JP6395416B2 - 軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法 - Google Patents
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Description
建築物の地下構造を構築するに際しては、上記標準型の鋼矢板を使用して、地盤の掘削外周領域を取り囲む配置の山留め壁を、掘削底面よりも十分深く建て入れて構築することは周知に属する。
もっとも、掘削する深さが数m程度に浅く、土質性状の良い場所では、上記標準型の鋼矢板を使用するまでもないとの考えで、H形鋼による親杭を地盤の掘削に先行して一定の間隔をあけて掘削部外周の地中へ十分深く建て入れておき、地盤掘削の進行に応じて、木板から成る横矢板を親杭間へ順次建て入れて土留めを行う親杭横矢板工法が広く普及している。
上記親杭横矢板工法の場合は、H形鋼による親杭は用済み後に引き抜いて回収し再利用に供することができる。ところが、木製の横矢板は、回収してもたいていは廃材として廃棄処分されるのが一般的であり、廃棄処分に手間と費用が掛かって不経済という問題点が指摘されている。
即ち、上記軽量鋼矢板を土留め壁の構築に用いると、それなりに軽量、安価で、ハンドリングも容易である上に、回収して再利用に供することも勿論可能である。したがって、上記木製の横矢板のように回収しても廃材(産業廃棄物)として廃棄処分され、その廃棄処分に手間と費用が掛かって不経済という問題点を解決出来る。
しかし、軽量鋼矢板を土留め壁の構築に用いる場合には、薄肉で強度、剛性が低い軽量鋼矢板を、いかにして精度良く、短工期に、確実に地中の所要深さまで建て入れて、土留め性能及び信頼性の良い鋼製連続土留め壁を構築するか、の施工技術面で種々な解決課題が浮上する。
先ず第一に、従前、鋼矢板にも各種各様があって、それぞれに適用できる施工機械の機種や鋼矢板のチャッキング機構が特定されており、極端な場合、適用可能な施工機械が見当たらないという不利、不便さもあった。
その上、上記のように薄肉で長尺の軽量鋼矢板を、打撃力又は振動等を利用した手段で無理矢理に地中へ押し込むと、座屈を起こし易い。また、特に矢板の先端部等が変形したり破損して、所定の地中深さまで確実に精度良く、短工期に建て入れる施工が困難である。その結果、往々にして期待した土留め作用や止水性能を得がたいという技術的な問題点も予想される。
特に、軽量鋼矢板を地中へ建て入れる深さは、最大で約10m程度まで要求される。前記の深さに建て入れる長尺の軽量鋼矢板は、その建て入れ施工時の困難が一層大きいと予想される。よって、前記の各問題点や困難を解決しない限り、軽量鋼矢板による地中連続土留め壁の実現は難しい。
先ず、下記の特許文献1に開示された地中連続壁の構築工法は、薄肉であるか否かの記載が見当たらないハット形などの鋼矢板に、H形又はT形状の鋼材をコーピング、溶接又はボルト止め等の手段で拘束させ組み合わせて断面2次モーメントを大きく構成し、それでいて運搬や保管の効率が良い構成とした地中連続壁用鋼材を提案している。しかし、両材を拘束させ組み合わせる工程に手数とコストが掛かる上に、用済み後の分離にも手数を要する欠点を否めない。
