以下、本発明が適用されたインクカートリッジ及び保護部材の取り外し方法について、図面を参照して説明する。
図1〜図3に示すように、本発明が適用されたインクカートリッジ1は、対象物となる記録紙に対してインクを吐出して画像や文字を印刷するインク吐出装置、いわゆるインクジェットプリンタ装置21に対してインクiを供給するものである。なお、ここでのインクジェットプリンタ装置21は、記録紙の印刷幅に合わせてインク吐出孔を設けた、いわゆるライン型のプリンタ装置である。
先ず、本発明が適用されたインクカートリッジ1が装着されるインクジェットプリンタ装置(以下、プリンタ装置と記す。)21について説明する。
このインクジェットプリンタ装置21は、インクを吐出するインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、ヘッドカートリッジという。)22と、このヘッドカートリッジ22を装着するプリンタ本体23とを備えている。
インクジェットプリンタ装置21は、ヘッドカートリッジ22がプリンタ本体23に対して着脱可能であり、更に、ヘッドカートリッジ22に対してインク供給源となるインクカートリッジ1y,1m,1c,1kが着脱可能である。なお、このプリンタ装置21では、イエローのインクカートリッジ1y、マゼンタのインクカートリッジ1m、シアンのインクカートリッジ1c、ブラックのインクカートリッジ1kが使用可能となっており、また、プリンタ本体23に対して着脱可能なヘッドカートリッジ22とヘッドカートリッジに対して着脱可能なインクカートリッジ1y,1m,1c,1kを消耗品とし、交換可能となっている。
このようなプリンタ装置21は、記録紙を積層して収納するトレイ24をプリンタ本体23の前面底面側に設けられたトレイ装着口に装着することにより、トレイ24に収納されている記録紙Pをプリンタ本体23内に給紙できる。トレイ24は、プリンタ本体23の前面のトレイ装着口に装着されると、装置内の給排紙機構により記録紙Pが給紙ローラに圧接され、この給紙ローラの回転駆動されることによって、図1中矢印A方向に示すように給紙口25よりプリンタ本体23の背面側に給紙する。
そして、プリンタ本体23の背面側に送られた記録紙Pは、反転ローラにより走行方向が反転され、往路の上側をプリンタ本体23の背面側から前面側に送られる。プリンタ本体23の背面側から前面側に送られる記録紙Pは、プリンタ本体23の前面に設けられた排紙口26より排紙されるまでに、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置より入力された文字データや画像データに応じた文字や画像が印刷される。
記録紙Pに印刷を行うヘッドカートリッジ22は、図1中矢印Bに示すように、プリンタ本体23の上面側から装着部27に装着され、復路を走行する記録紙に対してインクiを吐出し印刷を行う。具体的に、ヘッドカートリッジ22は、導電性の液体であるインクiを、例えば電気熱変換式又は電気機械変換式などで微細に粒子化して吐出し、記録紙P等といった記録媒体上にインク液滴を吹き付けることで印刷を行う。
そして、ヘッドカートリッジ22は、図2及び図3に示すように、インクカートリッジ1y,1m,1c,1kが着脱自在に装着されるカートリッジ本体31を有し、このカートリッジ本体31には、インクiが充填された容器であるインクカートリッジ1y,1m,1c,1kが装着される凹部であるカートリッジカートリッジ装着部32が設けられている。なお、以下では、場合によって便宜上インクカートリッジ1y,1m,1c,1kを単にインクカートリッジ1と記すこともある。
ヘッドカートリッジ22に着脱可能なインクカートリッジ1は、図3及び図4に示すように、強度や耐インク性を有するポリプロピレン等の樹脂材料等を射出成形することにより成形されるカートリッジ本体2を有し、このカートリッジ本体2は、長手方向を使用する記録紙の幅方向の寸法と略同じ寸法となす略矩形状に形成され、内部に貯留するインク容量を最大限に増やす構成となっている。
