<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10の放熱構造100の構成を示す外観斜視図である。図2は、熱伝導部材10の放熱構造の構成を示す外観断面図である。図3は、熱伝導部材10の構成を示す展開斜視図である。図4は、熱伝導部材10の構成を示す展開平面図である。図5は、図4のM部の拡大図である。
図1および図2に示されるように、熱伝導部材10の放熱構造100は、熱伝導部材10と、発熱部20と、放熱部30とを備えている。この放熱構造100は、例えば、パソコンや、サーバや、通信機器や、中継器や、基地局等の電子機器に搭載される。
図1〜図4に示されるように、熱伝導部材10は、発熱部20および放熱部30の間に設けられ、発熱部20および放熱部30を熱的に接続する。
熱伝導部材10は、熱伝導筒部11と、補強部12とを備えている。
熱伝導筒部11は、筒状に形成されている。また、熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30の間に配置されて、発熱部20および放熱部30の双方に接触している。
好ましくは、熱伝導筒部11の断面は、図2に示されるように、小判型に形成されている。これにより、熱伝導筒部11の断面が円形状である場合を比較して、熱伝導筒部11および発熱部20間の接触面と、熱伝導筒部11および放熱部30間の接触面を大きく設定することができる。
なお、図6に示されるように、熱伝導部材の接続構造100Aにおいて、熱伝導筒部11の断面を、矩形状に近い形状に形成してもよい。この場合も、熱伝導筒部11の断面が円形状である場合を比較して、熱伝導筒部11および発熱部20間の接触面と、熱伝導筒部11および放熱部30間の接触面を大きく設定することができる。
図2に示されるように、熱伝導筒部11は、発熱部20に接触する第1の筒側平面部111と、放熱部30に接触する第2の筒側平面部112とを備えている。第1の筒側平面部111は、後述の発熱部側接触面25に接触する。第2の筒側平面部112は、後述の放熱部側接触面35に接触する。
また、図2に示されるように、熱伝導筒部10は、第1の筒側平面部111の両端部の各々および第2の筒側平面部112の両端部の各々を結ぶ一対の側面部113を有する。
また、熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30が互いに向かい合う方向(矢印S方向)に沿って弾性変形する。熱伝導筒部11の材料には、例えば、グラファイトが用いられる。これにより、熱伝導筒部11の面方向に対して、熱伝導率を高くすることができる。すなわち、熱伝導筒部11の材料にグラファイトを用いることにより、熱伝導筒部11の筒部分の板厚を薄くして、面方向に熱伝導性を高く設定することができる。なお、グラファイトの熱伝導率はシリコン系の物より高いので、発熱部20の熱を効率よく移動(拡散、広げる)できる。
図1および図2に示されるように、補強部12は、熱伝導筒部11の内面に沿って取り付けられている。また、図3および図4に示されるように、補強部12は、板状で且つ帯状に形成されている。図1および図2に示されるように、補強部12は、当該補強部12の延在方向が熱伝導部11の周方向に沿うように取り付けられている。補強部12は、熱伝導筒部11を補強する。補強部12の材料には、例えば、ポリーカーボネート等の樹脂成形品や、天然ゴム、合成ゴム等のゴム材や、りん青銅等の金属材が用いられる。これにより、補強部12の厚みを薄くできる。また、補強部12に弾性を持たせることができる。
図3および図4に示されるように、補強部12は、第1の補強部121と、第2の補強部122とを有する。第1の補強部121および第2の補強部122は、帯状に交互に連結されている。また、第1の補強部121の剛性は、第2の補強部122の剛性よりも大きい。ここでは、第1の補強部121の幅を第2の補強部122の幅よりも大きくすることにより、第1の補強部121の剛性を第2の補強部122の剛性よりも大きく設定した。このように、剛性が異なる部分を補強部12に設けることにより、熱伝導筒部11の部分に応じて補強強度を調整することができる。
また、図1および図2に示されるように、好ましくは、第2の補強部122は、熱伝導筒部11の側面部113の内面に沿って設けられる。一方、第1の補強部121は、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111と第2の筒側平面部112の内面に沿って設けられている。このように配置することにより、熱伝導筒部11の側面部113の弾性力が、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111および第2の筒側平面部112の弾性力よりも、大きく設定される。これにより、熱伝導筒部11の側面部113には、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111を、発熱部20へ向けて押圧する付勢力が、確実に働く。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112を、放熱部30へ向けて押圧する付勢力が、確実に働く。
