以下に、本発明の実施の形態にかかる位置決め制御装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる位置決め制御装置のブロック図である。位置決め制御装置10は、モータ1を駆動させて制御対象である機械負荷2を目標移動距離離れた所望の位置に位置決めする。図1において、モータ1は、ボールねじ3などを介して制御対象である機械負荷2にトルクまたは推力を与え動作させる。モータ1としては、機械負荷2を移動できるものであればよく、例えば回転型サーボモータ、リニアモータ、ステッピングモータなどが挙げられる。ボールねじ3は、モータ1の回転運動を直線運動に変更する。機械負荷2は、ボールねじ3に組み付けられるボールねじナット(図示略)を備え、モータ1の回転により、ボールねじ3の軸方向に移動する。機械負荷2としては、例えば電子部品実装機または半導体製造装置の駆動部が考えられるが、位置決め制御が必要とされる駆動部分であれば何に適用しても良い。モータ1は、位置検出器4を備える。この位置検出器4は、モータ1または機械負荷2の位置を検出し、これらモータ1または機械負荷2の位置情報である検出位置信号25を後述する駆動制御部15に出力する。位置検出器4の具体例としては、例えばロータリエンコーダが挙げられる。実施の形態1では、位置検出器4は、モータ1の位置を検出するものとして説明するが、機械負荷2の位置を検出する構成としてもよい。
位置決め制御装置10は、図1に示すように、機械負荷2を目標移動距離Dだけ移動させる位置指令信号22を生成する位置指令信号生成部11と、モータ1または機械負荷2の検出位置信号25と位置指令信号22とに基づいて、機械負荷2の位置決め制御を実行する駆動制御部15とを備える。また、位置決め制御装置10は、機械負荷2の目標移動距離Dと位置決め制御が終了した際の機械負荷2の検出位置との差の許容値である許容位置決め誤差23が入力される許容位置決め誤差入力部12と、複数の位置指令信号22を用いて、位置決め制御を行う際に発生したモータ1または機械負荷2の残留振動の大きさである残留振動振幅を含む残留振動情報24を記憶する残留振動情報記録部13と、許容位置決め誤差23と残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24とに基づいて、位置指令信号22を生成するための位置指令信号パラメータ21を決定する位置指令信号パラメータ決定部14と、を備える。
位置指令信号生成部11は、モータ1が機械負荷2を移動させる目標移動距離Dに基づいて、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号22を生成し、この位置指令信号22を駆動制御部15に出力する。目標移動距離Dは、操作者によって、外部から予め入力されている。
図2は、実施の形態1にかかる指令信号の波形を示す図である。具体的には、図2の上段は、実施の形態1で使用する位置指令信号22の形状、中段は、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状、下段は、位置指令信号22の二回微分である指令加速度信号22bの形状を示している。実施の形態1では、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が三角形状であり加速時間taと減速時間tbが等しく、指令速度信号22aは、加速動作時に直線的に増加し、減速動作時に直線的に減速する。ここで、加速時間とは指令速度信号22aが0から最大値に到達するまでの時間を指し、減速時間とは指令速度信号22aが最大値から0に到達するまでの時間を指す。また、位置指令信号22は、位置指令信号22の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ21に基づいて生成される。実施の形態1では、図2中の加速時間taを位置指令信号パラメータ21とする。また、図2において、符号Dは、目標移動距離を表している。この場合、位置指令信号パラメータtaを用いて、目標移動距離Dを移動させる際の加速度を表すと、加速時間の加速度はD/ta2となる。また、実施の形態1では、加速時間taと減速時間tbとが等しいため、減速時間の加速度は、−D/ta2と表わされる。なお、実施の形態1において、目標移動距離Dと指令速度信号22aの形状が、加速時間taと減速時間tbが等しい三角形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号22を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ21を指定することで一意に定めることができる。
許容位置決め誤差入力部12には、機械負荷2を目標移動距離Dだけ移動した際の目標位置と、位置決め制御が終了した時点での機械負荷2の検出位置との誤差の許容値である許容位置決め誤差23が予め指定して入力される。この許容位置決め誤差23は、機械負荷2を有する機械の位置決め精度の仕様によって決まる値であり、位置決め精度をより向上させたい場合には小さく設定され、精度をそれほど必要としない時は大きく設定される。目標移動距離Dの位置決め動作を行う場合、モータ1または機械負荷2が、変動または振動しても、許容位置決め誤差23以下の変動や振動であれば、位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされていると判断される。このため、振動を完全に抑制しながら位置決め動作を行うのではなく、振動が許容位置決め誤差23以下であれば許容し、位置決め制御を行うことで、位置決め時間が短縮される。
許容位置決め誤差23は、操作者によって、外部から予め入力され、許容位置決め誤差入力部12は、この入力された許容位置決め誤差23を位置指令信号パラメータ決定部14に出力する。なお、許容位置決め誤差23として、モータ1または機械負荷2の残留振動の大きさである残留振動振幅の許容値を用いても良い。
残留振動情報記録部13は、予め位置指令信号パラメータ21が異なる複数の位置指令信号22を用いて、位置決め制御を実行したときに発生した残留振動振幅と、そのときの位置指令信号パラメータ21とを関連づけて残留振動情報24として記憶する。残留振動情報24は、複数の位置指令信号パラメータ21に対応してそれぞれ記憶されている。
位置指令信号パラメータ決定部14は、許容位置決め誤差入力部12に入力された許容位置決め誤差23と残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24に基づいて、位置指令信号パラメータ21を算出する。具体的には、位置指令信号パラメータ決定部14は、位置指令信号パラメータ21と残留振動情報24に含まれる残留振動振幅との関係を補間することにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下となる位置指令信号22を生成するための位置指令信号パラメータ21を算出し、該位置指令信号パラメータ21を決定する。
駆動制御部15は、位置指令信号生成部11によって出力された位置指令信号22と、位置検出器4より検出された検出位置信号25とに基づいて、位置指令信号22に検出位置信号25が追従するように、モータ1に駆動電流26を供給する。駆動制御部15の具体例としては、位置指令信号22と検出位置信号25の偏差に、PID制御を行うことでモータ1に与えるべき電流値を計算し、これを駆動電流26として供給することが挙げられる。また、駆動制御部15は、この例に限られるものではなく、検出位置信号25が位置指令信号22に追従できるような構成であれば、どのようなものでも構わない。
次に、位置決め制御装置10の動作について説明する。図3は、実施の形態1の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ここでは、特に、許容位置決め誤差入力部12、残留振動情報記録部13、位置指令信号パラメータ決定部14の処理を詳細に説明する。
ステップS11では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dを位置指令信号生成部11に入力する。ここで、許容位置決め誤差GINPは、上記した許容位置決め誤差23と同一のものである。また、許容位置決め誤差GINP及び目標移動距離Dを都度、入力するのではなく、許容位置決め誤差入力部12に記憶可能な記憶部を備えた構成とし、予め許容位置決め誤差GINP及び目標移動距離Dを記憶させておくと共に、ステップS11の手順で記憶部に記憶された許容位置決め誤差GINP及び目標移動距離Dを読み出す構成としてもよい。
ステップS12からステップS18では、残留振動情報記録部13は、実際の位置決め制御を行う前に、残留振動情報24を記憶するための予備動作を行う。
具体的には、ステップS12では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータta1が決定される。第一の位置指令信号パラメータta1の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ21が挙げられる。具体例としては、モータ1が出力できる最大トルクを用いて、モータ1および機械負荷2の合計イナーシャを加速および減速し目標移動距離Dまで移動するときの位置指令信号22の加速時間にすること、または、位置指令信号パラメータ21として設定可能な最短の値に設定することが好適な例として挙げられる。いずれにしろ位置指令信号パラメータ21を短く設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行なうことが望ましい。
ステップS13では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータta1に対応する位置指令信号22を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅Gta1´を測定する。ここで、残留振動振幅Gta´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS14では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータta1と第一の残留振動振幅Gta1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS15では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅Gta1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS16では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータta2が決定される。第二の位置指令信号パラメータta2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ21が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータta2を残留振動周期Tnと同じ値に設定することが挙げられる。この場合、詳細は後述するが残留振動振幅は最小となる。
ステップS17では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータta2に対応する位置指令信号22を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅Gta2´を測定する。ステップS18では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータta2と第二の残留振動振幅Gta2´を関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS19では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータtaoptを以下の数1の式により算出する。
以上、図3のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータta
optを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差G
INP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータta
opt(21)が得られる。
次に、実施の形態1の効果、すなわち、図1のブロック図の構成、及び、図3のフローチャートの処理によって、位置決め時間を短縮することができる位置指令信号パラメータtaopt(21)を算出して決定できる理由について説明する。
はじめに、その準備として、実施の形態1で使用した位置指令信号パラメータtaと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。前述のとおり、実施の形態1で使用する位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状は、図2に示すように、加速時間taと減速時間tbとが同一の三角形状で表される。位置指令信号22の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータtaと目標移動距離Dに基づき以下の数2の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時に検出位置信号の時間tに対する応答をx(t)とすると、x(t)のラプラス変換表現X(s)は振動的な伝達特性を表す二次系の伝達特性と、位置指令信号x
*(t)のラプラス変換表現X
*(s)を用いて以下の数3の式で近似できる。ζとω
nはそれぞれ減衰比と残留振動の周波数[rad/s]である。
数3に数2を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数4の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータtaと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数5に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数4の大括弧[]内で表される値を振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値Gtaは、位置指令信号パラメータta、目標移動距離D、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数6の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値Gtaを、以下、単に残留振動振幅Gtaと称する。
残留振動振幅Gtaと位置指令信号パラメータtaとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])と減衰比ζ=0.1と目標移動距離D=10mmを、それぞれ上記の数6の式に代入したときの、残留振動振幅Gtaと位置指令信号パラメータtaとの関係を図4に示す。
図4より、位置指令信号パラメータtaが残留振動周期100msと等しいとき、つまりta=Tnのとき、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータta≦残留振動周期Tnの範囲では位置指令信号パラメータtaが大きくなると残留振動振幅が単調減少する性質がある。図4においては、残留振動周期Tn=100ms、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mmとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は、残留振動周期、減衰比、目標移動距離の値に依存せず、幅広く成立する性質である。理論上、残留振動振幅Gtaは、数6の式で算出することが可能であるが、実際の位置決め制御装置においては、駆動制御部15のゲイン値及びモータ1と機械との間の粘性摩擦など様々な要因による影響を受けるため、数6の式で計算される理論上の解析値である残留振動振幅Gtaと、実際の位置決め制御を行った際の実測値である残留振動振幅Gta´とでは、値が定量的に完全には一致しない。
しかし、上述の位置指令信号パラメータtaに対する残留振動振幅の変化の傾向、すなわち、位置指令信号パラメータtaが大きくなると残留振動振幅が単調減少するという性質は理論解析上だけではなく、実測値の残留振動振幅と位置指令信号パラメータ21においても同様に成立する。
実施の形態1においては、位置指令信号パラメータ21は、位置指令信号22の加速時間taに相当する。実施の形態1の位置指令信号22は、加速時間taと減速時間tbが等しいため、位置指令信号パラメータtaを小さくすると、位置指令信号22の加速時間taと減速時間tbとが共に短縮され、位置決めを開始してから指令が目標位置に到達するまでの時間である指令払出時間tm(図2)が短縮される。よって、位置指令信号パラメータtaを小さくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータtaを大きくすると、実測値においても残留振動振幅Gta´が単調減少する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ21を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ21を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータtaに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅Gta´と、対応する位置指令信号パラメータtaとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータtaが大きくなると、残留振動振幅Gta´が単調減少する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ21を簡単に算出して決定できる。
具体的には、複数の残留振動情報24から、位置指令信号パラメータtaと残留振動振幅Gta´の関係を表す補間式を求め、この補間式を利用して、残留振動振幅Gta´が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ21を算出する。補間式としては、位置指令信号パラメータ21の増加に対し、残留振動振幅が単調減少する性質を表せるものであればよく、具体例としては、線形補間が挙げられる。
実施の形態1のように、複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータta1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅Gta1´と、第二の位置指令信号パラメータta2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅Gta2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータtaと残留振動振幅Gta´の関係を表す線形補間式は、以下の数7の式で表される。
これにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータta
optを算出するには、数7の式に対してGta´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数1の式で表される。
