本発明の各実施形態を説明する前に、本発明の各実施形態に関わる技術について以下に簡単に説明する。
[物理チャネル]
EUTRAおよびAdvanced EUTRAで使用される主な物理チャネル(または物理シグナル)について説明を行なう。チャネルとは信号の送信に用いられる媒体を意味し、物理チャネルとは信号の送信に用いられる物理的な媒体を意味する。物理チャネルは、EUTRA、およびAdvanced EUTRAにおいて、今後追加、または、その構造やフォーマット形式が変更または追加される可能性もあるが、変更または追加された場合でも本発明の各実施形態の説明には影響しない。
EUTRAおよびAdvanced EUTRAでは、物理チャネルのスケジューリングについて無線フレームを用いて管理している。1無線フレームは10msであり、1無線フレームは10サブフレームで構成される。さらに、1サブフレームは2スロットで構成される(すなわち、1スロットは0.5msである)。また、物理チャネルが配置されるスケジューリングの最小単位としてリソースブロックを用いて管理している。リソースブロックとは、周波数軸を複数サブキャリア(例えば12サブキャリア)の集合で構成される一定の周波数領域と、一定の送信時間間隔(1スロット)で構成される領域で定義される。
同期シグナル(Synchronization Signals)は、3種類のプライマリ同期シグナルと、周波数領域で互い違いに配置される31種類の符号から構成されるセカンダリ同期シグナルとで構成され、プライマリ同期シグナルとセカンダリ同期シグナルの信号の組み合わせによって、基地局装置を識別する504通りのセル識別子(物理セルID(Physical Cell Identity; PCI))と、無線同期のためのフレームタイミングが示される。端末装置は、セルサーチによって受信した同期シグナルのセルIDを特定する。
物理報知情報チャネル(Physical Broadcast Channel; PBCH)は、セル内の端末装置で共通に用いられる制御パラメータ(報知情報やシステム情報)を通知する目的で送信される。物理報知情報チャネルで通知されない報知情報は、物理下りリンク制御チャネルで無線リソースが通知され、物理下りリンク共用チャネルによってレイヤ3メッセージ(システムインフォメーション)で送信される。報知情報として、セル個別の識別子を示すセルグローバル識別子(Cell Global Identifier; CGI)、ページングによる待ち受けエリアを管理するトラッキングエリア識別子(Tracking Area Identifier; TAI)、ランダムアクセス設定情報(送信タイミングタイマーなど)、共通無線リソース設定情報などが通知される。
下りリンク基準信号は、その用途によって複数のタイプに分類される。例えば、セル固有基準信号(Cell-specific reference signals; CRS)は、セル毎に所定の電力で送信されるパイロット信号であり、所定の規則に基づいて周波数領域および時間領域で周期的に繰り返される下りリンク基準信号である。端末装置は、セル固有基準信号を受信することでセル毎の受信品質を測定する。また、端末装置は、セル固有基準信号と同時に送信される物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調のための参照信号としても下りリンクセル固有基準信号を使用する。セル固有基準信号に使用される系列は、セル毎に識別可能な系列が用いられる。
また、下りリンク基準信号は下りリンクの伝搬路変動の推定にも用いられる。伝搬路変動の推定に用いられる下りリンク基準信号のことをチャネル状態情報基準信号(Channel State Information Reference Signals; CSI-RS)あるいはCSI基準信号と称する。また、端末装置毎に個別に設定される下りリンク基準信号は、UE specific Reference Signals(URS)またはDedicated RS(DRS)と称され、物理下りリンク制御チャネル、または物理下りリンク共用チャネルの復調に用いられる。
物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel; PDCCH)は、各サブフレームの先頭からいくつかのOFDMシンボルで送信され、端末装置に対して基地局装置のスケジューリングに従った無線リソース割り当て情報や、送信電力の増減の調整量を指示する目的で使用される。端末装置は、下りリンクデータや下りリンク制御データであるレイヤ3メッセージ(ページング、ハンドオーバーコマンドなど)を送受信する前に自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを監視(モニタ)し、自装置宛の物理下りリンク制御チャネルを受信することで、送信時には上りリンクグラント、受信時には下りリンクグラント(下りリンクアサインメント)と呼ばれる無線リソース割り当て情報を物理下りリンク制御チャネルから取得する必要がある。なお、物理下りリンク制御チャネルは、上述したODFMシンボルで送信される以外に、基地局装置から端末装置に対して個別(dedicated)に割り当てられるリソースブロックの領域で送信されるように構成することも可能である。
物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel; PUCCH)は、物理下りリンク共用チャネルで送信されたデータの受信確認応答(Acknowledgement/Negative Acknowledgement; ACK/NACK)や下りリンクの伝搬路情報(チャネル状態情報)の通知、上りリンクの無線リソース割り当て要求(無線リソース要求)であるスケジューリングリクエスト(Scheduling Request; SR)を行なうために使用される。チャネル状態情報(CSI)は、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Indicator)、PTI(Precoding Type Indicator)、RI(Rank Indicator)を含む。各Indicatorは、Indicationと表記される場合もあるが、その用途と意味は同じである。
物理下りリンク共用チャネル(Physical Downlink Shared Channel; PDSCH)は、下りリンクデータのほか、ページングや物理報知情報チャネルで通知されない報知情報(システムインフォメーション)をレイヤ3メッセージとして端末装置に通知するためにも使用される。物理下りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
物理上りリンク共用チャネル(Physical Uplink Shared Channel; PUSCH)は、主に上りリンクデータと上りリンク制御データを送信し、下りリンクの受信品質やACK/NACKなどの制御データを含めることも可能である。また、上りリンクデータの他、上りリンク制御情報をレイヤ3メッセージとして基地局装置に通知するためにも使用される。また、下りリンクの場合と同様に物理上りリンク共用チャネルの無線リソース割り当て情報は、物理下りリンク制御チャネルで示される。