具体的に、インクカートリッジ1を構成するカートリッジ本体2には、インクiを収容するインク収容部3と、インク収容部3からヘッドカートリッジ22のカートリッジ本体31にインクiを供給するインク供給部4と、外部よりインク収容部3内に空気を取り込む外部連通孔5と、外部連通孔5より取り込まれた空気をインク収容部3内に導入する空気導入路6と、外部連通孔5と空気導入路6との間でインクiを一時的に貯留するインク貯留部7と、外部連通孔5から外部へのインク漏れを閉塞フィルム8と、インク収容部3内のインクiの残量を検出するための残量検出部9と、インクカートリッジ1を識別するための複数の突起部10を有する係合凸部11と、インク供給部4を保護する保護キャップ12とが設けられている。
インク収容部3は、気密性の高い材料によりインクiを収容するための空間を形成している。インク収容部3は、略矩形に形成され、長手方向の寸法が使用する記録紙の幅方向、すなわち記録紙の送り方向に対して直交する方向の寸法と略同じ寸法となるように形成されている。そして、このインク収容部3は、インクと接する内面が外面より表面粗度が小さくなるように形成され、内部のクリーニングを行うときに、塵埃等の微小な異物が内面に残存しないようにしている。
インク供給部4は、インク収容部3の下側略中央部に設けられており、ヘッドカートリッジ22に対する接続部となる。このインク供給部4は、インク収容部3と連通した略凸形状のノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ22の接続部35に嵌合されることにより、インクカートリッジ1のカートリッジ本体2とヘッドカートリッジ22のカートリッジ本体31を接続する。
なお、インク収容部3の底面は、インク供給部4が設けられた中央部が最も深くなるように形成され、収容しているインクが少なくなったときにも、インクがインク供給部4に集中するようにしている。
また、インク供給部4の先端部に設けられているインク供給口4aは、インクカートリッジ1をヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着する際、このカートリッジ装着部32に設けられた接続部35が円滑に嵌合するように、先端部に向かって直線状又は湾曲しながら拡径するように形成されている。
具体的にインク供給部4には、図5(A)及び図5(B)に示すように、カートリッジ本体2の底面2aにインクiを供給する供給口4aが設けられ、この底面2aに、供給口4aを開閉する弁4bと、弁4bを供給口4aが閉塞する方向に付勢するコイルバネ4cと、弁4bを開閉する開閉ピン4dとが設けられている。このインク供給部4は、インクカートリッジ1がヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着されていないときに供給工4aからインクiが漏れ出ることを防止する逆止弁である。
ヘッドカートリッジ22の接続部35に接続されるインクiを供給する供給口4aは、インクカートリッジ1がヘッドカートリッジ22のカートリッジ本体31に装着される前、図5(A)に示すように、弁4bが付勢部材であるコイルバネ4cの付勢力により供給口4aを閉じる方向に付勢され閉塞されている。
そして、インクカートリッジ1がカートリッジ本体31に装着されると、図5(B)に示すように、開閉ピン4dがヘッドカートリッジ22を構成するカートリッジ本体31の接続部35の上部により押し上げられて、押し上げられた開閉ピン4dは、コイルバネ4cの付勢力に抗して弁4bを押し上げて供給口4aを開放する。
これにより、インクカートリッジ1のインク供給部4は、ヘッドカートリッジ22の接続部35に接続され、インク収容部3とヘッドカートリッジ22とを連通し、ヘッドカートリッジ22へのインクiの供給が可能な状態となる。
また、インクカートリッジ1をヘッドカートリッジ22側の接続部35から引き抜くとき、すなわちインクカートリッジ1をヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32より取り外すとき、弁4bの開閉ピン4dによる押し上げ状態が解除され、弁4bは、コイルバネ4cの付勢方向に移動し、供給口4aを閉塞する。これにより、インクカートリッジ1をカートリッジ本体31に装着する直前にインク供給部4の先端部が下方を向いている状態であってもインク収容部3内のインクiが漏れることを防止することができる。
また、インクカートリッジ1をカートリッジ本体31から引き抜いたときには、直ちに弁4bが供給口4aを閉塞するので、インク供給部4の先端からインクiが漏れることを防止することができる。なお、インク供給部4においては、以上で説明した逆止弁構造の他に、従来公知の逆止弁が設けられていてもよい。
