JP6401456B2 - 運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラム - Google Patents

運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラム Download PDF

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Description

本発明は、証券会社等の金融機関における顧客に対する情報提示の技術に関し、特に、顧客の資産の運用損益を算出して出力する運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラムに適用して有効な技術に関するものである。
証券会社等の金融機関では、顧客からの預り金や保有する株式、投資信託等の金融商品などからなる預り資産について、これらがどれだけの利益や損失を出しているかの運用損益の情報をレポートとして顧客に提出・提示したり、また、情報処理端末によりネットワークを介してWebサイトにアクセスして参照可能としたりしている。
これに関し、近年では、金融商品が複雑化する中、顧客に対して運用損益の情報を適切に提示することが求められ、例えば、非特許文献1や非特許文献2などに記載されているように、「トータルリターン」を把握するための情報を適切に顧客に提示・通知することを金融機関に義務付けるという方向性も検討されている。
「トータルリターン」について、簡単な例では、例えば、投資信託において、1万円で買った投信が1年後に千円の分配金を出した場合、一般的な顧客にとっては分配金が利益(利回り)であると受け取られがちであり、この場合は10%の利回りであったように見える。しかしながら、例えば、1年後の投信の基準価額が9,600円に下落していた場合、投信では400円の含み損が出ている。この場合、分配金の千円のうちの400円は、税法上は元本の払い戻しと同様に取り扱われる。従って、1年後の評価では、投信の取得価額は、1万円から400円払い戻したのと同様に9,600円とされ、また、投信の基準価額も9,600円である。よって、投信の含み損はなく、一方で千円の分配金を受け取っているという結果に見える。
しかし、実際は分配金の千円のうち400円は元本の払い戻しに相当し、純粋な利益は600円であることから、実際の利回りは6%である。しかし、顧客が的確にこのような運用損益の状況を把握することは困難である。そこで、運用損益を示す指標として、投信等の価額の増減分に分配金等の配当を加えたもの(純粋な損益)を、購入時の取得価額や取得コストで割ったパーセンテージを「トータルリターン」とし、これ自体もしくはこれを算出・把握するための情報を顧客に対して提示等することで、顧客が運用損益を適切に把握できるようにすることが求められている。
"投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ 最終報告(案)"p8〜p9、[online]、平成24年12月7日、金融審議会、[平成25年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/toushi/siryou/20121207/01.pdf> "投資信託・投資法人法制の見直しに関するワーキング・グループ(第5回)事務局説明資料"p6、[online]、平成24年5月11日、金融審議会、[平成25年11月20日検索]、インターネット<URL:http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/toushi/siryou/20120511/01.pdf>
上記のように、「トータルリターン」は、購入時の取得価額や取得コストに対するパーセンテージとして算出するが、購入時の取得コストの決定が困難な場合がある。例えば、株価1万円のときに株式を100株購入し、その後8千円に値下がりした際に20株購入し、さらにその後1万3千円に値上がりした際に40株売却したような場合、現在保有している80株についての取得コスト(平均取得価額)をいくらと考えるかについては、購入時の株価が異なる複数の株式について、売却時にどの株式(いくらで購入した株式)を売ったことにするのかを含めて種々の考え方があり得る上、計算処理も非常に煩雑である。
また、「トータルリターン」を適切に把握するためには、顧客の投資等の開始時からの累積配当や累積費用などの情報が必要となる。しかしながら、投資が長期にわたっているような場合には、投資期間の全体にわたってこれらの情報を取得することが困難な場合があり、また、金融機関の情報処理システムにおいて、各購入時の取得コストがそもそも明確に記録されていないという場合もある。