上りリンク基準信号(Uplink Reference Signal)(上りリンクパイロット信号、上りリンクパイロットチャネルとも呼称する)は、基地局装置が、物理上りリンク制御チャネルPUCCHおよび/または物理上りリンク共用チャネルPUSCHを復調するために使用する復調基準信号(Demodulation Reference Signal; DMRS)と、基地局装置が、主に、上りリンクのチャネル状態を推定するために使用するサウンディング基準信号(Sounding Reference Signal; SRS)が含まれる。また、サウンディング基準信号には、周期的サウンディング基準信号(Periodic SRS)と非周期的サウンディング基準信号(Aperiodic SRS)とがある。
物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel; PRACH)は、プリアンブル系列を通知するために使用されるチャネルであり、ガードタイムを有する。プリアンブル系列は、64種類のシーケンスを用意して6ビットの情報を表現するように構成されている。物理ランダムアクセスチャネルは、端末装置の基地局装置へのアクセス手段として用いられる。端末装置は、物理上りリンク制御チャネル未設定時の無線リソース要求や、上りリンク送信タイミングを基地局装置の受信タイミングウィンドウに合わせるために必要な送信タイミング調整情報(タイミングアドバンス(Timing Advance; TA)とも呼ばれる)を基地局装置に要求するために物理ランダムアクセスチャネルを用いる。
具体的には、端末装置は、基地局装置より設定された物理ランダムアクセスチャネル用の無線リソースを用いてプリアンブル系列を送信する。送信タイミング調整情報を受信した端末装置は、報知情報によって共通的に設定される(またはレイヤ3メッセージで個別に設定される)送信タイミング調整情報の有効時間を計時する送信タイミングタイマーを設定し、送信タイミングタイマーの有効時間中(計時中)は送信タイミング調整状態、有効期間外(停止中)は送信タイミング非調整状態(送信タイミング未調整状態)として上りリンクの状態を管理する。レイヤ3メッセージは、端末装置と基地局装置のRRC(無線リソース制御)層でやり取りされる制御平面(Control−plane)のメッセージであり、RRCシグナリングまたはRRCメッセージと同義の意味で使用される。なお、それ以外の物理チャネルは、本発明の各実施形態に関わらないため詳細な説明は省略する。
[測定]
図14は、EUTRAにおける、端末装置2ならびに基地局装置1の無線リソース管理(radio resource management; RRM)測定設定管理方法について説明するためのシーケンスチャート図である。
図14の例において、基地局装置1は、自局が運用する周波数としてF1とF2という異なる2つの周波数を使用可能であるとし、端末装置2と基地局装置1は、周波数F1において無線接続が確立された状態(無線リソース制御接続状態(Radio Resource Control Connected:RRC_Connected))である。ここで、基地局装置1は、端末装置2に対して通信中のセル(在圏セル)並びにその他セル(周辺セル)の受信品質を測定させるために測定設定を含むメッセージ(以降、測定設定メッセージと称する)を送信する(ステップS141)。測定設定メッセージには、測定される周波数(周波数F1と周波数F2)毎に少なくとも一つの測定設定情報が含まれている。測定設定情報は、測定IDと、測定対象(measurement object)と、測定対象に対応する測定対象IDと、測定イベントを含んだ報告設定と、報告設定に対応する報告設定IDとで構成される。一つの測定対象IDに対し複数の報告設定IDがリンクされるように構成されていても良い。同様に、複数の測定対象IDに対して一つの報告設定IDがリンクされるように構成されていても良い。
また、測定設定メッセージには測定ギャップ設定(measGapConfig)及びs−Measureと呼ばれる閾値を含めることができる。
測定ギャップ設定とは、端末装置2が異周波数のセルあるいは異なる無線通信技術のシステムの周辺セルを測定するために、基地局装置1が、在圏セルで端末装置2宛の送信を行わない期間(ギャップ期間)を設定して端末装置2に通知することにより、端末装置2が在圏セルでの受信動作を中断して異周波数の隣接セルあるいは異なる無線通信技術のシステムの隣接セルを測定できるようにするものである。この測定ギャップ設定では、ギャップパターン識別子(gp0またはgp1)と、ギャップパターン識別子の値(ギャップオフセット)というパラメータが通知される。通知されたギャップパターン識別子に基づいて、測定ギャップ長(MGL)、測定ギャップ繰り返し周期(MGRP)、480ms期間中の最低測定時間(Tinter1)が決定され、通知されたギャップオフセットに基づいて、測定ギャップの開始タイミングが決定される。上記MGL、MGRP、Tinter1、ギャップオフセットをまとめて本願では測定ギャップ関連パラメータと呼称する。また、この測定ギャップ設定は端末装置2に対して1つ設定することができ、端末装置2はすべての異周波数および異なる無線通信技術のシステムに対する測定をこのギャップ期間を用いて行う。また、測定ギャップ設定や測定対象の異周波数の数や無線通信技術の種類、その他の設定に基づき、セルを検出および測定するための時間が規定されており、端末装置2は、この規定された時間内にセルの検出および測定をおこなう必要がある。例えば、周波数分割複信(FDD)システムで間欠受信(DRX)が設定されていない場合、Nfreq個の異周波数で測定を行う端末装置2は、Tidentify_inter=480×480÷Tinter1×Nfreq[ms]内に各周波数に存在するEUTRAのセルを検出できる必要がある。
s−Measureとは、在圏セルの受信電力が閾値(s−Measure)を下回る場合に隣接セル測定を行うように設定するためのパラメータであり、在圏セルの通信品質が良い場合にハンドオーバのための不要な隣接セル測定を防ぐことができる。このs−Measureは端末装置2に対して1つ設定することができ、0に設定された場合、または設定されない場合、端末装置2は、在圏セルの品質に関わらず常に設定された測定を行う。
次に測定設定メッセージについて具体的な例を挙げて説明する。ここでは、2つの測定対象(周波数F1と周波数F2)と3つの報告設定が通知され、前記測定対象と報告設定との組み合わせに対して3つの測定IDが設定される場合について図15を用いて説明する。
基地局装置1は、測定対象として、周波数F1と周波数F2に、それぞれ識別子0と1を測定対象IDとして割り当てて端末装置2に通知する。また、基地局装置1は、報告設定として、報告設定1と報告設定2と報告設定3に、それぞれ識別子0,1,2を報告設定IDとして割り当てて端末装置2に通知する。さらに基地局装置1は、前記測定対象の識別子と前記報告設定の識別子との組み合わせに対して紐付けされる(リンクされる)測定IDを端末装置2に通知する。また、基地局装置1は必要に応じて測定ギャップ設定やs−Measureなども端末装置2に通知する。
図15では、測定ID#0として、識別子0の測定対象(周波数F1)と識別子0の報告設定との組み合わせが指定されている。同様に、識別子0の測定対象(周波数F1)と識別子1の報告設定との組み合わせが測定ID#1に指定され、識別子1の測定対象(周波数F2)と識別子2の報告設定との組み合わせが測定ID#2に指定されている。
