以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
図1は、使用者30に装着された本実施形態に係る補助具10の正面図を示す。また、図2は、使用者30に装着された補助具10の背面図を示す。なお、図1および図2において、図中左上に示したように、矢印で示す上下左右を補助具10の上下左右方法とする。図1および図2を用いて、負荷算出装置を内蔵した補助具10について説明する。
補助具10は、衣服部12と、アクチュエータ14と、制御部16と、負荷測定部18とを有する。当該補助具10は、外骨格型ではなく、使用者30に装着されていない状態においてそれ自身では自立しない「ソフトな」補助具である。
衣服部12は、伸縮性を有する布地部20と、布地部20よりも剛性が高い支持部22と、ベルト24とを有する。布地部20は、伸縮可能な化学繊維等からなる。布地部20は、使用者30の上半身および下半身を、一定の束縛力で締め付けて密着する。これにより、布地部20は、装着された状態では、使用者30の身体に対してすべり難くなる。
支持部22は、可撓性を有する樹脂製の板である。支持部22は、使用者30の腰部の位置であって、布地部20の使用者30と接する側の面に設けられている。支持部22は、布地部20に固定して設けられている。支持部22は、使用者30の腰部を締め付けることで、使用者30の腰部が曲がらないように支持する。
ベルト24は、布地部20および支持部22の位置がずれないように、布地部20および支持部22を使用者30に固定する。具体的には、布地部20および支持部22を挟んで、ベルト24で使用者30を締め付けることによって、布地部20を使用者30に固定する。これにより、使用者30が動いたとしても、布地部20および支持部22の使用者30に対する位置がずれることを防止できる。
アクチュエータ14は、布地部20の使用者30と接しない側の面であって、使用者30の前面の腹部に左右方向に沿って設けられている。アクチュエータ14は弾性変形可能であって、帯状に形成されている。アクチュエータ14は、全長に渡って、布地部20に貼り付けられて密着している。
アクチュエータ14は、電圧が印加されると伸縮する高分子材料を含む。アクチュエータ14は、電圧が印加されると長手方向に伸縮する。アクチュエータ14は、収縮することで使用者30の腰部を締め付ける。
高分子材料の一例は、ポリロタキサン架橋体である。アクチュエータ14は、平面状のポリロタキサン架橋体の両面を伸縮性の電極で挟んだシート部材を巻くことによって作製される。アクチュエータ14は、柔軟性を有するので、着用した状態で歩行したときのユーザの違和感を低減できる。
高分子材料の他の例は、非イオン性ゲルである。この場合、アクチュエータ14は、一対の外側電極と、一対の外側電極の間に配置されたメッシュ状のメッシュ電極と、メッシュ電極と各外側電極との間に設けられた非イオン性ゲルとを有する。非イオン性ゲルの一例は、ジメチルスルホキシドを溶媒とするポリビニルアルコールのゲルである。このアクチュエータ14では、メッシュ電極に外側電極よりも高い電圧を印加すると、外側電極から非イオン性ゲルに負電荷が注入されて、メッシュ電極に引き寄せられる。この結果、一対の外側電極間の距離が収縮する。逆に電圧の印加を停止すると、非イオン性ゲルの弾性力によって、元の状態に戻って伸長する。この外側電極、メッシュ電極及び非イオン性ゲルの組み合わせを複数積層することによって、伸縮量を増加させることができる。
高分子材料の他の例は、ポリピロール膜である。電解液中に浸漬されたポリピロール膜は、電圧が印加されることにより、膨張または収縮する。例えば、正の電圧が印加されると、ポリピロール膜は膨張する。負の電圧が印加されると、ポリピロール膜は収縮する。アクチュエータ14は、ポリピロール膜を含む場合、電解液が必要となるので、アクチュエータ14を封止する必要がある。
アクチュエータ14の布地部20を挟んだ反対側には、支持部22が設けられている。したがって、アクチュエータ14は、収縮することによって、布地部20を介して、支持部22で使用者30の腰部を締め付ける。また、アクチュエータ14は、伸長することによって、使用者30の腰部の締め付けを解放できる。なお、アクチュエータ14が電圧を印加すると伸長する場合においては、電圧の印加を解除した場合に、アクチュエータ14が使用者30の腰部を締め付ける構成としてもよい。
制御部16は、アクチュエータ14の動作を制御する。制御部16は、例えば、印加する電圧の大きさにより、伸縮量が変化するアクチュエータである場合に、アクチュエータに印加する印加電圧の大きさを制御して、アクチュエータの伸縮量を制御する。
負荷測定部18は、コントローラ26と、加速度センサ27と、複数の曲げセンサ28と、演算部46とを有する。コントローラ26は、報知部40と、表示部42と、入力部44とを有する。報知部40は、使用者30に警告を報知する。報知部40は、例えば、使用者30に対して音、光、または電気的な刺激を与えて警告を報知する。表示部42は、使用者30に画像を表示する。例えば、補助具10が、使用者30が疲れていることを検知した場合に、表示部42は、疲れない姿勢を表示した画像を使用者30に表示する。入力部44は、使用者30からの入力、例えば当該使用者30の体重の入力を受け付ける。例えば、また、使用者30に外部から加えられている荷重を考慮して、それぞれの腰椎の負荷を算出する場合においては、入力部44は、当該荷重を示す荷重情報の入力を受け付ける。なお、図1および図2に示した例においては、コントローラ26は、演算部46と有線で接続される例を示したが、コントローラ26は、無線で演算部46と通信してもよく、さらに、コントローラ26に代えて、スマートフォンやタブレット等の携帯端末をコントローラ26として用いてもよい。
加速度センサ27は、布地部20上であって、使用者30の仙骨対応位置に設けられている。使用者30の仙骨対応位置とは、使用者30の表皮から伸ばした法線が仙骨に到達するような、表皮位置である。また、加速度センサ27の取り付け向きは、使用者30の表皮に平行となるように設けられている。したがって、重力方向に対する加速度センサ27の向きを検出することによって、重力方向に対する使用者30の仙骨の向きが特定できる。加速度センサ27の一例は、三軸の加速度センサである。
