以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
また、以下の説明では、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されて装着される方向が挿入方向51(第1方向の一例)と定義される。また、挿入方向51と反対方向であって、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される方向が脱抜方向52(第2方向の一例)と定義される。本実施形態において、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向であるが、挿入方向51及び脱抜方向52は水平方向でなくてもよい。
また、挿入方向51及び脱抜方向52に直交する方向が上方向54(第3方向の一例)と定義される。また、上方向54と反対方向が下方向53(第4方向の一例)と定義される。本実施形態において、第3方向としての上方向54が鉛直上方であり、第4方向としての下方向53が鉛直下方であるが、第3方向及び第4方向は鉛直方向でなくてもよい。
また、挿入方向51及び下方向53と直交する方向が、右方向55(第5方向の一例)及び左方向56(第6方向の一例)と定義される。より具体的には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された状態、つまりインクカートリッジ30が装着姿勢(使用姿勢)にある状態において、インクカートリッジ30を挿入方向51に視た場合において、右に延びる方向が右方向55と定義され、左に延びる方向が左方向56と定義される。本実施形態において、第5方向としての右方向55及び第6方向としての左方向56は水平方向であるが、第5方向及び第6方向は水平方向でなくてもよい。
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10(システムの一例)は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。
インク供給装置100は、記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、カートリッジ装着部110(装着部の一例)と、インクカートリッジ30(消費材カートリッジの一例)と、記録ヘッド21(消費部の一例)と、プリンタ10の動作全般を制御する制御部1とを備えている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面に開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインク(消費材の一例)が貯留されている。つまり、インクカートリッジ30は、インクを保持する。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクカートリッジ30からインクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
プリンタ10は、給紙トレイ15と、給紙ローラ23と、搬送ローラ対25と、プラテン26と、排出ローラ対22と、排紙トレイ16とを備えている。給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ給送された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。また、これにより、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30が保持するインクが、記録ヘッド21によって消費される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
[インクカートリッジ30]
図1及び図2に示されるインクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留するインク室36(図1参照)である。インク室36は、本体31の筐体によって形成されているが、例えば、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31の筐体とは別の部材である内部フレームなどによって形成されていてもよい。
図1及び図2に示されるインクカートリッジ30の姿勢は、インクカートリッジ30が装着姿勢にあるときの姿勢である。すなわち、インクカートリッジ30は、後述するように、前壁40と、後壁42と、上壁39と、下壁41と、側壁37と、側壁38とを備えるが、図1及び図2に示されているようインクカートリッジ30の姿勢は、後壁42から前壁40に向かう方向が挿入方向51に一致し、前壁40から後壁42に向かう方向が脱抜方向52に一致し、上壁39から下壁41に向かう方向が下方向53に一致し、下壁41から上壁39に向かう方向が上方向54に一致し、側壁38から側壁37に向かう方向が右方向55に一致し、側壁37から側壁38に向かう方向が左方向56に一致する姿勢である。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるときに、前壁40の外表面は挿入方向51を向き、後壁42の外表面は脱抜方向を向き、下壁41の外表面は下方向53を向き、上壁39の外表面は上方向54を向き、側壁37の外表面は右方向55を向き、側壁38の外表面は左方向56を向く。
インクカートリッジ30は、平面又は曲面で構成される立体形状、例えば、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、全体として、右方向55及び左方向56に細く、上方向54及び下方向53と挿入方向51及び脱抜方向52とが右方向55及び左方向56よりも長い扁平形状である。
図2に示されるように、本体31は、前壁40、後壁42、側壁37、側壁38、上壁39、及び下壁41を備えている。
前壁40と後壁42とは、挿入方向51及び脱抜方向52に互いに隔てて配置されている。
側壁37は、前壁40及び後壁42の右端同士を接続する。側壁38は、前壁40及び後壁42の左端同士を接続する。上壁39は、前壁40及び後壁42の上端同士を接続する。下壁41は、前壁40及び後壁42の下端同士を接続する。
前壁40は、上端部の第1前壁40Aと、下端部の第2前壁40Bと、上方向54及び下方向53の中央部に設けられており、第1前壁40A及び第2前壁40Bよりも挿入方向51にずれた第3前壁40Cとを備えている。また、上壁39は、挿入方向51及び脱抜方向52の中央部より脱抜方向52にずれた第1上壁39Aと、当該中央部より挿入方向51にずれており、第1上壁39Aより下方向53にずれた第2上壁39Bとを備えている。
インク室36は、前壁40、後壁42、側壁37、側壁38、上壁39、及び下壁41によって区画されている。つまり、本体31は、インク室36にインクを保持する。
本体31の前壁40の下部に、インク供給部34が設けられている。インク供給部34は、円筒形状の外形をなしており、第2前壁40Bから挿入方向51へ突出している。インク供給部34の突出端にはインク供給口71が形成されている。
図1に示されるように、インク供給部34の内部空間には、挿入方向51及び脱抜方向52に延びてインク供給口71とインク室36とをつなぐインク流路72が形成されている。インク流路72は、一端がインク供給口71において本体31の外部に開口され、インク供給口71から本体31の内部に渡って脱抜方向52に延設されている。インク供給口71は、コイルバネ73によってインク供給口71に付勢されたインク供給バルブ70によって開閉可能に構成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル117がインク供給口71に挿入され、コイルバネ73の付勢力に抗してインク供給バルブ70をインク供給口71から離間させる。これにより、インク室36内のインクは、インク流路72を通じてカートリッジ装着部110に設けられたインクニードル117に流出する。