また、測定イベント情報とは、例えば、在圏セルのセル固有基準信号の受信品質が所定の閾値よりも下回った/上回ったとき、周辺セルのセル固有基準信号の受信品質が在圏セルよりも下回ったとき、周辺セルの受信品質が所定の閾値よりも上回ったとき、などの条件を示す測定イベントと、当該条件を判定するために用いるパラメータから構成される情報である。パラメータには、閾値、オフセット値、測定イベントの成立に必要な時間などの情報が設定される。非特許文献3では、例えば測定イベントA1として、サービングセルの受信品質が閾値よりも良くなった場合に報告することが定義されている。また、測定イベントA3として、隣接セルの受信品質が、サービングセルの受信品質にオフセット値を加えたものよりも良くなった場合に報告することが定義されている。また、測定イベントA4として、隣接セルの受信品質が、閾値よりも良くなった場合に報告することが定義されている。
端末装置2は、ステップS142において、基地局装置1から設定された測定設定情報を内部情報として保存する。そして、誤り無く測定設定情報を設定できた場合、端末装置2は、ステップS143において測定設定の完了を示すメッセージ(測定設定完了メッセージ)を基地局装置1へ送信する。端末装置2は前述のように測定IDと測定対象IDと報告設定IDとを一つにリンクされるよう対応付けて管理し、各IDに対応する測定情報に基づいて測定を開始する。これらの3つのIDが一つにリンクされている場合、有効とみなして関連する測定を開始し、これらの3つのIDが一つにリンクされていない場合(いずれかのIDが設定されていない場合)、無効とみなして関連する測定は開始されない。端末装置2は、異周波数や異なる無線通信技術のシステムの測定が設定された場合、測定ギャップ設定に基づき、ギャップ期間を利用して測定を行う。また、端末装置2は、s−Measureが通知されている場合は、在圏セルの受信電力が閾値(s−Measure)を下回った場合にのみ周辺セルの測定を行うようにしてもよい。
そして、端末装置2において、設定された測定イベントのいずれかがパラメータに従い条件を満たした場合、当該測定イベントがトリガ(trigger)されたとして、測定報告メッセージを基地局装置1に対して送信する(ステップS144)。測定報告メッセージには、少なくともトリガされた測定イベントの報告設定IDにリンクした測定IDと、必要であれば関連するセルの測定結果が設定されて報告される。基地局装置1は測定IDがどの測定イベントの報告設定IDにリンクしているかを把握しているため、端末装置2は測定報告メッセージで報告設定IDを通知する必要はない。
以上の事項を考慮しつつ、以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本発明の実施形態の説明において、本発明の実施形態に関連した公知の機能や構成についての具体的な説明が、本発明の実施形態の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態について以下に説明する。
図1は、本発明の実施形態による基地局装置1の一例を示すブロック図である。本基地局装置1は、受信部101、復調部102、復号部103、制御部104、符号部105、変調部106、送信部107、ネットワーク信号送受信部108、上位レイヤ109で構成される。
上位レイヤ109は、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データを符号部105へ出力する。符号部105は、入力された各データを符号化し、変調部106へ出力する。変調部106は、符号部105から入力された信号の変調を行なう。また、変調部106において変調された信号は、下りリンク基準信号が多重され、周波数領域の信号としてマッピングされる。送信部107は、変調部106から入力された信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に送信する。下りリンク制御データが配置される下りリンクデータチャネルは、典型的にはレイヤ3メッセージ(RRC(Radio Resource Control)メッセージ)を構成する。
また、受信部101は、端末装置2(図2参照)からの受信信号をベースバンドのデジタル信号に変換する。受信部101で変換されたデジタル信号は、復調部102へ入力されて復調される。復調部102で復調された信号は、続いて復号部103へ入力されて復号される。復号部103は、受信信号を上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ109へ出力する。
これら各ブロックの制御に必要な基地局装置制御情報は、上位レイヤ109より制御部104へ入力され、制御部104からは、送信に関連する基地局装置制御情報が送信制御情報として、符号部105、変調部106、送信部107の各ブロックに、受信に関連する基地局装置制御情報が受信制御情報として、受信部101、復調部102、復号部103の各ブロックに適切に入力される。
一方、ネットワーク信号送受信部108は、複数の基地局装置1間(または制御局装置(MME)、ゲートウェイ装置(Gateway)、MCE)と基地局装置1との間の制御メッセージの送信または受信を行なう。制御メッセージはネットワーク回線を経由して送受信される。制御メッセージは、S1インターフェースやX2インターフェースやM1インターフェースやM2インターフェースと呼ばれる論理インターフェース上でやり取りされる。図1において、その他の基地局装置1の構成要素は本実施形態に関係ないため省略する。
図2は、本発明の実施形態に係る端末装置2の一例を示すブロック図である。本端末装置2は、受信部201、復調部202、復号部203、測定部204、制御部205、ランダムアクセス処理部206、符号部207、変調部208、送信部209、上位レイヤ210で構成される。
受信に先立ち、上位レイヤ210は、端末装置制御情報を制御部205に出力する。制御部205は、受信に関する端末装置制御情報を受信制御情報として、受信部201、復調部202、復号部203、測定部204へ適切に出力する。受信制御情報は、受信スケジュール情報として、復調情報、復号化情報、受信周波数帯域の情報、各チャネルに関する受信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
受信部201は、受信制御情報で通知された周波数帯域で、図示しない一つ以上の受信機を通じて、後述する基地局装置1から信号を受信し、受信した信号をベースバンドのデジタル信号に変換して、復調部202へ出力する。また、受信部201は受信した基準信号を測定部204へ出力する。復調部202は、受信信号を復調して復号部203へ出力する。復号部203は、受信制御情報に基づき復調された信号を正しく復号し、下りリンクトラフィックデータと下りリンク制御データに適切に分離し、それぞれ上位レイヤ210へ出力する。上位レイヤ210は復号部203で復号された信号に測定設定メッセージが含まれる場合、前記測定設定メッセージで指定される測定・報告設定を測定部204へ通知する。測定部204は、受信した基準信号のRSRPやRSRQなどを測定し、測定結果を上位レイヤ210へ出力する。
