JP2003178184A - 資金運用における執行収益率を計測する方法 - Google Patents

資金運用における執行収益率を計測する方法

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JP2003178184A
JP2003178184A JP2001375457A JP2001375457A JP2003178184A JP 2003178184 A JP2003178184 A JP 2003178184A JP 2001375457 A JP2001375457 A JP 2001375457A JP 2001375457 A JP2001375457 A JP 2001375457A JP 2003178184 A JP2003178184 A JP 2003178184A
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Cmd Res Kk
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 運用パフォーマンスの源泉は何かの解明と、
執行パフォーマンスが資産運用パフォーマンス全体に対
してどれほどの影響を及ぼしているかを明確化する評価
式を提唱すること。 【解決手段】 日次ベースの資金運用において、資金運
用パフォーマンスが何を源泉として発生しているかを明
確にするために、時間t-△t、tにおける資金流出入Ct
−△t、Ct、ポートフォリオWt−△t、Wtとし
て、執行リターンRe、投資リターンRpをそれぞれ、
Re=Ct/Ct−△t Rp=(Wt−Ct)/Wt
−△tと定義し、執行要因リターンRef、投資要因リ
ターンRpfをそれぞれ、Ref=(Ct−Ct−△
t)/(Wt−△t+Ct−△t) Rpf=(Wt−
Ct−Wt−△t)/(Wt−△t+Ct−△t)とし
て、投資パフォーマンスから執行パフォーマンスを分離
することによって執行収益率を計測する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、コンピュータを用
いて、資金運用における成果を評価する方法およびプロ
グラムに関する。更に詳細には、資金運用における執行
収益率を計測する方法およびプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、資金運用における成果を評価する
ために資産運用パフォーマンスと呼ばれる概念を導入す
ることが行われている。資産運用パフォーマンスを計測
するために用いられている一般的な手法は、時間加重収
益率を計算することである。時間加重収益率とは、運用
期間中の資金流出入の影響を取り除いた運用パフォーマ
ンスを計測するものであり、以下の数式(1)で記述さ
れる。
【0003】
【数1】 ・・・・・・(1)
【0004】ここで、 R:時間加重収益率 W:ポートフォリオ金額 C:資金流出入によって売買された資産金額 t:期間を示すインデックス である。上記の数式は、t-1期間において資金の流出入
があった場合に、その期初金額、期中資金流出入金額、
期末金額から期中資金流出入分の影響を除いた資産のリ
ターンを計算するものであり、図1に概略図を示す。こ
こで各期を日次とすると、数式(1)は完全時間加重収
益率を記述する計算式となる。
【0005】資産運用のパフォーマンスを分析する本質
的な目的は、その成果が偶然の産物で生じたものか、も
しくは資産運用のスキルによってもたらされたものかを
判別することにある。そしてこの判別が単に事後的な結
果によって実施された場合、将来に渡ってのリスク管理
に多大な支障をきたす可能性が生じ、最悪の事態として
運用基金等の破綻に結び付きかねない。そのため、運用
パフォーマンスが何を源泉として生じたものかを明確に
することが、以前から非常に重要視されていた。
【0006】とくに最近、資産運用の説明力強化の一環
として売買執行におけるパフォーマンス測定が執行コス
ト分析とあいまって注目されている。執行コスト分析に
関する取り組みは近年の株式手数料自由化を前後として
活発化し始め、最近の研究では手数料以上に執行時の見
えないコストが、より大きなコストとなっていると報告
されている。
【0007】また最近のコンピュータ技術の発達によ
り、市場におけるすべての売買データの取得やデータベ
ース化が容易になり、それによって資産運用のパフォー
マンス評価においても日々の時間加重収益率を考慮した
完全時間加重収益率の計測が行えるようになった。実際
に米国アナリスト協会(AIMR)は2010年に日次の時
価評価を考慮した時間加重収益率の導入を提唱し、具体
