JP6406172B2 - 希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法 - Google Patents
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Description
本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末は、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末(以下、「合金粉末」ともいう)の粉砕物であって、その表面が燐酸塩皮膜で被覆されており、特定の元素組成を持つものである。
燐酸塩皮膜で被覆される前の合金粉末は、Th2Zn17型、Th2Ni17型、又はTbCu7型結晶構造を持つ。これらは、菱面体晶系、六方晶系の結晶構造を持つ金属間化合物であり、Th2Zn17型の合金粉末としては、例えば、Sm2Fe17N3合金、Nd2Fe17N3等が挙げられる。また、Th2Ni17型の合金粉末としては、例えば、Gd2Fe17N3等が挙げられる。
本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末(以下、単に「鉄系合金微粉末」又は「合金微粉末」ともいう)は、上述した希土類−鉄−窒素系磁性粉末を粉砕し、その表面に燐酸塩皮膜を形成したものであって、この燐酸塩皮膜を含んだ磁性粉末全体を構成する各成分が特定の組成を有している。
鉄系合金微粉末の平均粒径としては、例えば、1μm〜10μm程度である。
希土類元素を含む鉄系合金微粉末の構成成分としては、合金粉末の成分である希土類元素(R)と、鉄を含む遷移金属元素(T)と、窒素(N)と、燐酸塩皮膜の成分であるリン(P)と、酸素(O)とを含む。そして、この鉄系合金微粉末では、製造過程において不可避的に混入する不純物として水素(H)があり、上述した元素の他に水素を含む。なお、上述したように、合金粉末の成分としてCo等の添加元素、燐酸塩皮膜の成分としてZn、Cu、Mn等の遷移金属元素(T)がさらに含まれていてもよい。
合金微粉末の表面に被覆された燐酸塩皮膜の成分としては、例えば、燐酸鉄、燐酸サマリウム等の希土類燐酸塩、又はこれらの複合金属塩等により構成される。その中でも、主要な成分としては燐酸鉄であり、鉄/希土類元素比は8以上であることが好ましく、9以上であることがより好ましく、10以上であることがさらに好ましい。ここで、鉄/希土類元素比は、磁性粉末試料をArスパッタしながら、XPS(X線光電子分光法)にて得たFe、Smスペクトルの面積強度に、測定装置(VG Scientific社製,ESCALAB220i−XL)の感度係数を乗じて、Fe/Sm元素比を求めたものである。鉄/希土類元素比が好ましくは8以上であれば、水をある程度遮断するとともに樹脂バインダーとの結合力を高め、ボンド磁石の成形性を高めることができる。なお、鉄/希土類元素比が8未満であると、これらの効果が十分に得られない可能性がある。
本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末は、特に限定されないが、体積基準の比表面積が7m2/cm3以下であることが好ましい。比表面積が7m2/cm3を超えると、耐候性が低下する可能性がある。
次に、上述した希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法について説明する。本実施の形態に係る希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法は、先ず、原料とする合金粉末を燐酸化合物の存在下にて粉砕し、粉砕により生じた合金微粉末の表面に燐酸塩による皮膜を形成する第1の工程、粉砕して得られた合金微粉末を乾燥、加熱して表面の燐酸塩による皮膜を定着させる第2の工程と、を有する。
第1の工程では、原料である合金粉末を、燐酸化合物を添加した有機溶媒中で粉砕するとともに、粉砕により生じた微粉末の表面に燐酸塩皮膜を被覆する。
燐酸化合物の添加方法としては、特に限定されないが、例えば、媒体攪拌ミル等の粉砕機で合金粉末を粉砕するに際し、合金粉末を投入する溶媒として用いる有機溶剤中に燐酸化合物を添加する方法を挙げることができる。このとき、燐酸化合物の添加量としては、最終的に所望の燐酸濃度になればよく、粉砕開始前に一度に全量を添加してもよいが、溶媒中の燐酸濃度が一定となるように徐々に添加することがより好ましい。
燐酸化合物としては、合金微粉末の表面に燐酸塩皮膜を形成できるものであれば特に限定されるものではない。例えば、オルト燐酸をはじめ、亜燐酸、次亜燐酸、ピロ燐酸、直鎖状のポリ燐酸、環状のメタ燐酸等の燐酸系化合物が挙げられる。
燐酸化合物の添加量は、粉砕後の合金微粉末の粒径や比表面積等に関係するため一概には言えないが、例えば、粉砕する合金粉末に対して、0.05mol/kg以上2.0mol/kg未満が好ましく、0.1mol/kg〜1.5mol/kgがより好ましく、0.15mol/kg〜0.6mol/kgがさらに好ましい。
