JP6400996B2 - ローションティシュペーパーの製造方法 - Google Patents
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又、薬液を塗布したシートはインターフォルダで折り畳まれて積層され、例えばカートンに収容されてティシュペーパー製品となる。そして、インターフォルダ内で薬液を塗布するオンライン塗布の場合、薬液の塗布量が多くなるとパルプの繊維が膨潤しやすくなり、得られたローションティシュペーパーに大きなシワが生じることがある。一方、インターフォルダで折り畳む前の原反に薬液を塗布して2次原反とし、この2次原反をインターフォルダで折り畳むオフライン塗布の場合、上記したシワの発生は抑制されるものの、インターフォルダ内で断紙が発生して操業性が低下することがある。また、作業工程が多くなるため、操業が煩雑になる。
前記カレンダー処理の前後で、前記原紙の紙厚の変化Δtが0.08〜0.32mm/10枚であることが好ましい。
前記パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20〜50質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50〜80質量%とからなることが好ましい。
前記パルプの叩解前後のフリーネスの差ΔFが20〜200mlであることが好ましい。
本発明の実施形態に係るローションティシュペーパーは、薬液が塗布され、パルプを主成分とするシートを1枚又は2枚以上重ねてなり、1枚のシートの坪量が17.0〜20.0g/m2、紙厚が0.78〜0.95mm/10枚、かつローションティシュペーパーの、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTと、乾燥時の横方向の引張強さDCDTの積の平方根である(DMDT×DCDT)1/2で表される(DGMT)が1.0〜1.9N/25mmである。
紙厚が0.78mm/10枚(シート)未満であると柔らかさとボリューム感が共に低下し、0.95mm/10枚を超えると柔らかさに劣る。上記紙厚は、好ましくは0.81〜0.91mm/10枚、更に好ましくは0.82〜0.88mm/10枚である。
なお、DGMTは、JIS−P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDT(Dry Machine Direction Tensile strength)と、乾燥時の横方向の引張強さDCDT(Dry Cross Direction Tensile strength)との積の平方根であり、(DMDT×DCDT)1/2(DGMT:Geometric Tensile strength)で表される。
DGMTを上記範囲に管理する方法の一例としては、坪量を上記範囲とし、さらに原紙の強度、塗布量を調整することが挙げられる。
上記LBKPの材種としてユーカリ属グランディス、及びユーカリグロビュラスに代表される、フトモモ科ユーカリ属から製造されるパルプが好ましい。又は、このパルプ比率の木材パルプ100質量部に対し、古紙パルプを50質量部程度まで含むことができる。古紙パルプは品質的バラツキが大きく、配合割合が増えると製品の品質、特に柔らかさに大きく影響するので、木材パルプに対して20質量部以下配合するのが望ましく、10質量部以下配合するのがより望ましく、5質量部以下配合するのがさらに望ましく、古紙パルプを配合しないことが最も好ましい。
なお、ローションティシュペーパーに適正な強度を確保するために、通常の手段で原料配合し、パルプ繊維の叩解処理にて強度調整を行うことができる。目標の品質を得るための叩解としては、市販のバージンパルプに対して、JIS−P8121で測定されるフリーネス(カナダ標準ろ水度)の変化量ΔFで20〜200ml、より好ましくは50〜120mlとなるよう、濾水度を低減させるとよい。又、乾燥紙力増強剤は適宜使用してもよい。湿潤紙力増強剤は適宜使用することが好ましい。
薬液としては、多価アルコール(2価以上の水酸基を有するアルコール)を主成分とし、水を含むことが好ましい。多価アルコールは具体的には、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリグリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール等が挙げられる。薬液中の多価アルコールの有効成分の割合は、70〜90質量%が好ましく、75〜85質量%がより好ましく、77〜82質量%が更に好ましい。薬液中の多価アルコールの有効成分が70質量%未満であると、しっとり感が得られにくくなる場合がある。一方、多価アルコールの有効成分が90質量%を超えると、薬液中の水分が少なくなり、薬液の粘度が上昇し、操業性が悪化する場合がある。なお、上記の多価アルコールは、1種類を配合しても、2種類以上配合しても良い。なお、薬液中の多価アルコールとしては、風合いに優れるグリセリンの有効成分(水分を除く成分)が、薬液全体に対して50%以上含まれることが好ましく、より好ましくは60%以上、更に好ましくは65%以上である。