これにはいくつかの理由が考えられるが、例えば、金融機関の合併により、合併前後の取得コストの考え方がそれぞれ異なり、合併のタイミングでいずれか一方に合わせたため、それ以前の取得コストの考え方が正しくないという場合がある。また、情報処理システムの入れ替え時に過去の取得コストを一つにまとめる処理を行ってしまっているという場合もある。
銀行業界では、投資信託の窓販が解禁になってから比較的期間が浅く、当初から取得コストの情報を適切に蓄積しているケースが多いために上記のような問題はあまり生じない。一方で、金融商品のバリエーションが多い証券業界においては、上記のような問題が特に生じ易いという特徴を有することから、「トータルリターン」を適切に把握するためには何らかの工夫が必要である。
そこで本発明の目的は、金融機関における顧客の資産の運用損益について、個別の株式や投信等の金融資産の取得コストの計算を不要とし、簡易な手法により明確に表すことができる運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラムを提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
本発明の代表的な実施の形態による運用損益算出システムは、金融機関における顧客の預り資産についての運用損益を算出する運用損益算出システムであって、所定の期間の期初における前記預り資産の合計についての評価額である期初評価額と、前記期間の期末における前記預り資産の合計についての評価額である期末評価額と、前記期間内での前記顧客により入金もしくは入庫された資産の合計についての評価額である入金・入庫額と、前記期間内での前記顧客により出金もしくは出庫された資産の合計についての評価額である出金・出庫額と、を算出し、前記期末評価額に前記出金・出庫額を加えた額から、前記期初評価額と前記入金・入庫額を減じた額を、前記期間における前記運用損益とするものである。
また、本発明は、上記のような運用損益算出システムとして機能するよう、コンピュータに処理を実行させる運用損益算出プログラムにも適用することができる。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
すなわち、本発明の代表的な実施の形態によれば、金融機関における顧客の資産の運用損益について、一定の期間に限定してその期初と期末における資産の増減によって表すことで、個別の株式や投信等の金融資産の取得コストの計算を不要とし、簡易な手法により明確に表すことが可能となる。
本発明の一実施の形態である運用損益算出システムの構成例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態におけるレポートに含まれる運用損益のサマリー情報の表示例について概要を示した図である。 (a)、(b)は、本発明の一実施の形態における顧客の資産のお預りおよびお返しの際に運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における株式の売買手数料が徴収された際に運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における株式の譲渡益税が徴収された際に運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における分配金を取得した際にその取り扱いによって運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における分配金を取得した際にその取り扱いによって運用損益の状況がどのように表示されるかの他の例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における分配金を取得した際にその取り扱いによって運用損益の状況がどのように表示されるかの他の例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における株式の信用取引を行った際に取引内容によって運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における株式の信用取引を行った際に取引内容によって運用損益の状況がどのように表示されるかの他の例について概要を示した図である。 本発明の一実施の形態における株式の信用取引を行った際に取引内容によって運用損益の状況がどのように表示されるかの他の例について概要を示した図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一部には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
