以下、本発明を遊技機の一種である回胴式遊技機、具体的にはスロットマシンに適用した場合の一実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1はスロットマシン10及びカードユニット230の正面図、図2は、カードユニット230はそのままで、スロットマシン10の前面扉12を開いた状態の斜視図、図3は、カードユニット230はそのままで、スロットマシン10の前面扉12を取り外した状態の筐体11の正面図である。本実施の形態においてスロットマシン10は、カードユニット230に接続されて使用されるものであり、カードユニット230に挿入された磁気カード(貸出媒体)に記憶される残高金額(有価価値)の範囲内で、メダル(貸球)を遊技媒体として払い出すようになっている。尚、本実施の形態においては、貸球は、仮想メダル(クレジットメダル)によって仮想的に払い出されるように構成されている。
図1〜図3に示すように、スロットマシン10は、その外殻を形成する筐体11を備えている。筐体11は、図2および図3に示すように、木製板状に形成された天板11a、底板11b、背板11c、左側板11d及び右側板11eからなり、隣接する各板11a〜11eが接着等の固定手段によって固定されることにより、全体として前面を開放した箱状に形成されている。なお、各板11a〜11eは木製のパネルによって構成する以外に、合成樹脂製パネル又は金属製パネルによって構成してもよいし、合成樹脂材料又は金属材料によって一体の箱状に形成することによって構成してもよい。以上のように構成された筐体11は、遊技ホールへの設置の際にいわゆる島設備に対し釘を打ち付ける等して取り付けられる。
筐体11の前面側には、前面開閉扉としての前面扉12が開閉可能に取り付けられている。すなわち、筐体11の左側板11dには、図3に示すように、上下一対の支軸25a,25bが設けられている。支軸25a,25bは上方に向けて突出した先細り形状の軸部を備えている。一方、前面扉12には、各支軸25a,25bに対応して当該支軸25a,25bの軸部が挿入される挿入孔を備えた支持金具26a,26bが設けられている。そして、各支軸25a,25bの上方に支持金具を配置した上で前面扉12を降下することにより、支持金具26a,26bの挿入孔に支軸25a,25bの軸部が挿入された状態となる。これにより、前面扉12は筐体11に対して両支軸25a,25bを結ぶ上下方向へ延びる開閉軸線を中心として回動可能に支持され、その回動によって筐体11の前面開放側を開放したり閉鎖することができるように構成されている。
前面扉12は、その裏面に設けられた施錠装置によって開放不能な施錠状態とされる。また、前面扉12の右端側上部には、図1に示すように、解錠操作部たるキーシリンダ20が設けられている。キーシリンダ20は施錠装置と一体化されており、キーシリンダ20に対する所定のキー操作によって前記施錠状態が解除されるように構成されている。そこで、施錠装置を含むロック機構について概略を説明する。
前面扉12の右端側、すなわち前面扉12の開閉軸の反対側には、その裏面に施錠装置が設けられている。施錠装置は、図1および図2に示すように、上下方向に延び前面扉12に固定された基枠と、基枠の上部から前面扉12の前方に延びるように設けられたキーシリンダ20と、基枠に対して上下方向に移動可能に組み付けられた長尺状の連動杆21とを備えている。そして、施錠装置のうちキーシリンダ20だけが前面扉12の前方に突出した状態で設けられている。キーシリンダ20が設けられる位置は前面扉12の中でも肉厚の薄い上部位置とされており、その結果、全長の短い汎用性のあるキーシリンダ20を採用することができる。なお、本実施の形態では、キーシリンダ20として、不正解錠防止機能の高いオムロック(商標名)が用いられている。
連動杆21は、キーシリンダ20に差し込んだキーを時計回りに操作することで下方へ移動する。連動杆21には、鉤形状をなす上下一対の鉤金具22が設けられており、筐体11に対して前面扉12を閉鎖した際には、鉤金具22が筐体11側の支持金具23(図3参照)に係止されて施錠状態となる。なお、鉤金具22には施錠状態を維持する側へ付勢するコイルバネ等の付勢部材が設けられている。キーシリンダ20に対してキーが時計回りに操作されると、連動杆21が下方に移動し、前記付勢部材の付勢力に抗して鉤金具22が移動することにより当該鉤金具22と支持金具23との係止状態が解除され、筐体11に対する前面扉12の施錠状態が解除される。
前面扉12の中央部上寄りには、図1に示すように、遊技者に遊技状態を報知する遊技パネル30が設けられている。遊技パネル30には、縦長の3つの表示窓31L,31M,31Rが横並びとなるように形成されている。表示窓31L,31M,31Rは透明又は半透明な材質により構成されており、各表示窓31L,31M,31Rを通じてスロットマシン10の内部が視認可能な状態となっている。なお、各表示窓31L,31M,31Rを1つにまとめて共通の表示窓としてもよい。
図2に示すように、筐体11は仕切り板40によりその内部が上下2分割されており、仕切り板40の上部には、表示装置を構成するリールユニット41が取り付けられている。リールユニット41は、円筒状(円環状)にそれぞれ形成された左リール42L,中リール42M,右リール42Rを備えている。なお、各リール42L,42M,42Rは少なくとも無端状ベルトとして構成されていればよく、円筒状(円環状)に限定されるものではない。また、ベルトやドラム等の回胴として構成しても良い。
各リール42L,42M,42Rは、その中心軸線が当該リールの回転軸線となるように回転可能に支持されている。各リール42L,42M,42Rの回転軸線は略水平方向に延びる同一軸線上に配設され、それぞれのリール42L,42M,42Rが各表示窓31L,31M,31Rと1対1で対応している。従って、各リール42L,42M,42Rの表面の一部はそれぞれ対応する表示窓31L,31M,31Rを通じて視認可能な状態となっている。また、リール42L,42M,42Rが正回転すると、各表示窓31L,31M,31Rを通じてリール42L,42M,42Rの表面は上から下へ向かって移動しているかのように映し出される。
これら各リール42L,42M,42Rは、それぞれがステッピングモータ61(61L,61M,61R(図4参照))に連結されており、各ステッピングモータ61L,61M,61Rの駆動により各リール42L,42M,42Rが個別に、即ちそれぞれ独立して回転駆動し得る構成となっている。
ステッピングモータ61は例えば504パルスの駆動信号(励磁信号あるいは励磁パルスとも言う。以下同じ)を与えることにより1回転されるように設定されており、この励磁パルスによってステッピングモータ61の回転位置、すなわち対応する各リール42L,42M,42Rの回転位置が制御される。
各リール42L,42M,42Rの各ベルト上には、その長辺方向(周回方向)に複数個、具体的には21個の図柄が描かれている。従って、所定の位置においてある図柄から次の図柄へ切り替えるには24パルス(=504パルス÷21図柄)を要する。そして、後述するリールインデックスセンサ55(図4参照)の検出信号が出力された時点からのパルス数により、どの図柄が表示窓31L,31M,31Rから視認可能な状態となっているかを認識したり、任意の図柄を露出窓31L,31M,31Rから視認可能な状態としたりする制御を行うことができる。
各リール42L,42M,42Rに付された図柄のうち、表示窓31L,31M,31Rを介して全体を視認可能な図柄数は、主として表示窓31L,31M,31Rの上下方向の長さによって決定される所定数に限られている。本実施形態では各リール3個ずつとされている。このため、各リール42L,42M,42Rがすべて停止している状態では、3×3=9個の図柄が遊技者に視認可能な状態となる。
なお、リールユニット41の各リール42L,42M,42Rは識別情報を変動表示する表示装置の一例であり、表示装置はこれ以外の構成であってもよい。例えば、ベルトを自転させるのではなく周回させるタイプ等の他の機械的なリール構成としてもよく、また、機械的なリール構成に代えて、或いはこれに加えて、液晶表示器、ドットマトリックス表示器等の電気的表示により識別情報を変動表示させるものを設けてもよく、この場合は表示形態に豊富なバリエーションをもたせることが可能となる。
遊技パネル30には、各表示窓31L,31M,31Rを結ぶようにして、横方向へ平行に3本、斜め方向へたすき掛けに2本、計5本の組合せラインが付されている。勿論、最大組合せライン数を6以上としてもよく、5未満としてもよく、所定条件に応じて最大組合せライン数を変更するようにしてもよい。これら各組合せラインに対応して、表示窓31L,31M,31R群の正面から見て左側には有効ライン表示部32,33,34が設けられている。第1有効ライン表示部32は組合せラインのうち中央の横ライン(中央ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第2有効ライン表示部33は組合せラインのうち上下の横ライン(上ライン及び下ライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。第3有効ライン表示部34は組合せラインのうち一対の斜めライン(右下がりライン及び右上がりライン)が有効化された場合に点灯等によって表示報知される。そして、有効化された組合せライン、すなわち有効ライン上に図柄が所定の組合せで停止した場合に入賞となり、予め定められたメダル払出処理や特定遊技への移行処理などが実行される。
本実施の形態においては、図柄の組み合わせによって、遊技価値の異なる複数の役が用意されている。具体的には、ボーナス図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせであるボーナス役、小役図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせである小役、リプレイ図柄として設定された図柄が有効ライン上に揃う組み合わせであるリプレイ役などである。ボーナス役に入賞した場合(ボーナス図柄が有効ライン上に揃った場合)には、15枚のメダルが払出される。小役に入賞した場合(小役図柄が有効ライン上に揃った場合)には、小役図柄の種類に応じて、2枚〜8枚のメダルが払い出される。リプレイ役に入賞した場合(リプレイ図柄が有効ライン上に揃った場合)には、遊技者にベット(遊技を開始するために必要なメダルの投入)なしで再度遊技をする権利が付与される。ボーナス役、小役、リプレイ役に入賞しなかった場合(有効ライン上に左・中・右と同一図柄が揃わない場合)は、外れとなり、この場合には一切メダル払出は行われない。
遊技パネル30の下方左側には、図1に示すように、各リール42L,42M,42Rを一斉(同時である必要はない)に回転開始させるために操作されるスタートレバー71が設けられている。スタートレバー71はリール42L,42M,42Rを回転開始、すなわち図柄の変動表示を開始させるべく始動操作が行われる始動操作手段を構成する。スタートレバー71は、遊技者が遊技(ゲーム)を開始するときに手で押し操作するレバーであり、内蔵されるバネにより手が離れたあと元の位置に自動復帰する。メダルが投入されているときにこのスタートレバー71が操作されると、各リール42L,42M,42Rが一斉に又は若干の時間間隔をおいて回転を始める。
スタートレバー71の右側には、図1に示すように、回転している各リール42L,42M,42Rを個別に停止させるために操作されるボタン状のストップスイッチ72,73,74が設けられている。各ストップスイッチ72,73,74は停止対象となるリール42L,42M,42Rに対応する表示窓31L,31M,31Rの直下にそれぞれ配置されている。ストップスイッチ72,73,74はリール42L,42M,42Rの回転に基づく変動表示を停止させるべく操作される停止操作手段を構成する。各ストップスイッチ72,73,74は、左リール42Lが回転を開始してから所定時間が経過すると停止させることが可能な状態となり、かかる状態中には図示しないランプが点灯表示されることによって停止操作が可能であることが報知され、回転が停止すると消灯されるようになっている。
ストップスイッチ74の右方には、残高表示器190が設けられている。残高表示器190は、カードユニット230から貸し出される貸球(貸メダル)に関する処理を行う装置であり、後述するカードユニット接続端子板250を介してスロットマシン10とカードユニット230との両者に接続されている。この残高表示器190は、度数表示LED205と、返却ボタン200と、球貸ボタン210と、球貸可LED220とを備えている。
度数表示LED205は、後述するカードユニット230により読み取られる磁気カードの残高金額を表示する3つの7セグメントLEDにより構成されている。本実施の形態では、球貸し(貸しメダル)を100円単位で実行するので、度数表示LED205は、残高金額を百の位以上で表示するようになっている。図1の正面視において最も右側の7セグメントLEDには、残高金額の百の位の値が表示され、真ん中の7セグメントLEDには千の位の値が表示され、最も左側の7セグメントLEDには万の位の値が表示される。尚、本実施の形態においては、度数表示LED205は、金額を表示するものとしたが、金額に代えて、残高金額に相当する残度数や残球数(残メダル数)を表示するものとしても良い。
度数表示LED205の右側には、カードユニット230から磁気カードを取り出すための返却ボタン200が配設されている。返却ボタン200は、スロットマシン10の奥方へ(図1において紙面奥側へ)押下可能に形成されると共に、通常時には内蔵されたスプリングによりスロットマシン10の前面側に付勢されている。また、返却ボタン200は、返却ボタン200の押下によりオンされると共に押下された応力から解放されるとオフされる押しボタンタイプのスイッチを内蔵している。返却ボタン200が押下(スイッチオン)されると、遊技の実行状態に関わらず、スロットマシン10からカードユニット230へ返却スイッチ信号RES(図5参照)が出力され、カードユニット230に、カードの返却が要求される。これにより、カードユニット230に挿入中の磁気カードは、図示しないアクチュエータによって、カード挿入口224から強制的に排出される。なお、本実施形態では、返却スイッチ信号RESは、カードユニット接続端子板250を介してスロットマシン10からカードユニット230へ出力されるが、カードユニット接続端子板250を介すこと無く、スロットマシン10からカードユニット230へ出力するようにしても良い。
一方、残高表示器190の左側には、貸球の払い出し(球貸し)を要求するための球貸ボタン210が配設されている。球貸ボタン210は、スロットマシン10の奥方へ(図1において紙面奥側へ)押下可能に形成されると共に、通常時には内蔵されたスプリングによりスロットマシン10の前面側に付勢されている。また、球貸ボタン210は、球貸ボタン210の押下によりオン(球貸ボタン信号SG1オン(図5参照))となると共に押下された応力から解放されるとオフ(球貸ボタン信号SG1オフ)となる押しボタンタイプのスイッチを内蔵している。
球貸しは、スロットマシン10とカードユニット230との両者が、共に球貸し可能な状態にある場合に実行可能となる。スロットマシン10においては、次の3つの条件が全て成立している場合が、球貸し可能な状態(第2状態)とされている。第1の条件は、スロットマシン10において遊技が実行状態にない場合(遊技が非実行状態にある場合)、即ち、スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つメダルの払い出しが無いか、或いはメダルの払い出しがあってもその払い出しが終了している場合である。
尚、メダルがベットされた状態でスタートレバー71が操作されるとリール42L,42M,42Rは回転を開始するが、スタートレバー71の操作により直ちにリール42L,42M,42Rは回転を開始せず、回転を待機する状態となる。かかる場合は、リール42L,42M,42Rは停止中で且つメダルの払い出しは無いが、遊技は実行状態と認識される。尚、メダルがベットされていなければ、スタートレバー71を操作してもリール42L,42M,42Rが回転することはないので、スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中とはならない。
第2の条件は、メダルがマックスベットされていないことである。遊技を開始するために必要なメダルは、最大3枚であり、遊技を開始するために3枚のメダルがベットされると、マックスベットとなる。つまり、ベットされたメダルの枚数が2枚以下であると、第2の条件が成立することとなる。
第3の条件は、「クレジットモード」とされており、球貸しによってクレジットメダルの払い出し(貸し出し)が実行されても、クレジットメダルの貯留数が「50」を越えない、即ち、クレジットメダルの貯留数が「45」以下となっていることである。かかる3つの条件が成立している場合に、この球貸ボタン210が押下されると、球貸しが実行されるようになっている(図10のS512参照)。
また、球貸ボタン210の左側上方には、球貸しが可能であるか否かを表示する球貸可LED220が配設されている。この球貸可LED220は、球貸しが可能である場合に点灯され、一方、球貸しが不能である場合に消灯されるように構成されている。尚、本実施の形態においては、スロットマシン10において上記の3つの条件が成立しており(遊技が非実行状態(スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止中で、且つメダルの払い出しが無いか或いは終了している状態)にあり、更に、ベットされたメダルの枚数が2枚以下で、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下)、且つカードユニット230に磁気カードが挿入されている(磁気カードが貸球の払い出し(精算)を実行できる残高金額を有している)ことを必要条件として、球貸可LED220が点灯される(図10,図13参照)。
表示窓31L,31M,31Rの下方右側には、図1に示すように、遊技を行うための遊技媒体としてのメダルを投入するためのメダル投入口75が設けられている。メダル投入口75は遊技媒体を受入可能な受入口を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴う点に着目すれば、遊技媒体を直接入力する直接入力手段を構成するものともいえる。
メダル投入口75から投入されたメダルは、図2に示すように、前面扉12の背面に設けられたセレクタ83によって貯留用通路81か排出用通路82のいずれかへ導かれる。セレクタ83内部には、メダルが1列で通行可能なようにして、メダル投入口75から投入されたメダルを貯留用通路81へ導く案内通路が形成されている。また、メダル通路切替部材84(図4参照)が設けられ、そのメダル通路切替部材84の状態に応じてメダルの通過方向を、排出用通路82側か、貯留用通路81側かに切り替えるようになっている。
メダル通路切替部材84は、案内通路の上流部に設けられ案内通路に対して出没可能な通路切替片と、この通路切替片を動作させるためのセレクタソレノイドとを有している。セレクタソレノイドの非励磁時には案内通路内に通路切替片が突出し、貯留用通路81へのメダルの流れが阻害される。これにより、メダルは、案内通路の途中から下方に落下し、排出用通路82に導かれる。排出用通路82に導かれたメダルは、前面扉12の前面下部に設けられたメダル排出口17からメダル受け皿18へと導かれ、遊技者に返却される。また、セレクタソレノイドの励磁時には案内通路外に通路切替片が没する。これにより、メダルは案内通路に沿って流れ、貯留用通路81に導かれる。貯留用通路81に導かれたメダルは、筐体11の内部に収納されたホッパ装置91へと導かれる。