外部連通孔5は、図3に示すように、インクカートリッジ1外部からインク収容部3に空気を取り込む通気口であり、ヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着されたときも、外部に臨み外気を取り込むことができるように、カートリッジ装着部32への装着時に外部に臨む位置であるカートリッジ本体2の上面、ここでは上面略中央に設けられている。
外部連通孔5は、インクカートリッジ1がカートリッジ本体31に装着されてインク収容部3からカートリッジ本体31側にインクiが流下した際に、インク収容部3内のインクiが減少した分に相当する分の空気を外部よりインクカートリッジ1内に取り込む。
空気導入路6は、インク収容部3と外部連通孔5とを連通し、外部連通孔5より取り込まれた空気をインク収容部3内に導入する。これにより、このインクカートリッジ1がカートリッジ本体31に装着された際に、カートリッジ本体31にインクiが供給されてインク収容部3内のインクiが減少し、カートリッジ本体2内部が減圧状態となっても、インク収容部3には、空気導入路6によりインク収容部3に空気が導入されることから、内部の圧力が平衡状態に保たれてインクiをカートリッジ本体31に適切に供給することができる。
インク貯留部7は、外部連通孔5と空気導入路6との間に設けられ、インク収容部3に連通する空気導入路6よりインクiが漏れ出た際に、いきなり外部に流出することがないようにインクiを一時的に貯留する。
具体的に、このインクカートリッジ1では、常温、常圧時においてインク貯留部7にインクiがない状態となる。しかしながら、インクカートリッジ1においては、外部圧力の低下又は外部温度の上昇が起こると、インク収容部3内の空気が膨張し、膨張した空気がインクiをインク収容部3より空気導入路6を介してインク貯留部7に押し出してしまう。このとき、インク貯留部7は、インク収容部3より押し出されたインクiを一時的に貯留することから外部連通孔5よりインクiが漏れ出ることを防止できる。
このインク貯留部7は、長い方の対角線をインク収容部3の長手方向とした略菱形に形成され、インク収容部3の最も下側に位置する頂部に、すなわち短い方の対角線上の下側に空気導入路6を設けるようにし、インク収容部3より進入したインクを再度インク収容部3に戻すことができるようにしている。また、インク貯留部7は、短い方の対角線上の最も下側の頂部に外部連通孔5を設けるようにし、インク収容部3より進入したインクが外部連通孔5より外部に漏れにくくしている。
閉塞フィルム8は、カートリッジ本体2の上面に外部連通孔5を閉塞するように剥離可能に貼り付けられた可撓性を有するフィルム状若しくはシート状の部材であり、カートリッジ未使用時に、外部連通孔5までインクiが逆流してしまったインクiがインクカートリッジ1の外部に漏れてしまうことを防止する。このため、閉塞フィルム8は、少なくともインクを透過しないような撥水性を有する材料で形成されている。
そして、この閉塞フィルム8は、使用時において、外部連通孔5と対向する部分で剥離され、インク使用量に応じて、外部連通孔5からは、インク収容部3内に外気を随時補充できるようにする。
具体的に、この閉塞フィルム8は、図6に示すように、カートリッジ本体2の短手方向の側面に例えば接着樹脂や粘着樹脂等で貼り付けられた接着部8aと、接着部8aの外部連通孔5を臨む縁端の略中央部付近から外部連通孔5側に突出して外部連通孔5と対向する部分を剥離するときの取っ手となる取手片8bとが例えばポリエチレンテレフタレート等からなる樹脂フィルムによって一体形成されたものである。
この閉塞フィルム8においては、取手片8bのカートリッジ本体2の上面と対向する面に例えばポリエチレン等からなる溶着層が設けられ、この溶着層をカートリッジ本体2の上面の外部連通孔5の周囲に隙間無く熱溶着することで外部連通孔5を適切に閉塞する。そして、閉塞フィルム8においては、外部連通孔5を閉塞している取手片8bを接着部8a側に引っ張ることによってカートリッジ本体2の上面から溶着層が剥離して外部連通孔5を開放させる。
また、閉塞フィルム8において、取手片8bは、後述する保護キャップ12をカートリッジ本体2から取り外すときや、カートリッジ本体2をヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32から引き抜くときの取っ手としても機能する。