有機溶媒としては、特に限定されず、例えば、エタノールやイソプロピルアルコール等のアルコール類、ケトン類、低級炭化水素類、芳香族類、又はこれらの混合物が用いられる。その中でも、特に、アルコール類を使用することが好ましい。
本実施の形態においては、有機溶媒中で合金粉末に対する粉砕にあたって、その粉砕前に又は粉砕中に、その有機溶媒中に燐酸化合物を添加して行う。すなわち、原料の合金粉末に対して粉砕処理を施す際に燐酸化合物を添加する。これにより、合金粉末の粉砕によって生じた合金微粉末の凝集粒子に新生面が生じても、瞬時に、その新生面と溶媒中の燐酸化合物とが反応し、粒子表面に燐酸塩皮膜が形成されるようになる。また、その後に、粉砕により得られた合金微粉末がその磁力や媒体によるせん断で凝集した場合でも、接触面には既に燐酸塩皮膜が形成されているため、解砕により腐食が生じることはない。
第2の工程では、第1の工程にて得られた、表面に燐酸塩皮膜が形成された合金微粉末を含むスラリーに対して、所定の温度条件で加熱処理する。この第2の工程での加熱処理により、表面に被覆された燐酸塩皮膜が安定化して、ボンド磁石等に用いられる、希土類元素を含む鉄系合金微粉末が得られる。
分子中に不飽和結合を有する炭化水素としては、ガス状のものであっても、液状のものであってもよく、例えば、エチレン、アセチレン、プロパン、プロペン(プロピレン)、ブテン、ブタジエン、ベンゼン、白灯油(ケロシン)、軽油等が挙げられる。
不飽和炭化水素を含む雰囲気中における加熱処理の温度(加熱温度)は、100℃以上300℃以下の範囲とする。また、好ましくは100℃以上200℃以下の範囲とする。
加熱処理に要する時間としては、処理装置や処理量、雰囲気中への不飽和結合を有する炭化水素の供給量、加熱雰囲気や加熱温度等によって変わるため、特に限定されないが、0.5時間以上であればよく、1時間〜20時間、特に2時間〜10時間となるよう調整するのが好ましい。
原料として用いる希土類元素を含む鉄系合金粉末として、Sm−Fe−N系合金粉末(住友金属鉱山株式会社製)を用いた。このSm−Fe−N系合金粉末の平均粒径は20μmであり、組成は、Smが23.2〜24.5質量%、Nが3.1〜3.5質量%で、残部はFeであるが、不純物としてCaが0.006質量%〜0.015質量%、水素が0.002質量%〜0.008質量%含まれている。
得られた希土類元素を含む鉄系合金微粉末の試料のリンについてはICP発光分析法により、酸素、水素については抵抗加熱・伝導率法により組成を分析した。
ビーズミルを用い、希土類元素を含む鉄系合金粉末0.5kgを1kgのイソプロピルアルコール中で平均粒径が2.1μmになるまで粉砕し、希土類元素を含む鉄系合金微粉末を作製した。なお、粉砕前に、イソプロピルアルコールに対して85%オルト燐酸水溶液11.5gを添加した。
従来例1の微粉末をミキサー内に入れ、不飽和炭化水素であるベンゼン1.7gと、希釈溶媒であるエタノール100gとをよく混合し、その希釈液をミキサー内の合金微粉末に加えて、合金微粉末の表面が十分に濡れるように撹拌した。次に、ミキサー内を1.0L/minでN2ガスをフローしながら、下記表1に示す条件で加熱処理を施し、実施例4〜6及び比較例5〜8の希土類元素を含む鉄系合金微粉末を得た。
実施例4において、ベンゼンとエタノールの代わりに、不飽和炭化水素としてケロシン2gと、その希釈溶媒であるヘキサン100gとをよく混合したものを使用し、加熱処理を施した。それ以外の条件は、下記表1に示す通り実施例4と同じである。
ビーズミルを用い、希土類元素を含む鉄系合金粉末0.5kgに、エタノール1kg、85%オルト燐酸水溶液34.6gを加え、平均粒径が2.1μmになるまで粉砕し、濾過して、濾布上に残ったケーキを真空ポンプで減圧しながら昇温し、150℃で2時間乾燥して冷却した。このようにして得られた鉄系合金微粉末を、従来例1の鉄系合金微粉末とした。
従来例2の鉄系合金微粉末を再びミキサーに入れ、1.0体積%のエチレンガスを含むArガスを3L/minでフローしながら加熱処理し、実施例8〜10の希土類元素を含む鉄系合金微粉末を得た。
Claims (3)
- 有機溶剤を含む溶媒中で希土類元素を含む鉄系合金粉末を粉砕するとともに、該粉砕に際して燐酸化合物を添加し、表面が燐酸塩皮膜で被覆された微粉末を得る第1の工程と、
得られた微粉末に対して所定の温度で加熱処理を施す第2の工程と、を有し、
第2の工程では、
得られる鉄系合金微粉末の水素含有量が0.2質量%以下となるように、分子中に不飽和結合を有する炭化水素を含む雰囲気中で、100℃以上300℃以下の温度、0.5時間以上の条件で加熱処理する
希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法。 - 0.5時間以上20時間以下の条件で加熱処理する
請求項1に記載の希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法。 - 前記第1の工程では、
粉砕前又は粉砕中に、前記溶媒に前記燐酸化合物を添加する
請求項1又は2に記載の希土類元素を含む鉄系合金微粉末の製造方法。
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