なお、インク供給口71は、必ずしもインク供給バルブ70によって開閉可能な構成に限定されず、例えば、インク供給口71がフィルムなどで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル117がフィルムを突き破ることによりインク供給口71が開かれる構成であってもよい。また、本実施形態では示されていないが、本体31には、負圧に維持された状態のインク室36の気圧を外気圧とするための大気連通口が設けられていてもよい。
図2に示されるように、上壁39に、係止部45が形成されている。係止部45は、上壁39において挿入方向51及び脱抜方向52に延びる溝を有する。係止部45は、溝の挿入方向51の端部において、インクカートリッジ30の脱抜方向52を向く係止面46を有している。係止面46には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述される係合部材145(図4参照、ロック部の一例)が係合する。係止面46は、インクカートリッジ30を脱抜方向52に押し出させる付勢力とは反対向きの外力、すなわち本実施形態では係合部材145からの力を受けるものである。溝の脱抜方向52の端部は、本体31の外部に開口している。
本体31の係止部45には、回動部材80が設けられている。回動部材80は、例えば、屈曲された平板形状をなしており、その長手方向が挿入方向51及び脱抜方向52に沿うように配置されている。回動部材80は、その屈曲された位置に軸83を有する。回動部材80は、軸83周りに回動可能である。回動部材80の先端部81は、軸83から挿入方向51に延出されている。回動部材80の後端部82は、軸83から脱抜方向52に延出されている。
先端部81が最も上方に位置するまで回動部材80が回動すると、先端部81は、本体31の上壁39よりも上方に突出する。回動部材80の先端部81が下方へ押し下げられることにより、回動部材80は、図1における時計回りへ回動する。回動部材80が最も時計回りに回動された状態において、先端部81は、係止面46の下端付近に位置する。なお、回動部材80は本体31と一体にされていてもよい。また、回動部材80は、コイルバネによって時計回りに付勢されていてもよいし、自重により時計回り、若しくは反時計回りに回動するものであってもよい。
図2に示されるように、本体31の第1上壁39Aに基板支持部84が支持されている。つまり、基板支持部84は、第1上壁39Aの上面から上方向54に突出している。また、基板支持部84は、第1上壁39Aの挿入方向51の端部から挿入方向51に突出している。基板支持部84は、第2上壁39Bの上方において第2上壁39Bと対向している。基板支持部84は、概ね薄板の直方体形状の部材である。なお、基板支持部84は、第1上壁39Aとは別部材であってもよいし、第1上壁39Aと一体成形されていてもよい。また、基板支持部84は、直方体以外の形状であってもよい。
基板支持部84の上面には、IC基板85(ICチップ、基板の一例)が、接着等の公知の方法で取り付けられている。つまり、基板支持部84は、IC基板85を支持している。IC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52の長さは、基板支持部84の挿入方向51及び脱抜方向52の長さ以下であることが好ましい。本実施形態では、IC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52の長さは、基板支持部84の挿入方向51及び脱抜方向52の長さより短い。基板支持部84は、支持されたIC基板85よりも挿入方向51に延出された延出端部84A(接触端部の一例)を備えている。基端支持部84の脱抜方向52の端部は、IC基板85の脱抜方向52の端部と脱抜方向52に関して同じ位置にあってもよいし、IC基板85の脱抜方向52の端部よりも脱抜方向52に延出されていてもよいし、反対に、IC基板85の脱抜方向52の端部よりも挿入方向51に位置していてもよい。
基板支持部84は、延出端部84Aから上方向54に突出した凸部90(位置決め部の一例)を備えている。本実施形態において、凸部90は、基板支持部84の右方向55及び左方向56に間隔を空けて2つ設けられている。凸部90の脱抜方向52を向く面には、IC基板85の挿入方向51を向く端面が当接される。換言すると、IC基板85は、挿入方向51を向く端面が凸部90に当接された状態で基板支持部84に支持される。これにより、IC基板85は、挿入方向51に位置決めされる。なお、本実施形態において、凸部90の脱抜方向52を向く面は、延出端部84Aの挿入方向51を向く面より脱抜方向52にずれている。
2つの凸部90の間の隙間には、後述するスライダ170の第1壁171が挿入され得る。当該隙間に挿入された第1壁171は、脱抜方向52に視て2つの凸部90の間の隙間から露出されている基板支持部84及びIC基板85の少なくとも一方(本実施形態では基板支持部84の延出端部84Aの挿入方向51を向く面)と当接する。つまり、第1壁171は、凸部90と異なる位置において、基板支持部84及びIC基板85の少なくとも一方に接触する。
なお、凸部90の右方向55及び左方向56における位置は、上述した位置に限らない。例えば、凸部90は、基板支持部84の右方向55及び左方向56における中央部より右方に1つだけ設けられていてもよい。この場合、第1壁171は、基板支持部84の右方向55及び左方向56における中央部より左方に凸部90と隣接して挿入され得る。
IC基板85の上面、つまりIC基板85の上方向54を向く面には、3つの電極86、87、88(電気的インターフェースの一例)が形成されている。各電極86、87、88は、IC基板85の上面において挿入方向51及び脱抜方向52に延設されており、且つ右方向55及び左方向56に互いに離間して設けられている。電極86、87、88は、例えば、HOT電極、GND電極、及びシグナル電極等である。IC基板85には、各電極86、87、88に電気的に接続されたIC(不図示、集積回路の一例)が実装されている。ICは、半導体集積回路であり、インクカートリッジ30に関する情報(例えばロット番号や製造年月日などの情報)や、インクに関する情報(例えばインク色)を示すデータが読み出し可能に格納されている。なお、電極の数は、3つに限らない。
基板支持部84は、第1上壁39Aから上方向54に突出し且つ挿入方向51に突出した状態で配置されている。このため、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了した状態において、基板支持部84及びIC基板85の周囲には、インクカートリッジ30とカートリッジ装着部110とによって区画される空間が形成される。以下に詳述する。
図2に示されるように、基板支持部84及びIC基板85より挿入方向51にずれた領域に第1空間161が形成される。図2においてカートリッジ装着部110は示されていないが、第1空間161は、第2上壁39B、基板支持部84及びIC基板85の挿入方向51を向く面、カートリッジ装着部110の側壁182、カートリッジ装着部110の側壁183、及びカートリッジ装着部110の奥壁181(図4参照)によって区画されている。第1空間161は、スライダ170の第1壁171よりも大きな空間である。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了した状態において、第1空間161には第1壁171が配置される。つまり、第1空間161は、第1壁171を受容する空間である。