特許文献2に開示されたコンクリート壁形成工法は、所謂ソイルセメント土留め壁を補強するH形材の建て入れ施工の精度を高める手段として、両端に継手を設けた平板状の矢板(シートパイル)を用い、前記H形材と複合化した構成で地中へ建て入れ施工する手順に特徴を有する。前記H形材は、その一方のフランジを、前記矢板の片面へ設けた左右一対のアングルをガイドにして着脱可能に結合した構成を特徴としている。そして、前記のように複合化した矢板(シートパイル)とH形材とを補強材とするソイルセメント土留め壁を構築する。その後、用済みとなった前記H形材は引き抜いて回収することを内容としている。つまり、矢板(シートパイル)自体で土留め壁を構成するのではない。あくまでもソイルセメント土留め壁を補強するH形材の建て入れ施工の精度を高める補助手段として、矢板(シートパイル)が使用されているにすぎない。
更に、特許文献4に開示された鋼製連続壁の施工方法及び鋼製連続壁は、断面性能を高める目的でH形鋼やCT鋼などを溶接で一体化した組み合わせ鋼矢板を使用する。しかし、断面形状が複雑となり、嵩張るので、運送コストが高くなる欠点があることに鑑み、工事現場までは鋼矢板とH形鋼やCT鋼などの補剛材とを一体化せずに運搬する。そのための手段として、鋼矢板の下端部に、補剛材の長手方向へ移動可能な第1ガイド部材を設ける。他方、補剛材の下端には、先行して打設された鋼矢板に沿って移動可能な第2ガイド部材を設けておく。こうして鋼矢板と補剛材とは相互にきっちり連結した構成で打設できる。しかも鋼製連続壁の断面性能の向上が図れると説明している。
しかし、そのいずれも板厚が厚い標準型鋼矢板の使用を前提としている。薄肉の軽量鋼矢板を用い、これを相互に連結した状態で地中へ深く建て入れて鋼製連続土留め壁を構築する技術的思想は見当たらない。
とりわけ本発明が目的とする、板厚が10mm以下、より望ましくは6mm〜4.5mm程度に薄肉の軽量鋼矢板を用い、これを相互に連結した状態で地中へ建て入れて鋼製連続壁を構築し土留め壁に使用する技術的思想は皆無である。
その理由は、次のように考えられる。
板厚が10mm以下、より望ましくは6mm〜4.5mm程度に薄肉の軽量鋼矢板を精度良く、短工期に、しかも座屈や破損、変形、歪曲などを生じさせないで、確実に地中の所定深さまで建て入れて、品質、性能の高い鋼製連続土留め壁を構築するには、それなりに工夫した格別な施工機械や施工技術の確立が必須、不可欠である。
即ち、上記のような軽量鋼矢板を、いかなる施工機械を使用し、どのようなチャッキング機構で掴ませて、静的な押し込み力若しくは動的な打撃力又は振動などを加えて地中へ建て入れるかに大きな解決課題がある。薄肉であるが故に、いかにして破断させないようにチャックさせるか、そして、強度、剛性に劣り座屈を起こし易く、軸線が変形、歪曲し易い軽量鋼矢板を建て入れる際の建て入れ精度を確保するかということである。
例えば上記引用文献1のように、軽量鋼矢板の強度、剛性を補完して座屈を起こし難くするH形材などを沿わせて一体化する場合には、そうした補完の工作に手数とコストが嵩む。そうした工作を工場加工として行うと、嵩張った構成になってしまい、現地への運搬効率が悪い。逆に、現地で加工し組み立てる場合には、手数が掛かりすぎる、等々の問題点がある。
また、1枚の軽量鋼矢板に1本ずつの割合でH形材などを沿わせて補完する構成では、かえって厚肉の標準型鋼矢板を使用する方が手数がかからず、経済的でさえある。
上記の各問題点を解決しない限り、軽量鋼矢板による地中連続土留め壁の実施は 技術的に困難というのほかない。
本発明の次の目的は、上記軽量鋼矢板を地中へ建て入れる施工の原理として、基本的に軽量鋼矢板の先端部分へ押し込み用鋼材による押し込み力を加えて地中へ引っ張り込む要領で建て入れ作業を進め、或いは必要に応じて引き抜き作用を加えたりして、建て入れ作業を効果的、能率的に進めることができ、建て入れ施工時に発生する地盤の抵抗で軽量鋼矢板に座屈を生じさせず、破損や変形、歪曲なども発生させないで済み、しかも押し込み用鋼材にH形材を使用することで、施工機械の機種やチャッキング機構を特に限定しない汎用性を確保した施工方法を実施可能な、軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法を提供することである。