残量検出部9は、図3に示すように、カートリッジ本体2の長手方向の一方側面に設けられている。残量検出部9は、インク収容部3内に臨まされる一対の検出ピンと、インクカートリッジ1がヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着されたとき、ヘッドカートリッジ22のインク残量検出部34と電気的に接続される接点とを備える接点部材を有し、この接点部材は、カートリッジ本体2の側面の高さ方向に複数、ここでは3段並設されている。
インクiは、導電性を有するものであるから、インク収容部3内に臨まされている一対の検出ピンを浸漬しているときには検出ピンの電気抵抗値を小さくさせ、浸漬していないときには検出ピンの電気抵抗値を高くさせる。
すなわち、インク収容部3内にインクiが満杯のとき、全ての検出ピンは、インクに浸漬されており、全て電気抵抗値が低い状態となる。そして、インクが使用されるに連れて、検出ピンの電気抵抗値は上の段から順に高くなる。
これにより、残量検出部9は、インク収容部3内のインク残量を検出することができる。なお、インク収容部3の高さ方向に設ける端子板の数は、3段に限定されるものではなく、2段でもよく、また、より正確な残量検出を行う場合には、この段数を更に増やすようにすればよい。
ところで、インクカートリッジ1を構成するカートリッジ本体2は、図2に示すように、インク供給部4が設けられた底面2a側がヘッドカートリッジ22に設けられたカートリッジ装着部32に係合する係合領域となる。
ところで、インクカートリッジ1において、通常、印刷時にブラックのインクの消費量が最も多いので、インクカートリッジ1kが他のインクカートリッジ1y、1m、1cに比べてインク収容部3の容量が大きいものとされている。具体的には、インクカートリッジ1kのみが他のインクカートリッジ1y,1m,1cに比べて厚く形成されている。
そして、インクカートリッジ1においては、カートリッジ本体31にカートリッジ本体2を装着する際に、寸法サイズが略同一にされたインクカートリッジ1y,1m,1cについて装着位置を間違える虞がある。
このため、係合領域の一部、すなわちカートリッジ本体2の底面2aには、インクカートリッジ1の種類を識別するための複数の突起部を有する係合凸部11がインクカートリッジ1y,1m,1c,1k毎で異なる配置パターンにされて設けられている。
インクカートリッジ1y,1m,1c,1k毎で異なる配置パターンにされて設けられた係合凸部11は、複数の突起部の配置パターンによってインクカートリッジ1の種類を識別できるようになっており、インクカートリッジ1y,1m,1c,1kがヘッドカートリッジ22の正規のカートリッジ装着部32y,32m,32c,32kに装着されたときに限って、そのカートリッジ装着部32y,32m,32c,32kに設けられた係合凹部33に対応して係合するようにされている。
この係合凸部11は、カートリッジ本体2の底面2aを基準にした高さがインク供給部4よりも高くなるようにされている。これにより、インクカートリッジ1においては、カートリッジ装着部32に装着する際に、装着位置を間違ったとしても係合凸部11が最初にカートリッジ装着部32の底面に当たり、間違った装着位置に装着され、間違った色のインクiを供給するインク供給部4がヘッドカートリッジ22の接続部35に接続されることを防ぐことができる。
なお、射出成形後のカートリッジ本体2においては、係合凸部11に突起部10が6本全て設けられている。そして、各色のインクカートリッジ1を形成するときには、各色の突起部10の配置パターンに倣って不要な突起部10を除去することで、各色に対応したインクカートリッジ1を得ることができる。このようなインクカートリッジ1の製造方法では、突起部10を除去する作業だけでイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクに対応したインクカートリッジ1を製造することができ、製造効率の向上を図ることができる。また、寸法サイズが略同一なインクカートリッジ1y,1m,1cの成形金型は、共用することができる。