また、複数の補強部12が熱伝導筒部11に取り付けられても良い。複数の補強部12は、互いに平行になるように、所定の間隔を開けて、熱伝導筒11の周方向に沿って、取り付けられている。図3および図4には、複数の補強部12の配置例として、A領域およびB領域で、補強部12の配置ピッチが異なるものを示している。
図3および図4に示されるように、A領域では、複数の補強部12が、B領域と比較して広いピッチで配置されている。B領域では、複数の補強部12が、A領域と比較して狭いピッチで配置されている。これにより、B領域では、A領域よりも、熱伝導筒部11をより強く補強することができる。この結果、熱伝導部材10のB領域の弾性が、熱伝導部材10のA領域の弾性よりも、小さくなる。このように、補強部12の配置を変更することにより、熱伝導部材10の弾性力を調整することができる。
図5に示されるように、熱伝導筒部10を展開した際の端部には、保護材13が設けられている。この保護材13により、熱伝導筒部10の弾性力を調整することができる。例えば、熱伝導筒部11の材料にグラファイトのような脆い材料が用いられた場合、熱伝導筒部11は破損しやすい。この場合、保護材13により、熱伝導筒部11を補強することが好ましい。保護材13の厚みを変更することにより、熱伝導筒部11の弾性力を調整できる。なお、保護材13の材料には、例えば、PET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタラート)シート等、樹脂製の薄いシートが用いられる。これにより、保護材13の厚みを薄くすることができる。また、保護材13に絶縁性を持たせることができる。また、保護材13に弾性を持たせることができる。保護材13の厚みは、熱伝導筒部11の弾性力を調整に応じて、選定することができる。保護材13が薄すぎると、熱伝導部材10全体の弾性力が弱くなる。逆に、保護材13が厚すぎると、熱伝導部材10全体の弾性力が増し強くなる。したがって、保護材13の厚みは、熱伝導筒部11の弾性力との兼ね合いで微調整して、決定されることが好ましい。一方、一般的には、保護材13の熱伝導性は熱伝導筒部11の熱伝導性よりもよくないので、熱伝導部材10全体の熱伝導性を優先する場合には、保護材13の厚みをできるだけ薄いものを用いることが好ましい。保護材13は、素材メーカで購入する際に確定されるため、基本的には変更できない。したがって、保護材13を変更する際には、当該保護材13のシート単位(片面、両面など面ごと)で変更する必要が生じる。
図1および図2に示されるように、発熱部20は、放熱部30と向かい合うように設けられている。発熱部20は、基板21と、電子部品22とを備えている。基板22の材料には、例えば、ガラスエポキシ樹脂のように、熱伝導性を有する材料が用いられる。なお、基板21は、PKG(Package)と呼ばれることもある。電子部品22は、例えば、CPU(Central Processing Unit)のように発熱する電子部品である。発熱部20は、発熱部側接触面25を有する。発熱部側接触面25は、熱伝導筒部11と接触する。より具体的には、発熱部側接触面25は、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111と接触する。発熱部側接触面25は、後述の放熱部側接触面25と向かい合うように平行に配置されている。なお、図1および図2の例では、発熱部側接触面25は、基板21の下面(図1および図2において紙面下側の面)に相当する。
図1および図2に示されるように、放熱部30は、発熱部20と向かい合うように設けられている。放熱部30の材料には、例えば、アルミニウムやアルミニウム合金のように、熱伝導性を有する材料が用いられる。放熱部30には、例えば、ヒートシンクや電子機器の筐体を用いることができる。放熱部30は、放熱部側接触面35を有する。放熱部側接触面35は、熱伝導筒部11と接触する。より具体的には、放熱部側接触面35は、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112と接触する。放熱部側接触面35は、発熱部側接触面25と向かい合うように平行に配置されている。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100の構成を説明した。
次に、熱伝導部材10の放熱構造100の組立方法について説明する。
まず、図3および図4に示されるように、補強部12を熱伝導筒部11の展開平面の一方の面上に粘着剤等により取り付ける。このとき、熱伝導筒部11の展開平面を丸めて筒状にした際に、補強部12が熱伝導筒11の周方向に沿って取り付けられるように、補強部12を配置する。また、複数の補強部12を設ける場合、互いに平行になるように、所定の間隔を開けて、複数の補強部12を取り付ける。さらに、複数の補強部12の間の距離(ピッチ)を変更した複数の領域(例えば、図3および図4のA領域、B領域)を設けても良い。また、熱伝導筒部10を展開した際の端部に、保護材13が設ける。