的なパフォーマンス評価に対する取り組みが進行中であ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来技術では、説明し
たように資産運用のパフォーマンスを上記の数式のよう
な時間加重収益率で評価している。一般に期間tは月次
や四半期といった長期の期間であるが、これを日次に置
き換えれば、完全時間加重収益率を計算する計算式とす
ることができる。しかし、運用パフォーマンスが何に源
泉しているかを判断することは、数式(1)ではできな
い。また執行パフォーマンスが資産運用パフォーマンス
全体に対してどれほどの影響を及ぼしているかが明確に
されていない。とくに最近は、手数料の自由化に伴って
手数料の低下もあり、手数料以上に執行時の見えないコ
ストの比重が大きくなってきている。このため、執行コ
ストを正確に判断することは運用パフォーマンスを評価
する上で重要な要素となってきている。
【0009】そこで本発明が解決しようとする課題は、
従来の資産運用パフォーマンス分析では行えなかった運
用パフォーマンスの源泉は何かの解明と、執行パフォー
マンスが資産運用パフォーマンス全体に対してどれほど
の影響を及ぼしているかを明確化する評価式を提唱する
ことである。具体的には、資産運用全体の中での執行パ
フォーマンスの位置付けに言及し、資産運用に関わる損
益を投資(保有ポートフォリオ)リターンと執行リター
ンに分解してリターンの源泉を明確化することを目的と
する。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記の発明が解決しよう
とする課題を解決するために、執行パフォーマンスを定
義し、資産運用パフォーマンスから執行運用パフォーマ
ンスを分離することによって執行収益率を計測する。ま
た、執行収益率を計測する方法において、従来の時間加
重収益率に若干の補正を加え、資金流入と資金流出を統
一的に扱う完全時間加重収益率を導き、完全時間加重収
益率を計測する。
【0011】請求項1に記載された本発明は、コンピュ
ータを用いて資金運用の成果を判定する方法において、
日次ベースの資金運用において、資金運用パフォーマン
スが何を源泉として発生しているかを明確にするため
に、時間t-△t、tにおける資金流出入Ct-△t、Ct、ポ
ートフォリオWt-△t、Wtとして、執行リターンR
execution、投資リターンRportfolioをそれぞれ、 Rexecution=Ct/Ct-△tportfolio=(Wt−Ct)/Wt-△t と定義し、執行要因リターンRexecFactor、投資要因リ
ターンRportFactorをそれぞれ、 RexecFactor=(Ct−Ct-△t)/(Wt-△t
t-△t) RportFactor=(Wt−Ct−Wt-△t)/(Wt-△t+C
t-△t) として、投資パフォーマンスから執行パフォーマンスを
分離することによって執行収益率を計測する執行収益率
計測方法である。
【0012】請求項2に記載された本発明は、コンピュ
ータを用いて資金運用の成果を判定するプログラムにお
いて、日次ベースの資金運用において、資金運用パフォ
ーマンスが何を源泉として発生しているかを明確にする
ために、時間t-△t、tにおける資金流出入Ct-△t
t、ポートフォリオWt-△t、Wtとして、執行リター
ンRexecution、投資リターンRportfolioをそれぞれ、 Rexecution=Ct/Ct-△tportfolio=(Wt−Ct)/Wt-△t と定義し、執行要因リターンRexecFactor、投資要因リ
ターンRportFactorをそれぞれ、 RexecFactor=(Ct−Ct-△t)/(Wt-△t
t-△t) RportFactor=(Wt−Ct−Wt-△t)/(Wt-△t+C
t-△t) として、投資パフォーマンスから執行パフォーマンスを
分離することによって執行収益率を計測する手順を実行
させるための執行収益率計測プログラムである。
【0013】請求項3に記載された本発明は、請求項1
の執行収益率計測方法において、資金流入と流出を統一
的に扱うために、期初t-1の資金金額Wt-1、資金流入金
額C t-1、資金売却金額Xt-1とし、期末tの資金Wt(期
初の資金をそのまま保有し続けたときの期末金額)、流
入資金によって買付けた資産の期末金額Ct、期中に売
却した資産を売却しなかったと想定した場合の金額Xt
としたとき、それぞれ保有資産リターン(投資リター
ン)、流入資金リターン、流出資金リターンを求め、最
終的に完全時間加重収益率Rを R=П{(Wt+Ct−Xt+Xt-1)/(Wt-1
t-1)}−1 と導き、資金流入と資金流出を統一的に扱う統一的完全
時間加重収益率の計測方法である。