ここで、図3のフローチャートにおけるステップS12からステップS14の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ21の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータta1と第一の残留振動振幅Gta1´を得るための処理に相当する。
また、図3のフローチャートにおけるステップS16からステップS18の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ21の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータta2と第二の残留振動振幅Gta2´を得るための処理に相当する。
また、図3のフローチャートにおけるステップS19の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出して決定する処理に相当する。
また、上記した線形補間の数1の式では、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出するために、2つの残留振動情報24として、第一の残留振動振幅Gta1´が許容位置決め誤差23よりも大きくなる第一の位置指令信号パラメータta1と、第二の残留振動振幅Gta2´が許容位置決め誤差23よりも小さくなる第二の位置指令信号パラメータta2とが用いられている。このような第一及び第二の位置指令信号パラメータta1,ta2を用いることで、より精度よく位置指令信号パラメータ21を算出することができる。次に、その理由について説明する。
第一の残留振動振幅Gta1´が許容位置決め誤差GINPよりも大きくなる時の第一の位置指令信号パラメータta1と、第二の残留振動振幅Gta2´が許容位置決め誤差GINPより小さくなる時の第二の位置指令信号パラメータta2が分かっている場合、位置指令信号パラメータ21が大きくなると、残留振動振幅が単調減少する性質から、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPに一致するような位置指令信号パラメータ21はta1とta2の間にあることになる。
このため、ta1とta2との間にある位置指令信号パラメータ21を、線形補間式を用いて算出することにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ21を、より精度よく算出することが可能となる。
実施の形態1では、図3のフローチャートにおけるステップS14において、残留振動情報記録部13は、残留振動振幅が許容位置決め誤差23よりも大きくなる位置指令信号パラメータ21と該位置指令信号パラメータ21に対応する残留振動振幅とを残留振動情報24として記憶している。さらに、ステップS18において、残留振動情報記録部13は、残留振動振幅が許容位置決め誤差23よりも小さくなる位置指令信号パラメータ21と該位置指令信号パラメータ21に対応する残留振動振幅とを残留振動情報24として記憶している。そして、これらの情報をもとに、ステップS19で残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ21を算出するので、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータ21を精度よく算出することができる。
以上、実施の形態1では、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下となる位置指令信号パラメータ21を決定することで、位置決め時間を短縮することができる。また、実施の形態1では、残留振動情報記録部13は、2つの残留振動情報24として、第一の残留振動振幅Gta1´が許容位置決め誤差23よりも大きくなる第一の位置指令信号パラメータta1と、第二の残留振動振幅Gta2´が許容位置決め誤差23よりも小さくなる第二の位置指令信号パラメータta2とを用いるため、より精度よく位置指令信号パラメータ21を算出することができる。
また、実施の形態1では、残留振動情報記録部13は、第二の残留振動情報24として、残留振動振幅Gtaが最小になるときの残留振動情報を含むため、より精度よく位置指令信号パラメータ21を算出することができ、位置決め時間を短縮できる。
また、実施の形態1では、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータtaと発生する残留振動振幅Gta´の関係を補間しているため、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ21を簡単に算出することができる。ここで、実施の形態1では、位置指令信号パラメータtaと残留振動振幅Gta´の関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調減少する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調減少の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
また、実施の形態1では、位置指令信号パラメータ21として、位置指令信号22の加速時間taを用いた構成と効果を述べたが、図2に示す指令信号は加速時間taと減速時間tbが等しいことから、位置指令信号パラメータ21として、位置指令信号22の減速時間tbを用いても、全く同じ効果を発揮することができる。
また、実施の形態1では、位置指令信号生成部11は、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が加速時間taと減速時間tbの等しい三角形状である位置指令信号22を生成するため、位置指令信号パラメータtaを小さくすると、位置指令信号22の加速時間taと減速時間tbがともに短縮され、位置決めを開始してから指令が目標位置に到達するまでの時間である指令払出時間tmが短縮される。よって、位置指令信号パラメータtaを小さくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
また、実施の形態1では、位置指令信号パラメータ21が位置指令信号22の加速時間taであるため、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が加速時間taと減速時間tbの等しい三角形状である位置指令信号を簡単に生成することができる。
また、実施の形態1では、位置指令信号22の加速時間taが、残留振動の周期である位置指令信号パラメータ21を持つ残留振動情報24を得るため、残留振動振幅が許容位置決め誤差23よりも小さくなる第二の残留振動情報24を得ることが可能になる。
実施の形態2.
次に、本発明の実施の形態2について説明する。実施の形態1では、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が三角形状であり、かつ加速時間taと減速時間tbが等しい指令形状を持つ位置指令信号22を使用した形態について説明を行ったが、これ以外の指令信号を使用することもできる。実施の形態2では、他の形状の指令信号を使用した例について説明する。
図5は、本発明の実施の形態2にかかる位置決め制御装置を示すブロック図である。実施の形態2では、位置決め制御装置10Aは、位置指令信号生成部111の構成が異なる。実施の形態1の位置決め制御装置10と重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
位置決め制御装置10Aは、図5に示すように、位置指令信号生成部111を備える。この位置指令信号生成部111は、外部より入力された目標移動距離Dと、位置指令信号122の二回微分である指令加速度信号122b(図6)における加速動作時の加速度Aとに基づいて位置指令信号122を生成し駆動制御部15に出力する。
図6は、実施の形態2にかかる指令信号の波形を示す図である。具体的には、図6の上段は、実施の形態2で使用する位置指令信号122の形状、中段は、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状、下段は、位置指令信号122の二回微分である指令加速度信号122bの形状を示している。実施の形態2では、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状が三角形状であり加速時間tcが減速時間td以下の値を持ち、指令速度信号122aは、加速動作時に直線的に増加し、減速動作時に直線的に減速する。また、位置指令信号122は、位置指令信号122の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ121に基づいて生成される。実施の形態2では、図6中の減速時間tdを位置指令信号パラメータ121とする。また、図6において、符号Dは、目標移動距離を表し、符号Aは、加速動作時の加速度を表す。なお、実施の形態2において、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、指令速度信号122aの形状が、加速時間tcが減速時間td以下である三角形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号122を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ121を指定することで一意に定めることができる。
図7は、実施の形態2の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ステップS21では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dと、指令加速度信号122bにおける加速動作時の加速度Aを位置指令信号生成部111に入力する。
ステップS22では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータtd1が決定される。第一の位置指令信号パラメータtd1の例としては、実施の形態1と同様に、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ121が挙げられる。具体例としては、加速時間tcと減速時間tdとを同じに設定したり、減速時間tdをなるべく短く設定したときの位置指令信号の減速時間にすることが挙げられる。また、位置指令信号パラメータ121として設定可能な最短の値に設定することが好適な例として挙げられる。いずれにしろ位置指令信号パラメータ121を短く設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行なうことが望ましい。
ステップS23では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータtd1に対応する位置指令信号122を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅Gtd1´を測定する。ここで、残留振動振幅Gtd´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS24では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータtd1と第一の残留振動振幅Gtd1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS25では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅Gtd1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS26では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータtd2が決定される。第二の位置指令信号パラメータtd2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ121が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータtd2を残留振動周期Tnと同じ値に設定することが挙げられる。
ステップS27では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータtd2に対応する位置指令信号122を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅Gtd2´を測定する。ステップS28では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータtd2と第二の残留振動振幅Gtd2´を関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS29では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータtdoptを以下の数8の式により算出する。
以上、図7のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータtdoptを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差GINP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータtdopt(121)が得られる。
次に、実施の形態2の効果について説明する。まず、実施の形態2で使用する位置指令信号パラメータtdと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。前述のとおり、実施の形態2で使用する位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状は、図6に示すように、加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ三角形状で表される。位置指令信号122の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータtdと目標移動距離Dと加速動作時の加速度Aに基づき、以下の数9の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
このときpは、位置指令信号パラメータtdおよび、目標移動距離D、加速動作時の加速度Aを用いて、以下の数10の式で表される。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時の検出位置信号x(t)と位置指令信号x*(t)の関係は、実施の形態1で説明したように数4の式により近似でき、数4に数9を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数11の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータtdと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数12に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数11の式の大括弧[]内で表される値と振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値Gtdは位置指令信号パラメータtd、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、残留振動周波数ωn、減衰比ζを用いて、以下の数13の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値Gtdを、以下、単に残留振動振幅Gtdと称する。
残留振動振幅Gtdと位置指令信号パラメータtdとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gを上記の数13の式に代入したときの、残留振動振幅Gtdと位置指令信号パラメータtdとの関係を図8に示す。
図8に示すように、実施の形態2についても、位置指令信号パラメータtdが残留振動周期100msと等しいとき、つまりtd=Tnのとき、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータtd≦残留振動周期Tnの範囲では位置指令信号パラメータtdが大きくなると残留振動振幅が単調減少している。図8においては、残留振動周期Tn=100ms(ωn=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は残留振動周期、減衰比、目標移動距離、加速動作時の加速度の値に依存せず、幅広く成立する性質である。以上の実施の形態2の位置指令信号122を用いた際に、位置指令信号パラメータtdが大きくなると、残留振動振幅が単調減少するという性質は、実施の形態1と同様な理由により実測値においても成立する。
実施の形態2においては、位置指令信号パラメータ121は、位置指令信号122の減速時間tdに相当する。図9に、位置指令信号パラメータtdが大きい場合の指令速度信号の変化を示し、図10に、位置指令信号パラメータtdが小さい場合の指令速度信号の変化を示す。これら図9及び図10に示すように、位置指令信号パラメータtdを小さくすると、指令信号の減速時間が短縮されるため、指令払出時間tmは短縮される。よって、位置指令信号パラメータtdを小さくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータtdを大きくすると、実測値においても残留振動振幅が単調減少する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ121を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ121を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
実施の形態1と同様に、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータtdに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅と、対応する位置指令信号パラメータtdとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータtdが大きくなると、残留振動振幅が単調減少する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ121を簡単に算出して決定できる。
複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータtd1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅Gtd1´と、第二の位置指令信号パラメータtd2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅Gtd2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータtdと残留振動振幅Gtd´の関係を表す線形補間式は、以下の数14の式で表される。
これにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータtd
optを算出するには、数14の式に対してGtd´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数8の式で表される。
ここで、図7のフローチャートにおけるステップS22からステップS24の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ121の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータtd1と第一の残留振動振幅Gtd1´を得るための処理に相当する。
また、図7のフローチャートにおけるステップS26からステップS28の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ121の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータtd2と第二の残留振動振幅Gtd2´を得るための処理に相当する。
また、図7のフローチャートにおけるステップS29の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtdoptを算出して決定する処理に相当する。
実施の形態2では、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状は実施の形態1と同様に三角形状であるが、加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ。このため、加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ位置指令信号122についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ121を算出する効果が得られる。
また、実施の形態2では、位置指令信号生成部111は、位置指令信号パラメータ121が位置指令信号122の減速時間tdであるため、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状が三角形状であり、加速時間tcが減速時間td以下である位置指令信号122の形状を簡単に決定できる。
また、実施の形態2では、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータtdと発生する残留振動振幅Gtdの関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調減少する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調減少の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
加速動作時の加速度Aが一定で、加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ形状が三角形状の指令速度信号を、時間反転させれば、減速動作時の減速度A(加速度-A)が一定で、減速時間tdが加速時間tc以下の値を持つ形状が三角形状の指令速度信号になる。それぞれの指令のフーリエ変換は共役倍しか異ならないため、周波数成分の大きさは同一となり、それぞれの指令が、振動の励起しやすさに与える影響も同一となる。よって、実施の形態2では、加速動作時の加速度Aを一定にして、位置指令信号パラメータ121として、減速時間tdを用いた構成と効果を述べたが、減速動作時の減速度A(加速度-A)を一定にして、位置指令信号パラメータ121として、加速時間tcを用いても、同様の効果を発揮することができる。
実施の形態3.
本発明の実施の形態3について説明する。図11は、本発明の実施の形態3の位置決め制御装置の構成を示すブロック図である。実施の形態3では、位置決め制御装置10Bは、位置指令信号生成部211の構成が異なる。実施の形態1の位置決め制御装置10と重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
位置決め制御装置10Bは、図11に示すように、位置指令信号生成部211を備え、この位置指令信号生成部211は、外部より入力された目標移動距離Dと、位置指令信号222の二回微分である指令加速度信号222b(図12)における加速動作時の加速度Aとに基づいて位置指令信号222を生成し駆動制御部15に出力する。
図12は、実施の形態3にかかる指令信号の波形を示す図である。具体的には、図12の上段は、実施の形態3で使用する位置指令信号222の形状、中段は、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状、下段は、位置指令信号222の二回微分である指令加速度信号222bの形状を示している。実施の形態3では、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状が等速時間tfを持つ台形形状であり、加速時間teが減速時間tgと等しく、指令速度信号222aは加速動作時に直線的に増加し、等速動作時は変化せず、減速動作時に直線的に減速する。ここで、等速時間tfとは指令速度信号が0から最大値に到達し、最大値から0に到達するまでの間にある、速度変化のない時間を指す。また、位置指令信号222は、位置指令信号222の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ221に基づいて生成される。実施の形態3では、図12中の加速時間teと等速時間tfとの和tefを位置指令信号パラメータ221とする。また図12において、符号Dは、目標移動距離を表し、符号Aは、加速動作時の加速度を表す。なお、実施の形態3において、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、指令速度信号222aの形状が、加速時間teと減速時間tgが等しい台形形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号222を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ221を指定することで一意に定めることができる。
図13は、実施の形態3の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ステップS31では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dと、指令加速度信号222bにおける加速動作時の加速度Aを位置指令信号生成部211に入力する。
ステップS32では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータtef1が決定される。第一の位置指令信号パラメータtef1の例としては、実施の形態1と同様に、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ221が挙げられる。具体例としては、等速時間tfをなるべく短く設定するときの位置指令信号222の加速時間と等速時間の和にすることが挙げられる。位置指令信号パラメータ221である加速時間teと等速時間tfの和tefを短く設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行わせることが望ましい。
ステップS33では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータtef1に対応する位置指令信号222を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅Gtef1´を測定する。ここで、残留振動振幅Gtef´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS34では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータtef1と第一の残留振動振幅Gtef1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS35では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅Gtef1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS36では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータtef2が決定される。第二の位置指令信号パラメータtef2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ221が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータtef2を残留振動周期Tnと同じ値に設定することが挙げられる。
ステップS37では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータtef2に対応する位置指令信号222を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅Gtef2´を測定する。ステップS38では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータtef2と第二の残留振動振幅Gtef2´とを関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS39では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータtefoptを以下の数15の式により算出する。
以上、図13のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータtefoptを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差GINP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータtefopt(121)が得られる。
次に、実施の形態3の効果について説明する。まず、実施の形態3で使用する位置指令信号パラメータtefと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。前述のとおり、実施の形態3で使用する位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状は、図12に示すように、等速時間tfを有し、加速時間teと減速時間tgとが等しい台形形状で表される。位置指令信号222の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータtefと目標移動距離Dと加速動作時の加速度Aに基づき、以下の数16の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
このときqは、位置指令信号パラメータtefおよび、目標移動距離D、加速動作時の加速度Aを用いて、以下の数17の式で表される。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時の検出位置信号x(t)と位置指令信号x*(t)の関係は実施の形態1で説明したように数4の式により近似でき、数4に数16を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数18の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータtefと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数19に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数18の式の大括弧[]内で表される値と振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値Gtefは位置指令信号パラメータtef、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、残留振動周波数ωn、減衰比ζを用いて、以下の数20の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値Gtefを、以下、単に残留振動振幅Gtefと称する。
残留振動振幅Gtefと、位置指令信号パラメータtefとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gを上記の数20の式に代入したときの、残留振動振幅Gtefと位置指令信号パラメータtefとの関係を図14に示す。
図14に示すように、実施の形態3についても、位置指令信号パラメータtefが残留振動周期100msと等しいとき、つまりtef=Tnのとき、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータtef≦残留振動周期Tnの範囲では位置指令信号パラメータtefが大きくなると残留振動振幅が単調減少している。図14においては、残留振動周期Tn=100ms(ωn=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は残留振動周期、減衰比、目標移動距離、加速動作時の加速度の値に依存せず、幅広く成立する性質である。以上の実施の形態3の位置指令信号222を用いた際に、位置指令信号パラメータtefが大きくなると、残留振動振幅が単調減少するという性質は、実施の形態1と同様な理由により実測値においても成立する。
実施の形態3においては、位置指令信号パラメータ221は、位置指令信号222の加速時間teと等速時間tfとの和tefに相当する。図15に、位置指令信号パラメータtefが大きい場合の指令速度信号の変化を示し、図16に、位置指令信号パラメータtefが小さい場合の指令速度信号の変化を示す。これら図15及び図16に示すように、位置指令信号パラメータtefを小さくすると、指令信号の加速時間teと等速時間tfとの和が短縮されるため、指令払出時間tmは短縮される。よって、位置指令信号パラメータtefを小さくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータtefを大きくすると、実測値においても残留振動振幅が単調減少する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ221を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ221を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
実施の形態1と同様に、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータtefに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅と、対応する位置指令信号パラメータtefとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータtefが大きくなると、残留振動振幅が単調減少する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ221を簡単に算出して決定できる。
複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータtef1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅Gtef1´と、第二の位置指令信号パラメータtef2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅Gtef2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータtefと残留振動振幅Gtef´の関係を表す線形補間式は、以下の数21の式で表される。
これより残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータtef
optを算出するには、数21の式に対してGtef´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数15の式で表される。
ここで、図13のフローチャートにおけるステップS32からステップS34の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ221の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータtef1と第一の残留振動振幅Gtef1´を得るための処理に相当する。
また、図13のフローチャートにおけるステップS36からステップS38の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ221の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータtef2と第二の残留振動振幅Gtef2´を得るための処理に相当する。
また、図13のフローチャートにおけるステップS39の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtefoptを算出する処理に相当する。
実施の形態3では、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aは等速時間tfを有する台形形状であり、加速時間teが減速時間tgと等しい値を持つ。このため、このような位置指令信号222についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ221を算出する効果が得られる。
また、実施の形態3では、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータtefと発生する残留振動振幅Gtef´の関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調減少する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調減少の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
また、実施の形態3では、位置指令信号パラメータ221として、位置指令信号222の加速時間teと等速時間tfとの和tefを用いた構成と効果を述べたが、図12に示す指令信号は加速時間teと減速時間tgが等しいことから、加速時間teと等速時間tfとの和tefおよび、減速時間tgと等速時間tfの和tfgも等しくなるため、位置指令信号パラメータ221として、減速時間tgと等速時間tfの和tfgを用いても、全く同じ効果を発揮することができる。
また、実施の形態1、2、3において、二組の残留振動の大きさである残留振動振幅と、該位置指令信号パラメータとを関連づけた残留振動情報24を利用する例を説明したが、三組以上の残留振動情報24を利用してもよい。この場合、数21などに相当する位置指令信号パラメータと残留振動振幅の関係を表す補間式を、最小二乗法などを用いて算出すれば、同様に実施することができ、同様の効果を発揮することができる。
実施の形態4.