また、送信に先立ち、上位レイヤ210は、制御部205へ端末装置制御情報を出力する。制御部205は、送信に関する端末装置制御情報を送信制御情報として、ランダムアクセス処理部206、符号部207、変調部208、送信部209へ適切に出力する。送信制御情報は、送信信号の上りリンクスケジューリング情報として、符号化情報、変調情報、送信周波数帯域の情報、各チャネルに関する送信タイミング、多重方法、無線リソース配置情報などの情報が含まれている。
上位レイヤ210は、符号部207へ上りリンクトラフィックデータと上りリンク制御データを上りリンクチャネルに応じて適切に出力する。符号部207は送信制御情報に従い、各データを適切に符号化し、変調部208に出力する。変調部208は、符号部207で符号化された信号の変調を行なう。また、変調部208は、変調された信号に対して下りリンクリファレンスシグナルを多重し、周波数バンドにマッピングする。
送信部209は、変調部208から出力された周波数バンドの信号を時間領域の信号へ変換し、変換した信号を既定の周波数の搬送波にのせて電力増幅を行なうと共に図示しない1つ以上の送信機から送信する。
図2において、その他の端末装置2の構成要素は本実施形態に関係ないため省略してある。
次に、基地局装置と端末装置との間の無線インターフェースプロトコルの構造を示す。図3はユーザ平面(user plane; U-plane)の無線プロトコル構造(radio protocol architecture)を示すブロック図である。また、図4は制御平面(control plane; C-plane)の無線プロトコル構造を示すブロック図である。ユーザ平面は、ユーザデータ送受信のためのプロトコルスタック(protocol stack)であり、制御平面は、制御信号送受信のためのプロトコルスタックである。
図3及び図4において、第1の階層(レイヤ1)である物理層(Physical layer; PHY)では、異なる物理階層間、すなわち、送信側と受信側の物理層間で前述の物理チャネルを用いて通信がおこなわれる。物理層は、上位にある媒体アクセス制御(Medium Access Control; MAC)層にトランスポートチャネル(Transport channel)を介して連結されており、このトランスポートチャネルを介して物理層はMAC層に情報転送サービス(information transfer service)を行なう。
第2の階層(レイヤ2)のMAC層では、論理チャネル(logical channel)とトランスポートチャネルのマッピング、HARQ(Hybrid Automatic Repeat reQuest)によるエラー訂正、論理チャネル間の優先度に基づいた転送処理などがおこなわれる。MAC層は、論理チャネルを介して上位階層である無線リンク制御(Radio Link Control; RLC)層と連結される。
第2の階層のRLC層は、データ転送の信頼性をサポートする。RLC層にはデータの送信方法に応じて透過モード(Transparent Mode; TM)、非応答モード(Unacknowledged Mode; UM)及び応答モード(Acknowledged Mode; AM)の3種類の動作モードが存在する。AMでは、ARQによるエラー訂正やプロトコルエラー検出などがおこなわれる。
第2の階層のPDCP(Packet Data Convergence Protocol)層は、IPパケットヘッダサイズを減らすヘッダ圧縮(header compression)やデータの暗号化、暗号の復号化などを行なう。
第3の階層(レイヤ3)の無線リソース制御(Radio Resource Control; RRC)層は、制御平面でのみ定義される。RRC層は、NAS(non-access stratum)やAS(access stratum)関連情報の報知や、RRC接続の管理(Establishment/maintenance/release)、無線ベアラ(Radio Bearer; RB)の設定(configuration)、再設定(re-configuration)及び解放(release)、モビリティ(ハンドオーバ)、測定の管理とレポート、QoS管理などを行なう。
RRC層の上位に位置するNAS層は、セッション管理やモビリティ管理などを行なう。
ここで、基地局装置1のMAC層およびRRC層は、上位レイヤ109の一部として存在する。また、端末装置2のMAC層は、ランダムアクセス処理部206および上位レイヤ209の一部として存在し、端末装置2のRRC層は、測定部204および上位レイヤ209の一部として存在する。
続いて、本実施形態における測定設定(Measuement Configuration)について説明を行なう。
本実施形態における測定設定は、前述の従来のRRM測定設定と同様に、測定IDと、測定対象(measurement object)と、測定対象に対応する測定対象IDと、測定イベントなどの報告設定と、報告設定に対応する報告設定IDとで構成される。さらに本実施形態では、測定対象の設定がスモールセル測定のためのギャップ設定を含むことができるように定義する。
ここで、以下に説明する本発明の各実施形態において、異周波数セルの測定を、「通常の測定」と「スモールセル測定」とに分類しているが、「通常の測定」とは主に在圏セルの受信電力が低下した場合の接続の維持、あるいはより優先度の高い周波数レイヤなどへの移動を目的とした従来の測定であり、「スモールセル測定」とは、主にオフロード目的で異周波数のセルを測定するものである。すなわち、接続の維持を目的としたスモールセルの測定は本願の「通常の測定」の対象であり、スモールセルの測定が必ずしも「スモールセル測定」に分類されるものではないことに留意されたい。
測定設定として、2つの測定対象を定義する例を図5に示す。測定設定には、測定対象のほかに報告設定が含まれ、前記測定対象と報告設定との組み合わせに対して測定IDが設定されている。
図5では、測定ID#0として、識別子0の測定対象(周波数F2)と識別子0の報告設定1との組み合わせが指定される。同様に、測定ID#1として、識別子1の測定対象(周波数F3、スモールセル測定のためのギャップ設定)と、識別子1の報告設定2との組み合わせが指定される。また、ここでは、報告設定1として前述のイベントA1が測定イベントとして指定され、報告設定2として前述のイベントA3が測定イベントとして指定されるものとする。
続いて、本実施形態における測定部204について、図6を用いて説明を行なう。
測定部204はRRC層基準信号測定部61とPHY層基準信号測定部62とを含む。PHY層基準信号測定部62は、受信部201から入力される基準信号のRSRPやRSRQ、チャネル状態などを測定し、RRC層基準信号測定部61へ通知する。RRC層基準信号測定部61は、上位レイヤ210から通知される測定設定によって設定された測定対象において、PHY層基準信号測定部62から通知された個々の測定結果を必要であれば平均化し、報告設定に合致するか否かの判断をおこない、測定結果を上位レイヤ210へ通知する。ここで、測定部204は、上位レイヤ210から通知される測定設定の測定対象にスモールセル測定のためのギャップ設定が含まれる場合、この測定対象がスモールセル測定のための設定であると判断する。
