放電することにより予備充電を行った。
予備充電用電池を解体し、予備充電用正極及びセパレータを取り外すことにより、リチウムイオン電池用負極を得た。アラミドセパレータ上には、負極活物質粒子及び電解液を含むペースト状のスラリーが付着しており、この負極活物質粒子はリチウム及び/又はリチウムイオンがドープされている。
[不可逆容量の評価]
作製したリチウムイオン電池用負極を、φ15mmに打ち抜いたリチウムイオン電池用正極(C1)と共に2032型コインセル内の両端に配置した。
負極側の集電体としては厚さ20μmの銅箔を用い、負極のアラミドセパレータをセパレータ側(正極側)に配置した。
電極間にセパレータ(セルガード3501)を2枚挿入し、不可逆容量評価用セルを作製した。セルに上記電解液を注液密封し、不可逆容量評価用電池を作製した。
室温下、充放電測定装置「HJ0501SM8A」[北斗電工(株)製]を用いて、電流0.1C、上限電位4.0VでCC−CV充電し、10分間の休止後、電流0.1C、下限電位1.5VでCC放電した。その際、充電後の充電容量(mAh/φ15mm)及び放電後の放電容量(mAh/φ15mm)を測定し、充電容量から放電容量を差し引くことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求めた。この不可逆容量から、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<実施例2>
負極活物質粒子としての難黒鉛化性炭素((株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F))96重量部及び導電材としての上記炭素繊維4重量部を、電解液に対する含有量が55重量%となるように上記電解液と混合して、遊星式混合機で撹拌することにより、原料スラリーを作製した。
この原料スラリーを用いて、実施例1と同様に、目付量6.0mg/cm(電極厚み75μm)となるように予備充電用負極を作製し、予備充電用電池を作製し、予備充電を行うことにより、リチウムイオン電池用負極を得た。
その後、実施例1と同様に、不可逆容量評価用電池を作製し、実施例1と同じ条件で充放電を行うことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求め、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<実施例3>
実施例1と同様の操作で、目付量60.0mg/cm(電極厚み750μm)となるように予備充電用負極を作製し、予備充電用電池を作製し、予備充電を行うことにより、リチウムイオン電池用負極を得た。
その後、実施例1で用いたリチウムイオン電池用正極(C1)の代わりにリチウムイオン電池用正極(C2)を用い、不可逆容量評価用電池を作製し、実施例1と同じ条件で充放電を行うことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求め、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
予備充電用負極をカッターナイフで切断し、断面をデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製:VHX−2000)で観察した写真を図1に示す。
<実施例4>
実施例2と同様の操作で、目付量60.0mg/cm(電極厚み750μm)となるように予備充電用負極を作製し、予備充電用電池を作製し、予備充電を行うことにより、リチウムイオン電池用負極を得た。
その後、実施例1で用いたリチウムイオン電池用正極(C1)の代わりにリチウムイオン電池用正極(C2)を用い、不可逆容量評価用電池を作製し、実施例1と同じ条件で充放電を行うことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求め、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<比較例1>
[リチウムイオン電池用負極の作製]
負極活物質粒子としての難黒鉛化性炭素((株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F))100重量部を、電解液に対する含有量が55重量%となるように上記電解液と混合して、遊星式混合機で撹拌することにより、原料スラリーを作製した。
膜としてアラミドセパレータ(日本バイリーン株式会社製)を準備し、上記アラミドセパレータに原料スラリーを塗布し、吸引濾過(減圧)するとともに加圧圧力1.5kg/cmで加圧することにより、負極活物質粒子をアラミドセパレータ上に定着させて、目付量6.0mg/cm(電極厚み75μm)となるようにリチウムイオン電池用負極を作製した。
[不可逆容量の評価]
作製したリチウムイオン電池用負極を、φ15mmに打ち抜き、φ15mmに打ち抜いたリチウムイオン電池用正極(C1)と共に2032型コインセル内の両端に配置した。
負極側の集電体としては厚さ20μmの銅箔を用い、負極のアラミドセパレータをセパレータ側(正極側)に配置した。
電極間にセパレータ(セルガード3501)を2枚挿入し、不可逆容量評価用セルを作製した。セルに上記電解液を注液密封し、不可逆容量評価用電池を作製した。
