JP6404087B2 - 遠心圧縮機およびそれを備えた過給機 - Google Patents
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特許文献2に開示された遠心圧縮機では、高速回転による遠心力の影響によって羽根車の全部または一部が破断あるいは脱落する不具合が発生する場合に、潤滑油を収容するタンクが保護される。
本発明の参考例に係る遠心圧縮機は、ロータ軸に取り付けられるとともに取込口から流入する流体を圧縮して吐出口から吐出する羽根車と、前記ロータ軸の軸線方向における前記羽根車の背面側の外周縁部に配置され、前記羽根車の背面側のシール空間と前記吐出口との間の流体の流通を遮断する円環状のシール部と、前記ロータ軸を支持する軸受部材と、該軸受部材を前記ロータ軸回りに支持する支持部材とを備え、該支持部材の外周縁部と前記シール部の内周縁部とがそれぞれ前記シール空間に配置されており、前記支持部材の外周縁部と前記シール部の内周縁部とが前記軸線方向に直交する径方向に前記シール部の外径の15%以下の距離を隔てて配置される。
ロータ軸に沿った羽根車の背面側の外周縁部に円環状のシール部が配置されているため、破断部材によって吐出口近傍のシール部がロータ軸の軸線方向に変形する衝撃力を受ける。
そのため、羽根車の背面側に飛散する破断部材が支持部材またはシール部の少なくともいずれか一方に衝突する衝撃力の一部を吸収することができる。これにより、破断部材が飛散することによって遠心圧縮機の一部に隙間が生じ、その隙間から破断部材が外部に飛散する不具合を抑制することができる。
本構成によれば、シール部が圧延鋼材により形成されているため、破断部材が衝突することによってシール部が適宜に塑性変形し、衝突によるエネルギーを吸収することができる。
ロータ軸に沿った羽根車の背面側の外周縁部に円環状のシール部が配置されているため、破断部材によって吐出口近傍のシール部がロータ軸の軸線方向に変形する衝撃力を受ける。
本構成によれば、アルミニウム同士またはアルミニウム合金同士の圧接、あるいはアルミニウムとアルミニウム合金との圧接により、破断部材の吐出口近傍への衝突による衝撃力の一部を熱エネルギーに変換して吸収することができる。
本構成によれば、羽根車を形成するアルミニウムまたはアルミニウム合金とシール部にコーティングされるセラミック材料との圧接により、破断部材の吐出口近傍への衝突による衝撃力の一部を熱エネルギーに変換して吸収することができる。
そのため、羽根車の背面側に飛散する破断部材が支持部材またはシール部の少なくともいずれか一方に衝突する衝撃力の一部を吸収することができる。
そのため、羽根車の背面側に飛散する破断部材が羽根車側に配置される支持部材およびシール部のいずれか一方に衝突する衝撃力の一部を、支持部材とシール部の双方で吸収することができる。
このようにすることで、破断部材が支持部材に衝突する場合に、破断部材が支持部材に衝突する衝撃力をシール部に伝達し、衝撃力の一部を支持部材とシール部の双方で吸収することができる。
本発明の一態様に係る過給機によれば、羽根車の全部または一部が破断あるいは脱落してロータ軸の軸線方向に直交する径方向に飛散する場合に、破断部材が外部に飛散する不具合を抑制することができる。
以下、本発明の第1実施形態の過給機について図面を参照して説明する。
本実施形態の過給機100は、船舶に用いられる舶用ディーゼル機関(内燃機関)に供給する空気(気体)を大気圧以上に高めて、舶用ディーゼル機関の燃焼効率を高める装置である。
本実施形態の過給機100は、図1に示す遠心圧縮機1とタービン(図示略)とを備えている。遠心圧縮機1とタービンとは、それぞれロータ軸2に連結されている。
遠心圧縮機1は、ロータ軸2と、羽根車3と、ケーシング4と、ラビリンスパッキン5(シール部)と、軸受台7と、主スラスト軸受8と、反スラスト軸受10、支持部材11とを備える。
図1に示すように、羽根車3は、軸線Xに沿って延びるロータ軸2に取り付けられており、ロータ軸2が軸線X回りに回転するのに伴って、軸線X回りに回転する。羽根車3は、軸線X回りに回転することにより、取込口3aから流入する空気を圧縮して吐出口3bから吐出する。羽根車3は、アルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されている。
ラビリンスパッキン5は、板状の圧延鋼材を切削加工することにより形成される。
これにより、圧縮空気がロータ軸2を羽根車3の取込口3a方向に押す推力を低下させている。
支持部材11は、主スラスト軸受8をロータ軸2回りに支持する部材である。支持部材11は、複数の締結ボルト(図示略)によって軸受台7に連結されている。
外周縁部11aと内周縁部5bとの径方向の距離は、破断部材が、これらに接触せずに軸受台7に向けて通過しない程度の距離とするのが望ましい。