保護キャップ12は、図4及び図6に示すように、カートリッジ本体2の長手方向の略中央部付近に上面から底面2aにかけて閉塞フィルム8と一部重なるように帯状に装着され、カートリッジ本体2の短手方向の側面と対向するベース部13と、ベース部13の底面2a側の端部よりカートリッジ本体2の厚み方向に突出する第1の係止部14と、ベース部13のカートリッジ本体2の上面側の端部よりカートリッジ本体2の厚み方向に突出する第2の係止部15とを有している。そして、この保護キャップ12は、例えばポリスチレン等の樹脂材料を射出成形等でベース部13と係止部14,15とを一体形成したものである。
ベース部13は、カートリッジ本体2に保護キャップ12を装着するときや取り外すときに係止部14,15同士を離間させるように厚み方向に弾性変形する。これにより、保護キャップ12においては、係止部14,15の間にカートリッジ本体2を入れ込むことが可能になる。
第1の係止部14は、インク供給部4が当たらないように切り欠くことで設けられた一対のアーム14aを有し、この一対のアーム14aがカートリッジ本体2の長手方向でインク供給部4を挟むようにされている。そして、第1の係止部14においては、一対のアーム14aの先端に設けられた係止爪14bとベース部13とでカートリッジ本体2を挟持することでカートリッジ本体2の底面2a側で係止される。
また、第1の係止部14は、図7に示すように、一対のアーム14aがインク供給部4や突起部10より大きく外方に突出するようにされている。これにより、第1の係止部14では、例えばインクカートリッジ1を誤って床等に落下させたり、輸送時に衝撃を受けたりしたときに、一対のアーム14aがインク供給部4を衝撃から保護する保護部になり、インク供給部4に外部からの衝撃が直接加わることを防ぐことから、インク供給部4が外部からの衝撃で破損することを防止できる。また、インクカートリッジ1が底面2a側から床に落とした場合に、一対のアーム14aが最初に床に当たることから、突起部10が損傷することを抑制できる。
第2の係止部15は、上面から閉塞フィルム8の取手片8bを導出させるための切欠部15aと、この切欠部15aの両端に位置する係止爪15bとを有している。
切欠部15aは、外部連通孔5を閉塞する閉塞フィルム8の取手片8bを保護キャップ12より導出させるための凹部である。そして、保護キャップ12においては、切欠部15aに取手片8bを係合させるようにしてカートリッジ本体2に装着することで、適切な位置に装着することができる。また、係止爪15bは、ベース部13とでカートリッジ本体2を挟持し、カートリッジ本体2の上面側で第2の係止部15を係止させる。
このような構成の保護キャップ12は、第1の係止部14をカートリッジ本体2の底面2aで係止させた状態で、ベース部13を厚み方向に弾性変形させて係止部14,15同士を離間させて第2の係止部15の内側にカートリッジ本体2の上面にはめ込み、第2の係止部15をカートリッジ本体2の上面に係止させることでカートリッジ本体2に装着される。このとき、カートリッジ本体2の上面と保護キャップ12の第2の係止部15との間からは、図4に示すように、外部連通孔5を閉塞している閉塞フィルム8の取手片8bが導出される。
そして、このような構成の保護キャップ12においては、図8に示すように、カートリッジ本体2の上面と保護キャップ12の第2の係止部15との間から導出する閉塞フィルム8の取手片8bを外部連通孔5に対して離間する図8中矢印C方向に引っ張る、具体的には取手片8bを上方若しくは接着部8a側に引っ張ることで、第2の係止部15がカートリッジ本体2の上面より離間しながらベース部13が外方に反るように弾性変形、すなわち図8中矢印D方向に弾性変形し、係止爪14bとベース部13とでカートリッジ本体2を挟持している状態が弛み、第1の係止部14が底面2aより外れる。
このように、保護キャップ12においては、カートリッジ本体2と保護キャップ12との間から導出する取手片8bを図8中矢印C方向に引っ張ることでカートリッジ本体2より容易に取り外すことができる。
このとき、インクカートリッジ1においては、外部連通孔5を閉塞している取手片8bはカートリッジ本体2の上面から剥離して外部連通孔5が開放される。
すなわち、インクカートリッジ1においては、保護キャップ12をカートリッジ本体2から取り外すときに閉塞フィルム8の取手片8bをカートリッジ本体2の上面より剥離することができ、保護キャップ12の取り外しと外部連通孔5の開放とを一括して行うことができる。