基板支持部84及びIC基板85より脱抜方向52にずれた領域に第2空間162が形成される。図2においてカートリッジ装着部110は示されていないが、第2空間162は、第1上壁39A、基板支持部84及びIC基板85の脱抜方向52を向く面、カートリッジ装着部110の側壁182、及びカートリッジ装着部110の側壁183によって区画されている。第2空間162は、後述するスライダ170の第2壁172(詳細には、スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢のときの第2壁172)よりも大きな空間である。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了した状態において、第2空間162には、スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢のときの第2壁172が配置される。つまり、第2空間162は、スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢のときの第2壁172を受容する空間である。
なお、第1空間161は、基板支持部84の一部及びIC基板85より挿入方向51にずれた領域に形成されればよい。ここで、基板支持部84の一部とは、基板支持部84のうち、挿入方向51に視て第1壁171と重なる部分である。また、第2空間162は、基板支持部84の一部及びIC基板85より脱抜方向52にずれた領域に形成されればよい。ここで、基板支持部84の一部とは、基板支持部84のうち、挿入方向51に視てスライダ170が第1位置で且つ第1姿勢のときの第2壁172と重なる部分である。
IC基板85の右方の領域(右方向55にずれた領域)に第3空間163が形成される。図2においてカートリッジ装着部110は示されていないが、第3空間163は、第2上壁39B、基板支持部84及びIC基板85の右面、及びカートリッジ装着部110の側壁182によって区画されている。第3空間163は、後述するスライダ170の第3壁173よりも大きな空間である。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了した状態において、第3空間163には第3壁173が配置される。つまり、第3空間163は、第3壁173を受容する空間である。
IC基板85の左方の領域(左方向56にずれた領域)に第4空間164が形成される。図2においてカートリッジ装着部110は示されていないが、第4空間164は、第2上壁39B、基板支持部84及びIC基板85の左面、及びカートリッジ装着部110の側壁183によって区画されている。第4空間164は、後述するスライダ170の第4壁174よりも大きな空間である。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了した状態において、第4空間164には第4壁174が配置される。つまり、第4空間164は、第4壁174を受容する空間である。
[カートリッジ装着部110]
図3及び図4に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を構成するケース101は、開口112を有する略直方体の箱形状である。開口112を通じてケース101の内部がプリンタ10使用時にユーザが対面するプリンタ10の面に露出される。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。ケース101には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能であるが、図4においては、1つのインクカートリッジ30が収容可能なケース101の空間が示されている。なお、以下に説明する、接続部103、係合部材145、スライダ170、及び、コイルバネ47等は、4つのインクカートリッジの各々に対応して設けられている。つまり、本実施形態において、接続部103、係合部材145、スライダ170、及び、コイルバネ47等は、それぞれ4つ設けられている。4つの接続部103、4つの係合部材145、4つのスライダ170、及び4つのコイルバネ47等は、それぞれ、右方向55及び左方向56に並んで配置されている。4つの接続部103、4つの係合部材145、4つのスライダ170、4つのコイルバネ47等は、それぞれ同一の構成を有する。そのため、以下では、1つの接続部103、係合部材145、スライダ170、及び、コイルバネ47等の構成が説明され、残り3つの接続部103、係合部材145、スライダ170、及び、コイルバネ47等の構成の説明は省略される。
ケース101は、奥壁181、側壁182、側壁183、第1上壁184、第2上壁185、及び下壁186を備えている。
奥壁181は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたときに、挿入方向51及び脱抜方向52においてインクカートリッジ30の前壁40と対面する壁である。
側壁182は、奥壁181の右端から脱抜方向52へ延出されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたときに、右方向55及び左方向56においてインクカートリッジ30の側壁37と対面する壁である。側壁183は、奥壁181の左端から脱抜方向52へ延出されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたときに、右方向55及び左方向56においてインクカートリッジ30の側壁38と対面する壁である。
第1上壁184は、側壁182の上端から左方へ延出されており、且つ奥壁181の上端と接続された壁である。第2上壁185は、側壁183の上端から右方へ延出されており、且つ奥壁181の上端と接続された壁である。第1上壁184及び第2上壁185は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたときに、上方向54及び下方向53においてインクカートリッジ30の上壁39と対面する壁である。第1上壁184及び第2上壁185は、右方向55及び左方向56において互いに間隔を空けて配置されている。当該間隔に、後述するスライダ170が配置される。
下壁186は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されたときに、インクカートリッジ30の下壁41を下方から支持する壁である。
第1上壁184及び第2上壁185は、奥壁181の上端から脱抜方向52へ延出された第1ガイド部187と、第1ガイド部187の脱抜方向52の端部から脱抜方向52へ向かって上方向54に傾斜する第2ガイド部188とを備える。
開口112は、側壁182、側壁183、第1上壁184、第2上壁185、及び下壁186の脱抜方向52の端部によって区画されている。
奥壁181の下部には、接続部103が設けられている。接続部103は、奥壁181において、ケース101に装着されたインクカートリッジ30のインク供給部34に対応する位置に配置されている。
接続部103は、インクニードル117と、保持溝116とを有する。インクニードル117は、管状の樹脂針からなる。インクニードル117は、ケース101を貫通することによってケース101の内外に亘っている。インクニードル117のケース101の外の端部は、インクチューブ20に接続されている。インクニードル117と接続されたインクチューブ20は、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に延出されている。なお、図4においては、インクチューブ20は省略されている。
保持溝116は、奥壁181に形成された円筒状の溝である。保持溝116の中心にインクニードル117が配置されている。図9に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インク供給部34が保持溝116に挿入される。このとき、円筒状のインク供給部34の外周面が保持溝116を構成する奥壁181の円筒状の内周面に接触する。インク供給部34が保持溝116へ挿入されると、インクニードル117がインク供給部34のインク供給口71に挿入される。これにより、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、インクニードル117及びインクチューブ20を通じて、記録ヘッド21に供給される。
