JP6399680B2 - シールド掘進用切削可能仮壁を有するケーソン - Google Patents

シールド掘進用切削可能仮壁を有するケーソン Download PDF

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Description

本発明は、一般には、ケーソン工法に適用され地中に沈設されるケーソンに関するものであり、特に、地中を掘削するシールド掘進機の発進又は到達のための発進到達部となる開口部を有するトンネル掘進用立坑として構築され、シールド掘進機により切削可能な繊維補強仮壁を備えたケーソンの構造に関するものである。
ケーソン工法に適用され地中に沈設されるケーソンは、通常、鉄筋を主筋として用いたコンクリート構造部材(RC構造部材)で作製されている。
一方、地中を掘削するシールド掘進機の発進又は到達のための発進到達部となる開口部を有するトンネル掘進用立坑を、ケーソン工法にて構築する場合には、ケーソンは、シールド掘進機により切削可能とすることが必要である。コンクリート自体はシールド掘進機のビットにより簡易に削ることは困難であり、特にシールド掘進機の外径が大きな場合には地盤振動や騒音が生じる場合があることが分かった。
特許文献1には、シールド工法用立坑において、シールド掘進機が通過する壁体部分を、鉄筋の代わりにカーボン繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などに樹脂を含浸して作製した鉄筋状補強材を用いたコンクリート構造とすることが開示されている。
従って、ケーソンの外周壁を、鉄筋の代わりに繊維強化プラスチック製筋(FRP筋)を使用して補強したRC構成部材で構築することが考えられる。このようなケーソンの外周壁は、シールド掘進機で切削可能である。
特公平6−37830号公報
つまり、例えば強化繊維として炭素繊維を使用したFRP筋(即ち、CFRP筋)、或いは、強化繊維としてガラス繊維を使用したFRP筋(即ち、GFRP筋)などで補強したコンクリート壁はシールド掘進機で切削可能である。
そこで、本発明者らは、今後大断面シールドの発進、到着に需要拡大が見込まれるケーソンにおいて、その要求を十分に満足するようにコンクリート中にFRP筋としてCFRP筋或いはGFRP筋を埋め込み、ビットにより切削を試みたところ、コンクリート壁部分の切削時に比べ、FRP筋部分の切削の際には振動、騒音が大きく低減することが実験的に確認された。特に、この低減はGFRP筋切削時に大きいことが分かった。
CFRP筋よりGFRP筋の方が、振動、騒音の低減が大きいのは、GFRP筋の方がCFRP筋よりも引張り、せん断強度、剛性が小さいこと、及び、GFRP筋のガラス繊維とマトリックス樹脂との接着強度が弱く、容易にビットでガラス繊維とマトリックス樹脂との接着界面を破壊できることに起因することが分かった。
また、GFRP筋自体の構造が重要であり、更には、コンクリート壁中におけるGFRP筋の含有量及び配筋態様が振動、騒音の低減、及び、シールド掘進機のビットの摩耗に大きく影響することが分かった。
本発明は、斯かる本発明者らの新規な知見に基づくものである。
本発明の目的は、シールド掘進機による切削時の振動、騒音を著しく低減することができ、更にはシールド掘進機のビット摩耗を少なくすることのできる、シールド掘進機で切削可能な仮壁を有したケーソン工法に適用されるケーソンを提供することである。
上記目的は本発明に係るシールド掘進機で切削可能な仮壁を有したケーソンにて達成される。要約すれば、本発明は、ケーソン工法に適用されるコンクリート中に鉄筋を主筋として埋め込んだRC構造部材で作製されたケーソンであって、
ケーソン周壁の一部にシールド掘進機で切削可能な仮壁を有し、
前記仮壁は、前記仮壁に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材が0.3体積%以上、10体積%以下にて埋め込まれている、
ことを特徴とするケーソンである。