本発明の更なる目的は、上記軽量鋼矢板を地中へ建て入れるに際し、H形材等を押し込み用鋼材として補助的に使用するが、基本的に軽量鋼矢板とH形材等の補助材とは別々に分離独立した構成で現場の建て入れ施工に臨むことが出来、よって軽量鋼矢板とH形材等の補助材は別々に嵩張らない状態で工事現場等へ運搬でき、現地での建て入れ施工に際して、H形材等を軽量鋼矢板へ組み付けて建て入れ作業を軽便に進めることができる、鋼製連続土留め壁の施工方法を提供することである。
しかも前記H形材等の補助材は、現地での建て入れ施工に際して、簡単に短時間の作業で正規の組付けを行うことができ、鋼製連続土留め壁の設計指針に応じて、H形材等は建て入れ後に軽量鋼矢板との結合を解き、適宜に引き抜き回収することもでき、或いは鋼製連続土留め壁の設計指針に応じて建て入れた状態のままにして鋼製連続土留め壁の剛性及び強度に寄与させることも可能な自在性に富む、軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法を提供することである。
(A)軽量鋼矢板1の少なくとも片面の下端部近傍位置に、押し込み用鋼材として用いるH形材2の下端部を受け止めて、同押し込み用鋼材として用いるH形材2を通じて加えられる押し込み力Pを軽量鋼矢板1の下部へ伝えて同軽量鋼矢板1の地中への建て入れを可能にする押し込み力受け部3を設け、同軽量鋼矢板1の上端部近傍の位置には、前記押し込み用鋼材として用いるH形材2を通じて引き抜き力を伝達可能な引き抜き力受け部4を設ける段階と、
(B)前記軽量鋼矢板1は、その押し込み力受け部3へ押し込み用鋼材として用いるH形材2の先端部を組み付け、且つ上端部近傍位置の引き抜き力受け部4を利用して軽量鋼矢板1と押し込み用鋼材として用いるH形材2とを一定の姿勢関係に拘束する段階と、
(C)当該軽量鋼矢板の継手5又は5’を隣接する先行の軽量鋼矢板1の継手と連結する段階と、
(D)前記押し込み用鋼材として用いるH形材2へ加えた押し込み力により当該軽量鋼矢板1の下部を地中へ引き込みつつ所要の深さまで建て入れる工程を進める段階と、
(E)前記軽量鋼矢板の建て入れが進む途中の段階で地盤の抵抗が増大して建て入れが困難なときに一旦建て入れ工程を中断し、前記押し込み用鋼材として用いるH形材に引き抜き力を作用させて前記軽量鋼矢板を引き上げる段階と、
(F)前記(D)の押し込みと、前記(E)の引き抜きとを交番的に繰り返すことにより前記軽量鋼矢板の下部を所要の深さまで建て入れる段階と、
からなることを特徴とする。
前記(F)の段階を経て、前記軽量鋼矢板の下部を所要の深さまで建て入れた後、その引き抜き力受け部4と押し込み用鋼材として用いるH形材2との拘束関係を解き、前記軽量鋼矢板1を建て入れ位置に残して、押し込み用鋼材として用いるH形材2のみを地上へ引き抜き回収する段階とより成ることを特徴とする。
前記押し込み用鋼材として用いるH形材2の引き抜き回収は、全部の押し込み用鋼材として用いるH形材2について、又は鋼製連続土留め壁の設計指針にしたがい、壁面方向に1本おき若しくは複数本おき位置の押し込み用鋼材として用いるH形材2について行うことを特徴とする。
しかも押し込み用鋼材として用いるH形材2の建て入れに適用できる施工機械及びチャッキング機構を備えている限り、新旧を問わず適用でき、施工の準備が簡単、容易に安価に行える。