係合部材145がケース101に設けられている。係合部材145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を装着状態に保持するためのものである。係合部材145は、例えば、ケース101の開口112近傍に設けられた支軸147を中心に回動可能に形成されている。具体的には、係合部材145は、支軸147を中心に図4における時計回り及び反時計回りに回動可能に構成されている。挿入方向51及び脱抜方向52における係合部材145の支軸147と反対の端部には、係合端部146が配置される。係合端部146は、インクカートリッジ30の係止面46と係合可能である。係合端部146は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された状態において、係止面46と係合することによって、コイルバネ73及び後述するコイルバネ47の付勢力に抗して本体31の脱抜方向52への移動を規制する。これにより、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110内に保持される。
係合端部146と係止面46とが係合可能となる係合部材145の位置(図9参照)がロック位置と称され、係合端部146と係止部45とが係合しない係合部材145の位置(図6乃至図8参照)がアンロック位置と称される。係合部材145は、自重によって、下方向53へ回動する。回動部材80の先端部81が上方向54に移動することにより、係合部材145が先端部81に押される。これにより、係合部材145が支軸147を中心に上方向54へ回動し、ロック位置からアンロック位置へ移動する。
図11に示されるように、ケース101には、奥壁181の脱抜方向52を向く面から脱抜方向52に突出した凸部189(規制部の一例)が設けられている。凸部189は、その上面の右端から上方向54に突出した第1突出部191と、その上面の左端から上方向54に突出した第2突出部192とを備えている。第1突出部191及び第2突出部192は、挿入方向51及び脱抜方向52に延出されている。また、第1突出部191及び第2突出部192は、右方向55及び左方向56において、互いに離間している。これにより、第1突出部191及び第2突出部192の間には、挿入方向51及び脱抜方向52に延びる溝190が形成されている。
凸部189は、以下の条件を満たす位置に設けられている。つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着完了されたときに、第1突出部191及び第2突出部192の上面には、インクカートリッジ30の基板支持部84の下方向53を向く面(基板支持部84の下面84B(図6参照))が当接する。これにより、基板支持部84の下方向53への移動が規制される。また、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着完了されたときに、溝190には、第1位置のスライダ170の第1壁171が挿入される。つまり、第1位置のスライダ170の第1壁171は、右方向55及び左方向56において、第1突出部191及び第2突出部192の間に位置する。
また、第1突出部191及び第2突出部192の脱抜方向52の端部には、挿入方向51に向かって上方向54に傾斜する傾斜面191A、192Aが形成されている。
図3及び図4に示されるように、カートリッジ装着部110は、スライダ170及びコイルバネ47(付勢部材の一例)を備えている。スライダ170は、第1上壁184及び第2上壁185によって第1上壁184及び第2上壁185に沿って移動可能に支持されている。コイルバネ47は、一端を奥壁181における凸部189の上方に形成された突部193(図11参照)と接続され、他端をスライダ170における奥壁181を向く面と接続されている。これにより、コイルバネ47は、スライダ170を脱抜方向52に付勢可能である。
[スライダ170]
図4及び図5に示されるように、スライダ170は、本体部120と、第1接点121と、第2接点122と、第1被ガイド部123と、第2被ガイド部124と、第1壁171と、第2壁172と、第3壁173と、第4壁174とを備えている。
本体部120は、概ね直方体形状である。本体部120は、絶縁体(本実施形態では樹脂)で構成されている。本体部120の内部には、第1接点121及び第2接点122の一部が配置されている。
第1接点121は、3つの電極86、87、88に対応して3つ形成されている。つまり、3つの第1接点121は、右方向55及び左方向56に並んで配置されている。第2接点122は、3つの第1接点121に対応して3つ形成されている。
第1接点121及び第2接点122は、電気伝導体(本実施形態では銅の表面にニッケルと金の鍍金が施されている)で構成されている。第1接点121の一部は、本体部120の内部空間に配置されており、第1接点121の残りの部分は、本体部120の下面120Aから突出している。第2接点122の一部は、本体部120の内部空間に配置されており、第2接点122の残りの部分は、本体部120の上面120Bから突出している。第1接点121及び第2接点122は、一体であってもよいし、別部材であってもよい。第1接点121及び第2接点122が別部材である場合、第1接点121及び第2接点122は、本体部120の内部空間において互いに接続されている。
図示されていないが、第2接点122における上面120Bから突出した部分は、FFC(フレキシブルフラットケーブル)などを介してプリンタ10の制御部1と電気的に接続されている。
IC基板85は、電極86、87、88と第1接点121とが接触することによって、第2接点122を介して制御部1と電気的に接続される。これにより、制御部1は、第1接点121に接触された電極86、87、88を通じてIC基板85に設けられたICにアクセス可能となる。ここで、制御部1は、例えばCPU、ROM、RAMなどからなるものであり、プリンタ10の内部に制御基板として配置されている。
第1接点121の位置は、スライダ170の位置及び姿勢によって異なる。第1接点121の位置については、後に詳細に説明する。
第1被ガイド部123は、本体部120の右面120C及び左面120Dにおける第1接点121よりも挿入方向51にずれた位置から右方向55及び左方向56に突出した4つの凸部である。第1被ガイド部123は、右面120Cから突出し、上方向54及び下方向53に離間して配置された2つの凸部と、左面120Dから突出し、上方向54及び下方向53に離間して配置された2つの凸部とで構成されている。上方向54及び下方向53に離間して右面120Cに配置された第1被ガイド部123の2つの凸部のうちの上方に位置する凸部と、上方向54及び下方向53に離間して左面120Dに配置された第1被ガイド部123の2つの凸部のうちの上方に位置する凸部とは、同一軸線上に配置されている。上方向54及び下方向53に離間して右面120Cに配置された第1被ガイド部123の2つの凸部のうちの下方に位置する凸部と、上方向54及び下方向53に離間して左面120Dに配置された第1被ガイド部123の2つの凸部のうちの下方に位置する凸部とは、右方向55及び左方向56に延びる同一軸線上に配置されている。
