JP6402974B2 - 難燃性樹脂組成物、難燃性マスターバッチ、成形体およびそれらの製造方法 - Google Patents
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Description
しかしながら、ポリカーボネート樹脂自体が極めて可燃性が高いため、これらの難燃剤では難燃性が不十分であり、優れた難燃性を得ようとするとポリカーボネート樹脂に対する含有割合を高くせざるを得なかった。
(1)ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分として含有する難燃性樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜25質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
(2)ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を溶融混練する難燃性樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜25質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
(3)予めポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を溶融混練して難燃性マスターバッチを製造する工程(1)、前記工程(1)で得られた難燃性マスターバッチに、さらに、熱可塑性樹脂(E)を溶融混練する工程(2)を有する難燃性樹脂組成物の製造方法であって、
前記リン原子含有オリゴマー(B)が、
下記構造式(1)
(4)ポリカーボネート樹脂(A)とリン原子含有オリゴマー(B)とを必須成分として含有する難燃性マスターバッチであって、
前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)を5〜30質量部の範囲となる含有割合で含有する難燃性マスターバッチに関する。
また、本発明により、非ハロゲン系難燃剤を用い、ポリカーボネート樹脂が本来有する機械特性だけでなく、溶融混練時の押出安定性や、成形加工時の糸切れの抑制ないしドローリングの抑制など成形加工性を維持しつつ、かつ優れた難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供することができる。
さらに、本発明により、非ハロゲン系難燃剤を用い、ポリカーボネート樹脂が本来有する機械特性だけでなく、溶融混練時の押出安定性や、成形加工時の糸切れの抑制ないしドローリングの抑制など成形加工性を維持しつつ、かつ優れた難燃性および透明性を有するポリカーボネート樹脂組成物およびその成形品を提供することができる。
本発明に用いられるポリカーボネート樹脂としては、特に制限はなく種々のものが挙げられる。通常、二価フェノールとカーボネート前駆体との反応により製造される芳香族ポリカーボネートを用いることができる。すなわち、2価フェノールとカーボネート前駆体とを溶液法あるいは溶融法、すなわち、二価フェノールとホスゲンの反応、2価フェノールとジフェニルカーボネートなどとのエステル交換法により反応させて製造されたものを使用することができる。
なお、本発明における(A)成分の粘度平均分子量は、塩化メチレン100cm3に芳香族ポリカーボネート樹脂を20℃で溶解した溶液をウベローデ粘度計を用いて測定した比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。
(ηsp)/C=[η]+0.45×[η]2C
[η]=1.23×10−5M0.83
(但し、[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度である)
次に、本発明で用いるリン原子含有オリゴマー(B)は、前記した通り、下記構造式(1)
GPC:測定条件は以下の通り。
測定装置 :東ソー株式会社製「HLC−8220 GPC」、
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G2000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G3000HXL」
+東ソー株式会社製「TSK−GEL G4000HXL」
データ処理:東ソー株式会社製「GPC−8020モデルIIバージョン4.10」
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
東ソー株式会社製「A−500」
東ソー株式会社製「A−1000」
東ソー株式会社製「A−2500」
東ソー株式会社製「A−5000」
東ソー株式会社製「F−1」
東ソー株式会社製「F−2」
東ソー株式会社製「F−4」
東ソー株式会社製「F−10」
東ソー株式会社製「F−20」
東ソー株式会社製「F−40」
東ソー株式会社製「F−80」
東ソー株式会社製「F−128」
磁場強度:500MHz
パルス幅:3.25μsec
積算回数:8000回
溶媒:DMSO−d6
試料濃度:30wt%
測定モード:linear
積算回数:50回
試料組成:sample/DHBA/NaTFA/THF=9.4mg/104.7mg/6.3mg/1ml
本発明の難燃性樹脂組成物は、難燃性や熱安定性を向上させるため、必要に応じて種々の難燃助剤(例えば、他の難燃剤、酸化防止剤、安定剤、ドリッピング防止剤など)を含んでいてもよい。
なお、本発明の難燃性樹脂組成物は、さらに難燃性を付与するため、他の難燃剤、例えば、リン含有化合物、窒素含有難燃剤、硫黄含有難燃剤、ケイ素含有難燃剤、アルコール系難燃剤、無機系難燃剤(金属酸化物、金属水酸化物など)(以下、他の難燃剤ということがある)などを本発明の効果を損ねない範囲で含んでいてもよい。