本発明の一実施態様によれば前記仮壁は、前記仮壁に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材が0.3体積%以上、5体積%以下にて埋め込まれていることが好ましい。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材におけるガラス繊維の含有量は、30〜75体積%である。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材におけるマトリックス樹脂は、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、或いは、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であるか、又は、ナイロン或いはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂である。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、直径10〜65mmの中実のロッド状とされる。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、外径20〜70mm、肉厚5〜25mmの中空の管状とされ、管内部には樹脂が充填される。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、長手軸線方向に沿って形成された環状の突起か、或いは、螺旋状の突起を有している。
本発明の他の実施態様によると、前記仮壁は、前記仮壁に対して、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材の他に炭素繊維強化プラスチック製筋材が0.2体積%以上、2.5体積%未満にて埋め込まれている。
本発明の他の実施態様によると、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、前記仮壁の地山側コンクリート表面に近接してより多く配置する。
本発明によれば、シールド掘進機による切削時の振動、騒音を著しく低減することができる。また、シールド掘進機のビットの摩耗を少なくすることができる。
本発明の一実施例を示す、ケーソン工法により地中へと沈設されたケーソンの概略断面図である。 図2(a)はケーソンの仮壁の一実施例を示す正面図であり、図2(b)〜(d)は、図2(a)の線A−Aに取った仮壁における配筋態様の例を示す断面図である。 ガラス繊維強化プラスチック筋材の種々の実施例を示す斜視図である。 仮壁切削試験設備の概略構成を示す図である。 仮壁切削時の振動、騒音の状態を示す図である。 仮壁の切削時のコンクリートの脱落状態を示す写真であり、図6(a)はガラス繊維強化プラスチック筋材を有した仮壁を切削した場合を示し、図6(b)はガラス繊維強化プラスチック筋材を有していない仮壁を切削した場合を示す。 図7(a)は仮壁の他の実施例を示す正面図であり、図7(b)は、図7(a)の線A−Aに取った仮壁における配筋態様の例を示す断面図である。
以下、本発明に係るケーソンを図面に則して更に詳しく説明する。
実施例1
図1は、ケーソン工法により、地中へと沈設されたケーソン1の概略断面図であり、本発明に係るシールド掘進機200で切削可能な仮壁100を有したケーソン1の一実施例を示す。図1に示す本実施例では、トンネル掘進用立坑として構築された1ロット目と2ロット目のケーソン1(1A、1B)が示されているが、説明を簡単にするために、1ロット目のケーソン1Aに、地中を掘削するシールド掘進機200の発進又は到達のための開口部、即ち、発進到達部を構成する、シールド掘進機200により切削可能な繊維補強仮壁100が形成されるものとして説明する。従って、以下の説明で、特に、1ロット目と2ロット目のケーソン1(1A、1B)を区別して説明する必要がある場合を除いては、1ロット目のケーソン1Aを単に「ケーソン1」と呼ぶこととする。
本実施例にて、ケーソン1は、垂直に構築される立坑を構成し、この垂直軸線に直交する方向(水平方向)に取った断面が矩形状(四角形)であるとして説明するが、その他の多角形状、或いは、円形状などとすることができる。本実施例にてケーソン1は、矩形筒状の周壁2を備え、周壁下方端縁部には刃口3が形成される。また、圧気ケーソンの場合は、図示するように、周壁2の下方端には底壁(底板)4が形成され、この底板4と前記刃口3とにより地盤掘削のための作業室5が形成される。
このようなケーソン1は、地上にてコンクリートを打設して形成され、オープンケーソン工法或いは圧気ケーソン工法などにより、地中へと沈設される。2ロット目のケーソン1Bは、1ロット目のケーソン1Aがその周壁2の上端近くまで沈設が進んだ時、鉄筋組み立て作業、型枠組立作業、コンクリート打設などが行われ、1ロット目のケーソン1Aに積層して地中へと沈設される。その後、地盤の掘削とケーソンの沈下が繰り返し行われ、ケーソン方式による立坑が構築される。