証券会社等の金融機関では、営業担当者の営業活動に際して、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)システム等を用いて顧客情報を管理するとともに、営業担当者が営業活動に携行するタブレット端末などの携帯型端末によって顧客情報や営業資料等を外出先においても参照可能としたり、営業実績を記録したり等の処理を行うSFA(Sales Force Automation:営業支援システム)が活用され、営業活動の効率化が図られている。
本発明の一実施の形態である運用損益算出システムは、証券会社等の金融機関におけるCRMシステムやSFAとしての機能を有する情報処理システムの全部もしくは一部として構成され、当該情報処理システムは、顧客情報を管理するとともに、営業担当者が営業活動に携行するタブレット端末などの携帯型端末からなる営業支援端末によって顧客情報や営業資料等を外出先においても参照可能としたり、営業実績を記録したり等の処理を行うことによって営業活動の効率化を図るシステムである。
本実施の形態では、営業担当者が担当する顧客に対して提示して説明・報告する運用レポート等の書面や帳票(以下ではこれらを「レポート」と総称する場合がある)を、顧客情報等に基づいて自動もしくは手動により作成するレポート作成機能を提供する。当該レポート作成機能には、レポートの一部として、顧客資産の運用損益の情報を簡易な手法により算出し、グラフ等によって視覚的に分かりやすい形式で出力する機能を含んでいる。
上述したように、運用損益の情報として「トータルリターン」を算出することは、困難であったり煩雑であったりする場合がある。しかしながら、顧客としては、必ずしも投資期間の全体にわたっての「トータルリターン」を知る必要がない場合もあり、投資期間中のある期間(例えば直近の1年間など)を限って、その期初と期末における運用損益(預り資産の増減)を知ることができればニーズは満たせる場合がほとんどであるとも考えられる。
そこで、本実施の形態の運用損益算出システムでは、顧客の資産の運用損益について、一定の期間に限定してその期初と期末における資産の増減によって表すものとする。これにより、後述するように、個別の株式や投信等の金融資産の取得コストの計算を不要としつつ、運用損益について実用上十分な情報を得ることを可能とする。また、算出した運用損益に係る期間中の資産の増減を、所定の方式によりグラフによって表示することで、視覚的にも容易に運用損益を把握することを可能とする。
<システム構成>
図1は、本発明の一実施の形態である運用損益算出システムの構成例について概要を示した図である。運用損益算出システム1は、例えば、営業支援サーバ10と、これにインターネットやイントラネットなどのネットワーク20を介して接続される、証券会社等の営業担当者が保有する情報処理端末である営業支援端末30とを有する。
営業支援サーバ10は、例えば、サーバ機器や、クラウドコンピューティングサービス上に構築された仮想サーバなどのサーバシステムにより構成され、図示しないOS(Operating System)やDBMS(DataBase Management System:データベース管理システム)、およびWebサーバプログラムなどの基盤ソフトウェア上で稼働するソフトウェアプログラムによって実装され、営業担当者の営業活動を支援する各種のサービスを提供する業務アプリケーションプログラムである1つ以上の支援サービス11、およびレポート作成部13を有する。
支援サービス11により提供されるサービスとしては、例えば、データベースやファイルなどからなる営業支援情報12として保持され、もしくは図示しないバックオフィスシステム等により保持される各種の顧客情報や営業情報を取得して営業支援端末30上に表示させたり、営業支援端末30を介して営業担当者の活動実績の登録を受け付けて記録したりなどが含まれる。営業支援サーバ10は、上記以外に図示しない他の構成を有していてもよく、全体として、証券会社等におけるCRMやSFAとしての各種機能やサービスを実現している。
レポート作成部13は、営業担当者が顧客に対して提出等するレポート14の作成機能を有する。レポート14の作成手法については特に限定されないが、例えば、報告事項毎に予め定義されたテンプレートに基づいて、営業支援情報12や図示しないバックオフィスシステム上の顧客情報などを入力データとして分析・集計・加工等して、グラフや表などの形式で出力する。出力形式についても特に限定されず、例えば、PDF(Portable Document Format)等の汎用的に取り扱い可能な形式で作成し、印刷したり、営業支援端末30にダウンロードしたりして、営業担当者が顧客を訪問する際に持ち出すことができる。
