JP6398469B2 - 熱交換器 - Google Patents
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Description
仮に、エアヒータにおいて、伝熱面積を大きくするために、上記のプレート式熱交換器のような、屈曲した畝溝の形成されたプレートが接触しつつ積層された構造を採用した場合には、気体が流通する流路の断面積が小さいことから圧力損失が大きくなってしまう。
まず、本発明の第1実施形態に係るエアヒータ1について説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係るエアヒータ1を用いたボイラ装置100の構成を模式的に示す図である。
ボイラ装置100は、缶体110と、送風機120と、給気路130と、排気路140と、給水路150と、エコノマイザ160と、本発明の熱交換器としてのエアヒータ1と、を備える。
ボイラ筺体111は、側面に形成された給気口111a及び排気口111bを有する。ボイラ筺体111は、給気口111aにおいて、後述の給気路130の先端部と接続され、排気口111bにおいて、後述の排気路140の基端部と接続される。
上部ヘッダ114は、水管群112の上方に配置される。上部ヘッダ114には、水管群112を構成する複数の水管の上端部が接続される。上部ヘッダ114の上部には、上部ヘッダ114の内部の蒸気を流出させる図示しない蒸気流出管が接続される。
給気路130は、燃料供給ライン131の先端部と接続する。燃料供給ライン131から供給された燃料ガスは、送風機120によって引き込まれた燃焼用空気と混合される。
本実施形態では、排気路140は、図1に示すように、ボイラ筺体111に形成された排気口111bから上方に延びる第1上向き排気路部141と、第1上向き排気路部141の上端部から屈曲した後に下方に延びる下向き排気路部142と、下向き排気路部142の下端部から屈曲した後に上方に延びる第2上向き排気路部143と、を備える。
本実施形態では、まず、缶体110において蒸気が生成される。具体的には、まず、燃料ガスと燃焼用空気とが給気路130において混合され、この燃焼ガスと燃焼用空気との混合ガスが図示しないバーナからボイラ筺体111の内部に噴出されて燃焼される。次いで、混合ガスの燃焼により発生した燃焼ガスにより、複数の水管群112が加熱され、水管群112を構成するそれぞれの水管の内部に供給された缶水から蒸気が生成される。水管群112を構成するそれぞれの水管の内部で生成された蒸気は、上部ヘッダ114に集められた後、蒸気流出管から流出される。
エアヒータ1は、積層された、複数枚の矩形状のプレート10と、複数枚のプレート10を覆う筒状に形成されたケース20と、を有する。プレート10及びケース20は、例えばステンレス製である。
図6に示すように、プレート10は、一定の間隔で屈曲して第2の方向Yに延びると共に第1の方向Xに交互に形成される複数の畝部15及び複数の溝部16(ヘリンボーン形状の畝溝)を有する。畝部15及び溝部16は、複数回屈曲しながら第2の方向Yに延びている。つまり、畝部15及び溝部16は、複数の周期に亘って屈曲している。なお、ここで周期とは、第1の方向Xの一方に突出した畝部15及び溝部16の屈曲部分同士の間の、屈曲の繰り返し単位のことであり、図6の周期Cがそれにあたる。畝部15及び溝部16の延びる方向(第2の方向Y)は、燃焼用空気及び燃焼ガスの流通方向(第1の方向X)と直交する。
プレート10の畝溝形状(ヘリンボーン形状)は、例えば、ステンレス製の平板をプレス加工することにより形成することができる。
本実施形態では、図1に示すように、燃焼用空気(第1のガス)は、第1のガス流路31を燃焼用空気流入口311から燃焼用空気排出口312に向かって、つまり、第1の方向Xの一方側から他方側に流通する。一方、燃焼ガス(第2のガス)は、第2のガス流路32を燃焼ガス流入口321から燃焼ガス排出口322に向かって、つまり、第1の方向Xの他方側から一方側に流通する。このように、エアヒータ1は、燃焼用空気及び燃焼ガスの流れが対向流となるように構成される。
(1)第1実施形態では、第1のガスと第2のガスとの間で熱交換を行うエアヒータ1において、屈曲して延びる複数の畝部15及び複数の溝部16を有するプレート10を、間隔を開けて複数枚積層した。また、畝部15及び溝部16の延びる第2の方向Yに交差する第1の方向Xの両端側に、プレート10同士の間に形成される第1のガス流路31及び第2のガス流路32のガス流入口及びガス排出口を形成した。更に、隣り合って配置される2枚のプレート10の、対向する畝部15の頂部間の積層方向Zにおける距離(δ)に対するプレート10の畝部15の頂部と溝部16の底部との間の積層方向Zにおける距離(h)の比の値(h/δ)を、0.3〜0.7とした。