次に、熱伝導筒部11の展開平面を丸めて筒状にして、熱伝導筒部11の展開平面の両端部を粘着剤により接続する。これにより、熱伝導部材10が完成する。
次に、熱伝導部材10の形状を整える。ここでは、熱伝導部材10の複数の例を示す。
図7は、熱伝導部材10の形状の実施例の構成を示す外観図である。図7(a)は、熱伝導部材10の実施例の構成を示す外観斜視図である。図7(b)は、熱伝導部材10の実施例の構成を示す外観断面図である。
図7(a)および図7(b)に示されるように、熱伝導部材10aは、熱伝導筒部11の断面形状を円形状に成形したものである。この例において、発熱部20および放熱部30の間に熱伝導部材10aを配置した場合、熱伝導部材10aの熱伝導筒部11および発熱部20間の接触面積と、熱伝導筒部11aおよび放熱部30間の接触面積を大きくすることが難しい。
図7(a)および図7(b)に示されるように、熱伝導部材10bは、熱伝導筒部11の断面形状を楕円形状に成形したものである。この例において、発熱部20および放熱部30の間に熱伝導部材10bを配置した場合、熱伝導部材10bの熱伝導筒部11および発熱部20間の接触面積と、熱伝導筒部11bおよび放熱部30間の接触面積を、少なくとも熱伝導部材10aの場合と比較して、大きくとることができる。
図7(a)および図7(b)に示されるように、熱伝導部材10cおよび熱伝導部材10dは、熱伝導筒部11の断面形状を小判型形状に成形したものである。熱伝導部材10cと熱伝導部材10dは、熱伝導筒部11の延在方向の長さが異なる。すなわち、熱伝導部材10cの長さは、熱伝導部材10dの長さよりも、長い。
なお、熱伝導部材10cおよび熱伝導部材10dの形状は、図1および図2に示した熱伝導部材10の形状に対応する。この例において、発熱部20および放熱部30の間に熱伝導部材10c、10dを配置した場合、熱伝導部材10c、10dの熱伝導筒部11および発熱部20間の接触面積と、熱伝導部材10c、10dおよび放熱部30間の接触面積を、少なくとも熱伝導部材10bの場合と比較して、大きくとることができる。
すなわち、熱伝導筒部11の断面形状を小判型形状に設定することにより、第1の筒側平面部111および第2の筒側平面部112の面積を大きく設定することができる。なお、第1の筒側平面部111は、前述の通り、発熱部20に接触する面である。同様に、第2の筒側平面部112は、前述の通り、放熱部30に接触する面である。
これにより、より確実に、熱伝導筒部11を、発熱部20および放熱部30に接触させることができる。よって、熱伝導筒部11により、発熱部20および放熱部30の間を、より確実に熱接続することができる。この結果、熱伝導筒部11を介して、発熱部20の熱を放熱部30へより効率よく伝導することができる。したがって、発熱部20の熱をより効率よく放熱することができる。
なお、図7(a)では、補強部12は、熱伝導筒部11の周方向に対して平行に沿って、設けられていると説明した。一方、補強部12は、熱伝導筒部11の周方向に対して、所定の角度で斜めに設けられてもよい。これにより、補強部12を熱伝導筒部11の内面に螺旋状に斜めに配置することができる。
つぎに、図1および図2に示されるように、発熱部20および放熱部30の間に、熱伝導部材10を配置する。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111を発熱部20の発熱部側接触面25に接触させる。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112を放熱部30の放熱部側接触面35に接触させる。これにより、発熱部20および放熱部30の間が、熱伝導部材10により、熱接続される。この結果、熱伝導筒部11を介して、発熱部20の熱を放熱部30へ伝導することができる。このようにして、発熱部20の熱を放熱部30で放熱することができる。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100の組立方法について説明した。
次に、熱伝導部材10の放熱構造100の動作について説明する。
図1および図2に示されるように、熱伝導部材10は、発熱部20および放熱部30の間に配置されている。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111は発熱部20の発熱部側接触面25に接触されている。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112は放熱部30の放熱部側接触面35に接触されている。
発熱部20に電源供給することにより、電子部品22が発熱する。この電子部品22の熱(発熱部20の熱)は、基板21の面(発熱部側接触面25)を介して、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111へ伝導される。
電子部品22の熱は、さらに、熱伝導筒部11内において、第1の筒側平面部111から2手に分かれ、一対の側面部113を介して、第2の筒側平面部112へ伝導される。このように、熱伝導筒部11内において、電子部品22の熱を2ルートで伝導することにより、より効率よく電子部品22の熱を第1の筒側平面部111から第2の筒側平面部112へ伝導することができる。