【0014】請求項4に記載された本発明は、請求項2
の執行収益率計測プログラムにおいて、資金流入と流出
を統一的に扱うために、期初t-1の資金金額Wt-1、資金
流入金額Ct-1、資金売却金額Xt-1とし、期末tの資金
t(期初の資金をそのまま保有し続けたときの期末金
額)、流入資金によって買付けた資産の期末金額Ct
期中に売却した資産を売却しなかったと想定した場合の
金額Xtとしたとき、それぞれ保有資産リターン(投資
リターン)、流入資金リターン、流出資金リターンを求
め、最終的に完全時間加重収益率Rを R=П{(Wt+Ct−Xt+Xt-1)/(Wt-1
t-1)}−1 と導き、資金流入と資金流出を統一的に扱う手順を実行
させるための統一的完全時間加重収益率の計測プログラ
ムである。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を手順を追っ
て詳細に説明する。まず、完全時間加重収益率ポートフ
ォリオリターンから説明する。
【0016】従来技術で示した数式(1)の時間加重収
益率は、期中の資金流出入の影響を排除したリターンを
計上するものであり、運用者の能力を保有しているポー
トフォリオが生み出す損益によって判定することを目的
としている。図2においてDay(t-1)に生じた資金流入C
t-1によって買付資産が当日の終値においていくらの資
金金額Ctとなったかは、日中の取引データが公開され
ている現状においては計算可能であり、最近のコンピュ
ータの能力を駆使すれば実際に完全時間加重収益率を求
めることができる。また、保有ポートフォリオの中の日
中資金流入Ct- 1によって売買された資産を正確に記録
することができるため、当日終値との比較により執行に
かかる損益を保有ポートフォリオが生み出す損益から分
離して厳密に計算できることになる。ここで計算される
執行に関わる損益は、執行タイミングによって異なった
数値となるため執行リターンとして考える方が合理的で
ある。ここで日中資金流出入によって生じた損益を執行
リターンとして数式(2)で、執行部分を除いた保有ポ
ートフォリオによるリターンを投資リターンとして数式
(3)で定義する。
【0017】
【数2】 ・・・・・・(2)
【数3】 ・・・・・・(3)
【0018】ここでC、W*は時間tの関数であり、 C:日中資金流出入によって売買された資産金額 W*:当日の始り時に保有しているポートフォリオ金額 である。ポートフォリオリターンRportfolioは当日の
始まりと終わりという決められた時間間隔でのリターン
となるが、執行リターンRexecutionは△tが執行によ
って異なる。従って、これらを統一的に記述するために
連続複利リターンとしてそれぞれのリターンを次式で表
現する。
【0019】
【数4】 ・・・・・・(4)
【数5】 ・・・・・・(5)
【0020】数式(4)、(5)は、日中執行において
は単位時間(例えば分単位)によるリターンの追求より
も、執行値がその日の取引終了後においていくらのリタ
ーンを得たかが評価されていることを示している。数式
(4)はポートフォリオにおける執行とは独立な執行リ
ターンであり、ポートフォリオに付随する執行と区別す
るために、「一般執行リターン」と呼ぶことにする。ま
た、数式(5)を後で定義するポートフォリオによる投
資リターンと区別するために、「一般投資リターン」と
呼ぶことにする。なお数式(4)、(5)は、請求項1
に記載の数式の右辺を対数で表したものである。
【0021】次に執行要因リターンについて説明する。
数式(4)は資金流出入金額を基準としてリターンを計
算するが、それでは資産運用において執行に関するリタ
ーンがどれぐらいの影響を及ぼしているかを判断するこ
とができない。そこで従来の資金運用で用いられている
時間加重収益率を投資リターンと執行リターンに分解す
る。時間加重収益率の計算式である数式(1)を基準と
し、論点を明確にするために運用期間を一期のみと仮定
する。一期のみの運用パフォーマンスは数式(6)のよ
うに変形できる。
【0022】
【数6】 ・・・・・・(6)
【0023】ここで、W1 *は期初に保有していたポート
フォリオの期末時の金額であり、 W1 *=W1−C1 で記述される。数式(6)の右辺第一項が保有ポートフ
ォリオによる損益であり、右辺第二項が執行による損益
である。数式(4)、(5)との違いは、基準とする金
額が期初のポートフォリオ金額なのか、それに新規資金
流出入金額を加えるかの違いである。日次を基準とした
完全時間加重収益率を計算する場合には、実務的に数式
(6)を用いた方が、売買執行を実行すると判断したタ
イミングとの整合性を考える上で、現実的である。それ
は通常、資金流出入に伴う売買執行は当日の市場が始ま