レポート作成部13は、レポート14の内容の一部とするため、顧客に対して報告する運用損益の情報を算出して出力することができる。上述したように、本実施の形態では、運用損益を、一定の期間の期初と期末における資産の増減によって表すものとし、これを所定のグラフによって視覚的に理解可能な形式で出力する。これにより、株式や投信等の金融資産の取得コストの計算を不要とし、運用損益を容易に算出可能とする。
<運用損益の算出および提示>
図2は、本実施の形態のレポート作成部13により作成されたレポート14に含まれる運用損益のサマリー情報の表示例について概要を示した図である。図2の例では、棒グラフ中に、期間の期初と期末における“お預り資産”全体の邦貨換算の評価額が示されている。具体的には、期初である2011年7月における“お預り資産”が1,600万円、期末である2012年7月における“お預り資産”が1,770万円であることを示している。ここで、期初および期末の“お預り資産”を示すバーのいずれも、0円を基準にして高さ(金額)が比較できる形で表示されている。また、“お預り資産”の評価額の増減、すなわち、期末の評価額−期初の評価額の値が、下段左の“評価額の増減”の表に+170万円と表示されている。
なお、“お預り資産”の評価額の算出の際に集計対象とする商品には、例えば、預り金や外貨預り金、MRF(Money Reserve Fund:マネーリザーブファンド)、国内株式、国内債券、国内投信、外国株式、外国債券、および外国投信などが含まれる。どのような種別の商品が“お預り資産”の評価額の算出の対象となるのか(もしくは各商品がそれぞれ評価額の算出の対象となるのか)については予め定義されているものとする。
また、棒グラフ中において、期初の“お預り資産”のバーの右には“入出金・入出庫”として、期間内における入金および入庫と、出金および出庫との全体での差額を取引時点の邦貨換算の評価額により集計した結果が示されている。具体的には、上部の吹き出しに示された内訳のように、保険と銀行預金と投資一任口座との間の振替額として、“入金および入庫”が合計350万円、“出金および出庫”が合計500万円で、その差額、すなわち、“入金および入庫”の額−“出金および出庫”の額の値が、下段中央の“入出金・入出庫”の表に−150万円と表示されている。また、この値は棒グラフ中の“入出金・入出庫”のバーにも示されている。
ここで、“入出金・入出庫”のバーを表示する際に、基準の位置(高さ)を、期初の“お預り資産”のバーの上端の位置(高さ)とする。すなわち、図2の例のように“入出金・入出庫”の値がマイナスの場合は、基準の位置から下側に向かってバーが表示されるよう、“入出金・入出庫”のバーの上端を基準の位置に合わせて表示する。逆に、“入出金・入出庫”の値がプラスの場合は、基準の位置から上側に向かってバーが表示されるよう、“入出金・入出庫”のバーの下端を基準の位置に合わせて表示する。これにより、期初の“お預り資産”が、期間中の“入出金・入出庫”によってどれだけ増減したかを容易に把握できるようになる。
なお、“入出金・入出庫”の評価額の算出の際に集計対象とする取引には、例えば、銀行口座との現金の入出金や振替、他の証券会社等との有価証券移管、保険金・解約返戻金入金や保険料払込、およびSMA(Separately Managed Account)口座(ラップ口座)との振替などが含まれる。どのような種別の取引が“入出金・入出庫”の額の集計対象となるのか(もしくは各取引がそれぞれ集計対象となるのか)については予め定義されているものとする。
また、棒グラフ中において、“入出金・入出庫”のバーの右には、“運用損益”として、期初および期末での“お預り資産”の評価額および“入出金・入出庫”の額から算出された、期間内の運用損益の額が示されている。具体的には、(期末の評価額+“出金および出庫”の額)−(期初の評価額+“入金および入庫”の額)、すなわち、“評価額の増減”の額−“入出金・入出庫”の額として算出された“運用損益”が+320万円であることを示している(+170万円−(−150万円)=+320万円)。また、下段右の“運用損益”の表にも+320万円と表示されている。
ここで、“運用損益”のバーを表示する際に、基準の位置(高さ)を、“入出金・入出庫”のバーの終端の位置(高さ)とする。図2の例のように“入出金・入出庫”の値がマイナスの場合は、“入出金・入出庫”のバーの下端が終端の位置となる。逆に、“入出金・入出庫”の値がプラスの場合は、“入出金・入出庫”のバーの上端が終端の位置となる。