本実施例では、上述したように、1ロット目のケーソン1Aに、地中を掘削するシールド掘進機200の発進又は到達のための発進到達部である開口部を形成するための、シールド掘進機により切削可能な繊維補強仮壁100が作製される。
図2(a)、(b)をも参照すると理解されるように、繊維補強仮壁100は、シールド掘進機200の最大掘削領域201より大きな領域202とされる。例えば、シールド掘進機200の最大掘削領域201が直径(D1)で5mとすると、仮壁100の領域202は直径(D2)で5.2〜5.5mとされる。尤も、仮壁100は、通常円形とされるが、これに限定されるものではなく、シールド掘進機200の通過を可能とするような一辺の長さが、例えば5.2〜10mとされる矩形状であってもよい。
本実施例にて、ケーソン1の周壁2は、縦筋及び横筋である主筋としての鉄筋11(図2(a)〜(d)には縦筋のみを図示し、横筋は図示していない)を有しており、更には、これら鉄筋11をスターラップ筋(図示せず)にて巻き付け、コンクリート中に埋め込んだ従来のケーソンと同様のRC構造部材とされる。従って、周壁2の構造は当業者には周知であるのでこれ以上詳しい説明は省略する。ただ、本実施例にて、仮壁100は、鉄筋11の代わりにガラス繊維強化プラスチック製筋材を縦筋及び横筋である主筋101(図2(a)〜(d)には縦筋のみを図示し、横筋は図示していない)として埋め込んだRC構造部材とされる。勿論、仮壁100においても、主筋の他に切削可能なスターラップ筋(図示せず)を有し、コンクリート中に埋め込んだ構造とすることもできる。
つまり、仮壁100は、ガラス繊維強化プラスチック製筋材から成る主筋(縦筋、横筋)101と、必要に応じてスターラップ筋(図示せず)とを、例えば、籠状に組み立て、コンクリート2に埋設して構成される。特に、仮壁100の主筋101は、仮壁周辺領域のケーソン周壁2を構成する鉄筋11と重ね継ぎ手などの手段により連結するのが好ましい。
ケーソン周壁2及び仮壁100のコンクリートとしては、石灰砕石を粗骨材とする石灰石コンクリートが好ましい。
更に、本発明の特徴をなす仮壁100の主筋101について説明する。
主筋101であるガラス繊維強化プラスチック製筋材は、ガラス繊維にマトリクス樹脂が含浸して構成されるが、ガラス繊維の含有量は、30〜75体積%とされる。マトリクス樹脂としては、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、或いは、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であるか、又は、ナイロン或いはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂とされる。
また、主筋101は、図3(a)に示すように、直径(dr)は10〜65mmの中実のロッド状とされる。直径(dr)が10mm未満の場合は、配筋本数が多数となり配筋が困難といった問題があり、また、直径(dr)が65mmを超えるとコンクリートの付着面積が小さくなり過ぎて、重ね継手による定着長が長くなる、コンクリートのひび割れが分散し難い、付着のバランスが崩れる、といった問題が発生する。
一方、スターラップ筋も又、ガラス繊維強化プラスチック部材から成る直径10〜60mmの細長部材とするのがこのましいが、これに限定されるものではなく、シールド掘進機200による切削が容易な2〜10mm程度の針金状部材などであっても良い。
仮壁100にて、主筋101は、通常は、プラス、マイナスの曲げモーメントに効率的に抵抗するために、図2(b)に示すように、地山側、掘削側の表面に近い部位に主として配筋される。なお、振動等の低減のため図2(c)に示すように、仮壁100の横断面にて全体に一様に配置することもできるが、曲げモーメントに抵抗するのに必要な筋材量を超えて地山側及び掘削側に沿って配置することもできる。特に、図2(d)に示すように、主筋101を地山側表面近傍に多く配置した場合には次のような効果が期待される。