続いて、本発明の実施の形態4について説明する。実施の形態1では、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が三角形状であり、かつ加速時間taと減速時間tbとが等しい指令形状をもつ位置指令信号22を使用した。実施の形態1では、位置指令信号22の形状を決定する位置指令信号パラメータ21を位置指令信号22の加速時間taとした形態について説明を行ったが、これ以外の位置指令信号パラメータを使用することもできる。実施の形態4では、他の位置指令信号パラメータ321を使用した例について説明する。
図17は、本発明の実施の形態4にかかる位置決め制御装置を示すブロック図である。実施の形態4では、位置決め制御装置10Cは、位置指令信号生成部311の構成が異なる。実施の形態1の位置決め制御装置10と重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
位置決め制御装置10Cは、図17に示すように、位置指令信号生成部311を備える。この位置指令信号生成部311は、外部より入力された目標移動距離Dに基づいて位置指令信号22を生成し駆動制御部15に出力する。
図18は、実施の形態4にかかる指令信号の波形を示す図である。実施の形態4で使用する位置指令信号22の形状は実施の形態1と同様であり、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が三角形状であり加速時間taと減速時間tbが等しく、指令速度信号22aは、加速動作時に直線的に増加し、減速動作時に直線的に減速する。図18において、符号Aaは加速動作時の加速度、符号Abは減速動作時の加速度を表す。加速動作時の加速度Aaと減速動作時の加速度Abとの間には、Ab=−Aaの関係がある。また、位置指令信号22は、位置指令信号22の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ321に基づいて生成される。実施の形態4では、図18中の加速動作時の加速度Aaを位置指令信号パラメータ321とする。また図18において、符号Dは、目標移動距離を表す。なお、実施の形態4において、目標移動距離Dと指令速度信号22aの形状が、加速時間taと減速時間tbとが等しい三角形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号22を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ321を指定することで一意に定めることができる。具体的には、目標移動距離Dと、位置指令信号パラメータ321である加速動作時の加速度Aaと、を用いることで、図18中の加速時間ta及び減速時間tbは、それぞれta=tb=√(D/Aa)=(D/Aa)1/2として算出できる。
図19は、実施の形態4の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ステップS41では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dを位置指令信号生成部311に入力する。
ステップS42では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータAa1が決定される。第一の位置指令信号パラメータAa1の例としては、実施の形態1と同様に、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ321が挙げられる。具体例としては、モータ1が出力できる最大トルクを用いて、モータ1および機械負荷2の合計イナーシャを加速および減速し目標移動距離Dまで移動するときの位置指令信号22の加速動作時の加速度にすること、または、位置指令信号パラメータ321として設定可能な最大の値に設定することが好適な例として挙げられる。いずれにしろ位置指令信号パラメータ321を大きく設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行なうことが望ましい。
ステップS43では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータAa1に対応する位置指令信号22を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅GAa1´を測定する。ここで、残留振動振幅GAa´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS44では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータAa1と第一の残留振動振幅GAa1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS45では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅GAa1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS46では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータAa2が決定される。第二の位置指令信号パラメータAa2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ321が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータAa2を、加速時間taが残留振動周期Tnと同じ値になるときの加速動作時の加速度(Aa2=D/Tn2)に設定することが挙げられる。
ステップS47では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータAa2に対応する位置指令信号22を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅GAa2´を測定する。ステップS48では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータAa2と第二の残留振動振幅GAa2´を関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS49では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータAaoptを以下の数22の式により算出する。
以上、図19のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータAaoptを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差GINP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータAaopt(321)が得られる。
次に、実施の形態4の効果について説明する。まず、実施の形態4で使用した位置指令信号パラメータAaと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。前述のとおり、実施の形態4で使用する位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状は、図18に示すように、加速時間と減速時間とが同一の三角形状で表される。位置指令信号22の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータAaと目標移動距離Dに基づき以下の数23の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時の検出位置信号x(t)と位置指令信号x
*(t)の関係は、実施の形態1で説明したように数4の式により近似でき、数4に数23を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数24の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータAaと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数25に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数24の大括弧[]内で表される値を振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値GAaは、位置指令信号パラメータAa、目標移動距離D、残留振動周波数ωn、減衰比ζを用いて、以下の数26の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値GAaを、以下、単に残留振動振幅GAaと称する。
残留振動振幅GAaと位置指令信号パラメータAaとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])と減衰比ζ=0.1と目標移動距離D=10mmを、それぞれ上記の数6の式に代入したときの、残留振動振幅GAaと位置指令信号パラメータAaとの関係を図20に示す。
図20より、位置指令信号パラメータAaが、加速時間taが残留振動周期100msと等しいときの加速度と同じ値を取るとき、つまりAa=D/Tn2のとき(図20中では記号Aの位置)、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータAa≧D/Tn2の範囲では位置指令信号パラメータAaが大きくなると残留振動振幅が単調増加する性質がある。図20においては、残留振動周期Tn=100ms、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mmとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は、残留振動周期、減衰比、目標移動距離の値に依存せず、幅広く成立する性質である。
以上の実施の形態4の位置指令信号22を用いた際に、位置指令信号パラメータAaが大きくなると、残留振動振幅が単調増加するという性質は、実施の形態1と同様な理由により実測値においても成立する。
実施の形態4においては、位置指令信号パラメータ321は、位置指令信号22の加速動作時の加速度Aaに相当する。実施の形態4の位置指令信号22は、加速時間taと減速時間tbが等しく、また加速動作時の加速度Aaと減速動作時の加速度Abの間にはAb=−Aaの関係があるため、位置指令信号パラメータAaを大きくすると、位置指令信号22の加速時間taと減速時間tbがともに短縮され、位置決めを開始してから指令が目標位置に到達するまでの時間である指令払出時間tm(図18)が短縮される。よって、位置指令信号パラメータAaを大きくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータAaを大きくすると、実測値においても残留振動振幅GAa´が単調増加する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ321を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ321を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
実施の形態1と同様に、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータAaに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅GAa´と、対応する位置指令信号パラメータAaとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータAaが大きくなると、残留振動振幅が単調増加する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ321を簡単に算出して決定できる。
複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータAa1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅GAa1´と、第二の位置指令信号パラメータAa2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅GAa2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータAaと残留振動振幅GAa´の関係を表す線形補間式は、以下の数27の式で表される。
これにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータAa
optを算出するには、数27の式に対してGAa´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数22の式で表される。
ここで、図19のフローチャートにおけるステップS42からステップS44の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ321の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータAa1と第一の残留振動振幅GAa1´を得るための処理に相当する。
また、図19のフローチャートにおけるステップS46からステップS48の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ321の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータAa2と第二の残留振動振幅GAa2´を得るための処理に相当する。
また、図19のフローチャートにおけるステップS49の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータAaoptを算出して決定する処理に相当する。
実施の形態4では、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状は実施の形態1と同様に加速時間taと減速時間tbの等しい三角形状であるが、位置指令信号パラメータ321が位置指令信号22の加速動作時の加速度Aaである。この場合についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ321を算出する効果が得られる。
また、実施の形態4では、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータAaと発生する残留振動振幅GAaの関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調増加する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調増加の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
また、実施の形態4では、位置指令信号パラメータ321として、位置指令信号22の加速動作時の加速度Aaを用いた構成と効果を述べたが、図18に示す指令信号は、加速時間taと減速時間tbが等しく、また加速動作時の加速度Aaと減速動作時の加速度Abの間にAb=−Aaの関係があることから、位置指令信号パラメータ321として、位置指令信号22の減速動作時の加速度Abを用いても、全く同じ効果を発揮することができる。
また、実施の形態4では、位置指令信号生成部311は、位置指令信号パラメータ321が位置指令信号22の加速動作時の加速度Aaであるため、位置指令信号22の一回微分である指令速度信号22aの形状が加速時間taと減速時間tbの等しい三角形状である位置指令信号22の形状を簡単に決定できる。
実施の形態5.
