JP6403916B1 - 靴用中底及びその中底を用いた靴 - Google Patents
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Abstract
Description
そして、靴底に求められる基本機能は、安定した体重支持と快適な履き心地である。
具体的には、体重支持機能は、足先端を含む前側領域に荷重が集中しないように、土踏まず部分でユーザの体重を支持する機能であり、履き心地は、ユーザ歩行時の足接地動作に伴う沈み込みや足の挙動に対する追従性を確保する機能である。
そこで、靴内部の蒸れ対策として、通気性改善技術が提案されている。
特許文献1の靴は、中底を貫通状に刳り貫くと共に本底上部の一部を刳り貫いて凹部を形成し、この凹部から左右に延びて靴底側面に通じる通気溝を設け、凹部に通気性を備えた中物を収容している。これにより、ユーザ歩行時のポンプ作用によって凹部に蓄積された湿気が通気溝から外部に排出される。
特許文献2の換気機能を備えた靴は、拇趾球周辺部分に通気孔が形成された中敷と、通気孔に連通すると共に足先から土踏まず部分まで前後に延びる通気路を備えたクッション層と、土踏まず部分に上下に貫通した貫通孔を備えた中底と、貫通孔に連通する外部通気孔を備えた靴底(本底)とを有している。これにより、土踏まず部分の下方から導入された空気が拇趾球周辺部分に移動するため、上下方向の空気流動と前後方向の空気流動とを同時に形成し、靴内部に循環流を形成している。
しかし、特許文献1,2の技術では、靴底の基本機能を十分に確保できない虞がある。
特許文献1,2の靴は、本底と中底(及び中敷)とによって一体的に構成された専用の換気機構であることから、その機能上、本底と中底とを物理的に分離させることが難しい。
それ故、特許文献1,2の技術は、中底単体において、前側領域の剛性を低下させて追従性を高めつつ前側領域以外の領域、所謂土踏まず部分等の剛性を高くして体重支持機能を確保することが容易ではない。
即ち、現時点、靴内部の環境改善を図りつつ靴底の基本機能を確保する有効な技術の開発が望まれている。
この構成によれば、ユーザ歩行時の足離地動作に伴って柔軟材に空気を導入することができ、柔軟材の形状を早期に復元させることができる。
この構成によれば、換気機能を確保しつつ軽量化を図ることができる。
この構成によれば、両端部の弾発力を低くすると共に中間部分の弾発力を高くすることができ、ユーザの足裏に対する中底の追従性を一層高くすることができる。
この構成によれば、基本的に請求項1と同様の効果を奏することができる。
以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
本実施形態の靴1は、ユーザによる歩行時のポンプ作用によって靴内部の空気を外部に排出可能な換気機能を備えたハイヒール靴である。
ユーザ歩行時のポンプ作用は、ユーザの歩行動作のうち、足接地動作に伴って靴1内に形成された空気溜まり(柔軟材12)から空気を排出すると共に、足離地動作に伴って靴1内に形成された空気溜まりに空気を導入する作用である。
以下、靴1を履いたユーザに対して前側方向を前方とし、左側方向を左方とし、上側方向を上方として説明する。
本底4は、屈曲性に富み、反発弾性に優れ且つ圧縮永久歪が少なく、耐屈曲亀裂性の高い素材によって形成されている。このような素材は、例えば、天然ゴム、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム等である。
これらクッション材6及び中敷7は、中底5の上部に貼着されている。
図2に示すように、中底5は、本底4の平面視形状と同じ平面視形状に形成され、アッパ3の下端部分に連結されている。この中底5は、本底4と中敷7(及びクッション材6)との間において本底4に対して着脱可能に連結されている。それ故、本底4が損傷等した場合、中底5から本底4を分離し、新たな本底4を中底5に装着可能である。
図3〜図7に示すように、中底5は、本体部11と、柔軟材12と、上側被覆部13と、下側被覆部14と、シャンク(土踏まず芯とも言う)15等を備えている。
ボード層11tは、例えば、商品名テキソンと呼ばれるボール紙をプレス成形で固めた硬質ボードで形成されている。このボード層11tの厚さ寸法は、例えば、前側領域において1.5mmであり、土踏まず部分よりも後方において3.0mmである。
また、スポンジ層11uの厚さ寸法は、全体に亙り、例えば、1.0mmに設定されている。
図5に示すように、開口部11aは、左右縁部の内側で且つ拇趾球周辺部を含む前側領域において略台形状に刳り貫かれ、上下に貫通するように形成されている。
1対の孔11bは、シャンク15を本体部11に前後1対の留め金具16を介して取り付けるため、土踏まず及び踵に対応した位置に夫々形成されている。
柔軟材12には、上下に貫通するハニカム状の複数の通気口12aが全面に亙って一様に形成されている。具体的には、複数の通気口12aは、略正六角形に夫々形成され、隣り合う通気口12a同士の離間距離は、約4mmに設定されている。