本実施形態の過給機100が備える遠心圧縮機1において、ロータ軸2の回転に伴う遠心力によりロータ軸2に取り付けられる羽根車3の全部または一部が破断あるいは脱落すると、ロータ軸2の軸線X方向に直交する径方向に破断部材が飛散する。
ロータ軸2に沿った羽根車3の背面3e側の外周縁部に円環状のラビリンスパッキン5が配置されているため、破断部材によって吐出口3b近傍のラビリンスパッキン5がロータ軸2の軸線X方向に変形する衝撃力を受ける。
そのため、羽根車3の背面3e側に飛散する破断部材が支持部材11またはラビリンスパッキン5の少なくともいずれか一方に衝突する衝撃力の一部を吸収することができる。
次に本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態は第1実施形態の変形例である。以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、説明を省略する。
第1実施形態は、支持部材11の外周縁部11aとラビリンスパッキン5の内周縁部5bとを、軸線X方向に直交する径方向に近接して配置するものであった。
それに対して図2に示す本実施形態の遠心圧縮機1’は、支持部材11’の外周縁部11’aとラビリンスパッキン5’の内周縁部5’bとを径方向において重なり合うように配置するものである。
また、本実施形態の支持部材11’は、外周縁部11’aを有する。
例えば、羽根車3側にラビリンスパッキン5’の内周縁部5’bを配置し、軸受台7側に支持部材11’の外周縁部11’aを配置するようにしてもよい。
次に本発明の第3実施形態について説明する。第3実施形態は第1実施形態および第2実施形態の変形例である。以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態および第2実施形態と同様であるものとし、説明を省略する。
それに対して本実施形態は、羽根車3とラビリンスパッキン5(ラビリンスパッキン5’)とを、互いに圧接性の高い材料により形成するものである。
本実施形態によれば、アルミニウム同士またはアルミニウム合金同士の圧接、あるいはアルミニウムとアルミニウム合金との圧接により、破断部材の吐出口3b近傍への衝突による衝撃力の一部を熱エネルギーに変換して吸収することができる。
例えば、ラビリンスパッキン5(ラビリンスパッキン5’)をFe−C系合金である鋳鉄を用いて鋳造し、羽根車3の背面3eに対向する面をセラミック材料によりコーティングしてもよい。
次に本発明の第4実施形態について説明する。第4実施形態は第1実施形態の変形例である。以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、説明を省略する。本実施形態の軸受台7は、流路7aが形成されていない点で第1実施形態の軸受台7と異なっている。
それに対して図3に示す本実施形態の過給機100’’が備える遠心圧縮機1’’は、ラビリンスパッキン5’’と支持部材11’’とを一体に形成するものである。
そのため、羽根車3の背面3e側に飛散する破断部材が支持部材11’’またはラビリンスパッキン5’’の少なくともいずれか一方に衝突する衝撃力の一部を吸収することができる。
以上の説明において、遠心圧縮機1が備える羽根車3が連結されるロータ軸2は、舶用ディーゼル機関から排出される排気ガスにより回転するタービンによって軸線X回りに回転するものであったが、他の態様であってもよい。例えば、ロータ軸2は、ロータ軸2に連結されたモータ等の他の動力源によって回転するものであってもよい。
2 ロータ軸
3 羽根車
4 ケーシング
5,5’,5’’ ラビリンスパッキン(シール部)
6 シール空間
7 軸受台
8 主スラスト軸受(軸受部材)
9 スラストカラー
10 反スラスト軸受(軸受部材)
11,11’,11’’ 支持部材
12 ディフューザ
100,100’,100’’ 過給機
X 軸線
Claims (3)
- ロータ軸に取り付けられるとともに取込口から流入する流体を圧縮して吐出口から吐出する羽根車と、
前記ロータ軸の軸線方向における前記羽根車の背面側の外周縁部に配置され、前記羽根車の背面側のシール空間と前記吐出口との間の流体の流通を遮断する円環状のシール部と、
前記ロータ軸を支持する軸受部材と、
該軸受部材を前記ロータ軸回りに支持する支持部材とを備え、
該支持部材の外周縁部と前記シール部の内周縁部とがそれぞれ前記シール空間に配置されており、
前記支持部材の外周縁部と前記シール部の内周縁部とが、前記軸線方向に直交する径方向において重なり合うように配置される遠心圧縮機。 - 前記支持部材の外周縁部が、前記シール部の内周縁部よりも前記軸線方向の前記羽根車側に配置される請求項1に記載の遠心圧縮機。
- 請求項1または請求項2に記載の遠心圧縮機と、
内燃機関から排出された排気ガスにより前記軸線回りに回転するとともに前記ロータ軸に連結されるタービンと、を備える過給機。
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