リン含有化合物リン含有化合物としては、有機リン化合物(モノマー型、ダイマー型及びトリマー型のオリゴマー型有機リン化合物、ポリマー型有機リン化合物など)、無機リン化合物などが挙げられる。
前記有機リン化合物のうち、オリゴマー型有機リン化合物には、リン酸エステル、リン酸エステルアミド、ホスホニトリル化合物、有機ホスホン酸化合物(エステル、金属塩など)、有機ホスフィン酸化合物(エステル、金属塩など)、ポリマー型有機リン化合物、ホスフィンオキシドなどが含まれる。
リン酸エステルとしては、脂肪族リン酸エステル[リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリイソブチル、リン酸ペンタエリスリトール(例えば、GreatLakes Chemical社のNH−1197、特開2001−106889号公報に記載のビシクロリン酸エステルなど)などのリン酸トリC1−10アルキルエステル;前記リン酸トリエステルに対応するリン酸ジC1−10アルキルエステル及びリン酸モノC1−10アルキルエステルなど]、芳香族リン酸エステル[リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)、リン酸ジフェニルエチルクレジルなどのリン酸トリC6−20アリールエステルなど]、脂肪族−芳香族リン酸エステル[リン酸メチルジフェニル、リン酸フェニルジエチル、スピロ環状芳香族リン酸エステル(ジフェニルペンタエリスリトールジホスフェート、ジクレジルペンタエリスリトールジホスフェート、ジキシリルペンタエリスリトールジホスフェート等)など]などが挙げられる。
リン酸エステルアミドとしては、リン酸エステル及びリン酸アミドの結合様式を含み、特開2002−226547号公報、特開2001−354684号公報、特開2001−139823号公報、特開2000−327834号公報、特開2000−154277号公報、特開平10−175985号公報、特開平8−59888号公報、特開昭63−235363号公報、特開昭54−19919号公報に記載のリン酸エステルアミドなどが使用できる。
ホスホニトリル化合物としては、直鎖状及び環状のフェノキシホスファゼンなどが使用できる。
有機ホスホン酸(亜リン酸)化合物としては、例えば、芳香族亜リン酸エステル(アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどである亜リン酸トリC6−20アリールエステルなど)、脂肪族亜リン酸エステル(アルキルが前記アルキルなどである亜リン酸トリC1−10アルキルエステル;前記亜リン酸トリアルキルエステルに対応する亜リン酸ジ又はモノC1−10アルキルエステルなど)、有機亜リン酸エステル[例えば、アルキルが前記例示のアルキルであるC1−6アルキルホスホン酸ジC1−6アルキル(ペンタエリスリトールビス(メチルホスホネート)などのスピロ環状アルキルホスホン酸エステルなど)、アルキルが前記例示のアルキルであり、アリールがフェニル、クレジル、キシリルなどであるC1−6アルキルホスホン酸ジC6−10アリール及びC1−6アルキルホスホン酸C1−6アルキルC6−10アリールなどのアルキルホスホン酸ジエステル;前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC6−10アリール−ホスホン酸ジエステル(ペンタエリスリトールジフェニルホスホネートなどのスピロ環状C6−10アリールホスホン酸エステルなど);C6−10アリールホスホン酸モノエステル(例えば、10−ヒドロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなど);ホスホノカルボン酸エステル(メトキシカルボニルメチルホスホン酸ジメチルなどの前記アルキルホスホン酸ジエステルに対応するC1−4アルコキシカルボニルオキシC1−4アルキルホスホン酸ジエステル)などのホスホノカルボン酸トリエステル]などの各種ホスホン酸エステルが含まれる。また、アルキル又はアリール基で置換されていてもよい亜リン酸、亜リン酸モノエステル、又はホスホノカルボン酸の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)なども含まれる。
有機ホスフィン酸化合物には、アルキル基(C1−4アルキル基など)又はアリール基(C6−10アリール基など)が置換(一置換又は二置換)していてもよいホスフィン酸エステル(ホスフィン酸メチルなどのホスフィン酸C1−6アルキル、ホスフィン酸フェニルなどのホスフィン酸C6−10アリール、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド、10−C1−30アルキル又はC6−20アリール置換−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシドなどの環状ホスフィン酸エステルなど)などが含まれる。また、アルキル基又はアリール基が置換していてもよいホスフィン酸(例えば、ジメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチルエチルホスフィン酸など)の金属塩(Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩など)、ホスフィニコカルボン酸エステル(例えば、3−メチルホスフィニコプロピオン酸エステル、3−フェニルホスフィニコプロピオン酸エステルなど)、及びその単独重合体や共重合体なども含まれる。
ポリマー型有機リン化合物としては、ポリマー型リン酸エステル(B)以外のモノマー型有機リン化合物の縮合物、例えば、ポリホスフィニコカルボン酸エステル、ポリホスホン酸アミドも含まれる。
ホスフィンオキシドとしては、トリフェニルホスフィンオキシド、トリクレジルホスフィンオキシドなどが挙げられる。