案内通路において通路切替片の下流側には、メダルの通過を検出する第1投入メダル検出センサ86(図4参照)と、第2投入メダル検出センサ87(図4参照)とが案内通路の上流下流に並ぶようにして近接配置されている(少なくとも1時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態とする)。メダル通路切替部材84のセレクタソレノイド非励磁時には、メダルは案内通路の途中から下方に落下するため、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が検出されることがない。一方、メダル通路切替部材84のセレクタソレノイド励磁時には、各投入メダル検出センサ86,87によりメダルの通過が順次検出される。
メダルを遊技者に実際に付与する払出手段としてのホッパ装置91は、図2に示すように、メダルを貯留する貯留タンク92と、メダルを遊技者に払い出す払出装置93とにより構成されている。払出装置93は、図示しないメダル払出用回転板を回転させることにより、排出用通路82の中央右部に設けられた開口94へメダルを排出し、排出用通路82を介してメダル受け皿18へメダルを払い出すようになっている。また、ホッパ装置91の右方には、図3に示すように、貯留タンク92内に所定量以上のメダルが貯留されることを回避するための予備タンク95が設けられている。ホッパ装置91の貯留タンク92内部には、この貯留タンク92から予備タンク95へとメダルを排出する誘導プレート96が設けられている。したがって、誘導プレート96が設けられた高さ以上にメダルが貯留された場合、かかるメダルが予備タンク95に貯留されることとなる。
メダル投入口75の下方には、図1に示すように、ボタン状の返却スイッチ76が設けられている。返却スイッチ76は、メダル投入口75に投入されたメダルがセレクタ83内に詰まった際に押されるスイッチであり、この返却スイッチ76が押されることによりセレクタ83が機械的に連動して動作され、当該セレクタ83内に詰まったメダルがメダル排出口17より返却されるようになっている。
表示窓31L,31M,31Rの下方左側には、図1に示すように、遊技媒体としてクレジットされた仮想メダル(クレジットメダル)を一度に3枚投入するためのボタン状の第1クレジット投入スイッチ77が設けられている。また、第1クレジット投入スイッチ77の左方には当該スイッチ77よりも小さなボタン状に形成された第2クレジット投入スイッチ78及び第3クレジット投入スイッチ79が設けられている。第2クレジット投入スイッチ78はクレジットされた仮想メダル(クレジットメダル)を一度に2枚投入するためのものであり、第3クレジット投入スイッチ79は仮想メダルを1枚投入するためのものである。
各クレジット投入スイッチ77〜79は前記メダル投入口75とともに遊技媒体を入力する入力手段を構成する。また、メダル投入口75が遊技者によりメダルを直接投入するという動作を伴うのに対し各クレジット投入スイッチ77〜79は貯留記憶に基づく仮想メダルの投入という動作を伴うに過ぎない点に着目すれば、投資価値を間接入力する間接入力手段を構成するものともいえる。
なお、第1クレジット投入スイッチ77は、1ゲームにつき投入できるメダル最大数(3枚)に達していないことを促すため、図示しない発光部材としてのランプが内蔵されている。当該ランプは、第1クレジット投入スイッチ77のスイッチ操作が有効である状況時において点灯されて当該スイッチ77の操作を促すが、クレジットされた仮想メダル(クレジットメダル)が存在しない場合や既に3枚のメダル投入がなされている状況下では消灯される。ここで、上記点灯に代えて、点滅させてメダル投入の促しを遊技者に一層分かり易くしてもよい。
スタートレバー71の左側には、図1に示すように、ボタン状の切換スイッチ80が設けられている。切換スイッチ80は、1度押されるとオン状態になり、もう1度押されるとオフ状態になり、その後押下操作が行われるごとにオンオフが切り替わるトグル式に構成されている。切換スイッチ80は、メダル投入口75に必要量より多く投入された投入メダルや、所定の遊技の結果、遊技者に返還される獲得メダルの取扱形式を変更するために操作される。
切換スイッチ80がオン状態のときには、所定の最大値(例えばメダル50枚分)となるまでの余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルがクレジットメダルとして貯留記憶されるように設定された「クレジットモード」となる。切換スイッチ80がオフ状態のときには、余剰の投入メダルや入賞時の獲得メダルを現実のメダルとして払い出すように設定された「ダイレクトモード」となる。なお、クレジットモードからダイレクトモードに切り換えられた際にクレジットメダルがある場合には、その分のクレジットメダルが現実のメダルとして払い出される。このように、遊技者はクレジットモードとダイレクトモードとを切り換えることにより自身の好みに応じた形式で遊技を実行することができる。かかる切換スイッチ80は投入価値及び遊技価値の取扱形式を切り換える切換操作手段を構成する。また、クレジットされた仮想メダルを現実のメダルとして払い出すという機能に着目すれば、切換スイッチ80は貯留記憶された遊技価値を実際に払い出すための精算操作手段を構成するものともいえる。なお、切換スイッチ80の操作により「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り換えるように構成する他、常に「クレジットモード」としておき切換スイッチ80が操作されると貯留記憶された仮想メダルを払い出すだけの精算スイッチとして機能させてもよい。
尚、切換スイッチ80のオンオフに基づいて「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り替えるクレジットモード切替処理は、主制御装置131の制御によって行われる。ここで、クレジットモード切替処理は、メダルの投入が許可された期間中(例えば、スタートレバー71に対する始動操作の待機時など)に限定して行われ、メダルの投入が禁止された期間中(例えば、スタートレバー71に対する始動操作後など)においては、クレジットモード切替処理は非実行とされる。スロットマシン10においてリセットスイッチ123の操作を待機した状態においては、全てのアクチュエータの制御が停止されてメダルの投入が禁止された期間となるので、クレジットされたメダルが払い出されず、不正行為の実行を検出した場合に更にメダルが払い出されることによる被害の拡大が防止されている。この「クレジットモード」と「ダイレクトモード」とを切り替える処理の詳細については公知の技術であるため、説明を省略する。
遊技パネル30の表示窓31L,31M,31Rの下方には、クレジットモード時に有効化されて貯留記憶されたメダル数を表示する残数表示部35と、ビッグボーナスやレギュラーボーナス等の特別遊技状態の際に例えば残りのゲーム数等を表示するゲーム数表示部36と、獲得メダルの枚数を表示する獲得枚数表示部37とがそれぞれ設けられている。これら表示部35〜37は7セグメント表示器によって構成されているが、液晶表示器等によって代替することは当然可能である。尚、本実施の形態においては、貸球は、仮想メダルであるクレジットメダルにより払い出されるので、球貸しが実行されると、残数表示部35に表示される値は、貸し出された貸球の数に応じて更新される。
ここで、メダルがベットされる手順について説明する。ダイレクトモード、クレジットモードのいずれのモードにおいても、遊技の開始時にメダル投入口75からメダルが投入されるとベットとなる。
すなわち、1枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、第1有効ライン表示部32が点灯し、そしてこれに対応する中央ラインが有効ラインとなり、2枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第2有効ライン表示部33が点灯すると共に、これに対応する上ライン及び下ラインを含む合計3本の組合せラインがそれぞれ有効ラインとなり、3枚目のメダルがメダル投入口75に投入されると、更に第3有効ライン表示部34が点灯し、そしてこれに対応する一対の斜めラインを含む合計5本の組合せライン全てが有効ラインとなる。
また、4枚以上のメダルがメダル投入口75に投入されると、3枚を超える余剰メダルは、そのときのモードがダイレクトモードであればセレクタ83により排出用通路82への切替がなされてメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。一方、クレジットモードであればスロットマシン内部に貯留されると共に残数表示部35に貯留数が表示される。このクレジットメダルの貯留数には上限が決められており(例えば50枚)、それを越える枚数のメダルが投入されたときにはメダル排出口17からメダル受け皿18へ返却される。
また、クレジットモードにて遊技が行われ且つ残数表示部35にクレジットメダルの貯留数が表示されている場合には、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際にも仮想メダルが投入されたこととなりベットとなる。
第3クレジット投入スイッチ79が押された際には、仮想メダルが1枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が1つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32が点灯して中央ラインが有効ラインとなる。第2クレジット投入スイッチ78が押された際には、仮想メダルが2枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が2つディクリメントされ、第1有効ライン表示部32および第2有効ライン表示部33が点灯して合計3本の組合せラインが有効ラインとなる。第1クレジット投入スイッチ77が押された際には、仮想メダルが3枚投入されたこととして残数表示部35に表示されている数値が3つディクリメントされ、全ての有効ライン表示部32〜34が点灯して合計5本の組合せラインが有効ラインとなる。
なお、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押された際に投入されるべき仮想メダルが貯留されていない場合、例えば残数表示部35の表示が2のときに第1クレジット投入スイッチ77が押された場合等には、残数表示部35の数値が全てディクリメントされて0となり、投入可能な仮想メダル分だけベットされる。
前面扉12の上部には、遊技の進行に伴い点灯したり点滅したりする上部ランプ13と、遊技の進行に伴い種々の効果音を鳴らしたり、遊技者に遊技状態を報知したりする左右一対のスピーカ14と、遊技者に各種情報を与える補助表示部15とが設けられている。補助表示部15は、本実施形態では表示内容の多様化及び表示演出の重厚化を意図して液晶表示器によって構成されているが、ドットマトリックス表示器等の他の表示器を使用してもよい。補助表示部15は、遊技の進行に伴って各種表示演出を実行するためのものであり、各リール42L,42M,42Rによる遊技を主表示部によるものと考えることができることから、本実施形態では補助表示部15と称している。補助表示部15の背面には上部ランプ13やスピーカ14、補助表示部15を駆動させるための表示制御装置111が設けられている。なお、上部ランプ13及びスピーカ14の形状や位置、数等は特に以上説明したものに限られない。
メダル受け皿18の上方には、図1に示すように、機種名や遊技に関わるキャラクタなどが表示された下段プレート16が装着されている。また、メダル受け皿18の左方には、手前側下方に反転可能な灰皿19が設けられている。
図2に示すように、筐体11の内部においてホッパ装置91の左方には、電源ボックス121が設けられている。電源ボックス121は、電源スイッチ122やリセットスイッチ123や設定キー挿入孔124などを備えている。電源スイッチ122は、主制御装置131を始めとする各部に電源を供給するための起動スイッチである。
リセットスイッチ123は、スロットマシン10の各種状態をリセットするためのスイッチである。本スロットマシン10は各種データのバックアップ機能を有しており、万一停電が発生した際でも停電時の状態を保持し、停電からの復帰(復電)の際には停電時の状態に復帰できるようになっている。従って、例えば遊技ホールの営業が終了する場合のように通常手順で電源を遮断すると遮断前の状態が記憶保持されるが、リセットスイッチ123を押しながら電源スイッチ122をオンすると、バックアップデータがリセットされるようになっている。また、電源スイッチ122がオンされている状態でリセットスイッチ123を押した場合には、エラー状態がリセットされる。
設定キー挿入孔124は、ホール管理者などがメダルの出玉調整を行うためのものである。すなわち、ホール管理者等が設定キーを設定キー挿入孔124へ挿入して操作(回転操作)することにより、スロットマシン10の設定状態(当選確率設定処理)を「設定1」から「設定6」まで変更できるようになっている。
図3に示すように、リールユニット41の上方には、主制御装置131が筐体11の背板11cに取り付けられている。主制御装置131は、主たる制御を司るMPU、遊技プログラムを記憶したROM、遊技の進行に応じた必要なデータを一時的に記憶するRAM、各種機器との連絡をとるポート、時間計数や同期を図る場合などに使用されるクロック回路等を含む主基板を具備しており、主基板が透明樹脂材料等よりなる被包手段としての基板ボックスに収容されて構成されている。基板ボックスは、略直方体形状のボックスベースと該ボックスベースの開口部を覆うボックスカバーとを備えている。これらボックスベースとボックスカバーとは封印手段としての封印ユニットによって開封不能に連結され、これにより基板ボックスが封印されている。なお、ボックスベースとボックスカバーとを鍵部材を用いて開封不能に連結する構成としてもよい。
また、筐体11の内部において左側板11dには、カードユニット接続端子板250が取り付けられている。カードユニット接続端子板250は、スロットマシン10と残高表示器190とカードユニット230とを相互に接続するための中継基板である。カードユニット接続端子板250は、ケーブル105によってスロットマシン10に接続され、ケーブル195によって残高表示器190に接続されている(図5参照)。また、カードユニット接続端子板250は、ケーブル260によってカードユニット230に接続されている(図5参照)。このカードユニット接続端子板250を介して、スロットマシン10、残高表示器190、カードユニット230を相互に接続することにより、独立して製造される各装置の接続と分離とを簡便に行うことができる。
カードユニット接続端子板250の下方位置であって背板11cの正面視左側の部分には、一端が接続端子板250に接続されたケーブル260を、筐体11の外部に導出するためのケーブル口261が貫通形成されている。ケーブル口261から導出されたケーブル260の他端は、カードユニット230の背面側においてカードユニット230に接続されている。カードユニット230は、スロットマシン10の左側に併設されているので、カードユニット接続端子板250を左側板11dに設け、また、ケーブル口261を背板11cの正面視左側の部分に設けることにより、ケーブル260の取り回しを容易としている。
上記のように構成されたスロットマシン10の左側には、正面視縦長の長方形状のカードユニット230が並設されている。カードユニット230は磁気カードに記録された残高金額(磁気情報)の読み取りと、書き換えとを行う装置であり、磁気カードに記憶される残高金額にて貸球(貸しメダル)を精算する(払い出す)ためのものである。
カードユニット230の上下方向における略中央部分には、金銭と同等の有価価値を有する磁気カードを挿入するためのカード挿入口224が配設されている。このカード挿入口224の上方であって、カードユニット230の上部にはLEDで構成されたカード利用可能ランプ225が配設されている。このカード利用可能ランプ225は、例えば、カード挿入口224へ磁気カードが挿入可能である場合に点灯される一方、カード挿入口224へ磁気カードが挿入不可能である場合に消灯される。
カード挿入口224とカード利用可能ランプ225との間部分であって、カードユニット230の上側位置には、略三角形状に形成された上下一対の連結台方向表示ランプ226が配設されている。この一対の連結台方向表示ランプ226は、カードユニット230が接続されているスロットマシン10の配設(並設)方向を示すためのものである。よって、例えば、カードユニット230が右側に並設されるスロットマシン10に接続される場合には下側のLEDが点灯され、カードユニット230が左側に並設されるスロットマシン10(図示せず)に接続される場合には上側のLEDが点灯される。この連結台方向表示ランプ226の下側には、カード挿入中ランプ227が配設されている。このカード挿入中ランプ227は磁気カードがカード挿入口224に挿入されている場合に点灯され、一方、磁気カードがカード挿入口224に挿入されていない場合には消灯される。
遊技者は、予め購入した磁気カードをカードユニット230に挿入すれば、その磁気カードに記憶される残高金額の範囲内で球貸しを受けることができる。従って、遊技中に現金を取り扱うことなく、遊技を実行することができ、現金を取り扱う不便さを解消することができる。
次に、本スロットマシン10の電気的構成について、図4のブロック図に基づいて説明する。主制御装置131には、演算処理手段であるMPU151を中心とするマイクロコンピュータが搭載されている。MPU151には、電源ボックス121の内部に設けられた電源装置161の他に、所定周波数の矩形波を出力するクロック回路154や、入出力ポート155などが内部バス等を介して接続されている。かかる主制御装置131は、スロットマシン10に内蔵されるメイン基板としての機能を果たすものである。
主制御装置131の入力側には、スタートレバー71の操作を検出するスタート検出センサ71a、各ストップスイッチ72,73,74の操作を個別に検出するストップ検出センサ72a,73a,74a、メダル投入口75から投入されたメダルを検出する第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87(以下、これら各センサを総称する場合、投入メダル検出センサ86,87ともいう)、各クレジット投入スイッチ77,78,79の操作を個別に検出するクレジット投入検出センサ77a,78a,79a、切換スイッチ80の操作を検出する切換検出センサ80a、各リール42の回転位置(原点位置)を個別に検出するリールインデックスセンサ55、ホッパ装置91から払い出されるメダルを検出する払出検出センサ91a、リセットスイッチ123の操作を検出するリセット検出センサ123a、設定キー挿入孔124に設定キーが挿入され該設定キーが回転操作されたことを検出する設定キー検出センサ124a等の各種センサが接続されており、これら各種センサからの信号は入出力ポート155を介してMPU151へ出力されるようになっている。
また、主制御装置131の入力側には、電源装置161に設けられた停電監視回路161bと、ラッチ回路126とが、入出力ポート155を介して接続されている。電源装置161には、主制御装置131を始めとしてスロットマシン10の各電子機器に駆動電力を供給する電源部161aや、上述した停電監視回路161bなどが搭載されている。尚、停電監視回路161bは、主制御装置131に設けても良い。
停電監視回路161bは電源の遮断状態を監視し、停電時はもとより、電源スイッチ122による電源遮断時に停電信号を生成するためのものである。そのため停電監視回路161bは、電源部161aから出力されるこの例では直流12ボルトの安定化駆動電圧を監視し、この駆動電圧が例えば10ボルト未満まで低下したとき電源が遮断されたものと判断して停電信号が出力されるように構成されている。停電信号はMPU151と入出力ポート155のそれぞれに供給され、MPU151ではこの停電信号を認識することにより後述する停電時処理が実行される。