前記建て入れ施工の進捗において、押し込み抵抗が増大して建て入れ能率が低下したようなときは、軽量鋼矢板1の上端部近傍位置に設けた引き抜き力受け部4を利用して、一旦は押し込み用鋼材として用いるH形材2による引き抜き工程を実行し、しかる後に再び押し込み工程を行うなど、押し込みと引っ張り込みとを交番的に繰り返す方式を実施して建て入れ施工を能率的に進めることができる。
従って、本発明によれば、地盤を掘削する深さがおよそ10m以内と浅く、従前の親杭横矢板工法程度の土留め壁で用が足りる規模、条件の地盤掘削工事に際しては、板厚が10mm以下、より望ましくは6mm〜4.5mm程度に薄肉で安価な軽量鋼矢板を用いた鋼製連続土留め壁を実施して親杭横矢板工法に代えることができる。
従って、従前の親杭横矢板工法を実施した場合に、横矢板を引き抜き回収しても、たいていは廃材(産業廃棄物)として廃棄処分するほかなく、その廃棄処分に手間と費用が掛かって不経済、という問題点を全て解決出来る。また、産業廃棄物量の低減化にも寄与する。勿論、高価で重い標準型鋼矢板を使用する不利も解消できる。
勿論、前記の加工や工作は、工場加工として行って良く、現地までは押し込み用鋼材として用いるH形材2と軽量鋼矢板1は別々に小さい嵩にして能率の良いハンドリング及び運搬を行うことができるから、ひいては施工単価を安価にでき、短工期で実施することが出来る。
当該軽量鋼矢板1の継手5、5’を、隣接する先行の軽量鋼矢板1の継手と連結した上で、押し込み用鋼材として用いるH形材2を通じて加える押し込み力Pにより、当該軽量鋼矢板1の先端部を地中へ引き込む要領で、地中の所要深さまで建て入れる工程を進めて鋼製連続土留め壁を構築する。
つまり、軽量鋼矢板1の建て入れは、押し込み用鋼材として用いるH形材2へ加えた押し込み力Pを、押し込み力受け部3を通じて軽量鋼矢板1の先端部へ集中的に加え、地中へ引っ張り込む作用にて実施される。従って、軽量鋼矢板1の上部から下部への全長にわたる押し込み力が作用する条件にはなく、座屈の懸念は一切ない。押し込み用鋼材として用いるH形材2(以下、押し込み用鋼材2、又はH形材2と略す場合がある。)の押し込み姿勢を適切に操作、制御することで、ひいては軽量鋼矢板1の建て入れ姿勢と精度を確保できる。
図1は、板厚が例えば6mm〜4.5mm程度の軽量鋼矢板1と、これを地中へ建て入れる押し込み用鋼材として用いるH形材2とが一対をなす関係で地中へ建て込まれ、そのまま両材が鋼製連続土留め壁を構成した実施例1を示している。
図2は、同じく軽量鋼矢板1と、これを地中へ建て入れる押し込み用鋼材として用いるH形材2とが一対をなす関係で地中へ建て込まれて成る鋼製連続土留め壁であるが、当該鋼製連続土留め壁に要求される設計指針に従い、土留め壁の壁面方向(長手方向)に1本おきの割合で、押し込み用鋼材として用いるH形材2を引き抜いた構成の実施例2を示している。
上記実施例1と2の差異点は、鋼製連続土留め壁の設計上、土留め作用にも寄与するH形材2の働きの要否に関する強度計算の結果に基づいて、無用か又は無駄なH形材2を建て入れ後に引き抜いて更に転用するか否かの構成の差異に他ならず、本質的な差異ではない。H形材2の引き抜きは、土留め壁に要請される強度計算の結果により、場合によっては2本おき又は3本おきの割合で、或いは全数を引き抜いた構成で実施することもあり得る。
上記のようにH形材2を引き抜いた跡に生ずるH形の空洞部(図2の点線図示を参照)は、そのまま放置しても良く、或いは砂質土やセメントミルク等を注入して補充、補強することも、ケースバイケースで実施される。