これにより、プレート10同士の間にガスが円滑に流れることのできる空間が十分に確保されるので、エアヒータ1を使用した際の圧力損失は大きくならない。そして、プレート10同士の間に、畝部15の、ガス流路の上流側に突出して屈曲した部分に衝突したガスが旋回する。ガスの旋回流Gにより、エアヒータ1でのガスの流れが不規則になり、境界層の発達が抑えられるので、エアヒータ1の伝熱性能(熱交換器性能)が高くなる。このように、本実施形態に係るエアヒータ1は、圧力損失が大きくない上に伝熱性能が高い。
なお、距離(δ)に対する距離(h)の比の値(h/δ)が、0.3未満であると、ガスの旋回流が生じ難いことから熱交換器性能が低下する。比の値(h/δ)が、0.7よりも大きいと、対向する畝部15の頂部が接近していることから圧力損失が大きく、溝部16の底部付近でガスの流速が遅くなることから熱交換器性能が低下する。また、比の値(h/δ)は、0.4〜0.6であることが好ましい。
これにより、圧力損失を十分に小さくできる上に、熱交換器性能をより高めることができる。なお、距離(δ)が、5mm未満であると圧力損失が大きくなる傾向にあり、9mmよりも大きいと2枚のプレート10が離れることでガスの不規則な流れが生じ難くなることから熱交換器性能が低下する傾向にある。前記距離(h)が2mm未満であると、ガスの旋回流が生じ難いことから熱交換器性能が低下する傾向にあり、5mmよりも大きいと溝部16の底部付近でガスの流速が遅くなることから、やはり熱交換器性能が低下する傾向にある。また、距離(δ)の上限は7mmであることが、距離(h)の上限は3mmであることがより好ましい。
これにより、畝部15の、ガス流路の上流側に突出して屈曲した部分が多くなる。従って、ガスの旋回流が生じやすくなり、ガスの流れがより不規則になることから、熱交換器性能がより向上する。
続いて、本発明の第2実施形態に係るエアヒータ1Aついて説明する。
なお、第2実施形態に係るエアヒータ1Aについては、第1実施形態に係るエアヒータ1と異なる構成について説明し、同様の構成については説明を省略する。
図9及び10は、エアヒータ1Aのプレートを示す図であり、図9はエアヒータ1Aの2枚のプレート10Aの斜視図であり、図10はエアヒータ1Aの2枚のプレート10Aの断面図である。
プレート10Aの畝溝形状(ヘリンボーン形状)並びに凸部18A及び凹部19Aは、例えば、ステンレス製の平板をプレス加工により成型することで、同時に形成することができる。
(4)第2実施形態では、プレート10Aに、畝部15A及び溝部16Aの間に形成される側面17Aから膨出する、膨出高さ(e)が距離(h)よりも小さい複数の凸部18Aを形成した。
これにより、ガスが凸部18Aに衝突してガスの流れがより不規則になることから、熱交換器性能がより向上する。この効果は、凸部18Aによる前縁効果にも起因するものと考えられる。
例えば、上記実施形態においては、本発明の熱交換器を、ボイラ装置のエアヒータに適用したが、本発明の熱交換器の用途としてはこれに限定されない。
まず、上記第1実施形態において説明したエアヒータ1と同様のエアヒータを用いて、距離(δ)と熱交換器性能との関係を調べた。具体的には、隣り合って配置される2枚のプレート10の、対向する畝部15の頂部間の積層方向Zにおける距離(δ)の異なる複数のエアヒータを作製した。この際、距離(h)は3mm、距離(p)は12mmとし、プレート10の大きさは300mm×400mm(第2の方向Yの長さ×第1の方向Xの長さ)とし、畝部15及び溝部16の屈曲の周期の数は1とした。
上記第1実施形態において説明したエアヒータ1と同様のエアヒータを用いて、距離(h)と熱交換器性能との関係を調べた。具体的には、プレート10の畝部15の頂部と溝部16の底部との間の積層方向Zにおける距離(h)の異なる複数のエアヒータを作製した。この際、距離(δ)は5mm、距離(p)は12mmとし、プレート10の大きさは300mm×400mm(第2の方向Yの長さ×第1の方向Xの長さ)とし、畝部15及び溝部16の屈曲の周期の数は1とした。そして、各エアヒータの熱交換器性能を、距離(δ)と熱交換器性能との関係を調べた際と同様の方法により算出した。