次に、電子部品22の熱は、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112から、放熱部30の放熱部側接触面35へ伝導される。この結果、電子部品22の熱が、熱伝導部材10を介して、発熱部20から放熱部30へ伝導される。そして、電子部品22の熱は、放熱部30によって外気へ放熱される。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100の動作について説明した。
以上の通り、本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10は、熱伝導筒部11と、補強部12とを備えている。熱伝導筒部11は、筒状に形成されている。熱伝導筒部11は、互いに向かい合うように配置された発熱部20および放熱部30の間に配置されて、発熱部20および放熱部30の双方に接触されている。熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30が互いに向かい合う方向に沿って弾性変形する。補強部12は、熱伝導筒11の内面に沿って取り付けられている。補強部12は、熱伝導筒部11を補強する。
このように、熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30の間に配置され、発熱部20および放熱部30が互いに向かい合う方向に沿って弾性変形する。したがって、熱伝導筒部11の弾性力により、当該熱伝導筒部11を発熱部および放熱部の双方に安定して密着させることができる。なお、特許文献1に記載の技術では、半導体素子(発熱部)が実装されたプリント基板が、金属板によって、筐体(放熱部)の天井に吊り下げられる構造となっていた。このため、プリント基板の自重によって、筐体天井および金属板の間の接触圧が経年的に低減するという問題があったが、本発明の熱伝導部材10によって、このような問題は解決される。
また、熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30が互いに向かい合う方向に沿って弾性変形する。しかし、熱伝導筒部11の弾性力が大きい場合、発熱部20および放熱部30に大きな負荷が加わり、発熱部20および放熱部30が変形するおそれがある。そこで、補強部12を熱伝導筒部11の内面に沿って取り付けることにより、熱伝導筒部11の弾性力を調整することができる。これにより、熱伝導筒11および発熱部20間の接触圧力と、熱伝導筒部11および放熱部30間の接触圧力とを、安定させることができる。この結果、発熱部20および放熱部30の間を、熱伝導筒部11により安定して熱接続することができる。
したがって、熱伝導部材10によれば、発熱部20の熱を、発熱部20から放熱部30へ安定して伝導することができる。よって、発熱部20や、当該発熱部20を搭載する電子機器内の温度を効率よく下げることができる。
また、本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、発熱部20は、熱伝導筒部11と接触する発熱部側接触面25を有する。放熱部30は、熱伝導筒部11に接触する放熱部側接触面35を有する。発熱部側接触面25および放熱部側接触面35は、互いに向かい合うように平行に配置されている。このように、発熱部側接触面25および放熱部側接触面35は平行に配置されるので、熱伝導筒部11の弾性力により、当該熱伝導筒部11を発熱部および放熱部の双方に、より安定して密着させることができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、熱伝導筒部11は、発熱部側接触面25に接触する第1の筒側平面部111と、放熱部側接触面35に接触する第2の筒側平面部112とを有する。
このように、熱伝導筒部11が発熱部20および放熱部30に接触する面は平面であるので、熱伝導筒部11と、発熱部20および放熱部30とを面接触させることができる。このため、円形状の熱伝導筒部11と比較して、熱伝導筒部11と、発熱部20および放熱部30とをより広い面積で、接触させることができる。よって、熱伝導筒部11の弾性力により、当該熱伝導筒部11を発熱部20および放熱部30の双方に、より安定して密着させることができる。この結果、より大きな熱をより安定して発熱部20から放熱部30へ伝導させることができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、補強部12は、帯状に形成されており、熱伝導筒部11の周方向に沿って取り付けられている。
前述の通り、熱伝導筒部11は、発熱部20および放熱部30が互いに向かい合う方向(図2の矢印S)に沿って弾性変形する。したがって、熱伝導筒部11の周方向に沿って帯状の補強部12を取り付けることにより、熱伝導筒部11の弾性変形の方向に沿った弾性力の調整を効率よく行うことができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、補強部12は、帯状に交互に連結された第1の補強部121と第2の補強部122とを有する。第1の補強部121の剛性は、第2の補強部121の剛性よりも大きい。