また、保護キャップ12には、上述した構成の他に、カートリッジ本体2の上面と第2の係止部15との間に、例えばスポンジ等といった弾性変形する樹脂等からなる緩衝部材16が設けられている。これにより、インクカートリッジ1においては、例えば落下や輸送時等に保護キャップ12に外部から応力が加わったときに、保護キャップ12を介してカートリッジ本体2に加わる衝撃を和らげることができる。
以上で説明したインクカートリッジ1においては、保護キャップ12を取り外さなければ保護キャップ12が邪魔になってカートリッジ装着部32に装着することが困難であることから、ヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着するときには保護キャップ12をカートリッジ本体2より取り外す必要がある。
この際、インクカートリッジ1においては、カートリッジ本体2の上面と保護キャップ12の第2の係止部15との間から導出する閉塞フィルム8の取手片8bを引っ張ることで保護キャップ12を取り外すことから、保護キャップ12の取り外しと外部連通孔5の開放とを一括して行うことができる。
したがって、このインクカートリッジ1においては、ヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着するときに、閉塞フィルム8を剥がし忘れて外部連通孔5が閉塞されたままカートリッジ装着部32に装着されることを防ぐことができる。
なお、インクカートリッジ1においては、上述した構成の他に、カートリッジ本体2の底面2aに、ヘッドカートリッジ22に供給されたインクiの余剰分を再びインク収容部3に戻すときの導入口となるノズル17等も設けられている。このノズル17は、余剰なインクiがヘッドカートリッジ22側に逆流しないように逆止弁になっている。
次に、以上で説明したインクカートリッジ1が装着されるヘッドカートリッジ22について説明する。
ヘッドカートリッジ22は、図2及び図3に示すように、カートリッジ本体31を有し、このカートリッジ本体31には、インクカートリッジ1が装着されるカートリッジ装着部32と、係合凸部11が係合される係合凹部33と、インクカートリッジ1内におけるインク残量を検出するインク残量検出部34と、インク供給部4と接続されてインクiが供給される接続部35と、インクを吐出するインク吐出ヘッド36と、インク吐出ヘッド36を保護するヘッドカバー37とを有している。
インクカートリッジ1が装着されるカートリッジ装着部32は、インクカートリッジ1が装着されるように上面をインクカートリッジ1の挿脱口として略凹形状に形成され、ここでは4本のインクカートリッジ1が記録紙の走行方向に並んで収納される。
このカートリッジ装着部32は、インクカートリッジ1が収納されることから、インクカートリッジ1と同様に印刷幅の方向に長く設けられている。そして、カートリッジ本体31には、インクカートリッジ1が収納装着される。
カートリッジ装着部32は、インクカートリッジ1が装着される部分であり、イエロー用のインクカートリッジ1yが装着される部分をカートリッジ装着部32yとし、マゼンタ用のインクカートリッジ1mが装着される部分をカートリッジ装着部32mとし、シアン用のインクカートリッジ1cが装着される部分をカートリッジ装着部32cとし、ブラック用のインクカートリッジ1kが装着される部分をカートリッジ装着部32kとし、各カートリッジ装着部32y,32m,32c,32kは、隔壁32aによりそれぞれ隣接するように区画されている。
なお、上述したようにブラックのインクカートリッジ1kは、インクiの内容量が大きくなるように厚く形成されているため、幅が他のインクカートリッジ1y,1m,1cよりも広く設けられており、これに合わせてカートリッジ装着部32kの幅も他のカートリッジ装着部32y,32m,32cよりも広く設けられている。
インク残量検出部34は、インクカートリッジ1内のインクiの残量を段階的に検出するものであり、各色のインクカートリッジ1y,1m,1c,1kのカートリッジ装着部32y,32m,32c,32kに設けられている。
係合凹部33は、各カートリッジ装着部32y,32m,32c,32kに設けられ、インクカートリッジ1y,1m,1c,1k毎に異なる配置パターンで設けられた係合凸部11に対応して係合するようにされている。