つまり、シールド掘進機200でコンクリート壁2を切削する場合に、特に問題となるケースが多いのは、シールド掘進機200の到達によるケーソン仮壁の掘削の場合である。即ち、この場合は、シールド掘進機200がケーソン(立坑)1の外、即ち、地山側にあり、立坑の壁で振動が遮蔽できない到達時である。シールド掘進機200で、地山側から立坑への到達時に立坑壁(仮壁)100を切削した場合には、シールド掘進機200が立坑壁外側表面を切削している場合よりも、立坑壁100に頭を突っ込んだ状態の方が振動が小さくなる場合がある。これは立坑壁100に頭を突っ込んだ状態の方が、ビットとコンクリート壁間で発生している振動をシールド掘進機200のシールド面板や本体、及び立坑壁100で遮蔽しているためである。
そのため、図2(d)に示すように、主筋(GFRPロッド)101を地山側コンクリートの表面付近に配置した場合、図2(c)に示すように、全体に一様に配置するよりも少量で効率的に切削性を向上させることが可能となり、騒音、振動の低減を図ることができる。
上述にて理解されるように、コンクリート中に多量にGFRPロッド101を配置した場合、切削時の振動は軽減されるが、GFRPロッド101の切削屑によりシールド掘進機200のビットの摩耗が促進される。特に、GFRPロッド101の切削屑は非常に硬度の高いシリカを含むため、GFRPロッド101の含有量には注意する必要がある。
そこで、仮壁100に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材(GFRPロッド)が0.04体積%以上、15体積%未満にて埋め込まれることが必要である。筋材の含有量が0.04体積%未満では、切削時の騒音、振動の軽減効果が十分には達成されないといった問題が生じ、15体積%以上では、ビット摩耗が顕著となるといった問題が生じる。この点については、実験例を挙げて後で更に説明する。
次に、コンクリート中にGFRPロッド101を配置した場合のコンクリートの補強強度の点からGFRPロッドのコンクリート中の含有量(配筋量)について考察する。
本発明者らの研究実験によれば、ガラスロッド補強コンクリートが曲げによりひび割れた際に急速に崩壊しないためには、一般的なガラスロッドを配筋したコンクリートの最小補強筋量は、0.15体積%であることが分かった。
なお、上記ガラスロッド補強コンクリートの構成は次の仕様に基づく。
コンクリートの幅及び厚さ:1000mm
コンクリート強度:24N/mm2
ガラスロッドのヤング率:45000N/mm2
ガラスロッドの強度:960N/mm2
鉄筋(ガラスロッド)かぶり:50mm
ここで、コンクリートの切削性を向上させるには、最低でも上記最小補強筋量の2倍が必要であることから、本発明では、コンクリート中におけるガラスロッドの最小補強筋量は、0.3体積%以上とされる。好ましくは、ガラスロッドの補強筋量は、更に上記値の2倍である0.6体積%以上とされる。
一方、配筋量が多くなり過ぎると配置効率が悪く、材料、施工コストの増大、コンクリート打設時のコンクリートの廻りが悪くなる、などの弊害が生じる。従って、5体積%以内とすることが望ましい。
つまり、騒音、振動、ビット摩耗軽減の点、及び、補強強度の点からいえば、仮壁100に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材(GFRPロッド)が0.3体積%以上、15体積%未満、好ましくは、0.6%以上、5体積%以下とされる。
仮壁100中におけるGFRPロッド101の含有量については、後述の実験例の説明にて更に説明する。
変更実施例1
上記説明では、仮壁100の主筋101は、図3(a)に示すように、円型断面を有した中実のロッド状のガラス繊維強化プラスチック、即ち、GFRPロッドにて構成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。図3(b)に示すように、中空管状のガラス繊維強化プラスチック、即ち、GFRP管にて構成することができる。内部にコンクリートが充填されないように、GFRP管の中空部には、切削性の良い樹脂103を充填しておくのが良い。樹脂としては、GFRPロッド101のマトリックス樹脂と同様に、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、或いは、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であるか、又は、ナイロン或いはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂とされる。
仮壁100中における主筋101としてのGFRP管は、中実のGFRPロッドと同じ含有量とされた場合には、その表面積が増大することにより、コンクリートとの剥離性が増大し、結果としてシールド掘進機200による切削性が増大することとなる。
GFRP管の外径(dt)は、20〜70mm、厚さ(t)が5〜25mmとされる。この範囲外の寸法のGFRP管では、即ち、外径(dt)が20mm未満の場合には、上述したロッド状の場合と同様に、配筋本数が多数となり配筋が困難といった問題があり、また、外径(dt)が70mmを超えるとコンクリートの付着面積が小さくなり過ぎて、重ね継手による定着長が長くなる、コンクリートのひび割れが分散し難い、付着のバランスが崩れる、といった問題が発生する。
変更実施例2
主筋101の形状は、図3(a)、(b)を参照して上述したように、ロッド状或いは管状とすることができるが、更に、図3(c)に図示するように、例えば、ロッド状の筋材101aの長手軸線方向に所定の間隔P(例えば、P=5〜30mm)で環状の突起104を有するように作製することができる。また、図3(d)に図示するように、ロッド状の筋材101aの長手軸線方向に所定のピッチP(例えば、P=5〜30mm)を有した螺旋状の突起104を有するように作製しても良い。勿論、図示してはいないが、管状の筋材に対しても環状或いは螺旋状の突起を形成しても良い。
また、環状(或いは螺旋状)突起104は、外径(d104)が筋材101aの直径(dr、dt)より1〜10mmだけ大きい寸法とされ、又、突起の幅(w104)は2〜30mmとし得る。
斯かる形状とすることにより、主筋101は、仮壁100に埋設された主筋101の長手軸線方向へのコンクリートからの引き抜きに対する抵抗は増大し、且つ、主筋101の長手軸線方向に対して直角方向へのロッドとコンクリート間の接着強度は低下させて主筋とコンクリート間の接着強度をコンクリートの引張強度以下とすることができる。
シールド掘進機200による仮壁100の切削性について実験を行った。
(実験例1、2、3)
実験条件
本発明者らは、コンクリートに対する主筋101としてのガラス繊維強化プラスチック製筋材(GFRPロッド)を含有した仮壁供試体1Sを作製して切削試験を行った。切削試験は、図4に示す切削試験設備を使用して、切削試験機にて面板を供試体に押し付けながら面板を回転させることにより仮壁供試体1Sを切削した。
(ガラス繊維強化プラスチック製筋材)
強化繊維:ガラス繊維(繊維径13μm)
樹脂: エポキシ樹脂
樹脂含浸量:50体積%
GFRPロッドの直径(dr):30mm
(コンクリート)
水セメント比:30重量%
砕石:普通砕石
28日強度(圧縮強度):50N/mm2
ここで、切削試験機のビットは、
・ビット材質:E5
・ビット幅:25mm、先端R:1.5mm
の片刃フラットビットを、先行ビットを模して使用した。一定の摺動距離を切削後に、ビットの先端の減少量を測定した。
実験例1
図5は、1本の上記ビットを用いて上記ガラス繊維強化プラスチック製筋材(GFRPロッド)を1本埋設したコンクリートブロック(仮壁供試体)1Sを切削した際のものである。
切削時の振動、騒音(X部分がGFRPロッド部を切削、それ以外はコンクリート部の切削)は、GFRPロッド部切削時には、コンクリート部切削時よりも振動で最大20db低減されている。また、騒音は、最大で25db低減されている。
実験例2
コンクリートに対する主筋としてのGFRPロッドの含有量を変化させて仮壁供試体1Sを作製して切削試験を行った。
表1に実験結果を示す。
コンクリート中に多量のGFRPロッドを配置した場合、切削時の振動は軽減されるが、GFRPロッドの切削屑によりビットの摩耗が促進されることが分かった。特に、本発明にて使用するGFRPロッドの切削屑は、非常に硬度の高いシリカを含むため、GFRPロッドの含有量は重要であり、仮壁に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材の含有量は筋材が15体積%未満にて埋め込まれていることが重要であることが分かる。
実験例3
図6(a)、(b)は、上記ビットを2本使用してGFRPロッドを1本埋設した仮壁供試体1Sを切削したものである。ビットは、上記のように25mm幅の平型であり、ビット間の削り残し幅は35mmである。GFRPロッド有り(図6(a))、GFRPロッド無し(図6(b))のケースとも60mmの深さまで削り込んでいる。