ここで、端末装置2は、前述のように基地局装置1から通知される測定設定メッセージの測定対象にスモールセル測定のためのギャップ設定が含まれる場合に、当該測定対象をスモールセル測定のための設定であると判断してもよいし、スモールセル測定を示す1ビットの情報が測定対象に含まれる場合に、当該測定対象をスモールセル測定のための設定であると判断してもよい。あるいは、測定対象に2ビット以上の情報を含め、当該測定対象が、スモールセル測定のための設定、あるいは通常の測定のための設定、あるいはスモールセル測定と通常の測定両方を行うための設定であることを表すようにしてもよい。
また、スモールセル測定のためのギャップ設定とは、スモールセル測定用の測定ギャップ関連パラメータを設定するために必要な情報であり、例えば、スモールセル測定用の測定ギャップ関連パラメータ自体(MGL、MGRP、Tinter1、およびギャップオフセットの全てあるいは一部)であってもよいし、予め通知あるいは規定された測定ギャップ関連パラメータを当該測定対象に適用するか否かを示すビット情報であってもよいし、後述する測定ギャップ係数nであってもよい。
続いて、本実施形態の通信システムにおける端末装置2の測定手順の一例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
図7において、まず、端末装置2は、基地局装置1から測定設定メッセージを受け取り、前述のスモールセル測定のためのギャップ設定が測定対象に含まれるか否かに基づき、当該測定対象がスモールセル測定用であるか否かを判定する(ステップS71)。測定対象がスモールセル測定用である場合(ステップS71でYes)、測定ギャップ関連パラメータをスモールセル測定用に変更し(ステップS72)、ステップS74に遷移する。測定対象が通常の測定用である場合(ステップS71でNo)、基地局装置1から通知されたギャップオフセットに基づいて設定した測定ギャップ関連パラメータをそのまま用いるように設定し(ステップS73)、ステップS74に遷移する。ステップS74で端末装置2は、自装置に設定された測定ギャップが必要な測定対象すべてに対して上記設定が行われたか否かを判定し、未設定の測定対象がある場合はステップS71へ遷移して次の測定対象の測定ギャップ関連パラメータの設定を行う。ステップS74で自装置に設定された測定ギャップが必要な測定対象すべてに対して上記設定が行われた場合、ステップS75へ遷移する。ステップS75で端末装置2は、自装置が在圏するセルの受信電力を測定し、閾値(s−Measure)との比較を行う。在圏セルの受信電力が閾値以上である場合(ステップS75でYes)、スモールセル測定用の測定対象の測定を実施する(ステップS76)。在圏セルの受信電力が閾値を下回る場合(ステップS75でNo)、通常の測定用の測定対象の測定を実施する(ステップS77)。
上述のように、測定対象の設定にスモールセルの測定用か否かの情報が含まれ、端末装置2が、在圏セルの品質(受信電力)に基づいてスモールセル測定と通常の測定とを切り替えることにより、それぞれの測定に適した測定ギャップの設定を適用することが可能となり、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
さらに、在圏セルの受信電力が閾値を下回る場合だけでなく、端末装置2の移動状態の推定値(MSE)が閾値を超える場合(例えば推定値が低速、中速、高速で表されるときの、中速以上の場合や高速となる場合など)にスモールセル測定用の測定対象の測定を行わないようにしてもよい。すなわち、端末装置2がスモールセルに接続してもすぐにセル外へ出てしまうような場合(高速移動時)にスモールセルの測定自体を行わないことにより、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。前記移動状態の推定値の閾値は、測定対象ごとに個別に設定されてもよいし、すべてのスモールセル測定用の測定対象で共通としてもよい。測定対象ごとに閾値が設定される場合、例えば周波数ごとにスモールセルのセルサイズが異なる場合などにおいて、セルサイズの大きな周波数では閾値を「高速」として、セルサイズの小さな周波数では閾値を「中速」とすることで、各周波数で運用されるセルサイズに応じて効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
また、従来の測定では測定対象が異周波数である場合に、測定する周波数の数を考慮してセル同定のための時間が指定されている。しかしながら、前述のようにスモールセル測定と通常の測定とが排他的に行われるような場合に、スモールセル測定のための測定対象を通常の測定のセル同定のための時間の計算に含めてしまうと、通常の測定において従来の要求条件を満たさなくなってしまう。そのため、通常の測定を実施する際は、Tidentify_interの計算などにスモールセル測定の周波数を含めない(すなわちNfreqにスモールセル測定の周波数を含めない)ことが好ましい。また逆に、スモールセル測定を実施する際は、Tidentify_interの計算などに通常の測定の周波数を含めない(すなわちNfreqに通常の測定の周波数を含めない)ことが好ましい。ここで、スモールセル測定の周波数の測定が、通常の測定に対しても設定されている場合は、当該周波数を両方のNfreqに含めることが好ましい。
次に、本実施形態におけるスモールセル測定のためのギャップ設定として、測定ギャップ係数nが通知される場合について説明する。
この測定ギャップ係数nは測定ギャップ関連パラメータの一部を変更するために用いられる。例えば、図8に示すように、測定ギャップ繰り返し周期(MGRP)にnを乗じて、測定ギャップの周期が通常の測定のための周期より長くなるように設定する。さらに、Tinter1に1/nを乗ずることで、セル同定のための時間(Tidentify_inter)が長くなるように設定してもよい。このように測定ギャップ係数nを含む測定対象が通知された端末装置2は、当該測定対象をスモールセル測定用の測定対象であるとみなし、通常の測定のために設定されたMGRPやTidentify_interを変更することで、オフロード目的の異周波数セル探索の省電力化が可能となる。
また別の例として、図9に示すように、MGLとMGRPとで定義されるギャップ設定を一定期間(Tgap)有効化し、続くTgap×(n−1)の期間ギャップ設定を無効化するようにしてもよい。このように測定ギャップ係数nを含む測定対象が通知された端末装置2は、当該測定対象をスモールセル測定用の測定対象であるとみなし、通常の測定のために通知された測定ギャップ設定(gp0やgp1)に基づいて決定される測定ギャップ関連パラメータを用いたスモールセル測定を有効化する期間と無効化する期間とを測定ギャップ係数nを用いて設定することで、オフロード目的の異周波数セル探索の省電力化が可能となる。
また、前記測定ギャップ係数nを端末装置2の移動状態の推定値に応じて変えるようにしてもよい。変える方法は、移動状態の推定値によるスケーリング(高速になる程nが小さくなるように重みづけを行う)であってもよいし、移動状態の推定値毎(例えば高速、中速、低速毎)にn(nHigh、nMid、nLow)を通知するようにしてもよい。このとき、nが0の場合に当該測定対象のスモールセル測定を行わないようにしてもよい。例えばnHighとnMidの値を0とすることで、低速移動の端末装置2に対してのみスモールセル測定を行わせることができ、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