“入出金・入出庫”のバーの終端の位置(高さ)から、図2の例のように“運用損益”の値がプラスの場合は、基準の位置から上側に向かってバーが表示されるよう、“運用損益”のバーの下端を基準の位置に合わせて表示する。逆に、“運用損益”の値がマイナスの場合は、基準の位置から下側に向かってバーが表示されるよう、“運用損益”のバーの上端を基準の位置に合わせて表示する。このように表示すると、“運用損益”のバーの終端の位置は、その右の、期末の“お預り資産”のバーの上端の位置(高さ)と一致することになり、期末および期初の“お預り資産”や“入出金・入出庫”の額と“運用損益”との関係を容易に把握しやすい状態で表示することができる。
なお、この“運用損益”の額は、上述したように、期初および期末での“お預り資産”の評価額および“入出金・入出庫”の額から算出されるが、指定した期間内に発生した利金、分配金、および配当金の全体を取引時点の邦貨換算の評価額により集計した結果もここに含まれることになる。
<運用損益の状況の例>
図3〜図11は、それぞれ、図2に示したような運用損益の表示方法により、各種のパターンに応じた運用損益の状況が棒グラフにおいてどのように表示されるかを説明する図である。
図3は、顧客の資産のお預りおよびお返しの際に運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。図3(a)では、顧客からの現金の入金があった場合を示している。期初(入金前)の“お預り資産”の評価額(以下では単に「期初評価額」と記載する場合がある)として、預り金が100万円あった状態で、顧客が100万円を入金すると、“入出金・入出庫”は+100万円となり、期末(入金後)の“お預り資産”の評価額(以下では単に「期末評価額」と記載する場合がある)は、200万円となる。この場合、“評価額の増減”は+100万円であるが、これは全て“入出金・入出庫”(図3(a)の例では入金)によるものであり、“運用損益”はゼロである。このとき、棒グラフにおいて“運用損益”のバーは表示されない。
一方、図3(b)では、顧客が銀行預金に振替もしくは出金を行った場合を示している。“期初評価額”(振替前)として、預り金が200万円あった状態で、顧客が100万円を銀行預金に振替すると、“入出金・入出庫”は−100万円となり、“期末評価額”(振替後)は、100万円となる。この場合、“評価額の増減”は−100万円であるが、これは全て“入出金・入出庫”(図3(b)の例では振替もしくは出金)によるものであり、図3(a)の場合と同様に“運用損益”はゼロである。
図4、図5は、株式の売買手数料および譲渡益税が徴収された際に運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。図4は、売却手数料が徴収された場合の例を示しており、上段の図では、“期初評価額”が150万円の株式を顧客が保有している状況で、株式が200万円に値上がりした場合を示している。このとき、“期末評価額”の200万円と“期初評価額”の150万円の差分が“運用損益”の+50万円として表示されている。
この状況で、200万円の株式を売却し、その際に手数料として10万円が徴収された場合を下段の図に示している。売却した株式は預り金となり、さらに、10万円の手数料が徴収されていることから、“期末評価額”の預り金は190万円となっている。また、これに伴い、“運用損益”も+40万円に減っていることを示している。
なお、“期初評価額”からの“期末評価額”の増減に影響する取引等としては、上述した“入出金・入出庫”の額に集計されるものに加えて、例えば、売買手数料や振込手数料、口座管理料、特定口座の譲渡益税の徴収・還付、利金・分配金・配当金などが含まれる。これらは、顧客資産のお預りやお返しにあたるものではなく、運用損益として計上されるべきものであることから、“入出金・入出庫”の額ではなく、“期末評価額”の増減(さらにこれに連動して“運用損益”)に直接集計されるものとする。なお、どのような種別の取引が“期末評価額”の増減(および“運用損益”)の額の集計対象となるのか(もしくは各取引がそれぞれ集計対象となるのか)については予め定義されているものとする。
図5は、図4の状態からさらに株式の譲渡益税が徴収された場合の例を示しており、上段の図は、図4の下段の図と同じ状況を示している。ここでさらに譲渡益税として10万円が徴収された場合を下段の図に示している。上述したように、特定口座の譲渡益税の徴収は、売買手数料等と同様に、“期末評価額”の増減(および“運用損益”)として集計されることから、“期末評価額”の預り金はさらに減って180万円となっている。また、これに伴い、“運用損益”も+30万円に減っていることを示している。