続いて、本発明の実施の形態5について説明する。実施の形態2では、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状が三角形状であり、かつ加速時間tcが減速時間td以下である指令形状を持つ位置指令信号122を使用した。このとき実施の形態2では、位置指令信号122の形状を決定する位置指令信号パラメータを位置指令信号122の減速時間tdとした形態について説明を行ったが、これ以外の指令信号パラメータを使用することもできる。実施の形態5では、他の位置指令信号パラメータ421を使用した例について説明する。
図21は、本発明の実施の形態5にかかる位置決め制御装置を示すブロック図である。実施の形態5では、位置決め制御装置10Dは、位置指令信号生成部411の構成が異なる。実施の形態2の位置決め制御装置10Aと重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
位置決め制御装置10Dは、図21に示すように、位置指令信号生成部411を備える。この位置指令信号生成部411は、外部より入力された目標移動距離Dと、位置指令信号122の二回微分である指令加速度信号122b(図22)における加速動作時の加速度Acとに基づいて位置指令信号122を生成し駆動制御部15に出力する。
図22は、実施の形態5にかかる指令信号の波形を示す図である。実施の形態5で使用する位置指令信号122の形状は実施の形態2と同様であり、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状が三角形状であり、加速時間tcが減速時間td以下の値を持ち、指令速度信号122aは、加速動作時に直線的に増加し、減速動作時に直線的に減速する。また、位置指令信号122は、位置指令信号122の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ421に基づいて生成される。実施の形態5では、図22中の減速動作時の加速度Adを位置指令信号パラメータ421とする。また図22において、符号Dは、目標移動距離を表し、符号Acは、加速動作時の加速度を表す。なお、実施の形態5において、目標移動距離D、加速動作時の加速度Ac、指令速度信号122aの形状が、加速時間tcが減速時間td以下である三角形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号122を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ421を指定することで一意に定めることができる。具体的には、目標移動距離D、加速動作時の加速度Ac、位置指令信号パラメータである減速動作時の加速度Adを用いることで、図22中の加速時間tc、減速時間tdはそれぞれtc=√(2AdD/(AcAd−Ac2))=(2AdD/(AcAd−Ac2))1/2,td=√(2AcD/(Ad2−AcAd))=(2AcD/(Ad2−AcAd))1/2として算出できる。
図23は、実施の形態5の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ステップS51では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dと、指令加速度信号122bにおける加速動作時の加速度Acを位置指令信号生成部411に入力する。
ステップS52では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータAd1が決定される。第一の位置指令信号パラメータAd1の例としては、実施の形態1と同様に、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ421が挙げられる。具体例としては、減速動作時の加速度Adを加速動作時の加速度Acと同じに設定したり、減速動作時の加速度Adをなるべく大きく設定したときの位置指令信号の減速動作時の加速度の値にすることが挙げられる。また、位置指令信号パラメータ421として設定可能な最大の値に設定することが好適な例として挙げられる。いずれにしろ位置指令信号パラメータ421を大きく設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行なうことが望ましい。
ステップS53では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータAd1に対応する位置指令信号122を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅GAd1´を測定する。ここで、残留振動振幅GAd´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS54では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータAd1と第一の残留振動振幅GAd1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS55では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅GAd1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS56では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータAd2が決定される。第二の位置指令信号パラメータAd2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ421が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータAd2を減速時間tdが残留振動周期Tnと等しいときの、減速動作時の加速度に設定することが挙げられる。
ステップS57では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータAd2に対応する位置指令信号122を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅GAd2´を測定する。ステップS58では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータAd2と第二の残留振動振幅GAd2´を関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS59では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータAdoptを以下の数28の式により算出する。
以上、図23のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータAd
optを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差G
INP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータAd
opt(421)が得られる。
次に、実施の形態5の効果について説明する。まず、実施の形態5で使用する位置指令信号パラメータAdと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。前述のとおり、実施の形態5で使用する位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状は、図22に示すように、加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ三角形状で表される。位置指令信号122の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータAdと目標移動距離Dと加速動作時の加速度Acに基づき、以下の数29の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時の検出位置信号x(t)と位置指令信号x*(t)の関係は、実施の形態1で説明したように数4の式により近似でき、数4に数29を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数30の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータAdと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数31に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数30の式の大括弧[]内で表される値と振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値GAdは位置指令信号パラメータAd、目標移動距離D、加速動作時の加速度Ac、残留振動周波数ωn、減衰比ζを用いて、以下の数32の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値GAdを、以下、単に残留振動振幅GAdと称する。
残留振動振幅GAdと位置指令信号パラメータAdとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度Ac=3.0Gを上記の数32の式に代入したときの、残留振動振幅GAdと位置指令信号パラメータAdとの関係を図24に示す。
図24に示すように、実施の形態5についても、位置指令信号パラメータAdが、減速時間tdが残留振動周期100msと等しい時の加速度と同じ値を取るとき、つまりAd=(Ac−√(Ac2+8D・Ac/Tn2))/2のとき(図24では記号Bの位置)、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータAdが、残留振動が最小になるときの加速度より大きい範囲では、位置指令信号パラメータAdが大きくなると残留振動振幅が単調増加している。図24においては、残留振動周期Tn=100ms(ωn=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度Ac=3.0Gとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は残留振動周期、減衰比、目標移動距離、加速動作時の加速度の値に依存せず、幅広く成立する性質である。以上の実施の形態5の位置指令信号122を用いた際に、位置指令信号パラメータAdが大きくなると、残留振動振幅が単調増加するという性質は、実施の形態1と同様な理由により実測値においても成立する。
実施の形態5においては、位置指令信号パラメータ421は、位置指令信号122の減速動作時の加速度Adに相当する。図25に、位置指令信号パラメータAdが小さい場合の指令速度信号の変化を示し、図26に、位置指令信号パラメータAdが大きい場合の指令速度信号の変化を示す。これら図25及び図26に示すように、位置指令信号パラメータAdを大きくすると、指令信号の減速時間tdが短縮されるため、指令払出時間tmは短縮される。よって、位置指令信号パラメータAdを大きくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータAdを大きくすると、実測値においても残留振動振幅が単調増加する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ421を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ421を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
実施の形態1と同様に、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータAdに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅と、対応する位置指令信号パラメータAdとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータAdが大きくなると、残留振動振幅が単調増加する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ421を簡単に算出して決定できる。
複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータAd1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅GAd1´と、第二の位置指令信号パラメータAd2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅GAd2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータAdと残留振動振幅GAd´の関係を表す線形補間式は、以下の数33の式で表される。
これにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータAd
optを算出するには、数33の式に対してGAd´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数28の式で表される。
ここで、図23のフローチャートにおけるステップS52からステップS54の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ421の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータAd1と第一の残留振動振幅GAd1´を得るための処理に相当する。
また、図23のフローチャートにおけるステップS56からステップS58の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ421の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータAd2と第二の残留振動振幅GAd2´を得るための処理に相当する。
また、図23のフローチャートにおけるステップS59の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータAdoptを算出して決定する処理に相当する。
実施の形態5では、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状は実施の形態2と同様に加速時間tcが減速時間td以下の値を持つ三角形状であるが、位置指令信号パラメータ421が位置指令信号122の減速動作時の加速度Adである。この場合についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ421を算出する効果が得られる。
また、実施の形態5では、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータAdと発生する残留振動振幅GAdの関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調増加する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調増加の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
また、実施の形態5では、位置指令信号生成部411は、位置指令信号パラメータ421が位置指令信号122の減速動作時の加速度Adであるため、位置指令信号122の一回微分である指令速度信号122aの形状が三角形状であり、加速時間tcが減速時間td以下である位置指令信号122の形状を簡単に決定できる。
加速動作時の加速度Acが一定で、加速時間tcが減速時間td以下の値を持ち、形状が三角形状の指令速度信号を、時間反転させれば、減速動作時の加速度Adが一定で、減速時間tdが加速時間tc以下の値を持ち、形状が三角形状の指令速度信号になる。それぞれの指令のフーリエ変換は共役倍しか異ならないため、周波数成分の大きさは同一となり、それぞれの指令が、振動の励起しやすさに与える影響も同一となる。よって、実施の形態5では、加速動作時の加速度Acを一定にして、位置指令信号パラメータ421として、減速動作時の加速度Adを用いた構成と効果を述べたが、減速動作時の加速度Adを一定にして、位置指令信号パラメータ421として、加速動作時の加速度Acを用いても、同様の効果を発揮することができる。
実施の形態6.