ここでは具体例として測定ギャップ係数nの導入について説明したが、これに限られるものではなく、スモールセル測定に用いる測定ギャップを、通常の測定に用いる測定ギャップと異なるように設定できればよい。この際、スモールセル測定用に設定されるギャップ期間(第2のギャップ期間)が、通常の測定用に設定されるギャップ期間(第1のギャップ期間)の一部となることが好ましい。なぜならば、端末装置2が在圏セルの受信電力に基づいて通常の測定とスモールセルの測定とを切り替える場合、基地局装置1は、この端末装置2での切り替えのタイミングがわからない。そのため、スモールセル測定用に設定される第2のギャップ期間を、通常の測定用に設定される第1のギャップ期間の一部となるように設定して、基地局装置1が、通常の測定用に設定される第1のギャップ期間において端末装置2宛の信号送信を停止すれば、端末装置2での切り替えのタイミングに関わらず在圏セルでの通信を行うことができる。
次に、基地局装置1が端末装置2宛の信号送信を停止するためのギャップ期間を設定する動作の一例について図10を用いて説明する。前述のように、端末装置2が在圏セルの受信電力に基づいて通常の測定とスモールセルの測定とを切り替えるような場合、基地局装置1は、この端末装置2での切り替えのタイミングがわからない。そのため、基地局装置1は端末装置2に対して通知した測定対象のうち、測定が有効な状態(測定IDと測定対象IDと報告設定IDとが一つにリンクされている状態)である測定対象に異周波数あるいは異なる無線通信技術のシステムが含まれるか否かを判定する(ステップS1001)。測定対象に異周波数あるいは異なる無線通信技術のシステムが含まれない場合(ステップS1001でNo)、測定ギャップは設けない。測定対象に異周波数あるいは異なる無線通信技術のシステムが含まれる場合(ステップS1001でYes)、基地局装置1は前記測定が有効な状態である測定対象がスモールセル測定用の設定のみであるか否かを判定する(ステップS1002)。測定対象がスモールセル測定用の設定のみである場合(ステップS1002でYes)、測定ギャップをスモールセル測定用に設定する(ステップS1003)。測定対象がスモールセル測定用の設定以外を含む場合(ステップS1002でNo)、測定ギャップを通常の測定用に設定する(ステップS1004)。測定ギャップを設定した基地局装置1は、設定した測定ギャップに基づき、端末装置2との通信のスケジューリングを行う。以上の動作により、端末装置2が在圏セルの受信電力に基づいて通常の測定とスモールセルの測定とを切り替えるような場合であっても、効率的に在圏セルでの通信を行うことができる。
なお、以上の説明では、在圏セルの受信電力がs−Measureを下回る場合にスモールセル測定用の測定対象を測定しない例を示したが、s−Measureの値に関係なく、あるいはs−Measureが設定されない場合であってもスモールセル測定用の測定対象を測定するようにしてもよい。この場合、基地局装置1および端末装置2は、通常の測定のための測定ギャップとスモールセル測定のための測定ギャップを独立して管理する必要がある。しかし、前述のようにスモールセル測定用に設定されるギャップ期間を、通常の測定用に設定されるギャップ期間の一部となるように設定して、基地局装置1が、通常の測定用に設定されるギャップ期間において端末装置2宛の信号送信を停止すれば、端末装置2での切り替えのタイミングに関わらず在圏セルでの通信を行うことができる。
[第2の実施形態]
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では測定対象にスモールセル測定のためのギャップ設定を含める例を示したが、本実施形態では、従来のギャップ設定を用いて、測定対象に異周波数のスモールセル同定のための時間(スモールセル同定のためのTidentify_inter_smallcell)を設定するパラメータを導入する例を示す。
本実施形態の説明で用いる通信システム(基地局装置1および端末装置2)は、第1の実施形態における、図1、および図2とそれぞれ同様であるので詳細な説明は繰り返さない。
続いて、本実施形態における測定設定について、図11を用いて説明を行なう。
本実施形態における測定設定は、前述の従来のRRM測定設定と同様に、測定IDと、測定対象(measurement object)と、測定対象に対応する測定対象IDと、測定イベントなどの報告設定と、報告設定に対応する報告設定IDとで構成される。さらに本実施形態では、測定対象の設定がスモールセル同定時間設定のためのパラメータを含むことができるように定義する。
測定設定として、2つの測定対象を定義する例を図11に示す。測定設定には、測定対象のほかに報告設定が含まれ、前記測定対象と報告設定との組み合わせに対して測定IDが設定されている。
図11では、測定ID#0として、識別子0の測定対象(周波数F2)と識別子0の報告設定1との組み合わせが指定される。同様に、測定ID#1として、識別子1の測定対象(周波数F3、スモールセル同定時間設定)と、識別子1の報告設定2との組み合わせが指定される。また、ここでは、報告設定1として前述のイベントA1が測定イベントとして指定され、報告設定2として前述のイベントA3が測定イベントとして指定されるものとする。
続いて、本実施形態における測定部204について、図12を用いて説明を行なう。
測定部204はRRC層基準信号測定部1201とPHY層基準信号測定部1202とを含む。PHY層基準信号測定部1202は、受信部201から入力される基準信号のRSRPやRSRQ、チャネル状態などを測定し、RRC層基準信号測定部1201へ通知する。RRC層基準信号測定部1201は、上位レイヤ210から通知される測定設定によって設定された測定対象において、PHY層基準信号測定部1202から通知された個々の測定結果を必要であれば平均化し、報告設定に合致するか否かの判断をおこない、測定結果を上位レイヤ210へ通知する。ここで、測定部204は、上位レイヤ210から通知される測定設定の測定対象にスモールセル同定時間設定のためのパラメータが含まれる場合、この測定対象がスモールセル測定のための設定であると判断する。
ここで、端末装置2は、第1の実施形態と同様に基地局装置1から通知される測定設定メッセージの測定対象にスモールセル同定時間設定のためのパラメータが含まれる場合に、当該測定対象をスモールセル測定のための設定であると判断してもよいし、スモールセル測定を示す1ビットの情報が測定対象に含まれる場合に、当該測定対象をスモールセル測定のための設定であると判断してもよい。あるいは、測定対象に2ビット以上の情報を含め、当該測定対象が、スモールセル測定のための設定、あるいは通常の測定のための設定、あるいはスモールセル測定と通常の測定両方を行うための設定であることを表すようにしてもよい。
また、スモールセル同定時間設定のためのパラメータとは、スモールセルを同定するために設定される時間を算出するためのパラメータであり、例えば、スモールセルを同定するための時間指定そのものであってもよいし、スモールセルを同定するために予め通知あるいは規定された時間を当該測定対象に適用するか否かを示すビット情報であってもよいし、スモールセルを同定するための時間が既定された単位時間を整数倍(m倍)した時間である場合に、係数mを通知するようにしてもよい。また、上記のスモールセルを同定するための時間を1つの周波数を測定するための時間として、測定するスモールセルの周波数の数(Nfreq)倍となるように設定してもよい。