複数の曲げセンサ28は、布地部20上であって、加速度センサ27が取り付けられた位置を下端として、上方に、使用者30の腰部の表皮に沿って設けられている。複数の曲げセンサ28は、使用者30の腰部の表皮の曲率を検出する。これにより、使用者30の表皮形状を検出できる。本実施形態において曲げセンサ28は3枚用いられる。加速度センサ27と複数の曲げセンサ28の一部は、ベルト24に接続している。したがって、ベルト24が使用者30に固定されることによって、使用者30が動いたとしても、加速度センサ27と複数の曲げセンサ28の使用者30に対する位置がずれるのを防ぐことができる。
演算部46は、加速度センサ27および複数の曲げセンサ28から検出値を取得する。演算部46は、取得した検出値から、使用者30のそれぞれの腰椎の位置を算出する。また、演算部46は、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出して、算出した負荷を示す信号を制御部16に出力する。
図3は、補助具10の機能ブロック図を示す。補助具10は、腰椎の負荷を測定する負荷測定部18と、アクチュエータ14を制御する制御部16と、使用者30に補助力を付与するアクチュエータ14とを備える。
負荷測定部18は、コントローラ26と、加速度センサ27と、複数の曲げセンサ28と、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出する演算部46とを有する。演算部46は負荷算出装置として機能する。コントローラ26は、報知部40と、表示部42と、入力部44とを有する。
加速度センサ27は、重力方向に対する使用者30の上体の傾斜角度を検出して、当該上体の傾斜角度を示す信号を演算部46に出力する。複数の曲げセンサ28は、使用者30の腰部における表皮33の曲率を検出して、当該腰部における表皮曲率を示す信号を演算部46に出力する。
演算部46は、記憶部48と、位置取得部50と、負荷算出部52を有する。記憶部48は、複数の腰椎のそれぞれの位置を算出するのに用いる位置算出情報を記録している。また、記憶部48は、それぞれの腰椎の負荷を算出するのに用いる負荷情報を記録している。さらに記憶部48は、負荷に対応した印加電圧を特定するのに用いる電圧特定情報を記録している。
位置取得部50は、複数の曲げセンサ28から、使用者30の腰部における表皮33の曲率を示す信号を取得する。また、位置取得部50は、加速度センサ27から使用者30の上体の傾斜角度を示す信号を取得する。そして、位置取得部50は、使用者30の腰部における表皮の曲率と、使用者30の上体における傾斜角度とから、複数の腰椎のそれぞれの位置および向きを算出する。
負荷算出部52は、複数の腰椎の位置および向きにおける使用者30の上体の質量の分力と、上体の質量により生じる回転モーメントに対抗する筋力との合力により、複数の腰椎のそれぞれにかかる負荷を算出する。また、負荷算出部52は、算出したそれぞれの腰椎にかかる負荷が、予め定められた閾値を越えた場合に、報知部40に警告を報知させる。また、負荷算出部52は、算出したそれぞれの腰椎にかかる負荷が、予め定められた閾値を越えた場合に、表示部42に腰椎にかかる負荷が低減するような姿勢を表示させる。また、負荷算出部52は、算出した腰椎にかかる負荷に対応した締め付け力を発生させる印加電圧値を示す信号を制御部に出力する。
制御部16は、負荷算出部52によって算出された複数の腰椎のそれぞれにかかる負荷に基づいてアクチュエータ14を制御する。具体的には、負荷算出部52から、腰椎にかかる負荷に対応した印加電圧値を取得すると、制御部16は、取得した印加電圧値に対応した電圧をアクチュエータ14に印加する。これにより、アクチュエータ14は収縮して、負荷算出部52により算出された複数の腰椎にかかる負荷に対応した締め付け力で、使用者30の腰部を締め付けることができる。
制御部16は、電源スイッチ54と、調整部56と、電源部58とを有する。電源スイッチ54によって、使用者30は、補助具10の主電源のオン・オフを切り替える。電源部58は、アクチュエータ14に電圧を印加する。調整部56は、負荷算出部52から取得した電圧に対応した電圧をアクチュエータ14に印加するべく、電源部58の印加電圧を調整する。
図4は、腰椎と加速度センサと曲げセンサとの位置関係を説明する断面図である。図4を用いて、加速度センサ27および複数の曲げセンサ28の出力から、仙骨およびそれぞれの腰椎位置の算出方法について説明する。
曲げセンサ28は、使用者30の背側の表皮33に沿って設けられている。曲げセンサ28は、三枚の曲げセンサ60、62、64を有する。そして曲げセンサ60の下端と、曲げセンサ62の上端の一部が重なって設けられ、曲げセンサ62の下端と、曲げセンサ64の上端が重なって設けられている。
図5は、曲げセンサによる表皮の曲率の検出を説明する図である。図5に示すように、曲げセンサ60の下半分は、曲げセンサ62の上半分と重なっており、曲げセンサ62の下半分は、曲げセンサ64の上半分と重なっている。そして、曲げセンサ60、62、64は、それぞれの曲げセンサにおける平均の曲率に関する信号をそれぞれ1つ出力する。
この場合において、曲げセンサ60の上半分の曲率をρ1、下半分の曲率をρ2、曲げセンサ64の上半分の曲率をρ3、曲げセンサ64の下半分の曲率をρ4とする。また、曲げセンサ60が出力する曲率をρS1、曲げセンサ62が出力する曲率をρS2、曲げセンサ64が出力する曲率をρS3とする。
近似的な計算をすべく、曲げセンサ60の曲率を一定(ρ1=ρ2)として、ρ3とρ4を算出する。同様に曲げセンサ64の曲率を一定(ρ3=ρ4)として、ρ1とρ2を算出する。そしてこれらの平均を算出することで、図5に示したように、三個の曲げセンサ60の検出した曲率ρS1、曲げセンサ62の検出した曲率ρS2、曲げセンサ64の検出した曲率ρS3から、近似的に使用者30の腰部の表皮33における4カ所の領域の曲率を算出できる。
複数の曲げセンサ28の下端には、加速度センサ27が設けられており、且つ、加速度センサ27は、表皮33の法線方向に仙骨34がある位置に設けられている。ここで、表皮33から仙骨34および表皮33から第1から第5腰椎までの距離は、使用者の上体の傾斜角度に関わらず、統計的に一定距離に近似できる。また、仙骨から第5腰椎35の距離と、第5腰椎35から第4腰椎36の距離、第4腰椎36から第3腰椎37までの距離、第3腰椎37から第2腰椎38までの距離、第2腰椎38から第1腰椎39までの距離も、使用者30の上体の傾斜角度に関わらず、統計的に予め定められた距離に近似できる。