電源部161aからは出力電圧が10ボルト未満まで低下した場合でも、主制御装置131などの制御系における駆動電圧として使用される5ボルトの安定化電圧が出力されるように構成されており、この安定化電圧が出力されている時間としては、主制御装置131による停電時処理を実行するに十分な時間が確保されている。
乱数カウンタ更新回路125は、所定の周波数のクロックと16ビットの乱数カウンタとを備え、クロックから出力されるクロックパルスの例えば立ち下がり毎に、1カウントずつ乱数カウンタの値をカウントアップするものである。乱数カウンタの乱数値は、クロックパルスによって、ソフト制御では到底追従することができない高速な速度で、「0〜65535」の範囲で常時更新されている。その更新された乱数値は、常時、ラッチ回路126に出力されている。
ラッチ回路126は、上記した入出力ポート155以外に、乱数カウンタ更新回路125とスタートレバー71とに接続されている。このラッチ回路126は、16ビットの記憶回路で構成され、乱数カウンタ更新回路125から出力される信号(乱数値)を、スタートレバー71が操作されたタイミングでラッチするためのものである。ラッチ回路126によりラッチされた乱数値は、ラッチ回路126からMPU151に出力される。
尚、乱数カウンタ更新回路125とラッチ回路126とは、主制御装置131に搭載されている。また、乱数カウンタ更新回路125に設けられるクロックには、クロック回路154から出力される矩形波の周波数と非同期の周波数で動作するものであって、1.49msecの間隔を得ることのできないものが用いられている。乱数カウンタを、主制御装置131の動作周期である1.49msecの間隔とは非同期の間隔で更新することにより、「ぶら下げ基板」と称される不正な基板が、主制御装置131(MPU151)に同期して動作するようにスロットマシン10に取り付けられていても、「ぶら下げ基板」によって乱数カウンタの値(乱数値)を把握することはできない。
主制御装置131の出力側には、各有効ライン表示部32,33,34、残数表示部35、ゲーム数表示部36、獲得枚数表示部37、各リール42L,42M,42Rを回転させるための各ステッピングモータ61(61L,61M,61R)、セレクタ83に設けられたメダル通路切替部材84、ホッパ装置91、表示制御装置111、図示しないホール管理装置などに情報を送信できる外部集中端子板171等が、入出力ポート155を介して接続されている。
表示制御装置111は、上部ランプ13、スピーカ14並びに補助表示部15を駆動させるための制御装置であり、これらを駆動させるためのCPU、ROM、RAM等を搭載した基板を備えている。そして、主制御装置131からの信号を受け取った上で、表示制御装置111が独自に上部ランプ13、スピーカ14及び補助表示部15を駆動制御する。従って、表示制御装置111は、遊技を統括管理するメイン基板たる主制御装置131との関係では補助的な制御を実行するサブ基板となっている。即ち、間接的な遊技に関する音声やランプ、表示についてはサブ基板を設けることにより、メイン基板の負担軽減を図っている。なお、各種表示部32〜37を表示制御装置111が制御する構成としてもよい。
また、主制御装置131の入力側と出力側との両方に、カードユニット接続端子板250が、入出力ポート155を介して接続されている。カードユニット接続端子板250には、残高表示器190及びカードユニット230が接続されているので、スロットマシン10は、残高表示器190及びカードユニット230との間で相互に情報通信を実行することができる。
上述したMPU151には、このMPU151によって実行される各種の制御プログラムや固定値データを記憶したROM152と、このROM152内に記憶されている制御プログラムを実行するに当たって各種のデータを一時的に記憶する作業エリアを確保するためのRAM153のほかに、図示はしないが周知のように割込み回路を始めとしてタイマ回路、データ送受信回路などスロットマシン10において必要な各種の処理回路などが内蔵されている。ROM152とRAM153によって記憶手段としてのメインメモリが構成され、図6〜図12の各種のフローチャートに示される処理を実行するためのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM152に記憶されている。
RAM153は、スロットマシン10の電源が遮断された後においても電源ボックス121内に設けられた電源装置161からバックアップ電圧が供給されてデータを保持(バックアップ)できる構成となっており、RAM153には、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリやエリアの他に、バックアップエリアが設けられている。
バックアップエリアは、停電などの発生により電源が遮断された場合において、電源遮断時(電源スイッチ122の操作による電源遮断をも含む。以下同様)のスタックポインタや、各レジスタ、I/O等の値を記憶しておくためのエリアであり、停電解消時(電源スイッチ122の操作による電源投入をも含む。以下同様)には、バックアップエリアの情報に基づいてスロットマシン10の状態が電源遮断前の状態に復帰できるようになっている。バックアップエリアへの書き込みは停電時処理(図8参照)によって電源遮断時に実行され、バックアップエリアに書き込まれた各値の復帰は電源投入時のメイン処理(図9参照)において実行される。なお、MPU151のNMI端子(ノンマスカブル割込端子)には、停電等の発生による電源遮断時に、停電監視回路161bからの停電信号が入力されるように構成されており、停電等の発生に伴う停電フラグ生成処理としてのNMI割込み処理(図6参照)が即座に実行される。
また、RAM153は、各種のデータ等を一時的に記憶するためのメモリとして、当否乱数メモリ153a、ベットカウンタ153b、クレジットカウンタ153cを備えている。当否乱数メモリ153aは、開始された遊技に対応する役を決定するための乱数値を記憶するメモリである。開始された遊技がいずれの役に当選するかまたは外れになるかは、この当否乱数メモリ153aに記憶される値によって決定される。当否乱数メモリ153aには、乱数カウンタ更新回路125から出力された乱数値の内、メダルがベットされた状態においてスタートレバー71が操作されることによりラッチ回路126にラッチされた乱数値が、書き込まれる(図10のS503,S515参照)。MPU151は、後述する抽選処理(S505、図12参照)の中で、この当否乱数メモリ153aに記憶される乱数値を、諸条件に基づいて選定された乱数テーブルに照らして役の抽選を行い、該乱数値に対応する当否(役に当選させるか外れとするか)と、役への当選である場合には当選させる役の種類とを判断する。
ベットカウンタ153bは、1回の遊技に対しベットされたメダルの枚数を記憶するカウンタである。ベットカウンタ153bの値は、メダル投入口75から投入されたメダルが、投入メダル検出センサ86,87により検出されると、1ずつ加算される。また、ベットカウンタ153bの値は、スロットマシン10にクレジットメダルが貯留されている場合に、第1クレジット投入スイッチ77が押されると3となり、第2クレジット投入スイッチ78が押されると2になり、更に、第3クレジット投入スイッチ79が押されると1となる。本スロットマシン10では、1回の遊技においてベットできるメダル数は1〜3なので、ベットカウンタ153bの値は0〜3のいずれかの値をとる。即ち、ベットカウンタ153bの値は、ベットされたメダル枚数が0枚の場合には0、1枚の場合には1、2枚の場合には2、3枚の場合には3となる。なお、ベットカウンタ153bの値は、1回の遊技の終了後であって、再遊技役(リプレイ役)が不成立の場合に0クリアされる。
クレジットカウンタ153cは、スロットマシン10に貯留されるメダルの数(クレジットメダルの貯留数)を記憶するカウンタである。前述したベットカウンタ153bの値が最大の3である場合に、更にメダル投入口75からメダルが投入され、そのメダルが、投入メダル検出センサ86,87により検出されると、クレジットカウンタ153cの値は1ずつ加算される。本スロットマシン10では、クレジットメダルの最大貯留数は50なので、クレジットカウンタ153cの値は0〜50のいずれかの値となる。また、球貸しが実行された場合、5枚の貸球がクレジットメダルで払い出されるので、クレジットカウンタ153cの値は5加算される。
更に、切換スイッチ80によって「クレジットモード」に切り替えられている場合に、入賞によるメダルの払い出しがあると、メダルは最大合計50までクレジットメダルにて貯留され、その貯留された数分、クレジットカウンタ153cの値は加算される。一方、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79のいずれかが押され、クレジットメダルがベットされた場合には、そのベット数分、クレジットカウンタ153cの値は減算される。
図5は、残高表示器190、カードユニット230、カードユニット接続端子板250の電気的構成、およびこれらの装置190、230、250とスロットマシン10との接続状態を示したブロック回路図である。まず、カードユニット230の電気的構成について説明する。カードユニット230は、スロットマシン10から24ボルトの直流電圧(または24ボルトの交流電圧でも良い)が供給される電源基板236を備えている。電源基板236は、供給された24ボルトの直流電圧から18ボルトの直流電圧を生成し、カードユニット接続端子板250を介してスロットマシン10に出力する。カードユニット230から出力される18ボルトの直流電圧は、スロットマシン10において球貸可LED220及び度数表示LED205の駆動電圧として使用されると共に、スロットマシン10がカードユニット230の接続を認識する信号となっている。更に、電源基板236は、18ボルトの直流電圧以外にカードユニット230の各部の動作に必要な各電圧を生成して、カードユニット230の各部に供給する。
また、カードユニット230には、演算装置である1チップマイコンとしてのMPU231が搭載されている。MPU231には、該MPU231により実行される各種の制御プログラムや固定値データなどを記憶した不揮発性のメモリであるROM232と、そのROM232内に記憶される制御プログラムの実行に際して各種のデータなどを一時的に記憶するためのメモリであるRAM233と、そのほか、割り込み回路やタイマ回路、データ送受信回路などの各種の回路が内蔵されている。図13に示されるフローチャートのプログラムは、制御プログラムの一部として上述したROM232に記憶されている。
MPU231には、アドレスバス及びデータバスで構成されるバスライン234が接続されており、バスライン234は入出力ポート235に接続されている。入出力ポート235には、バスライン234の他に、カード利用可能ランプ225、連結台方向表示ランプ226、カード挿入中ランプ227、カードリーダ・ライタ228、一端をカードユニット接続端子板250に接続する上記のケーブル260の他端が接続されている。
カードリーダ・ライタ228は、カード挿入口224に挿入された磁気カードの残高金額を読み出すためのリーダ機能と、その磁気カードへ使用後の残高金額を書き込むためのライタ機能とを備えた磁気ヘッドで構成されている。このカードリーダ・ライタ228により、磁気カードの残高金額が読み出された場合に、磁気カード挿入中と判断される。また、カードリーダ・ライタ228により、磁気カードへ新たに書き込まれた残高金額が「0」となった場合には、磁気カードは、図示しないアクチュエータによって、カード挿入口224から強制的に排出される。
カードユニット接続端子板250は、スロットマシン10が接続される第1コネクタ251と、残高表示器190が接続される第2コネクタ252と、カードユニット230が接続される第3コネクタ253と、かかる第1〜第3コネクタ251〜253に接続されるアンド回路AND1とを備えている。
第1コネクタ251は、ケーブル105を介してスロットマシン10に接続されるコネクタであり、電源ラインに接続される端子としてスロットマシン10から24ボルトの直流電圧が入力される入力端子と、スロットマシン10へ18ボルトの直流電圧を出力する出力端子とを備えている。また、第1コネクタ251には、接続確認信号PSI、遊技機レディ信号PRDY、球貸スイッチ信号TDS、貸出完了信号EXS、球貸許可信号SG2の各信号が、それぞれ入力される入力端子が設けられている。更に、第1コネクタ251には、カードユニットレディ信号BRDY、球貸要求完了確認信号BRQ、球貸ボタン信号SG1の各信号を、それぞれスロットマシン10へ出力する出力端子が設けられている。第1コネクタ251の球貸ボタン信号SG1の出力端子と球貸許可信号SG2の入力端子とを除く他の入出力端子は、それぞれ、第3コネクタ253の対応する端子に接続されている。
第2コネクタ252は、ケーブル195を介して残高表示器190に接続されるコネクタである。この第2コネクタ252は、球貸ボタン210からの球貸ボタン信号SG1が入力される入力端子と、返却ボタン200からの返却スイッチ信号RESが入力される入力端子とを備えている。また、第2コネクタ252は、球貸可LED220を点灯する信号を残高表示器190へ出力する出力端子と、度数表示用信号SG3を残高表示器190へ出力する出力端子とを備えている。
第2コネクタ252の球貸ボタン信号SG1の入力端子は、上記した第1コネクタ251の球貸ボタン信号SG1の出力端子に接続されている。返却スイッチ信号RESの入力端子と、度数表示用信号SG3の出力端子とは、それぞれ、第3コネクタ253の対応する端子に接続されている。球貸可LED220を点灯する信号の出力端子は、後述するアンド回路AND1を介して第1コネクタ251の球貸許可信号SG2の入力端子と第3コネクタ253の球貸可LED信号TDLOの入力端子とに接続されている。
第3コネクタ253は、ケーブル260を介してカードユニット230と接続されるコネクタであり、電源ラインに接続される端子として、24ボルトの直流電圧をカードユニット230へ出力する出力端子と、カードユニット230から18ボルトの直流電圧が入力される入力端子とを備えている。また、第3コネクタ253は、接続確認信号PSI、遊技機レディ信号PRDY、球貸スイッチ信号TDS、貸出完了信号EXS、返却スイッチ信号RESの各信号をそれぞれカードユニット230へ出力する出力端子を備えている。更に、第3コネクタ253は、カードユニットレディ信号BRDY、球貸要求完了確認信号BRQ、球貸可LED信号TDLO、度数表示用信号SG3の各信号がそれぞれ入力される入力端子を備えている。
また、アンド回路AND1の一方の入力端には、カードユニット230から出力される球貸可LED信号TDLOが、カードユニット接続端子板250の第3コネクタ253を介して入力されている。アンド回路AND1の他方の入力端には、スロットマシン10から出力される球貸許可信号SG2が、カードユニット接続端子板250の第1コネクタ251を介して入力されている。アンド回路AND1の出力端は、カードユニット接続端子板250の第2コネクタ252を介して、球貸可LED220に接続されている。よって、球貸可LED220は、カードユニット230から球貸可LED信号TDLOが出力され、且つスロットマシン10から球貸許可信号SG2が出力されている場合に点灯(オン)する。
ここで、スロットマシン10、残高表示器190、カードユニット230の間で送受信される各信号について説明する。
球貸ボタン信号SG1は、残高表示器190の球貸ボタン210が押下された場合、即ち球貸し(貸しメダル)が遊技者から要求された場合にオンされて、残高表示器190からカードユニット接続端子板250を介して、スロットマシン10へ出力される信号である。
返却スイッチ信号RESは、残高表示器190の返却ボタン200が押下された場合、即ち、遊技者により磁気カードの返却が要求された場合にオンされて、残高表示器190からカードユニット接続端子板250を介して、カードユニット230へ出力される信号である。返却スイッチ信号RESは、スロットマシン10の遊技の実行状態に関わらず、返却ボタン200の押下により、スロットマシン10からカードユニット230へ出力される。カードユニット230は、かかる返却スイッチ信号RESを入力すると、図示しないアクチュエータによって、磁気カードをカード挿入口224から強制的に排出する。これにより、磁気カードの返却は、メダルの貸し出しの場合と異なり、いつでも可能にされている。
接続確認信号PSIは、スロットマシン10の接続状態をカードユニット230に確認させるために、スロットマシン10からカードユニット接続端子板250を介して、カードユニット230へ出力される信号である。
遊技機レディ信号PRDYは、スロットマシン10が球貸し可能な状態(第1状態)にあることをカードユニット230に示すために、スロットマシン10からカードユニット接続端子板250を介して、カードユニット230へ出力される信号である。この遊技機レディ信号PRDYは、スロットマシン10が球貸し可能な状態にある場合にオンされ続ける一方、スロットマシン10に球貸し不能となるようなエラーが発生するとオフされる。なお、遊技機レディ信号PRDYのオンオフは、後述する球貸許可信号SG2のオンオフとは連動しない。
球貸スイッチ信号TDSは、スロットマシン10において、前記した球貸し可能な状態(第2状態)の成立要件である3つの条件が成立している期間中に、即ち、遊技が非実行状態にあって、ベットされたメダルの枚数が2枚以下であり、更に、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下である期間中に、球貸ボタン信号SG1のオン(入力)が認識された場合、スロットマシン10からカードユニット接続端子板250を介して、カードユニット230へ出力され、球貸しの実行(貸球の払出の許可)をカードユニット230に要求するための信号である。即ち、球貸しの実行の契機となる信号である。
カードユニットレディ信号BRDYは、カードユニット230が球貸状態にあることをスロットマシン10に示すために、カードユニット230からカードユニット接続端子板250を介して、スロットマシン10へ出力される信号である。カードユニット230は、球貸スイッチ信号TDSを入力すると、球貸し状態となってカードユニットレディ信号BRDYをオンする。そして、一連の球貸し動作が終了すると、このカードユニットレディ信号BRDYをオフする。即ち、カードユニットレディ信号BRDYがオンの場合は、球貸し状態を、オフの場合はカードユニット230が球貸し待機状態にあることを示している。
球貸要求完了確認信号BRQは、カードユニット230からスロットマシン10に対する球貸し実行要求と球貸し実行指示とを示す信号であり、カードユニット230からカードユニット接続端子板250を介して、スロットマシン10へ出力される信号である。なお、カードユニット230に挿入中の磁気カードに記憶される残高金額は、この球貸要求完了確認信号BRQのオフが正常に行われたタイミングを契機に、減算されて更新される。
貸出完了信号EXSは、カードユニット230から出力される球貸要求完了確認信号BRQの球貸し実行要求に対する応答と、球貸要求完了確認信号BRQの球貸し実行指示に対して行った球貸し動作の終了(貸し球の払い出しの終了)とを示すために、スロットマシン10からカードユニット接続端子板250を介して、カードユニット230へ出力される信号である。
球貸許可信号SG2は、スロットマシン10が球貸し可能な状態にあることを示すために、スロットマシン10からカードユニット接続端子板250のアンド回路AND1へ出力される信号である。なお、ここでいう「球貸し可能な状態」は、遊技が非実行状態にあること、ベットされたメダルの枚数が2枚以下であること、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下であることの3つの条件が成立した状態(第2状態)をいい、遊技機レディ信号PRDYの出力条件である「球貸し可能な状態」(第1状態)とは異なる。