因みに、使用する軽量鋼矢板1の横断面形状も、図示例はあくまで一例を示したに過ぎず、この限りではない。図示したハット型形状に限らず、鋼矢板として公知、周知の形状の鋼材を適宜に採用して実施できる。軽量鋼矢板1の左右の継手5と5’の形状や位置についても同様である。
図3に示した軽量鋼矢板1はハット形鋼状材の例であり、両側のフランジ先端縁部に半管状の継手5と5’が相互に連結可能な形状に設けられている。
この軽量鋼矢板1の板厚は、上述した6mm〜4.5mm程度に薄肉であり、同軽量鋼矢板の軸方向長さは、土留め壁として設計される、地盤掘削の深さに応じて決められ、10m前後の長さに及ぶ場合もある。
この軽量鋼矢板1のウエブ部分の外面側の下端部近傍の位置に、押し込み力受け部3が、図示例の場合は左右一対の構成で、全周溶接により設けられている。
即ち、後述するH形材2のフランジ幅に相当する間隔をあけて、且つ同フランジの厚さに等しいか又は後述の組み付け作業を容易にする配慮に基づいて若干大きい厚さの基板3aが左右に2箇、水平方向に横並びの配置で高さ位置を揃え、全周溶接により、後述する軽量鋼矢板1の押し込み力に十分耐える強度で設置されている。
そして、前記基板3aの外面(上面)に、H形材2の該当するフランジが抜け外れるのを防止する押さえ板3bが、各基板3aの上端面から上方へ例えば10cm程度の長さ突き出る配置として、やはり軽量鋼矢板1の押し込み力に耐え得る強度に溶接して設置されている。
上記の押し込み力受け部3は、軽量鋼矢板1のウエブ部分の内面側の下端部近傍の位置に設置して実施することもできる。
この押し込み力受け部3の配置と構成は、押し込み用鋼材2の横断面形状に適応するように、適宜に選択し、又は変更して実施される。
他方、同じ軽量鋼矢板1のウエブ部分の上端部近傍の位置には、図3Aに例示したとおり、引き抜き力受け部としてのボルト孔4が、図示例では左右に2箇、横並びの配置に設けられている。但し、個数は1箇でも、或いは3箇以上であっても良い。
即ち、軽量鋼矢板1の上記押し込み力受け部3を構成する基板3aの上端へ、押し込み作業に必要な長さを有するH形材2のフランジ下端部が突き当てられ、押さえ板3bにより同フランジが手前側へ抜け外れる心配の無い拘束関係が実現される。
上記の組み合わせによって、軽量鋼矢板1の上端部近傍の位置に設けられた引き抜き力受け部としての2箇のボルト孔4、4と、押し込み用鋼材として用いるH形材2の2箇のボルト孔6、6とが丁度一致する関係になる。そこで両材のボルト孔4と6へボルト7aを通し、ナット7bをねじ込み締結することにより、軽量鋼矢板1とH形材2とは一体化し、H形材2のハンドリングを通じて、軽量鋼矢板1の位置及び姿勢を自在に制御できる共通化(又は一体化)して、一定の姿勢関係に拘束できる。
そこで上記H形材2の上端部を、図示を省略したが、H形材用として汎用性がある杭打ち機の一種として公知の例えばパワープレスのチャックで支持させ、図1又は図2に例示したように、先行して建て入れた隣接の継手5又は5’と当該軽量鋼矢板1の継手5又は5’とを連結させ、建て入れ位置を定めた上で、前記H形材2を通じてパワープレスによる押し込み作業を行う。
かくすると、パワープレスの操作を通じてH形材2の建て入れ位置及び垂直精度を確保することにより、必然的に軽量鋼矢板1の建て入れ位置及び垂直精度を確保できる。そして、H形材2を通じて加えるパワープレスの押し込み力で軽量鋼矢板1の建て入れが進められる。
もっとも、上記したH形材2を通じて加えるパワープレスの押し込み力で軽量鋼矢板1の建て入れが進む途中の段階で、地盤の抵抗が増大して建て入れが困難になった際には、一旦建て入れ工程を中断し、逆にH形材2へ引き抜き力を作用させる。すると上記ボルト7aとナット7bで連結している関係上、軽量鋼矢板1も同様に引き上げられる。