そこで、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離をdとする。すると、加速度センサ27の位置を基準として、仙骨34は、加速度センサ27の位置の表皮33の接線に対する法線方向にd離れた位置にある。また、仙骨34の長手方向の向きは、加速度センサ27が設けられている位置における表皮33の接線に対する法線方向に沿った向きとなるので、加速度センサ27の位置および重力方向に対する向きを検出することで、仙骨の位置および重力方向に対する向きを算出できる。そして、それぞれの腰椎は、表皮33から距離d離れた位置に存在する。したがって、表皮33の曲率から求められる表皮33の形状を示す曲線70に対し、半径方向にd離れた曲率から求められる曲線上に第1腰椎から第5腰椎は存在することになる。
図6は、腰椎の位置の算出方法を説明する図である。図6において、表皮33の形状を示す曲線70とすると、曲線70に対して距離dを外側にオフセットした曲線72上に、それぞれの腰椎が存在することになる。そして、加速度センサ27は、曲線70の下端S0の位置に設けられている。したがって、加速度センサ27の位置から曲線70の接線に対する法線方向に伸びた直線と、腰椎が存在する曲線72との交点に、仙骨34が存在すると算出できる。
次に、仙骨34から第5腰椎35の距離をL1、第5腰椎35から第4腰椎36の距離をL2、第4腰椎36から第3腰椎37までの距離をL3、第3腰椎37から第2腰椎38までの距離をL4、第2腰椎38から第1腰椎39までの距離をL5とする。すると、第5腰椎35は、曲線72と、仙骨34を中心とした半径L1の円との交点の位置にあると算出される。第5腰椎の長手方向の向きは、第5腰椎35の位置であって、曲線72法線方向に沿っていると算出される。同様に、第4腰椎36は、曲線72と、第5腰椎35を中心とした半径L2の円との交点の位置にあり、第4腰椎の長手方向の向きは、第4腰椎36の位置であって、曲線72の接線に対する法線方向に沿った向きと算出される。同様の方法で、第3腰椎37の位置および向きと、第2腰椎38の位置および向きと、第1腰椎39の位置および向きがそれぞれ算出される。
上記方法は、加速度センサ27をS0の位置に設けた例について示したが、加速度センサ27を曲線70の上端のS4に設けてもよい。この場合、複数の曲げセンサ28の下端S0すなわち複数の曲げセンサ28のうち最も下に配置された曲げセンサ64の下端が、接線に対する法線方向に仙骨34がある位置となるように、複数の曲げセンサ28を配置する。加速度センサ27は、重力方向に対する向きを検出し、複数の曲げセンサ28は、表皮33の形状を示す曲率を検出する。ここで、複数の曲げセンサ28の下端S0の位置は、複数の曲げセンサ28の長さから予め取得できるので、S0の位置が算出できる。また、S0の向きは、加速度センサ27と複数の曲げセンサ28から算出できるので、S0の位置および重力方向に対する向きが算出できる。S0の位置および向きが算出できれば、当該S0の位置および向き基準として、仙骨34の位置および向きが算出できる。そして、仙骨34の位置および向きを基準として、それぞれの腰椎の位置および向きは、上述した同様の方法で算出できる。このように、加速度センサ27は、図6に示した例においては、S0に設けてもよく、また、複数の曲げセンサ28の上端S4すなわち複数の曲げセンサ28のうち最も上に配置された曲げセンサ60の上端に設けてもよい。なお、複数の曲げセンサ28における加速度センサ27を設ける位置を予め測定しておくことで、加速度センサ27を、複数の曲げセンサ28上のどのような位置に設けてもよい。また、複数の曲げセンサ28に対する加速度センサ27の位置を予め測定しておくことで、加速度センサ27を、上端S4の上方の位置及または下端S0の下方の位置に設けてもよい。このように、補助具10は、使用者30の腰部の表皮33に加速度センサ27および複数の曲げセンサ28を設けることによって、使用者30のそれぞれの腰椎の位置および向きを算出できる。また、上記方法では、L1からL5がそれぞれ直線距離である例を示したが、これに代えて、L1からL5を曲線72に沿った弧の長さとして各腰椎の位置を算出してもよい。この場合、θ=L/Rから隣接する腰椎の位置を算出することができる。
図7は、腰椎の位置の他の算出方法を説明する図である。図6に示した例においては、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離を一定と近似して、それぞれの腰椎の位置および向きを算出したが、実際は、上体の傾斜角度により表皮33からそれぞれの腰椎までの距離は若干異なる。したがって、図7に示した例においては、使用者30の上体の傾斜角度により、表皮33からそれぞれの腰椎までの距離がそれぞれ異なるとして、より精度高く、腰椎の位置および向きを算出する。
図7に示した例において、まず、加速度センサ27を用いて使用者30の上体の傾斜を測定する。加速度センサ27により検出された使用者30の上体の傾斜角度から、表皮33から仙骨34および表皮33からそれぞれの腰椎までの距離を算出する。なお、上体の傾斜角度と、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離との関係は、予め統計的なデータから算出された関係式により算出する。なお、当該関係式は、記憶部48に記録されている。
図7において、表皮33から仙骨34の距離をd0、表皮33から第5腰椎35の距離をd1、表皮33から第4腰椎36の距離をd2とする。S0の位置および向きは、上述した方法で算出できるので、S0の接線に対する法線方向へ、距離d0離れた位置に仙骨34があると算出できる。一方、仙骨34と第5腰椎35の距離およびそれぞれの腰椎間の距離は、上体の傾斜角度によらず一定であることが知られている。したがって、第5腰椎35の位置は、算出された仙骨34の位置を中心とした半径L1の円と、表皮33の形状を示す曲線70に対して、距離d1外側にオフセットした曲線との交点と算出できる。また、第5腰椎35の長手方向の向きは、算出された第5腰椎35の位置における、表皮33の曲線から距離d1オフセットした曲線の接線に対する法線方向と算出できる。