第2被ガイド部124は、本体部120の右面120C及び左面120Dにおける第1接点121よりも脱抜方向52にずれた位置から右方向55及び左方向56に突出した4つの凸部である。第2被ガイド部124は、右面120Cから突出し、上方向54及び下方向53に離間して配置された2つの凸部と、左面120Dから突出し、上方向54及び下方向53に離間して配置された2つの凸部とで構成されている。上方向54及び下方向53に離間して右面120C配置された第2被ガイド部124の2つの凸部のうちの上方に位置する凸部と、上方向54及び下方向53に離間して左面120Dに配置された第2被ガイド部124の2つの凸部のうちの上方に位置する凸部とは、右方向55及び左方向56に延びる同一軸線上に配置されている。上方向54及び下方向53に離間して右面120Cに配置された第2被ガイド部124の2つの凸部のうちの下方に位置する凸部と、上方向54及び下方向53に離間して左面120Dに配置された第2被ガイド部124の2つの凸部のうちの下方に位置する凸部とは、右方向55及び左方向56に延びる同一軸線上に配置されている。
右面120Cにおいて上方向54及び下方向53に離間して配置された第1被ガイド部123の2つの凸部の間、及び右面120Cにおいて上方向54及び下方向53に離間して配置された第2被ガイド部124の2つの凸部の間には、第1上壁184が挿入される。また、左面120Dにおいて上方向54及び下方向53に離間して配置された第1被ガイド部123の2つの凸部の間、及び左面120Dにおいて上方向54及び下方向53に離間して配置された第2被ガイド部124の2つの凸部の間には、第2上壁185が挿入される。これにより、スライダ170は、第1上壁184及び第2上壁185によって第1上壁184及び第2上壁185に沿って移動可能に支持されている。
第1壁171、第2壁172、第3壁173、及び第4壁174は、本体部120の下面120Aから下方向53に突出した壁である。第1壁171は、第2壁172、第3壁173、及び第4壁174よりも下方まで突出している。
第1壁171は、第1接点121より挿入方向51にずれて配置されている。第1壁171の右端は、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、IC基板85及び基板支持部84の右端よりも左方に位置している。第1壁171の左端は、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、IC基板85及び基板支持部84の左端よりも右方に位置している。
第1壁171の下端は、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、インクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の上端より下方に位置する。つまり、第1壁171は、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の一部の移動軌跡と重なる部分を有する。ここで、上記重なる部分は、第1壁171のうち、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、IC基板85及び基板支持部84の上端より下方に位置する部分である。なお、本実施形態において、「IC基板85及び基板支持部84の上端」は、IC基板85の上端及び基板支持部84の上端の意味であり、「IC基板85及び基板支持部84の下端」は、IC基板85の下端及び基板支持部84の下端の意味であり、「IC基板85及び基板支持部84の右端」は、IC基板85の右端及び基板支持部84の右端の意味であり、「IC基板85及び基板支持部84の左端」は、IC基板85の左端及び基板支持部84の左端の意味であり、「IC基板85及び基板支持部84の挿入方向51の端部」は、IC基板85の挿入方向51の端部及び基板支持部84の挿入方向51の端部の意味であり、「IC基板85及び基板支持部84の脱抜方向52の端部」は、IC基板85の脱抜方向52の端部及び基板支持部84の脱抜方向52の端部の意味である。
なお、第1壁171の位置は、上記重なる部分を有しているならば、上述したような位置に限らない。例えば、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、第1壁171の右端がIC基板85及び基板支持部84の右端よりも右方に位置し、且つ第1壁171の左端がIC基板85及び基板支持部84の右端と左端との間に位置していてもよい。また、第1壁171の左端がIC基板85及び基板支持部84の左端よりも左方に位置し、且つ第1壁171の右端がIC基板85及び基板支持部84の右端と左端との間に位置していてもよい。また、第1壁171の右端がIC基板85及び基板支持部84の右端よりも右方に位置し、且つ第1壁171の左端がIC基板85及び基板支持部84の左端よりも左方に位置していてもよい。
第2壁172は、第1接点121より脱抜方向52にずれて配置されている。第2壁172の右端は、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、インクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の右端よりも右方に位置している。第2壁172の左端は、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、インクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の左端よりも左方に位置している。
第2壁172の下方向53及び上方向54の位置は、スライダ170の位置及び姿勢によって異なる。第2壁172の下方向53及び上方向54の位置については、後に詳細に説明する。
第3壁173は、第1接点121の右方に配置されている。つまり、第3壁173は、第1接点121より右方向55にずれて配置されている。第3壁173の挿入方向51の端部は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85の挿入方向51の端部よりも挿入方向51にずれた位置である。第3壁173の脱抜方向52の端部は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85の脱抜方向52の端部よりも脱抜方向52にずれた位置である。
第3壁173の下端は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85の上端よりも下方に位置する。つまり、第3壁173は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85と右方向55に視て重なる部分を有する。ここで、上記重なる部分は、第3壁173のうち、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85の上端よりも下方に位置し、且つIC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52の両端の間に位置する部分である。
なお、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された状態において、第3壁173の位置は、上記重なる部分を有しているならば、上述したような位置に限らない。例えば、第3壁173の挿入方向51の端部がIC基板85の挿入方向51の端部よりも挿入方向51にずれており、且つ第3壁173の脱抜方向52の端部がIC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52における両端の間に位置していてもよい。また、第3壁173の脱抜方向52の端部がIC基板85の脱抜方向52の端部よりも脱抜方向52にずれており、且つ、第3壁173の挿入方向51の端部がIC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52における両端の間に位置していてもよい。また、第3壁173の挿入方向51及び脱抜方向52における両端の双方が、IC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52における両端の間に位置していてもよい。