図6〜図8は、投資信託の分配金を取得した際に、その取り扱いによって運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。図6は、分配金によりMRFを買い付けた場合の例を示している。上段の図では、“期初評価額”が150万円の投信を顧客が保有している状況で、投信が200万円に値上がりした場合を示している。このとき、“期末評価額”の200万円と“期初評価額”の150万円の差分が“運用損益”の+50万円として表示されている。この状況で、分配金の50万円によりMRFを買い付けた場合を下段の図に示している。“期末評価額”の200万円のうち、MRFを買い付けた50万円分(“運用損益”に相当する部分)が識別可能となるように表示されている。
図7は、分配金を銀行口座に出金した場合の例を示している。上段の図は、図6の上段の図と同じであり、顧客が保有している投信の評価額が150万円から200万円に値上がりした状態を示している。この状況で、分配金の50万円を銀行口座に出金した場合を下段の図に示している。新たに“入出金・入出庫”として−50万円が計上され、これに伴い、“期末評価額”が150万円に減っているが、“運用損益”は+50万円として変わらずに把握できることを示している。
図8は、分配金を再投資した場合の例を示している。上段の図は、図6の上段の図と同じであり、顧客が保有している投信の評価額が150万円から200万円に値上がりした状態を示している。この状況で、分配金の50万円を再投資した場合を下段の図に示している。この場合は、“期末評価額”の額は変わらず、“お預り資産”の内容も200万円の投信となることから、表示上特に変化が生じるところはない。
図9〜図11は、株式の信用取引を行った際に、取引内容によって運用損益の状況がどのように表示されるかの例について概要を示した図である。上段の図では、“期初評価額”が100万円の預り金があった状態で、顧客が100万円の買建玉を新規建した場合を示している。この場合、建玉の状態では“お預り資産”の変動はまだ現実化しておらず、従って、期末の“お預り資産”は100万円の預り金のままであり、期間損益はゼロであることを示している。
この状況で、100万円の建玉の評価額が200万円に値上がりした、すなわち、建玉の評価損益が+100万円になった場合を下段の図に示している。ここでも上段の図と同様に、建玉の状態ではいくら評価損益があっても“お預り資産”の変動はまだ現実化しておらず、従って、期末の“お預り資産”は100万円の預り金のままであり、期間損益はゼロであることを示している。
図10は、図9の状態から顧客が建玉を返済売で決済した場合の例を示しており、上段の図は、図9の下段の図と同じ状況を示している。ここで建玉を返済売して決済益を得た場合を下段の図に示している。預り金の100万円で新規建していた建玉を返済売し、差金決済により100万円の利益を得たことから、“期末評価額”では預り金が200万円となっており、また、+100万円の決済益が“運用損益”として把握できることを示している。
一方、図11は、図9の状態から顧客が建玉について現引で決済した場合の例を示しており、上段の図は、図9の下段の図と同じ状況を示している。ここで建玉について現引で決済して現物株を取得した場合を下段の図に示している。現引の際に返済した預り金の100万円に代えて、取得した200万円の現物株が“期末評価額”として計上されており、また、現物株の値上がり分である+100万円が“運用損益”として把握できることを示している。
以上に説明したように、本発明の一実施の形態である運用損益算出システム1によれば、顧客の資産の運用損益について、一定の期間に限定してその期初と期末における資産の全体の評価額の増減によって表す。これにより、個別の株式や投信等の金融資産の取得コストの計算を不要としつつ、運用損益について実用上十分な情報を得ることが可能である。
また、算出した運用損益に係る期間中の資産の増減を、例えば、“期初評価額”、“期末評価額”、“入出金・入出庫”、およびこれらから算出される“運用損益”について、それぞれの金額に応じた高さを有する棒グラフ等により相関関係が分かる形で表示することで、視覚的にも容易に運用損益を把握することを可能とする。なお、本実施の形態では資産の評価額の増減や差額が分かりやすくなるように棒グラフを用いて表示しているが、同様の内容を表示することができる形式であれば、棒グラフに限らず他の表示形式であってもよい。