同様に、第4腰椎36は、第5腰椎35を中心とした半径L2の円と、表皮33の形状を示す曲線70に対して、距離d2外側にオフセットした曲線との交点と算出できる。また、第4腰椎36の長手方向の向きは、第4腰椎36の位置における、表皮33の曲線から距離d2オフセットした曲線の接線に対する法線方向と算出できる。同様にして、第3腰椎37、第2腰椎38、第1腰椎39の位置および向きが算出できる。このように、使用者30の上体の傾斜角度により、表皮33からそれぞれの腰椎までの距離を変えて、それぞれの腰椎位置および向きを算出することによって、精度の高い腰椎位置および向きの算出が行える。
なお、図7に示した例においては、使用者30の上体の直立状態に対する傾斜角度により、表皮33から仙骨およびそれぞれの腰椎までの距離が定まる。したがって、上体の直立状態からの傾斜角度を検出する必要がある。そのため、使用者30が直立状態のときの加速度センサ27の位置を初期位置とする。または、使用者30が直立状態のときに加速度センサ27を使用者30に取り付けてもよい。これにより、加速度センサ27の初期出力値に対する傾斜後の出力値を比較することで、直立状態に対する傾斜角度を算出できる。なお、使用者30ごとに複数の曲げセンサ28を取り付けた状態で、レントゲン撮影を行いながら直立状態を確認し、当該直立状態における複数の曲げセンサ28の出力値を記憶部48に記録してもよい。また、上体の重心の位置が骨盤の上方に位置した状態すなわち骨盤に体重がのった状態が使用者30が最も楽な姿勢であるため、使用者30が楽だと思える姿勢を直立状態としてもよい。そして、複数の曲げセンサ28の出力値を、直立状態における複数の曲げセンサの出力値と比較することで、使用者30が直立状態であるか否かを判断してもよい。
図8は、使用者30の上体の重心を説明する図である。使用者30の上体が直立状態にある場合に、上体の質量の重心は、仙骨34から鉛直上方の予め定められた位置あるとする。なお、予め定められた位置は、例えば、使用者30の身長に対する頭部から上半身の重心位置までの長さの割合が23〜27%となる位置である。また、第1腰椎39の直上の胸郭を剛体としているため、重心位置は、第1腰椎39を中心とした座標系に対して不変である。
図9は、それぞれの腰椎にかかる負荷を説明する図である。図9を用いて、1つの腰椎にかかる負荷の算出方法を説明する。腰椎の座標系と、重心位置が図8で定義した場所にある場合に、重心重さGによって使用者30の腰椎を圧縮する方向にかかる分力をPn、使用者30の上体の質量によって生じる回転モーメントに対抗する筋力により腰椎にかかるトルクをτnとする。ここで、体重W(kg)の上体重心の質量は、体重の54.8%であることが統計的に知られているので、重心重さをmとすると、mは、0.548Wとなる。また、重力加速度をg(kg・mm/s2)とし、腰椎座標系の原点と、重心位置座標との距離をD(mm)とする。ここでnは、腰椎の番号を示す。
上記値を用いて、Pnはm・g・cоs(θB)と表すことができる。また、τnは、m・g・Dcоs(θA)と表すことができる。また、重心重さGによって、腰椎座標系X軸(腰椎に対して横向き)にかかるせん断力をSHnとすると、せん断力SHnはm・g・sin(θB)と表すことができる。
さらに、τnを算出するにあたり、上体を起こす力を発揮する脊柱起立筋に注目する。脊柱起立筋は、皮膚外側から内側に向かって腸助筋、最長筋、棘筋といった筋群によって成り立っている筋肉であり、最長筋のうち胸最長筋と呼ばれる筋群が仙骨および腰椎棘突起に付着している。したがって、腰椎座標系に働いているトルクτnに関して、ここでは、脊柱起立筋がそのトルクを保証する力を出しており、その筋トルクは腰椎を圧迫する力を出していると考える。ここで脊柱起立筋のモーメントアームを50(mm)とすると、腰椎を圧迫する力τnは、τn/50となる。
また、重心位置座標と、腰椎座標系原点のZ軸方向の距離をlGn、重心Gから仙骨34までの距離をlG7とすると、注目している腰椎より下側の重量は負荷とならないことを考慮して、全体の強力FnにlGn/lG7を係数として乗じる。これにより、それぞれの腰椎を圧迫する負荷Fnは、lGn/lG7(τn/50+Pn)と算出できる。
第1腰椎39の座標系に対して重心位置が不変であることから、それぞれの腰椎の位置および向きが算出できれば、それぞれの腰椎を圧迫する力Fnを算出することができる。また、同様に、それぞれの腰椎を長手方向にせん断するせん断力SHnも算出することができる。せん断力SHnは、腰椎の診断等に用いてもよい。また、上記の例では、使用者30が前屈したときの腰椎への負荷を算出した例を示したが、使用者30が後屈したときの腰椎への負荷も同様に算出することができる。この場合、τnを算出するにあたり、腹直筋、外腹斜筋、内腹斜筋等の腹筋群に注目する。
図10は、腰椎にかかる負荷を算出する処理のフローチャートを説明する図である。図10に示したフローチャートは、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離が一定である場合の腰椎にかかる負荷を算出するフローチャートである。腰椎にかかる負荷を算出する処理は、位置取得部50が、加速度センサ27および複数の曲げセンサ28からの検出値を取得することで開始する(S101)。
位置取得部50は、加速度センサ27の検出値、複数の曲げセンサ28の検出値を取得して、表皮33の形状を示す曲線70を算出する(S102)。なお、この場合において、位置取得部50は、図5に示した方法で、3つの曲げセンサの出力から4つの領域の曲率を算出してもよい。位置取得部50は、記憶部48から表皮33から仙骨34の距離情報を読み出す(S103)。加速度センサ27は、表皮33の形状を示す曲線70の接線に対する法線方向に仙骨34がある位置に設けられているので、位置取得部50は、加速度センサ27の位置と、表皮33から仙骨34までの距離から、仙骨34の位置を特定する(S104)。