前記無機リン化合物には、例えば、赤リン、(ポリ)リン酸塩などが含まれる。
赤リンは、難燃効果が高く、少量であっても樹脂に難燃性を付与できる。また、少量で効果が得られるため、樹脂の特性(例えば、機械的特性や電気的特性)を損なうことなく難燃化できる。赤リンとしては、通常、安定化処理を施した赤リン(安定化赤リン)が好ましく用いられる。特に、赤リンの粉砕を行わず、赤リン表面に水や酸素との反応性が高い破砕面を形成させずに微粒子化する方法で得られた赤リン、さらには、赤リンの表面が、樹脂(例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂)、金属、金属化合物(例えば、金属水酸化物、金属酸化物等)等により単独で又は2種以上組み合わせて被覆された赤リンなどが使用できる。
(ポリ)リン酸塩としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ポリリン酸等の非縮合又は縮合リン酸の無機塩(アンモニウム、Ca、Mg、Zn、Ba、Al塩)などが挙げられる。
窒素含有難燃剤窒素含有難燃剤としては、トリアジン類とシアヌール酸又はその誘導体との塩、例えば、メラミンシアヌレートなどのシアヌール酸のメラミン塩;メラミン塩に対応するメレム塩、メラム塩、メロン塩、グアナミン塩(例えば、グアナミンシアヌレート、アセトグアナミンシアヌレート、ベンゾグアナミンシアヌレートなど)などが含まれる。これらの塩は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
硫黄含有難燃剤硫黄含有難燃剤としては、有機スルホン酸(アルカンスルホン酸、パーフルオロスルホン酸、アリールスルホン酸、スルホン化ポリスチレンなど)、スルファミン酸、有機スルファミン酸、有機スルホン酸アミドなどの塩(アンモニウム塩、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩など)などが挙げられる。
ケイ素含有難燃剤には、(ポリ)オルガノシロキサンが含まれる。(ポリ)オルガノシロキサンとしては、ジアルキルシロキサン(例えば、ジメチルシロキサンなど)、アルキルアリールシロキサン(フェニルメチルシロキサンなど)、ジアリールシロキサン、モノオルガノシロキサンなどの単独重合体(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサンなど)、又は共重合体などが含まれる。また、(ポリ)オルガノシロキサンとしては、分岐オルガノシロキサン[東芝シリコーン株式会社の商品名「XC99−B5664」、信越化学工業株式会社の商品名「X−40−9243」、「X−40−9244」、「X−40−9805」、特開平10−139964号公報記載の化合物など]、分子末端や主鎖に、エポキシ基、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エーテル基などの置換基を有する変性(ポリ)オルガノシロキサン(例えば、変性シリコーンなど)なども使用できる。
アルコール系難燃剤としては、多価アルコール(ペンタエリスリトールなど)、オリゴマーの多価アルコール(ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなど)、エステル化された多価アルコール、置換されたアルコール、セルロース類(セルロース、ヘミセルロース、リグノセルロース、ペクトセルロース、アジポセルロースなど)、糖類(単糖類、多糖類など)などが挙げられる。
無機系難燃剤のうち、金属酸化物としては、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化銅、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化ニッケル、酸化鉄、酸化マンガン、三酸化アンチモン、四酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが挙げられる。金属水酸化物としては、例えば、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化スズ、水酸化ジルコニウムが挙げられる。金属硫化物としては、例えば、硫化亜鉛、硫化モリブデン、硫化タングステンなどが挙げられる。また、無機系難燃剤には、膨張性黒鉛なども含まれる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、長期間安定に耐熱性を維持するために酸化防止剤又は安定剤を本発明の効果を損ねない範囲で含んでいてもよい。酸化防止剤又は安定剤には、例えば、フェノール系(ヒンダードフェノール類など)、アミン系(ヒンダードアミン類など)、リン系、イオウ系、ヒドロキノン系、キノリン系酸化防止剤(又は安定剤)、無機系安定剤、活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物(反応性安定剤)などが含まれる。
フェノール系酸化防止剤には、ヒンダードフェノール類(ヒンダードフェノール系酸化防止剤)、例えば、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC2−10アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのジ又はトリオキシC2−4アルキレンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、グリセリントリス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC3−8アルキレントリオール−ビス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート];例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのC4−8アルキレンテトラオールテトラキス[3−(3,5−ジ−分岐C3−6アルキル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などが好ましい。