図6(b)に示すGFRPロッド無しの場合は、ビット間のコンクリートは脱落していないため、実際のシールド掘進機での掘削時には、先行ビットで削り残した部分をメインビットで切削する必要がある。そのため、
(1)切削効率が悪い。
(2)押し付け力が余分にかかる。
(3)余分なトルクが必要になる。
(4)先行ビット間のコンクリートをメインビットで削るため、振動がさらに大きくなる。
などのデメリットとなる。小型のシールド掘進機では装備トルク、ジャッキに余裕がないため、ビット間のコンクリートが残るとコンクリート壁を切削できない場合も生じる。
図6(a)に示すGFRPロッド有りの場合は、2本のビット間コンクリートは残っているが、コンクリートとGFRPロッドの接着が悪い場合にはGFRPロッド近傍のコンクリートが脱落し、その部分を新たにビットで削る必要が無くなる。また、GFRPロッド付近のコンクリートが脱落し、その現象が他の部分まで伝達するため、付着の悪いGFRPロッドがコンクリート中に無い場合と比べ、更に切削性が向上する。
実施例2
上記説明では、仮壁100の主筋101は全てガラス繊維強化プラスチック筋材(GFRP筋材)にて構成されるものとして説明したが、図7(a)、(b)に示すように、GFRP筋材101Gの他に炭素繊維を強化繊維とした繊維強化プラスチック、即ち、炭素繊維強化プラスチック筋材(CFRP筋材)101Cを混入しても良い。この場合、CFRP筋材101Cの仮壁100に対する含有量は、0.2体積%以上、2.5体積%未満とされる。
勿論、本実施例においても、GFRP筋材101G及びCFRP筋材101Cは、ロッド状或いは環状とし得る。また、突起104をも備えることも可能である。
シールド掘進機200による仮壁100の切削性について実験を行った。
(実験例1)
実験条件
本発明者らは、仮壁における主筋101としてコンクリート中にガラス繊維強化プラスチック筋材(GFRPロッド)101G及び炭素繊維強化プラスチック筋材(CFRPロッド)101Cを混入した仮壁供試体1Sを作製して切削試験を行った。切削試験は、図4に示す切削試験設備を使用して実施した。
(ガラス繊維強化プラスチック製筋材)
強化繊維:ガラス繊維(繊維径13μm)
樹脂: エポキシ樹脂
繊維含有量:50体積%
GFRPロッドの直径(dr):30mm
(炭素繊維強化プラスチック製筋材)
強化繊維:炭素繊維(繊維径7μm)
樹脂: エポキシ樹脂
繊維含有量:50体積%
CFRPロッドの直径(dr):30mm
(コンクリート)
水セメント比:30重量%
砕石:普通砕石
28日強度(圧縮強度):50N/mm2
ここで、切削試験機のビットは、
・ビット材質:E5
・ビット幅:25mm、先端R:1.5mm
の片刃フラットビットを、先行ビットを模して使用した。一定の摺動距離を切削後に、ビットの先端の減少量を測定した。
切削試験結果を表2に示す。
切削試験の結果、次の現象が確認された。
(1)GFRPロッド及びCFRPロッドのような繊維強化プラスチック(FRP)ロッドの部分において、コンクリート部分に比べて振動/騒音が非常に低下し、この現象はGFRPロッドにおいて顕著である。
(2)FRPロッドの周辺をビットにて切削すると、FRPとコンクリートの付着が悪いためビット間のコンクリート及びロッド周辺のコンクリートが脱落する現象が生じる。このため、脱落した部分をビットで切削しないことが可能となる。
上記事項(1)、(2)の現象が組み合わさって、FRPロッドを一定量以上コンクリートに混入した場合、コンクリート切削時の振動、騒音が低減される。
上記事項(2)の現象を確認するために、GFRPロッドの外周に潤滑剤を塗布することによってコンクリートとロッド間の接着強度を変化させたロッドを50N/mm2のコンクリート中に埋め込み切削試験を行った。その結果を表3に示す。
表3から分かるように、GFRPロッドとコンクリートの接着性(接着強度)が0(ゼロ)であるか、或いは、コンクリートの引張強度以下である場合にGFRPロッドとコンクリートの間に脱落が生じた。
上記事項(1)にて、CFRPロッドよりもGFRPロッドの方が振動の低減が大きいのは、GFRPロッドの方がCFRPロッドよりも引張り、せん断強度、剛性が小さいこと及びGFRPロッドのガラス繊維とマトリックス樹脂の接着強度が弱く、ビットにより容易にガラス繊維とマトリックス樹脂界面を破壊できることに起因する。