室温下、充放電測定装置「HJ0501SM8A」[北斗電工(株)製]を用いて、電流0.1C、上限電位4.0VでCC−CV充電し、10分間の休止後、電流0.1C、下限電位1.5VでCC放電した。その際、充電後の充電容量(mAh/φ15mm)及び放電後の放電容量(mAh/φ15mm)を測定し、充電容量から放電容量を差し引くことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求めた。この不可逆容量から、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<比較例2>
負極活物質粒子としての難黒鉛化性炭素((株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F))96重量部及び導電材としての上記炭素繊維4重量部を、電解液に対する含有量が55重量%となるように上記電解液と混合して、遊星式混合機で撹拌することにより、原料スラリーを作製した。
この原料スラリーを用いて、比較例1と同様に、目付量6.0mg/cm(電極厚み75μm)となるようにリチウムイオン電池用負極を作製した。
その後、比較例1と同様に、不可逆容量評価用電池を作製し、比較例1と同じ条件で充放電を行うことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求め、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<比較例3>
負極活物質粒子としての難黒鉛化性炭素((株)クレハ・バッテリー・マテリアルズ・ジャパン製 カーボトロン(登録商標)PS(F))90重量部、アセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]5重量部を、ポリフッ化ビニリデン[シグマアルドリッチ社製]5重量部を含むN−メチルピロリドン(以下、NMP)溶液と混合して溶剤スラリーを作製した。
上記溶剤スラリーを、大気中でコーターを用いて厚さ20μmの銅箔上の片面に塗布し、100℃で15分間乾燥させて予備充電用負極(目付量6.0mg/cm)を作製した。
作製した予備充電用負極を、φ15mmに打ち抜き、φ15mmのLi金属からなる予備充電用正極と共に2032型コインセル内の両端に配置した。
負極側の集電体としては厚さ20μmの銅箔を用いた。
電極間にセパレータ(セルガード3501)を2枚挿入し、予備充電用セルを作製した。セルに上記電解液を注液密封し、予備充電用電池を作製した。
室温下、充放電測定装置「HJ0501SM8A」[北斗電工(株)製]を用いて、電流0.1C、下限電位0VでCC−CV充電し、10分間の休止後、電流0.1C、上限電位1.5VでCC放電することにより予備充電を行った。
予備充電用電池を解体し、予備充電用正極及びセパレータを取り外すことにより、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされたリチウムイオン電池用負極を得た。
実施例1と同様に、不可逆容量評価用電池を作製し、実施例1と同じ条件で充放電を行うことにより不可逆容量(mAh/φ15mm)を求め、活物質の重量当たりの不可逆容量(mAh/g)を求めた。
<比較例4>
比較例3と同様の組成の溶剤スラリーを作製した。
上記溶剤スラリーを、大気中でコーターを用いて厚さ20μmの銅箔上の片面に目付量60.0mg/cmとなるように塗布し、100℃で15分間乾燥させたが、表面にクラックが入り、電極ができなかった。
表1に示された結果から、リチウム及び/又はリチウムイオンがドープされた負極活物質を有する負極を用いたリチウムイオン電池では、活物質の重量当たりの不可逆容量を小さくすることができることがわかる。また、本発明のリチウムイオン電池用スラリーを用いれば、電極の厚膜化が可能であり、充放電容量の大きい電極を作成できることがわかる。
本発明のリチウムイオン電池用スラリーに含まれるリチウムイオン電池用負極活物質は、特に、携帯電話、パーソナルコンピューター及びハイブリッド自動車、電気自動車用に用いられる双極型二次電池用及びリチウムイオン二次電池用等の負極活物質として有用である。

Claims (2)

  1. 粒子状のリチウムイオン電池用負極活物質及び電解液を含原料スラリーを得る工程と、
    前記原料スラリーを、アラミドセパレータ、導電性繊維を配合した濾紙、又は、金属メッシュからなる膜の上に塗布し、加圧又は減圧して、前記リチウムイオン電池用負極活物質を前記膜の上に定着させることにより、予備充電用負極を作製する工程と、
    前記予備充電用負極と予備充電用正極とを備える予備充電用電池を作製する工程と、
    前記予備充電用電池に対して予備充電を行う工程と、
    予備充電後の前記予備充電用電池を解体する工程とを含み、
    前記予備充電用電池を解体して前記予備充電用負極を取り外した後、前記予備充電用負極に定着したスラリーに電解液を加えて再びスラリー化し、このスラリーを、アラミドセパレータ、導電性繊維を配合した濾紙、又は、金属メッシュからなる膜の上に塗布し、加圧又は減圧して、前記リチウムイオン電池用負極活物質を前記膜の上に定着させることにより、リチウムイオン電池用負極を作製することを特徴とするリチウムイオン電池用負極の製造方法。
  2. 請求項1に記載の方法によりリチウムイオン電池用負極を作製する工程を含むことを特徴とするリチウムイオン電池の製造方法。
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