第4壁174は、第1接点121の左方に配置されている。つまり、第4壁174は、第1接点121より左方向56にずれて配置されている。第4壁174は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85と左方向56に視て重なる部分を有する。ここで、上記重なる部分は、第4壁174のうち、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85の上端よりも下方に位置し、且つIC基板85の挿入方向51及び脱抜方向52における両端の間に位置する部分である。第4壁174の位置及び構成は第3壁173と同様であるため、ここでは、これ以上の詳細な説明は省略される。
スライダ170は、図9及び図10(B)に示される第1位置、及び図6及び図3に示される第2位置の間を移動可能である。また、スライダ170は、図9及び図10に示される第1姿勢、及び図6及び図3に示される第2姿勢の間で姿勢変化可能である。つまり、スライダ170は、第1位置のときに第1姿勢であり、第2位置のときに第2姿勢である。
第2位置は、第1位置よりも脱抜方向52にずれた位置である。第1姿勢は、スライダ170の本体部120の上面120B(図5参照)が挿入方向51と平行となる姿勢である。第2姿勢は、スライダ170の本体部120の上面120Bの脱抜方向52の端部が、上面120Bの挿入方向51の端部よりも上方となる姿勢である。
図10(B)に示されるように、スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢であるとき、第1被ガイド部123及び第2被ガイド部124が、第1上壁184及び第2上壁185の第1ガイド部187に支持されている。より具体的には、第1被ガイド部123の4つの凸部のうち上方に位置する2つの凸部と、第2被ガイド部124の4つの凸部のうち上方に位置する2つの凸部とが、第1上壁184及び第2上壁185の第1ガイド部187に下方から支持されている。図3に示されるように、スライダ170が第2位置で且つ第2姿勢であるとき、第1被ガイド部123が第1上壁184及び第2上壁185の第1ガイド部187に支持され、第2被ガイド部124が第1上壁184及び第2上壁185の第2ガイド部188によって支持されている。より具体的には、第1被ガイド部123の4つの凸部のうち上方に位置する2つの凸部が第1上壁184及び第2上壁185の第1ガイド部187に下方から支持され、第2被ガイド部124の4つの凸部のうち上方に位置する2つの凸部と、第1上壁184及び第2上壁185の第2ガイド部188に下方から支持されている。
また、スライダ170は、第1位置及び第2位置の間の位置であって図8及び図10(A)に示される中間位置に移動可能である。スライダ170が中間位置に位置するとき、第1位置に位置するときと同様に、第1被ガイド部123及び第2被ガイド部124が第1上壁184及び第2上壁185の第1ガイド部187に支持されている。これにより、スライダ170は、中間位置のときに第1姿勢である。つまり、スライダ170は、第1姿勢を維持しつつ、第1位置及び中間位置の間を移動する。一方、スライダ17が中間位置から第2位置へ向けて移動すると、第2被ガイド部124が第1ガイド部187から離間して第2ガイド部188によって支持される。これにより、スライダ170は、第1姿勢から第2姿勢へ向けて姿勢変化を開始する。そして、最終的に、スライダ170が第2位置に到達したとき、スライダ170は第2姿勢となる。
第1接点121は、スライダ170の移動に伴って、図9に示される接触位置と、図6に示される非接触位置との間を移動可能である。つまり、スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢であるとき、第1接点121は接触位置であり、スライダ170が第2位置で且つ第2姿勢であるとき、第1接点121は非接触位置である。
接触位置の3つの第1接点121の各々は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30の対応する電極86、87、88を上方から押圧した状態で当接している。そして、対応する電極86、87、88から反作用の力を受けて、弾性によって上方に撓んだ状態である。つまり、接触位置の第1接点121は、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30の電極86、87、88の位置と重なっている。
非接触位置は、接触位置よりも上方である。つまり、非接触位置は、接触位置から上方向54に離間している。非接触位置の3つの第1接点121の各々は、対応する電極86、87、88の上端よりも上方に位置している。つまり、各第1接点121は、対応する電極86、87、88から離間している。
スライダ170が第1位置で且つ第1姿勢であるとき、第2壁172の下端は、インクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の上端より下方に位置する。
スライダ170が第2位置で且つ第2姿勢であるとき、第2壁172の下端は、インクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の上端より上方に位置する。つまり、第2壁172は、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の一部の移動軌跡より上方向54にずれた位置に位置する。
つまり、第2壁172は、スライダ170が第1位置及び第2位置の間を移動する過程において、その下端がIC基板85及び基板支持部84の上端より下方に位置する状態から、その下端がIC基板85及び基板支持部84の上端より上方に位置する状態に変わる。
また、上述したように、第2壁172の右端及び左端は、それぞれIC基板85及び基板支持部84の右端より右方に位置し、左端より左方に位置している。
よって、第2壁172は、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の一部の移動軌跡と重なる部分を有している。ここで、上記重なる部分は、第2壁172のうち、IC基板85及び基板支持部84の上端より下方に位置する部分である。
なお、第2壁172の位置は、上記重なる部分を有しているならば、上述したような位置に限らない。例えば、第1壁171がカートリッジ装着部110に挿入、装着されるインクカートリッジ30のIC基板85及び基板支持部84の少なくとも一方と接触しているときに、第2壁172の右端がIC基板85及び基板支持部84の右端よりも右方に位置し、且つ第2壁172の左端がIC基板85及び基板支持部84の右端と左端との間に位置していてもよい。また、第2壁172の左端がIC基板85及び基板支持部84の左端よりも左方に位置し、且つ第2壁172の右端がIC基板85及び基板支持部84の右端と左端との間に位置していてもよい。また、第2壁172の右端及び左端の双方がIC基板85及び基板支持部84の右端と左端との間に位置していてもよい。
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、主に図6〜図9が参照されつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される動作が説明される。
図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して挿入方向51に挿入されると、本体31の第1上壁39Aによって係合部材145が上方向54に回動されて、係合部材145がロック位置からアンロック位置に移動する。なお、このとき、スライダ170は、第2位置で且つ第2姿勢である。よって、第1接点121は、非接触位置である。