このように、剛性が異なる部分を補強部12に設けることにより、熱伝導筒11の部分によって、弾性力の大きさを調整することができる。すなわち、熱伝導筒部11のうちで、発熱部20または放熱部30に接触する部分では弾性力を小さくし(曲げ難くする)、接触させない部分では弾性力を大きくする(曲げ易くする)等の調整をすることができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、熱伝導筒部11は、一対の側面部113を有する。この側面部113は、第1の筒側平面部111の両端部の各々および第2の筒側平面部112の両端部の各々を結ぶ。補強部12は、帯状に形成されており、熱伝導筒部11の周方向に沿って取り付けられている。また、併せて、補強部12は、帯状に交互に連結された第1の補強部121と第2の補強部122とを有する。第1の補強部121の剛性は、第2の補強部122の剛性よりも大きい。そして、第2の補強部122が、一対の側面部113の各々の内面に沿って設けられている。
このように、第1の補強部121と比較して剛性の小さい第2の補強部122が、一対の側面部113の各々の内面に沿って設けられている。これにより、熱伝導筒部11のうちで、発熱部20または放熱部30に接触させない部分で、接触させる部分(第1の筒側平面部111、第2の筒側平面部112)と比較して、弾性力を大きくする(曲げ易くする)ことができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、複数の補強部12が、互いに平行になるように、所定の間隔を開けて、熱伝導筒部11の周方向に沿って、熱伝導筒部11に取り付けられている。
これにより、熱伝導筒部11の延在方向に沿って、幅広い領域で、熱伝導筒部11の弾性力を調整することができる。
本発明の第1の実施の形態における熱伝導部材10において、熱伝導筒部11は、グラファイトにより形成されている。これにより、簡単な材料で、熱伝導部材10を構成できる。
<第2の実施の形態>
図8は、本発明の第2の実施の形態における熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの構成を示す外観断面図である。図9は、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの発熱部20Aの構成を示す外観上面図である。図10は、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの発熱部20Aの構成を示す外観斜視面図である。
なお、図8〜10では、図1〜7で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜7に示した符号と同等の符号を付している。
図8に示されるように、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bは、熱伝導部材10と、発熱部20Aと、放熱部30とを備えている。この放熱構造100Aは、例えば、パソコンや、サーバや、通信機器や、中継器や、基地局等の電子機器に搭載される。
ここで、図2と図8を対比する。図8では、放熱パッド24を用いた発熱部20Aを用いている点で、図2と相違する。
図8に示されるように、熱伝導部材10Aは、発熱部20Aよび放熱部30の間に設けられ、発熱部20Aおよび放熱部30を熱的に接続する。
図8〜図10に示されるように、発熱部20Aは、放熱部30と向かい合うように設けられている。発熱部20Aは、基板21と、電子部品22と、第2の基板23と、放熱パッド24とを備えている。基板22と第2の基板23の材料には、例えば、ガラスエポキシ樹脂のように、熱伝導性を有する材料が用いられる。なお、基板21および第2の基板23は、PKG(Package)と呼ばれることもある。発熱部20Aは、発熱部側接触面25を有する。発熱部側接触面25は、熱伝導筒部11と接触する。より具体的には、発熱部側接触面25は、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111と接触する。発熱部側接触面25は、後述の放熱部側接触面25と向かい合うように平行に配置されている。なお、図8の例では、発熱部側接触面25は、基板21の下面(図1および図2において紙面下側の面)に相当する。
図8〜図10に示されるように、放熱パッド24は、基板21と第2の基板22の間に設けられる。放熱パッド24は、電子部品22の熱を第2の基板23を介して受け取る。そして、放熱パッド24は、受け取った電子部品22の熱を外気に放熱する。放熱パッド24の材料には、例えば、シリコン系のシートやゲル状の物や、シリコンに金属粉を混ぜたものが、用いられる。放熱パッド22は、基板21および第2の基板22にある程度潰して密着させて、潰し方向(面方向に直角)に熱を伝える。なお、放熱パッド24の熱を伝える能力(熱伝導率)は、数値が高いほど良い。
以上、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの構成を説明した。