る前に決定されていることを前提にした方が合理的であ
るからだ。
【0024】そこで数式(6)の右辺第二項を資産運用
における執行要因リターン、それに対して右辺第一項を
投資要因リターンとして次式で定義することにする。
【0025】
【数7】 ・・・・・・(7)
【数8】 ・・・・・・(8)
【0026】さらに数式(4)、(5)に対応させて連
続複利リターンとして記述すると、執行要因リターン数
式(7)、投資要因リターン数式(8)はそれぞれ次式
となる。
【0027】
【数9】 ・・・・・・(9)
【数10】 ・・・・・・(10)
【0028】実際の資産運用における数式(7)、
(8)の関係は、手数料と税率を考慮すると以下のよう
に表せる。
【0029】
【数11】 ・・・・・・(11)
【0030】数式(11)において重要なことは、数式
(6)が示すように従来の損益計算として使われていた
時間加重収益率を執行に関わるリターンとポートフォリ
オ(投資)に関わるリターンに完全分離することがで
き、現実の収益計算に即座に適用できることである。
【0031】次に運用開始および終了時の投資リターン
について見ていこう。資産運用を評価する時間加重収益
率は資産の継続的管理を前提としているため、運用開始
時における投資リターンや運用終了時における投資リタ
ーンを計算することが困難である。当然のことである
が、期初の資金がゼロの場合には数式(1)においてW
t-1=0となり、分母が資金流入Ct-1となる。運用開始
日は執行のタイミングのみがリターンに寄与するため、
本質的には執行リターンとして扱われるべきものであ
る。また、最終資産金額WEを考慮すると、資産運用終
了時を含めた時間加重収益率は次式のようになる。
【0032】
【数12】 ・・・・・・(12)
【0033】数式(12)は売却金額が最終資産金額と
して計上されているため、執行によるリターンとポート
フォリオ(投資)リターンとが混同されて計上されてし
まう。このことは、資産運用が終了する際には執行タイ
ミングがどのタイミングであろうとも時間加重収益率に
はその影響が計上されないことを示している。そこで最
終日の売却金額を時間加重収益率に計上するために、数
式(12)を別の視点で解釈する。すなわち、Wtを資
産運用終了日の市場開始前のポートフォリオ金額、Ct
を資産運用終了日の資金流出金額とすると、Ctは最終
資産金額WEと一致することになる(符号は資金流出で
あるためマイナスとなる)。このように解釈すると、数
式(12)の右辺第一項の乗数因子(WEを含む部分)
は最終売買日の執行リターンに相当するものとなる。と
ころが、この別視点の解釈においても、数式(12)に
具体的な金額を代入すると、右辺第一項の乗数因子(W
Eを含む部分)は明らかに現実離れした値になってしま
う。例えば運用終了日のポートフォリオ金額が朝方に10
0億円だったとし、日中に105億円で売却できたとする
と、最終日のパフォーマンスは、 {105/(100-105)}-1 =-22 …………… (例示1) =-2200% となり、現実的とは思われない数字が計算されてしま
う。さらに数式(12)では、資産が売却された後の市
場変動が一切考慮されていない。これは、ポートフォリ
オを取引最終時間保有していた場合には110億円で売却
できたとしても、この機会損失を評価できないことにな
る。投資リターンとしての評価は完全売却が行われた時
点で完了するとしても、執行リターンは機会が存在する
限り考慮すべき対象であるが、従来の数式(12)では
考慮できないことになる。
【0034】このようなことが従来、現実問題として起
こりえなかった最大の理由は時間加重収益率の計算が日
次ベースで行われたことがなく、数カ月を単位として収
益率を計算し、執行に関わるリターンを厳密に議論して
こなかったためである。先に述べたように2010年には完
全時間加重収益率の導入が必須であることを踏まえれ
ば、その対応が現在においても望まれることになる。そ
こで日次を基準とした資産運用パフォーマンスを計算す
るためには、三つの方法が考えられる。一つ目は上記の
通り、最終日の売買に関するパフォーマンスを誤差とし
て無視する対処法であり、もう一つ目は資産運用終了に
関する収益率計算をこれまでの時間加重収益率計算と分
離して独立に執行パフォーマンスとして計算する方法で
ある。三つ目の方法は、従来の時間加重収益率(数式
(1))に若干の補正を加える方法である。本発明はこ
の補正による方法を採用する。これを「修正(補正)時
間加重収益率」と呼び、以下で具体的に説明する。
【0035】修正時間加重収益率は日次ベースとした完
全な時間加重収益率を基準として考え、上記で記した運
用資産の継続的な管理(ここでは「投資業務」と定義)