続いて、本発明の実施の形態6について説明する。実施の形態3では、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状が等速時間tfを持つ台形形状であり、かつ加速時間teが減速時間tgと等しい指令形状を持つ位置指令信号222を使用した。実施の形態3では、位置指令信号222の形状を決定する位置指令信号パラメータを位置指令信号の加速時間teと等速時間tfの和とした形態について説明を行ったが、これ以外の位置指令信号パラメータを使用することもできる。実施の形態6では、他の位置指令信号パラメータ521を使用した例について説明する。
図27は、本発明の実施の形態6にかかる位置決め制御装置を示すブロック図である。実施の形態6では、位置決め制御装置10Eは、位置指令信号生成部511の構成が異なる。実施の形態1の位置決め制御装置10と重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
位置決め制御装置10Eは、図27に示すように、位置指令信号生成部511を備える。この位置指令信号生成部511は、外部より入力された目標移動距離Dと、位置指令信号222の二回微分である指令加速度信号222b(図28)における加速動作時の加速度Aとに基づいて位置指令信号222を生成し駆動制御部15に出力する。
図28は、実施の形態6にかかる指令信号の波形を示す図である。実施の形態6で使用する位置指令信号222の形状は実施の形態3と同様であり、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状が等速時間tfを持つ台形形状であり、加速時間teが減速時間tgと等しく、指令速度信号222aは、加速動作時に直線的に増加し、等速動作時は変化せず、減速動作時に直線的に減速する。また、位置指令信号222は、位置指令信号222の形状を決定するパラメータである位置指令信号パラメータ521に基づいて生成される。実施の形態6では、図28中の位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの最大速度Vを位置指令信号パラメータ521とする。また図28において、符号Dは、目標移動距離を表し、符号Aは、加速動作時の加速度を表す。なお、実施の形態6において、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、指令速度信号222aの形状が、加速時間teと減速時間tgが等しい台形形状であるという情報だけから、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号222を一意に定めることができず、さらに位置指令信号パラメータ521を指定することで一意に定めることができる。具体的には、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、位置指令信号パラメータである最大速度Vを用いることで、図28中の加速時間te、等速時間tf、減速時間tgはそれぞれte=V/A、tf=(AD−V2)/AV、tg=V/Aとして算出できる。また加速時間te>0、等速時間tf≧0の値を取ることから、最大速度Vは目標移動距離Dと加速動作時の加速度Aにより以下の数34の式の値をとる。
最大速度V=√(AD)=(AD)
1/2の時の位置指令信号222の形状を図29に示す。V=√(AD)の時、等速時間tf=0となるため、指令速度信号222aの形状は台形形状ではなく、加速時間と等速時間が等しい三角形状となり、その最大速度は√(AD)となる。
図30は、実施の形態6の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。ステップS61では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dと、指令加速度信号222bにおける加速動作時の加速度Aを位置指令信号生成部511に入力する。
ステップS62では、位置決め制御を行うための第一の位置指令信号パラメータV1が決定される。第一の位置指令信号パラメータV1の例としては、実施の形態1と同様に、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)より大きくなるような位置指令信号パラメータ521が挙げられる。具体例としては、等速時間tf=0になるときの位置指令信号の最大速度の値に設定することが挙げられる。また、位置指令信号パラメータ521として設定可能な最大の値に設定することが好適な例として挙げられる。いずれにしろ位置指令信号パラメータ521を大きく設定して、振動を励起しやすくして位置決め制御を行なうことが望ましい。
ステップS63では、駆動制御部15は、第一の位置指令信号パラメータV1に対応する位置指令信号222を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第一の残留振動振幅GV1´を測定する。ここで、残留振動振幅GV´は、残留振動振幅の最大値の実測値をいう。ステップS64では、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータV1と第一の残留振動振幅GV1´とを関連付けて、第一の残留振動情報24として記憶する。ステップS65では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動振幅GV1´に対応する残留振動の周期Tn[s]を記憶する。
ステップS66では、位置決め制御を行うための第二の位置指令信号パラメータV2が決定される。第二の位置指令信号パラメータV2の例としては、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下になるような位置指令信号パラメータ521が挙げられる。具体例としては、第二の位置指令信号パラメータV2を加速時間teと等速時間tfの和tefが残留振動周期Tnと等しいときの、位置指令信号の最大速度の値(V2=D/Tn)に設定することが挙げられる。
ステップS67では、駆動制御部15は、第二の位置指令信号パラメータV2に対応する位置指令信号222を用いて位置決め制御を行う。また残留振動情報記録部13は、この際に発生する第二の残留振動振幅GV2´を測定する。ステップS68では、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータV2と第二の残留振動振幅GV2´を関連付けて、第二の残留振動情報24として記憶する。ステップS69では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動情報記録部13に記憶された第一の残留振動情報24と、第二の残留振動情報24とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP(23)以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータVoptを以下の数35の式により算出する。
以上、図30のフローチャートに示した処理により、位置指令信号パラメータV
optを算出することで、目標移動距離までの位置決め制御を行った時に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差G
INP(23)以下に抑制することができる。残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INP(23)以下であれば、振動が残っていても位置決め制御に要求される位置決め精度は満たされるため、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータV
opt(521)が得られる。
次に、実施の形態6の効果について説明する。まず、実施の形態6で使用する位置指令信号パラメータVと残留振動振幅の関係性を明らかにする解析を行う。実施の形態6で使用する位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aの形状は、図28に示すように、等速時間tfを有し、加速時間teと減速時間tgとが等しい台形形状で表される。位置指令信号222の時間tに対する信号x*(t)をラプラス変換表現したX*(s)は位置指令信号パラメータVと目標移動距離Dと加速動作時の加速度Aに基づき、以下の数36の式で表現される。ここで、sはラプラス演算子である。
このときqは、位置指令信号パラメータVおよび、目標移動距離D、加速動作時の加速度Aを用いて、以下の数37の式で表される。
一方で、残留振動の影響を受ける機械負荷2を位置決め制御する時の検出位置信号x(t)と位置指令信号x
*(t)の関係は実施の形態1で説明したように数4の式により近似でき、数4に数36を代入して、逆ラプラス変換すると、検出位置信号x(t)は、位置指令信号が開始され、目標移動距離Dに到達してからの時間以降は、以下の数38の式で表される。
ただし、α、β、ω
d、Z
1、Z
2、Ψなどは、位置指令信号パラメータVと、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数39に示す各式で表される。
この結果より、検出位置信号x(t)は、目標移動距離Dを中心に、数38の式の大括弧[]内で表される値と振幅として振動的な挙動を取る。位置決め制御を行った際の、検出位置信号x(t)の残留振動振幅の最大値の解析値GVは位置指令信号パラメータV、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、残留振動周波数ω
n、減衰比ζを用いて、以下の数40の式で表現される。残留振動振幅の最大値の解析値GVを、以下、単に残留振動振幅GVと称する。
残留振動振幅GVと、位置指令信号パラメータVとの関係を把握するために、残留振動周期Tn=100ms(ω
n=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gを上記の数40の式に代入したときの、残留振動振幅GVと位置指令信号パラメータVとの関係を図31に示す。
図31に示すように、実施の形態6についても、位置指令信号パラメータVが、加速時間と等速時間の和tefが残留振動周期100msと等しい時の位置指令信号の最大速度と同じ値、つまりV=D/Tnを取るとき(図31では記号Cの位置)、残留振動が最小となっている。また、位置指令信号パラメータV>D/Tnの範囲では、位置指令信号パラメータVが大きくなると残留振動振幅が単調増加している。図31においては残留振動周期Tn=100ms(ωn=2π/Tn[rad/s])、減衰比ζ=0.1、目標移動距離D=10mm、加速動作時の加速度A=3.0Gとして例を示したが、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との間の性質は残留振動周期、減衰比、目標移動距離、加速動作時の加速度の値に依存せず、幅広く成立する性質である。以上の実施の形態6の位置指令信号222を用いた際に、位置指令信号パラメータVが大きくなると、残留振動振幅が単調増加するという性質は、実施の形態1と同様な理由により実測値においても成立する。
実施の形態6においては、位置指令信号パラメータ521は、位置指令信号222の最大速度Vに相当する。図32に、位置指令信号パラメータVが小さい場合の指令速度信号の変化を示し、図33に、位置指令信号パラメータVが大きい場合の指令速度信号の変化を示す。これら図32及び図33に示すように、位置指令信号パラメータVを大きくすると、指令信号の加速時間teと等速時間tfとの和が短縮されるため、指令払出時間tmは短縮される。よって、位置指令信号パラメータVを大きくして、残留振動振幅が許容位置決め誤差23を越えていないならば、位置決め時間を短縮することができる。
位置指令信号パラメータVを大きくすると、実測値においても残留振動振幅が単調増加する。この性質を用いると、残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ521を求めることができる。このため、この位置指令信号パラメータ521を用いて位置決め制御すれば、残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下にしつつ、位置決め時間が可能な限り短縮されるという目的を達成できる。
実施の形態1と同様に、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータVに基づいて位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅と、対応する位置指令信号パラメータVとを互いに関連付けて複数の残留振動情報24を記憶している。このため、位置指令信号パラメータVが大きくなると、残留振動振幅が単調増加する性質を利用し、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24から、残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ521を簡単に算出して決定できる。
複数の残留振動情報24として、第一の位置指令信号パラメータV1で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第一の残留振動振幅GV1´と、第二の位置指令信号パラメータV2で位置決め制御を行った時に測定した残留振動振幅の最大値である第二の残留振動振幅GV2´の2つの残留振動情報24が利用できるとき、位置指令信号パラメータVと残留振動振幅GV´の関係を表す線形補間式は、以下の数41の式で表される。
これより残留振動振幅が許容位置決め誤差G
INPと一致する位置指令信号パラメータV
optを算出するには、数4
1の式に対してGV´=G
INPを代入することで算出が可能であり、前述した数35の式で表される。
ここで、図30のフローチャートにおけるステップS62からステップS64の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ521の算出に利用する第一の位置指令信号パラメータV1と第一の残留振動振幅GV1´を得るための処理に相当する。
また、図30のフローチャートにおけるステップS66からステップS68の処理は、残留振動情報記録部13により残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致するような位置指令信号パラメータ521の算出に利用する第二の位置指令信号パラメータV2と第二の残留振動振幅GV2´を得るための処理に相当する。
また、図30のフローチャートにおけるステップS69の処理は、位置指令信号パラメータ決定部14により残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータVoptを算出する処理に相当する。
実施の形態6では、位置指令信号222の一回微分である指令速度信号222aは等速時間tfを有し、加速時間teが減速時間tgと等しい値を持つ台形形状であるが、位置指令信号パラメータ521は位置指令信号の最大速度Vである。この場合についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ521を算出する効果が得られる。
また、実施の形態6は、残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータVと発生する残留振動振幅GV´の関係を補間する方法として線形補間を用いたが、単調増加する性質を利用した補間方法であればなんでもよく、例としては単調増加の性質を持つ多項式補間または三角関数などを利用して補間してもよい。
実施の形態6においては、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、指令速度信号222aの形状が、加速時間teと減速時間tgが等しい台形形状であるという情報だけでなく、指令速度信号222aの最大速度Vをそのまま位置指令信号パラメータ521として指定することで位置決め制御を行うための指令である位置指令信号222を一意に定めることができることを示したが、また、指令速度信号222aの最大速度Vを間接的に表現できるパラメータを、位置指令信号パラメータ521として指定することで、同様に位置指令信号222を一意に定めることができる。
具体的には位置指令信号パラメータ521を、指令速度信号222aの最大速度Vと、数34式において前述した最大速度Vの最大値√(AD)との比、を表すパラメータとすることが挙げられる。以下、最大速度Vと最大速度の最大値√(AD)の比を表すパラメータを符号nで表す。この時、最大速度Vは以下の数42の式で表現される。
最大速度Vは数34の式の範囲の値を取るため、数34の式に数42の式を代入することで、位置指令信号パラメータnは以下の数43の式の範囲の値をとる。
位置指令信号パラメータn=1のときの指令速度信号222aの形状を図34に、0<n<1のときの指令速度信号222aの形状を図35に示す。図34と図35に示すように、目標移動距離D、加速動作時の加速度A、指令速度信号222aの形状が、加速時間teと減速時間tgが等しい台形形状であるという情報に加え、指令速度信号222aの最大速度Vと、最大速度Vの最大値√(AD)との比nを位置指令信号パラメータ521として指定することで、位置決め制御を行うための指令である位置指令信号222を一意に定めることができる。
また、数42の式より、最大速度Vと位置指令信号パラメータnは正比例の関係にあるため、位置指令信号パラメータnが大きくなると、残留振動振幅が単調増加する性質が成り立つ。よって位置指令信号パラメータ521として、指令速度信号222aの最大速度Vと、最大速度Vの最大値√(AD)との比nを使用した場合についても、発生する残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータ521を算出する効果が得られる。
実施の形態7.