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。例えば、上記の実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、上記の実施の形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
本発明は、顧客の資産の運用損益を算出して出力する運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラムに利用可能である。
1…運用損益算出システム、
10…営業支援サーバ、11…支援サービス、12…営業支援情報、13…レポート作成部、14…レポート、
20…ネットワーク、
30…営業支援端末




Claims (3)

  1. 金融機関における顧客の預り資産についての運用損益を算出する運用損益算出システムであって、
    お預かり資産情報と、入出金・入出庫情報とを保持する営業情報支援情報記憶部と、
    前記お預かり資産情報に基づいて、所定の期間の期初における前記預り資産の合計についての評価額である期初評価額と、
    前記期間の期末における前記預り資産の合計についての評価額である期末評価額と、を算出し、
    前記入出金・入出庫情報に基づいて、前記期間内での前記顧客により入金もしくは入庫された資産の合計についての評価額である入金・入庫額と、
    前記期間内での前記顧客により出金もしくは出庫された資産の合計についての評価額である出金・出庫額と、を算出し、
    前記期末評価額に前記出金・出庫額を加えた額から、前記期初評価額と前記入金・入庫額を減じた額を、前記期間における前記運用損益とするレポート作成部と
    を有する運用損益算出システムであって、
    前記運用損益を棒グラフにより表示する際に、
    ゼロを基準として前記期初評価額のバーと、前記期末評価額のバーを表示し、
    前記期初評価額のバーと前記期末評価額のバーとの間の、前記期初評価額のバーに隣接する位置で、前記期初評価額のバーの終端の額を基準として、前記入金・入庫額から前記出金・出庫額を減じた入出金・入出庫額を示すバーを、前記入出金・入出庫額の符号に応じて延伸方向を替えて表示し、
    前記入出金・入出庫額のバーと前記期末評価額のバーとの間に、前記入出金・入庫金額のバーの終端の額を基準として、前記運用損益を示すバーを、前記運用損益の符号に応じて延伸方向を替えて表示する、運用損益算出システム
  2. 請求項1に記載の運用損益算出システムにおいて、
    前記金融機関において行われる取引の種別毎に、前記預り資産の評価額を増減させるものとして集計対象となる取引であるか否か、および前記入金・入庫額もしくは前記出金・
    出庫額に含まれるものとして集計対象となる取引であるか否かの定義情報を保持する、運用損益算出システム。
  3. 金融機関における顧客の預り資産についての運用損益を算出する運用損益算出システムとして機能するよう、コンピュータに処理を実行させる運用損益算出プログラムであって、
    営業情報支援情報記憶部に保持されたお預かり資産情報に基づいて、所定の期間の期初における前記預り資産の合計についての評価額である期初評価額と、
    前記期間の期末における前記預り資産の合計についての評価額である期末評価額と、
    前記期間内での前記顧客により入金もしくは入庫された資産の合計についての評価額である入金・入庫額と、を算出し、
    前記営業情報支援情報記憶部に保持された入出金・入出庫情報に基づいて、前記期間内での前記顧客により出金もしくは出庫された資産の合計についての評価額である出金・出庫額と、を算出し、
    前記期末評価額に前記出金・出庫額を加えた額から、前記期初評価額と前記入金・入庫額を減じた額を、前記期間における前記運用損益とする処理をコンピュータに実行させる、運用損益算出プログラムであって、
    前記運用損益を棒グラフにより表示する際に、
    ゼロを基準として前記期初評価額のバーと、前記期末評価額のバーを表示し、
    前記期初評価額のバーと前記期末評価額のバーとの間の、前記期初評価額のバーに隣接する位置で、前記期初評価額のバーの終端の額を基準として、前記入金・入庫額から前記出金・出庫額を減じた入出金・入出庫額を示すバーを、前記入出金・入出庫額の符号に応じて延伸方向を替えて表示し、
    前記入出金・入出庫額のバーと前記期末評価額のバーとの間に、前記入出金・入出庫金額のバーの終端の額を基準として、前記運用損益を示すバーを、前記運用損益の符号に応じて延伸方向を替えて表示する、運用損益算出プログラム。
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