主として、CFRPロッドに荷重を負担させ、GFRPロッドを切削向上のための補助的に用いることも可能であるが、主筋としてCFRPロッドを用いず、GFRPロッドのみでFRP補強RC部材を構成することも可能である。CFRPロッドに比べ安価なGFRPロッドを多く使うことにより、効率的に切削時の振動、騒音を低減することができる。
従って、仮壁100に主筋として含有される炭素繊維強化プラスチック製筋材101Cは、仮壁100に対して、体積含有率で0.2体積%以上、2.5体積%未満にて埋め込まれているのが好適である。
1(1A、1B) ケーソン
2 周壁
3 刃口
4 底板(底壁)
5 作業室
100 繊維補強仮壁
101(101G) ガラス繊維強化プラスチック筋材
101(101C) 炭素繊維強化プラスチック筋材
104 突起
200 シールド掘進機

Claims (9)

  1. ケーソン工法に適用されるコンクリート中に鉄筋を主筋として埋め込んだRC構造部材で作製されたケーソンであって、
    ケーソン周壁の一部にシールド掘進機で切削可能な仮壁を有し、
    前記仮壁は、前記仮壁に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材が0.3体積%以上、10体積%以下にて埋め込まれている、
    ことを特徴とするケーソン。
  2. 前記仮壁は、前記仮壁に対して、コンクリート中に主筋としてガラス繊維強化プラスチック製筋材が0.3体積%以上、5体積%以下にて埋め込まれていることを特徴とする請求項1に記載のケーソン。
  3. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材におけるガラス繊維の含有量は、30〜75体積%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のケーソン。
  4. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材におけるマトリックス樹脂は、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、ビニルエステル樹脂、MMA樹脂、アクリル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、或いは、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂であるか、又は、ナイロン或いはポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載のケーソン。
  5. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、直径10〜65mmの中実のロッド状とされることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のケーソン。
  6. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、外径20〜70mm、肉厚5〜25mmの中空の管状とされ、管内部には樹脂が充填されることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のケーソン。
  7. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、長手軸線方向に沿って環状の突起、或いは、螺旋状の突起を有していることを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のケーソン。
  8. 前記仮壁は、前記仮壁に対して、前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材の他に炭素繊維強化プラスチック製筋材が0.2体積%以上、2.5体積%未満にて埋め込まれている、
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載のケーソン。
  9. 前記ガラス繊維強化プラスチック製筋材は、前記仮壁の地山側コンクリート表面に近接してより多く配置することを特徴とする請求項1〜のいずれかの項に記載のケーソン。
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