続いて、本実施形態の通信システムにおける端末装置2の測定手順の一例について、図13のフローチャートを用いて説明する。
図13において、まず、端末装置2は、基地局装置1から測定設定メッセージを受け取り、前述のスモールセル同定時間設定のためのパラメータが測定対象に含まれるか否かに基づき、当該測定対象がスモールセル測定用であるか否かを判定する(ステップS1301)。測定対象がスモールセル測定用である場合(ステップS1301でYes)、異周波数セル同定時間をスモールセル同定時間に設定し(ステップS1302)、ステップS1304に遷移する。測定対象が通常の測定用である場合(ステップS1301でNo)、異周波数セル同定時間を通常の測定用の同定時間に設定し(ステップS1303)、ステップS1304に遷移する。ステップS1304で端末装置2は、自装置に設定された測定ギャップが必要な測定対象すべてに対して上記設定が行われたか否かを判定し、未設定の測定対象がある場合はステップS1301へ遷移して次の測定対象の異周波数セル同定時間の設定を行う。ステップS1304で自装置に設定された測定ギャップが必要な測定対象すべてに対して上記設定が行われた場合、ステップS1305へ遷移する。ステップS1305で端末装置2は、自装置が在圏するセルの受信電力を測定し、閾値(s−Measure)との比較を行う。在圏セルの受信電力が閾値以上である場合(ステップS1305でYes)、スモールセル測定用の測定対象の測定を実施する(ステップS1306)。在圏セルの受信電力が閾値を下回る場合(ステップS1305でNo)、通常の測定用の測定対象の測定を実施する(ステップS1307)。
ここで、異周波数セル同定時間として、スモールセル同定時間を適用する場合の端末装置2の動作について説明する。例えば、通常の測定用の同定時間をTidentify_interとして、スモールセル同定時間をTidentify_inter_smallcellとする。ここで、Tidentify_inter_smallcellがTidentify_interの10倍である場合、端末装置2は、スモールセルの同定のための異周波数測定の頻度を通常の測定の1/10に減らすことができる。すなわち、第1の実施形態のようにスモールセル測定のためのギャップ設定を明示することなく、端末装置2に従来のギャップ設定が適用される場合であっても、端末装置2は自律的に異周波数のスモールセル測定の頻度と通常の異周波数測定の頻度とをわけて実施することができる。
上述のように、測定対象の設定にスモールセル同定時間設定のためのパラメータが含まれ、端末装置2が、在圏セルの品質(受信電力)に基づいてスモールセル測定と通常の測定とを切り替えることにより、それぞれの測定に適する異周波数セル同定時間を適用することが可能となり、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
さらに、在圏セルの受信電力が閾値を下回る場合だけでなく、端末装置2の移動状態の推定値(MSE)が閾値を超える場合(例えば推定値が低速、中速、高速で表されるときの、中速以上の場合や高速となる場合など)にスモールセル測定用の測定対象の測定を行わないようにしてもよい。すなわち、端末装置2がスモールセルに接続してもすぐにセル外へ出てしまうような場合(高速移動時)にスモールセルの測定自体を行わないことにより、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。前記移動状態の推定値の閾値は、測定対象ごとに個別に設定されてもよいし、すべてのスモールセル測定用の測定対象で共通としてもよい。測定対象ごとに閾値が設定される場合、例えば周波数ごとにスモールセルのセルサイズが異なる場合などにおいて、セルサイズの大きな周波数では閾値を「高速」として、セルサイズの小さな周波数では閾値を「中速」とすることで、各周波数で運用されるセルサイズに応じて効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
また、スモールセル同定時間設定のためのパラメータは端末装置2の移動状態の推定値に応じて変えるようにしてもよい。例えば、前述の係数mを用いる場合、移動状態の推定値によるスケーリングであってもよいし、移動状態の推定値毎(例えば高速、中速、低速毎)に係数m(mHigh、mMid、mLow)を通知するようにしてもよい。このとき、mが0の場合に当該測定対象のスモールセル測定を行わないようにしてもよい。例えばmHighとmMidの値を0とすることで、低速移動の端末装置2に対してのみスモールセル測定を行わせることができ、効率的な異周波数セルの検索が可能となる。
また、通常の測定を実施する際は、Tidentify_interの計算などにスモールセル測定の周波数を含めない(すなわちNfreqにスモールセル測定の周波数を含めない)ことが好ましい。また逆に、スモールセル測定を実施する際は、Tidentify_inter_smallcellの計算などに通常の測定の周波数を含めない(すなわちNfreqに通常の測定の周波数を含めない)ことが好ましい。ここで、スモールセル測定の周波数の測定が、通常の測定に対しても設定されている場合は、当該周波数を両方のNfreqに含めることが好ましい。
なお、以上の説明では、在圏セルの受信電力がs−Measureを下回る場合にスモールセル測定用の測定対象を測定しない例を示したが、s−Measureの値に関係なく、あるいはs−Measureが設定されない場合であってもスモールセル測定用の測定対象を測定するようにしてもよい。この場合も、基地局装置1は、通常の測定用に設定されるギャップ期間において端末装置2宛の信号送信を停止しているので、スモールセル測定か通常の測定かに関わらず在圏セルでの通信を行うことができる。
上述の第1および第2の実施形態において、スモールセル測定のためのギャップ設定と、同定時間設定とを導入する例を示したが、同時に両方を適用することも可能である。すなわち、基地局装置1は端末装置2に対して、スモールセル測定のためのギャップ設定とスモールセル同定時間設定のためのパラメータの何れかあるいは両方を通知し、端末装置2はスモールセル測定のためのギャップ設定が適用される測定対象の測定の際に、異周波数のスモールセル同定のための時間(スモールセル同定のためのTidentify_inter_smallcell)を適用するようにしてもよい。基地局装置1から端末装置2へ通知されるのがスモールセル測定のためのギャップ設定とスモールセル同定時間設定のためのパラメータの何れかである場合、通知されなかった設定については、スモールセル測定用の既定の設定を使用するようにしてもよいし、通知された設定から一意に導出される設定を使用するようにしてもよい。
また、上述の各実施形態において、スモールセル同定のためのパラメータTidentify_interに関する説明を行ったが、これに限定されるものではなく、例えばセル同定後のスモールセルのRSRPやRSRQ測定のためのセル測定時間(例えばTmeasurement_period_inter_FDDなど)や異なる無線通信技術を用いたスモールセルの同定時間(例えばTidentify,UTRA_FDDなど)を設定する際にもスモールセル測定か通常の測定であるかによって異なる値となるようにしてもよい。