次に、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの組立方法について説明する。
まず、図3および図4を用いて説明したように、熱伝導部材10が完成させて、熱伝導部材10の形状を整える。
次に、図8〜図10に示されるように、発熱部20Aを作成する。すなわち、電子部品22が実装された基板21と、第2の基板23の間に、放熱パッド24を配置する。
つぎに、図8に示されるように、発熱部20Aおよび放熱部30の間に、熱伝導部材10Bを配置する。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111を発熱部20Aの発熱部側接触面25に接触させる。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112を放熱部30の放熱部側接触面35に接触させる。これにより、発熱部20および放熱部30の間が、熱伝導部材10により、熱接続される。この結果、熱伝導筒部11を介して、発熱部20Aの熱を放熱部30へ伝導することができる。このようにして、発熱部20Aの熱を放熱部30で放熱することができる。
以上、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの組立方法について説明した。
次に、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの動作について説明する。
図8に示されるように、熱伝導部材10Bは、発熱部20Aおよび放熱部30の間に配置されている。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111は発熱部20の発熱部側接触面25に接触されている。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112は放熱部30の放熱部側接触面35に接触されている。
発熱部20Aに電源供給することにより、電子部品22が発熱する。この電子部品22の熱(発熱部20Aの熱)は、第2の基板23の面を介して、放熱パッド24に伝達される。放熱パッド24は、電子部品22の熱の一部を放熱し、電子部品22の熱の一部以外を、基板21(発熱部側接触面25)を介して、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111へ伝導する。
以降の動作は、第1の実施の形態で説明した内容と同様である。
以上、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bの動作について説明した。
以上の通り、本発明の第2の実施の形態における熱伝導部材10Bでは、発熱部20Aが放熱パッド24を有する。これにより、発熱部20Aで生じる熱の一部を、放熱パッド24で放熱することができる。このため、放熱部30へ伝導する発熱部20Aの熱を少なくすることができる。この結果、熱伝導部材10B全体としての放熱の効率を高めることができる。
また、一般的に、放熱パッドを使用する際には、当該放熱パッドを一定量で潰しながら、発熱部および放熱部の間に放熱パッドを取り付ける。このとき、放熱パッドが潰された量と、放熱パッドおよび発熱部の接触面積と、放熱パッドと放熱部の接触面積等に基づいて、負荷(反発力)が発熱部および放熱部に加わってしまっていた。
これに対して、熱伝導部材10Bの放熱構造100Bでは、放熱パッド24を含めて発熱部20Aを構成し、さらに発熱部20Aおよび放熱部30の間に、弾性を有する熱伝導部材10Bを配置している。これにより、放熱パッド24が潰されることにより生じる負荷(反発力)が放熱部30に加わることを軽減することができる。この結果、放熱パッド24を用いた場合でも、発熱部20の熱を発熱部20から放熱部30へ安定して伝導することができる。よって、放熱パッド24を用いた場合でも、発熱部20や、当該発熱部20を搭載する電子機器内の温度を効率よく下げることができる。
また、例えば、発熱部20Aと放熱部30に隙間がある場合(熱伝導が悪い場合)、この隙間には空気が存在するが、空気は熱伝導が悪い。このため、発熱部20Aの熱が溜まる。しかし、放熱パッド24を設けることで、当該放熱パッド24が発熱部20A内に溜まる熱を放熱する。このため、発熱部20Aに溜まる熱を低減することができる。なお、発熱部20Aと放熱部30に隙間が真空である場合、発熱部20Aと放熱部30間の熱伝導は生じない。この場合、さらに発熱部20Aの熱が溜まる。したがって、放熱パッド24を設けることで、発熱部20Aに溜まる熱を効率よく低減することができる。
<第3の実施の形態>
図11は、本発明の第3の実施の形態における熱伝導部材10の放熱構造100Cの構成を示す外観斜視図である。図12は、熱伝導部材10の放熱構造100Bの構成を示す外観図である。図12(a)は、熱伝導部材10の放熱構造100Cの構成を示す外観断面図である。図12(b)は、熱伝導部材10の放熱構造100Cの構成を示す外観平面図であって、図12(a)の矢視Zを示す図である。なお、図11および図12では、図1〜10で示した各構成要素と同等の構成要素には、図1〜10に示した符号と同等の符号を付している。