インク残量検出部34は、インクカートリッジ1がヘッドカートリッジ22に装着されたとき、インクカートリッジ1内の側面の高さ方向に並設された残量検出部9に接触し電気的に接続される。なお、インク残量検出部34は、インクカートリッジ1の残量検出部9に印加する電流が交流とされる。直流を印加する場合に、インクカートリッジ1内の残量検出部9が電気分解されてインクiに金属イオンが溶出してしまい、インクiの特性が変化してしまう虞があるからである。
カートリッジ装着部32の長手方向略中央には、インクカートリッジ1がカートリッジ装着部32に装着されたとき、インク供給部4が接続される接続部35が設けられている。この接続部35は、カートリッジ装着部32に装着されたインクカートリッジ1のインク供給部4からカートリッジ本体31の底面に設けられたインクを吐出するインク吐出ヘッド36にインクを供給するインク供給路となる。
インク吐出ヘッド36は、カートリッジ本体31の底面に沿って配設されており、接続部35から供給されるインクiを吐出するインク吐出口となるノズルが吐出面36aに各色毎に略ライン状をなすように設けられている。
ヘッドカバー37は、インク吐出ヘッド36を保護するために設けられたカバーであり、インクiを吐出する際には、プリンタ本体23に設けられたカバー開閉機構等により開閉される。ヘッドカバー37は、長手方向に設けられインク吐出ヘッド36の吐出面36aに付着した余分なインクを吸い取る清掃ローラ37aを有している。ヘッドカバー37は、開閉動作時に清掃ローラ37aがインク吐出ヘッド36の吐出面36aに当接しながら回転することで、余分なインクiを吸い取り、インク吐出ヘッド36の吐出面36aを清掃する。この清掃ローラ37aは、例えば吸水性の高い部材が用いられる。また、ヘッドカバー37は、インク吐出ヘッド36のノズルから露呈するインクiが乾燥しないようにする。
このような構成のヘッドカートリッジ22にインクカートリッジ1を装着する際は、先ず、図8に示すように、カートリッジ本体2と保護キャップ12との間から導出する取手片8bを図8中矢印C方向に引っ張ることでカートリッジ本体1より保護キャップ12を取り外し、外部連通孔5を開放する。
そして、保護キャップ12が取り外されたカートリッジ本体2を、図9に示すように、インク供給部4と接続部35とを対向させた状態でカートリッジ装着部32の底面に対して略垂直方向、すなわち図9中矢印E方向にインク供給部4が接続部35に接続されるまで挿入する。このようにして、インクカートリッジ1をヘッドカートリッジ22のカートリッジ装着部32に装着する。このとき、カートリッジ本体2の装着位置を間違ったとしても、すなわち間違った色のカートリッジ本体2を装着しようとしても、係合凸部11が係合凹部33に係合されず、間違った色のカートリッジ本体2が装着されることを防止できる。
一方、例えば空になったインクカートリッジ1をヘッドカートリッジ22から取り外す際は、図10に示すように、カートリッジ本体2の上面側より導出される取手片8bを図10中矢印F方向に引っ張ることでカートリッジ装着部32に装着されているカートリッジ本体2を容易に取り外すことができる。
なお、以上では、ライン型のプリンタ装置21を例に挙げて説明したが、このことに限定されることはなく、例えばインク吐出ヘッドが記録紙Pの走行方向と略直交する方向に移動するシリアル型の液体吐出装置にも適用可能である。
また、本発明を適用したインクカートリッジ1がプリンタ装置1に装着される場合について説明したが、本発明は、以上の例に限定されるものではなく、液体を吐出する他の液体吐出装置に広く装着することが可能である。例えばファクシミリやコピー機、液体中のDNAチップ用吐出装置(特開2002−253200号公報)、プリンタ配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する液体吐出装置等に液体を供給するための液体カートリッジにも適用可能である。
1 インクカートリッジ、2 カートリッジ本体、2a 底面、3 インク収容部、4 インク供給部、5 外部連通孔、6 空気導入路、7 インク貯留部、8 閉塞フィルム、8a 接着部、8b 取手片、9 残量検出部、10 突起部、11 係合凸部、12 保護キャップ、13 ベース部、14 第1の係止部、14a アーム、14b,15b 係止爪、15 第2の係止部、15a 切欠部、21 インクジェットプリンタ装置、22 インクジェットプリンタヘッドカートリッジ、23 プリンタ本体、32 カートリッジ装着部、33 係合凹部、35 接続部