インクカートリッジ30が更に挿入方向51に挿入されると、基板支持部84の延出端部84Aが、スライダ170の第1壁171と当接して、第1壁171を挿入方向51に押す。なお、このとき、第1壁171は、2つの凸部90の間の隙間に挿入されている。
延出端部84Aが第1壁171を挿入方向51に押すことにより、スライダ170は、コイルバネ47による付勢力に抗して、第1上壁184及び第2上壁185に沿って、第2位置から第1位置へ向けて移動する(図7参照)。すると、第2被ガイド部124が第2ガイド部188の傾斜に沿って下方に移動する。その結果、スライダ170は、第2姿勢から第1姿勢への姿勢変化を開始する。また、各第1接点121が、非接触位置から接触位置へ向けて移動する。
図7に示される状態からインクカートリッジ30が更に挿入方向51に挿入されると、第2被ガイド部124が第2ガイド部188から離間して第1ガイド部187に支持された状態となる。つまり、スライダ170が中間位置に到達する(図8参照)。このとき、スライダ170は、第1姿勢となる。これにより、各第1接点121が接触位置となり、対応する電極86、87、88と当接する。また、第2壁172、第3壁173、及び第4壁174の下端は、IC基板85及び基板支持部84の上端より下方となる。その結果、挿入方向51及び脱抜方向52において、IC基板85及び基板支持部84は、第1壁171及び第2壁172の間に位置する状態となる。また、右方向55及び左方向56において、IC基板85及び基板支持部84は、第3壁173及び第4壁174の間に位置する状態となる。
図8に示される状態からインクカートリッジ30が更に挿入方向51に挿入されると、スライダ170は第1姿勢を維持しつつ第1位置へ向けて移動する。
このとき、挿入方向51に移動する第1壁171は、凸部189の第1突出部191及び第2突出部192の間に進入する。また、このとき、基板支持部84は、第1突出部191及び第2突出部192の脱抜方向52の端部に形成された傾斜面191A、192Aと当接する。そして、基板支持部84は、傾斜面191A、192Aに案内されることによって、第1突出部191及び第2突出部192に乗り上げる。これにより、基板支持部84は、凸部189に支持された状態となる。
そして、挿入方向51に挿入されたインクカートリッジ30が第1位置に到達する(図9参照)。このときも、図8に示される状態と同様に、各第1接点121は対応する電極86、87、88と当接し、挿入方向51及び脱抜方向52において、IC基板85及び基板支持部84は、第1壁171及び第2壁172の間に位置する状態であり、右方向55及び左方向56において、IC基板85及び基板支持部84は、第3壁173及び第4壁174の間に位置する状態である。また、このとき、第1壁171は第1空間161に配置され、第2壁172は第2空間162に配置され、第3壁173は第3空間163に配置され、第4壁174は第4空間164に配置される。
また、図8に示される状態からインクカートリッジ30が更に挿入方向51に挿入されると、インク供給部34が保持溝116に当接する。これにより、図9に示されるように、インクニードル117は、インク供給部34のインク供給口71に挿入される。インクニードル117に押されたインク供給バルブ70は、コイルバネ73の付勢力に抗してインク供給口71から離間する。
また、本体31の係止部45に到達した係合部材145は、本体31の上壁39に支持されなくなって下方向53に回動し、ロック位置へ至る。そして、挿入方向51及び脱抜方向52において係合端部146と係止面46とが対向する。
この状態からインクカートリッジ30を挿入方向51に押す力が消失すると、インクカートリッジ30は、コイルバネ47、73の付勢力によって、係合端部146と係止面46とが接する位置まで脱抜方向52に後退する。これにより、係合部材145は、インクカートリッジ30を脱抜方向52に押す力(コイルバネ47、73の付勢力)に抗して、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110内に保持する。また、回動部材80の先端部81は、係合部材145の下方に位置する。また、回動部材80の後端部82は、係止部45の溝の底面から離間されて、本体31の上壁39より上方に位置している。以上により、カートリッジ装着部110へのインクカートリッジ30の装着が完了する。
図9に示される装着完了状態において、インクニードル117は、インク供給バルブ70をインク供給口71から離間させた状態にある。そのため、インクニードル117の先端に設けられたインク導入口(不図示)を通じて、インク室36からインクを流出させることができる。また、電極86、87、88と第1接点121との接触により、IC基板85のICとプリンタ10の制御部1との電気的な接続が確立され、制御部1がICへアクセスすることが可能となる。
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から取り外されるときには、回動部材80の後端部82が、ユーザによって下方向53へ押し下げられる。これにより、回動部材80の先端部81が上方向54へ移動して、係止部45の底面から離間する。この先端部81の移動に伴って、係合部材145がロック位置からアンロック位置まで上方向54へ回動されて、係合部材145によるインクカートリッジ30の保持が解除される。
係合部材145がアンロック位置に移動されることにより、スライダ170は、コイルバネ47の付勢力によって脱抜方向52に移動する。つまり、スライダ170は、第1位置から第2位置へ向けて移動する。これにより、スライダ170の第1壁171は、基板支持部84の延出端部84Aと当接して、延出端部84Aを挿入方向に押す。その結果、インクカートリッジ30は、コイルバネ47の付勢力によって脱抜方向52に移動する。なお、本実施形態において、インクカートリッジ30の脱抜方向52への移動には、コイルバネ73の付勢力も寄与している。
インクカートリッジ30が脱抜方向52へ移動することによって、インクニードル117がインク供給部34から抜け出る。これにより、インク供給バルブ70がコイルバネ73の復元力によって押され、インク供給口71を閉塞する。
また、インクカートリッジ30及びスライダ170が脱抜方向52へ移動することによって、スライダ170が第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化すると、第1接点121が接触位置から非接触位置へ上方向54に移動する。これにより、電極86、87、88と各第1接点121とが離間され、IC基板85のICとプリンタ10の制御部1との電気的な接続が解除される。
なお、スライダ170の脱抜方向52への移動により、スライダ170は第1姿勢から第2姿勢へ姿勢変化するため、インクカートリッジ30の基板支持部84及びIC基板85の移動が、スライダ170の第2壁172によって妨げられることはない。
[本実施形態の作用効果]
本実施形態において、カートリッジ装着部110に挿入されるインクカートリッジ30は、第2位置で且つ第2姿勢のスライダ170の第1壁171に接触して、当該スライダ170をコイルバネ47の付勢力に抗して第1位置に移動させる。また、第1位置に移動されたスライダ170は、第1姿勢に姿勢変化する。そして、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了されると、第1空間161に第1壁171が受容され、第2空間162に第1姿勢のスライダ170の第2壁172が受容される。換言すれば、装着完了されたインクカートリッジ30のIC基板85は、挿入方向51及び脱抜方向52において、第1姿勢で且つ第1姿勢のスライダ170の第1壁171及び第2壁172の間に配置される。これにより、IC基板85に実装された電極86、87、88は、第1姿勢のスライダ170によって接触位置に移動された第1接点121に接触される。さらに、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から脱抜される際に、スライダ170は、コイルバネ47の付勢力によって第1位置から第2位置へ移動され、第1姿勢から第2姿勢に姿勢変化する。