本実施の形態のスロットマシン10では、遊技が非実行状態にある場合(スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つメダルの払い出しが無いか、或いはメダルの払い出しがあってもその払い出しが終了している状態)に球貸しを行うこととしているので、球貸許可信号SG2は、スタートレバー71が操作されたことがスタート検出センサ71aによって検出されるとオフされる(図10のS516参照)。
更に、遊技が非実行状態にあっても、スロットマシン10に3枚のメダルがベット(マックスベット(MAXベット))されると、球貸許可信号SG2はオフされる。つまり、マックスベットされた場合には、スタートレバー71の操作前であっても、球貸許可信号SG2はオフとなる。また、メダルがマックスベットされていなくとも、クレジットメダルの貯留数が「45」を越えている場合には、球貸許可信号SG2はオフされる。
かかる場合には、新たな球貸しを行わなくても遊技者は遊技を開始することができるので、新たなメダルの貸し出しを禁止して、メダルの貸し出しを必要時に限って行うようにしている。このように構成することにより、磁気カードの偽造などをしてメダルの貸し出しを行おうとする不正行為を、抑制することができる。即ち、不正行為は、不正に貸し出されたメダルを換金して為されるが、本実施形態のスロットマシン10では、メダルの貸し出しは「クレジットモード」の場合に最大クレジット数の範囲内にて行われる。即ち「ダイレクトモード」の場合や最大クレジット数を超えては、メダルの貸し出しは行われない。よって、不正行為者がメダルを換金しようとすると、まず、「クレジットモード」にした状態で球貸しボタン210を押下してメダルの貸し出しを行い、次に、切換スイッチ80を押下して「ダイレクトモード」に変更し、不正にクレジットしたメダルを実際のメダルとして払い出しをうける。その後、切換スイッチ80を押下して「クレジットモード」とし、前記した操作を繰り返す必要がある。しかし、かかる操作は異様な操作であり、遊技場の店員はそれを発見し易い。このように、不正行為を早期に発見することができるので、不正行為を抑制することができるのである。
一方、スタートレバー71の操作により始動したすべてのリール42L,42M,42Rが停止し且つメダルの払い出しがある場合にはその払い出しが終了すると、遊技は非実行状態となり、また、ベット数も「0」となる(再遊技役(リプレイ役)への入賞を除く)ので、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下であれば、球貸許可信号SG2はオンされる。
球貸可LED信号TDLOは、カードユニット230が球貸しが可能な状態にあることを示すために、カードユニット230からカードユニット接続端子板250のアンド回路AND1へ出力される信号である。この球貸可LED信号TDLOは、磁気カードがカードユニット230に挿入されている場合、即ち残高金額により貸球が精算できる場合、言い換えれば磁気カードの残高金額が「0」で無い場合にオンされ、磁気カードがカードユニット230に非挿入であるとオフされる(図13参照)。なお、前述した通り、磁気カードは、残高金額が「0」となると、図示しないアクチュエータによりカードユニット230から強制的に排出されるので、残高金額が「0」の磁気カードがカードユニット230に挿入された状態にあることはない。
度数表示用信号SG3は、度数表示用LED205の3つの7セグメントLEDに設けられた各LEDを、表示する数値(磁気カードの残高金額)に応じて点灯するために、カードユニット230からカードユニット接続端子板250を介して、残高表示器190へ出力される信号である。
尚、カードユニット230から出力される18ボルトの直流電圧は、球貸可LED220及び度数表示LED205の駆動電圧として使用されると共に、スロットマシン10がカードユニット230の接続を認識する信号となっている。
次に、上記した各信号の伝送経路および信号動作について説明する。スロットマシン10は、カードユニット230から出力される18ボルトの直流電圧を検出すると、スロットマシン10がカードユニット230に接続されていることを示すべく、接続確認信号PSIをカードユニット230へ出力する(オンする)。カードユニット230では、この接続確認信号PSIのオンにより、スロットマシン10の接続を認識し、オフによりスロットマシン10の非接続を認識する。また、スロットマシン10は、自己がメダルの払い出しの可能な状態(球貸し可能な状態(第1状態))にある場合には、遊技機レディ信号PRDYをカードユニット230へ出力する(なお、ここで言う「球貸し可能な状態(第1状態)」とは、遊技の実行状態、非実行状態に関わらず、スロットマシン10がメダルの払い出しを実行し得る状態をいう)。これにより、カードユニット230は、スロットマシン10が球貸し可能な状態にあることを認識する。
球貸ボタン210が押下されると、残高表示器190から球貸ボタン信号SG1が出力され、スロットマシン10に入力される。ここで、スロットマシン10において遊技が非実行状態にあって、ベットされたメダルの枚数が2枚以下であり、更に、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下である場合(球貸し可能な状態(第2状態)が成立している場合)に、球貸ボタン信号SG1が入力されると、球貸スイッチ信号TDSが、スロットマシン10からカードユニット230へ出力される。球貸スイッチ信号TDSを入力したカードユニット230は、スロットマシン10から球貸しの実行が要求されたことを認識して、カードユニットレディ信号BRDYをオンし、球貸し状態に遷移する。このカードユニットレディ信号BRDYは、スロットマシン10へ出力される。
カードユニットレディ信号BRDYに続いて、球貸要求完了確認信号BRQが、カードユニット230からスロットマシン10へ出力され、スロットマシン10に対して球貸しの実行要求が行われる。スロットマシン10は、かかる球貸しの実行要求を入力すると、貸出完了信号EXSを出力して、これに応答する。すると、カードユニット230から球貸要求完了確認信号BRQにより球貸しの実行指示が行われ、これを契機に、スロットマシン10において、貸しメダルの払い出しが開始される。貸しメダルの払い出しが終了すると、スロットマシン10からカードユニット230へ、貸出完了信号EXSにより球貸しの終了が指示される。カードユニット230では、かかる球貸しの終了信号を確認すると、カードユニットレディ信号BRDYをオフして、球貸し待機状態へと遷移する。
一方、返却ボタン200が押下されると、残高表示器190から返却スイッチ信号RESがカードユニット230へ出力される。カードユニット230は、返却スイッチ信号RESを入力すると、図示しないアクチュエータを駆動して、挿入中の磁気カードをカード挿入口224から排出する。
また、カードユニット230から出力された球貸可LED信号TDLOは、カードユニット接続端子板250の第3コネクタ253を経由してアンド回路AND1の一方の入力端に入力される。更に、スロットマシン10から出力された球貸許可信号SG2は、カードユニット接続端子板250の第1コネクタ251を経由してアンド回路AND1の他方の入力端に入力される。アンド回路AND1の各入力端に、球貸可LED信号TDLOと球貸許可信号SG2とがそれぞれ入力されると、アンド回路AND1の出力端からハイ信号(球貸可LED220を点灯する信号)が出力され、球貸可LED220が点灯する。これにより球貸しが可能な状態にあることが遊技者に通知される。球貸可LED信号TDLOおよび球貸許可信号SG2の少なくとも一方がオフになると、アンド回路AND1の出力端から出力されるハイ信号がオフされ(ロウ信号が出力され)、球貸可LED220が消灯する。これにより球貸しが不能な状態にあることが遊技者に通知される。
更に、カードユニット230から出力された度数表示用信号SG3は、残高表示器190の度数表示LED205に入力され、これにより度数表示LED205の各LEDは、入力された度数表示用信号SG3に応じてオンまたはオフされ、磁気カードの残高金額を表示する。
続いて、スロットマシン10において、主制御装置131内のMPU151により実行される各制御処理を図6から図12のフローチャートを参照しながら説明する。かかるMPU151の処理としては大別して、電源投入に伴い起動されるメイン処理と、定期的に(本実施の形態では1.49msec周期で)起動されるタイマ割込み処理と、NMI端子(ノンマスカブル端子)への停電信号の入力により起動されるNMI割込み処理とがあり、説明の便宜上、はじめにNMI割込み処理とタイマ割込み処理とを説明し、その後メイン処理を説明する。
図6はNMI割込み処理の一例を示すフローチャートである。停電の発生などによって電源が遮断されると、電源装置161の停電監視回路161bでは停電信号が生成され、主制御装置131に対して出力される。NMI端子を介して停電信号を受信した主制御装置131では、NMI割込み処理が実行される。
NMI割込み処理では、まずステップS101(以下、ステップS101を単に「S101」と略し、他のステップにおいても同様に略して表示する。)において、MPU151内に設けられた使用レジスタのデータをRAM153内に設けられたバックアップエリアに退避させる(S101)。続いて、停電フラグをRAM153内に設けられた停電フラグ格納エリアにセットする(S102)。その後、RAM153のバックアップエリアに退避させたデータを再びMPU151の使用レジスタに復帰させる(S103)。このS103の復帰処理を実行してNMI割込み処理が終了する。なお、MPU151の使用レジスタのデータを破壊せずに停電フラグのセット処理が可能な場合には、バックアップエリアへの退避および復帰処理(S101,S103)を省くことができる。
図7は、主制御装置131で定期的に実行されるタイマ割込み処理のフローチャートであり、主制御装置131のMPU151により例えば1.49msecごとにタイマ割込みが発生する。
先ず、S201に示すレジスタ退避処理では、後述する通常処理で使用しているMPU151内の全レジスタの値をRAM153のバックアップエリアに退避させる(S201)。その後、停電フラグがセットされているか否かを確認し(S202)、停電フラグがセットされているときに限って停電時処理を実行してから(S203)、処理をS204へ移行する。
ここで、停電時処理(S203)について図8を用いて説明する。この停電時処理(S203)は、タイマ割込み処理のうち特にレジスタ退避処理の直後に行われるため、その他の割込み処理を中断することなく実行できる。従って、例えば各種コマンドの送信処理中、スイッチの状態(オンオフ)の読み込み処理中などのように、それぞれの処理に割り込んでこの停電時処理が実行されることはなく、かかるタイミングで実行されることをも考慮した停電時処理のプログラムを作成する必要がなくなる。これにより停電時処理用の処理プログラムを簡略化してプログラム容量を削減できる。なお、このことは後述する復電時処理用の処理プログラムについても同様である。
停電時処理(S203)では、まず、コマンド送信が終了しているか否かを判定する(S301)。送信が終了していない場合には(S301:No)、停電時処理(S203)を終了して図7のタイマ割込み処理に復帰し、コマンド送信を終了させる。このように停電時処理の初期段階でコマンドの送信が完了しているか否かを判断し、送信が未完であるときには送信処理を優先し、単位コマンドの送信処理終了後に停電時処理(S203)を実行する構成とすることにより、コマンドの送信途中で停電時処理が実行されることをも考慮した停電時処理プログラムを構築する必要がなくなる。その結果停電時処理プログラムを簡略化してROM152の小容量化を図ることができる。
S301の処理においてコマンドの送信が完了している場合には(S301:Yes)、MPU151のスタックポインタの値をRAM153内のバックアップエリアに保存する(S302)。その後、停止処理として後述するRAM判定値をクリアすると共に入出力ポート155における出力ポートの出力状態をクリアし、図示しない全てのアクチュエータをオフ状態にする(S303)。更に、RAM判定値を算出し、バックアップエリアに保存する(S304)。RAM判定値とは、具体的にはRAM153の作業領域アドレスにおけるチェックサムの2の補数である。RAM判定値をバックアップエリアに保存することにより、RAM153のチェックサムは0となる。RAM153のチェックサムを0とすることにより、それ以後のRAMアクセスを禁止する(S305)。その後は、電源が完全に遮断して処理が実行できなくなるのに備え、無限ループに入る。
なお、例えばノイズ等に起因して停電フラグが誤ってセットされる場合を考慮し、無限ループに入るまでは停電信号が出力されているか否かを確認する。停電信号が出力されていなければ停電状態から復旧したこととなるため、RAM153への書き込みを許可すると共に停電フラグをリセットし、図7のタイマ割込み処理に復帰する。停電信号の出力が継続してなされていれば、そのまま無限ループに入る。
なお、電源装置161の電源部161aは、上述したNMI割込み処理及び停電時処理を実行するのに十分な時間、制御系の駆動電圧として使用される安定化電圧(5ボルト)の出力が保持されるように構成されている。本実施形態では、30msecの間、駆動電圧が出力され続けるようになっている。
図7に戻って、タイマ割込み処理について説明する。S202の処理にて停電フラグがセットされていない場合、または、停電時処理(S203)が終了した後には、S204以降の各種処理を行う。
S204では、誤動作の発生を監視するためのウオッチドッグタイマの値を初期化するウオッチドッグタイマのクリア処理を行う(S204)。S205では、MPU151自身に対して割込み許可を出す割込み終了宣言処理を行う(S205)。S206では、各リール42L,42M,42Rを回転させるために、それぞれの回胴駆動モータであるステッピングモータ61L〜61Rを駆動させるステッピングモータ制御処理を行う(S206)。S207では、入出力ポート155に接続された各種センサ(図4参照)の状態を監視するセンサ監視処理を行う(S207)。S208では、各カウンタやタイマの値を減算するタイマ減算処理を行う(S208)。S209では、メダルのベット状態およびクレジットの状態に応じて、対応するカウンタ153b,153cおよび表示部32〜34を更新すると共に、カウントした結果を外部集中端子板171へ出力するベット・クレジット更新処理を行う(S209)。
メダルのベット状態は、メダル投入口75からのメダルの投入と、(クレジットメダルが貯留されている場合)第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79の押下とに応じて変化する。クレジットの状態は、クレジットメダルのベット、マックスベットを越える余剰メダルの投入、入賞によるクレジットメダルの払い出し、球貸しの実行によって変化する。
このため、このベット・クレジット更新処理(S209)では、センサ監視処理(S207)により検出されたクレジット投入検出センサ77a〜79aの状態と、第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87の状態とにより、メダル投入口75からのメダルの投入(ベット)及びクレジットメダルのベットを確認し、ベットされたメダルの枚数と余剰メダルの枚数とをカウントする。そして、カウントしたベット枚数と余剰メダルの枚数とに応じてベットカウンタ153bの値、クレジットカウンタ153cの値、有効ライン表示部32〜34の表示を更新する。尚、球貸しに基づいてクレジットカウンタ153cの値を更新する処理は、後述するメダル貸処理(S517)の中で実行されるものであり、このベット・クレジット更新処理(S209)では実行されない。また、入賞に基づいてクレジットカウンタ153cの値を更新する処理は、後述するメダル払出処理(S507)の中で実行される。
ここで、メダル投入口75より投入されたメダルは、ベット時であれば貯留用通路81へ導かれるべくセレクタ83内を案内される。メダルを投入する前には、メダルは第1投入メダル検出センサ86及び第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過していないため、これら各センサ86,87はオフ状態である。メダル投入口75からメダルを投入されると、メダルは、まず、メダル投入口75から貯留用通路81に至るメダルの案内通路において上流側に設けられた第1投入メダル検出センサ86の検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第1投入メダル検出センサ86はオン状態となる。
続いてメダルは、第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過し始めることとなり、かかるタイミングで第2投入メダル検出センサ87はオン状態となる。第1投入メダル検出センサ86の検出部と第2投入メダル検出センサ87の検出部との間隔は、少なくとも一時期において同一メダルを同時に検出する状態が生じる程度の近接状態に配設されているので、このタイミングにおいては第1投入メダル検出センサ86もオン状態となっている。次いで、第1投入メダル検出センサ86の検出部をメダルが通過し終わると、第1投入メダル検出センサ86がオフ状態となり、第2投入メダル検出センサ87のみがオン状態となる。その後、投入されたメダルが第2投入メダル検出センサ87の検出部を通過し終わると、第1投入メダル検出センサ86と第2投入メダル検出センサ87とが共にオフ状態となる。
主制御装置131は、ベット・クレジット更新処理(S209)においてこれら各センサ86,87がオンオフされる順序を常時監視し、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフ、第1投入メダル検出センサ86のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオン、第2投入メダル検出センサ87のみオン、第1,第2投入メダル検出センサ86,87が共にオフという順序通りになった場合で、かつ各オンオフ切換に移行する時間が所定時間内である場合にのみメダルが正常に貯留用通路81へ取り込まれたと判断し、それ以外の場合はエラーとする。エラーと判定した場合には、エラー表示処理として、先ず割込み処理を禁止し、入出力ポート155内の全ての出力ポートをクリアすることにより、入出力ポート155に接続された全てのアクチュエータをオフ状態に制御する。その後、ホール管理者などにエラーの発生を報知するエラー表示を行うと共に、リセットスイッチ123がオン操作されるまでかかる状態を維持する。
このようにするのは、メダルを投入メダル検出センサ86,87付近で往復動させてメダル投入と誤認させる不正行為を防止するためである。また、エラーと判定された後には、クレジットモードとダイレクトモードとを切り替える切換スイッチ80の操作を無効とし、クレジットされたメダルの払い出しは行われないようになっている。具体的には、切換スイッチ80の状態を確認し、クレジットモード中に切換スイッチ80の押下操作が検出された場合にクレジットされたメダルの払い出しを行う処理は、エラーと判定された後にはリセットスイッチ123がオン操作されるまで実行しない。なお、メダルを投入されたか否かを確認する際に行われるエラー表示処理については公知の技術であるため、図示を省略する。また、メダルの投入を検出する構成については3つ以上のセンサを用いてメダルの投入を検出する等、公知の種々の技術を使用することができる。
尚、本スロットマシン10では、クレジットメダルの最大貯留数は「50」とされているので、クレジットカウンタ153cの値が「50」に達した場合には、それ以上のメダルが投入されても、若しくは払い出されても、ベット・クレジット更新処理(S209)ではクレジットカウンタ153cの値を更新する処理を非実行とし、「50」を越えた分に対応するメダルをメダル受け皿18へ払い出す。