距離(h)と、距離(h)の異なる各エアヒータの相対的な熱交換器性能との関係を図12のグラフに示した。
上記第1実施形態において説明したエアヒータ1と同様のエアヒータを用いて、距離(p)と熱交換器性能との関係を調べた。具体的には、プレート10の隣接する畝部15同士の距離(p)の異なる複数のエアヒータを作製した。この際、距離(δ)は5mm、距離(h)は3mmとし、プレート10の大きさは300mm×400mm(第2の方向Yの長さ×第1の方向Xの長さ)とし、畝部15及び溝部16の屈曲の周期の数は1とした。そして、各エアヒータの熱交換器性能を、距離(δ)と熱交換器性能との関係を調べた際と同様の方法により算出した。
距離(p)と、距離(p)の異なる各エアヒータの相対的な熱交換器性能との関係を図13のグラフに示した。
上記第1実施形態において説明したエアヒータ1と同様のエアヒータを用いて、畝部及び溝部の屈曲の周期の数と熱交換器性能との関係を調べた。具体的には、畝部15及び溝部16の屈曲の周期数の異なる複数のエアヒータを作製した。この際、距離(δ)は5mm、距離(h)は3mm、距離(p)は12mmとし、プレート10の大きさは300mm×400mm(第2の方向Yの長さ×第1の方向Xの長さ)とした。そして、各エアヒータの熱交換器性能を、距離(δ)と熱交換器性能との関係を調べた際と同様の方法により算出した。
畝部15及び溝部16の屈曲の周期の数と、その数の異なる各エアヒータの相対的な熱交換器性能との関係を図14のグラフに示した。
上記第2実施形態において説明したエアヒータ1Aと同様のエアヒータを用いて、凸部と熱交換器性能との関係を調べた。具体的には、プレート10Aに形成される複数の凸部18Aの膨出高さ(e)及び直径の異なる複数のエアヒータを作製した。この際、距離(δ)は5mm、距離(h)は3mm、距離(p)は12mmとし、プレート10の大きさは300mm×400mm(第2の方向Yの長さ×第1の方向Xの長さ)とし、畝部15及び溝部16の屈曲の周期の数は10とした。
また、この際には、プレート10の畝部15の頂部と溝部16の底部との間の積層方向Zにおける距離(h)が3mmに固定されている。このことを考慮すると、エアヒータ1の熱交換器性能は、距離(δ)に対する前距離(h)の比の値(h/δ)が概ね0.3〜0.7である場合に高いことが分かる。
また、この際には、隣り合って配置される2枚のプレート10の、対向する畝部15の頂部間の積層方向Zにおける距離(δ)が5mmに固定されている。このことを考慮すると、エアヒータ1の熱交換器性能は、距離(δ)に対する前距離(h)の比の値(h/δ)が概ね0.3〜0.7である場合に高いことが分かる。
10,10A プレート
15,15A 畝部
16,16A 溝部
17A 側面
18A 凸部
31 第1のガス流路
311 燃焼用空気流入口(ガス流入口)
312 燃焼用空気排出口(ガス排出口)
32 第2のガス流路
321 燃焼ガス流入口(ガス流入口)
322 燃焼ガス排出口(ガス排出口)
Claims (3)
- 第1のガスと第2のガスとの間で熱交換を行う熱交換器であって、
積層された複数枚のプレートと、
積層方向に隣り合って配置される2枚の前記プレートの間に交互に形成される第1のガス流路及び第2のガス流路と、
前記第1のガス流路及び前記第2のガス流路それぞれにおける前記プレートの面方向のうち第1の方向の両端側に形成されるガス流入口及びガス排出口と、を有し、
前記プレートは、屈曲して前記第1の方向に交差する第2の方向に延びると共に前記第1の方向に交互に形成される複数の畝部及び複数の溝部を有し、
前記畝部及び前記溝部は、複数回屈曲しながら前記第2の方向に延び、
隣り合って配置される2枚の前記プレートの、対向する前記畝部の頂部間の前記積層方向における距離(δ)に対する前記プレートの前記畝部の頂部と前記溝部の底部との間の前記積層方向における距離(h)の比の値(h/δ)は、0.3〜0.7であり、
前記第1のガス及び前記第2のガスの流れが対向流となるように構成される熱交換器。 - 前記距離(δ)は、5mm〜9mmであり、前記距離(h)は、2mm〜5mmである請求項1に記載の熱交換器。
- 前記プレートは、前記畝部及び前記溝部の間に形成される側面から膨出する複数の凸部を更に有し、
前記凸部の膨出高さ(e)は、前記距離(h)よりも小さい請求項1又は2に記載の熱交換器。
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