アミン系酸化防止剤には、ヒンダードアミン類、例えば、トリ又はテトラC1−3アルキルピペリジン又はその誘導体(4−位にメトキシ、ベンゾイルオキシ、フェノキシなどが置換していてもよい2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど)、ビス(トリ、テトラ又はペンタC1−3アルキルピペリジン)C2−20アルキレンジカルボン酸エステル[例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)オギザレート、オギザレートに対応するマロネート、アジペート、セバケート、テレフタレートなど;ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート]、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)エタン、フェニルナフチルアミン、N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−シクロヘキシル−1,4−フェニレンジアミンなどが含まれる。
リン系(有機リン系)安定剤又は酸化防止剤には、例えば、トリイソデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジトリデシルホスファイト、トリス(分岐C3−6アルキルフェニル)ホスファイト[例えば、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−アミルフェニル)ホスファイトなど]、(分岐C3−6アルキルフェニル)フェニルホスファイト[例えば、ビス(2−t−ブチルフェニル)フェニルホスファイト、2−t−ブチルフェニルジフェニルホスファイトなど]、トリス(2−シクロヘキシルフェニル)ホスファイト、ビス(C1−9アルキルアリール)ペンタエリスリトールジホスファイト[例えば、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなど]、トリフェニルホスフェート系安定剤(例えば、4−フェノキシ−9−α−(4−ヒドロキシフェニル)−p−クメニルオキシ−3,5,8,10−テトラオキサ−4,9−ジホスファピロ[5.5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェートなど)、ジホスフォナイト系安定剤(例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトなど)などが含まれる。リン系安定剤は、通常、分岐C3−6アルキルフェニル基(特に、t−ブチルフェニル基)を有している。本発明の難燃性樹脂組成物は、リン系安定剤又は酸化防止剤を併用することが好ましく、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、リン系酸化防止剤(C2−4)を0.01〜10質量部を配合することで飛躍的に耐光性を高めることができる。これは、リン原子含有オリゴマー(B)が、フェノール性水酸基近傍に嵩高いHCAが反応をした構造をもつことで、自動酸化で生成するパーオキサイドラジカルに水素を供与した際、フェノール性水酸基自体が立体障害により活性の低いフェノキシラジカルになるためと考えられる。
ヒドロキノン系酸化防止剤には、例えば、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノンなどが含まれ、キノリン系酸化防止剤には、例えば、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが含まれ、イオウ系酸化防止剤には、例えば、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネートなどが含まれる。
無機系安定剤(無機金属又は鉱物系安定剤)には、ハイドロタルサイト、ゼオライト及びアルカリ土類金属化合物などが含まれる。
前記ハイドロタルサイトとしては、特開昭60−1241号公報及び特開平9−59475号公報などに記載されているハイドロタルサイト類、例えば、下記式[M2+ 1-XM3+ X(OH)2]X+[AN− X/n・mH2O]X−(式中、M2+はMg2+、Mn2+、Fe2+、Co2+などの二価金属イオンを示し、M3+はAl3+、Fe3+、Cr3+などの三価金属イオンを示す。An−はCO3 2−、OH−、HPO4 2−、SO4 2−などのn価(特に1価又は2価)のアニオンを示す。xは、0<x<0.5であり、mは、0≦m<1である)で表されるハイドロタルサイト化合物などが使用できる。なお、ハイドロタルサイトは、「DHT−4A」、「DHT−4A−2」、「アルカマイザー」などとして協和化学工業株式会社から入手可能である。
前記ゼオライトとしては、特に制限されないが、例えば、特開平7−62142号公報に記載されているゼオライト[最小単位セルがアルカリ及び/又はアルカリ土類金属の結晶性アルミノケイ酸塩であるゼオライト(A型、X型、Y型、L型及びZSM型ゼオライト、モルデン沸石型ゼオライト;チャバザイト、モルデン沸石、ホージャサイトなどの天然ゼオライトなど)など]などが使用できる。なお、A型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(A−3、A−4、A−5)」、「ゼオスターシリーズ(KA100P、NA−100P、CA−100P)」などとして、また、X型ゼオライトは、「ゼオラムシリーズ(F−9)」、「ゼオスターシリーズ(NX−100P)」などとして、Y型ゼオライトは、「HSZシリーズ(320NAA)」などとして東ソー株式会社、日本化学工業株式会社から入手可能である。