S210では、表示制御装置111へコマンドなどを送信するコマンド出力処理を行う(S210)。S211では、残数表示部35、ゲーム数表示部36および獲得枚数表示部37にそれぞれ表示されるセグメントデータを設定するセグメントデータ設定処理を行う(S211)。S212では、セグメントデータ設定処理で設定されたセグメントデータを各表示部35〜37に供給して該当する数字、記号などを表示するセグメントデータ表示処理を行う(S212)。S213では、入出力ポート155からI/O装置に対応するデータを出力するポート出力処理を行う(S213)。S214では、先のS201にてバックアップエリアに退避させた各レジスタの値をそれぞれMPU151内の対応するレジスタに復帰させる(S214)。その後、次回のタイマ割込みを許可する割込み許可処理を行い(S215)、この一連のタイマ割込み処理を終了する。
図9は電源投入後に実行される主制御装置131でのメイン処理を示すフローチャートである。メイン処理は、停電からの復旧や電源スイッチ122のオン操作によって電源が投入された際に実行される。
先ず、初期化処理として、スタックポインタの値をMPU151内に設定すると共に、割込み処理を許可する割込みモードを設定し、その後、MPU151内のレジスタ群や、I/O装置等に対する各種の設定などを行う(S401)。
これらの初期化処理(S401)が終了すると、次にリセットスイッチ123がオン操作されているか否かを判定する(S402)。リセットスイッチ123がオン操作されている場合には(S402:Yes)、RAMクリア処理としてRAM153に記憶されたデータを全てクリアする(S403)。
S402にてリセットスイッチが操作されていないことを確認した後(S402:No)、またはRAMクリア処理(S403)を行った後には、設定キーが設定キー挿入孔124に挿入されているか否かを判定する(S404)。設定キーが挿入されている場合には(S404:Yes)、設定変更処理(S405)を行う。設定変更処理(S405)では、先ずRAM153に記憶されたデータを全てクリアし、その後に予め設定された6段階の設定状態(「設定1」〜「設定6」)のうちどの設定状態が選択されたかを判定した上で、選択された設定状態に応じた内部処理を実行する。
S404にて設定キーが挿入されていないことを確認した後(S404:No)、または、設定変更処理(S405)を行った後には、停電フラグがセットされているか否かを確認する(S406)。停電フラグがセットされていない、すなわち先のS403又はS405にてRAM153のデータがクリアされている場合には(S406:No)、後述する通常処理(S407)を実行する。
S406において停電フラグがセットされた状態にあるときには(S406:Yes)、S408以降に示す復電処理に移行する。ここで、停電フラグがセットされた状態にあるということは、S403のRAMクリア処理、S405の設定変更処理等のサブルーチン処理が全く実行されていない場合である。従って、RAM153のデータは全く書き替えられていないこととなり、復電処理ではRAM153のデータなどが正常であるかどうかなどの確認処理が必要となる。
そのためにまず、RAM判定値が正常であるか否かを確認する(S408)。具体的には、RAM153のチェックサムの値を調べ、その値が正常、つまりRAM判定値を加味したチェックサムの値が0か否かを確認する(S408)。RAM判定値を加味したチェックサムの値が0である場合(S408:Yes)、RAM153のデータは正常であると判定する。
S408においてRAM判定値が異常である、つまりチェックサムの値が0でなかったときには(S408:No)、RAM153のデータが破壊された可能性が高いため、その処理をS403の処理に移行してRAM153に記憶されたデータを全てクリアする。これにより、停電フラグはセットされていない状態となって、次のS406の処理を実行することによりその後の処理を通常処理(S407)へ移行させることができる。
S408においてRAM判定値が正常であると判定した場合には(S408:Yes)、バックアップエリアに保存されたスタックポインタの値をMPU151のスタックポインタに書き込み、スタックの状態を電源が遮断される前の状態に復帰させる(S410)。次に、復電処理の実行を伝える復電コマンドを表示制御装置111に送信する(S411)。その後、遊技状態として打ち止めおよび自動精算設定保存処理を行い(S412)、スタート検出センサ71a等の各種センサの初期化を行う(S413)。
以上の処理が終了した後には停電フラグをリセットし(S414)、電源遮断前の番地に戻る。具体的には、先に説明したタイマ割込み処理に復帰し、ウォッチドッグタイマクリア処理(S204)が実行されることとなる。
次に、遊技に関わる主要な制御を行う通常処理(S407)について図10のフローチャートに基づき説明する。
通常処理(S407)においては、先ず、メダルがマックスベットされているか否かを判定するために、ベットカウンタ153bの値が「3」であるか否かを確認する(S500)。すなわち、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79の操作により仮想メダル(クレジットメダル)がベットされたか、又はメダル投入口75よりメダルが投入されたか否かを判定すると共に、ベットされたメダルの枚数が「3」であるか否かを判断するのである。S500の処理において確認した結果、ベットカウンタ153cの値が「3」であれば(S500:Yes)、メダルがマックスベットされているので、球貸許可信号SG2をオフする(S501)。球貸許可信号SG2のオフにより球貸可LED220は消灯するので、遊技者に球貸しが不能であることが通知される。
次にスタートレバー71が操作されたか否かを判定する(S502)。S502の処理においてスタートレバー71が未操作であると判定された場合には(S502:No)、その処理をS500の処理に移行して、スタートレバー71の操作を待機する。一方、S502の処理においてスタートレバー71が操作されたと判定された場合には(S502:Yes)、かかるタイミングでラッチ回路126にラッチされた乱数値を当否乱数メモリ153aに書き込む(S503)。
続いて、セレクタソレノイドをオフして非励磁とする(S504)。これにより、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても、かかるメダルは排出用通路82を介して遊技者に返却される(メダルの投入禁止)。その後、S502の処理で検出されたスタートレバー71の操作を契機として実行する遊技に対し、当否および当選させる役を抽選する抽選処理を実行する(S505)。
抽選処理(S505)の実行後は、各リール42L,42M,42Rの回転と停止とを制御するリール制御処理を実行する(S506)。このリール制御処理(S506)では、ストップスイッチ72〜74の操作に起因して対応するリールの回転を停止させると共に、停止した各リール42L,42M,42Rによって抽選処理(S505)で決定された役および図柄が現出するように、抽選処理(S505)にて決定されたスベリテーブルに基づいて、各リール42L,42M,42Rの停止を制御する。各リール42L,42M,42Rが停止すると、リール制御処理(S506)を終了する。
リール制御処理(S506)の終了後は、停止された各リール42L,42M,42Rの有効ライン上の図柄の組合せに応じてメダルを払い出すメダル払出処理を実行する(S507)。メダル払出処理(S507)では、有効ライン上に所定の組合せで図柄が停止した場合(役に入賞した場合)、入賞した役に応じた数のメダルを払い出す。また、メダルの払出しに際し、スロットマシン10に設定されたモードを確認して、「ダイレクトモード」である場合には、ホッパ装置91からメダル排出口17を介してメダル受け皿18へメダルを払い出す。一方、「クレジットモード」である場合には、クレジットの値(クレジットメダルの貯留数)を更新(加算)することにより仮想的にメダルの払出を実行する。クレジットの値が上限に達した場合には、「ダイレクトモード」同様にメダル受け皿18へメダルを払い出す。そして、払い出されたメダル数に応じて、残数表示部35及び獲得枚数表示部37などの表示を更新し、メダル払出処理(S507)を終了する。なお、獲得枚数表示部37の表示は、次回スタートレバー71が操作されたときにリセット(更新)される。
メダル払出処理(S507)の終了後は、ボーナス役に入賞している場合に通常より有利な特別遊技であるボーナスゲームを実行する特別遊技状態処理を実行し(S508)、その後、セレクタソレノイドをオンして励磁状態とし(S509)、メダルの通路を貯留用通路81に切り替えてから(メダルの投入許可)、その処理をS500の処理に移行する。
一方、S500の処理にてベットカウンタ153cの値が「3」でないと判定された場合には(S500:No)、スロットマシン10において、メダルのベット枚数は「2」以下であると共に、遊技は非実行状態にある(スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つメダルの払い出しが無いか、或いはメダルの払い出しがあってもその払い出しが終了している)。そして、「クレジットモード」においてクレジットカウンタ153cの値が「45」以下であるか否かを確認する(S510)。クレジットカウンタ153cの値は、クレジットメダルの貯留数であるので、クレジットカウンタ153cの値が「45」を越えていると、1回の球貸しにより5枚のクレジットメダルを貸球として払い出す本実施の形態においては、球貸しの実行に伴ってクレジットメダルの貯留数が上限値「50」を越えて、実際のメダルを払い出すことになってしまうからである。従って、クレジットカウンタ153cの値が「45」を超えていれば(S510:No)、球貸許可信号SG2をオフした後(S518)、その処理をS513の処理に移行する。
これにより、球貸ボタン信号SG1のオンを確認するS512のステップがスキップされるので、球貸ボタン信号SG1がオン(球貸ボタン210が押下)されても、メダル貸処理(S517)は非実行となる(球貸しの禁止)。また、球貸許可信号SG2のオフにより球貸可LED220は消灯され、球貸し不能な状態にあることが遊技者に通知される。
一般に、クレジットメダルの貯留数には上限が設けられている。クレジットメダルが無制限に貯留できるような構成であると、例えば、クレジットされたメダルを不正に払い出す不正行為が行われた場合に、被害額が甚大になるからである。本実施形態のスロットマシン10は、クレジットメダルの貯留数の上限を「50」とするので、それ以上クレジットメダルを貯留することはできない。従って、球貸しの実行によりクレジットメダルの貯留数が「50」を超える場合には、球貸しを非実行として(禁止して)、不正行為を抑制している。
また、クレジットカウンタ153cの値が「45」以下であれば(S510:Yes)、スロットマシン10は球貸し可能な状態(第2状態)になっているので、球貸許可信号SG2をオンする(S511)。カードユニット230が球貸し可能な状態にあれば、かかる球貸許可信号SG2のオンにより球貸可LED220は点灯され、球貸し可能な状態にあることが遊技者に通知される。
その後、球貸ボタン信号SG1がオンであるか否か(球貸ボタン210がオンされたか否か)を確認し(S512)、球貸ボタン信号SG1がオンであれば(S512:Yes)、球貸しを実行するメダル貸処理を実行し(S517)、その後、その処理をS500の処理に移行する。
また、球貸ボタン信号SG1がオフであれば(S512:No)、ベットカウンタ153cの値が「1」以上であるか否か、即ちベットがなされているか否かを確認し(S513)、ベットカウンタ153cの値が「1」以上であれば(S513:Yes)、スタートレバー71が操作されたか否かを確認する(S514)。スタートレバー71が操作されていた場合は(S514:Yes)、遊技者によるベット枚数「2」以下での遊技の開始要求であるので、かかるタイミングでラッチ回路126にラッチされた乱数値を当否乱数メモリ153aに書き込む(S515)。そして、球貸許可信号SG2をオフして(S516)、遊技者に球貸し不能な状態にあることを通知した後、処理をS504の処理に移行する。
また、S513の処理にてベットカウンタ153cの値が「1」未満(「0」である)と判定された場合(S513:No)、またはS514の処理にてスタートレバー71が操作されていないと判定された場合には(S514:No)、処理をS500の処理へ移行して、メダルのベットやスタートレバー71の操作、更には、球貸ボタン210の押下等、処理の契機となる動作を待機する。
このように、通常処理(S407)によれば、スロットマシン10において遊技が実行状態にある場合及び、遊技が非実行状態にあってもマックスベットされているか、クレジットカウンタ153cの値が「45」を越えている(少なくとも46枚のクレジットメダルが貯留されている)場合には、球貸ボタン信号SG1の状態を検出するステップ(S512)は回避される(MPU151は球貸ボタン信号SG1の状態を検出しない)。つまり、遊技が実行状態にある場合や、マックスベットされている場合、更には、クレジットメダルの貯留数が45を越えている場合には、球貸ボタン210の押下(球貸ボタン信号SG1のオン)は無効となって、メダル貸処理(S517)は実行されない。球貸しの実行の契機となる球貸スイッチ信号TDSは、メダル貸処理(S517)の中でカードユニット230に出力(オン)されるので、遊技が実行状態にある場合、マックスベットされている場合、更には、クレジットメダルの貯留数が45を越えている場合には、球貸スイッチ信号TDSは出力されず、従って、球貸しを非実行とすることができる。その結果、遊技機レディ信号PRDYなど、カードユニット230へ出力する信号を操作することなく、スロットマシン10において球貸しの許可と禁止とを切り替えることができる。
スタートレバー71が(メダルがベットされた状態で)操作されると、スロットマシン10では遊技が開始され、遊技の実行状態となる。このスタートレバー71の操作を契機として、MPU151は、乱数値の取得(ラッチ回路126にラッチされた乱数値の当否乱数メモリ153aへの書き込み)、セレクタソレノイドの切替、リール42L,42M,42Rの始動および回転制御、当否の抽選など、多くの処理を集中して行わなくてはならず、その制御負担が大きい。そこで、本実施の形態においては、遊技が実行状態にある場合には球貸しを非実行とし、MPU151の制御負担が更に増大することを回避している。
ここで、メダルのベット枚数が「3」(マックスベット)であれば、今回の遊技にベットするメダルは足りており、球貸しは次回以降の遊技に際して実行されれば十分である。このため、マックスベットとなった場合に球貸しを禁止しても、遊技に不都合が生じることはない。一方で、ベットされたメダルの枚数が「2」以下である場合には、今回の遊技にベットするメダルが不足しており、球貸しが要求されることがある。メダルのベット枚数によって有効ラインの数や選択される乱数テーブルが変更され、得られる利益(遊技価値)が変化するので、即ちベット数が多いほど当たり役が抽選される確率が高く設定されているので、球貸しが禁止されることにより、不足分のメダルを補填して所望数のメダルをベットできないと、遊技者には不満が生じる。
このため本実施の形態においては、マックスベットとなった場合に球貸しを禁止することとし、逆に、「1」ないし「2」枚のメダルがベットされた状態においては、クレジットメダルの貯留数が「45」以下であることを条件として、スタートレバー71が操作されるまで、球貸しを許可するようにスロットマシン10を構成している。これにより、遊技者の利便性や利益を確保しつつ、MPU151の制御の集中を緩和している。
また、本実施の形態の通常処理(S407)では、マックスベットである場合と否である場合とでは処理のルーチンが異なっており、マックスベットである場合は、ラッチ回路126にラッチされた乱数値を当否乱数メモリ153aに書き込むS506の処理の後において、球貸許可信号をオフする処理(S516)はない。このため、スタートレバー71の操作時におけるMPU151の制御の集中を、S516の処理を実行しない分、回避できる。尚、ベットカウンタ153bの値は、再遊技役(リプレイ役)が不成立の場合には、特別遊技状態処理(S509)の終了後に、非図示のステップによって0クリアされる。
図11は、図10の通常処理(S407)の中で実行されるメダル貸処理(S517)のフローチャートである。本実施の形態のメダル貸処理(S517)は、5枚のクレジットメダルを貸球として払い出すものである。尚、メダル貸処理(S517)により、1回の球貸しによって払い出されるメダルの数は、「5」に限られるものでなく、「5」以上であっても、「5」以下であっても良い。
メダル貸処理では、まず、メダル通路切替部材84のセレクタソレノイドをオフして非励磁とする(S521)。これにより、メダルの貸し出し中に、遊技者によって、仮にメダル投入口75からメダルが投入されたとしても、かかるメダルは排出用通路82を介してメダル受け皿18へ排出され、遊技者に返却される(メダルの投入禁止)。
セレクタソレノイドをオフして遊技者によるメダルの投入を禁止した後、スロットマシン10からカードユニット230へ球貸スイッチ信号TDSを出力して、前述したカードユニット230との通信処理を開始する(S522)。通信エラーの発生を監視し(S523)、エラーの発生が検出されれば(S523:Yes)、該当するエラー処理等を実行する(S529)。その後は、セレクタソレノイドをオンして励磁状態とし(S528)、メダルの通路を貯留用通路81に切り替え(メダルの投入許可)、このメダル貸処理(S517)を終了する。
S523の処理において、通信エラーの発生がなければ(S523:No)、球貸要求完了確認信号BRQによる球貸し実行指示の有無を確認する(S524)。球貸し実行指示があれば(S524:Yes)、クレジットカウンタ153cの値に「5」を加算し(S525)、加算後のクレジットカウンタ153cの値に応じて残数表示部35の値を更新する(S526)。これにより残数表示部35には、先の値に「5」加算された値が表示され、クレジットメダルの貯留数が「5」加算される。一方、球貸要求完了確認信号BRQによる球貸し実行指示がなければ(S524:No)、S525,S526の各処理をスキップして、S527へ移行する。
S527の処理では、カードユニット230との通信の完了を監視し(S527)、未だ通信が完了していなければ(S527:No)、処理をS523へ移行して、前述したS523からS527の各処理を繰り返す。一方、カードユニット230との通信が完了すれば(S527:Yes)、セレクタソレノイドをオンして励磁状態とし(S528)、メダルの通路を貯留用通路81に切り替え(メダルの投入許可)、このメダル貸処理(S517)を終了する。
図12は、図10の通常処理(S407)の中で実行される抽選処理(S505)のフローチャートである。抽選処理(S505)は、実行する遊技に対し、当否および当選させる役を抽選する処理であり、まず、スロットマシン10の現在の設定状態やベットされたメダルの枚数、小役確率の高低等に基づき、当否決定用の乱数テーブルを選択する(S601)。ここで、スロットマシン10の設定状態は図示しない設定キーを用いてセットされた「設定1」〜「設定6」のいずれかであり、「設定1」のときに役の当選確率が最も低い乱数テーブルが選択され、「設定6」のときに役の当選確率が最も高い乱数テーブルが選択される。また、ベットされたメダルの枚数は1〜3枚のいずれかであり、ベット枚数が多いほど役の当選確率が高くなるような乱数テーブルが選択される。例えば3枚ベットされたときの役の当選確率は、1枚ベットされたときの役の当選確率と比して3倍よりも高い確率となっている。さらに、小役確率については高低2種類存在し、現在の出玉率が所定の期待値を下回っているときには小役当選確率が高い乱数テーブルが選択され、所定の期待値を上回っているときには小役当選確率が低い乱数テーブルが選択される。