表皮33から仙骨34までの距離と、表皮33からそれぞれの腰椎までの距離は一定であるので、位置取得部50は、読み出した表皮33から仙骨34の距離情報から、腰椎位置を示す曲線72を算出する(S105)。位置取得部50は、記憶部48から仙骨34から第5腰椎35の距離、およびそれぞれの腰椎間の距離情報を読み出す(S106)。なお、記憶部48には、予め、仙骨34から第5腰椎までの距離L1、第5腰椎から第4腰椎までの距離L2、第4腰椎から第3腰椎までの距離L3、第3腰椎から第2腰椎までの距離L4、第2腰椎から第1腰椎までの距離L5に関する情報がそれぞれ記録されている。なお、これらL1からL5は、性別および/または年齢別に分けて複数の組が記憶部48に記録されており、位置取得部50は、使用者30の性別、年齢によって読み出す距離情報を変えてもよい。なお、ステップS103で読み出した表皮33から仙骨34の距離情報、および、ステップS106で読み出した仙骨34から第5腰椎35の距離(L1)、およびそれぞれの腰椎間の距離情報(L2からL5)は、腰椎の位置を算出するために用いる位置算出情報である。
位置取得部50は、L1からL5に関する情報を用いて、腰椎位置を特定する(S107)。位置取得部50は、算出した腰椎位置を示す曲線72を参照して、仙骨を中心とした半径L1の円と、腰椎位置を示す曲線72との交点を第5腰椎35の位置と特定する。同様に、腰椎位置を示す曲線72と第5腰椎35の中心とした半径L2の円との交点を第4腰椎36の位置と特定する。このように順番にそれぞれの腰椎の位置を特定する。
次に位置取得部50は、腰椎位置を示す曲線72とそれぞれの腰椎の位置からそれぞれの腰椎の向きを特定する(S107)。具体的には、位置取得部50は、腰椎位置を示す曲線72における各腰椎の位置での接線を作成し、当該接線に対して法線となる直線を算出する。位置取得部50は、当該法線の向きをそれぞれの腰椎の長手方向の向きとして特定する。このようにして、位置取得部50は、第5腰椎35、第4腰椎36、第3腰椎37、第2腰椎38、第1腰椎39の位置および向きを特定して、負荷算出部52に当該情報を出力する。
負荷算出部52は、記憶部48から使用者30の体重情報を読み出す(S108)。使用者30の体重は、使用者30によって、入力部44から入力されて記憶部48に記録されている。負荷算出部52は、負荷を算出する算出式Fnを読み出して、使用者30の体重と、それぞれの腰椎の位置および向きから、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出する(S109)。なお、ステップS108で読み出す体重情報およびステップS109で読み出す負荷を算出する算出式Fnは、腰椎の負荷を算出するのに用いる負荷情報である。
負荷算出部52は、算出したそれぞれの腰椎にかかる負荷に基づいて、アクチュエータ14を駆動する電圧を特定する。記憶部48には、腰椎にかかる負荷に対応したアクチュエータの締め付け力および当該締め付け力を発生させる印加電圧との関係式が予め測定されて記録されている。負荷算出部52は、上記関係式を参照して、算出した負荷に対応したアクチュエータの締め付け力および印加電圧を特定する。負荷算出部52は、特定した印加電圧値を示す信号を、調整部56に出力する(S110)。なお、ステップS110で参照する腰椎にかかる負荷に対応したアクチュエータの締め付け力および当該締め付け力を発生させる印加電圧との関係式は、電圧特定情報である。
腰椎にかかる負荷を算出する処理は、負荷算出部52が印加電圧値を示す信号を、調整部56に出力することで終了する。なお、腰椎にかかる負荷を算出する処理は、予め定められた間隔で実行されてよく、当該時間は、使用者30によって、入力部44から入力されることによって定められてもよい。
また、印加電圧値を示す信号を取得した調整部56は、電源部58を通じて、アクチュエータ14に取得した印加電圧値に対応した電圧を印加する。これによりアクチュエータ14は収縮して、使用者30の腰部を締め付ける。これにより、使用者30の腰部は、アクチュエータ14および支持部22により支持され、腰椎の負荷が緩和される。さらに、腰椎のそれぞれにかかる負荷と、予め定められた負荷の閾値を越える大きな負荷が算出された場合に、使用者30に警報を報知できる。
図11は、腰椎にかかる負荷を算出する別の処理のフローチャートを説明する図である。図11に示したフローチャートは、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離が使用者30の上体の傾斜によって変わる場合の腰椎にかかる負荷を算出するフローチャートである。また、図11に示した処理において、ステップS101、ステップS102、ステップS108、ステップS109およびステップS110の処理は、図10に示した処理と同じなので、重複する説明を省略する。
位置取得部50は、加速度センサ27から使用者30の上体の傾斜角度を示す信号を取得する(S201)。位置取得部50は、記憶部48から、上体の傾斜角度と、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離との関係式を読み出す(S202)。なお、記憶部には、予め、上体の傾斜角度と、表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離との関係式が記録されている。位置取得部50は、読み出した関係式と上体の傾斜角度から、S0から仙骨34までの距離を算出する。位置取得部50は、曲げセンサの長さに関する情報と、加速度センサ27の位置情報とから、S0の位置を算出し、S0の位置情報と、S0から仙骨34までの距離から、仙骨34の位置を特定する(S203)。なお、ステップS202で読み出す表皮33から仙骨34およびそれぞれの腰椎までの距離との関係式は、腰椎の位置を算出するために用いる位置算出情報である。
位置取得部50は、読み出した関係式と上体の傾斜角度から、表皮33からそれぞれの腰椎までの距離を算出する(S204)。位置取得部50は、表皮33の形状を示す曲線70を、表皮33から腰椎までの距離をオフセットした、それぞれの腰椎の位置に対応した曲線を算出する(S205)。