そこで例えば約1m程度上昇させた位置から再び、H形材2へ押し込み力を付与する操作(交番的な建て入れ操作)を行うと、前記の引き上げ工程で周辺土はほぐされているので、再度の(交番的)な押し込み操作で、前記地盤の抵抗を打ち破って、更なる建て入れ工程を順調に進めることができる。
つまり、本発明によれば、パワープレスの静的な押し込み力で軽量鋼矢板1の建て入れを進める手法と、及び適度なストロークの引き上げを含む交番的操作を繰り返すことにより、軽量鋼矢板1の建て入れ工程を効率よく確実に迅速に進めることができる。
更に、地盤の掘削工事が終了し、無用となった軽量鋼矢板1を引き抜く場合にも、上記ボルト7aとナット7bによる連結を解いた後のボルト孔4を利用することで、軽便に行うことが出来る。
即ち、押し込み用鋼材として用いるH形材2のフランジ幅に相当する左右方向の長さを有し、且つ同フランジの厚さに等しいか又は後述の組み付け作業を容易にする配慮に基づいて若干大きい厚さの基板3aが左右方向(水平方向)に長い配置とされる。そして、前記基板3aの外面に、H形材2の該当するフランジが抜け外れるのを防止するべく基板3aの上縁から上方へ10cm程度が突き出る配置で、2箇の押さえ板3b、3bが上下方向に当てがわれ、軽量鋼矢板1の背面側から前面側へ突き通したボルト8と、これに締結したナット9とにより、前記基板3aと左右2箇の押さえ板3bとがそれぞれ軽量鋼矢板1の押し込み力に耐え得る強度に締結して設置されている。
本実施例の押し込み力受け部3も、軽量鋼矢板1のウエブ部分の内面側の下端部近傍の位置に設置して実施することができる。
この押し込み力受け部3の配置と構成は、押し込み用鋼材2の横断面形状に適応するように適宜に選択し、又は変更を加えて実施される。
そして、同じ軽量鋼矢板1のウエブ部分の上端部近傍の位置には、図6Aに例示したとおり、引き抜き力受け部としてのボルト孔4が、上下方向に少し長い長丸孔として左右に2箇、横並びの配置に設けられている。
即ち、軽量鋼矢板1の上記押し込み力受け部3を構成する基板3aの上端へ、押し込み作業に必要な長さを有するH形材2のフランジ下端部が突き当てられ、押さえ板3bにより同フランジが手前側へ抜け外れる心配の無い拘束関係が実現される。
そして、軽量鋼矢板1の上端部近傍の位置に設けられた引き抜き力受け部としての2箇のボルト孔4、4と、押し込み用鋼材として用いるH形材2の上部に設けた2箇のボルト孔6、6とが丁度一致する関係になる。そこで両材のボルト孔4と6へボルト7aを通し、ナット7bをねじ込み締結することにより、軽量鋼矢板1とH形材2とは一体的に拘束した関係となり、H形材2のハンドリングを通じて軽量鋼矢板1の位置及び姿勢を制御できる関係に拘束できる。
そこで上記図5の説明で述べたとおり、H形材2の上端部を、図示を省略した杭打ち機、例えばパワープレスのチャックで支持させ、図1又は図2に例示した配置で先行して建て入れた軽量鋼矢板1の隣接する継手5又は5’と当該軽量鋼矢板1の継手5又は5’とを連結させ、建て入れ位置を定めた上で、前記H形材2を通じてパワープレスによる押し込み作業を行う。
かくすると、パワープレスの操作を通じてH形材2の建て入れ位置及び垂直精度を確保することにより、必然的に軽量鋼矢板1の建て入れ位置及び垂直精度を確保できる。そして、H形材2を通じて加えるパワープレスの押し込み力で、軽量鋼矢板1の建て入れ作業が進むことは、図5の構成に基づいて上述したとおりである。
もっとも、上記したH形材2を通じて加えるパワープレスの押し込み力で軽量鋼矢板1の建て入れが進む途中の段階で、地盤の抵抗が増大して建て入れが困難になった際には、上記図5の実施例と同様に、一旦建て入れ工程を中断し、逆にH形材2へ引き抜き力を作用させる。すると上記ボルト7aとナット7bで連結している関係上、軽量鋼矢板1も同様に引き上げられる。