と運用資産と現金の交換(投資業務に対して「執行業
務」と定義)とに明確に分離することを念頭に置いたも
のである。収益率の本質は基準時点に保有している総資
産金額(運用資産金額と現金の合計)に対してその期日
終了時の総資産金額変化にある。その変化率を、基準時
点の運用資産から発生したものと現金との交換にかかる
部分から発生したものに分離させて、導出する。
【0036】一般的に従来の資産運用は、期初の運用資
産と期中の現金に関する時間の議論をほとんどしていな
い。 数式(1)もしくは数式(12)において、資金
の流入(現金から運用資産への交換)については厳密で
あるが、資金の流出については合理的な扱いとは必ずし
も言えない側面がある。株式運用を想定する場合、株式
買付時においては確かに市場の寄り前の時点で買付代金
が便宜的には決まっている。その意味では、流入資金に
ついては数式(1)、(12)は厳密である。ところ
が、株式の売却時においては売却済み資金を市場の引け
後に考慮していない。そこで本発明では、資産売却代金
を期末においても保有しているのであるから、期末の資
産金額に期中売却代金を含めて収益率を計算する方が合
理的であると考える。従来の計算方法は、資金の流出入
を符号によって判断し、資金の流出入を式の上で同じよ
うに扱うものであった。ここで想定する「マイナスの資
金の流入」という概念は収益計算の単位として想定して
いる期間が月次や四半期ベースと長く、資金流出入時間
が資産変化期間に比べて無視できるほど短いときには成
り立つ概念であるが、完全時間加重収益率を計算できる
現代情報化時代においては通用しない概念となりつつあ
る。そこで、資金の流入と流出を統一的に扱うために、
数式(1)に時間の概念を入れることによって解決す
る。
【0037】図3に資金流入と資金流出を統一的に扱う
完全時間加重収益率の概念図を示す。ここで、 Wt-1:期初の資産金額 Ct-1:資金流入金額 Xt-1:資産売却金額 Wt :期初に保有していた資産をそのまま保有しつづ
けたときの期末金額 Ct :流入資金によって買付けた資産の期末金額 Xt :期中に売却した資産を売却しなかったと想定し
たときの期末金額 である。ここで補正計算法においても従来と同様に、期
中の資産買付金額を期初に保有していたと考えるため収
益率を計算する基準はWt-1とCt-1の和である。この当
初総資金金額に対して保有資産リターン(投資リター
ン)は
【0038】
【数13】 ・・・・・・(13)
【0039】資金流入によるリターン(流入資金リター
ン)は
【0040】
【数14】 ・・・・・・(14)
【0041】資金流出によるリターン(流出資金リター
ン)は
【0042】
【数15】 ・・・・・・(15)
【0043】となり、これを総計すると
【0044】
【数16】 ・・・・・・(16)
【0045】が得られる。このように完全時間加重収益
率(数式(16))が、純粋に保有資産による収益率
(数式(13))、買付資産による収益率(数式(1
4))、売却資産による収益率(数式(15))の合算
であることが示される。この単位期間当りの収益率を乗
積することによって完全時間加重収益率の一般式が次式
として誘導される。
【0046】
【数17】 ・・・・・・(17)
【0047】数式(17)が有効であることを確認する
ために例示1に当てはめると、 {(110+0-110+105)/(100-0)}-1 =0.05 …………… (例示2) =5% となる。つまり例示1を補正計算法(例示2)で補正す
ると、最終日に5%のリターンを得たと計算される。こ
れは、100億円を105億円で売却できたのであるから当然
の結果である。さらにこの内訳について言及すると投資
リターン10%、執行リターン−5%の結果として完全
時間加重収益率が5%として得られたと説明されること
になる。
【0048】
【発明の効果】本発明は資産運用に関わる損益を投資リ
ターンと執行リターンに分解することによって、運用パ
フォーマンスが何を源泉として発生しているかを明確に
し、そのパフォーマンスの発生が許容したリスクに見合
うものかどうかを見極められるようになった。また従来
の時間加重収益率の計算式は短期の収益率には向かない
が、本発明の完全時間加重収益率では日次ベースで収益
率が計測できる。最近はインターネットによるネット取
引、とりわけネット取引によるデイトレード(daytrad
e)が盛んに行われるようになってきた。本発明はこの
ような取引に対しても対応ができ、広範囲の応用分野が
期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来技術の時間加重収益率を説明するための概
念図である。