位置取得部50は、記憶部48から仙骨34から第5腰椎35の距離、およびそれぞれの腰椎間の距離情報(L1〜L5)を読み出す(S206)。位置取得部50は、第5腰椎の位置に対応した曲線と、仙骨34の位置を中心として、半径L1とした円との交点を第5腰椎35の位置として特定する(S207)。また、当該第5腰椎35の位置における腰椎の位置に対応した曲線の接線に対する法線方向に沿った向きを当該腰椎の長手方向の向きと特定する(S208)。同様に、位置取得部50は、第4腰椎36、第3腰椎37、第2腰椎38、第1腰椎39の位置および向きを特定する。
そしてその後は、図10に示した処理と同様の処理が実行され、各腰椎にかかる負荷が算出される。このようにして、本実施形態に係る補助具10は、それぞれの腰椎の位置および向きを特定して、それぞれの腰椎にかかる負荷を特定できる。
図12は、腰椎にかかる他の負荷を説明する図である。図12に示した例において、使用者30は、荷物74を持っている。荷物74の重さをMとすると、重心Gには、使用者30の上体の重心の重さmに対し、荷物74の重さMがさらに追加されることになる。このような場合において、使用者30は、入力部44から、荷物の荷重情報および腕の長さを入力することによって、補助具10は、当該荷物の重さMおよび使用者30の腕の長さを考慮して、重心位置および重心の質量を調整できる。例えば、図12に示した例においては、質量をmからm+Mに増加するとともに、重心位置を、荷物74が腕にかけている重量の重心と、上体の重心の間であって、M:mに分けた位置に重心をずらして、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出してもよい。
以上説明したように本実施形態に係る補助具10は、使用者30のそれぞれの腰椎にかかる負荷を測定し、算出した負荷に基づいて、アクチュエータ14を制御する。例えば、強い負荷が算出された場合においては、アクチュエータ14に高い電圧を印加して、使用者30の腰部を強く締め付ける。これにより、使用者30の腰部は支持部22により強く支持され、負荷が緩和される。また、アクチュエータ14を上下方向に複数並べ、最も強い負荷が算出された腰椎が強く締め付けられるように、アクチュエータ14を制御してもよい。使用者30の腰部を常に強く補助すると、使用者30の腰部の筋力を逆に弱めることになる。したがって、このように、腰椎ごとに負荷を算出して、強い負荷が算出された腰椎を強く締め付けることによって、強い負荷が算出されていない腰椎も強く締め付けてしまうことを防止できる。
また、本実施形態に示した補助具10は、報知部40を備え、負荷算出部52が予め定められた閾値より高い負荷を算出した場合に、負荷算出部52は、報知部40により、使用者30に対して警報を報知させる。また、入力部44から荷物74の荷重情報が入力された場合において、使用者30が荷物74を持っていない場合においても、警報を報知する場合が考えられる。その対応として、例えば、使用者30の腕部に筋電センサを設けてもよい。筋電センサを設けた場合において、当該筋電センサが筋肉の動きを検出しない場合においては、負荷算出部52は、入力部44から入力された荷物74の荷重情報を加えることなく、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出するとしてもよい。また、筋電センサを使用者30の腰部に設けてもよい。この場合、使用者30が荷物74を持ったときと持っていないときとで使用者30の姿勢が変化しなかったとしても、腰部の筋肉の動きを検出することにより、荷物74を持ったことを検出することができる。
さらに、使用者30の足裏に荷重センサを設けて、当該荷重センサによって、荷物74の荷重を検出してもよい。これにより、実際に使用者30が荷物を持っていない場合に警報を報知することがなく、さらに、使用者30が入力部44から入力する手間を省くことができる。
また、警報を報知する場合において、負荷算出部52は、予め定められた閾値を越えた負荷が予め定められた時間継続して算出された場合に、使用者30に対して警報を報知するとしてもよい。さらに、複数回警報を報知している場合においては、負荷算出部52は、警告を報知した回数が多いほど、予め定められた時間を短く変更してもよい。なお、予め定められた負荷の閾値の一例は、3400Nである。
さらに、予め定められた時間を短く変更した場合において、負荷算出部52は、予め定められた時間継続して閾値を越える負荷が算出されなかった場合に、短く変更した時間をもとの時間に戻してもよい。また、短く変更した時間をもとの時間に戻す予め定められた時間は、使用者30に入力部44から疲れたときおよび疲れが回復したときに入力してもらうことで、疲れが回復するまでの時間を、使用者30に対応させて、記憶部48に記憶させてもよい。そして、短く変更した時間をもとの時間に戻す予め定められた時間を、使用者30に対応させて記録された、疲れが回復するまでの時間を用いてもよい。なお、使用者30からの入力に代えて、疲れが回復したか否かを、超音波センサを設け、筋肉の硬さを検出することによって判断してもよい。
また、負荷算出部52は、使用者30に対して報知部40から警報を報知することに代えて、負荷算出部52は、表示部42から、それぞれの腰椎にかかる負荷を軽減する姿勢を表示させてもよい。これにより、負荷算出部52は、使用者30に腰椎にかかる負荷を軽減させる姿勢をとらせることができる。また、負荷算出部52は、使用者30の上体の重心に、上体の重量以外の外力が加えられる場合においては、負荷算出部52は、当該外力に応じ姿勢を算出して、表示部42に表示させてもよい。
図13は、他の補助具80の背面図を示す。図13において、図1と共通の要素には、同じ参照番号を付して重複する説明を省略する。補助具80は、背面に、腰部をまたぐように、2つのアクチュエータ82が、上下方向に設けられている。アクチュエータ82は、全長に渡って布地部20に貼り付けて密着している。アクチュエータ82は、電圧が印加されると、長手方向に伸縮する。アクチュエータ82は、伸長または収縮することで、使用者30の腰部に補助力を付与する。これにより、それぞれの腰椎に負荷がかかっていると判断された場合に、制御部16は、アクチュエータ82に電圧を印加することで、使用者30の腰部に補助力を付与できる。これにより。使用者30のそれぞれの腰椎にかかる負荷を緩和できる。さらに、補助具80において、負荷算出部52は、それぞれの腰椎にかかる負荷を算出することができるので、制御部16は、それぞれの腰椎にかかる負荷に対応させて異なる補助力を使用者30に与えることができる。