それ故、図7に示すように、ユーザによる足接地動作によって柔軟材12に対して下向きの荷重が作用したとき、柔軟材12の上端部が開口部11a内に侵入するように距離d相当下降変形するため、ユーザが足裏の沈み込み感を認識することができる。
特に、柔軟材12の上端部を開口部11aの上端部よりも高くしたため、柔軟材12と開口部11aの上端部が同じ高さに設定されたときに比べて、ユーザが知覚する沈み込み感を強くすることができる。
上側被覆部13には、ハニカム状の複数の上側開口13aが全面に亙って一様に設けられている。具体的には、上側開口13aは、複数の通気口12aに重なり合うように通気口12aに対応して形成されている。
下側被覆部14には、ハニカム状の複数の下側開口14aが全面に亙って一様に設けられている。具体的には、下側開口14aは、複数の通気口12aに重なり合うように通気口12aに対応して形成されている。
本実施例では、本体部11に対して、開口が形成されていない柔軟材12、上側被覆部13及び下側被覆部14を装着した後、各々の開口12a,13a,14aを同時に成形している。
以上により、靴1内の空気流動を促進し、靴1内の換気を図っている。
ビード部15aは、前後方向中間部分に前後に延びるように設けられている。
これにより、前後両端部の弾発力を低くすると共に中間部分の弾発力を高くして、ユーザの足裏に対する追従性を高くしている。
これにより、シャンク15は、孔11bに挿通された留め金具16によって、ユーザの土踏まずから踵に亙る本体部11の裏面に固着されている。
スリット15cは、シャンク15の後端から所定距離前方に延びるように形成されている。スリット15cに係止されたリベット(図示略)によって中底5とヒール部材とが接続可能である。
この中底5によれば、中底5が、本底4の上部に配設されると共に前側領域において上下に貫通する開口部11aが形成された本体部11を有するため、中底5の土踏まず部分の強度を維持しつつ軽量化を図り、前側領域の屈曲性、所謂ユーザの足挙動に対する追従性を高くすることができる。また、中底5が、開口部11a内に配置され且つ上下に貫通した複数の通気口12aを有する柔軟材12と、本体部11の上面に固着されて開口部11aの上部を覆うと共に複数の通気口12aに対応した複数の上側開口13aが形成された上側被覆部13と、本体部11の下面に固着されて開口部11aの下部を覆う下側被覆部14とを有するため、ユーザ歩行時の柔軟材12の圧縮変形によりポンプ作用を発揮することができ、靴1内部に空気を流動させることができる。
柔軟材12の上端部が開口部11aの上端部よりも高くなるように形成されたため、ユーザの足接地動作に伴う足裏の沈み込み感を向上することができる。
1〕前記実施例においては、ハイヒールの例を説明したが、ハイヒールに限定されるものではなく、少なくとも換気機能が必要な靴であれば良く、運動靴や男性用靴であっても良い。
4 本底
5 中底
7 中敷
11 本体部
11a 開口部
12 柔軟材
12a 通気口
13 上側被覆部
13a 上側開口
14 下側被覆部
14a 下側開口
15 シャンク
15a ビード部
Claims (5)
- 本底と中敷の間に挟み込まれる靴用中底において、
前記中底が、
前記本底の上部に配設されると共に前側領域において上下方向に貫通する開口部が形成された本体部と、
前記開口部内に配置され且つ上下方向に貫通した複数の通気口を有する柔軟材と、
前記本体部の上面に固着されて前記開口部の上部を覆うと共に前記複数の通気口に対応した複数の上側開口が形成された上側被覆部と、
前記本体部の下面に固着されて前記開口部の下部を覆う下側被覆部とを備え、
前記柔軟材の上端部が前記開口部の上端部よりも高くなるように形成されたことを特徴とする靴用中底。 - 前記下側被覆部に前記複数の通気口に対応した複数の下側開口が形成されたことを特徴とする請求項1に記載の靴用中底。
- 前記複数の通気口はハニカム形状に夫々形成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の靴用中底。
- 前記上側被覆部の下面で且つ前記開口部の後側にシャンクを設け、
前記シャンクの前後方向中間部分に前後方向に延びるビード部を形成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の靴用中底。 - 本底と中敷の間に挟み込まれる靴用中底を用いた靴において、
前記中底が、
前記本底の上部に配設されると共に前側領域において上下方向に貫通する開口部が形成された本体部と、
前記開口部内に配置され且つ上下方向に貫通した複数の通気口を有する柔軟材と、
前記本体部の上面に固着されて前記開口部の上部を覆うと共に前記複数の通気口に対応した複数の上側開口が形成された上側被覆部と、
前記本体部の下面に固着されて前記開口部の下部を覆う下側被覆部とを備え、
前記柔軟材の上端部が前記開口部の上端部よりも高くなるように形成されたことを特徴とする靴用中底を用いた靴。
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