薬剤含有量は、JIS P 8111(1998)条件下において調湿させた所定質量のティシュペーパー製品を分母(A)(g)とし、所定質量のティシュペーパー製品中に含まれる薬液中の水分を除いた質量(B)(g)を分子として、(B)を(A)で除した比率を(%)で表す。なお、(B)の算出は、例えばローションティシュペーパーにアセトン/エタノール抽出を施して定量することができる。
(薬剤含有量)=(B)÷(A)×100(%)
薬剤含有量が14〜25質量%であることがより好ましく、16〜22質量%であることが最も好ましい。
シート状のローションティシュペーパーとしては、各シートを中央でV折りし、それぞれの側端部を掛け合わせながら交互に積層してポップアップ式に取出し可能なティシュペーパー積層体を構成することができ、ポップアップ式に取出し可能であれば他の公知の折り方(例えばZ折り)であってもよい。
ティシュペーパー積層体を構成するために用いるインターフォルダとしては、ロータリー式インターフォルダ、マルチスタンド式インターフォルダが例示できるが、後述するようにロータリー式インターフォルダが好ましい。
まず、図1に示すように、薬液未塗布の原紙からなる2個の原反ロール(ジャンボロール)2をワインダー(プライマシン)装置10にセットし、巻き戻してカレンダーロール4,4間を通してカレンダー処理を施した後、巻き取ってプライ重ね(本例では2プライ)した原紙ロール6を製造する。なお、1プライのローションティシュペーパーの場合は、1個の原反ロール2を巻き戻してカレンダーロール4,4に通してカレンダー処理を行う。
原紙の坪量、紙厚及びDGMTを上記範囲に規定することで、薬液塗布後のローションティシュペーパーの坪量、紙厚及びDGMTを上記範囲に保つことができる。
又、カレンダー処理の前後での原紙の紙厚の変化量Δtが0.08〜0.32mm/10枚であることが好ましい。Δtが0.08mm/10枚未満であると、カレンダー後の紙厚および製品の紙厚が高く(厚く)なり過ぎ、ローションティシュペーパーの積層体60(図2参照)をカートン70へ挿入する際の挿入性が劣り、0.32mm/10枚を超えると、カレンダー後の紙厚および製品の紙厚が低く(薄く)なり過ぎ、柔らかさやボリューム感が劣る場合がある。原紙の紙厚の変化量Δtが0.10〜0.30mm/10枚であることがより好ましく、0.15〜0.25mm/10枚であることが最も好ましい。
ここで、図2に示すように、薬液塗布は、ロータリー式インターフォルダ100でオンライン塗布することが好ましい。ローションティシュペーパーは、ローションを塗布しないティシュペーパーより強度が低いため、マルチスタンド式インターフォルダに比べて加工速度の遅いロータリー式インターフォルダ内でオンライン塗布した方が断紙しにくく、操業性が良い。なお、ロータリー式インターフォルダの加工速度は、40〜150m/minが好ましく、50〜120m/minがより好ましく、60〜90m/minがさらに好ましい。
また、ロータリー式インターフォルダ100を用いると、折り畳み加工されたローションティシュペーパーの積層体60をカートン70の取り出し口から取り出して使用する際、ティシュペーパーを引っ張る方向が、ティシュペーパーの強度が高いMD方向となるため、使用時に破れにくくなる。
ここで、薬液塗布パート20の方式に制限はないが、ロール転写方式が好ましい。ロール転写方式の一例としては、図2に示すように、薬液タンク22からアニックスロール24に薬液を供給し、さらにアニックスロール24からラバーロール26に薬液を転写させ、ラバーロール26を原紙6aに接触させて薬液塗布を行う。ラバーロール26(及びラバーロール26の背後のアニックスロール24)は原紙6aに対向して2個セットされている。
このようにして積層体60を圧縮する際、薬液の塗布直後(つまり、カートン70に挿入する前)の積層体の高さが、(つまり、カートン70に挿入され、薬液の塗布から時間が経過した)ローションティシュペーパー製品における積層体の高さの1.05〜1.40倍であることが好ましい。
上記圧縮比が1.05倍未満であると、柔らかさやボリューム感が劣り、1.40を超えると、積層体60の圧縮時の操業性が劣る場合がある。上記圧縮比が1.10〜1.30倍であることがより好ましく、1.15〜1.25倍であることが更に好ましい。
高さH0は、85〜115mmが好ましく、93〜100mmがより好ましい。また、高さH1は、73〜82mmが好ましく、73〜80mmがより好ましい。なお、ここでは、シート170組についての積層体の高さを規定したが、例えば積層体を構成するシートが200組の製品については、170組に対する比例計算でH0,H1を算出することができる。具体的には、200組の積層体の高さが100mmの場合、170組に換算すると、100mm×170組÷200組=85mmとなる。
次に、カレンダー処理後の原紙に、図2に示すロータリー式インターフォルダで薬液をオンライン塗布し、薬液塗布直後(圧縮前)の積層体60の高さH0および圧縮後の高さH1を測定した。以下の評価を行った。
なお、薬液の組成は、グリセリン65.0%、ソルビトール15.0%、シリコーン1.0%、水分19.0%(いずれも質量%)とした。