なお、それぞれの腰椎にかかる負荷に対応した補助力を付与するために、腰椎に係る負荷と補助力および当該補助力を発生させる印加電圧値との関係式を予め取得して記憶部48に記録してもよい。負荷算出部52は、腰椎にかかる負荷と補助力との関係式を参照することによって、最適な補助力を発生させるための印加電圧値を示す信号を調整部に出力する。調整部56は、取得した印加電圧値に対応する印加電圧を、電源部58を通じてアクチュエータ82に印加する。これにより、補助具10はそれぞれの腰椎にかかる負荷に対応した異なる補助力を使用者30に与えることができる。
また、本実施形態においては、電圧を印加することによって伸縮するアクチュエータを用いた例で説明したが、これに限られず、使用者30の腰部を含む背部に弾性体を設けてもよい。そして、当該弾性体の引張力を調整するアクチュエータを設け、制御部16は、当該アクチュエータを用いて弾性体の引張力を調整してもよい。負荷算出部52が腰椎にかかる強い負荷を検出した場合に、制御部16は、アクチュエータを用いて弾性体の引張力が強くなるように制御する。これにより、使用者30は弾性体より大きな補助力を得ることができ、腰椎の負荷を緩和できる。
さらに、使用者30の腰部を袋状の弾性体で囲んでもよく、当該袋状の弾性体に、流体を流入させて、使用者30の腰部を流体の詰まった袋状の弾性体で支持させてもよい。負荷算出部52が腰椎にかかる強い負荷を検出した場合に、制御部16は、袋状の弾性体に流体を流入させて、流体の詰まった袋状の弾性体で使用者30の腰部を支持する。これにより、使用者30腰部は流体の詰まった袋状の弾性体で支持されるので、使用者30の腰椎が曲がらないように支持され、腰椎にかかる負荷を緩和できる。
さらに、制御部16は、使用者30の骨盤底筋群および横隔膜に電気的刺激を与えて、横隔膜と骨盤底筋群との間に腰椎を挟み込むようにさせてもよい。これにより、骨盤底筋群および横隔膜は疲労するが、腰椎は、横隔膜と骨盤底筋群により支持されるので、腰椎にかかる負荷は緩和される。
なお、本実施形態において、補助具10はアクチュエータ14を、補助具80はアクチュエータ82を備える例を示したが、アクチュエータ14および82を備えなくてもよい。その場合、補助具10、80は、使用者30のそれぞれの腰椎の負荷を算出する負荷算出装置となる。
次に、図14から図16を用いて、使用者30が前屈運動をした場合における皮膚の伸びを考慮した腰椎位置の補正について説明する。図14は、別の補助具100の断面図である。なお、図14において、図4と同じ要素には、同じ参照番号を付して重複する説明を省略する。図14に示したように、補助具100は2つの加速度センサ112、114と、曲げセンサ110とをさらに有する。
加速度センサ112は、曲げセンサ110の下端すなわち曲げセンサ102の下端の位置である仙骨対応位置に設けられている。また、加速度センサ114は、曲げセンサ110の上端すなわち曲げセンサ106の上端側に設けられている。曲げセンサ110は、3つの曲げセンサ102、104、106から構成されている。曲げセンサ102、曲げセンサ104および曲げセンサ106は、加速度センサ112側から、曲げセンサ102、曲げセンサ104、曲げセンサ106の順に端部が重ならないように、曲げセンサ102と曲げセンサ104の端部および曲げセンサ104と曲げセンサ106の端部が揃えられて設けられている。
図15は、使用者30が前屈運動をした場合における補助具100の断面図である。使用者30が前屈運動をすると、使用者30の背中の皮膚が伸びる。このため、曲げセンサ102と曲げセンサ104の間と、曲げセンサ104と曲げセンサ106との間と、曲げセンサ106と加速度センサ114との間に隙間が生じる。このように、隙間が生じると、位置取得部50が算出した複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに誤差が生じる。そのため、位置取得部50は、上記隙間が発生したことを検出するとともに、当該隙間が生じたことを検出した場合には、複数の腰椎のそれぞれの位置および向きの誤差を補正する。
図16は、腰椎位置および向きの補正方法を説明する図である。位置取得部50は、加速度センサ112から出力される重力方向に対する使用者30の骨盤部の傾斜角度と、それぞれの曲げセンサ102、104、106から出力される曲率とから算出される曲げセンサ106の上端における重力方向に対する使用者30の上体の傾斜角度θxを算出する。また、位置取得部50は、加速度センサ114から出力される重力方向に対する使用者30の上体の傾斜角度θyを算出する。位置取得部50は、θxとθyとの差である角度差Δθを算出する。
ここで、θxは、加速度センサ112から出力される重力方向に対する使用者30の骨盤部の傾斜角度と、曲げセンサ102、104、106から出力される曲率から算出される、使用者30の重力方向に対する傾斜角度の和であるのに対し、θyは、それぞれの曲げセンサおよび加速度センサ114の隙間を含む使用者30の重力方向に対する傾斜角度である。したがって、角度差Δθが予め定められた閾値より大きい場合に、位置取得部50は、曲げセンサ102、104、106および加速度センサ114が互いに離れたことによって複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに誤差が生じたと判断し、当該角度差Δθに基づいて誤差を補正する。なお、位置取得部50は、θxとθyとの角度差であるΔθが、予め定められた閾値より小さい場合には、誤差を補正しない。複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに誤差が生じたと判断した場合に、位置取得部50は、図6に示した使用者30の表皮33の形状を示す曲線70を補正する。なお、予め定められた閾値の一例は、0であり、この場合、位置取得部50は、θxとθyとの差である角度差Δθが0より大きい場合に、複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに誤差が生じたと判断する。