前記アルカリ土類金属化合物としては、例えば、酸化物(酸化マグネシウムなど)、水酸化物(水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなど)、炭酸塩[炭酸マグネシウム、(軟質/コロイド/重質)炭酸カルシウムなど]、有機カルボン酸塩(酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウムなど)などが使用できる。
反応性安定剤には、活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物が含まれる。活性水素原子に対して反応性の官能基を有する化合物としては、環状エーテル基、オキセタン基、酸無水物基、イソシアネート基、オキサゾリン基(環)、オキサジン基(環)、カルボジイミド基等から選択された少なくとも一種の官能基を有する化合物が例示できる。
環状エーテル基を有する化合物には、エポキシ基やオキセタン基を有する化合物などが含まれる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、ビニルシクロヘキセンジオキシドなどの脂環式化合物、バーサティック酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル化合物、グリシジルエーテル化合物(ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテルなど)、グリシジルアミン化合物、エポキシ基含有ビニル共重合体、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化ジエン系モノマー−スチレン共重合体、トリグリシジルイソシアヌレート、エポキシ変性(ポリ)オルガノシロキサンなどが挙げられる。
オキセタン基を有する化合物としては、例えば、イソフタル酸ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエステルやテレフタル酸ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエステルなどのオキセタニルエステル化合物、オキセタニルエーテル化合物{例えば、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルや3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどのアルキルオキセタニル化合物、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタンなどのアリールオキセタニル化合物、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼンなどのアラルキルオキセタニルエーテル化合物、ビスフェノール−Aジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテルなどのビスフェノール型オキセタン樹脂、モノ乃至ポリ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル化フェノールノボラックやモノ乃至ポリ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル化クレゾールノボラックなどのノボラック型オキセタン樹脂など}、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチルオキセタンなどのオキセタン変性(ポリ)オルガノシロキサン、及び前記オキセタニル単位を有する誘導体{例えば、[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル誘導体}に対応するアルキルオキセタニルメチル誘導体{例えば、[1−メチル(3−オキセタニル)]メチル誘導体}などが挙げられる。
酸無水物基を有する化合物としては、例えば、無水マレイン酸基を有するオレフィン系樹脂(例えば、エチレン−無水マレイン酸共重合体、無水マレイン酸変性ポリプロピレン等)などが挙げられる。
イソシアネート基を有する化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ジフェニルメタンイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、これらのイソシアネートの変性体(例えば、イソホロンジイソシアネートの三量体など)などが挙げられる。
オキサゾリン基を有する化合物としては、例えば、2,2’−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)や2,2’−(1,4−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)などのビスオキサゾリン化合物や、オキサゾリン基を有するビニル系樹脂(例えば、ビニルオキサゾリン変性スチレン系樹脂等)などが挙げられる。
オキサジン基を有する化合物としては、例えば、2,2’−ビス(5,6−ジヒドロ−4H−1,3−オキサジン)などのビスオキサジン化合物などが挙げられる。