そこで例えば約1m程度上昇させた位置から再び、H形材2へ押し込み力を付与する交番的操作を行うと、引き上げ工程で周辺土はほぐされているので、再度の押し込みが効果的、順調に行われ、前記地盤の抵抗を打ち破って、更なる建て入れ工程を確実に進めることができる。
従って、本発明によれば、パワープレスの静的な押し込み力で軽量鋼矢板1の建て入れを進める手法と、及び適度なストロークの引き上げを含む交番的な押し込み操作とを必要に応じて繰り返すことが容易にでき、軽量鋼矢板1の建て入れ工程を効率よく確実に迅速に進めることが可能である。
更に、地盤の掘削工事が終了し、無用となった軽量鋼矢板1を引き抜く場合にも、上記ボルト7aとナット7bによる連結を解いた後のボルト孔4を利用して軽便に行うことが出来て至便である。
2 押し込み用鋼材として用いるH形材(押し込み用鋼材、又はH形材)
3 押し込み力受け部
4 引き抜き力受け部
5、5’ 継手
Claims (3)
- (A)軽量鋼矢板の少なくとも片面の下端部近傍位置に、押し込み用鋼材として用いるH形材の下端部を受け止めて、同押し込み用鋼材として用いるH形材を通じて加えられる押し込み力を軽量鋼矢板の下部へ伝えて同軽量鋼矢板の地中への建て入れを可能にする押し込み力受け部を設け、同軽量鋼矢板の上端部近傍の位置には、前記押し込み用鋼材として用いるH形材を通じて引き抜き力を伝達可能な引き抜き力受け部を設ける段階と、
(B)前記軽量鋼矢板は、その押し込み力受け部へ押し込み用鋼材として用いるH形材の先端部を組み付け、且つ上端部近傍位置の引き抜き力受け部を利用して軽量鋼矢板と押し込み用鋼材として用いるH形材とを一定の姿勢関係に拘束する段階と、
(C)当該軽量鋼矢板の継手を隣接する先行の軽量鋼矢板の継手と連結する段階と、
(D)前記押し込み用鋼材として用いるH形材へ加えた押し込み力により当該軽量鋼矢板の下部を地中へ引き込みつつ所要の深さまで建て入れる工程を進める段階と、
(E)前記軽量鋼矢板の建て入れが進む途中の段階で地盤の抵抗が増大して建て入れが困難なときに一旦建て入れ工程を中断し、前記押し込み用鋼材として用いるH形材に引き抜き力を作用させて前記軽量鋼矢板を引き上げる段階と、
(F)前記(D)の押し込みと、前記(E)の引き抜きとを交番的に繰り返すことにより前記軽量鋼矢板の下部を所要の深さまで建て入れる段階と、
からなることを特徴とする、軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法。 - 前記(F)の段階を経て、前記軽量鋼矢板の下部を所要の深さまで建て入れた後、その引き抜き力受け部と押し込み用鋼材として用いるH形材との拘束関係を解き、前記軽量鋼矢板を建て入れ位置に残して、押し込み用鋼材として用いるH形材のみを地上へ引き抜き回収する段階とより成ることを特徴とする、請求項1に記載した軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法。
- 前記押し込み用鋼材として用いるH形材の引き抜き回収は、全部の押し込み用鋼材として用いるH形材について、又は鋼製連続土留め壁の設計指針にしたがい、壁面方向に1本おき若しくは複数本おき位置の押し込み用鋼材として用いるH形材について行うことを特徴とする、請求項2に記載した軽量鋼矢板による鋼製連続土留め壁の施工方法。
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