図16に示したように、曲げセンサ102、104、106から出力される曲率をρiとする。なお、i=0、1、2であって、曲げセンサ102から出力される曲率をρ0(曲率半径は1/ρ0)、曲げセンサ104から出力される曲率をρ1(曲率半径は1/ρ1)、曲げセンサ106から出力される曲率をρ2(曲率半径は1/ρ2)とする。また、使用者30の前屈運動によって生じる隙間をそれぞれΔDi(i=0、1、2)とし、それぞれの隙間に対応する誤差角度Δθi(i=0、1、2)とする。前屈運動によって生じる隙間は、それぞれの曲げセンサの曲率に比例すると仮定すると関係式(1)が成り立つ。
ΔDi:ΔDi+1=ρi:ρi+1・・・関係式(1)
また、誤差角度Δθiと曲率ρiとから算出される半径との積は、前屈動作によって生じる隙間ΔDiであるので、関係式(2)が成り立つ。
Δθi=ΔDi×ρi・・・関係式(2)
角度差Δθは、ΣΔθiであるから、関係式(2)から関係式(3)が成り立つ。
Δθ=ΣΔDi×ρi・・・関係式(3)
ここで、ΔDi:ΔDi+1=ρi:ρi+1から、ΔDi×ρi+1=ΔDi+1×ρiであることから、ΔDi×ρ0=ΔD0×ρi、ΔDi×ρ1=ΔD1×ρi、ΔDi×ρ2=ΔD2×ρiが算出できる。これから、ΔD0=ΔDi×ρ0/ρi、ΔD1=ΔDi×ρ1/ρi、ΔD2=ΔDi×ρ2/ρiが算出でき、これらの式と関係式(3)から関係式(4)が導かれる。
ΣΔDi×ρi=ΔD0×ρ0+ΔD1×ρ1+ΔD2×ρ2=(ρ0 2+ρ1 2+ρ2 2)×ΔDi/Δρi・・・関係式(4)
このように、角度差Δθを、曲げセンサ102、104、106から出力される曲率に対応させて振り分けた誤差角度Δθiは、関係式(4)から関係式(5)として表すことができる。
Δθi=ρi 2Δθ/(ρ0 2+ρ1 2+ρ2 2)・・・関係式(5)
位置取得部50は、関係式(2)によって求められる隙間ΔDiと、関係式(5)に示された誤差角度Δθiを用いて、使用者30の表皮33の形状を補正できる。位置取得部50は、補正した表皮33の形状から、表皮33の形状を示す曲線70を補正する。位置取得部50は、補正した曲線70を用いて、図6で説明した方法により複数の腰椎の位置および向きを算出する。これにより、使用者30の前屈運動により皮膚が伸びて、曲げセンサ間と、曲げセンサと加速度センサ間に隙間が生じた場合であっても、位置取得部50は、複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに生じた誤差を補正でき、腰椎にかかる負荷を精度よく算出できる。
なお、関係式(1)から関係式(5)は、それぞれの曲げセンサの曲率に比例するとした場合の関係式であるが、角度差Δθをそれぞれの隙間に対し均等に割り振って、誤差角度Δθiを算出してもよい。これにより、角度差Δθを均等に割り振ることによって、誤差角度Δθiを算出する手順を簡略化できる。
また、2つの加速度センサ112、114と、曲げセンサ110は、布地部20に縫合されて取り付けられてもよい。布地部20に2つの加速度センサ112、114と、曲げセンサ110を縫合して設けることによって、使用者30は負荷算出装置を装着しやすくなる。しかしながら、布地部20の材質が、使用者30の皮膚よりも伸縮する素材で構成されている場合には、布地部20の伸長により曲げセンサ間と、曲げセンサと加速度センサ間に隙間が生じやすくなる。そのため、位置取得部50は、図14から図16で説明した補正を行うことによって、装着性を向上させながら、精度よく複数の腰椎のそれぞれの位置および向きを測定できる。
上記した例では、加速度センサ112が曲げセンサ110の下端に配置され、加速度センサ114が曲げセンサ110の上端に配置された例を示したが、曲げセンサ110に対する加速度センサ112および加速度センサ114の相対位置を予め測定しておくことにより、加速度センサ112を、曲げセンサ110の上端よりも上方の位置に設けてもよく、加速度センサ114を曲げセンサ110の下端よりも下方の位置に設けてもよい。この場合、曲げセンサ102の曲率と同じ曲率を有する延長線上に加速度センサ112が配置され、曲げセンサ106の曲率と同じ曲率を有する延長線上に加速度センサ114が配置されていると仮定することにより、位置取得部50は、図15に示すように使用者30が前屈運動をしたときに、曲げセンサ110と加速度センサ112および加速度センサ114との間隔の変化量を考慮して、複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに生じた誤差を補正することができる。
また、上記した例では、3つの曲げセンサ102,104,106が互いに重なり合うことなく連続して配置された例を示したが、例えば図5に示すように、3つの曲げセンサ102,104,106のそれぞれの一部が互いに重なり合うように配置してもよい。この場合、位置取得部50は、図15に示すように使用者30が前屈運動をしたときに、各曲げセンサ102,104,106のそれぞれの角度および曲率に基づいて、各曲げセンサ102,104,106の重なり量の変化を算出することにより、各曲げセンサ102,104,106の重なり量の変化による複数の腰椎のそれぞれの位置および向きに生じた誤差を補正することができる。
また、上記した例では、位置取得部50は、加速度センサ112および曲げセンサ102、104、106から出力される使用者30の上体の傾斜角度θxと、加速度センサ114から出力される使用者30の上体の傾斜角度θyとの角度差Δθに基づいて、3つの曲げセンサ102,104,106の間に隙間が生じていることを検出する例を示したが、これに代えて、または、これに加えて、角度差Δθに基づいて、3つの曲げセンサ102,104,106の少なくとも一つが使用者30の表皮33または布地部20から離れて浮いた状態であることを検出してもよい。この場合、位置取得部50は、角度差Δθの絶対値が所定の閾値よりも大きくなった場合に、計測不可であることを示す表示や音声等の警告を出力してもよい。
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。また、上記実施の形態に、多様な変更または改良を加え得ることが当業者に明らかである。更に、変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。