カルボジイミド基を有する化合物としては、例えば、ポリ(フェニルカルボジイミド)、ポリ(ナフチルカルボジイミド)などのポリアリールカルボジイミド、ポリ(2−メチルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,6−ジエチルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,6−ジイソプロピルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,4,6−トリイソプロピルジフェニルカルボジイミド)、ポリ(2,4,6−トリt−ブチルジフェニルカルボジイミド)などのポリアルキルアリールカルボジイミド、ポリ[4,4’−メチレンビス(2,6−ジエチルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)カルボジイミド]、ポリ[4,4’−メチレンビス(2−エチル−6−メチルシクロヘキシルフェニル)カルボジイミド]などのポリ[アルキレンビス(アルキル又はシクロアルキルアリール)カルボジイミド]などが挙げられる。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損ねない範囲でフッ素系樹脂などのドリッピング防止剤を添加してもよい。ドリッピング防止剤により、燃焼時の火種及び融液の滴下(ドリップ)を抑制できる。フッ素系樹脂には、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロアルキルビニルエーテルなどのフッ素含有モノマーの単独又は共重合体;前記フッ素含有モノマーと、エチレン、プロピレン、アクリレートなどの共重合性モノマーとの共重合体が含まれる。このようなフッ素系樹脂(フッ素含有樹脂)としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライドなどの単独重合体;テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体などの共重合体が例示される。これらのフッ素樹脂は、一種で又は二種以上組み合わせて使用できる。
さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、目的に応じて他の成分として添加剤(D1)や充填剤(D2)を含んでいてもよい。他の添加剤(D1)としては、紫外線吸収剤、耐熱安定剤、耐候安定剤など安定剤、滑剤、離型剤、着色剤、可塑剤、核剤、衝撃改良剤、摺動剤などが挙げられる。さらに、本発明の難燃性樹脂組成物は、機械的強度、剛性、耐熱性及び電気的性質などをさらに向上させるため、充填剤(D2)により改質されていてもよい。充填剤(D2)には、繊維状充填剤、非繊維状充填剤(板状充填剤、粉粒状充填剤など)が含まれる。これら添加剤(D1)や充填剤(D2)を用いる場合、難燃性樹脂組成物中の添加剤(D1)または充填剤(D2)の割合は、本発明の効果を損ねない範囲であれば特に制限されないが、用いる場合は、例えば、本発明の難燃性樹脂組成物中に1〜60質量%の範囲が好ましく、さらに1〜50質量%の範囲がより好ましく、さらに1〜45質量%の範囲が最も好ましい。
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維、金属繊維、高融点有機質繊維(例えば、脂肪族又は芳香族ポリアミド、芳香族ポリエステル、フッ素樹脂、ポリアクリロニトリルなどのアクリル樹脂など)などが例示できる。好ましい繊維状充填剤としては、ガラス繊維、カーボン繊維が挙げられる。
非繊維状充填剤のうち、板状充填剤には、例えば、ガラスフレーク、マイカ、グラファイト、各種金属箔などが例示できる。粉粒状充填剤には、カーボンブラック、炭化ケイ素、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ミルドファイバー(例えば、ミルドガラスファイバーなど)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、ケイ藻土、ウォラストナイトなどのケイ酸塩;酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナなどの金属酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどの金属の炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの金属の硫酸塩、金属粉末などが含まれる。好ましい非繊維状充填剤としては、粉粒状又は板状充填剤、特に、ガラスビーズ、ミルドファイバー、カオリン、タルク、マイカ、及びガラスフレークが挙げられる。
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、本発明の効果を損ねない範囲で、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、ポリエステル樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂に代表されるポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂に代表されるポリアリーレンエーテル樹脂を1〜100質量部をさらに配合することが好ましく、更に難燃性と耐熱性を高めたものとすることができる観点からポリアリーレンエーテル樹脂が好ましい樹脂として挙げられる。
本発明に用いることができるポリフェニレンエーテル樹脂としては、下記一般式(p−1)
また、本発明の難燃性樹脂組成物は、それ自体で燃焼時の液滴の落下(ドリップ)しにくい組成物であるが、本発明の効果を損ねない範囲で、さらにシリコーン化合物を添加すると、燃焼時の液滴の落下(ドリップ)抑制、燃焼時の延燃抑制、耐衝撃性の向上効果を更にいっそう高めることができるため好ましい。本発明に使用することができるシリコーン化合物とは、シリコーン樹脂および/またはシリコーンオイルをいうものとする。