S602では、このようにして選択された乱数テーブルに、当否乱数メモリ153aに記憶される値、即ち、スタートレバー71の操作を契機としてラッチ回路126にラッチした乱数カウンタ更新回路125の乱数値を照らして役の抽選を行う(S602)。そして、いずれかの役に当選したか否かを判定し(S603)、いずれの役にも当選していない(外れである)場合には(S603:No)、そのまま本処理を終了する。いずれかの役に当選した場合には(S603:Yes)、その役に応じた当選フラグをセットし(S604)、図柄を揃えるべき有効ラインを決定する。S604の処理後、リール停止制御用のスベリテーブルを決定し、これをRAM153のスベリテーブル格納エリアに格納して(S605)、この抽選処理(S505)を終了する。
尚、ここで、スベリテーブルとは、ストップスイッチ72〜74が押されたタイミングにおける所定の有効ライン上の図柄と、その有効ライン上に停止させるべき図柄とが異なる場合に、その停止させるべき図柄を所定の有効ライン上で止まるようにリールをどれだけ滑らせるかを定めたテーブルである。リール制御処理(S506)において、かかるスベリテーブルを用いて、リール42L,42M,42Rの停止位置を制御することにより、停止したリール42L,42M,42Rの態様を抽選結果に整合させることができる。
図13は、カードユニット230のMPU231により実行される球貸可LED信号切替処理のフローチャートである。球貸可LED信号切替処理は、磁気カードの挿入の有無に応じて球貸可LED信号TDLOをオンとオフとに切り替える処理であり、ROM232から所定時間毎に定期的に読み出されて実行される。
この球貸可LED信号切替処理では、まず、カードリーダ・ライタ228からの出力値に基づいて、カードユニット230内に磁気カードが挿入されているか否かを確認する(S621)。カードリーダ・ライタ228により磁気カードの「0円」でない残高金額が読み出されれば、磁気カードの挿入中と判断できる。ここで、磁気カードが挿入されていれば(S621:Yes)、球貸可LED信号TDLOをオンして(S622)、この球貸可LED信号切替処理を終了する。なお、残高金額が「0円」の磁気カードは、図示しないアクチュエータによって、カード挿入口224から強制的に排出される。一方、S621の処理において、カードリーダ・ライタ228により磁気カードの残高金額が読み出されず、磁気カードが未挿入であると判断された場合には(S621:No)、球貸可LED信号TDLOをオフして(S623)、この球貸可LED信号切替処理を終了する。
本実施の形態においては、1メダルを20円で換算しており、また、スロットマシン10およびカードユニット230は、100円単位(即ちメダル5枚単位)で球貸しを実行するよう構成されている。球貸しが実行されると、カードユニット230は、球貸要求完了確認信号BRQのオフが正常に行われたタイミングを契機として、カードリーダ・ライタ228により挿入中の磁気カードに記憶される残高金額を100円減算して磁気カードの残高金額を更新する。また、カード残高金額が「0」になると、図示しないアクチュエータにより磁気カードを強制的に排出する。つまり、カードユニット230挿入されている磁気カードは、少なくとも球貸し1回分で払い出される貸球を精算できる残高金額を有する。従って、球貸可LED信号TDLOは、磁気カードがカードユニット230に挿入されていることを示す、即ち、カードユニット230が球貸し可能な状態にあることを示す信号となる。
上記したように、球貸可LED220は、アンド回路AND1の入力端に、球貸許可信号SG2と球貸可LED信号TDLOとが共に入力(オン)されている場合に点灯される。従って、球貸可LED信号切替処理によって球貸可LED信号TDLOがオンされると(球貸許可信号SG2がオンであれば)、球貸可LED220は点灯となり、球貸可LED信号TDLOがオフされると球貸可LED220は消灯する。
ここで、球貸可LED信号TDLOは、球貸可LED信号切替処理により、磁気カードが挿入されている間出力され続ける。従って、カードユニット接続端子板250のアンド回路AND1を用いれば、スロットマシン10から出力される球貸許可信号SG2によって直接的に(球貸可LED信号切替処理の実行タイミングとは無関係に)、球貸可LED220の点灯消灯を制御することができ、球貸許可信号SG2のオンとオフとに連動させて、球貸可LED220のオン(点灯)とオフ(消灯)とを切り替えることができる。言い換えれば、スロットマシン10が球貸し可能な状態か否かを、球貸可LED220の点灯状態に直ちに反映させることができる。
本実施の形態のスロットマシン10によれば、スロットマシン10によって球貸しを実行できるので、スロットマシン10とは別体で、メダルの貸出しを行う専用の装置(メダル貸機)を設ける必要がない。加えて、スロットマシン10は、遊技が非実行状態(スタートレバー71操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つメダルの払い出しが無いか、或いはメダルの払い出しがあってもその払い出しが終了している状態)にある期間に限って球貸しを実行するので、MPU151の制御負担が高いリール42L,42M,42Rの回転制御中において、カードユニット230との通信が必要となるメダル貸処理(S517)を回避できる。従って、MPU151の制御によって球貸しを行っても、リール42L,42M,42Rの脱調などのエラーが誘発されることはない。また、球貸しを制御する専用の演算装置(デバイス)を、MPU151の制御負担の軽減やエラーの解消を目的として、新たに設ける必要がない。
更に、スロットマシン10は、遊技が非実行状態にあってもマックスベットとなった場合には球貸しを非実行とするように構成されているので、スタートレバー71の操作時における処理の集中を緩和することができ、スタートレバー71の操作時のMPU151の制御負担を軽減することができる。また、貸球が現実のメダルで払い出される場合には、メダルのベットに際し、メダル受け皿18に払い出されたメダルをメダル受け皿18から取り出してメダル投入口75へ投入するといった動作が必要となるが、本実施の形態では、貸球をクレジットメダルにて払い出すこととしているので、第1〜第3クレジット投入スイッチ77〜79を操作するだけでメダルをベットすることができ、遊技者の手間を軽減できる。
また、「ダイレクトモード」が設定されている場合、入賞により、ホッパ装置51からメダルの払出しが実行されるが、貸球を現実のメダルで払い出すとメダルの貯留レベルの低下が速くなり、メダルエンプティの到来を早めてしまう。しかし、貸球をクレジットメダルにより払い出すので、メダルエンプティの到来を遅延させることができ、スロットマシン10へのメダルの補給間隔を長くすることができる。
更に、球貸しが遊技が非実行状態である期間(遊技が非実行状態である期間の内、球貸し可能な状態(前記した第1状態且つ第2状態)にある期間)に限って行われるのに対し、磁気カードの返却は、遊技の実行状態に関わりなく行うことができる。即ち、返却ボタン200の押下により出力される返却スイッチ信号RESを、スロットマシン10を介すことなく、カードユニット230に出力するように構成し、その返却スイッチ信号RESを入力したカードユニット230により磁気カードの返却を行うので、磁気カードの返却に関し、スロットマシン10に制御負担を強いることが無い。故に、遊技の実行状態において、磁気カードの返却を行うように構成しても、スロットマシン10の制御に支障を来すことがない。
かかる構成より、遊技者は、所望のタイミングで磁気カードの返却を受けることができる。よって、一部のリール42L,42M,42Rが停止し他のリールが未だ回転している場合や、メダルの払出制御中においても、遊技者は磁気カードの返却を受けることができる。例えば、スタートレバー71の操作により回転を開始した3本のリール42L,42M,42Rのうち、1乃至2本のリールの停止図柄により、遊技者はビッグボーナスやレギュラーボーナス等(ボーナス役)の成立を認識できる。ボーナス役が成立すると、特別遊技状態が発生して多くのメダルが払い出され得る状態となるので、カードユニット230による新たなメダルの貸し出しは不要となる。本実施形態のスロットマシン10では、かかる場合に、実行中の遊技の終了を待たずして、即座に磁気カードをカードユニット230から返却することができるので、遊技者による磁気カードの返却忘れを極力回避することができる。なお、該構成によれば、すべてのリール42L,42M,42Rを回転させた状態でトイレ休憩等により席を離れる場合にも、磁気カードの返却を行うことができる。
次に、図14から図16を参照して、第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態においてスロットマシン10は、球貸しが実行された場合にはその終了後にスタートレバー71が操作されることにより、新たに遊技が開始されるように構成されており、球貸しの実行中のスタートレバー71の操作は無効とされた。これに代えて、第2の実施の形態においては、スタートレバー71の操作を常時監視し、球貸しの実行中にスタートレバー71が操作された場合には、そのスタートレバー71の操作に基づいた遊技を、即ちスタートレバー71の操作タイミングで取得した乱数値に基づく遊技を、球貸しの終了後、直ちに開始し得るように構成されている。尚、他の部分は、上記した第1の実施の形態と同様であるので、第1の形態と同じ部分には同じ符号を付してその説明を省略する。
図14は、第2の実施の形態におけるスロットマシン10の電気的構成を示したブロック図である。第2の実施の形態においては、スロットマシン10の主制御装置131に搭載されたMPU151のRAM153に操作フラグ153dが設けられている。
操作フラグ153dは、メダルがベットされた状態においてスタートレバー71が操作されたか否か、即ち、遊技の開始要求がなされたか否かを判断するためのフラグであり、メダルがベットされた状態でスタートレバー71が操作された場合にオンされ、そのスタートレバー71の操作に基づいた遊技が終了するとオフされる(図15参照)。このスタートレバー71の操作は、タイマ割込み処理(図7参照)の中で実行されるセンサ監視処理(S207)において、スタート検出センサ71aの検出信号を読み取ることにより検出される。
図15は、図9のメイン処理の中で実行される第2の実施の形態における通常処理(S407)のフローチャートである。第2の実施の形態の通常処理(S407)では、第1の実施の形態と同様に、ベットカウンタ153bの値が「3」である場合には(S500:Yes)、球貸許可信号SG2をオフする(S501)。その後、操作フラグ153dがオンされているか否かを確認して(S650)、スタートレバー71の操作の有無を確認する。操作フラグ153dがオフであれば(S650:No)、スタートレバー71は未だ操作されていないので、処理をS500へ移行して、操作フラグ153dのオン、即ち、スタートレバー71の操作を待機する。一方、S650の処理で確認した結果、操作フラグ153dがオンであれば(S650:Yes)、スタートレバー71は操作されたので、第1の実施の形態と同様に、スタートレバー71の操作に基づいた遊技を実行する(S504〜S509)。即ち、スタートレバー71の操作タイミングで取得した乱数値(当否乱数メモリ153aに記憶された乱数値)に基づく遊技を実行する。そして、S509の処理によりメダルの通路を貯留用通路81に切り替えた後、操作フラグ153dをオフしてから(S651)、その処理をS500の処理に移行する。
一方、S500の処理で確認した結果、ベットカウンタ153bの値が「3」でない場合であって(S500:No)、「クレジットモード」においてクレジットカウンタ153cの値が「45」以下であれば(S510:Yes)、球貸許可信号SG2をオンしてから(S511)、球貸ボタン信号SG1の状態の確認と、確認した球貸ボタン信号SG1の状態に応じてメダル貸処理とを行い(S512,S517)、その後、操作フラグ153dがオンされているか否かを確認する(S652)。また、クレジットカウンタ153cの値が「45」を越えている場合には(S510:No)、球貸許可信号SG2をオフした後(S518)、操作フラグ153dがオンされているか否かを確認する(S652)。
確認の結果、操作フラグ153dがオフであれば(S652:No)、スタートレバー71は未だ操作されていないので、処理をS500へ移行して、操作フラグ153dのオンまたは球貸しの要求を待機する。一方、操作フラグ153dがオンであれば(S652:Yes)、メダルがベットされた状態においてスタートレバー71が操作されたので、球貸許可信号SG2をオフした後(S653)、処理をS504の処理へ移行し、スタートレバー71の操作に基づいた遊技を実行する(S504〜S509)。即ち、スタートレバー71の操作タイミングで取得した乱数値(当否乱数メモリ153aに記憶された乱数値)に基づく遊技を実行する。
遊技者は遊技が中断されることを好まないので、球貸しの期間中において遊技が禁止されることに不満を抱きかねない。少しでも早く遊技を開始したい遊技者は、貸球が払い出されると、球貸しの終了を待ちきれずに払い出された貸球から順にベットして遊技を開始し得る体制を整えると共に、球貸しが終了していなくてもスタートレバー71を操作する。ここで、第2の実施の形態においては、メダルのベットがなされている全期間中、即ち、球貸しの実行中であっても、スタートレバー71の操作を有効としており、球貸しの実行中にスタートレバー71が操作された場合には、その操作タイミングで乱数カウンタ更新回路125の乱数値をラッチすると共に、ラッチした乱数値に基づく遊技を、球貸し終了後に直ちに開始する。従って、球貸しによる遊技の中断期間を短縮でき、遊技者の不満を軽減することができる。
図16は、図7のタイマ割込み処理において実行されるスタートレバー操作検出処理のフローチャートである。スタートレバー操作検出処理は、遊技の開始要求(メダルがベットされた状態でのスタートレバー71の操作)を監視する処理であり、タイマ割込み処理のセンサ監視処理(S207)の中で実行される。
このスタートレバー操作検出処理では、まず、操作フラグ153dがオンであるか否かを確認し(S700)、オンであれば(S700:Yes)、メダルがベットされた状態で、既に、スタートレバー71が操作されているので、このスタートレバー操作検出処理を終了し新たな乱数値の取得を回避して、既に取得済の乱数値を保持する。一方、操作フラグ153dがオフであれば(S700:No)、ベットカウンタ153bの値が「1」以上であるか否かを確認し(S701)、ベットカウンタ153bの値が「1」未満(即ち「0」)であれば(S701:No)、ベットされたメダルはないのでこのスタートレバー操作検出処理を終了する。
一方、ベットカウンタ153bの値が「1」以上であれば(S701:Yes)、メダルがベットされているので、スタートレバー71が操作されたか否かをスタート検出センサ71aの検出信号に基づいて判断する(S702)。スタートレバー71が操作されていなければ(S702:No)、このスタートレバー操作検出処理を終了し、逆に、スタートレバー71が操作されていた場合には(S702:Yes)、かかるタイミングでラッチ回路126にラッチされた乱数値を当否乱数メモリ153aに書き込む(S703)。その後、スタートレバー71が操作されたこと(遊技の開始が要求されたこと)を示すために操作フラグ153dをオンして(S704)、このスタートレバー操作検出処理を終了する。
このように、第2の実施の形態によれば、スタートレバー操作検出処理が、タイマ割込によって1.49msec毎に実行されるので、遊技の開始要求(メダルがベットされた状態でのスタートレバー71の操作)は、このスタートレバー操作検出処理により常時監視される。スタートレバー71が操作され遊技の開始要求がなされた場合には、その操作タイミングで乱数値が取得されると共に、操作フラグ153dがオンされて、これが示される。従って、メダル貸処理(S517)の実行中に遊技の開始要求がなされた場合には、その開始要求に基づいた遊技を、メダル貸処理(S517)の終了後に直ちに開始することができる。
尚、第2の実施の形態において、メダル貸処理(S517)の実行中におけるスタートレバー71の操作を、無効とするか有効とするかを、遊技者の操作に基づいて設定する設定スイッチをスロットマシン10に設けてもよい。この設定スイッチにより、スタートレバー71の操作が有効と設定されている場合には、メダル貸処理(S517)の実行中にスタートレバー71が操作されると、メダル貸処理(S517)の実行後に直ちに遊技を開始する。一方、スタートレバー71の操作が無効と設定されている場合には、メダル貸処理(S517)の実行中に行われたスタートレバー71の操作は無効とされ、メダル貸処理(S517)の終了後に実行されるスタートレバー71の操作に基づいて、遊技が開始される。これによれば、本スロットマシン10に不慣れな遊技者が、メダル貸処理(S517)の最中に誤ってスタートレバー71を操作してしまい、遊技が不本意に開始されてしまうことを回避することができる。
メダル貸処理(S517)の実行中は遊技を開始できないので、遊技者は、手持ち無沙汰になり、遊技開始の意図を持たずにスタートレバー71を操作することがある。メダルが1又は2枚ベットされている状態で、メダル貸処理(S517)が実行され、その実行中にスタートレバー71の操作が行われると、遊技者が意図しないにも拘わらず、メダル貸処理(S517)の後に直ちに遊技が開始される。ここで、遊技者が更にメダルをベットしてから遊技することを望んでいた場合、即ち、マックスベットの状態で遊技することを望んでいた場合、遊技者が所望するベット数とは異なるベット数で遊技が実行されてしまう。しかし、上記の設定スイッチを設け、メダル貸処理(S517)実行中のスタートレバー71の操作について、無効と有効とを切り替え可能に構成すれば、本スロットマシン10に不慣れな者と熟練した者とが共に、その習熟度に応じて遊技を楽しむことができる。
以上、各実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記第1および第2の実施の形態では、スロットマシン10において、遊技が非実行状態にあること、ベットされたメダルの枚数が2枚以下であること、「クレジットモード」においてクレジットメダルの貯留数が「45」以下であることとの3つの条件を球貸しを許可する条件とした。これに代えて、スロットマシン10において、遊技が非実行状態にあり、且つベットされたメダルの枚数が2枚以下であることとの2条件を球貸しを許可する条件とし、クレジットメダルの貯留数による球貸しの制限を排除してもよい。これによれば、クレジットメダルの貯留数とは無関係に球貸しを実行できる。尚、クレジットモードであることを上記2の条件に加えて、球貸しを許可する条件としても良い。
上記各実施の形態では、1回の球貸しによって払い出される貸球数は予め定められた固定の値であったが、これに代えて、1回の球貸しによって払い出される貸球数を可変の値としても良く、遊技者所望の数によって貸球数を変更することができるように、遊技者の操作により貸球の数を入力する入力手段を設けても良い。
更に、1回の球貸しによって払い出されるクレジットメダルの数は、「5」に限られるものでなく、球貸しが1回実行されると、クレジットメダルが上限まで払い出されるようにスロットマシン10を構成しても良い。これによれば、5枚単位など小刻みに球貸しが行われる場合に比べて、遊技者は、球貸しを要求する操作の回数を低減でき、その手間を削減できる。
また、上記各実施の形態のメダル貸処理(S517)は、少なくとも1回分(5枚)の貸球を払い出すことができる状態、即ち、クレジットメダルの貯留数が「45」以下にある場合に球貸しを実行(許可)する構成とした。言い換えれば、球貸しを許可または禁止するクレジットメダルの貯留数の閾値を「45」としたが、閾値となるクレジットメダルの貯留数は「45」に限られるものでなく、「45」よりも小さな数で設定されても良い。例えば、かかる閾値を「0」とすれば、クレジットメダルの貯留数が「0」となった場合に球貸しが許可され、クレジットメダルの貯留数が「1」以上である場合には、球貸しは禁止される。