一方、基板支持部84に対してIC基板85が挿入方向51にずれて配置されると、IC基板85が第1壁171に接触し、基板支持部84が第2空間162にはみ出て、スライダ170の第1姿勢への姿勢変化を阻害する可能性がある。同様に、基板支持部84に対してIC基板85が脱抜方向52にずれて配置されると、基板支持部84が第1壁171に接触し、IC基板が第2空間162にはみ出て、スライダ170の第1姿勢への姿勢変化を阻害する可能性がある(図12参照)。スライダ170の第1姿勢への姿勢変化が阻害されると、電極86、87、88と第1接点121とが接触できなくなる。このように、正しい位置で基板支持部84に支持されたIC基板85の電極86、87、88のみが第1接点121に接触可能となり、挿入方向51或いは脱抜方向52にずれて基板支持部84に支持されたIC基板85の電極86、87、88が第1接点121に接触できなくなる。その結果、電極86、87、88と第1接点121とを電気的に安定して接触させることができる。
なお、「インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着完了された」とは、例えば、インクカートリッジ30に保持されたインクを記録ヘッド21が消費可能な状態を指す。また、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30が挿抜される過程において、第1壁171に接触するのは、IC基板85であってもよいし、基板支持部84であってもよいし、インクカートリッジ30の他の構成要素であってもよい。
また、本実施形態によれば、係合部材145によるロックが解除されると、脱抜方向52への付勢力によってインクカートリッジ30の脱抜がアシストされる。また、ケース101や、係合部材145や、支軸147の経年劣化等によって、係合部材145が係止面46に接触する位置が脱抜方向52にずれることにより、カートリッジ装着部110に装着完了されたインクカートリッジ30が脱抜方向52に移動したとしても、スライダ170が当該インクカートリッジ30の移動に追従する。第1位置及び中間位置の間を移動するスライダ170の第1姿勢が維持されるので、電極86、87、88と第1接点121とを電気的に安定して接触させることができる。
なお、「インクカートリッジ30に作用する脱抜方向52への付勢力」とは、例えば、スライダ170を介してインクカートリッジ30に作用するコイルバネ47の付勢力であってもよいし、インクカートリッジ30に設けられたインク供給バルブ70を閉塞させるためのコイルバネ73等であってもよい。
また、本実施形態によれば、基板支持部84に対して右方向55にずれて支持されたIC基板85は、第3壁173に接触して、カートリッジ装着部110に対するインクカートリッジ30の挿入を阻害する。同様に、基板支持部84に対して左方向56にずれて支持されたIC基板85は、第4壁174に接触して、カートリッジ装着部110に対するインクカートリッジ30の挿入を阻害する。これにより、正しい位置で基板支持部84に支持されたIC基板85の電極86、87、88のみが第1接点121に接触可能となり、右方向55或いは左方向56にずれて基板支持部84に支持された電極86、87、88が第1接点121に接触できなくなる。その結果、電極86、87、88と第1接点121とを電気的に安定して接触させることができる。
また、本実施形態によれば、基板支持部84がIC基板85より挿入方向51に延出されているため、例えば、カートリッジ装着部110に対してインクカートリッジ30が勢いよく挿入された場合に、第1壁171にIC基板85が衝突することが防止される。その結果、IC基板85が基板支持部84から剥離することが抑制される。
また、本実施形態によれば、カートリッジ装着部110に挿入されるインクカートリッジ30のIC基板85が挿入方向51或いは脱抜方向52にずれて基板支持部84に支持されている場合、第2被ガイド部124が第2ガイド部188から第1ガイド部187へ移動できなくなる。これにより、スライダ170が第1位置まで移動できなくなる。例えば、スライダ170は、図12に示されている位置から挿入方向51に移動できなくなる。スライダ170が第1位置まで移動できないと、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110への装着が完了する位置まで挿入できない。したがって、IC基板85が挿入方向51或いは脱抜方向52にずれて基板支持部84に支持されているインクカートリッジ30を挿入しようとするユーザに、当該インクカートリッジ30の異常を気づかせることができる。
また、本実施形態によれば、カートリッジ装着部110が凸部189を備えているために、第1接点121に圧接されたIC基板85の下方向53(すなわち、第1接点121から離間する方向)への移動が規制されるので、電極86、87、88と第1接点121とを電気的にさらに安定して接触させることができる。
また、本実施形態によれば、第1突出部191及び第2突出部192によって、右方向55及び左方向56においてスライダ170の位置を規制することができるので、電極86、87、88と第1接点121とを電気的にさらに安定して接触させることができる。
また、本実施形態によれば、傾斜面191A、192Aによって、カートリッジ装着部110に挿入されるインクカートリッジ30の移動がスムーズになる。
また、本実施形態によれば、第1壁171は、凸部190と異なる位置において、基板支持部84に接触する。そのため、第1壁171と基板支持部84とが電極86、87、88に近い位置で接触される。その結果、基板支持部84に対して挿入方向51或いは脱抜方向52にずれてIC基板85が支持されているインクカートリッジ30の電極86、87、88が第1接点121に接触することをさらに有効に防止できる。
また、本実施形態に係る制御部1は、安定的に接触された電極86、87、88及び第1接点121を通じて、インクカートリッジ30のICにアクセスすることができる。なお、「アクセス」とは、例えば、ICから情報を読み出すこと、及びICに情報を書き込むことの一方或いは両方を含む。
[変形例]
上記実施形態では、スライダ170は、中間位置と第1位置との間を第1姿勢のまま移動したが、スライダ170の移動は、このような移動に限らない。例えば、スライダ170は、第2位置から第1位置へ移動する途中で第1姿勢とならずに、第1位置へ到達すると同時に第1姿勢となってもよい。このような構成は、例えば、第1上壁184及び第2上壁185が第1ガイド部187を備えずに第2ガイド部188のみで構成されることによって実現される。
また、スライダ170を第1位置及び第2位置に移動させ、第1姿勢及び第2姿勢に姿勢変化させる構成は、上記実施形態で説明した構成(ガイド部187、188及び被ガイド部123、124を備えた構成)に限らない。例えば、カートリッジ装着部110は、スライダ170が上壁39に吊り下げられた状態で移動可能に構成されていてもよい。
また、上記実施形態では、インクジェット記録方式で記録用紙に画像を記録するプリンタ10をシステムの一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、プリンタ10が、電子写真方式などの他の方式で記録用紙に画像を記録するものであってもよいし、熱転写方式でラベルに画像を記録するラベルプリンタなどであってもよい。
また、上記実施形態では、インクを消費材の一例として説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、インクなどの液体に代えて、トナーなどの粉体を消費材としてもよいし、ラベルプリンタなどに用いられるテープを消費材としてもよい。