本発明の難燃性樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)とリン原子含有オリゴマー(B)と、さらに必要に応じて、本発明の効果を損ねない範囲で、難燃助剤(C)、添加剤(D1)、充填剤(D2)、高分子化合物(D3)とを、例えば、タンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を使用して予め予備混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダー等の混合機を用い、樹脂設定温度を融点以上にして溶融混練することができる。 また各成分を予め予備混合せずに、又は一部の成分のみ予め混合してフィダーを用いて押出機に供給して溶融混練して製造してもよい。更に(C)、(D1)、(D2)、(D3)成分を添加する場合、これらの成分が溶融混練により破壊しやすいなど脆性を有する部材であるときは、(A)乃至(B)成分を上流部分に一括投入し、中流以降で(C)、(D1)、(D2)、(D3)成分を添加し樹脂成分と溶融混練する方法も、得られる樹脂組成物の機械的強度の点から好ましい。溶融混練後の樹脂組成物は、後述する成形加工に供されるが、一旦、保存や流通のためにペレットや粉末の形態とすることもできる。その場合の形態は、本発明の効果を損ねなければ、ペレットや粉末など公知の形態でよく、特に限定されることはないものの取扱い性の観点からペレットであることが好ましい。ペレットは、常法に従って製造することができ、例えば前記溶融混練に使用した装置からストランド状に押出した後、水冷、カッティングし、ペレットとすることが好ましい。
本発明の難燃性樹脂組成物は、上述の通りポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を含む難燃性樹脂組成物を直接溶融混練して製造することもできるが、ポリカーボネート樹脂(A)および高濃度でリン原子含有オリゴマー(B)を含有する難燃性マスターバッチを溶融混練にて製造し、得られた難燃性マスターバッチに、さらにポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂(E)を希釈配合し、溶融混練して得ることもできる。以下、詳述する。
上記のようにして得られた前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜25質量部の範囲で含有する本発明の難燃性樹脂組成物は、成形機内で溶融混練して押出成形、射出成形、カレンダー成形、中空成形、真空成形、圧空成形等の公知の各種成形加工法にて、難燃性樹脂成形体を製造することができる。
温度計、冷却管、分留管、窒素ガス導入管、撹拌器を取り付けたフラスコに、2−ヒドロキシベンズアルデヒド1220g(10.0モル)と9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(以下、「HCA」と略記する。)1512g(7.0モル)、シュウ酸22.3g(0.19モル)を仕込み、120℃まで昇温し1時間反応させた。次いで、HCA1728g(8.0モル)を添加し、180℃まで昇温して、3時間反応させた。次いで、水を加熱減圧下に除去し、下記構造式
表1および表2に示した組成比となるように、原料をヘンシェルミキサーで予備混合後、目開き25μmの焼結フィルターを装着した30mmφの二軸ベント式押出機(設定温度280℃)内で溶融混練し、その後、ストランド状物を得た後、カッティングしてペレット化しマスターバッチを製造した。その際の樹脂圧力上昇値を計測した。その結果を表1に示す。また、上記二軸押出機を用いたマスターバッチの製造に際して、1時間連続運転した時の押出安定性を下記基準にて評価した。
○:混練吐出物の状態は安定しており問題なく押出できた。
△:混練吐出物の粘度低下および脈動現象および発泡が僅かに生じたが、ストランドを引くことができ、サンプリング可能であった。
×:混練吐出物の粘度低下および脈動現象および発泡が顕著であり、ストランドを引くことができず、サンプリング不可能であった。
サンプリングが可能であったポリカーボネート樹脂組成物ペレット(マスターバッチ)(B1−1)〜(B4−1)について、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン(質量比 1/1)の混合溶媒を用い、濃度1.00×10−2kg/Lとなるように、110℃で溶解させた後、30℃まで冷却し、全自動溶液粘度計(センテック社製「2CH型DJ504」)を用いて固有粘度を測定した。測定は、濃度1.00×10−2kg/Lの試料溶液及び溶媒のみの落下秒数を測定し、下式により算出した。
(ここで、 ηsp=η/η0−1 であり、ηは試料溶液の落下秒数、η0は溶媒の落下秒数、Cはポリマー溶液濃度(kg/L)、KHはハギンズの定数である。KHは0.33を採用した。)
A:ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロン E−2000F」)
B2:縮合リン酸エステル(大八化学工業株式会社製「PX−202」)
B3:リン酸アルミニウム塩(クラリアント株式会社製「EXOLIT OP−930」)
B4:ポリリン酸メラミン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製「MELAPUR 200/70」)
サンプリングが可能であったポリカーボネート樹脂組成物ペレット(マスターバッチ)(B1−1)〜(B4−1)を用い、表3〜表6に示した組成比(難燃剤濃度)となるように、希釈用ポリマー(E)としてポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社製「ユーピロン E−2000F」)のペレットを用いてドライブレンドした後、射出成形機にて厚み2mmのバー状試験片、および厚み2mmのプレート状試験片を作成した。