続いて、本発明の実施の形態7について以下に説明する。前述した実施の形態1から実施の形態3の位置決め制御装置では、位置指令信号パラメータが大きくなると残留振動振幅は単調減少する性質から、線形補間の式を用いて残留振動振幅が許容位置決め誤差23と一致する位置指令信号パラメータを算出することで、位置決め時間の短縮が実現される形態について説明した。実施の形態7は、より位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータ21を求めるものである。
図36は、本発明の実施の形態7の位置決め制御装置を示すブロック図である。実施の形態7では、位置決め制御装置10Fは、残留振動振幅下限率入力部16を備える点で実施の形態1の位置決め制御装置10と異なる。実施の形態1の位置決め制御装置10と重複する内容については、同じ符号を付して詳しい説明を省略し、異なる点について説明する。
図36に示すように、実施の形態7による位置決め制御装置10Fは、残留振動振幅下限率入力部16を備える。この残留振動振幅下限率入力部16には、残留振動振幅下限率27が予め指定して入力される。残留振動振幅下限率27は、前述した許容位置決め誤差23に対して、位置決め制御が終了した際のモータ1または機械負荷2の目標位置と検出位置との誤差、または、位置決め制御を行う際に発生したモータ1または機械負荷2の残留振動振幅の下限値である残留振動振幅下限値を、どの程度の大きさ(例えば、誤差または残留振動振幅下限値を許容位置決め誤差23の何割以上の大きさ)の値とするかを決定するための値である。
残留振動振幅下限率27は、操作者によって、外部から予め入力され、残留振動振幅下限率入力部16は、この入力された残留振動振幅下限率27を位置指令信号パラメータ決定部14に出力する。位置指令信号パラメータ決定部14は、許容位置決め誤差23と、残留振動振幅下限率27と、残留振動情報記録部13に記憶された複数の残留振動情報24とに基づいて、位置指令信号パラメータ21を算出する。
図37は、実施の形態7の位置決め制御装置の動作手順を示すフローチャートである。このフローチャートにおいて、ステップS12からステップS19までの手順は、実施の形態1(図3)で説明したものと同一であるので、同一の符号を付して説明を省略する。
ステップS701では、操作者は、予め定められた許容位置決め誤差GINPを許容位置決め誤差入力部12に入力する。また、操作者は、予め定められた目標移動距離Dを位置指令信号生成部11に入力する。また、操作者は、予め定められた残留振動振幅下限率γを残留振動振幅下限率入力部16に入力する。前述のように、許容位置決め誤差GINPは、上記した許容位置決め誤差23と同一のものである。また、残留振動振幅下限率γは、0<γ<1の範囲に設定され、残留振動振幅下限値は、許容位置決め誤差GINPに基づき、γ・GINPと表される。また、許容位置決め誤差GINP、残留振動振幅下限率γ及び目標移動距離Dを都度、入力するのではなく、許容位置決め誤差入力部12及び残留振動振幅下限率入力部16に記憶可能な記憶部を備えた構成とし、予め許容位置決め誤差GINP、残留振動振幅下限率γ及び目標移動距離Dを記憶させておくと共に、ステップS701の手順で記憶部に記憶された許容位置決め誤差GINP、残留振動振幅下限率γ及び目標移動距離Dを読み出す構成としてもよい。
また、詳細は後述するが、実施の形態7においては、位置指令信号パラメータtaは、位置決め制御によって発生する残留振動振幅Gta´と残留振動振幅下限値γ・GINPとが以下の関係を満たすように決定される。
γ・GINP≦Gta´≦GINP
前述のように、ステップS19にて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP以下で、かつ、位置決め時間が短縮できる位置指令信号パラメータtaoptを算出している。これに続き、ステップS710では、駆動制御部15は、算出した位置指令信号パラメータtaoptに対応する位置指令信号22を用いて位置決め制御を行い、残留振動情報記録部13は、この際に発生する残留振動振幅Gtaopt´を測定する。
ステップS711では、残留振動情報記録部13は、位置指令信号パラメータtaoptと残留振動振幅Gtaopt´とを関連付けて、新たな残留振動情報24として記憶する。ステップS712では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動振幅Gtaopt´と残留振動振幅下限値γ・GINPの大きさの比較を行う。このステップS712において、残留振動振幅Gtaopt´が残留振動振幅下限値γ・GINPよりも大きければ(ステップS712;Yes)、処理をステップS714へ移行する。また、残留振動振幅Gtaopt´が残留振動振幅下限値γ・GINPよりも大きくなければ(ステップS712;No)、処理をステップS713へ移行する。
ステップS713では、残留振動情報記録部13は、第二の残留振動情報を更新する。この場合、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータta2として、ステップS19で算出した位置指令信号パラメータtaoptを利用し、第二の残留振動振幅Gta2´として、ステップS710で測定した残留振動振幅Gtaopt´を利用する。
一方、ステップS714では、位置指令信号パラメータ決定部14は、残留振動振幅Gtaopt´と許容位置決め誤差GINPの大きさの比較を行う。このステップS714において、許容位置決め誤差GINPが残留振動振幅Gtaopt´よりも大きければ(ステップS714;Yes)、処理を終了する。また、許容位置決め誤差GINPが残留振動振幅Gtaopt´よりも大きくなければ(ステップS714;No)、処理をステップS715へ移行する。
ステップS715では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動情報を更新する。この場合、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータta1として、ステップS19で算出した位置指令信号パラメータtaoptを利用し、第一の残留振動振幅Gta1´として、ステップS710で測定した残留振動振幅Gtaopt´を利用する。
このように、図37に示すフローチャートの動作手順に基づき、ステップS712とステップS714に記載した条件を同時に満足する、すなわち、γ・GINP≦Gtaopt´≦GINPとなる位置指令信号パラメータ21を算出して決定できる。このため、位置指令信号パラメータ21を用いて位置決め制御すれば、位置決め制御の際に発生する残留振動振幅を許容位置決め誤差23以下に抑制しつつ、位置決め時間をより短縮可能な位置指令信号22を得ることができる。
次に、実施の形態7の効果について説明する。特に、図37のフローチャートの処理によって、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、かつ、より指令払出時間が短縮される位置指令信号22を生成できる位置指令信号パラメータ21が算出される理由について説明する。
前述の実施の形態1から実施の形態3では、位置決め時間を短縮するために、残留振動振幅Gtaが許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出している。この場合に、複数の残留振動情報24と、実測値において位置指令信号パラメータtaが大きくなると残留振動振幅Gtaが単調減少するという性質を利用して、位置指令信号パラメータtaと残留振動振幅Gta´との関係を補間している。
実施の形態1では、補間式により残留振動振幅が許容位置決め誤差23に一致するような位置指令信号パラメータ21を算出しているが、これは補間式による近似であるため、算出した位置指令信号パラメータtaoptに対応する位置指令信号を用いて位置決め制御を行った際に、発生する残留振動振幅Gtaopt´が許容位置決め誤差23と完全には一致しないことが状況によっては発生する場合もある。
実施の形態1から実施の形態3では、位置指令信号パラメータ21から221を大きくすると、残留振動振幅が単調減少するが位置決め時間は大きくなる。一方で、位置指令信号パラメータ21から221を小さくすると、残留振動振幅は大きくなるものの、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下なら位置決め時間が短縮される性質があることを説明した。
この性質から、残留振動振幅Gtaopt´が許容位置決め誤差GINPに一致しない場合、次の(1)、(2)がわかる。(1)残留振動振幅Gtaopt´<許容位置決め誤差GINPの時、位置指令信号パラメータtaを、位置指令信号パラメータtaoptよりも小さくすることで、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下とし、かつ、位置決め時間を短縮できる位置指令信号パラメータ21を決定することができる。(2)仮に、残留振動振幅Gtaopt´>許容位置決め誤差GINPとなる場合でも、位置指令信号パラメータ21を位置指令信号パラメータtaoptよりも大きくすることで、許容位置決め誤差23以下の位置決め制御を実現することができる。実施の形態7では、具体的な位置指令信号パラメータ21を算出して決定する構成に特徴を有する。
実施の形態7では、残留振動振幅を許容位置決め誤差23の何割以上の大きさの値とするかを表す残留振動振幅下限率γ(0<γ<1)が設定される。この場合、残留振動振幅Gtaopt´が、γ・GINP≦Gtaopt´≦GINPを満たす位置指令信号パラメータ21を算出する。この位置指令信号パラメータ21を求める際に、残留振動振幅が、単純に、許容位置決め誤差23以下になるような位置指令信号パラメータ21を算出すると、許容位置決め誤差23以下にはなるが、位置決め時間が長くなる位置指令信号パラメータ21が算出される可能性がある。
そこで、残留振動振幅下限率γを用いて残留振動振幅の下限を設け、位置指令信号パラメータ21の算出を行うことにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下であり、かつ、位置決め時間を短縮することができる位置指令信号パラメータ21を算出することが可能になる。
実施の形態7のフローチャートのステップS701からステップS19までは、実施の形態1から実施の形態3までと同様に、複数の残留振動情報24に基づいて、位置指令信号パラメータ21を求めている。このステップS19の後、ステップS712では、位置指令信号パラメータ21に基づき位置決め制御を行った際に発生する残留振動振幅Gtaopt´が、γ・GINP≦Gtaopt´を満足しているか、ステップS714では、Gtaopt´≦GINPが満足されているかを判定している。
ステップS712またはステップS714の条件が満足されない場合、ステップS713とステップS715の処理を行い、位置指令信号パラメータ21を更新する。続いて、図38から図41を参照して、位置指令信号パラメータ21の更新について説明する。図38から図41は、いずれも、横軸に位置指令信号パラメータ、縦軸に残留振動振幅をとり、位置指令信号パラメータと残留振動振幅との関係を示している。