【図2】本発明の完全時間加重収益率を説明するための
概念図である。
【図3】本発明の資金流入と資金流出を統一的に扱う、
統一的完全時間加重収益率を説明するための概念図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コンピュータを用いて資金運用の成果を判
    定する方法において、 日次ベースの資金運用において、資金運用パフォーマン
    スが何を源泉として発生しているかを明確にするため
    に、時間t-△t、tにおける資金流出入Ct-△t、Ct、ポ
    ートフォリオWt-△t、Wtとして、執行リターンR
    execution、投資リターンRportfolioをそれぞれ、 Rexecution=Ct/Ct-△tportfolio=(Wt−Ct)/Wt-△t と定義し、執行要因リターンRexecFactor、投資要因リ
    ターンRportFactorをそれぞれ、 RexecFactor=(Ct−Ct-△t)/(Wt-△t
    t-△t) RportFactor=(Wt−Ct−Wt-△t)/(Wt-△t+C
    t-△t) として、投資パフォーマンスから執行パフォーマンスを
    分離することによって執行収益率を計測する執行収益率
    計測方法。
  2. 【請求項2】コンピュータを用いて資金運用の成果を判
    定するプログラムにおいて、日次ベースの資金運用にお
    いて、資金運用パフォーマンスが何を源泉として発生し
    ているかを明確にするために、時間t-△t、tにおける資
    金流出入Ct-△t、Ct、ポートフォリオWt-△t、Wt
    して、執行リターンRexecution、投資リターンR
    portfolioをそれぞれ、 Rexecution=Ct/Ct-△tportfolio=(Wt−Ct)/Wt-△t と定義し、執行要因リターンRexecFactor、投資要因リ
    ターンRportFactorをそれぞれ、 RexecFactor=(Ct−Ct-△t)/(Wt-△t
    t-△t) RportFactor=(Wt−Ct−Wt-△t)/(Wt-△t+C
    t-△t) として、投資パフォーマンスから執行パフォーマンスを
    分離することによって執行収益率を計測する手順を実行
    させるための執行収益率計測プログラム。
  3. 【請求項3】請求項1の執行収益率計測方法において、
    資金流入と流出を統一的に扱うために、期初t-1の資金
    金額Wt-1、資金流入金額Ct-1、資金売却金額Xt-1
    し、期末tの資金Wt(期初の資金をそのまま保有し続け
    たときの期末金額)、流入資金によって買付けた資産の
    期末金額Ct、期中に売却した資産を売却しなかったと
    想定した場合の金額Xtとしたとき、それぞれ保有資産
    リターン(投資リターン)、流入資金リターン、流出資
    金リターンを求め、最終的に完全時間加重収益率Rを R=П{(Wt+Ct−Xt+Xt-1)/(Wt-1
    t-1)}−1 と導き、資金流入と資金流出を統一的に扱う統一的完全
    時間加重収益率の計測方法。
  4. 【請求項4】請求項2の執行収益率計測プログラムにお
    いて、資金流入と流出を統一的に扱うために、期初t-1
    の資金金額Wt-1、資金流入金額Ct-1、資金売却金額X
    t-1とし、期末tの資金Wt(期初の資金をそのまま保有
    し続けたときの期末金額)、流入資金によって買付けた
    資産の期末金額Ct、期中に売却した資産を売却しなか
    ったと想定した場合の金額Xtとしたとき、それぞれ保
    有資産リターン(投資リターン)、流入資金リターン、
    流出資金リターンを求め、最終的に完全時間加重収益率
    Rを R=П{(Wt+Ct−Xt+Xt-1)/(Wt-1
    t-1)}−1 と導き、資金流入と資金流出を統一的に扱う手順を実行
    させるための統一的完全時間加重収益率の計測プログラ
    ム。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015106398A (ja) * 2013-12-03 2015-06-08 株式会社野村総合研究所 運用損益算出システムおよび運用損益算出プログラム
JP2016095800A (ja) * 2014-11-17 2016-05-26 エデュケーショナル・コンテンツ株式会社Educational Path 資産運用評価基準生成装置、資産運用評価装置及びその方法

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