更に、上記各実施の形態では、球貸ボタン210の押下により球貸しが要求されることによって球貸しを行ったが、これに代えて、クレジットメダルの貯留数が所定数(例えば「0」)に減少したことを契機として、球貸しを実行するようにしてもよい。これによれば、遊技者による球貸ボタン210の操作を不要にできるので、いちいち球貸ボタン210を操作して球貸しを要求するという煩雑さから遊技者を開放することができる。尚、クレジットメダルの貯留数が所定数(例えば、「0」)に減少したことを契機として球貸しを実行する場合には、遊技者の操作によって、かかる処理の実行と非実行とを切り替える切替手段を設けても良く、該切替手段により非実行が指定されている場合には、クレジットメダルの貯留数が所定数に減少した場合であっても、球貸しは非実行とされる。この場合、球貸ボタン210の押下により球貸しを行うこととしても良い。
また、スロットマシン10は、「1」〜「3」の任意のメダルをベットして、遊技を実行できる構成としたが、これに代えて、スロットマシン10を、最大数「3」のメダルをベットした場合に限って遊技を実行する構成(マックスベット専用機)としても良い。かかるスロットマシンに、クレジットメダルの貯留数が「0」になると(球貸ボタン210の押下なしに)球貸しを実行する構成を適用した場合には、クレジットメダルの貯留数が「2」以下となると、貯留された「2」以下のクレジットメダルを自動的に(遊技者の操作なしに)ベットした後、更に、自動的に(球貸ボタン210の押下なしに)球貸しを実行するように構成しても良い。
更に、スロットマシン10を、マックスベット専用機とした場合には、上記各実施の形態の通常処理(S407)においてS513〜S516の処理を不要とすることができ、スタートレバー71の操作時の処理の集中を更に回避できる。
加えて、上記各実施の形態のメダル貸処理(S517)では、払い出される貸球をクレジットメダルとしたが、ホッパ装置91に貯留される現実のメダルを貸球として払い出すように構成しても良い。これによれば、本発明をクレジット機能を持たないスロットマシンに適用することができる。貸球をクレジットメダルに代えて、現実のメダルで払い出す場合には、ホッパ装置91を駆動させる必要があるが、スロットマシン10にて球貸しが行われる期間は、遊技が非実行状態(すべてのリール42L,42M,42Rが停止され且つメダルの払い出しが無いか、或いはメダルの払い出しがあってもその払い出しが終了している状態)にある期間に限られているので、MPU151の制御負担が高いリール42L,42M,42Rの回転制御中において、更に、ホッパ装置91の駆動をMPU151に制御させるという事態を回避できる。このため、MPU151の制御によってホッパ装置91を駆動し、現実のメダルによる球貸しを行っても、過剰な制御負担によってリール42L,42M,42Rの脱調などのエラーが誘発されることはない。また、球貸しを制御する(ホッパ装置91を駆動制御する)専用の演算装置を、MPU151の制御負担の軽減やエラーの解消を目的として、新たに設ける必要がない。
また、現実のメダルで貸球を払い出すとしても、スロットマシン10とは別体で、メダルの貸出しを行う専用の装置(メダル貸機)を設ける必要がないので、かかる専用の装置(メダル貸機)へのメダルの補給作業を不要とし、遊技場の従業員の作業労力を軽減できる。更に、ホッパ装置91は、遊技者などにより投入されたメダルを貯留するものなので、遊技中には断続的にメダルが補給される。従って、ホッパ装置91内のメダルの貯留レベルの低下は緩慢に生じることとなり、メダルエンプティに至るまでの間隔、即ち、スロットマシン10へのメダルの補給間隔を長くすることができる。
加えて、上記各実施の形態のメダル貸処理(S517)では、払い出される貸球を全てクレジットメダルとしたが、これに代えて、「ダイレクトモード」に設定されているか「クレジットモード」に設定されているかを判断するステップをメダル貸処理(S517)に設け、「ダイレクトモード」が設定されている場合には現実のメダルを払い出すように構成しても良い。
また、上記各実施の形態のメダル貸処理(S517)では、球貸しによってクレジットメダルの貯留数が上限「50」を越える場合には(S520:No)、球貸しを非実行としたが、これに代えて、球貸しによってクレジットメダルの貯留数が上限「50」を越える場合には、上限「50」まではクレジットメダルにて貸球の払出しを行い、上限「50」を越える分については現実のメダルにより払い出すように構成しても良い。これによれば、クレジットメダルは貯留数の上限までに押さえつつ、クレジットメダルの貯留数の上限に制限されることなく球貸しを実行することができる。
また、上記各実施の形態においては、球貸しの実行に伴って、残数表示部35におけるクレジットメダルの貯留数の表示を、一度に球貸し後の貯留数に切り替えたが、これに代えて、残数表示部35の表示を、球貸し前のクレジットメダルの貯留数から球貸し後の貯留数まで1ずつ加算した値にて順次更新するようにしても良い。球貸し前のクレジットメダルの貯留数を球貸し後の貯留数に一度に切り替える場合には、その表示の制御を単純にすることができる一方で、表示の切り替えが瞬時に終わってしまうために、遊技者が切り替えの行われた現場を見落とし易い。遊技者は、かかる表示の切り替えを見落としてしまうと、クレジットメダルの貯留数が更新されたか否かの認識が不明確となるため、貸球が正当に払い出されたか不安を抱くこととなる。残数表示部35に表示されるクレジットメダルの貯留数を順次更新すれば、残数表示部35でのクレジットメダルの貯留数表示の更新期間が長くなるので、遊技者に、クレジットメダルの払出が行われたことを認識させ易く、貸球が正当に払い出されたか否かの不安を遊技者に抱かせる事態を解消できる。
更に、上記各実施の形態では、球貸しの要求は、遊技が非実行状態に移行してから行わわれたものでなければ認識されなかった。これに代えて、タイマ割込み処理により、常時(例えば、遊技が実行状態にあっても、また、メダルがマックスベットされている場合であっても)球貸ボタン信号SG1の入力を検出すると共に、球貸ボタン信号SG1が入力されたことを示すフラグと、そのフラグのオンおよびオフを判断するプログラムとを設け、遊技が実行状態にある場合に要求された球貸しを上記フラグのオンにて判断し、遊技が非実行状態に移行すると(クレジットメダルの貯留数が「45」以下である場合)直ちに実行することができるようにスロットマシン10を構成しても良い。
遊技者は、ベットするメダルが不足すると次回の遊技に支障がでるので、球貸しを要求する。ここで、この球貸しを要求できる期間が限定されていると、該当する期間となるまで球貸しを要求できないので、次の遊技の開始が滞ってしまう。遊技者は、途切れることなく遊技を行うことを所望しており、自己の意図に反して遊技に間が空く(中断される)ことを好まない。しかし、遊技が実行状態にある場合でも球貸しの要求を認識できるようにスロットマシン10を構成すれば、遊技が非実行状態に移行すると、該要求に応じて直ちに貸球を払い出すことができる。その結果、遊技者は、先の遊技の終了後に直ちに払い出される貸球により、次の遊技に迅速に取り掛かることができ、遊技をスムーズに進行させることができる。
また、遊技の非実行状態としては、スタートレバー71の操作後におけるリール42L,42M,42Rの回転待機中以外で、すべてのリールが停止し且つメダルの払い出しが無いか或いは、メダルの払い出しがあってもそれが終了している状態とした。しかし、遊技の非実行状態は、必ずしもこれに限定されるものではなく、当たり役によるメダルの払い出しが完了する前であっても、すべてのリールが停止した状態を、遊技の非実行状態として本発明を扱っても良い。
貸出装置としては、プリペイドの磁気カードを扱うカードユニット230を例に説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、磁気カードの代わりに、プリペイドコインを扱うコインユニットや、紙幣や硬貨の現金を挿入可能に構成され、その現金の残高金額に基づいて球貸しを行う現金ユニットをも例示することができる。
球貸可LED220は、スロットマシン10から出力される球貸許可信号SG2と、カードユニット230から出力される球貸可LED信号TDLOとのアンド論理をとるアンド回路AND1の出力によって、点灯又は消灯された。しかしこれに代えて、例えば、アンド回路AND1をカードユニット接続端子板250から取り除き、カードユニット230から出力される球貸可LED信号TDLOを球貸可LED220へ入力して、球貸可LED信号TDLOにより、球貸可LED220を点灯又は消灯させるようにしても良い。また、カードユニット230から出力される球貸可LED信号TDLOをスロットマシン10へ入力し、スロットマシン10からの球貸許可信号SG2を、アンド回路AND1を介すことなく、球貸可LED220へ入力する。そして、スロットマシン10内で、球貸許可信号SG2の出力タイミングに球貸可LED信号TDLOがオンされていれば、球貸許可信号SG2を球貸可LED220へ出力して、球貸可LED220を点灯するようにしても良い。
また、上記各実施の形態では、スロットマシン10において、遊技の当否や当選した役を決定するための乱数値の生成は、ハード回路で形成される乱数カウンタ更新回路125によって行った。また、生成された乱数値は、ハード回路で形成されるラッチ回路126に、スタートレバー71が操作されたタイミングでラッチすることより取得した。これに代えて、RAM153に乱数カウンタを設け、また、ROM152に、該乱数カウンタの値を所定のタイミングで更新すると共にその乱数カウンタの値をスタートレバー71が操作されたタイミングで読み取るプログラムを制御プログラムの一部として搭載し、乱数値の生成と取得とをソフトウェアによって行うようにスロットマシン10を構成しても良い。
加えて、上記各実施の形態では、メダル通路切替部材84のセレクタソレノイドを励磁と非励磁とに切替えることでメダルを貯留用通路81へ案内するか排出用通路82へ案内するかを決定する構成としたが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、セレクタソレノイドに代えてモータを使用してもよいし、ロータリーソレノイドを使用してもよい。
更に、上記各実施の形態では、リールを3つ並列して備え、有効ラインとして5ラインを有するスロットマシンについて説明したが、かかる構成に限定されるものではなく、例えばリールを5つ並列して備えたスロットマシンや、有効ラインを7ライン有するスロットマシンであってもよい。また、いわゆるAタイプのスロットマシンに限らず、Bタイプ、Cタイプ、AタイプとCタイプの複合タイプ、BタイプとCタイプの複合タイプなど、どのようなスロットマシンにこの発明を適用してもよく、何れの場合であっても上述した実施の形態と同様の作用効果を奏することは明らかである。
また、各リール42L,42M,42Rの図柄としては、絵、数字、文字等に限らず、幾何学的な線や図形等であってもよい。また、光や色等によって図柄を構成することも可能であるし、立体的形状等によっても図柄を構成し得るし、これらを複合したものであっても図柄を構成し得る。即ち、図柄は識別性を有した情報(識別情報)としての機能を有するものであればよい。
更に、上記実施の形態では、スロットマシン10について具体化した例を示したが、スロットマシンとパチンコ機とを融合した形式の遊技機に適用してもよい。即ち、スロットマシンのうち、メダル投入及びメダル払出機能に代えて、パチンコ機のような球投入及び球払出機能をもたせた遊技機としてもよい。かかる遊技機をスロットマシンに代えて使用すれば、遊技ホールでは球のみを遊技価値として取り扱うことができるため、パチンコ機とスロットマシンとが混在している現在の遊技ホールにおいてみられる、遊技価値たるメダルと球との別個の取扱による設備上の負担や遊技機設置個所の制約といった問題を解消し得る。
なお、スロットマシンは、例えばコインを投入して図柄有効ラインを決定させた状態で操作レバーを操作することにより図柄が変動され、ストップボタンを操作することにより図柄が停止されて確定される周知のものである。従って、スロットマシンの基本概念としては、「複数の識別情報からなる識別情報列を変動表示した後に識別情報を確定表示する表示装置を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動表示が開始され、停止用操作手段(例えばストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動表示が停止して確定表示され、その停止時の識別情報の組合せが特定のものであることを必要条件として、遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技を発生させるスロットマシン」となり、この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
また、パチンコ機とスロットマシンとが融合した遊技機の具体例としては、複数の図柄からなる図柄列を変動表示した後に図柄を確定表示する表示装置を備えており、球打出用のハンドルを備えていないものが挙げられる。この場合、所定の操作(ボタン操作)に基づく所定量の球の投入の後、例えば操作レバーの操作に起因して図柄の変動が開始され、例えばストップボタンの操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、図柄の変動が停止され、その停止時の確定図柄がいわゆる大当たり図柄であることを必要条件として遊技者に所定の遊技価値を付与する特別遊技が発生させられ、遊技者には、下部の受皿に多量の球が払い出されるものである。
以下に本発明の遊技機および変形例を示す。遊技者へ遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す払出手段を有すると共に、遊技機に対して遊技媒体の貸し出しを要求する貸出装置と接続され、その貸出装置からの貸出要求を入力した場合に前記払出手段を動作させて遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出し、これにより遊技者に遊技媒体を貸し出す遊技機において、遊技者により操作され、遊技媒体の貸し出しを指示する貸出指示手段と、その貸出指示手段から貸出指示を入力すると、前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことを出力する貸出指示出力手段と、1回の遊技のために遊技者により使用される遊技媒体の数を記憶する使用枚数記憶手段と、その使用枚数記憶手段に記憶される遊技媒体の数に応じて、前記貸出指示出力手段から前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とする指示出力不実行手段とを備えていることを特徴とする遊技機。
遊技機1によれば、遊技者が1回の遊技のために、ある数の遊技媒体を使用すると、その回の遊技が終了するまで、遊技媒体の貸し出しが中止(不実行)される。各回の遊技は、遊技者により遊技媒体が使用(投入等)された後に行われるので、既に、ある数の遊技媒体が使用されている場合には、その回の遊技において遊技媒体の貸し出しは必要ない。よって、かかる条件下、遊技媒体の貸し出しを不実行とすることにより、遊技媒体の貸出制御を、遊技機の制御が集中して実行されるタイミングを回避して実行することができる。従って、遊技媒体の払い出し(貸し出し)のために、制御装置を別途設けることなく、遊技機の各制御を正常に実行することができる。即ち、貸出装置に接続される遊技機を、その遊技機の装置コストを増大させることなく、実現できる。なお、遊技媒体を実際に払い出すとは、遊技媒体そのものを実際に払い出すことを言い、遊技媒体を仮想的に払い出すとは、遊技媒体をクレジットして(クレジットメダルとして)払い出すことを言う。
遊技機1において、前記指示出力不実行手段は、遊技が実行状態にある場合には前記貸出指示出力手段から前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするものであることを特徴とする遊技機2。遊技機2によれば、遊技の実行状態中に入力した貸出指示は貸出装置へ出力されない。よって、遊技の実行中には、貸出装置から遊技媒体の貸出要求を入力することはないので、遊技媒体の貸し出しは行われず、遊技機内における制御の集中を回避することができる。
遊技が実行状態にある場合とは、操作手段(スタートレバー)の操作後から、その操作手段の操作によって始動したすべての環状回転体(回胴、リール、ベルト、ドラム等)が停止し(環状回転体が液晶表示やCRT等の画像表示により代替される場合には、その画像表示による図柄の変動表示が停止した場合を含む)、その停止した結果、遊技媒体の払い出しがなければそれまでの間を言い、一方、すべての環状回転体が停止した結果、遊技媒体の払い出しがあればその払い出しが終了するまでの間をいう。言い替えれば、遊技が非実行状態で無い場合を遊技が実行状態にある場合という。
なお、遊技機2において、遊技の実行状態を認識する実行状態認識手段を備え、前記指示出力不実行手段は、その実行状態認識手段により遊技の実行状態が認識されている間は前記貸出指示出力手段から前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするように構成しても良い。また、図10および図15に示すように、遊技の実行中は貸出指示手段からの貸出指示を入力しないように構成して、これにより、遊技が実行状態にある場合には貸出指示出力手段から貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするようにしても良い。
遊技機1又は2において、前記指示出力不実行手段は、所定条件下、前記貸出指示手段から入力した貸出指示を無効とすることにより、前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするものであることを特徴とする遊技機3。遊技機3によれば、指示出力不実行手段は、所定条件下、貸出指示手段から入力した貸出指示を無効とすることにより、貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするので、遊技者により貸出指示手段が操作されても、遊技媒体の貸出指示があったことは貸出装置へ出力されない。よって、遊技者が1回の遊技のために、ある数の遊技媒体を使用(投入等)すると、その回の遊技が終了するまで、遊技媒体の貸し出しを中止(不実行)することができる。
遊技機1又は2において、前記指示出力不実行手段は、所定条件下、前記貸出指示手段から前記貸出指示出力手段への貸出指示を不出力とすることにより、前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするものであることを特徴とする遊技機4。遊技機4によれば、指示出力不実行手段は、所定条件下、貸出指示手段から貸出指示出力手段への貸出指示を不出力とすることにより、貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするので、遊技者により貸出指示手段が操作されても、遊技媒体の貸出指示があったことは貸出装置へ出力されない。よって、遊技者が1回の遊技のために、ある数の遊技媒体を使用(投入等)すると、その回の遊技が終了するまで、遊技媒体の貸し出しを中止(不実行)することができる。
遊技機1又は2において、前記指示出力不実行手段は、所定条件下、前記貸出指示手段から貸出指示を入力しても、前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことを不出力とするものであることを特徴とする遊技機5。遊技機5によれば、指示出力不実行手段は、所定条件下、貸出指示手段から貸出指示を入力しても、貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことは不出力とされるので、遊技者により貸出指示手段が操作されても、遊技媒体の貸出指示があったことは貸出装置へ出力されない。よって、遊技者が1回の遊技のために、ある数の遊技媒体を使用(投入等)すると、その回の遊技が終了するまで、遊技媒体の貸し出しを中止(不実行)することができる。