原紙及びシートの厚さ:シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重250gf、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm 以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、1回の測定は試料を10枚重ねて行い、測定を10回繰り返して測定結果を平均した。
DMDT,DCDT:JIS−P8113に基づく乾燥時の引張強さ(単位:N/25mm)を測定した。
なお、坪量、DMDT,DCDT、紙厚の測定は、JIS-P8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持した後に行った。
柔らかさ:カートンから取り出したティシュペーパーを展開して手に持ったときの柔らかさを評価した。
しっとり感:カートンから取り出したティシュペーパーを展開して手に持ったときのしっとり感を評価した。
強度:ティシュペーパーのGMTを比較した。
ボリューム感:カートンから取り出したティシュペーパーを展開して手に持ったときのボリューム感、および、製品の紙厚を評価した。
シワの少なさ:カートンから取り出したティシュペーパーを展開して手に持ったときのシワの少なさを目視で評価した。
インターフォルダでの操業性:ロータリー式インターフォルダでの断紙、作業の煩雑さを評価した。
積層体の圧縮時の操業性:積層体を上下のコンベアで圧縮する際のコンベア速度の低下の度合を評価した。積層体を過度に圧縮すると、コンベアの速度が低下し、操業が安定しなくなる傾向にある。
評価は、従来品と同等なものを「3」とし、これよりやや優れているを「4」、優れているを「5」とした。同様に、「3」より劣っているを「2」、著しく劣っているを「1」とした。評価が3〜5であれば問題ない。
シート1枚当たりの坪量が20.0g/m2を超え、紙厚が0.95mm/10枚を超え、DGMTが1.9N/25mmを超えた比較例2の場合、柔らかさが低下した。また、薬液塗布直後の積層体の高さH0が、製品における積層体の高さH1の1.40倍を超え、積層体の圧縮時の操業性が劣った。
薬剤含有量が28質量%を超えた比較例4の場合、強度が低下して薬液塗布時にシワが発生したと共に、インターフォルダ内で断紙して操業性が低下した。
原紙の紙厚の変化Δtが0.32mm/10枚を超えた比較例6の場合、紙厚が低く(薄く)なり過ぎて、柔らかさとボリューム感が劣った。
薬剤含有量以外の条件を比較例8と同一とし、さらにオフラインで薬液塗布を行った比較例9の場合、シワの少なさは優れていたが、インターフォルダでの操業性が劣った。
60 積層体
70 カートン
100 ロータリー式インターフォルダ
Claims (5)
- ローションティシュペーパーを積層して積層体を構成した後、該積層体をカートンに収容するローションティシュペーパーの製造方法であって、
前記ローションティシュペーパーは、薬液が塗布され、パルプを主成分とするシートを1枚又は2枚以上重ねてなり、1枚の前記シートの坪量が17.6〜19.0g/m2、紙厚が0.81〜0.89mm/10枚、薬剤含有量が14〜23質量%であり、
前記薬液をロータリー式インターフォルダでオンライン塗布し、
かつ該ローションティシュペーパーの、JIS P8113に基づく乾燥時の縦方向の引張強さDMDTと、乾燥時の横方向の引張強さDCDTの積の平方根である(DMDT×DCDT)1/2で表される(DGMT)が1.22〜1.61N/25mmであり、
前記薬液の塗布直後の前記積層体の高さが、前記カートンに収容後の製品における前記積層体の高さの1.23〜1.25倍となるよう、前記薬液の塗布直後の前記積層体を積層方向に圧縮した後、前記カートンに収容するローションティシュペーパーの製造方法。 - 前記薬液の塗布前の原紙を、カレンダー処理後の前記原紙の1枚当たりの坪量が14.0〜17.0g/m 2 、紙厚が0.70〜1.00mm/10枚、及び該原紙の(DGMT)が1.6〜2.4N/25mmになるように、当該カレンダー処理する請求項1に記載のローションティシュペーパーの製造方法。
- 前記カレンダー処理の前後で、前記原紙の紙厚の変化Δtが0.08〜0.32mm/10枚である請求項2に記載のローションティシュペーパーの製造方法。
- 前記パルプは、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)20〜50質量%と広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)50〜80質量%とからなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のローションティシュペーパーの製造方法。
- 前記パルプの叩解前後のフリーネスの差ΔFが20〜200mlである請求項1〜4のいずれか1項に記載のローションティシュペーパーの製造方法。
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