また、上述の各実施形態では、スモールセル測定のためのギャップ設定あるいはセル同定時間設定のためのパラメータを測定対象に含める例を挙げたが、測定対象ではなく測定イベントに含めるようにしてもよい。この場合、当該測定イベントに紐づけられた1つまたは複数の測定対象にスモールセル測定のためのギャップ設定あるいはセル同定時間設定のためのパラメータが適用されることになる。
また、上述の各実施形態では、通常の測定とスモールセルの測定とで、スモールセル測定のためのギャップ設定および/またはスモールセル同定時間設定を切り替える説明を行ったが、スモールセル同定後の受信電力(RSRP)あるいは受信品質(RSRQ)の測定時にスモールセル測定のための設定を通常の測定のための設定に変更するようにしてもよい。例えば、端末装置2は、スモールセル測定のためのギャップ設定および/またはスモールセル同定時間設定に基づいて、低い頻度でスモールセルの探索を行う。セルが検出された場合、通常の測定のためのギャップ設定および通常の測定のためのセル測定時間設定に基づいて、検出されたセルの受信電力や受信品質を測定して基地局装置1へ報告する。このようにスモールセル同定後にスモールセル測定のための設定を通常の測定のための設定に切り替えることにより、スモール検出後の受信電力や受信品質の測定および報告を早期に行うことができる。この際、測定対象の周波数で1つのセルを同定した時点で前記設定を切り替えてもよいし、予め設定された個数のセルを同定した時点で切り替えてもよい。また、同定したセルの受信電力や受信品質が予め設定された閾値を下回った場合に、通常の測定のための設定としていた設定をスモールセル測定のための設定に戻すようにしてもよい。
また、本発明に係る実施形態で示される各パラメータの名称は、説明の便宜上呼称しているものであって、実際に適用されるパラメータ名称と本発明のパラメータ名称とが異なっていても、本発明が主張する発明の趣旨に影響するものではない。
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
また、前述した実施形態の端末装置2は、可搬型あるいは可動型の移動局装置のみならず、屋内外に設置される据え置き型、または非可動型の電子機器、たとえば、AV機器、キッチン機器、掃除・洗濯機器、空調機器、オフィス機器、自動販売機、その他生活機器や測定機器、車載装置などにも適用できる。端末装置は、ユーザ端末、移動局装置、通信端末、移動機、端末、UE(User Equipment)、MS(Mobile Station)とも称される。基地局装置は、無線基地局装置、基地局、無線基地局、固定局、NB(Node−B)、eNB(evolved Node−B)BTS(Base Transceiver Station)、BS(Base Station)とも称される。
また、説明の便宜上、実施形態の基地局装置1および端末装置2を機能的なブロック図を用いて説明したが、基地局装置1および端末装置2の各部の機能またはこれらの機能の一部を実現するための方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェア、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、またはこれら2つを組み合わせたものによって、直接的に具体化され得る。もしソフトウェアによって実装されるのであれば、その機能は、コンピュータ読み取り可能な媒体上の一つ以上の命令またはコードとして保持され、または伝達され得る。コンピュータ読み取り可能な媒体は、コンピュータプログラムをある場所から別の場所への持ち運びを助ける媒体を含むコミュニケーションメディアやコンピュータ記録メディアの両方を含む。
そして、一つ以上の命令またはコードをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録された一つ以上の命令またはコードをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより基地局装置1や端末装置2の制御を行なっても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
本発明の各実施形態に記載の動作をプログラムで実現してもよい。本発明の各実施形態に関わる基地局装置1および端末装置2で動作するプログラムは、本発明の各実施形態に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。また、プログラムを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の各実施形態の機能が実現される場合もある。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、半導体媒体(例えば、RAM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるディスクユニット等の記憶装置のことをいう。さらに、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
また、上記各実施形態に用いた基地局装置1および端末装置2の各機能ブロック、または諸特徴は、本明細書で述べられた機能を実行するように設計された汎用用途プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向けあるいは一般用途向けの集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイシグナル(FPGA)、またはその他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェア部品、またはこれらを組み合わせたものによって、実装または実行され得る。汎用用途プロセッサは、マイクロプロセッサであっても良いが、代わりにプロセッサは従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、またはステートマシンであっても良い。汎用用途プロセッサ、または前述した各回路は、デジタル回路で構成されていてもよいし、アナログ回路で構成されていてもよい。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスを組み合わせたものとして実装されても良い。例えば、DSPとマイクロプロセッサ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと接続された一つ以上のマイクロプロセッサ、またはその他のそのような構成を組み合わせたものである。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
以上、本発明の実施形態について特定の具体例に基づいて詳述してきたが、本発明の趣旨ならびに特許請求の範囲は、これら特定の具体例に限定されないことは明らかである。すなわち、本明細書の記載は例示説明を目的としたものであり、本発明に対して何ら制限を加えるものではない。