成形機:ファナック社製ロボショットS−2000i
成形条件:シリンダ温度280℃、金型温度70℃、射出速度50mm/sec、スクリュウ回転数80rpm、背圧3MPa、保圧力50MPa、保圧時間5sec、冷却時間10sec
金型:金型1(バー状試験片) 幅13mm×長さ135mm×厚さ2mmのバー状試験片用金型
金型2(プレート状試験片) 幅50mm×長さ50mm×厚さ2mmのプレート状試験片用金型
得られた厚み2mmのバー状テストピースを用い、UL94垂直燃焼性試験規格に準拠した方法で評価した。
得られたプレート状試験片を、日本電子色工業株式会社製ヘイズメータNDH2000を用い、JIS−K7136試験方法3に準拠した方法にて測定した。
ポリカーボネート樹脂組成物ペレット(マスターバッチ)の代わりに、得られた厚み2mmのバー状試験片を粉砕したものを用いたこと以外は、(マスターバッチの測定例:固有粘度)に準拠した方法で、固有粘度を測定した。
バー状試験片10点を射出成形する際の、射出成形機における樹脂計量時のドローリングと、得られたバー状試験片を観察し、以下の基準にそって評価付けを行った。
○・・・樹脂計量時にノズルから溶融した樹脂が漏れず、ドローリングが発生しなかった。かつ、バー状試験片のスプル部に糸引きが見られず完全にスプルブレイクし、連続成形可能であった。
△・・・樹脂計量時にノズルから溶融した樹脂が漏れず、ドローリングが発生しなかった。かつ、バー状試験片のスプル部に糸引きが見られスプルブレイクせず、連続性成形不可能であった。
×・・・樹脂計量時にノズルから溶融した樹脂が漏れ、ドローリングが発生した。かつ、バー状試験片のスプル部に糸引きが見られスプルブレイクせず、連続性成形不可能であった。
Claims (15)
- ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を必須成分として含有する難燃性樹脂組成物であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜15質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)に加え、さらにリン系安定剤又は酸化防止剤(C2−3)をポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で含有する請求項1記載の難燃性樹脂組成物。
- ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)を溶融混練する難燃性樹脂組成物の製造方法であって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、リン原子含有オリゴマー(B)を3〜15質量部の範囲で含有すること、および、前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)に加え、さらにリン系安定剤又は酸化防止剤(C2−4)をポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で加えて溶融混練する請求項3記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- ポリカーボネート樹脂(A)とリン原子含有オリゴマー(B)とを必須成分として含有する難燃性マスターバッチであって、
前記リン原子含有オリゴマー(B)が、下記構造式(1)
ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)を5〜30質量部の範囲となる含有割合で含有する難燃性マスターバッチ。 - 請求項5記載の難燃性マスターバッチに、熱可塑性樹脂(E)を溶融混練して得られることを特徴とする難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(E)が、ポリカーボネート樹脂であり、難燃性マスターバッチ中のポリカーボネート樹脂(A)と熱可塑性樹脂(E)の合計100質量部に対し、前記リン原子含有オリゴマー(B)が3〜25質量部の範囲である請求項6記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 熱可塑性樹脂(E)が、ポリカーボネート樹脂以外の熱可塑性樹脂であり、難燃性マスターバッチ中のポリカーボネート樹脂(A)100質料部に対して、熱可塑性樹脂(E)が1〜100質量部および前記リン原子含有オリゴマー(B)が3〜25質量部の範囲である請求項6記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 前記ポリカーボネート樹脂(A)およびリン原子含有オリゴマー(B)に加え、さらにリン系安定剤又は酸化防止剤(C2−4)をポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して0.01〜10質量部の範囲で加えて溶融混練する請求項6〜8の何れか一項記載の難燃性樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
- 請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られる繊維。
- 請求項1又は2記載の難燃性樹脂組成物を成形して得られるフィルム又はシート。
- 請求項6〜9の何れか一項記載の方法で製造された難燃性樹脂組成物を成形することを含む、成形体の製造方法。
- 請求項6〜9の何れか一項記載の方法で製造された難燃性樹脂組成物を成形することを含む、繊維の製造方法。
- 請求項6〜9の何れか一項記載の方法で製造された難燃性樹脂組成物を成形することを含む、フィルム又はシートの製造方法。
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