図11、図12(a)および図12(b)に示されるように、熱伝導部材10の放熱構造100Cは、熱伝導部材10と、発熱部20Bと、放熱部30と、固定具40とを備えている。この放熱構造100Cは、例えば、パソコンや、サーバや、通信機器や、中継器や、基地局等の電子機器に搭載される。
ここで、図1と図11を対比する。図11では、熱伝導部材10の放熱構造100Cの設置状態が、図1と異なる。すなわち、図11では、放熱部30および熱伝導部材10の接触面と、発熱部20Bと熱伝導部材10の接触面が、鉛直方向Gに対して、略平行な方向に沿って設けられている。この点で、図11は、図1と異なる。また、図11では、固定具40をさらに備えている点で、図1と異なる。
図11、図12(a)および図12(b)に示されるように、熱伝導部材10は、発熱部20Bよび放熱部30の間に設けられ、発熱部20Bおよび放熱部30を熱的に接続する。
図8〜図10に示されるように、発熱部20Bは、放熱部30と向かい合うように設けられている。発熱部20Bは、ブロック形状に形成されている。なお、発熱部20Bに代えて、図1および図2で示した発熱部20や、図8〜図10で示した発熱部20Aを、用いてもよい。
図11に示されるように、固定具40は、発熱部20Bおよび放熱部30間の距離を一定に保つように、発熱部20Bおよび放熱部10を連結して固定する。これにより、発熱部20Bが、自重により、鉛直方向Gの下方へ落ちることを抑止できる。
このとき、熱伝導部材10の接触圧が大きい場合、固定具40のうち、発熱部20B側に大きな負荷が加わる。また、固定具40が、電気的な接続を有する場合、発熱部20Bまたは放熱部30との嵌合部に負荷が加わる。従って、放熱性能を高めるために、放熱部30および熱伝導部材10の接触面と、発熱部20Bと熱伝導部材10の接触面を、より大きくすることが好ましい。併せて、放熱部30および熱伝導部材10間の接触圧力と、発熱部20Bおよび熱伝導部材10間の接触圧力は、より小さくすることが好ましい。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100Cの構成を説明した。
次に、熱伝導部材10の放熱構造100Cの組立方法について説明する。
まず、図3および図4を用いて説明したように、熱伝導部材10が完成させて、熱伝導部材10の形状を整える。
次に、図11、図12(a)および図12(b)に示されるように、発熱部20Aを準備し、発熱部20Bおよび放熱部30の間に、熱伝導部材10を配置する。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111を発熱部20Bの発熱部側接触面25に接触させる。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112を放熱部30の放熱部側接触面35に接触させる。これにより、発熱部20Bおよび放熱部30の間が、熱伝導部材10により、熱接続される。この結果、熱伝導筒部11を介して、発熱部20Bの熱を放熱部30へ伝導することができる。このようにして、発熱部20Bの熱を放熱部30で放熱することができる。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100Cの組立方法について説明した。
次に、熱伝導部材10の放熱構造100Cの動作について説明する。
図11、図12(a)および図12(b)に示されるように、熱伝導部材10Cは、発熱部20Bおよび放熱部30の間に配置されている。このとき、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111は発熱部20Bの発熱部側接触面25に接触されている。同様に、熱伝導筒部11の第2の筒側平面部112は放熱部30の放熱部側接触面35に接触されている。
発熱部20Bに電源供給することにより、発熱部20Bが発熱する。この発熱部20Bの熱は、発熱部側接触面25を介して、熱伝導筒部11の第1の筒側平面部111へ伝導する。
以降の動作は、第1の実施の形態で説明した内容と同様である。
以上、熱伝導部材10の放熱構造100Cの動作について説明した。
以上の通り、本発明の第3の実施の形態における熱伝導部材10において、発熱部20Bおよび放熱部30間の距離を一定に保つように、発熱部20Bおよび放熱部30を連結して固定する固定具40が設けられている。これにより、例えば、放熱部30および熱伝導部材10の接触面と、発熱部20Bと熱伝導部材10の接触面が、鉛直方向Gに対して、略平行な方向に沿って設けられていても、発熱部20Bが、自重により、鉛直方向Gの下方へ落ちることを抑止できる。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。実施の形態は例示であり、本発明の主旨から逸脱しない限り、上述各実施の形態に対して、さまざまな変更、増減、組合せを加えてもよい。これらの変更、増減、組合せが加えられた変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。