遊技機1から5のいずれかにおいて、前記指示出力不実行手段は、前記使用枚数記憶手段に記憶される遊技媒体の数が1回の遊技に使用される最大数である場合に、前記貸出指示出力手段から前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするものであることを特徴とする遊技機6。遊技機6によれば、遊技者が1回の遊技に使用できる最大数の遊技媒体を使用すると、その回の遊技が終了するまで、遊技媒体の貸し出しが中止(不実行)される。1回の遊技に使用できる最大数の遊技媒体を使用した場合には、それ以上、その回の遊技に遊技媒体は必要ない。よって、かかる条件下、遊技媒体の貸し出しを不実行とすることにより、遊技媒体の使用に支障を来すことなく、遊技媒体の貸出制御を、遊技機の制御が集中して実行されるタイミングを回避して実行することができる。また、このように、その回の遊技にそれ以上の遊技媒体が必要ない場合、遊技媒体の貸し出しを不実行とするので、必要以上の遊技媒体の貸し出しを禁止することができる。よって、遊技媒体の貸出制御を不正に行わせる等の不正行為が行われた場合にも、かかる不正行為を抑制することができる。
遊技機1から6のいずれかにおいて、遊技を始動するために遊技者により操作される操作手段と、前記使用枚数記憶手段に記憶される遊技媒体の数が1回の遊技に使用される最大数に満たない場合に、前記貸出指示手段が操作されその結果前記貸出装置から出力される貸出要求に基づいて前記払出手段により遊技媒体が払い出されている間には、前記操作手段の操作を無効とする操作無効手段とを備えていることを特徴とする遊技機7。遊技機7によれば、遊技媒体の貸し出し(払い出し)と、遊技の始動制御とを分散して行うことができるので、制御の実行時期の集中を回避して、各制御を正常に実行することができる。なお、「操作手段の操作を無効とする」とは、操作手段の操作の検出自体をしないもの、操作の検出はするがその検出結果をキャンセルするもの(検出結果を廃棄、或いは利用しないもの)を例示することができる。実施形態においては、図11のメダル貸処理(S517)の実行中に、操作手段としてのスタートレバー71の操作を検出しない第1実施形態が該当する(図10参照)。
遊技機1から6のいずれかにおいて、遊技を始動するために遊技者により操作される操作手段と、所定の範囲内で乱数値を生成する乱数生成手段と、その乱数生成手段により生成された乱数値を前記操作手段の操作に応じて取得する取得手段と、その取得手段により取得された乱数値に基づいて遊技結果を抽選する抽選手段と、前記使用枚数記憶手段に記憶される遊技媒体の数が1回の遊技に使用される最大数に満たない場合に、前記貸出指示手段が操作されその結果前記貸出装置から出力される貸出要求に基づいて前記払出手段により遊技媒体が払い出されている間に前記操作手段が操作されると、前記取得手段により取得された乱数値に基づく前記抽選手段による遊技結果の抽選を、前記遊技媒体の払い出しが終了するまで待機する抽選待機手段とを備えていることを特徴とする遊技機8。遊技機8によれば、遊技媒体の貸し出し(払い出し)と、遊技の始動制御とを分散して行うことができるので、制御の実行時期の集中を回避して、各制御を正常に実行することができる。なお、取得手段による乱数値の取得は、操作手段の操作タイミングに基づいて行われる。
本実施形態では、操作手段としてはスタートレバー71が該当し、乱数生成手段としては乱数カウンタ更新回路125が該当し、取得手段としてはラッチ回路126およびそのラッチ回路126の値を記憶する当否乱数メモリ153aが該当し、抽選手段としてはS505の抽選処理が該当し、抽選待機手段としてはS505の抽選処理をS517のメダル貸処理の終了後に実行する図15のプログラム構成が該当する。尚、乱数生成手段及び取得手段は、ハード回路に限られるものでなくソフトウェアによって構成しても良い。具体的には、乱数生成手段を、RAMなどのメモリに設けられるカウンタと該カウンタを更新するプログラムとにより形成し、取得手段を、そのカウンタの値を操作手段の操作に応じて読み取るプログラムにより形成することなどが例示できる。
遊技機1から8のいずれかにおいて、遊技機に貯留される遊技媒体の数を記憶する貯留枚数記憶手段を備え、前記指示出力不実行手段は、前記貯留枚数記憶手段に記憶される遊技媒体の数に応じて、前記貸出指示出力手段から前記貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行とするものであることを特徴とする遊技機9。遊技機9によれば、遊技機に貯留される遊技媒体の数に応じて遊技媒体の貸し出しが中止(不実行)される。よって、遊技機に十分な数の遊技媒体が貯留されている場合には、遊技媒体の貸し出しを禁止することにより、遊技媒体の貸出制御を不正に行わせる等の不正行為を抑制することができる。例えば、遊技媒体の貸し出しが仮想的に行われる場合(遊技機に貯留して行われる場合)、遊技媒体の貸し出しを行うと、貯留数がその最大値を超える場合に、指示出力不実行手段により、貸出指示出力手段から貸出装置への遊技媒体の貸出指示があったことの出力を不実行として、遊技媒体の貸し出しを禁止するように構成しても良い。なお、貯留枚数記憶手段としてはクレジットカウンタ153cが該当する。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記払出手段と前記貸出指示出力手段と前記使用枚数記憶手段と前記指示出力不実行手段とを有し且つ遊技の主な制御を行うと共に所定条件下で前記払出手段を動作させて遊技者へ遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す主制御手段を備え、前記貸出装置は、有価価値の付加された貸出媒体を受け付けその貸出媒体に記憶される範囲内にて遊技媒体の貸し出しを要求するものであり、前記貸出指示手段による貸出指示は前記主制御手段へ出力されるように構成されていることを特徴とする遊技機10(接続の構成)。遊技機10によれば、遊技媒体の貸出指示は、遊技の主な制御を行う主制御手段を介して貸出装置へ出力されるので、遊技媒体の貸出制御の実行タイミングを主制御手段によりコントロールすることができる。即ち、遊技媒体の貸出制御を、遊技の制御が集中して実行されるタイミングを回避して実行することができる。よって、遊技媒体の払い出し(貸し出し)のために、新たな制御装置を別途設けることなく、遊技機の各制御を正常に実行することができる。即ち、貸出装置に接続される遊技機を、その遊技機の装置コストを増大させることなく、実現できる。なお、主制御手段としては、主制御装置131が該当し、貸出媒体としては磁気カードが該当する。
遊技機1から9のいずれかにおいて、前記払出手段と前記貸出指示出力手段と前記使用枚数記憶手段と前記指示出力不実行手段とを有し且つ遊技の主な制御を行うと共に所定条件下で前記払出手段を動作させて遊技者へ遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す主制御手段を備え、遊技者により操作され、前記貸出装置が受け付けている貸出媒体の返却を指示する返却指示手段を有し、前記貸出指示手段による貸出指示は前記主制御手段へ出力される一方、前記返却指示手段による返却指示は前記主制御手段を介すことなく前記貸出装置へ出力されるように構成されていることを特徴とする遊技機11(接続の構成)。
遊技機11によれば、遊技媒体の貸出指示は、遊技の主な制御を行う主制御手段を介して貸出装置へ出力されるので、遊技媒体の貸出制御の実行タイミングを主制御手段によりコントロールすることができる。即ち、遊技媒体の貸出制御を、遊技の制御が集中して実行されるタイミングを回避して実行することができる。よって、遊技媒体の払い出し(貸し出し)のために、新たな制御装置を別途設けることなく、遊技機の各制御を正常に実行することができる。即ち、貸出装置に接続される遊技機を、その遊技機の装置コストを増大させることなく、実現できる。一方、貸出装置に受け付けられている貸出媒体の返却指示は、主制御手段を介すことなく貸出装置へ出力される。貸出装置は返却指示を入力すると、受け付けている貸出媒体を返却するので、主制御手段による遊技の実行状態に関わりなく、貸出媒体の返却を行うことができる。なお、貸出媒体の返却は、貸出装置により行われるので、主制御手段の制御負担を増大させるものではない。よって、遊技の実行状態に関わりなく、貸出媒体の返却を行っても、遊技機の各制御を正常に実行することができる。なお、主制御手段としては、主制御装置131が該当し、貸出媒体としては磁気カードが該当し、返却指示手段としては返却ボタン200が該当する。
遊技機1から11のいずれかにおいて、前記貸出装置による遊技媒体の貸し出しが可能である場合に、それを報知する報知手段を備えていることを特徴とする遊技機12。遊技機12によれば、報知手段により、遊技者は遊技媒体の貸し出しが可能な状態を把握することができるので、利便性が向上する。ここで、報知手段としては、貸し出し可能状態を点灯により報知するランプやLED、表示内容により報知する液晶表示やCRT表示の一部分を使用した表示、等を例示することができる。なお、報知手段としては、球貸可LED220が該当する。
遊技機12において、前記報知手段は、前記貸出装置による遊技媒体の貸し出し条件が成立しており、且つ前記指示出力不実行手段による貸出指示出力の不実行がなされず前記貸出指示出力手段により前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことが出力され得る状態にある場合に、前記貸出装置による遊技媒体の貸し出しが可能であることを報知するものであることを特徴とする遊技機13。遊技機13によれば、報知手段は、貸出装置の状態のみならず、遊技機の状態を加味して、貸出装置による遊技媒体の貸し出しが可能であることを報知するので、該報知を極めて正確に行うことができる。
遊技機13において、前記貸出装置による遊技媒体の貸し出し条件の成立信号を入力する第1入力と、前記指示出力不実行手段による貸出指示出力の不実行がなされず前記貸出指示出力手段により前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことが出力され得る状態にある場合に出力される信号を入力する第2入力とを有し、その第1及び第2入力へそれぞれの信号が入力されている場合に前記報知手段を作動する作動手段を備えていることを特徴とする遊技機14。遊技機14によれば、貸出装置の状態と遊技機の状態とを別々に入力し、それらの入力に基づいて報知手段を作動するので、報知手段の作動に伴う貸出装置や遊技機の制御負担を軽減することができる。なお、第1入力としてはアンド回路AND1の一方の入力端が、第2入力としてはアンド回路AND1の他方の入力端が、作動手段としてはアンド回路AND1が、それぞれ該当する。また、「貸出装置による遊技媒体の貸し出し条件の成立信号」としては、球貸可LED信号TDLOが該当し、「前記指示出力不実行手段による貸出指示出力の不実行がなされず前記貸出指示出力手段により前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことが出力され得る状態にある場合に出力される信号」としては、球貸許可信号SG2が該当する。
遊技機1から14のいずれかにおいて、遊技を始動するために遊技者により操作される操作手段と、所定の範囲内で乱数値を生成する乱数生成手段と、その乱数生成手段により生成された乱数値を前記操作手段の操作に応じて取得する取得手段と、その取得手段により取得された乱数値に基づいて遊技結果を抽選する抽選手段と、複数の識別情報が表示され回転可能に構成された環状回転体と、前記操作手段の操作によりその環状回転体を回転駆動する駆動手段と、遊技者により操作され、その駆動手段により回転駆動されている環状回転体の停止を指示する停止指示手段と、その停止指示手段により停止指示のなされた環状回転体の回転駆動を、停止指示のタイミングと前記抽選手段の抽選結果とに基づいて停止させる停止手段と、その停止手段により停止された前記環状回転体の停止態様に基づいて前記払出手段を動作させて遊技媒体を実際に又は仮想的に払い出す払出制御手段とを備えていることを特徴とする遊技機15。
遊技機15によれば、操作手段による操作に基づいて、乱数値が取得され抽選が行われると共に、環状回転体が回転駆動される。その後、停止指示手段による停止指示に基づいて、環状回転体の回転駆動が停止されると、その環状回転体の停止態様に基づいて、遊技媒体が実際に又は仮想的に払い出される。遊技機15によれば、このように順序性のある遊技を実現することができる。なお、操作手段としてはスタートレバー71が、乱数生成手段としては乱数カウンタ更新回路125が、取得手段としてはラッチ回路126およびそのラッチ回路126の値を記憶する当否乱数メモリ153aが該当し、抽選手段としてはS505の抽選処理が該当し、環状回転体としてはリール42L〜42Rが該当し、駆動手段としてはステッピングモータ61L〜61Rおよびその駆動制御を行うS506のリール制御処理が該当し、停止指示手段としてはストップスイッチ72〜74が該当し、停止手段としてはステッピングモータ61L〜61Rおよびその停止制御を行うS506のリール制御処理が該当し、払出制御手段としてはS507のメダル払出処理が該当する。
遊技機15において、前記停止手段による環状回転体の停止または前記払出制御手段による払出手段の払い出し動作の終了を契機として、前記指示出力不実行手段による貸出指示出力の不実行状態を解除する不実行状態解除手段を備えていることを特徴とする遊技機16。遊技機16によれば、貸出指示出力手段による貸出装置への貸出指示の出力は、指示出力不実行手段により不実行の状態とされた場合にも、環状回転体の停止または払い出し動作の終了を契機に、不実行状態解除手段によって、再度、出力され得る状態に戻される。即ち、貸出指示出力手段による貸出装置への貸出指示の出力は、その出力が不実行とされた遊技の終了後に、再度、出力され得る状態に戻される。従って、一旦不実行とされた遊技媒体の貸出制御を、その回の遊技が終了した後に、再度実行可能な状態に戻すことができる。不実行状態解除手段としては、図10及び図15のS511の処理が該当する。なお、停止手段による環状回転体の停止または払出制御手段による払出手段の払い出し動作の終了があっても、貸出指示出力の不実行条件がすべて解除されていなければ、該不実行状態は解除されない。
遊技機15又は16において、前記取得手段と抽選手段と駆動手段と停止手段と払出制御手段とを1のデバイスで制御する制御手段を備えていることを特徴とする遊技機17。遊技機17によれば、駆動手段による環状回転体の回転駆動制御と払出制御手段による遊技媒体の払出制御とは、制御手段により1のデバイス(デバイスとは、例えば「MPU」をいう。本明細書において同様)で制御されるので、それぞれの駆動制御のために別々のデバイスを設ける場合に比べて、装置コストを低減することができる。また、遊技機2において、遊技媒体の貸し出しは遊技が実行状態にない場合に行われるので、回転駆動制御と払出駆動制御とを1のデバイスで実行しても、制御時期の集中を回避して、両駆動制御を確実に実行することができる。更に、制御手段は、1のデバイスで取得手段と抽選手段とを更に制御するものであっても、制御時期の集中を回避して、これらの制御を確実に実行することができる。なお、遊技機17における取得手段としては、当否乱数メモリ153aが該当する。
遊技機1から17のいずれかにおいて、遊技を始動するために遊技者により操作される操作手段を備え、その操作手段の操作と前記貸出指示手段の操作とは、同一のデバイスにより検出されるものであることを特徴とする遊技機18。遊技機18によれば、遊技を始動させる操作手段の操作と遊技媒体の貸し出しを行わせる貸出指示手段の操作とは同一のデバイスにより検出されるので、遊技の始動中(実行中)に遊技媒体の貸し出しを不能としたり、逆に、遊技媒体の貸し出し中に遊技の始動を不能とすることができる。即ち、同一のデバイスにより、遊技を始動させる操作手段の操作と遊技媒体の貸し出しを行わせる貸出指示手段の操作とを検出するので、単一のデバイスで制御の状況を把握できる。よって、遊技の始動と遊技媒体の貸し出しとを重複して実行するなどの制御ミスを、効率的に無くすことができる。なお、操作手段の操作と貸出指示手段の操作とを、遊技機17の制御手段と同一のデバイスにより検出するように構成しても良い。
遊技機1から18のいずれかにおいて、遊技媒体を投入するための投入口と、その投入口から投入された遊技媒体を外部へ排出する排出路と、前記投入口から投入された遊技媒体を内部へ取り込む取込路と、前記投入口から投入された遊技媒体を前記取込路又は排出路へ通すように、その通路を切り替える切替手段と、その切替手段により前記投入口から投入された遊技媒体が前記取込路へ通される状態において、前記貸出指示手段が操作され、前記貸出指示出力手段によって前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことが出力されると、前記投入口から投入された遊技媒体を前記排出路へ通すように前記切替手段を切り替える切替指示手段とを備えていることを特徴とする遊技機19。遊技機19によれば、遊技媒体の貸し出し中には、投入口から投入された遊技媒体を遊技機の内部へ取り込むことなく、遊技機の外部へ排出することができる。これにより、遊技媒体の貸出制御と遊技媒体の取込制御とを分散して行うことができるので、制御の実行時期の集中を回避することができる。なお、投入口としてはメダル投入口75が、排出路としては排出用通路82が、取込路としては貯留用通路81が、切替手段としてはメダル通路切替部材84が、切替指示手段としてはS521の処理が、それぞれ該当する。
遊技機19において、前記切替指示手段は、前記貸出指示出力手段によって前記貸出装置へ遊技媒体の貸出指示があったことを出力したために、前記投入口から投入された遊技媒体を前記排出路へ通すように切り替えた場合には、前記貸出装置から出力される貸出要求に基づく前記払出手段による遊技媒体の払い出しが終了すると、前記投入口から投入された遊技媒体を前記取込路へ通すように切り替えるものであることを特徴とする遊技機20。遊技機20によれば、遊技媒体の貸出制御の実行後は、切替手段を元の状態に戻して、新たな遊技媒体の投入を受付可能な状態にすることができる。なお、遊技機20における切替指示手段としてはS528の処理が該当する。
遊技機1から20のいずれかにおいて、前記遊技機はスロットマシンであることを特徴とする遊技機21。中でも、スロットマシンの基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に識別情報列を確定停止表示する表示装置(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の識別情報の組合せが特定識別情報の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)の発生等の特典を付与する遊技機」となる。この場合、遊技媒体はコイン、メダル等が代表例として挙げられる。
遊技機1から20のいずれかにおいて、前記遊技機はパチンコ遊技機とスロットマシンとを融合させたものであることを特徴とする遊技機22。中でも、融合させた遊技機の基本構成としては、「複数の識別情報からなる識別情報列(具体的には図柄が付されたリール)を変動表示(具体的にはリールの回動)した後に識別情報列を確定停止表示する表示装置(具体的にはリールユニット)を備え、始動用操作手段(例えば操作レバー)の操作に起因して識別情報の変動が開始され、停止用操作手段(ストップボタン)の操作に起因して、或いは、所定時間経過することにより、識別情報の変動が停止され、その停止時の識別情報の組合せが特定識別情報の組合せであることを必要条件として遊技者に有利な特別遊技状態(ボーナスゲーム等)の発生等の特典を付与し、さらに、球受皿(上皿等)を設けてその球受皿から遊技球を取り込む投入処理を行う投入装置と、前記球受皿に遊技球の払出を行う払出装置とを備え、投入装置により遊技球が投入されることにより前記始動用操作手段の操作が有効となるように構成した遊技機。」となる。