図38は、図37のステップS712において、γ・GINP≦Gtaopt´が満足されなかった場合の、第一及び第二の残留振動情報24と、算出された位置指令信号パラメータtaoptと、残留振動振幅Gtaopt´との関係を表している。図38中のP点は、ステップS14における、第一の残留振動情報24に記憶された第一の位置指令信号パラメータta1と第一の残留振動振幅Gta1´との関係を表す。また、Q点は、ステップS18における、第二の残留振動情報24に記憶された第二の位置指令信号パラメータta2と第二の残留振動振幅Gta2´との関係を表す。R点は、ステップS19における、第一の残留振動情報24及び第二の残留振動情報24に基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出した場合の、位置指令信号パラメータtaoptと許容位置決め誤差GINPとの関係を表す。S点は、ステップS710において、位置指令信号パラメータtaoptで位置決め制御を行った際の、位置指令信号パラメータ21と実測した残留振動振幅Gtaopt´との関係を表す。この図38では、ステップS712の条件が満足されていないため、実測した残留振動振幅Gtaopt´は、残留振動振幅下限値γ・GINPよりも小さくなっていることを表している。
また、図38に示すように、S点がGtaopt´<γ・GINPの範囲に存在する時、前述のように、位置指令信号パラメータ21を小さくすると残留振動振幅は大きくなる。この場合、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下ならば位置決め時間が短縮される性質により、位置指令信号パラメータtaoptよりも小さな位置指令信号パラメータtaを用いることにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、かつ、位置決め時間をより短縮できる位置指令信号パラメータ21を算出することが可能である。R点の位置指令信号パラメータtaoptは、P点及びQ点における残留振動情報24を補間することによって求めているため、第一の位置指令信号パラメータta1と第二の位置指令信号パラメータta2の間の値をとる。ここで、R点の位置指令信号パラメータtaoptで位置決め制御を行うと、ステップS712により残留振動振幅は、残留振動振幅下限値γ・GINPより小さいことが分かっており、上記したS点で表される。また、P点で位置決め制御を行うと、残留振動振幅は、許容位置決め誤差GINPより大きくなることが分かっている。このため、位置指令信号パラメータ21が小さくなると残留振動振幅は大きくなる性質から、残留振動振幅が残留振動振幅下限値γ・GINPと許容位置決め誤差GINPの間にあるような位置指令信号パラメータ21は、第一の位置指令信号パラメータta1と位置指令信号パラメータtaoptとの間にある。
そこで、S点を新たな第二の残留振動情報24として、P点とS点の残留振動情報24を補間することにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータ21を求める。これは、ステップS713において、残留振動情報記録部13が第二の残留振動情報24を更新する処理と、ステップS19において、位置指令信号パラメータ決定部14が2つの残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータ21を算出する処理に相当する。
図39は、図37のステップS713以降の処理における位置指令信号パラメータ21と残留振動振幅との関係を表している。T点は、ステップS19において、第一の残留振動情報24(P点)と新たな第二の残留振動情報24(S点)とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出したときの、位置指令信号パラメータtaoptと許容位置決め誤差GINPとの関係を表す。
R点(図38)は、第一の位置指令信号パラメータta1から第二の位置指令信号パラメータta2の範囲にある位置指令信号パラメータ21を算出するのに対し、T点は、それより狭い第一の位置指令信号パラメータta1から位置指令信号パラメータtaoptの範囲で位置指令信号パラメータ21を算出する。このため、より精度よく位置指令信号パラメータ21を算出することができる。この新たに算出されたT点の位置指令信号パラメータ21を用いて、位置決め制御を行うことにより、実測値においても残留振動振幅が、残留振動振幅下限値γ・GINPと許容位置決め誤差GINPの間になりやすく、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPに近い値をとるため、位置決め時間がより短縮される効果がある。
図40は、図37のステップS714において、Gtaopt´≦GINPが満足されなかったときの、第一及び第二の残留振動情報24と、算出された位置指令信号パラメータtaoptと、残留振動振幅Gtaopt´との関係を表している。図40中のP点、Q点、R点は、図38のものと同じものである。S点は、ステップS710において、位置指令信号パラメータtaoptで位置決め制御を行った際の、位置指令信号パラメータ21と実測した残留振動振幅Gtaopt´との関係を表す。この図40では、ステップS714の条件が満足されていないため、実測した残留振動振幅Gtaopt´は、許容位置決め誤差GINPより大きい。
仮に、図40のように、S点がGINP<Gtaopt´に存在した場合であっても、位置指令信号パラメータ21を大きくすると残留振動振幅は小さくなる。この性質によれば、位置指令信号パラメータtaoptよりも大きな位置指令信号パラメータtaを用いることにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下の位置決め制御を実現する位置指令信号パラメータ21を算出することが可能である。R点の位置指令信号パラメータtaoptは、P点及びQ点における残留振動情報24を補間することによって求めているため、第一の位置指令信号パラメータta1と第二の位置指令信号パラメータta2の間の値をとる。ここで、R点の位置指令信号パラメータtaoptで位置決め制御を行うと、ステップS714により残留振動振幅は、許容位置決め誤差GINPより大きいことが分かっており、上記したS点で表される。また、Q点で位置決め制御を行うと、残留振動振幅は、許容位置決め誤差GINPより小さくなることが分かっている。このため、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP以下にあるような位置指令信号パラメータ21は、位置指令信号パラメータtaoptと第二の位置指令信号パラメータta2の間にある。
そこで、S点を新たな第一の残留振動情報24として、S点とQ点の残留振動情報24を補間することにより、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータ21を求める。これはステップS715において、残留振動情報記録部13が第一の残留振動情報24を更新する処理と、ステップS19において、位置指令信号パラメータ決定部14が2つの残留振動情報24に基づいて位置指令信号パラメータ21を算出する処理に相当する。
図41は、図37のステップS714以降の処理における位置指令信号パラメータ21と残留振動振幅との関係を表している。T点は、ステップS19において、新たな第一の残留振動情報24(S点)と第二の残留振動情報24(Q点)とに基づいて、残留振動振幅が許容位置決め誤差GINPと一致するような位置指令信号パラメータtaoptを算出したときの、位置指令信号パラメータ21(taopt)と残留振動振幅Gtaopt´との関係を表す。
R点(図40)は、第一の位置指令信号パラメータta1から第二の位置指令信号パラメータta2の範囲にある位置指令信号パラメータ21を算出するのに対し、T点は、それより狭い位置指令信号パラメータtaoptから第二の位置指令信号パラメータta2の範囲で位置指令信号パラメータ21を算出する。このため、より精度よく位置指令信号パラメータ21を算出することができる。この新たに算出されたT点の位置指令信号パラメータ21を用いて、位置決め制御を行うことにより、実測値においても残留振動振幅が許容位置決め誤差GINP以下になりやすく、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下の位置決め制御を実現することができる効果がある。
以上、実施の形態7では、残留振動振幅が許容位置決め誤差23以下で、より位置決め時間が短縮される位置指令信号22が生成できる位置指令信号パラメータ21を算出可能とする効果がある。また、実施の形態7によれば、ステップS712,ステップS714の処理に基づき、実際に残留振動振幅Gtaopt´が、残留振動振幅下限値γ・GINPと許容位置決め誤差GINPとの間にあることを判定しながら、指令払出時間が短くなる位置指令信号パラメータ21を算出するため、より確実に位置決め時間を短縮することができる位置指令信号パラメータ21を算出できるという効果もある。
また、実施の形態7では、実施の形態1の位置決め制御装置10における位置指令信号22と位置指令信号パラメータtaを用いた構成及び効果を述べたが、実施の形態2および実施の形態3の位置決め制御装置10A,10Bにおける位置指令信号122,222と位置指令信号パラメータtd,tefを用いた場合も同様に、より指令払出時間が短縮される位置指令信号が生成できる位置指令信号パラメータを算出する効果を得られる。
また実施の形態1、実施の形態2、実施の形態3の位置指令信号パラメータ21,121,221が大きくなると残留振動振幅が単調減少する性質を持つことに対して、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6の位置指令信号パラメータ321,421,521が大きくなると残留振動振幅が単調増加する性質を持つという違いがあるが、いずれも位置指令信号パラメータが大きくなると残留振動振幅が単調に変化する性質であることは同じである。よって、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6に合わせて、図37に示す実施の形態7のフローチャートのステップS713,ステップS715の処理を入れ替えるだけで同様な効果が得られる。実施の形態4を例としたフローチャートを図42に示す。
ステップS813では、残留振動情報記録部13は、第一の残留振動情報を更新する。この場合、残留振動情報記録部13は、第一の位置指令信号パラメータAa1として、ステップS49で算出した位置指令信号パラメータAaoptを利用し、第一の残留振動振幅GAa1´として、ステップS810で測定した残留振動振幅GAaopt´を利用する。
ステップS815では、残留振動情報記録部13は、第二の残留振動情報を更新する。この場合、残留振動情報記録部13は、第二の位置指令信号パラメータAa2として、ステップS49で算出した位置指令信号パラメータAaoptを利用し、第二の残留振動振幅GAa2´として、ステップS810で測定した残留振動振幅GAaopt´を利用する。
以上より、実施の形態4、実施の形態5、実施の形態6の位置決め制御装置10C,10D,10Eにおける位置指令信号22,122,222と位置指令信号パラメータAa,Ad,Vを用いた場合も同様に、より指令払出時間が短縮される位置指令信号が生成できる位置指令信号パラメータを算出する効果を得られる。